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特許拒絶査定不服審判

2022-020100

非円筒状加飾成形品

審判番号
2022-020100
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-246922
請求日
2022年12月12日
審決日
2023年10月17日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社吉野工業所
  • 【請求人代理人】渡辺 一成
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 神谷 健一
  • 審判官 大▲瀬▼ 裕久
分類
P18 .575-Z (B44C) / P18 .113-Z (B44C) / P18 .121-Z (B44C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-246922「非円筒状加飾成形品」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 9日出願公開、特開2020-104447〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続等の経緯 特願2018-246922号(以下「本件出願」という。)は、平成30年(2018年)12月28日の特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和4年 6月10日付け:拒絶理由通知書 令和4年 8月 5日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 9月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和4年12月12日 :審判請求書の提出 令和4年12月12日 :手続補正書の提出 第2 令和4年12月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年12月12日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 被転写面(32A)が一周に亘って設けられた非円筒状からなる成形品(30)と、前記被転写面(32A)に対して一周に亘って文字、図形、記号又は色彩若しくはこれらを組み合わせた模様が転写された加飾部(33)と、を有する非円筒状加飾成形品であって、 前記加飾部(33)の、前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれが生じていないことを特徴とする非円筒状加飾成形品。 【請求項2】 成形品(30)の形状が、楕円筒状又は多角筒状である請求項1記載の非円筒状加飾成形品。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 「 【請求項1】 被転写面(32A)が一周に亘って設けられた非円筒状からなる成形品(30)と、前記被転写面(32A)に対して一周に亘って文字、図形、記号又は色彩若しくはこれらを組み合わせた模様が転写された加飾部(33)と、を有する非円筒状加飾成形品であって、 前記加飾部(33)は、転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくすとともに、前記成形品(30)の側壁部(32)の表面に設けられた前記被転写面(32A)に一周に渡って連続して形成されていることを特徴とする非円筒状加飾成形品。 【請求項2】 成形品(30)の形状が、楕円筒状又は多角筒状である請求項1記載の非円筒状加飾成形品。」 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)の、発明を特定するために必要な事項である「加飾部」について、本件出願の出願当初の明細書の【0006】等の記載に基づいて、「前記成形品(30)の側壁部(32)の表面に設けられた前記被転写面(32A)に一周に渡って連続して形成されている」とするよう限定して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)とする補正事項を含むものである。 そうしてみると、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件(新規事項追加の禁止)を満たすものであり、また、同条第5項2号に掲げる事項(特許請求の範囲の限定的減縮)を目的とする補正に該当する。 そこで、本件補正発明が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 3 独立特許要件違反についての判断 (1)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された、本件出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じで公衆に利用可能となった文献である、特開2018-52095号公報には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付与したものであって、引用発明の認定又は判断で利用した箇所である。 (ア)「【請求項1】 彫刻部(5a)を走行する転写シート(4)に設けられた転写箔に押し当てて被転写物(9)に転写を行う転写用の刻印であって、 前記彫刻部(5a)が円筒表面に形成されていることを特徴とするロール状刻印。 ・・・(中略)・・・ 【請求項3】 少なくとも、円筒状の外周面に彫刻部(5a)が形成されて軸回りに回転駆動するロール状刻印(5)と、該ロール状刻印(5)の周囲に対向配置されて回転する前記ロール状刻印(5)を加熱するヒーター(6)と、被転写物(9)を回転駆動可能に保持する回転移動治具(8)と、前記ロール状刻印(5)と前記回転移動治具(8)との間に走行可能に設けられた長帯状の転写シート(4)と、前記転写シート(4)を走行方向に間欠的に巻き取る巻取モーター(22)と、を用いる箔転写方法であって、 前記巻取モーター22を非駆動状態に設定すると共に、前記ヒーター(6)に対向配置されたロール状刻印(5)を一定の速度で回転させて加熱する第1工程と、 回転を停止させて前記ロール状刻印(5)を所定の初期回転角度に位置決めする第2工程と、 前記被転写物(9)の側面とロール状刻印(5)の外周面とを圧接させ、これらの間に前記転写シート(4)を挟み込む第3工程と、 前記圧接する状態を維持しながら前記被転写物(9)を回転させると共に、前記被転写物(9)の側面とロール状刻印(5)の外周面との間の接圧が一定となるように前記被転写物(9)の形状に倣いながら前記ロール状刻印(5)又は前記回転移動治具(8)を互いに接近する方向及び離間する方向に往復移動させることにより、前記転写シート(4)に積層された転写箔を前記被転写物(9)の側面に転写する第4工程と、 前記転写シート(4)を走行させ、前記被転写物(9)に巻き付いている前記転写シート(4)を前記被転写物(9)から剥離させる第5工程と、を有することを特徴とする箔転写方法。」 (イ)「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば円筒体側面や楕円筒体側面などに転写箔を転写するためのロール状刻印及びこれを用いた箔転写装置並びに箔転写方法に関する。 【背景技術】 【0002】 転写箔や転写柄を被転写物に転写することにより加飾を行う方法がある。 特許文献1は、文字、記号又は図形等(以下、文字等という)が彫刻された平板状の転写版を、転写箔が蒸着等されている転写シートを介して円筒形状から成る被転写物の外周面に加熱しながら押し当て、さらに被転写物を転写版に沿って転動させることにより、被転写物の側面に転写を行うローリング式の箔転写方法である。尚、被転写物を転動させる代わりに、平板状の転写版を水平に移動させても同様の転写が可能である。 ・・・(中略)・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、平板状の被転写物、あるいは円筒状の被転写物に限られ、例えば被転写物が短径と長径との差が大きい楕円筒状の変形形状物等に適するものではなかった。すなわち、短径の部分から長径の部分へ、あるいは長径の部分から短径の部分へ回転してゆく課程において、転写版又は熱転写用のシリコンローラと被転写物の側面との間に作用する接圧が一定とはならず、結果として転写される文字等が部分的に欠損することによる転写ムラが発生するという問題があった。 【0006】 本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、円筒状の側面を有する被転写物の場合は勿論のこと、楕円筒状の側面を有する被転写物に対しても転写ムラのない綺麗な転写を可能とするロール状刻印及びこれを用いた箔転写装置並びに箔転写方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 ・・・(中略)・・・ 【0011】 また本発明の第3の主たる手段は、少なくとも、円筒状の外周面に彫刻部が形成されて軸回りに回転駆動するロール状刻印と、ロール状刻印の周囲に対向配置されて回転するロール状刻印を加熱するヒーターと、被転写物を回転駆動可能に保持する回転移動治具と、ロール状刻印と回転移動治具との間に配置され且つ間欠的に走行可能に設けられた長帯状の転写シートと、転写シートを走行方向に間欠的に巻き取る巻取モーターと、を用いる箔転写方法であって、 巻取モーターを非駆動状態に設定すると共に、ヒーターに対向配置されたロール状刻印を一定の速度で回転させて加熱する第1工程と、 回転を停止させてロール状刻印を所定の初期回転角度に位置決めする第2工程と、 被転写物の側面とロール状刻印の外周面とを圧接させ、これらの間に転写シートを挟み込む第3工程と、 圧接する状態を維持しながら被転写物を回転させると共に、被転写物の側面とロール状刻印の外周面との間の接圧が一定となるように被転写物の形状に倣いながらロール状刻印又は回転移動治具を互いに接近する方向及び離間する方向に往復移動させることにより、転写シートに積層された転写箔を被転写物の側面に転写する第4工程と、 転写シートを走行させ、被転写物に巻き付いている転写シートを被転写物から剥離させる第5工程と、を有することを特徴とする、と云うものである。 【0012】 本発明の第3の主たる手段では、円筒状の側面だけでなく、楕円筒状の側面やその他の多角形状の側面に対し、転写ムラや転写ズレがなく、高精度で綺麗な転写を達成し得る。」 (ウ)「【発明を実施するための形態】 【0021】 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。 図1は本発明の箔転写方法に用いる箔転写装置の概略構成を示す平面図、図2は箔転写方法の一工程を示す平面図、図3は箔転写方法の他の一工程を示す平面図、図4は本発明であるロール状刻印の一実施例を示す斜視図、図5は図4に示すロール状刻印の正面図、図6は図5のロール状刻印によって転写された楕円筒状の被転写物を示し、Aは被転写物の平面図及びその正面図、Cは被転写物の平面図及びその側面図、図7は本発明の他の実施例としてのロール状刻印あり、彫刻部を展開した状態を示す正面図、図8は図7のロール状刻印によって転写された楕円筒状の被転写物を示し、Aは被転写物の平面図及び正面図、Cは被転写物の平面図及び側面図である。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 転写シート4を介してロール状刻印5と対向する位置には回転移動治具8が設けられている。回転移動治具8は、被転写物9を回転軸の先端に保持して軸回りに回転駆動させるモーター(図示せず)を搭載し、且つロール状刻印5に対して接近する方向及び離間する方向(前後方向ともいう)に移動自在に設けられている。 【0028】 そして、図示しないコントローラの制御により、回転移動治具8を前方に移動させることにより、被転写物9の側面をロール状刻印5に転写シート4を介して圧接させることが可能となっている。同時に、モーターを駆動させることにより、被転写物9を回転させることが可能となっている。よって、被転写物9を回転させながら被転写物9の形状に倣って回転移動治具8を前後方向に往復移動させることにより、楕円形状からなる被転写物9の側面に倣いながら全周に亘ってロール状刻印5に圧接させることができると共に、圧接時の接圧を一定に保つことが可能となっている。 【0030】 次に、上記箔転写装置を用いた箔転写方法について説明する。 (1)第1工程(初期状態) 図1に示すように、ロール状刻印5が一定の速度で回転させられており、ロール状刻印5の外周面に生じやすい温度ムラが抑制されている。 ・・・ この第1工程(初期状態)において、楕円筒状の被転写物9が回転移動治具8に搭載されているモーターの回転軸の先端部に装着される。 【0031】 (2)第2工程(転写開始) 第2工程(転写開始)は、図示しないスタート用のスイッチをオンに設定することにより行う。 スイッチオンと同時に、サーボモーターの駆動が停止され、ロール状刻印5の回転を停止させて彫刻部5aが所定の停止位置に来るように制御される。これにより、被転写物9とロール状刻印5との相対的な位置決めが行われ、転写を被転写物9の彫刻部5aを所定の開始位置(又は初期回転角度)に設定することが可能となる。・・・ 【0032】 (3)第3工程 次に、図2に示すように、回転移動治具8を後方の退避位置からロール状刻印5に接近する前方の圧接位置に移動させ、被転写物9の側面でロール状刻印5の外周面(彫刻部5a)を圧接し、被転写物9の側面とロール状刻印5の外周面との間に転写シート4を挟み込む。・・・ 【0033】 (4)第4工程 次に、図3に示すように、回転移動治具8に搭載されているモーターを駆動させて被転写物9を図示時計回りに回転させる。すると、転写シート4の転写箔のうち、ロール状刻印5の彫刻部5aと接した部分が被転写物9の側面に接着するため、被転写物9の回転に連動して転写シート4を上流側から下流側に向かって送ることができる。この際、回転移動治具8はコントローラの制御によって被転写物9の形状に倣いながら前後方向に往復移動させられる。これにより、被転写物9の側面とロール状刻印5の彫刻部5aとの間の接圧が一定に維持され、且つ転写シート4を介して被転写物9の回転力をロール状刻印5に伝達することができる。すなわち、被転写物9の図示時計回りの回転に連動してロール状刻印5を図示反時計回りに回転させることができる。よって、転写シート4に積層されている転写箔を、被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)することができる。 【0034】 例えば、ロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aが図4及び図5に示すような多数の星形を縦横に整列させてなる模様から構成される場合には、被転写物9の側面には図6A及びBに示すように多数の星形の模様を綺麗に転写することができる。また図7に示すように、ロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aが図6Aに示すような文字から構成される場合には、被転写物9の側面には図8A及びBに示すように文字を正確に転写することができる。すなわち、楕円筒状の側面を有する被転写物9に対しても転写ムラのない綺麗で正確な転写を実現することができる。 【0035】 (5)第5工程 転写箔は被転写物9の側面に部分的に接着するため、転写シート4は被転写物9の回転にしたがって被転写物9の側面に一時的に巻き付くことがある。そこで、タイマー制御により巻取モーター22を所定時間だけ駆動させ、転写シート4を下流側に向かって強制的に走行させる。これにより、被転写物9の側面に巻き付いている転写シート4を巻取リール2で巻き取り、転写シート4を被転写物9の側面から剥離させることができる。 そして、上記第1乃至第5工程を繰り返すことにより、被転写物に対して連続的な転写を行うことができる。」 (エ)「【図1】 [図:0001405531000001.jpg] 【図2】 [図:0001405531000002.jpg] 【図3】 [図:0001405531000003.jpg] 【図4】 [図:0001405531000004.jpg] 【図5】 [図:0001405531000005.jpg] 【図6】 [図:0001405531000006.jpg] 【図7】 [図:0001405531000007.jpg] 【図8】 [図:0001405531000008.jpg] 」 イ 引用文献1に記載された発明 (ア)上記アの(ア)の請求項の記載に照らして同(ウ)の実施形態の記載をみると、引用文献1には、請求項3に係る発明の実施形態としての箔転写方法、並びに、該箔転写方法を用いて、図5又は図7のロール状刻印によって模様や文字が転写された、図6及び図8に図示される、楕円筒状の被転写物が記載されているといえる。 (イ)上記ア(ウ)【0033】~【0035】の記載によれば、上記ロール状刻印によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物は、 上記第1乃至第5工程を繰り返すことにより、連続的な転写が行われたものであり、 転写シート4に積層されている転写箔が、被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)されたものであって、 ロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aを構成する模様や文字が、転写ムラのない綺麗で正確な転写がなされた、 ものであるといえる。 (ウ)以上を踏まえると、引用文献1には、次の「ロール状刻印によって転写された楕円筒状の被転写物9」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 少なくとも、円筒状の外周面に彫刻部5aが形成されて軸回りに回転駆動するロール状刻印5と、該ロール状刻印5の周囲に対向配置されて回転する前記ロール状刻印5を加熱するヒーター6と、被転写物9を回転駆動可能に保持する回転移動治具8と、前記ロール状刻印5と前記回転移動治具8との間に走行可能に設けられた長帯状の転写シート4と、前記転写シート4を走行方向に間欠的に巻き取る巻取モーター22と、を用いる箔転写方法であって、 前記巻取モーター22を非駆動状態に設定すると共に、前記ヒーター6に対向配置されたロール状刻印5を一定の速度で回転させて加熱する第1工程と、 回転を停止させて前記ロール状刻印5を所定の初期回転角度に位置決めする第2工程と、 前記被転写物9の側面とロール状刻印5の外周面とを圧接させ、これらの間に前記転写シート4を挟み込む第3工程と、 前記圧接する状態を維持しながら前記被転写物9を回転させると共に、前記被転写物9の側面とロール状刻印5の外周面との間の接圧が一定となるように前記被転写物9の形状に倣いながら前記ロール状刻印5又は前記回転移動治具8を互いに接近する方向及び離間する方向に往復移動させることにより、前記転写シート4に積層された転写箔を前記被転写物9の側面に転写する第4工程と、 前記転写シート4を走行させ、前記被転写物9に巻き付いている前記転写シート4を前記被転写物9から剥離させる第5工程と、 を有する箔転写方法を用いて、ロール状刻印5によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物9であって、 上記第1乃至第5工程を繰り返すことにより、連続的な転写が行われたものであり、 転写シート4に積層されている転写箔が、被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)されたものであって、 ロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aを構成する模様や文字が、転写ムラのない綺麗で正確な転写がなされたものである、 ロール状刻印によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物9。」 (なお、各部材の符号は、括弧なしの記載に統一した。) (2)対比 ア 本件補正発明と引用発明の対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「楕円筒状の被転写物9」は、所定形状に形成された物品であるから、「成形品」ということができる。 また、「楕円筒状」は「非円筒状」に該当する。 そして、引用発明の「楕円筒状の被転写物9」は、「被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)され」るものであるから、そのように転写がなされる「被転写物9の側面」は、「被転写面」ということができる。 以上を踏まえると、引用発明の「楕円筒状の被転写物9」及びその「側面」は、それぞれ、本件補正発明の「非円筒状からなる成形品(30)」及び「被転写面(32A)」に相当し、引用発明の「楕円筒状の被転写物9」は、本件補正発明の「被転写面(32A)が一周に亘って設けられた」との構成も備える。 (イ)引用発明の「ロール状刻印によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物9」において、転写された「模様や文字」は、「被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)されたもの」であるところ、上記(1)ア(ア)に示した引用文献1の【0002】の記載に照らせば、該「転写された模様や文字」は、「楕円筒状の被転写物9」に対して、「加飾」を施したものといえる。 してみると、引用発明における、転写された「模様や文字」は、本件補正発明の「前記被転写面(32A)に対して一周に亘って文字、図形、記号又は色彩若しくはこれらを組み合わせた模様が転写された加飾部(33)」に相当する。 (ウ)引用発明の「ロール状刻印によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物9」は、「連続的な転写が行われたものであり、転写シート4に積層されている転写箔が、被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)されたものであって、ロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aを構成する模様や文字が、転写ムラのない綺麗で正確な転写がなされたものである」から、上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「転写された模様や文字」は、本件補正発明の「加飾部(33)」の、「前記成形品(30)の側壁部(32)の表面に設けられた前記被転写面(32A)に一周に渡って連続して形成されている」との構成を備える。 (エ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえると、引用発明の「ロール状刻印によって模様や文字が転写された楕円筒状の被転写物9」は、本件補正発明の「非円筒状加飾成形品」に相当する。 (3)一致点及び相違点 ア 一致点 上記(2)の対比によれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 「 被転写面(32A)が一周に亘って設けられた非円筒状からなる成形品(30)と、前記被転写面(32A)に対して一周に亘って文字、図形、記号又は色彩若しくはこれらを組み合わせた模様が転写された加飾部(33)と、を有する非円筒状加飾成形品であって、 前記加飾部(33)は、前記成形品(30)の側壁部(32)の表面に設けられた前記被転写面(32A)に一周に渡って連続して形成されている、非円筒状加飾成形品。」 イ 相違点 そして、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一応相違する。 「加飾部(33)」について、本件補正発明は、「転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくすとともに」とされているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えているのか否か明らかでない点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 ア 引用発明は、「第1乃至第5工程を繰り返すことにより、連続的な転写が行われたものであり」、「 転写シート4に積層されている転写箔が、被転写物9の側面の全周に亘ってロール状刻印5に彫刻されている彫刻部5aのとおりに転写(熱転写)されたもの」であるところ、引用文献1の【0011】及び【0012】には、引用発明の第1乃至第5工程を有する箔転写方法によって、「円筒状の側面だけでなく、楕円筒状の側面やその他の多角形状の側面に対し、転写ムラや転写ズレがなく、高精度で綺麗な転写を達成し得る」ことが記載されているから、当該記載事項、並びに図6及び図7を合わせみれば、引用発明においては、被転写物9の側面の全周に亘って、転写ズレがなく、高精度できれいな転写がなされていることが理解でき、転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれはないものと認められる。 してみると、引用発明は、相違点1に係る本件補正発明の「転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくす」との発明特定事項に相当する構成を有しており、上記相違点は実質的な差違ではない。 イ なお、本件補正発明において、相違点1に係る「転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくす」との発明特定事項は、本件明細書の「発明を実施するための形態」欄(【0013】~【0030】)に、具体的な構成とその作用効果として記載されている、箔転写装置を用いた箔転写方法(特に、第4工程において、回転移動治具8を回転させるとともに、回転移動治具8がコントローラの制御によって成形品30の被転写面32Aの形状に倣いながら前後方向に往復移動させられる点)を実施することによって得られる加飾部(33)の構成を意味すると解する余地もある。 しかしながら、引用発明において用いられる箔転写方法及び箔転写方法は、本件明細書に記載された箔転写方法及び箔転写方法と何ら実質的な相違点はなく、それによって製造される加飾成形品の加飾部も同様の構成となるから、そのように解したとしても、上記判断は変わらない。 ウ また、たとえ上記相違点が実質的な差違であるとしても、引用発明は、上記のとおり、転写ムラや転写ズレがなく、高精度で綺麗な転写を達成しようとするものであるから、このような技術課題を達成するために、引用発明の「楕円筒状の被転写物9」を、転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれがないものとすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、引用発明において切れ目又は位置ずれがないようにしたものは、相違点1に係る本件補正発明の「転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくす」との発明特定事項と、加飾部の構成として差違はないものといえる。 (5)審判請求人の主張について ア 審判請求人は、審判請求書の「4.本願発明と引用発明の対比」「(2)相違点」において、 「本願発明1は、「前記加飾部(33)は、転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくすとともに、前記成形品(30)の側壁部(32)の表面に設けられた前記被転写面(32A)に一周に渡って連続して形成されている」との発明特定事項3を有しますが、引用文献1には特に「切れ目」に関する言及はなく、上記加飾部に相当する構成が、転写の際に前記転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれをなくすとともに、被転写物9の側面に一周に渡って連続して形成されているとの事項に関する記載は認められません。」 と主張している。 しかしながら、上記(4)アに示したとおり、引用発明においては、被転写物9の側面の全周に亘って、転写ムラや転写ズレがなく、高精度できれいな転写がなされているのであるから、引用文献1に「切れ目」に関する言及はないとしても、転写の開始位置と終了位置との境目部分に切れ目又は位置ずれはないものという技術事項を備えているといえる。 したがって、上記主張は採用できない。 イ 審判請求人は、同じく審判請求書の「(3)効果について」において、 「 本願発明1は、一周に亘って形成された文字、図形、記号又は色彩若しくはこれらを組み合わせた模様の境目部分に切れ目又は位置ずれ等をなくすことで、美感に優れた非円筒状加飾成形品とすることができる、という効果を奏します。」 と主張している。 しかしながら、上記アに示したとおり、引用発明において、被転写物9の側面の全周に亘って、転写ズレがなく、高精度できれいな転写がなされていることを踏まえると、本件補正発明の効果は、本件出願当時、本件補正発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものではない。 したがって、上記主張は採用できない。 (6)小括 以上によれば、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するものである。 したがって、本件補正は同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(本願発明)は、前記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、 [理由1]本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において電気回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2018-52095号公報)に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、[理由2]本願発明は、当業者がその出願前に日本国内又は外国において電気回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 3 引用文献の記載及び引用発明 引用文献1の記載及び引用発明は、上記「第2」[理由]3(1)ア及びイに記載したとおりである。 4 対比及び判断 本願発明は、上記「第2」[理由]3で検討した本件補正発明から、上記「第2」[理由]2で述べた限定を除いたものである。 また、本願発明の構成を全て具備し、これにさらに限定を付したものに相当する本件補正発明は、上記「第2」[理由]2(3)~(5)で述べたとおり、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献1に記載された発明であるか、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、また、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-020100

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