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意匠拒絶査定不服審判

2021-006939

管楽器

審判番号
2021-006939
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2020-006327外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
1709312
請求日
2021年05月28日
審決日
2022年01月25日
公報発行日
2022年03月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .3 -WY (E4-4)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法10条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第10条第1項、意匠法第14条第1項、意匠法第20条第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2020- 6327「管楽器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、令和2年(2020年)4月1日に出願された、願書に記載した本意匠(以下「本意匠」という。)を意願2015-21847(意匠登録第1547946号)とする関連意匠の意願意匠登録出願であって、同年9月30日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月3日に意見書が提出されたが、令和3年(2021年)2月24日付けで拒絶の査定がなされ、これに対して、同年5月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠の願書及び添付図面の記載

本願の意匠は、意匠に係る物品を「管楽器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面のとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照。)。

第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠

1 原査定における拒絶の理由

原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しない、としたものである。

2 本意匠

(1)手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本意匠は、平成27年(2015年)10月5に出願された意匠登録出願(意願2015-21847)であって、意匠法第14条第1項の規定により、秘密意匠とする期間を3年間とすることを請求し、平成28年(2016年)3月18日に意匠権の設定の登録(意匠登録第1547946号)がなされ、平成31年(2019年)4月1日に、願書及び願書に添付した図面を記載した公報(意匠法第20条第4項)が発行されたものである。

(2)本意匠の願書及び添付図面の記載

本意匠は、意匠に係る物品を「管楽器」とし、その形状等を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断

以下、本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠と本意匠の類否判断

(1)対比

ア 本願意匠と本意匠の意匠に係る物品の対比

本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「管楽器」であり、共通する。

イ 両意匠の形状等

両意匠の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

A 共通点

(ア)全体構成

(a)全体は、略円筒状の管によるもので、正面視、右端から全長の約2/3を水平部(以下「本体水平部」という。)とし、残りの約1/3を下方に傾けたネック部とする略扁平「へ」の字状の構成とする点。

(b)マウスピース近辺のネック部上面から分岐管が突出し、ネック部と本体水平部との屈曲部(以下「本体屈曲部」という。)近辺まで延伸している点。

(c)本体屈曲部の下面、及び正面視、本体水平部の右端のやや内側の下面(以下「右内側下面」という。)に管の蛇行部を有している点。

(d)平面視、右端からやや内側に、複数の音孔を覆うキー部を有している点。

(イ)管の蛇行部の形状

(a)本体屈曲部側下面の蛇行部

正面視、ネック部の略半分の高さからネック部の径より僅かに小さい管が右斜め下方に向けて分岐して突出し、本体水平部にかけて左から大小2段の山を形成し、下面の蛇行管とネック部及び本体水平部の略半分の高さとの間部分は薄い略平板部で塞がれた態様とする点。

(b)右内側下面の蛇行部

正面視、本体水平部の略半分の高さから本体水平部の径より僅かに小さい管が左斜め下方に向けて分岐して突出し、右から小大2段の山を形成した後、一旦水平部を形成し、本体水平部下面へと繋がるもので、当該下面へと繋がる側には蛇行管の下面にトリガー状の指掛け部を有し、下面の蛇行管と本体水平部の略半分の高さとの間部分は薄い略平板部で塞がれた態様とする点。

(ウ)キー部の形状

背面視、横長長方形の略平板状部を本体水平部の側面の上側に垂直状に配し、上面の音孔を塞ぐパーツが当該略平板状部から上面にかけて略L字状に複数配されている点。

B 相違点

(ア)正面視における本体水平部の右内側下面の蛇行部について、本願意匠は、右から小大の山を形成した後、その小大の2つの山部の横幅より長い水平部を形成し、垂直に本体水平部に繋がる態様であるのに対し、本意匠は、小大の山の後、小大の2つの山部の横幅より短い水平部から、2つの小山部を経て本体水平部に繋がる態様である点。

(イ)キー部について、本願意匠は、音孔を塞ぐ略L字状のパーツが6つあり、横長長方形の略平板状部の高さ:横幅を約2:28とするのに対し、本意匠は、略L字状のパーツを4つとし、同高さ:横幅を約2:17と、本願意匠より短いものとする点。

(ウ)本願意匠は、本体水平部の中間部に本体水平部の管の径よりもやや大きい円筒状の接続部を有しているが、本意匠は有していない点。

(2)類否判断

ア 意匠に係る物品の類否判断

両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

イ 両意匠の形状等の類否判断

両意匠は、意匠に係る物品を「管楽器」とするもので、需要者は、購入者であり、実際に使用する者である。したがって、全体の印象のほか、使用時における持ったときのバランス等に注視するものとして、以下判断する。

(ア)共通点の評価

全体構成における共通点(ア)(a)は、楽器の分野において従来からみられる態様であり、両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は小さい。

一方、全体構成における共通点(ア)(b)及び(c)は、従来に無い態様で、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

そして、形状等における共通点(イ)(a)及び(b)、さらには共通点(ウ)は、両意匠独自の態様で、需要者に強い共通した印象を与えるもので、両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものと認められる。

(イ)相違点の評価

正面視における本体水平部の右内側下面の蛇行部の態様における相違点(ア)は、共通点(イ)(b)に比べれば、未だ部分的なものにすぎず、両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は限定的なものにすぎない。

キー部における相違点(イ)も、音孔の数に沿った相違に基づくもので、キー部としての構成が共通する中にあっては、部分的なものにすぎず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

円筒状の接続部の有無における相違点(ウ)も、分岐管や下面の蛇行部、そしてキー部の態様における共通点と比べると目に付く態様でもなく、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(ウ)総合評価に基づく類否判断

両意匠の形状等の共通点及び相違点を総合し、意匠全体として総合的に判断すると、前記(イ)に説示したとおり、相違点が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は、限定的あるいは小さいものであるのに対し、前記(ア)に説示したとおり、共通点(ア)(a)が類否判断に及ぼす影響は小さいものの、共通点(ア)(b)及び(c)が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は大きく、共通点(イ)(a)及び(b)、並びに共通点(ウ)の及ぼす影響は、非常に大きい。

これらを総合すると、相違点が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は、両意匠の共通点に比べ、微弱なものにすぎず、共通点が及ぼす影響が圧するものであることから、両意匠は、類似する。

(エ)小活

以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、形状等が類似する。

よって、本願意匠と本意匠とは類似する。

2 本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かについて

本意匠は、本願の意匠登録出願人による意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の意匠登録出願人の要件を満たしている。

また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日以後であって、当該本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前であるから、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。

さらに、前記1のとおり、本願意匠と本意匠は類似するものと認められるので、本願意匠は、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の要件を満たしている。

したがって、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当するものである。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、願書に記載した本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものと認められるから原査定の拒絶の理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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