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特許拒絶査定不服審判

2023-021425

機械式駐車装置の出庫予約変更システム

審判番号
2023-021425
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-168280
請求日
2023年12月15日
審決日
2024年11月08日
公報発行日
2024年12月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】IHI運搬機械株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人山田特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 門 良成
  • 審判官 桐山 愛世
分類
P18 .121-WY (E04H) / P18 .561-WY (E04H) / P18 .57 -WY (E04H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-168280「機械式駐車装置の出庫予約変更システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月25日出願公開、特開2021- 46677、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年9月17日に出願された特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 5月25日付け :拒絶理由通知書 同年 7月13日 :意見書及び手続補正書の提出 同年 9月20日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。) ( 同月26日 :原査定の謄本の送達) 同年12月15日 :審判請求書及び手続補正書の提出 第2 令和5年12月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月15日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 令和5年12月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年7月13日にされた手続補正後をいう。)の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1~7に補正された。下線は、補正箇所を示す。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「 【請求項1】 機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションがインストールされた移動体通信端末と、 前記機械式駐車装置の出庫予約を管理する管理パーソナルコンピュータと、 該管理パーソナルコンピュータが接続され且つ前記機械式駐車装置の作動を制御する制御装置と、 前記移動体通信端末が通信回線を介して接続され且つ前記管理パーソナルコンピュータと連携する管理サーバと を備え、 前記管理パーソナルコンピュータから管理サーバを介して移動体通信端末に出庫予約実行前確認通知が送信される通知機能と、 該通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、利用者に出庫予約の遅延の有無を選択させる遅延確認機能と を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システムであって、 前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定するチェック機能を備え、 該チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備え、 前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「 【請求項1】 機械式駐車装置の出庫予約を含む専用アプリケーションがインストールされた移動体通信端末と、 前記機械式駐車装置の出庫予約を管理する管理パーソナルコンピュータと、 該管理パーソナルコンピュータが接続され且つ前記機械式駐車装置の作動を制御する制御装置と、 前記移動体通信端末が通信回線を介して接続され且つ前記管理パーソナルコンピュータと連携する管理サーバと を備え、 前記管理パーソナルコンピュータから管理サーバを介して移動体通信端末に出庫予約実行前確認通知が送信される通知機能と、 該通知機能による出庫予約実行前確認通知の送信後、利用者に出庫予約の遅延の有無を選択させる遅延確認機能と を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システムであって、 前記通知機能における出庫予約実行前確認通知として、車両名がメッセージと共に通知されて前記移動体通信端末に表示されるようになっている一方、 前記遅延確認機能において利用者が出庫予約の遅延を選択した場合に他の利用者の出庫予約との重複の有無を判定するチェック機能を備え、 該チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備え、 前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えた機械式駐車装置の出庫予約変更システム。 【請求項2】 前記通知機能において、出庫予約実行前確認通知の表示方法を、音声案内による通知または振動による通知とする機能を備えた請求項1に記載の機械式駐車装置の出庫予約変更システム。 【請求項3】 前記遅延確認機能において、利用者が遅延を選択した場合に、遅れる時間を自動で算出し、 利用者に提供する機能を備えた請求項1に記載の機械式駐車装置の出庫予約変更システム。 【請求項4】 前記代替時間提示機能において、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する際、複数の提案を行って選択肢を広げる機能を備えた請求項1から請求項4に記載の機械式駐車装置の出庫予約変更システム。 【請求項5】 前記時間設定機能において、ユーザーが複数の時間帯候補から指定し、空き時間帯があればその時間帯に出庫予約を設定する機能を備えた請求項1から請求項4に記載の機械式駐車装置の出庫予約変更システム。 【請求項6】 前記遅延確認機能における遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定される機能を備えた請求項5に記載の機械式駐車装置の出庫予約変 更システム。 【請求項7】 前記遅延確認機能における遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定されない機能を備えた請求項5に記載の機械式駐車装置の出庫予約変 更システム。」 2 本件補正の適否 (1)補正事項について 上記「1」(1)及び(2)のとおり、本件補正における補正事項は、以下のものを含むと認める。 ア 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「通知機能」について、「出庫予約実行前確認通知の表示方法を、音声案内による通知または振動による通知とする機能を備えた」ことを限定する、請求項2を新たに追加する補正(以下「補正事項1」という。)。 イ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「遅延確認機能」について、「利用者が遅延を選択した場合に、遅れる時間を自動で算出し、 利用者に提供する機能を備えた」ことを限定する、請求項3を新たに追加する補正(以下「補正事項2」という。)。 ウ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「代替時間提示機能」について、「重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する際、複数の提案を行って選択肢を広げる機能を備えた」ことを限定する、請求項1~4を引用する請求項4を新たに追加する補正(以下「補正事項3」という。)。 エ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「時間設定機能」について、「ユーザーが複数の時間帯候補から指定し、空き時間帯があればその時間帯に出庫予約を設定する機能を備えた」ことを限定する、請求項1~4を引用する請求項5を新たに追加する補正(以下「補正事項4」という。)。 オ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「遅延確認機能」について、「遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定される機能を備えた」ことを限定する、請求項5を引用する請求項6を新たに追加する補正(以下「補正事項5」という。)。 カ 本件補正前の請求項1の発明特定事項である「遅延確認機能」について、「遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定されない機能を備えた」ことを限定する、請求項5を引用する請求項7を新たに追加する補正(以下「補正事項6」という。)。 (2)目的外補正について 上記「1」で示したとおり、本件補正は、新たな請求項2~7を追加する補正事項を含むところ、このような補正は、補正前後で請求項の数が増加する、いわゆる、増項補正に該当するものである。 ア 最初に、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものといえるかについて検討する。 補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するというためには、補正後の請求項が補正前の請求項の発明特定事項を限定した関係にあることが必要であり、その判断に当たっては、補正後の請求項が補正前のどの請求項と対応関係にあるのかを特定し、その上で、補正後の請求項が補正前の当該請求項の発明特定事項を限定するかどうかを判断すべきものと解されるところ、増項補正の適否についても同様の判断基準に基づいて判断すべきものといえる。 以上を前提に、本件補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するかどうかについて判断する。 (ア)本件補正後の請求項1は、補正前の請求項1と同様の構成を備え、かつ、「通知機能」について特定するものであるから、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (イ)本件補正後の請求項2及び3は、補正後の請求項1を引用しているから、上記(ア)をふまえると、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (ウ)本件補正後の請求項4は、補正後の請求項1~4を引用しているから、上記(ア)及び(イ)をふまえると、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (エ)本件補正後の請求項5は、補正後の請求項1~3を引用しているから、上記(ア)~(ウ)をふまえると、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (オ)本件補正後の請求項6は、補正後の請求項5を引用しているから、上記(ア)~(エ)をふまえると、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (カ)本件補正後の請求項7は、補正後の請求項5を引用しているから、上記(ア)~(エ)をふまえると、本件補正前の請求項1に対応するといえる。 (キ)上記(ア)~(カ)によれば、本件補正後の請求項1~7は、いずれも本件補正前の請求項1に対応するといえる。 しかしながら、本件補正は、(A)本件補正前の請求項1が、多数項引用形式で記載された発明であって、本件補正後の請求項2~7が、前記多数項引用形式で記載された発明の一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とする場合や、(B)本件補正前の請求項1が、構成要件が択一的なものとして記載された発明であって、本件補正後の請求項2~7が、前記構成要件が択一的なものとして記載された発明の一つの請求項を、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合、のいずれにも該当しない。 したがって、本件補正後の請求項2~7は、いずれも補正前の請求項1の発明特定事項を限定したものとは認められない。 (ク)したがって、上記(キ)によれば、本件補正前の請求項1を、本件補正後の請求項2~7とする補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。 イ 本件補正前の請求項1に対する本件補正の増項に係る部分は、同項1号に掲げる「請求項の削除」にも、同項3号に掲げる「誤記の訂正」にも、同項4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明」にも該当しない。 ウ 上記(2)のとおりであるから、本件補正には、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの目的にも該当しないものが含まれる。 (3)新規事項の追加について ア 上記補正事項1に関して、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等」という。)には、以下のとおり記載されている。 「【0023】 前記通知機能は、前記管理パーソナルコンピュータ20から管理サーバ40を介して移動体通信端末10に出庫予約実行前確認通知が送信される機能である。前記出庫予約実行前確認通知は、通常のメールであっても、プッシュ通知であっても良い。プッシュ通知は、LINE(登録商標)等のメッセージを受信する仕組みに用いられる機能であって、対象となるスマートフォンやカーナビゲーションシステム等の移動体通信端末10に対してのみ送信が可能であり、メールアドレスを使用せずに送信でき、移動体通信端末10の設定により、送信されたメッセージ内容をロック画面に表示することも可能となる。」 上記記載には、通知機能において、出庫予約実行前確認通知は、通常のメール又はプッシュ通知であることは記載されているものの、音声案内による通知または振動による通知とすることは記載も示唆もされていないし、技術常識を勘案しても自明な事項ともいえない。 イ 上記補正事項3に関して、当初明細書等には、以下のとおり記載されている。 「【0026】 前記代替時間提示機能は、前記チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する機能である。」 「【0041】 又、前記チェック機能において出庫予約の重複があると判定された場合に、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示する代替時間提示機能を備えている。このように構成すると、出庫の遅延に関して利用者の選択肢を広げることができる。」 上記記載には、代替時間提示機能において、重複する他の利用者の出庫予約を避ける時間を利用者に提示することは記載されているものの、複数の提案を行って選択肢を広げることは記載も示唆もされていないし、技術常識を勘案しても自明な事項ともいえない。 ウ 上記補正事項4に関して、当初明細書等には、以下のとおり記載されている。 「【0027】 前記時間設定機能は、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する機能である。」 「【0042】 更に又、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えている。このように構成すると、利用者の意向に沿って出庫予約の時間を変更することができる。」 上記記載には、時間設定機能において、提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更することは記載されているものの、ユーザーが複数の時間帯候補から指定し、空き時間帯があればその時間帯に出庫予約を設定することは記載も示唆もされていないし、技術常識を勘案しても自明な事項ともいえない。 エ 上記補正事項5及び6に関して、当初明細書等には、以下のとおり記載されている。 「【0027】 前記時間設定機能は、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する機能である。」 「【0037】 前記代替時間提示機能において提示された時間を利用者が受け入れる場合、図4(b)に示す如く、「はい」をタップすると、時間設定機能により出庫予約の時間が変更され(図2のステップS110参照)、図4(c)に示す如く、「スヌーズを受け付けました。」というメッセージが表示される。利用者は「OK」をタップすれば良い。」 「【0042】 更に又、前記代替時間提示機能において提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更する時間設定機能を備えている。このように構成すると、利用者の意向に沿って出庫予約の時間を変更することができる。」 上記記載には、遅延の時間設定において、提示された時間が利用者によって受け入れられた場合に出庫予約の時間を変更することは記載されているものの、遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定されること、及び遅延の時間設定が、利用者の設定に基づいて事前に予め決められている値に限定されないことは記載も示唆もされていないし、技術常識を勘案しても自明な事項ともいえない。 オ してみると、補正事項1、及び3~6による補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 カ 以上のとおりであるから、補正事項1、及び3~6は当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3 まとめ 上記「2」のとおりであるから、本件補正は特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本件発明について 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年7月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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