特許拒絶査定不服審判
2021-007902
ボイスカード、ボイスカードの製造方法、画像音声データ再生システム、及び画像音声データの再生方法
- 審判番号
- 2021-007902
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-022784外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月16日
- 審決日
- 2022年08月15日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G10K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017- 22784「ボイスカード、ボイスカードの製造方法、画像音声データ再生システム、及び画像音声データの再生方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-128623〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月20日付け:拒絶理由通知書
同年10月26日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年 3月10日付け:拒絶査定
同年 6月16日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和4年 3月14日付け:拒絶理由通知書(当審)
同年 5月16日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1、2に係る発明は、令和4年5月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、各構成の符号A~Hは、説明のために当審で付したものである。また、これらの符号が付されたものを、それぞれ、「構成A」~「構成H」という。
(本願発明)
A カード基板と、
B 前記カード基板に内蔵され、互いに信号の授受可能に電気的な接続がされてなるCPU、ROM、RAM、及び書き換え可能不揮発性メモリによって構成されるチップ部と、
C 前記カード基板の外表面、若しくは前記カード基板の内部に設けられてなると共に前記チップ部と電気的な接続がなされてなるインターフェースとを備え、
D 前記インターフェースは、前記チップ部が前記カード基板の外部とのデータ送受信を行う際に通信対象となる外部書込み機器及び外部再生機器との接続を可能に構成され、
E 前記書換え可能不揮発性メモリには、インターネットなどの不特定多数の者がアクセス可能なネットワークから独立した状態で画像音声データが保存されてなり、
F 前記画像音声データは、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに即座に送信が完了されると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続される
G ボイスカードであって、
H 前記ボイスカードに設けられた前記インターフェースと、前記外部再生機器と、を電気的に接続することによって、前記画像音声データを、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに即座に送信を完了すると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生し、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生を継続する
I ことを特徴とする画像音声データ再生方法。
第3 拒絶の理由
令和4年3月14日付け拒絶理由通知書において、当審が通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2003-331233号公報
第4 引用文献
1 引用文献1の記載事項
上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付したものである。
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カードの表面に記載されたキャラクターの付加情報を記憶した非接触ICメディアを内蔵したキャラクターカード及びキャラクター情報表示方法に係り、特に、写真・絵画・文字程度の情報しか持っていないキャラクターカードに対し、補完するデジタル情報(文字・写真・絵画・映像・音声等)を非接触ICメディアに記憶させたキャラクターカード及びキャラクター情報表示方法に関する。」
(2)「【0002】
【従来の技術】従来、キャラクターカードは、カードの表面に記載されたキャラクターの情報を、文字・写真・絵画等でカード表面に記載して提供するものであった。また、CPUとメモリーとを内部に備えた非接触ICメディア(コンタクトレスICメディア)を用い、非接触ICメディアとリーダ/ライタユニットとの間で、非接触によりデータの送受信を行い、非接触ICメディアのメモリーにデータを書き込み、又はメモリーからデータを読み取り、各種処理を可能とする技術が開発されている。非接触ICメディア及びリーダ/ライタユニットに関する参考文献として、以下の物が挙げられる。特願2001-84699、特願2001-84746、特願2001-205296、特願2002-33796、特願2002-56039。」
(3)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のキャラクターカードは、カードの表面に記載されたキャラクターの情報を文字・写真・絵画等でしか表現できないものであった。また、文字・写真・絵画等の情報をカード表面に記載するため、提供される情報量はカードの大きさによって制限されるという課題があった。情報量を増加すると、カードの大きさが大きくなり、カードという手軽さが損なわれるという課題があった。
【0004】そこで、本発明は以上の点に鑑み、従来、カード表面に記載されていた文字・写真・絵画等の情報をデジタル情報としてキャラクターカードに持たせ、キャラクターに関するさらに詳細な付加情報を提供することを目的とする。また、本発明は、カードには記載できない音声や動画などの情報を提供することも目的とする。さらに、カードという手軽さを損なわないよう、デジタル情報の送受信はできるだけ容易で安価なものとし、誰でもできるような方法で行うことも本発明の目的の一つである。また、本発明は、詳細な付加情報を提供することにより、カードに記載されたキャラクターを今まで以上に身近に、そしてビジュアル感を感じることができることを目的とする。」
(4)「【0008】(ハード機器)図1は、電子機器の構成図である。電子機器1は、PC、PDA、携帯電話等のCPUとメモリーを備える機種である。内部メモリーは32MB以上あるとよい。OSは問わない。例えば、電子機器1は、リーダ/ライタユニット3を接続するためのコネクタ11を備える。電子機器1は、リーダ/ライタユニット3のコネクタと接続可能な機種であってもよい。さらに、電子機器1は表示部13、スピーカー15、イヤホン端子17を備える。また、リーダ/ライタユニット3は、アンテナ部31を備える。図2は、テレビ等への接続端子を持つ電子機器の構成図である。電子機器1は、表示部13、スピーカー15、イヤホン端子17を備える代わりに、図2のように、家庭のテレビ等の可聴・可視表示が可能な装置に接続できる外部表示接続コネクタ19を備えた機種であってもよい。
【0009】図3は、リーダ/ライタユニット3の構成図である。リーダ/ライタユニット3は、非接触ICメディアに記憶されている情報を読み書きする装置である。また、アンテナ部31は、非接触ICメディアと電波のやり取りをする部分である。リーダ/ライタユニット3は、電子機器1にコネクタで接続できるようになっていてもよいし、或いは電子機器1に内蔵されていてもよい。さらに、リーダ/ライタユニット3の形状は、適宜の形を用いることができる。図3(a)のような通常のタイプの他にも、例えば、図3(b)のように非接触ICメディアに近づけやすくするためにペン先状になっていてもよいし、図3(c)の延長ケーブル33と接続コネクタ35を備えてもよい。また、カードを置けるようにテーブル形状としたり、或いはカードと同等の窪みを持ったテーブル形状としてもよい。
【0010】(キャラクターカード)図4は、非接触ICメディアを備えたキャラクターカードの構成図である。表面に記載されているキャラクターは、例えば、実在の人間・動植物、物語の登場人物や動植物、架空の生物・植物、建造物、風景、製品等の適宜のものである。カードの片面又は両面にはキャラクターに関する情報が、文字・絵画・写真等で記載されていてもよい。また、形状、大きさ、厚さ、材質、材料等は適宜のものを用いることができる。この例では、キャラクターカードは非接触ICメディアが製造時に組込まれている。
【0011】(キャラクターカードの構成)非接触ICメディアを備えたキャラクターカードは、例えば、以下のように製造して提供されることができる。
・非接触ICメディアを糊や圧力などで貼り付けたキャラクターカード
・製造工程で非接触ICメディアをはさみ込む等の方法で内蔵させた紙・プラスチック等を一部、或いは全部に用いたキャラクターカード
・既存のキャラクターカード上に糊やテープ、圧力などで非接触ICメディアを貼り付けたキャラクターカード
【0012】(フローチャート)図5は、付加情報を表示するためのフローチャートである。本実施の形態では、主に電子機器に取り付けられた非接触ICメディアのリーダ/ライタユニットをキャラクターカードの非接触ICメディア部に近づけることにより、リーダ/ライタユニットは、非接触ICメディアに書き込まれた情報を受信し、電子機器の表示部に当該の情報を可視表示、或いはスピーカー・イヤホン等により可聴表示して利用者に情報を伝達する。各ステップ処理は、電子機器内のCPUが実行する。
【0013】まず、利用者が、電子機器に付けた非接触ICメディアのリーダ/ライタユニットのアンテナ部を、キャラクターカードの非接触ICメディアにポイントすると又は、キャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部に近づけると、電子機器はリーダ/ライタユニットから電波を発信する(S01)。なお、電子機器は、アンテナ部をポイントすることにより自動的にプログラムが起動するよう設計することができる。また、キャラクターカードに組み込まれている非接触ICメディアは、リーダ/ライタユニットのアンテナ部から発信された電波によりICが自動的に起動するようにしてもよい。次に、非接触ICメディアは、内部に書き込まれた付加情報を外部に向けて発信する。さらに、キャラクターカードの非接触ICメディアから発信された付加情報は、電子機器のリーダ/ライタユニットのアンテナ部で受信される(S03)。受信されなかった場合は、ステップS01に戻る(S05)。次に、電子機器は、受信した付加情報を内部メモリー、或いは外部メモリーに記憶する(S07)。電子機器は、受信した付加情報を電子機器の表示部に可視表示、或いはスピーカー・イヤホン等から音声で可聴表示して利用者に情報を伝達する(S09)。電子機器が図2のような構成の場合、電子機器は、外部表示装置を用いて、受信した付加情報を可視表示、或いは可聴表示する。なお、ステップS07の記憶処理は省略してもよい。」
(5)「【0015】(付加情報)本発明では、カードに記載されたキャラクターを補完する詳細な付加情報を提供することにより、カードに記載されたキャラクターをより身近に楽しむことができることが目的の一つである。したがって、付加情報は、キャラクターに関するあらゆる情報が含まれる。付加情報を表示する手段としては、例えば、文字・写真・絵画・映像・音声等の適宜の可聴・可視表示手段による。
【0016】・詳細な付加情報を、以下に例示する。非接触ICメディアには、以下の情報の1つ、或いは複数が記憶されている。
(1)キャラクターに関する文字情報
(2)キャラクターに関する音声情報
(3)キャラクターに関する写真情報
(4)キャラクターに関する動画像情報
(5)キャラクターに関する絵画情報」
(6)「【図5】
[図:0001390158000001.jpg]
」
2 引用発明
上記1(1)、(4)~(6)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(各構成の末尾に、対応する段落番号を付した。
なお、符号a~oは、説明のために当審で付与したものである。また、これらの符号が付されたものを「構成a」~「構成o」という。
(引用発明)
a キャラクター情報表示方法において、(【0001】)
b 非接触ICメディアを備えたキャラクターカードは、製造工程で非接触ICメディアをはさみ込む等の方法で内蔵させた紙・プラスチック等を一部、或いは全部に用いたキャラクターカードのように製造して提供され、(【0011】)
c リーダ/ライタユニット3は、非接触ICメディアに記憶されている情報を読み書きする装置であり、(【0009】)
d リーダ/ライタユニット3は、電子機器1に内蔵され、(【0009】)
e リーダ/ライタユニット3が備えるアンテナ部31は、非接触ICメディアと電波のやり取りをする部分であり、(【0008】、【0009】)
f 非接触ICメディアを備えたキャラクターカードの表面に記載されているキャラクターは、例えば、実在の人間・動植物、物語の登場人物や動植物、架空の生物・植物、建造物、風景、製品等の適宜のものであり、(【0010】)
g カードに記載されたキャラクターを補完する詳細な付加情報を提供することにより、カードに記載されたキャラクターをより身近に楽しむことができることが目的の一つであり、したがって、付加情報は、キャラクターに関するあらゆる情報が含まれ、(【0015】)
h 詳細な付加情報の例として、非接触ICメディアには、(1)キャラクターに関する文字情報、(2)キャラクターに関する音声情報、(3)キャラクターに関する写真情報、(4)キャラクターに関する動画像情報、(5)キャラクターに関する絵画情報の1つ、或いは複数が記憶されており、(【0016】)
i 付加情報を表示するためのフローチャートは次のとおりであり
[図:0001390158000002.jpg]
、(【0012】、【図5】)
j 利用者が、キャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部に近づけると、電子機器はリーダ/ライタユニットから電波を発信し(S01)、(【0013】)
k キャラクターカードに組み込まれている非接触ICメディアは、リーダ/ライタユニットのアンテナ部から発信された電波によりICが自動的に起動し、(【0013】)
l 非接触ICメディアは、内部に書き込まれた付加情報を外部に向けて発信し、(【0013】)
m キャラクターカードの非接触ICメディアから発信された付加情報は、電子機器のリーダ/ライタユニットのアンテナ部で受信され(S03)、(【0013】)
n 電子機器は、受信した付加情報を内部メモリー、或いは外部メモリーに記憶し(S07)、(【0013】)
o 電子機器は、受信した付加情報を電子機器の表示部に可視表示、或いはスピーカー・イヤホン等から音声で可聴表示して利用者に情報を伝達する(S09)、(【0013】)
a キャラクター情報表示方法。
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)構成Gについて
構成bより、キャラクターカードは非接触ICメディアを備える。
そして、構成hより、非接触ICメディアには、キャラクターに関する音声情報を記憶する場合があり、この場合において、非接触ICメディアを備える「キャラクターカード」は、本願発明の「ボイスカード」に相当する。
(2)構成Aについて
構成bより、引用発明における「キャラクターカード」は、非接触ICメディアが紙・プラスチック等に内蔵されたものであるということができ、この紙・プラスチック等により構成される部分が、本願発明の「カード基板」に相当する。
したがって、本願発明における「ボイスカード」と引用発明における「キャラクターカード」とは、「カード基板」を備える点で一致する。
(3)構成Bについて
構成hより、非接触ICメディアには付加情報が記憶されており、また、電源を備えるものではないから、非接触ICメディアは付加情報を記憶するための不揮発性メモリを有するということができる。さらに、構成cより、非接触ICメディアに記憶されている情報はリーダ/ライタユニット3により書き込むことが可能であることから、当該不揮発性メモリは、書き換え可能不揮発性メモリであるということができ、当該書き換え可能不揮発性メモリを有する「非接触ICメディア」は、本願発明の「チップ部」に対応する。
また、上記(2)のとおり、非接触ICメディアはキャラクタカードに内蔵されたものであるといえるから、本願発明における「ボイスカード」と引用発明における「キャラクターカード」とは、「前記カード基板に内蔵され」、「書き換え可能不揮発性メモリ」を有する「チップ部」を備える点で共通する。
しかしながら、本願発明における「ボイスカード」が備える「チップ部」は、「互いに信号の授受可能に電気的な接続がされてなるCPU、ROM、RAM、及び書き換え可能不揮発性メモリによって構成される」のに対し、引用発明における「キャラクターカード」が備える「非接触ICメディア」は、その具体的構成について特定されていない点で相違する。
(4)構成C、Dについて
構成oより、引用発明の「電子機器」は、受信した付加情報を可視表示又は可聴表示するものであり、また、構成c、dより、「電子機器」が内蔵する「リーダ/ライタユニット3」は、非接触ICメディアに記憶されている情報を読み書きする装置であることから、引用発明において「リーダ/ライタユニット3」を内蔵する「電子機器」は、本願発明の「外部書込み機器及び外部再生機器」に相当する。
そして、構成j、l、mより、非接触ICメディアはリーダ/ライタユニット3からの電波を受信し、付加情報をリーダ/リーダ/ライタユニット3に発信していることから、このような受信及び発信のためのインターフェースを備えており、また、付加情報を発信するために、当該インターフェースは付加情報を記憶する書き換え可能不揮発性メモリと電気的に接続されているということができる。
また、上記(2)のとおり、非接触ICメディアはキャラクタカードに内蔵されたものであるといえるから、上記インターフェースはカード基板の内部に設けられたものであるということができる。
したがって、本願発明における「ボイスカード」と引用発明における「キャラクターカード」とは、「前記カード基板の外表面、若しくは前記カード基板の内部に設けられてなると共に前記チップ部と電気的な接続がなされてなるインターフェースとを備え、前記インターフェースは、前記チップ部が前記カード基板の外部とのデータ送受信を行う際に通信対象となる外部書込み機器及び外部再生機器との接続を可能に構成され」る点で一致する。
(5)構成Eについて
引用発明の「キャラクタカード」は、構成j~mにおいて電子機器に対して情報を発信しているものの、引用文献1にはインターネットなどの不特定多数の者がアクセス可能なネットワークネットに接続するための事項についての記載はなく、そのような接続手段を備えていないといえ、当該ネットワークから独立したものであるということができる。
また、構成hより、非接触ICメディアには、キャラクターに関する文字情報、音声情報、写真情報及び動画像情報のうち1つ、或いは複数が記憶されていることから、音声情報と、写真情報や動画像情報とが記憶されている場合があり、この場合、本願発明と同様に「画像音声データが保存されて」いるといえる。
したがって、本願発明における「ボイスカード」と引用発明における「キャラクターカード」とは、「前記書換え可能不揮発性メモリには、インターネットなどの不特定多数の者がアクセス可能なネットワークから独立した状態で画像音声データが保存されてな」る点で一致する。
(6)構成F、Hについて
構成jの、「利用者が」、「キャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部に近づけること」は、カード型の媒体は手に持って使用されるものであるから、本願発明の「前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされること」に相当する。
また、構成j、kから、非接触ICメディアはリーダ/ライタユニットのアンテナ部に近づけることにより、当該アンテナ部から発信された電波により自動的に起動されるが、このとき、リーダ/ライタユニットと非接触ICメディアのインターフェースは電気的に接続されたということができる。
そして、非接触ICメディアは自動的に起動した後、構成l、mより、内部に書き込まれた付加情報を外部に向けて発信し、電子機器のリーダ/ライタユニットのアンテナ部で受信されるが、この付加情報の発信及び受信は非接触ICメディアとリーダ/ライタユニット間においてなされるものであり、インターネットなどの不特定多数の者がアクセス可能なネットワークネットを介していないといえるから、引用発明は、本願発明と同様に、「前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに」「送信が完了される」ものであるといえる。
構成f~hより、キャラクターカードの非接触ICメディアは、実在の人間・動植物、物語の登場人物や動植物、架空の生物・植物、建造物、風景、製品等の付加情報を記憶していることから、利用者は、それぞれ異なる付加情報を記憶した複数枚のキャラクターカードを所持し、複数枚のキャラクターカードの付加情報の再生を連続して試みることがあり得る。
このような利用形態において、構成iのS01において、リーダ/ライタユニットのアンテナ部がキャラクターカードの非接触ICメディア上にポイントされ、S09において、構成oより付加情報の可視表示、或いは可聴表示までの動作が行われた後、S01に戻り、次のキャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部にポイントすることとなり、S01において次のキャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部にポイントする際には、キャラクターカードを持ち替えることが明らかであるから、引用発明においては、本願発明と同様に「前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され」るといえる。
構成n、oより、電子機器は、受信した付加情報を内部メモリー、或いは外部メモリーに記憶し、受信した付加情報を可視表示、或いは可聴表示するが、フローチャートにおいて、S07において付加情報を記憶したのち、S09において表示を行っていることから、付加情報の内部メモリー、或いは外部メモリーへの記憶が完了した後に、表示が行われているといえる。
そして、付加情報の記憶が完了すれば、キャラクターカードの状態にかかわらず電子機器単独で表示を行うことが可能であり、構成iのフローチャートにおいてS09の表示処理の後に、停止処理について何ら記載されていないことからすれば、キャラクターカードが引き離されても再生が継続されるものであるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明と同様に、「前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続される」ものであるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「前記画像音声データは、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに」「送信が完了されると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続されるボイスカード」がある点で共通し、また、「前記ボイスカードに設けられた前記インターフェースと、前記外部再生機器と、を電気的に接続することによって、前記画像音声データを、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに」「送信を完了すると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生し、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生を継続する」点で共通する。
しかしながら、本願発明は、「前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、」「即座に送信を完了する」のに対し、引用発明は、「即座に送信を完了する」か否かは明らかでない点で相違する。
(7)構成Iについて
引用発明の「キャラクター情報表示方法」は、構成hより付加情報を電子機器の表示部に可視表示、或いはスピーカー・イヤホン等から音声で可聴表示するものであるから、本願発明の「画像音声データ再生方法」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明は、「画像音声データ再生方法」である点で一致する。
(8)一致点及び相違点
上記(1)~(7)より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「A カード基板と、
B’ 前記カード基板に内蔵され、書き換え可能不揮発性メモリを有するチップ部と、
C 前記カード基板の外表面、若しくは前記カード基板の内部に設けられてなると共に前記チップ部と電気的な接続がなされてなるインターフェースとを備え、
D 前記インターフェースは、前記チップ部が前記カード基板の外部とのデータ送受信を行う際に通信対象となる外部書込み機器及び外部再生機器との接続を可能に構成され、
E 前記書換え可能不揮発性メモリには、インターネットなどの不特定多数の者がアクセス可能なネットワークから独立した状態で画像音声データが保存されてなり、
F’ 前記画像音声データは、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに送信が完了されると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続される
G ボイスカードであって、
H’ 前記ボイスカードに設けられた前記インターフェースと、前記外部再生機器と、を電気的に接続することによって、前記画像音声データを、前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、前記外部再生機器と前記インターフェースとの電気的な接続に連続して前記チップ部から前記外部再生機器に前記ネットワークを介さずに送信を完了すると共に、前記画像音声データを受信した前記外部再生機器によって、次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生し、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生を継続する
I ことを特徴とする画像音声データ再生方法。」
[相違点1]
本願発明における「ボイスカード」が備える「チップ部」は、「互いに信号の授受可能に電気的な接続がされてなるCPU、ROM、RAM、及び書き換え可能不揮発性メモリによって構成される」のに対し、引用発明における「キャラクターカード」が備える「非接触ICメディア」は、「書き換え可能不揮発性メモリ」を有するとはいえるものの、その他の具体的構成については特定されていない点。
[相違点2]
本願発明は、「前記カード基板が手に持たれた状態で前記外部再生機器の外表面にかざされることで、」「即座に送信を完了する」のに対し、引用発明は、「即座に送信を完了する」か否かは明らかでない点。
2 相違点についての判断
(1)相違点1について
引用文献1の【0002】の従来の技術の記載(第4の1(2))によれば、非接触ICメディアはCPUとメモリーを内部に備えており、また、メモリーは通常ROMやRAMが使用され、CPU等と互いに信号の授受可能に電気的に接続されている。
したがって、引用発明において、非接触ICメディアが、「互いに信号の授受可能に電気的な接続がされてなるCPU、ROM、RAM、及び書き換え可能不揮発性メモリによって構成される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得る。
(2)相違点2について
本願明細書には、「即座に送信を完了する」ことについて、【0018】に以下のとおり記載されている。
「前記画像音声データが即座に前記画像音声データの送信を完了されるとは、好ましくは、前記インターフェースと前記外部再生機器とが数秒間の接続状態である間に前記外部再生機器への送信が完了されることをいう。」
引用発明は、利用者が、キャラクターカードの非接触ICメディアをアンテナ部に近づけると、電子機器はリーダ/ライタユニットから電波を発信し(構成j)、キャラクターカードに組み込まれている非接触ICメディアは、リーダ/ライタユニットのアンテナ部から発信された電波によりICが自動的に起動し(構成k)、非接触ICメディアは、内部に書き込まれた付加情報を外部に向けて発信し(構成l)、 キャラクターカードの非接触ICメディアから発信された付加情報は、電子機器のリーダ/ライタユニットのアンテナ部で受信され(構成m)、電子機器は、受信した付加情報を内部メモリー、或いは外部メモリーに記憶し(構成n)、受信した付加情報を電子機器の表示部に可視表示、或いはスピーカー・イヤホン等から音声で可聴表示して利用者に情報を伝達する(構成o)ものである。
このとき、キャラクターカードをアンテナ部に近づけてから、付加情報を可視表示、或いは可聴表示するまでの時間が長いと、利用者がキャラクターカードをアンテナ部に近づけた状態を長時間維持する必要があり、「非接触ICメディア」が一般に有する、非接触ICメディアを読取装置に近づけることで長時間待つことなくサービスを受けることができるという性質が損なわれることとなり、すなわち、利用者の利便性が損なわれることとなると考えられる。
したがって、引用発明において、利用者の利便性を考慮して、利用者がキャラクターカードをアンテナ部に近づけてから、せいぜい数秒間で、すなわち「即座」に付加情報を可視表示、或いは可聴表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得る。
そして、この場合、キャラクターカードをアンテナ部に近づけてから、非接触ICメディアから電子機器への付加情報の発信が完了するまでの動作も「即座」に行われることとなるから、「即座に送信を完了する」ようになるといえる。
3 効果について
本願発明により奏される効果は、引用発明に基づいて容易に想到し得た構成から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものではない。
4 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年5月16日付けの意見書の「4.本願発明の特許されるべき理由」において、以下のとおり主張している。
「引用文献1には、上記補正後の本発明の全ての技術的特徴を合わせ具備する発明は記載されていません。
特に、引用文献1の明細書段落〔0013〕の最終行には、「なお、ステップS07の記憶処理は省略してもよい。」と記載されています。
そうすると、引用文献1に記載の発明は、前記記憶処理を省略したとしても解決しようとする課題を解決できるものであり、これを超える範囲の技術的思想は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に想到し得るものではありません。
ここで、「次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離され」た状況においては、前記記憶処理を行わなければ、非接触ICメディアに記憶されている付加情報を電子機器に表示することができないこととなり、表示(再生)は継続され得ません。すなわち、本発明の技術的特徴が解決しようとする課題は、引用文献1に記載の発明では解決できない課題です。
そうすると、引用文献1に記載の発明においては、「次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続される(再生を継続する)」という技術的特徴を具備する本発明を想到することの阻害要因があります。
したがって、引用文献1の記載によっては、当業者であっても本発明を容易に想到できるものではありません。」
上記主張について検討する。
引用文献1には、【0003】の課題を踏まえて、【0004】の目的を達成するための技術的思想が開示されている。
ここで、審判請求人の主張するように、【0013】にはステップS07の記憶処理の省略について記載されているが、当該記憶処理を行うことも同段落に記載されており、当該記憶処理を行うか否かは上記目的を達成する範囲において適宜選択できるものであるから、引用発明は、記憶処理を行う場合を選択して認定したものである。
そして、このような引用発明について、上記1(6)のとおり、「次のボイスカードに持ち替えられる前までの一連の動作中に自動的に再生され、かつ、前記一連の動作において前記カード基板が前記外部再生機器から引き離されても前記外部再生機器による再生が継続される」点で、引用発明は本願発明と一致するから、この点を具備する本願発明を想到することの阻害要因があるとの旨の審判請求人の主張は、当を得たものではない。
したがって、審判請求人の上記主張は採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-007902