2021-006908
衝突回避装置
- 審判番号
- 2021-006908
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-051276外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月28日
- 審決日
- 2022年05月31日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】トヨタ自動車株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】黒木 義樹
- 【請求人代理人】小飛山 悟史
- 【請求人代理人】大森 鉄平
- 分類
- P18 .121-WY (G08G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 6項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月16日の出願であって、令和2年6月30日付け(発送日:令和2年7月7日)で拒絶理由が通知され、令和2年8月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年2月24日付け(発送日:令和3年3月2日)で拒絶査定がされた。これに対し、令和3年5月28日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 本願発明について
1 本願発明
特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明(以下「本願発明1ないし5」という。)は、令和2年8月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。
「【請求項1】右左折する自車両の進路と障害物の位置とに基づいて前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定された場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための衝突回避制御を行う衝突回避装置であって、前記自車両が方向指示器を点灯状態に切り換えたときの前記自車両の向きを基準として、点灯状態の方向指示器の方向に旋回する前記自車両の向きの変化角度である偏向角を演算する偏向角演算部と、前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定された場合に前記衝突回避制御を行う衝突回避制御部と、続きを表示(全14行)を備え、前記衝突回避制御部は、前記偏向角が偏向角閾値以上であるときには、前記衝突回避制御を行わない、衝突回避装置。【請求項2】右左折する前記自車両が走行していた第1の車線と前記自車両が進入する第2の車線とがなす交差角を認識する交差角認識部を更に備え、前記偏向角演算部は、前記交差角に基づいて前記偏向角閾値を設定する、請求項1に記載の衝突回避装置。【請求項3】前記偏向角演算部は、前記交差角を認識できなかった場合には、前記偏向角閾値として予め設定された値を用いる、請求項2に記載の衝突回避装置。【請求項4】前記偏向角演算部は、前記車両が旋回する方向に基づいて前記偏向角閾値を設定する、請求項1又は2に記載の衝突回避装置。【請求項5】前記偏向角演算部は、前記車両の車速に基づいて前記偏向角閾値を設定する、請求項1又は2に記載の衝突回避装置。」
2 拒絶査定の理由
拒絶査定の理由は、概略以下のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1、4
・引用文献等 1
<引用文献等一覧>
1.特開2010-13012号公報
3 当審の判断
(1)本願発明1について
ア 引用文献1
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(ア)「【請求項1】自車両の進路上に向かって移動する他車両と自車両との衝突を予測する衝突予測装置であって、自車両の進行方向に対する他車両の進行方向の角度を測定する角度測定手段と、前記角度又は前記角度の変化の少なくとも一方を用いて衝突可能性の判断を行う衝突判断手段と、を備える衝突予測装置。」
(イ)「【請求項5】前記衝突判断手段は、前記角度又は前記角度の変化の少なくとも一方を用いて衝突するか衝突しないかを判断する、請求項1から4のいずれか1項に記載の衝突予測装置。」
(ウ)「【請求項17】前記衝突判断手段は、衝突すると判断した場合、乗員に対して衝突を回避するための支援または乗員を保護するための支援を行う支援手段を用いて乗員に支援を行う、請求項1から16に記載の衝突予測装置。」
(エ)「【0090】図15は、自車両41と他車両42との角度が直角を含む所定範囲で、その角度が変化している様子を示す図である。図15に示されるように、自車両41がP1の位置にある場合、自車両41と他車両42との角度は直角である。次に、自車両41がP2の位置に移動すると、自車両41と他車両42との角度は、自車両41がP1の位置にある場合よりも大きく、かつ、その変化が後述する場合に比べて相対的に大きい。また、自車両41がP1の位置からP3の位置に移動する場合、自車両41と他車両42との角度は、自車両41がP1の位置にある場合よりも小さく、かつ、その変化が大きい。このような場合、自車両41は左折または右折する状況と想定されるため、衝突可能性は低い。一方、自車両41がP1の位置からP4(またはP5)の位置に移動する場合、自車両41と他車両42との角度は、自車両41がP1の位置にある場合よりも大きく(または小さく)、かつ、その変化が上述した場合と比べて小さい。このような場合、自車両41は他車両42に向かって走行中である状況と想定されるため、衝突する可能性が高くなる。従って、自車両41と他車両42との角度の変化の大きさによって衝突可能性の判断を変える。すなわち、衝突判断手段3は、角度の変化が所定値以下の場合、衝突すると判断する。」
(オ)「【図15】[図:0001384904000001.jpg]」
イ 引用発明
上記記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「右左折する自車両41の進路上に向かって移動する他車両42と自車両41との衝突を予測する衝突予測装置であって、自車両41の進行方向に対する他車両42の進行方向の角度を測定する角度測定手段と、自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以上の場合、衝突しないと判断し、自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以下の場合、衝突すると判断し、衝突すると判断した場合、乗員に対して衝突を回避するための支援または乗員を保護するための支援を行う支援手段を用いて乗員に支援を行う衝突判断手段3と、を備える衝突予測装置。」
ウ 本願発明1と引用発明の対比・判断
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「自車両41」は、その構成、機能又は技術的意義からみて本願発明1の「自車両」に相当し、以下同様に「他車両42」は、「障害物」に、「衝突すると判断した場合、乗員に対して衝突を回避するための支援または乗員を保護するための支援を行う支援手段を用いて乗員に支援を行う」ことは、「前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定された場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための衝突回避制御を行う」ことに、それぞれ相当する。そして、引用発明において、「衝突判断手段3」は、衝突回避制御を行う部分であり、「衝突予測装置」は全体として衝突回避を行っているから、引用発明の「衝突判断手段」は本願発明1の「衝突回避制御部」に相当し、引用発明の「衝突予測装置」は本願発明1の「衝突回避装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明において「自車両41と他車両42との角度の変化」は、自車両の進路と他車両の位置に基づいて測定されるものであるから、引用発明の「自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以下の場合、衝突すると判断」することは、本願発明1の「右左折する自車両の進路と障害物の位置とに基づいて前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定」することに相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、それぞれ以下のとおりである。
<一致点>
「右左折する自車両の進路と障害物の位置とに基づいて前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定された場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための衝突回避制御を行う衝突回避装置であって、前記自車両と前記障害物との衝突可能性があると判定された場合に前記衝突回避制御を行う衝突回避制御部、を備える衝突回避装置。」
<相違点>
本願発明1は「前記自車両が方向指示器を点灯状態に切り換えたときの前記自車両の向きを基準として、点灯状態の方向指示器の方向に旋回する前記自車両の向きの変化角度である偏向角を演算する偏向角演算部」を備え、「
前記衝突回避制御部は、前記偏向角が偏向角閾値以上であるときには、前記衝突回避制御を行わない」のに対して、引用発明は「自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以上の場合、衝突しないと判断」するものである点。
(イ)当審の判断
引用文献1には、「前記自車両が方向指示器を点灯状態に切り換えたときの前記自車両の向きを基準として、点灯状態の方向指示器の方向に旋回する前記自車両の向きの変化角度である偏向角を演算する偏向角演算部」について何ら記載されていない。
さらに、引用発明は「自車両41の進行方向に対する他車両42の進行方向の角度を測定する角度測定手段」を備え、「自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以上の場合、衝突しないと判断し、自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以下の場合、衝突すると判断」するものである。上記「自車両41と他車両42との角度の変化」からは「偏向角を演算する」ことはできないのであるから、「自車両41と他車両42との角度の変化が所定値以上の場合、衝突しないと判断」するという事項が「偏向角演算部」を導入することの示唆や動機付けとなるものでもない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る事項により、本願明細書の段落【0007】に記載された「自車両の偏向角が偏向角閾値以上であるときには自車両の右左折が完了直前であり、誤って右左折先の道路の対向車線上の障害物と自車両の衝突可能性を判定している可能性が高いことから、衝突回避制御を行わないことで不要な衝突回避制御の実行を抑制することができる。」 という特有の効果を奏するものである。
ゆえに、引用発明において、上記相違点に係る本願発明1の事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
よって、本願発明1は当業者が引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(2)本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は、本願発明1を直接または間接的に引用するものである。本願発明1は、上記のとおり当業者が容易に発明をすることができたものではないから、それらを直接または間接的に引用する本願発明2ないし5も同様の理由で当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
したがって、本願発明1ないし5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
第3 まとめ
以上のとおり、拒絶査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また他に拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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