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特許拒絶査定不服審判

2021-007025

表示アセンブリ、及びその表示アセンブリを加硫ゴム物品に貼り付ける方法

審判番号
2021-007025
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-557120
請求日
2021年06月01日
審決日
2023年07月18日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】キース ジョージ フェリー
  • 【請求人代理人】石川 徹
  • 【請求人】ジェイソン マイケル ブッシュ
  • 【請求人代理人】石川 徹
審判長/審判官
  • 審判長 松波 由美子
  • 審判官 井口 猶二
  • 審判官 関根 洋之
分類
P18 .121-WZ (B44C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-557120「表示アセンブリ、及びその表示アセンブリを加硫ゴム物品に貼り付ける方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 3日国際公開、WO2016/176353、平成30年 9月13日国内公表、特表2018-526238〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特願2017-557120号(以下「本件出願」という。)は、2016年(平成28年)4月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年(平成27年)4月27日 米国 2016年(平成28年)4月26日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成30年 1月25日 :手続補正書の提出 平成31年 4月25日 :手続補正書の提出 令和 2年 3月31日付け:拒絶理由通知 令和 2年10月 7日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 3年 1月22日付け:拒絶査定 令和 3年 6月 1日 :審判請求 令和 3年 6月 1日 :手続補正書の提出 令和 3年12月24日付け:拒絶理由通知 令和 4年 7月 4日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 4年 8月31日付け:拒絶理由通知 令和 5年 3月 6日 :意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明の認定 本件出願の請求項に係る発明は、令和5年3月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「 加硫ゴム物品に取り付けるための表示アセンブリであって、 (i)表示印を提供するように構成されたエラストマー材料の1以上の表示層と; (ii)該1以上の表示層の1つと直接接触するエラストマー材料から形成された中間層であって、該中間層は該1以上の表示層と一緒に結合されている、前記中間層と; を含む、前形成アセンブリ;及び 該前形成アセンブリを該加硫ゴム物品に取り付けるように、該前形成アセンブリの中間層の表面又は該加硫ゴム物品の表面の一方又は両方と組み合わせられる接着層であって、該中間層は、該接着層及び/又は該加硫ゴム物品の望ましくない成分の移動を最小にするか又は防止するようにバリアとして作用することが可能な材料から形成され、該接着層は、該前形成アセンブリが該加硫ゴム物品に取り付けられる場合に該中間層と直接接触し、かつ高温がなくても加硫ゴム物品の表面と化学的に結合することが可能な材料から形成される、前記接着層; を含む、前記表示アセンブリ。」 第3 拒絶の理由 令和4年8月31日付けで当合議体が通知した拒絶理由は、本件出願の請求項1に係る発明は、本件出願の最先の優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 記 引用文献2:特開平5-338032号公報 第4 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定 1 引用文献2の記載事項 当合議体が拒絶の理由で引用した、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開平5-338032号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は、表における「成分」、「分量」及び「重量パート」を除いて、当合議体が付与した。)。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 トレッド部と外側ビード及びこれらの間を延びている外側サイドウォール部を有し、このビードが車輪を受け入れる開口を定める加硫済み空気入りタイヤにおいて、 事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及びタイヤの外側サイドウォール上の接着剤層を備え、 前記接着剤層が前記アップリケとタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれこの両者を接着することを特徴とする空気入りタイヤ。」 (2)「【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は車両用空気入りタイヤに関する。より特別には、本発明は、外側サイドウォール部に装飾アップリケ(decorative applique)を有する前記のようなタイヤに関する。特に、本発明は、事前に加硫された装飾アップリケを接着した加硫空気入りタイヤに関する。 ・・・省略・・・ 【0006】従って、装飾アップリケをその上に有するタイヤを提供することが本発明の目的である。 【0007】加硫された装飾アップリケをその上に有する加硫タイヤを提供することが本発明の別の目的である。 ・・・省略・・・ 【0010】 【課題を解決するための手段】 ・・・省略・・・ 【0011】一般に、本発明は、トレッド部と外側ビード及びこれらの間を延びている外側サイドウォール部における改良を提供する。このビードは車輪を受け入れる開口を定め、この改良は、加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及びタイヤの外側サイドウォール上の接着剤の層を備える。接着剤層はアップリケとタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれ、この両者を接着する。 【0012】本発明は、加硫済みトレッド部と外側ビード、及びこれらの間を延びている外側サイドウォール部を備え、このビードは車輪を受け入れる開口を定め、更に、タイヤの外側サイドウォール上の加硫済みの弾性的な装飾アップリケ、及び外側サイドウォールとアップリケとの間に置かた接着剤層を備えたタイヤを提供する。」 (3)「【0016】付属図面の図1に示されるように、実質的に普通のデザインの空気入りタイヤが一般に番号10により示される。タイヤ10は、トレッド部11、外側サイドウォール12及び外側ビード13を備える。「外側」は、車両に取り付けられたときに観察し得るタイヤの側を意味することが理解される。総てのタイヤは2個のビードと2個のサイドウォールを有することが理解される。ビード13は車輪(図示せず)を受け入れるための開口を定め、サイドウォール12はトレッド部11とビード13との間を延びこれらを連結する。タイヤ10の組成は本発明の態様ではないが、この組成は合成ゴム及び/又は天然ゴム、繊維、カーボンブラック、耐劣化剤及び類似物のような通常の成分を含むことが理解される。 【0017】本発明によるタイヤ10には、一般に番号20で示された装飾アップリケが以下完全に説明される方法で設けられる。図2に最もよく示されるように、アップリケ20は外側層又は観察可能な層21を持つ。 「観察可能」は、その上にアップリケ20を保持するタイヤ10が完成したときに層21が観察できることを意図するものである。完成タイヤ10においてアップリケ20のその他の層はいずれも観察できないこと、又はただ一つの装飾的な観察可能な層のみが本発明の絶対的な拘束であることは不必要である。しかし、本発明の説明の便のため、ただ1個の観察可能な層21しかないアップリケが参照されるであろう。 【0018】観察可能な層21は、本発明の目的を達成するであろう適宜の材料より形成できる。好ましい実施例においては、本発明は、タイヤの「ホワイトサイドウォール」としてしばしば使用される形式の連続弾性リングを有するタイヤを提供する。更に以下説明されるように、アップリケは白色材料には限定されず、適宜の色彩または好みの色彩の組合せとすることができる。更に、観察可能な層21は図面に描かれたようなリングとすることができ、或いは希望の文字又は類似のもののような適宜のその他の形状とすることもできる。更に、観察可能な層21には多数の色彩、デザイン、マーク、肌理、文字、その他を設けることができる。 【0019】連続リング状アップリケ20の好ましい組成の一例は、通常のホワイトサイドウォール材料である。かかる材料は、ゴム、例えばクロロブチロゴム、天然ゴム、及びエチレンプロピレンジエン共重合体(EODM),及びこれらの混合物、並びに白色用の二酸化チタンのような着色剤のような成分を含むことが知られる。適宜の色彩又は希望の色彩の組合せを有する観察可能な層21を形成するために、ここに参照文献として組み込まれた米国特許第4987192号に開示されたようなその他の着色剤を拘束なしに使用することができる。更に、例えば静的引っ張り弾性係数の改良のために、メタクリル亜鉛のようなその他の成分を観察可能な層21の組成に使用することができる。メタクリル亜鉛は、米国特許第4500466号及び第4495326号に例示される。サイドウォールにおけるメタクリル亜鉛含有ゴム材料の使用は、米国特許第4929684号に開示される。観察可能な層21に加えられるその他の成分の例は、シリカ又はその類似物のような強化剤を含ことができる。 【0020】例示のみのものであるが通常の白色ウォール材料の組成が下の表Iに示される。この材料は適宜の通常の方法で、これを形成し加硫することができる。 【0021】 【表1】 [図:0001405115000001.jpg] 観察可能な層21は、これをタイヤに直接取り付けることもでき、本発明の範囲内にある。しかし、観察可能な層21は、選択的な中間層又はバリヤ層22に取り付けられることが好ましい。バリヤ層22の目的は、酸化防止剤のようなタイヤ10中のある種の成分が観察可能な層21に達してこれを変色させることを防ぐことである。例として、一つの好ましいバリヤ層22は、クロロブチルゴムのようなハロブチルゴムと天然ゴムとの混合物で構成される。 【0022】バリヤ層22は本発明の目的を達成するであろう適宜の材料から形成することができ、また、バリヤ層は以下更に完全に説明されるような接着剤物質とすることもできるが、弾性バリヤ層の組成の例が表IIに与えられる。 【0023】 【表2】 [図:0001405115000002.jpg] c)スチレンブタジェンゴム 本発明の別の実施例においては、内側層又は融和層23が観察可能な層21に直接取り付けられ、又は図2に描かれたようにバリヤ層22とタイヤ10のサイドウォール12とに取り付けられる。「融和」層23により、この層は、アップリケ20をその上に維持するタイヤ10の材料と実質的に同じか、又はタイヤ材料と融和性を有する材料で構成されることを意味すると理解される。例えば、アップリケ20がタイヤ10のサイドウォール12上に維持され、かつサイドウォール12があるサイドウォール材料で構成されるとすれば、融和層23は実質的に同じサイドウォール材料で形成される。 【0024】サイドウォール材料の組成の一例が下の表IIIに示される。 【0025】 【表3】 [図:0001405115000003.jpg] アップリケ20は以下説明される接着材料によりタイヤ10上に維持される。融和層23を持ったアップリケ20は、もしこれがアップリケをその上に維持するタイヤ10の材料と同じか又は実質的に同じ材料で形成されるならば、容易にタイヤ10に接着されるであろう。例えば、アップリケ20がタイヤ10のサイドウォール12上に維持されるならば、そのときは、融和層23はサイドウォール12のサイドウォール材料と同じか又は実質的に同じゴム材料で形成されることが好ましい。勿論、融和層23は、これを別の融和性のゴム又はその他の適切な材料のような異なった材料で形成することができ、これも本発明の範囲内である。更に、アップリケ20は適宜数の層を含むことができ、これも本発明の範囲内である。例えば、図4に示されるように、アップリケ20は、接着剤層24で接着された観察可能な層21だけを含むことができる。 【0026】アップリケ20は、限定なしに適宜の通常の技術によりこれを構成できる。例えば、観察可能な層21を押し出すことができ、又は観察可能な層21及び/又はバリヤ層22と融和層23を一緒に押し出すことができる。これらの層もまた構成構造に対しカレンダー掛けされるストリップを備えることができ、又はこれを型で切断しシートを形成することもできる。アップリケ20を製造する実際の方法は本発明にとっては重要でない。しかし、ここに説明される方法においては、アップリケ20が加硫済みタイヤ10に取り付けられるより前に事前加硫されることが重要である。アップリケの加硫は、加熱及び/又は化学的加硫又は高エネルギー照射のような適宜の通常の方法により、これを行い得る。 【0027】アップリケ20は、図3に番号24で示されたような、これとタイヤ10とに接合されている接着層によりタイヤ10上に維持される。この図において、接着剤24は、アップリケ20とタイヤ10のサイドウォール12との間に位置決めされ又は挟まれた層として描かれる。接着剤24は、アップリケ20をタイヤ10にしっかりと接着する適宜の接着剤である。適切な接着剤の例は、ウレタン、シアノアクリレート、エポキシ、ポリビニルアルコール、アクリレート、メタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びこれらと類似の物より形成され、又はこれらに基づいた接着剤を包含する。熱可塑性エラストマー及び山かけ用ゴムのりもまた、パッチゴムV-10押出し用のり、パッチゴムブラシ形加硫及び山かけ用のり、及サップ-アール-タック(これらは全て登記の譲受人より入手可能である)のような接着剤として使用できる。ペンシルヴァニア州エリーのロード・ケミカル・コーポレーション(Lord Chemical Corporation)よりすべてが入手可能のEP5908-29A/B、Fusor305-1/305-2及びChemlok234Bもまた本発明の実施に有用な接着剤の例である。 【0028】本発明の実施に好ましいウレタン接着剤の一つは、下の表IVに表示された分量の成分を含む。 【0029】 【表4】 表 IV ウレタン接着剤 成分 重量パート アジプレンL-367e 100 HGO可塑剤f 20 CTB810g 1 アセトン(溶剤) 20 e)ボリエーテル系ウレタン、デュポンより入手可能、6.15ないし6.55%のイソシアン酸塩含有を有するとして知られる f)ポリエチレングリコール、ユニオンカーバイド社より入手可能 g)黒色顔料 表IVに示された接着剤は、ユニロイヤル・ケミカルズ(Uniroyl Chemicals)より入手可能のアミン硬化剤、Caytur21の重量32部と混合されることが好ましい。 【0030】選定された特定の接着剤に応じて、アップリケ20は加熱及び/又は加圧があり又はなしでタイヤ10に接着される。例えば、Chemlok234Bは高温(130-140℃)でかつ高圧下で接着する。EP5908-29A/B及びFusor305-1/305-2は環境温度において接着する。同様に、接着剤の硬化に要する時間も、選定された実際の接着剤に非常に依存する。 【0031】アップリケ20は、これを手でタイヤ10に取り付けてもよいし、或いは支持装置(図示せず)により取り付けることもできる。例えば、アップリケ20が図面に示されるようにリングであれば、使用される特定の接着剤による要求に応じてアップリケに温度及び/又は圧力を加えるためにリング-板固定具を使用できる。 【0032】本発明により、接着剤層24のような接着層もまたバリヤ層22と同様な方法でバリヤ層として機能しうる。上述の接着剤は観察可能な層12の焼けを防ぐ障壁性を持つことができる。ロクタイト・コーポレーション(Loctite Corporation)からのLoctite447のようなシアノアクリレートが、バリヤ層として機能しうる接着剤の一例である。接着剤が障壁性を有する場合は、別のバリヤ層22は、これを使用してもよいし使用しなくてもよい。いかなる接着剤も、硬化したときは、タイヤ10の焼け又はアップリケ20の劣化から材料を保護し、これは本発明の範囲内である。 【0033】本発明により、かつ付属図面の図4に例示されたように、接着剤層24は、以下説明される理由により、アップリケ20をタイヤに接着するために使用される接着剤組成を複数含むことができる。例えば、第1の接着剤部分A、第2の接着剤部分B、又は実際に適宜の数のかかる接着剤部分を使用できる。例えば、第3の接着剤部分Cを使用できる。 【0034】本発明の一実施例においては、第1の接着剤部分Aのような少なくも1個の接着剤部分を設けることが好ましく、この部分Aは、第2の接着剤部分Bのような別の接着剤部分の硬化速度より遅い硬化速度又は「固化」速度を有する接着剤組成を含む。この方法で、タイヤ製造運転中に、より遅い硬化速度の接着剤のみが使用される場合よりも早くタイヤを更に処理し又はその他の取り扱いを行うことができ、アップリケ20とタイヤ10との間に強い接着強度を与える硬化速度のより速いある種の接着剤を使用することができる。遅い接着剤が最終的に固化したときに、最大の接着強度が達成される。 【0035】接着剤層24の一例は、第1及び第3の部分AとBとを有し、その各は実質的に同様なウレタン又はエポキシの接着剤成分を有する接着剤である。第2の接着剤の部分Bは、固化速度がウレタン又はエポキシの接着剤よりも速いとして知られたシアノアクリレート接着剤成分を含む。適宜の接着剤の組合せも使用できることは勿論である。例えば、第1の部分Aをウレタンとし、第2の部分Bをシアノアクリレートとし、そして部分Cをエポキシとすることができる。また、選定された接着剤の性質に基づき、ウレタン又はエポキシの接着剤は「速い」接着剤であり、一方、別の接着剤は「遅い」硬化速度の性質を持つ。同様に、シアノアクリレートは[遅い]硬化速度の接着剤であり、実際に選定された接着剤によるこれら全ての接着剤は本発明の範囲内にある。また、第1、第2及び第3の部分A、B及びCは、図4に明瞭な層として示されるが、各部分の接着剤の混合及び/又は反応が生じ得ることが理解される。 【0036】図面では、アップリケ20がタイヤ10に直接接着されるように描かれるが、タイヤ10は、アップリケ20が接着されるタイヤ10内に作られタイヤと一緒に硬化された、バリヤ層22と同様のバリヤ層(図示せず)、又は融和層23と同様な融和層(図示せず)及び類似物のような層を有することが理解される。」 (4)図1 [図:0001405115000004.jpg] (5)図2 [図:0001405115000005.jpg] (6)図3 [図:0001405115000006.jpg] (7)図4 [図:0001405115000007.jpg] 2 引用発明 上記1により、引用文献2には、「加硫済み空気入りタイヤにおいて、 事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及びタイヤの外側サイドウォール上の接着剤層を備え、前記接着剤層が前記アップリケとタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれこの両者を接着することを特徴とする空気入りタイヤ」(【請求項1】)について、「アップリケ20は外側層又は観察可能な層21を持つ。」(【0017】)ものであること、及び、「観察可能な層21は、これをタイヤに直接取り付けることもでき、本発明の範囲内にある。しかし、観察可能な層21は、選択的な中間層又はバリヤ層22に取り付けられることが好ましい。」(【0021】)ことが、記載されている。 引用文献2のかかる記載からみて、引用文献2には、「加硫済み空気入りタイヤにおいて、事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及びタイヤの外側サイドウォール上の接着剤層を備え」(【請求項1】)たものであって、「前記接着剤層が前記アップリケとタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれこの両者を接着」(【請求項1】)し、「アップリケ20は」「観察可能な層21を持」(【0017】)ち、「観察可能な層21は」「バリヤ層22に取り付けられる」(【0021】)ものが記載されているといえる。 そうすると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 なお、「空気入りタイヤ」を「加硫済み空気入りタイヤ」に、「アップリケ」を「装飾アップリケ」に、用語を統一した。 「 事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及び加硫済み空気入りタイヤの外側サイドウォール上の接着剤層を備えたものであって、 前記接着剤層が前記装飾アップリケと前記加硫済み空気入りタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれこの両者を接着し、 前記装飾アップリケは、観察可能な層を持ち、前記観察可能な層は、バリヤ層に取り付けられる、もの。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)加硫ゴム物品について 引用発明は、「事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ及び加硫済み空気入りタイヤの外側サイドウォール上の接着剤層を備えたものであ」る。 上記構成からみて、引用発明の「加硫済み空気入りタイヤ」は、本願発明の「加硫ゴム物品」に相当する。 (2)表示層について 引用発明は、「前記装飾アップリケは、観察可能な層を持ち、前記観察可能な層は、バリヤ層に取り付けられる」構成を備えるものである。 上記構成からみて、引用発明の「観察可能な層」は、本願発明の「表示層」に相当する。 また、上記構成からみて、引用発明の「観察可能な層」が表示印を提供するように構成され、1以上の層をなすことは明らかである。 そうしてみれば、引用発明の「観察可能な層」は、本願発明の「表示層」の「(i)表示印を提供するように構成された」「1以上の」との要件を満たす。 (3)中間層について 上記(2)の構成からみて、引用発明の「バリヤ層」は、本願発明の「中間層」に相当する。 (4)前形成アセンブリについて 上記(2)の構成からみて、引用発明の「装飾アップリケ」は、「観察可能な層」と「バリヤ層」とを含むといえる。 そうしてみれば、引用発明の「装飾アップリケ」は、本願発明の「前形成アセンブリ」に相当する。また、引用発明の「装飾アップリケ」は、本願発明の「前形成アセンブリ」の「(i)表示層と;」「(ii)中間層と;を含む」との要件を満たす。 (5)接着層について 引用発明は、「前記接着剤層が前記装飾アップリケと前記加硫済み空気入りタイヤの外側サイドウォールとの間に置かれこの両者を接着」する構成を備える。 上記構成からみて、引用発明の「接着剤層」は、本願発明の「接着層」に相当する。 また、上記(1)の構成と上記構成からみて、引用発明の「接着剤層」は、「装飾アップリケ」を「加硫済み空気入りタイヤ」に取り付けるように、「加硫済み空気入りタイヤ」と組み合わせられるといえる。 そうしてみれば、引用発明の「接着剤層」は、本願発明の「接着層」の「該前形成アセンブリを該加硫ゴム物品に取り付けるように、該前形成アセンブリの中間層の表面又は該加硫ゴム物品の一方又は両方に組み合わされる」との要件を満たす。 (6)表示アセンブリについて 上記(1)~(5)を総合すると、引用発明の「もの」は、本願発明の「表示アセンブリ」に相当する。 また、引用発明の「もの」は、「加硫済み空気入りタイヤ」に取り付けるためのものであるといえる。さらに、引用発明の「もの」は、「装飾アップリケ」と「接着層」を含むといえる。 そうしてみれば、引用発明の「もの」は、本願発明の「表示アセンブリ」の、「加硫ゴム物品に取り付けるための」との要件及び「前形成アセンブリ;及び」「接着層;を含む」との要件を満たす。 2 一致点及び相違点の認定 (1)一致点 上記1によれば、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。 「 加硫ゴム物品に取り付けるための表示アセンブリであって、 (i)表示印を提供するように構成された1以上の表示層と; (ii)中間層と; を含む、前形成アセンブリ;及び 該前形成アセンブリを該加硫ゴム物品に取り付けるように、該前形成アセンブリの中間層の表面又は該加硫ゴム物品の表面の一方又は両方と組み合わせられる接着層; を含む、前記表示アセンブリ。」 (2)相違点 本願発明と引用発明は、以下の点で相違するか、一応相違する。 <相違点1> 本願発明においては、「表示層」が、「エラストマー材料」からなるのに対して、引用発明における「観察可能な層」は、この点について特定されていない点。 <相違点2> 本願発明においては、「中間層」が、「該1以上の表示層の1つと直接接触するエラストマー材料から形成され」、「該1以上の表示層と一緒に結合されて」おり、「該接着層及び/又は該加硫ゴム物品の望ましくない成分の移動を最小にするか又は防止するようにバリアとして作用することが可能な材料から形成され」ているのに対して、引用発明における「バリヤ層」は、この点について特定されていない点。 <相違点3> 本願発明においては、「接着層」が、「該前形成アセンブリが該加硫ゴム物品に取り付けられる場合に該中間層と直接接触し、かつ高温がなくても加硫ゴム物品の表面と化学的に結合することが可能な材料から形成される」のに対して、引用発明における「接着層」は、この点について特定されていない点。 第6 判断 1 相違点についての判断 上記相違点について検討する。 (1)相違点1について 一般に、「エラストマー材料」とは、「ゴム弾性を有する工業用材料の総称」であるところ、本願発明における「エラストマー材料」は、明らかにゴムを包含する。 他方、引用文献2の【0018】及び【0019】には、それぞれ、「観察可能な層21は、本発明の目的を達成するであろう適宜の材料より形成できる。好ましい実施例においては、本発明は、タイヤの「ホワイトサイドウォール」としてしばしば使用される形式の連続弾性リングを有するタイヤを提供する。」旨、及び、「連続リング状アップリケ20の好ましい組成の一例は、通常のホワイトサイドウォール材料である。かかる材料は、ゴム、例えばクロロブチロゴム、天然ゴム、及びエチレンプロピレンジエン共重合体(EODM),及びこれらの混合物、並びに白色用の二酸化チタンのような着色剤のような成分を含むことが知られる。」旨記載されており、かかる「白色ウォール材料」として、【0021】の【表1】には、クロロブチルゴム及び天然ゴムを含有する組成例が記載されている。 してみれば、引用発明の「観察可能な層」は、エラストマー材料からなるものであるといえる。 したがって、上記相違点1は、実質的な差異ではない。仮に、相違するとしても、引用発明において、「観察可能な層」を【0019】に列記されたエラストマー材料により形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について まず、引用文献2の【0021】には、「観察可能な層21は、これをタイヤに直接取り付けることもでき、本発明の範囲内にある。しかし、観察可能な層21は、選択的な中間層又はバリヤ層22に取り付けられることが好ましい。バリヤ層22の目的は、酸化防止剤のようなタイヤ10中のある種の成分が観察可能な層21に達してこれを変色させることを防ぐことである。例として、一つの好ましいバリヤ層22は、クロロブチルゴムのようなハロブチルゴムと天然ゴムとの混合物で構成される。」と記載されており、これらの材料は、「エラストマー材料」に他ならない。したがって、当該記載からみて、引用発明における「バリヤ層」は、「観察可能な層」と直接接触するエラストマー材料から形成され、タイヤの望ましくない成分の移動を最小にするか又は防止するようにバリアとして作用することが可能な材料から形成されているといえる。 次に、「表示層と一緒に結合されている」点についてみると、引用文献2には、「事前加硫済みの弾性的な装飾アップリケ」と記載されているとおり、「装飾アップリケ」を構成する「観察可能な層」と「バリヤ層」は、事前に加硫されることを前提とする記載がされており、当該「観察可能な層」については、白色ウォール材料、即ち、クロロブチルゴム、天然ゴム、及びエチレンプロピレンジエン共重合体、及び、硫黄を含む材料からなることが、そして、当該「バリヤ層」についても、「観察可能な層」と同様、クロロブチルゴム、天然ゴム、硫黄を含む材料からなることが、【0021】に説明され、【0022】には、続けて、「バリヤ層22は本発明の目的を達成するであろう適宜の材料から形成することができ、また、バリヤ層は以下更に完全に説明されるような接着剤物質とすることができる」と記載されている。 そうすると、かかる記載に接した当業者であれば、「観察可能な層」と、これに取り付けられる「バリヤ層」の接着性を当然に考慮するはずであり、同様の組成のエラストマー材料から形成される「観察可能な層」及び「バリア層」を、事前加硫済みとするに際して、両者を一緒に結合されるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことであるといえる。 (3)相違点3について 引用文献2の【0027】には、「接着剤24は、アップリケ20をタイヤ10にしっかりと接着する適宜の接着剤である。」として、適切な接着剤の例が、多数列記されたうえで、【0030】に、「選定された特定の接着剤に応じて、アップリケ20は加熱及び/又は加圧があり又はなしでタイヤ10に接着される。・・・EP5908-29A/B及びFusor305-1/305-2は環境温度において接着する。」と記載されている。そうすると、接着剤層を形成する材料として、環境温度、即ち、高温がなくても加硫ゴム物品の表面と化学的に結合することが可能な材料は、極めてありふれた材料であるといえるから、かかる材料により接着層を構成することに、格別の技術的困難性を見いだせない。 また、上記(2)で述べたとおり、引用発明における「バリヤ層」は、「酸化防止剤のようなタイヤ10中のある種の成分が観察可能な層21に達してこれを変色させることを防ぐ」ことを目的として設けられるものであるから、引用発明の「接着剤層」は、「装飾アップリケ」が「加硫済み空気入りタイヤ」に取り付けられる場合に「バリヤ層」と直接接触するものであることもまた明らかである。 してみれば、引用発明において、引用文献2の上記記載から、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 2 審判請求人の主張について (1)審判請求人の主張の概要 審判請求人は、令和5年3月6日に提出された意見書において、「引用文献2は、中間層と1以上の表示層とが一緒に結合している前形成アセンブリについて、何ら開示も示唆もしていない。」(以下「主張1」という。)、「引用文献2(図2及び3)は、バリヤ層22とアップリケをタイヤに張り付けるように用いられる接着剤層24と間に介入される融和層23の存在を開示している。一方で、本願発明においては、「該接着層は、該前形成アセンブリが該加硫ゴム物品に取り付けられる場合に該中間層と直接接触」する 。引用文献2の融和層23は、タイヤ材料構造体に適合させる目的で意図的に存在するため、引用文献2の発明にとって必須であり、引用文献2において、融和層23の存在を排除することはない。このように、引用文献2の構成は、本願発明の構成には存在しない融和層23を含む特別な構成であるため、当業者であっても、引用文献2から本願発明の構成(バリヤ層と組み合わせたそのような融和層の存在を明示的に回避している)に想到することはできない。」(以下「主張2」という。)と主張する。 (2)主張1について 上記主張1について、上記1(2)で述べたとおりである。 (3)主張2について 上記第4「2」で示したとおり、引用文献2の【特許請求の範囲】の【請求項1】及び発明の詳細な説明の【0021】には、「融和層」は、必須の構成として記載されていない。 たしかに、引用文献2の発明の詳細な説明の【0023】には、「本発明の別の実施例においては、内側層又は融和層23が観察可能な層21に直接取り入れられ、又は図2に描かれているようにバリヤ層22とタイヤ10のサイドウォール12に取り付けられる。」と記載され、図2及び図3においても「融和層23」を設けた態様が示されている。 しかしながら、上記【0023】並びに図2及び図3の「融和層」はあくまでも別の実施例における記載であって、上記請求項1及び【0021】には、「融和層」を設けていない態様もまた開示されているのであるから、引用発明に係る空気入りタイヤが、「融和層」を必須の構成として備えることが前提とされているとまではいえず、かかる引用文献2の記載に接した当業者であれば、上記第4「2」で示した「融和層」を含まない引用発明を把握し得る。 (4)したがって、審判請求人の上記主張は、いずれも採用できない。 4 小括 本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本件出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-007025

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