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特許拒絶査定不服審判

2021-007543

電池の内部短絡試験法と内部短絡試験装置

審判番号
2021-007543
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-004436外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月09日
審決日
2022年08月16日
公報発行日
2022年09月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01M) / P18 .537-WY (H01M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 4436「電池の内部短絡試験法と内部短絡試験装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月19日出願公開、特開2018-113230、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年1月13日の出願であって、令和2年9月17日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年11月13日に手続補正がされ、令和3年3月30日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年6月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和4年4月19日付けで拒絶理由が通知され、令和4年5月31日に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和3年3月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

「本願請求項1ないし8に係る発明は、以下の引用文献2ないし4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
2.特開2015-159017号公報
3.特開2005-327616号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2012-215537号公報」

第3 本願発明

本願請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和4年5月31日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
セパレータを介して正極板と負極板が積層された積層物を備え、前記積層物が外装体に収納されている電池の内部短絡試験方法であって、
加圧平板と前記加圧平板から所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定された突出部を備えた加圧部で前記電池を加圧して、前記電池に内部短絡を発生させ、前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止することを特徴とする電池の内部短絡試験方法であって、
前記加圧平板が複数設けられている電池の内部短絡試験方法。
続きを表示(全17行)
【請求項2】
前記突出部だけが前記電池に刺さるよう前記加圧平板は前記突出部に比べて十分大きい請求項1に記載の内部短絡試験方法。
【請求項3】
前記加圧平板はロッドに接続され、前記加圧平板の形状は前記ロッドに対して回転対称である請求項1または2に記載の内部短絡試験方法。
【請求項4】
前記突出部が前記加圧平板に複数設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の内部短絡試験方法。
【請求項5】
試験対象の電池を載置する架台と、前記架台に設けた脚部と、前記脚部上に設けた機構支持部と、前記機構支持部に支持された送り出し機構と、前記送り出し機構に設けられ、加圧平板と前記加圧平板上に所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定され前記試験対象の電池を刺す突出部を備えた加圧部と、を備えたことを特徴とする内部短絡試験装置であって、
前記加圧平板が複数設けられ、前記送り出し機構は、前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する内部短絡試験装置。
【請求項6】
前記加圧平板はロッドに接続され、前記加圧平板の形状は前記ロッドに対して回転対称である請求項5に記載の内部短絡試験装置。
【請求項7】
前記突出部が前記加圧平板に複数設けられている請求項5または6に記載の内部短絡試験装置。」

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献2について

(1)引用文献2に記載された事項について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、電池試験装置に関するものである。」
「【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係る電池試験装置は、電池の圧壊試験、釘刺し試験、外部短絡試験及び充放電試験が可能な試験装置である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る電池試験装置10は、試験槽12と、試験槽12の外側に配置された固定体の一例としての架台14と、電池Bを押圧するための加圧板16と、加圧板16を移動させる駆動力を発生させる駆動部18と、を備えている。また、図示省略するが、電池試験装置10には、試験条件の設定及び記録、動作制御を行うための制御部が設けられている。」

図1

[図:0001387947000001.jpg]

「【0036】
図2に示すように、加圧板16は、平板材からなる介装部41と、介装部41に固定される加圧部42とを有する。介装部41は、ロッド18bの下端部に固定される部材である。加圧部42は、電池Bを押圧する部材である一方で、後述する釘刺し試験用治具44を取り付けるための部材であり、介装部41に重ね合わされて用いられる。」

図2

[図:0001387947000002.jpg]

「【0042】
加圧部42(加圧板16)の下面は、電池Bを押圧する押圧面として機能する一方、加圧部42(加圧板16)の下面には、釘刺し試験用治具44を取り付け可能な取付け部42bが設けられている。すなわち、釘刺し試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が取り付けられる一方、電池Bの圧壊試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が加圧板16から取り外される。釘刺し試験用治具44が取り外された加圧板16を降下させることにより、加圧板16で電池Bを押圧することができる。したがって、釘刺し試験時においても重量物である加圧板16を取り外す必要がない。しかも、釘刺し試験時において加圧板16を防護板(隔壁)としても機能させることができる。」
「【0043】
釘刺し試験用治具44は、釘部44aと、釘部44aの根元部に一体的に形成された基部44cと、基部44cに一体的に形成された凸状の被取付け部である雄ねじ部44bとを有する。取付け部42bは、釘刺し試験用治具44の雄ねじ部44bを螺合させる雌ねじ部を有している。すなわち、加圧板16の押圧面には、釘刺し試験用治具44に設けられた凸状の被取付け部を装着可能な凹状の取付け部が形成されている。」
「【0045】
取付け部42bは、加圧部42の下面における中央部に設けられている必要はない。図4に示すように、複数の取付け部42bが中央部からずれた位置に設けられる構成であってもよい。すなわち、各取付け部42bは加圧部42の端部近傍に設けられていてもよい。一方、釘部44aは、釘刺し試験用治具44が加圧部42に固定されたときに、加圧部42の中央に位置するように配置されている。この構成では、取付け部42bは、電池Bに干渉しない位置に設けられている。例えば、隣り合う取付け部42bの間隔が、電池Bの幅よりも長くなっている。したがって、圧壊試験時に取付け部42bが電池Bの圧壊に影響を及ぼすことを防止できる。」
「【0053】
以上説明したように、本実施形態では、加圧板16に釘刺し試験用治具44を取り付け可能な取付け部42bが設けられているため、釘刺し試験用治具44を取り付けるにあたり、加圧板16を取り外す必要がない。このため、電池Bの圧壊試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が外された加圧板16を駆動部18によって移動させて電池Bを押圧すればよく、釘刺し試験を行うときには、加圧板16に釘刺し試験用治具44が取り付けられた状態で加圧板16を移動させればよい。したがって、加圧板16を取り外す必要はないため、試験の準備作業の負担を軽減することができる。加圧板16は重量物であるため、加圧板16を取り外す作業は危険な作業である。このため、加圧板16を取り外す作業を省略できることにより、準備作業の負担を軽減できる。しかも、釘刺し試験において、電池Bが爆発したときに加圧板16を防護板(隔壁)として機能させることができる。このため、釘刺し試験時に試験槽12内がダメージを受けることを抑制することができる。」
「【0060】
前記実施形態では、加圧板16が、互いに別体に構成された介装部41と加圧部42とを有する構成としたが、これに限られない。例えば、加圧板16は、1つの板材で構成されていてもよい。」

(2)引用文献2に記載された技術事項について

ア 段落【0001】より、引用文献2は、「電池試験装置」に関するものであることがわかる。

イ 段落【0053】に「電池Bの圧壊試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が外された加圧板16を駆動部18によって移動させて電池Bを押圧す」ると記載されていることから、引用文献1に記載された「加圧板16」は、「圧壊試験」に用いる加圧板であって、「釘刺し試験」における加圧に用いられるものではない。

よって、段落【0025】、【0026】より「釘刺し試験」「が可能な」「電池試験装置10は、」「圧壊試験」の際に「電池Bを押圧するための加圧板16と、加圧板16を移動させる駆動力を発生させる駆動部18」「を備えている」との技術事項を読み取ることができる。

ウ 段落【0042】、【0043】及び【0053】より、「加圧板16」「の下面には、」、「釘刺し試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が取り付けられ」、「釘刺し試験用治具44は、釘部44a」「を有」し、「釘部44aは、」「加圧板16の中央に位置するように配置され」、「釘刺し試験を行うときには、加圧板16に釘刺し試験用治具44が取り付けられた状態で加圧板16を移動させ」るとの技術事項を読み取ることができる。

(3)引用文献2に記載された発明について

上記(2)アないしウより、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「釘刺し試験が可能な電池試験装置10は、圧壊試験の際に電池Bを押圧するための加圧板16と、加圧板16を移動させる駆動力を発生させる駆動部18を備えて、
加圧板16の下面には、釘刺し試験を行うときには釘刺し試験用治具44が取り付けられ、釘刺し試験用治具44は、釘部44aを有し、釘部44aは、加圧板16の中央に位置するように配置され、釘刺し試験を行うときには、加圧板16に釘刺し試験用治具44が取り付けられた状態で加圧板16を移動させる、
電池試験装置10。」

2.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の技術事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、釘刺し試験あるいは圧壊試験等により電池に意図的に内部短絡を発生させたときに得られる電池情報から電池の安全性を評価する電池評価装置に関するものである。」
「【0014】
本発明に係る電池評価装置によれば、釘刺し試験や圧壊試験において試験電池に内部短絡が発生したことを検出して加圧を停止することができるので、内部短絡の発生箇所の特定が可能であり、内部短絡に伴う電池の挙動をバラツキが少ない状態で評価することができる。また、試験電池に並列接続された電池が存在する状態あるいは試験電池が劣化した電池である状態を擬似的に再現することができる。」
「【0022】
上記釘刺し試験を10個の試験電池1に対して実施すると共に、比較例として短絡検出を行うことなく釘が試験電池1を貫通するまで加圧する従来形態の釘指し試験を同じく10個の試験電池1に対して実施した。この実施例1及び比較例1を実行したとき、電池情報検出部6により試験電池1の表面温度を所定時間継続して測定して最高電池温度を検出する。また、実施例1及び比較例1による釘刺し試験後の試験電池1を分解して釘が貫通して短絡が発生している層の数を計数した。この実施例1及び比較例1による釘刺し試験の結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
[図:0001387947000003.jpg]
表1からわかるように、本発明の第1の実施形態に係る電池評価装置Aを用いた釘刺し試験の結果である実施例1では、釘が突き刺されたときに内部短絡が最初に発生する箇所を特定することができ、安定した短絡点が得られることから内部短絡に伴う短絡電流によって発生するジュール熱により試験電池1が発熱する状態のバラツキ(σ)が少なく、電池に釘が突き刺される過酷な誤用条件下で電池が温度上昇する最高温度を知ることができる。即ち、検知される内部短絡時の最高温度から釘刺し試験において試験電池1が破裂や発火に至ることの有無を判定することができる。」

よって、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。

「電池に意図的に内部短絡を発生させたときに得られる電池情報から電池の安全性を評価する電池評価装置であって、
釘刺し試験において試験電池に内部短絡が発生したことを検出して加圧を停止することができ、
釘刺し試験を10個の試験電池1に対して実施し、釘刺し試験後の試験電池1を分解して釘が貫通して短絡が発生している層の数を計数し、釘が突き刺されたときに内部短絡が最初に発生する箇所を特定することができる」技術。

3.引用文献4

原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献4には、次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、蓄電デバイスの安全性評価試験を行う安全性評価試験方法、安全性評価試験装置、および熱電対付破壊測定器具に関する。」
「【0038】
<実施例>
リチウムイオン蓄電池を被検物とし、中空の釘で釘先端近くまで熱電対を挿入し、計測した、5本釘タイプでの試験(図4の釘内部1から5)では、温度上昇の面で内部温度をより正確に反映している。」
「【0054】
本実施形態に係る安全性評価試験方法は、蓄電デバイスを被検物とする安全性評価試験の、釘刺し試験において、一つの被検物に対して、複数の釘にて試験を行う構成であってよい。」
「【0057】
本実施形態に係る安全性評価試験方法は、蓄電デバイスを被検物とする安全性評価試験の、釘刺し試験において、釘に被検物を貫通させず、釘の先端が被検物のおおむね中央の位置で止まるよう制御する構成であってよい。」

よって、引用文献4には、次の技術(以下、「引用文献4に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。

「リチウムイオン蓄電池を被検物とする釘刺し試験において、一つの被検物に対して、複数の釘にて試験を行う構成であってよく、釘に被検物を貫通させず、釘の先端が被検物のおおむね中央の位置で止まるよう制御する構成であってよい」技術。

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明2における「電池B」と、本願発明1における「電池」とは、「電池」の点で共通する。

しかしながら、本願発明1では、「電池」が「セパレータを介して正極板と負極板が積層された積層物を備え、前記積層物が外装体に収納されている」のに対し、引用発明2では、そのような特定はされていない点で相違する。

イ 電池の釘刺し試験が、電池の内部短絡に対する安全性を試験するものであることは技術常識であるから、引用発明2における、「電池B」の「釘刺し試験を行う」方法が、本願発明1における「電池の内部短絡試験方法」に相当する。

ウ 引用発明2における「圧壊試験の際に電池Bを押圧するための加圧板16」と、本願発明1における「加圧平板」とは「平板」の点で共通する。

しかしながら、本願発明1における「加圧平板」は、「電池を加圧」するのに対し、引用発明2における「加圧板16」は、「圧壊試験の際に電池Bを押圧するための」ものであって、「釘刺し試験」の際に電池を加圧するものではない点で相違する。

エ 引用発明2における「釘部44a」が、本願発明2における「突出部」に相当する。

しかしながら、本願発明1では、「突出部」が「前記加圧平板から所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定され」ているのに対し、引用発明2では、「釘部44a」の長さについての特定がなされていない点で相違する。

オ 上記イ、ウを踏まえると、本願発明1と、引用発明2における「加圧板16に釘刺し試験用治具44が取り付けられた状態で加圧板16を移動させ」、「釘刺し試験を行う」こととは、「平板と突出部を備えた加圧部で前記電池を加圧して、前記電池に内部短絡を発生させ」る点で一致する。

しかしながら、本願発明1では、「前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する」のに対し、引用発明2における「加圧板16」は、「圧壊試験の際に電池Bを押圧するための」ものであるから、「釘刺し試験」の際に「電池B」の表面に達することはなく、したがって、引用発明2ではどのような条件で送り出しを停止するか特定されていない点で相違する。

カ 本願発明1では「加圧平板が複数設けられている」のに対し、引用発明2ではそのような構成は示されていない点で相違する。

すると、上記アないしカより、本願発明1と引用発明2とは、次の一致点、相違点を有するものと認められる。

(一致点)

電池の内部短絡試験方法であって、

平板と突出部を備えた加圧部で前記電池を加圧して、前記電池に内部短絡を発生させることを特徴とする電池の内部短絡試験方法。

(相違点1)

本願発明1では、「電池」が「セパレータを介して正極板と負極板が積層された積層物を備え、前記積層物が外装体に収納されている」と特定されているのに対し、引用発明2では、そのような特定はされていない点。

(相違点2)

本願発明1における「加圧平板」は、「電池を加圧」するのに対し、引用発明2における「加圧板16」は、釘刺し試験の際に電池を加圧するものではない点。

(相違点3)

本願発明1では、「突出部」が「前記加圧平板から所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定され」ているのに対し、引用発明2は、長さについての特定がなされていない点。

(相違点4)

本願発明1では、「前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する」のに対し、引用発明2ではどのような条件で送り出しを停止するか特定されていない点。

(相違点5)

本願発明1では「加圧平板が複数設けられている」のに対し、引用発明2ではそのような構成は示されていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み、先ず、相違点3及び相違点4について併せて検討する。

ア 引用文献4に記載された技術を再掲すれば、次のとおりである。

「リチウムイオン蓄電池を被検物とする釘刺し試験において、一つの被検物に対して、複数の釘にて試験を行う構成であってよく、釘に被検物を貫通させず、釘の先端が被検物のおおむね中央の位置で止まるよう制御する構成であってよい」技術。

しかし、引用文献4には、「釘に被検物を貫通させず、釘の先端が被検物のおおむね中央の位置で止まるよう制御する構成」の具体例が何ら示されていないから、その制御のための構成を、具体的に、釘(突出部)が「前記加圧平板から所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定され」るようにするとともに、「前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する」ものとすることは当業者といえども、容易に想到し得たことではない。

イ また、引用文献3に記載された技術(上記「第4 2.」参照)は、「釘が突き刺されたときに内部短絡が最初に発生する箇所を特定する」ことができるように「試験電池に内部短絡が発生したことを検出して加圧を停止する」るものであるから、相違点3及び相違点4に係る本願発明1のように「突出部」(釘)が「前記加圧平板から所定の内部短絡層数に対応する長さ突出して固定され」、「前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する」構成とは、停止の条件が異なる技術である。

ウ よって、引用文献3、引用文献4に記載された技術をみても、相違点3、4は当業者が容易になし得たことではない。

(3)まとめ

以上のとおり、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献2に記載された発明、及び、引用文献3、引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし4について

本願発明2ないし4に係る請求項2ないし4は、請求項1を引用しているから、本願発明1と同様に、相違点3及び4に係る構成を備えるものである。

よって、本願発明2ないし4は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献2に記載された発明、及び、引用文献3、引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明5ないし7について

本願発明5ないし7は、本願発明1、3、4に対応する方法の発明であり、本願発明1と同様に、相違点3及び4に係る構成を備えるものである。

よって、本願発明5ないし7は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献2に記載された発明、及び、引用文献3、引用文献4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 当審拒絶理由について

当審では、請求項1ないし4の「加圧部」、または請求項5ないし7の「送り出し機構」が、電池をどこまで加圧するのか特定されていないため、請求項1ないし7に係る発明は明確でない旨の拒絶の理由を通知しているが、令和4年5月31日の補正において、請求項1、5に「前記加圧平板が前記電池の表面に達するところで前記加圧部の送り出しを停止する」との発明特定事項が追加された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 原査定について

本願発明1ないし7が、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献2ないし4に基づいて、容易に発明できたものとはいえないことは、上記第5で述べたとおりである。

また、原査定の対象とされた請求項8は、令和4年5月31日の補正により削除されている。

したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-007543

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