2021-006462
プログラムおよび情報処理装置
- 審判番号
- 2021-006462
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-064163外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月20日
- 審決日
- 2022年01月31日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
- 【請求人代理人】特許業務法人旺知国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年3月29日の出願であって、令和2年6月17日付けで拒絶理由が通知され、令和2年8月21日に意見書が提出され、令和2年11月20日付けで拒絶理由が通知され、令和3年1月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和3年2月16日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和3年7月30日付けで前置報告がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年2月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1(新規性) 本願請求項1、6-7に係る発明は、引用文献1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない
理由2(進歩性) 本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2013-3949号公報
2.特表2010-533336号公報
3.特開2011-186880号公報
4.特開2015-167758号公報
第3 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和3年5月20日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1-2は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】プロセッサを、タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部、前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部として機能させるプログラムであって、前記接触情報は、前記接触領域の接触時の面積であり、前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う、ことを特徴とするプログラム。」
「【請求項2】プロセッサを、タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部、前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部として機能させるプログラムであって、前記接触情報は、前記接触領域の接触時の形状であり、前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第2条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う、ことを特徴とするプログラム。」
なお、本願発明3-8の概要は以下のとおりである。
本願発明3-6は、本願発明1又は2を減縮した発明である。
本願発明7は、本願発明1に対応する情報処理装置の発明である。
本願発明8は、本願発明2に対応する情報処理装置の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献2及び引用発明
(1) 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
ア 段落【0034】
「【0034】 一方、前記のような本発明の目的は、電子装置用端末器のケースに備えられて各種データを入力するためのデータ入力装置において、前記ケースの一側に所定の入力領域を形成して備えられ、前記入力領域内の基準位置を中心に複数の放射方向にそれぞれ対応するように備えられて、前記基準位置に載せられた指による前記各放射方向への水平加圧を感知する第1感知部と、前記基準位置から均一な離隔距離を有して放射状に配置される複数の加圧位置に備えられて、指による押え加圧を感知する第2感知部とを有する感知ユニットと;前記第1感知部および第2感知部で感知された感知結果に基づいて前記各放射方向および加圧位置に割り当てられたデータをメモリ部から抽出して入力する制御部と;を含む指の動作感知を利用したデータ入力装置によっても達成される。」
イ 段落【0056】
「【0056】 一方、前記構成が結合した入力装置を効果的に使用するために適用機器の使用目的に合う入力変換データを備えた入力プログラムが必要であり、前記で言及されたすべての個別構成要素はそれぞれの個別構成としては現在の技術水準で全て十分に獲得可能である。」
ウ 段落【0062】
「【0062】1)入力領域‘入力領域’とは、タッチパネル、タッチパッド、タッチスクリーン、圧力センサー、触覚センサー、光センサーなど指または指に接触された物体の加圧または微細な移動を感知することができる入力領域(感知領域)を意味する。」
エ 段落【0077】
「【0077】 感知ユニット30は前記入力領域内の基準位置(S)に載せられた指の所定の放射方向への水平加圧を感知して第1方向入力信号を発生し、基準位置(S)に指が載せられた状態で所定の方向に傾ける垂直加圧を感知して第2方向入力信号を発生する。また、感知ユニットは入力領域内で基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜加圧を感知して第3方向入力信号を発生し、基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜を感知して第4方向入力信号を発生する。」
オ 段落【0092】
「【0092】 一方、傾斜入力は、指が入力される方向に傾けられる、即ち、入力反対方向の指接触部分が入力領域から離れながら入力方向に指全体が傾けられる傾斜を行うことによって第4方向入力信号を発生して、それに割り当てられたデータを入力することを意味する。この場合、図4の(b)に示されているように、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)。または指を傾けて接触面積が喪失された後、所定の方向で垂直(または対角)加圧が感知される時、喪失された以前の接触面積位置に基づいて傾斜入力を把握することもできる。
カ 【図4(b)】
「[図:0001382279000001.jpg]」
(2) 引用発明
よって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。
「指による前記各放射方向への水平加圧を感知する第1感知部と、指による押え加圧を感知する第2感知部とを有する感知ユニットと;前記第1感知部および第2感知部で感知された感知結果に基づいて前記各放射方向および加圧位置に割り当てられたデータをメモリ部から抽出して入力する制御部と;を含む指の動作感知を利用したデータ入力装置であって、入力装置を効果的に使用するために適用機器の使用目的に合う入力変換データを備えた入力プログラムが必要であり、続きを表示(全11行)‘入力領域’とは、タッチパネルなど指または指に接触された物体の加圧または微細な移動を感知することができる入力領域(感知領域)を意味し、感知ユニット30は前記入力領域内の基準位置(S)に載せられた指の所定の放射方向への水平加圧を感知して第1方向入力信号を発生し、基準位置(S)に指が載せられた状態で所定の方向に傾ける垂直加圧を感知して第2方向入力信号を発生し、また、感知ユニットは入力領域内で基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜加圧を感知して第3方向入力信号を発生し、基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜を感知して第4方向入力信号を発生し、傾斜入力は、指が入力される方向に傾けられる、即ち、入力反対方向の指接触部分が入力領域から離れながら入力方向に指全体が傾けられる傾斜を行うことによって第4方向入力信号を発生して、それに割り当てられたデータを入力することを意味し、この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)、入力プログラムを有するデータ入力装置。」
2 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1) 段落【0017】
「【0017】図1に示すように、情報端末装置1は、タッチディスプレイ11と、面積増減判定部12と、アプリケーション部13とを有する。なお、図1では、本実施形態に関連性の深い構成のみが示されており、情報端末装置1は、一般的な情報端末装置が有する他の構成(例えば、通信装置など)をさらに有していてもよい。また、情報端末装置1としては、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット型PC、ノート型PCまたはゲーム機などが挙げられる。」
(2) 段落【0082】-【0092】
「【0082】次に本発明の第2の実施形態を説明する。【0083】なお、本実施形態における情報端末装置の構成は、図1に示した情報端末装置1と同じである。続きを表示(全22行)【0084】本実施形態では、接触面積判定部24は、表示画面21に接触されている接触座標に基づいて、表示画面21を複数の操作領域に分け、各操作領域内の接触領域の面積のそれぞれを個別接触面積として出力する。【0085】面積増減判定部12は、面積増減判定部12から通知された各個別接触面積の変化の大きさを示す個別変化値を判定し、各個別変化値をアプリケーション部13に通知する。【0086】アプリケーション部13は、面積増減判定部12から通知された各個別変化値に応じた情報処理を行う。【0087】図8は、本実施形態におけるアプリケーション部13が行う情報処理の一例を説明するための図である。図8では、図3の例と同様に、情報処理として文字入力処理が例示されている。また、接触面積判定部24は、接触座標内の中心点の座標である中心座標を交点とする2つの直線で、表示画面を上下左右の4つの操作領域A~Dに分割するものとする。また、ユーザは入力キー302にタッチしているものとする。【0088】図8の例では、ユーザが指を手前(表示画面21の下方向)に指を傾けると、下の操作領域Bの個別変化値が大きくなる。この場合、アプリケーション部13は、その個別変化値が所定値以上変化するたびに、「い」→「う」→「え」と五十音表の下向きに候補文字を選択していく。【0089】同様に、ユーザが指を表示画面21の上方向に指を傾けると、操作領域Dの個別変化値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「お」→「え」→「う」のように五十音表の上向きに候補文字を選択していく。【0090】また、ユーザが指を表示画面21の左方向に指を傾けると、操作領域Cの個別変化値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「か」→「さ」→「た」のように五十音表の左向きに候補文字を選択していく。【0091】そして、ユーザが指を表示画面21の右方向に指を傾けると、操作領域Aの個別変化値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「わ」→「ら」→「や」のように五十音表の左向きに候補文字を選択していく。【0092】本実施形態によれば、ユーザが指を傾ける方向を変えるだけで様々な操作が可能となるので、操作性を向上させることが可能になる。」
(3) 【図8】
「[図:0001382279000002.jpg]」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1) 段落【0011】-【0014】
「【0011】(実施の形態1)本発明の第一の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態における座標入力装置の構成図、図2は、座標入力装置の動作を説明するフローチャート、図3は、本実施の形態における指の動作例を示す図である。【0012】図1に示すように、座標入力装置は、座標入力部1と、判定部2と、位置決定部3と、速度制御部4と、演算部5と、表示部6とから構成される。座標入力部1は、指の接触領域を検出する。判定部2は、接触領域、押圧力、静電容量の変化、指紋の変化、コントラストの変化などに基づいて、指が傾いているか否かを判定する。位置決定部3は、検出された接触領域に基づいて位置座標を決定する。速度制御部4は、判定部2の判定結果に基づいて速度係数を算出する。演算部5は、位置座標、速度係数に基づいて表示部6におけるポインタの座標を演算する。表示部6は、画面表示装置であり、液晶ディスプレイや、タッチパネルの表示装置、有機ELディスプレイなどで構成される。利用者はこの画像表示装置を視認することによって、ポインタを操作することができる。【0013】次に、本実施の形態の動作を、図2のフローチャートを用いて説明する。傾き変化ありステップ(S101)では、判定部2において指の傾きを判定する。指の傾きが検出されない場合にはフローチャートの終了へ進み、指の傾きが検出される場合には、指移動量に対するポインタ移動量を変更ステップ(S102)に進む。ステップS102では、判定部2において指の傾きが検出されることにより、速度制御部4で速度の係数を算出し、指移動量に対するポインタ移動量を変更する。以上の動作により、指の傾きに応じて、指移動量に対するポインタ移動量を変化させることが可能となる。【0014】次に、判定部2でどのように指の傾きを検出するかを示す具体例を、図8から図10に示す。図8は、静電式ポインティングデバイスにおける指の傾き検出の例を示す図である。静電式ポインティングデバイスでは、接触領域、および静電容量の大きさを検出することができる。そのため、接触領域の位置、形が所定の変化をした場合、また、静電容量の傾きが所定の変化をした場合に、指が傾いていると判断することができる。」
(2) 【図2】
「[図:0001382279000003.jpg]」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1) 段落【0016】
「【0016】操作部14はユーザがゲーム操作を行うためのものである。例えば、操作部14は、ユーザによって接触された位置を検出可能なタッチパネル14Tを含み、ユーザはタッチパネル14Tを触ることによってゲーム操作を行う。例えば、タッチパネル14Tは表示部16に重ねて設けられ、検出結果を示す信号を出力する。例えば、接触位置の検出は所定時間(例えば1/60秒)ごとに繰り返し行われる。なお、タッチパネル14Tとしては各種方式のタッチパネルを採用することが可能である。例えば、静電容量方式のタッチパネルを採用することが可能である。静電容量方式のタッチパネルでは、タッチパネルの表面がユーザによって接触された場合に生じる電荷の変化に基づいて、ユーザによって接触されている位置が検出される。当然のことながら、静電容量方式以外の方式のタッチパネルを採用することも可能である。」
(2) 段落【0108】
「【0108】以上に説明したゲーム装置10では、ユーザが入力している方向が変化した場合に振動が発生するようになっている。このため、ゲーム装置10によれば、ユーザが入力方向を変えるべく操作を行った場合に、その操作によって本当に入力方向が変わったか否かをユーザ自身が把握できるようになる。」
5 周知技術等
前置報告書において周知技術を示す「引用文献5」として引用された特開2017-224220号公報には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(1) 段落【0020】
「【0020】また、操作入力部6は、表示部5の表示パネル5aと一体となって設けられたタッチパネル6aを有している。タッチパネル6aは、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等の各種方式により、表示パネル5aの表示領域をなす表示画面に直接的若しくは間接的に接触するユーザの指(手)やタッチペン等の接触位置のXY座標を検出する。また、タッチパネル6aは、所謂、押圧量検知型のタッチパネル6aであり、ユーザによる接触位置における押圧量(荷重)に応じた押圧検出信号(アナログ値)を生成する。そして、タッチパネル6aは、接触位置のXY座標に係る位置信号及び押圧検出信号を動作処理部8に出力する。」
(2) 段落【0053】-【0058】
「【0053】<変形例3>以下に、撮像装置100の変形例3について説明する。変形例3は、例えば、図5(a)等に示すように、ユーザの一本の指(例えば、人差し指等)によりタッチパネル6aが接触される場合である。続きを表示(全12行)【0054】この変形例3の場合、押圧量検出部8aは、タッチパネル6a上のユーザにより接触されている一の接触領域A内における複数の押圧量の分布を複数の接触位置における押圧量として検出する。具体的には、タッチパネル6aから一の接触領域Aに対応する複数の位置信号及び押圧検出信号が出力されて押圧量検出部8aに入力されると、押圧量検出部8aは、入力された複数の位置信号に基づいて、当該一の接触領域A内を所定方向(例えば、y軸方向やx軸方向等)に延在する基準線Lで複数の部分領域(例えば、左右或いは上下の部分領域等)Bに分割する。そして、押圧量検出部8aは、複数の部分領域Bに対応する少なくとも一の押圧検出信号の代表値(例えば、アナログ値の平均値や最大値等)をそれぞれ算出する(図5(b)及び図5(c)参照)。【0055】再生制御部8bは、押圧量検出部8aにより検出された一の接触領域A内における複数の押圧量の分布に基づいて、動画像の再生を制御する。具体的には、再生制御部8bは、複数の部分領域(例えば、左右の部分領域等)Bの押圧検出信号(代表値)の大小関係を特定し、特定された大小関係に応じて動画像の再生方向及び再生速度を制御する。例えば、再生制御部8bは、右側の部分領域Bの押圧検出信号が左側の部分領域Bの押圧検出信号に対して所定の閾値以上大きい場合には、再生方向を順方向とするとともに再生速度を2倍とし、また、左側の部分領域Bの押圧検出信号が右側の部分領域Bの押圧検出信号に対して所定の閾値以上大きい場合には、再生方向を逆方向とするとともに再生速度を2倍とし、右側と左側とで部分領域Bの押圧検出信号の差が所定の閾値よりも小さい場合には、再生方向を順方向とするとともに再生速度を1倍とする。なお、詳細な説明は省略するが、2つの部分領域B、Bが上下に並んだ位置関係の場合、上記実施形態や変形例1、2と同様に、所謂、スロー送りやスロー戻しの状態となるように動画像の再生方向や再生速度を制御する。・・・(中略)・・・【0058】従って、変形例3によれば、ユーザの一本の指によりタッチパネル6aが接触される場合であっても、タッチパネル6a上のユーザにより接触されている一の接触領域A内における複数の押圧量の分布に基づいて、動画像の再生を制御することができ、上記実施形態と同様に、例えば、動画像の再生方向や再生速度を変更したい場合等に、タッチパネル6a上のユーザによる接触位置を移動させることなく、動画像の再生を制御することができる。」
(3) 【図5】
「[図:0001382279000004.jpg]」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「データ入力装置」は、「入力装置を効果的に使用するために適用機器の使用目的に合う入力変換データを備えた入力プログラムが必要であ」って、ここで、「入力プログラム」を実行するためには、ハードウエアとして「プロセッサ」を備えていることが明らかであって、これは、本願発明1の「プロセッサ」に相当するといえる。
イ 引用発明の「感知ユニット」は、「‘入力領域’とは、タッチパネルなど指または指に接触された物体の加圧または微細な移動を感知することができる入力領域(感知領域)を意味し」、「感知ユニット30は」、「基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜を感知して第4方向入力信号を発生し」、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」から、本願発明1の「タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部」に相当する。
ウ 引用発明の「前記第1感知部および第2感知部で感知された感知結果に基づいて前記各放射方向および加圧位置に割り当てられたデータをメモリ部から抽出して入力する制御部」が、「感知ユニット」の「第4方向入力信号」に基づいて、「傾斜入力」を感知することは、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」から、本願発明1の「前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部」と、「前記接触情報取得部が取得した接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部」である点で共通するといえる。
エ 引用発明の「データ入力装置」が備える「入力プログラム」は、本願発明1の「プログラム」に相当するといえる。
オ 引用発明において、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことは、本願発明1において、「前記接触情報は、前記接触領域の接触時の面積であ」ることに相当する。
カ 引用発明において、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことは、本願発明1において、「前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う」ことと、「前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の、面積についての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う」点で共通するといえる。
(2) よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「プロセッサを、タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部、前記接触情報取得部が取得した接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部として機能させるプログラムであって、前記接触情報は、前記接触領域の接触時の面積であり、前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の、面積についての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う、ことを特徴とするプログラム。」
[相違点1]
本願発明1の「判定部」は、「前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合」に、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定するのに対して、引用発明は、「タッチパネルに対して物体の接触があることを示す場合に」判定を行うことが特定されていない点。
[相違点2]
本願発明1の「判定部」は、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件」が充足される場合に、方向に関する指示の入力がある旨の判定を行うのに対して、引用発明は、「接触面積が変化する形態によって入力方向を把握する」ものであって、「接触時の一の時点の」面積に基づいて、判定を行うものではない点。
(3) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について、先に検討する。
本願発明1の上記[相違点2]に係る、判定部は、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件」が充足される場合に、方向に関する指示の入力がある旨の判定を行うという構成は、上記引用文献1-5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
「引用文献2(引用発明)」には、「傾斜入力」方式として、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことが開示され、指の「接触面積が変化する形態」に基づいて判定を行うことは開示されているものの、本願発明1の上記[相違点2]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献1」には、「変形例3」として、一本の指について、「面積増減判定部12は、面積増減判定部12から通知された各個別接触面積の変化の大きさを示す個別変化値を判定」することが開示され、指の「各個別接触面積の変化の大きさ」に基づいて判定を行うことは開示されているものの、本願発明1の上記[相違点2]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献3」には、「判定部2」が、指の傾きを検出する方式の具体例として、「接触領域の位置、形が所定の変化をした場合」、「指が傾いていると判断すること」が開示されているものの、本願発明1の上記[相違点2]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の面積についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献4」には、ユーザがタッチパネル14Tを触ることによるゲーム操作中に、ユーザが入力している方向が変化した場合に、「振動」を発生させることが開示されているものの、本願発明1の上記[相違点2]の構成は開示していない。
「引用文献5」には、「タッチパネル6a上のユーザにより接触されている一の接触領域A内における複数の押圧量の分布に基づいて、動画像の再生を制御すること」ことが開示されているものの、本願発明1の上記[相違点2]の構成は開示していない。
したがって、[相違点1]について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1または2に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用発明、引用文献1、3-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
(1) 対比
本願発明2と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「データ入力装置」は、「入力装置を効果的に使用するために適用機器の使用目的に合う入力変換データを備えた入力プログラムが必要であ」って、ここで、「入力プログラム」を実行するために、ハードウエアとして「プロセッサ」を備えていることが明らかであって、これは、本願発明2の「プロセッサ」に相当するといえる。
イ 引用発明の「感知ユニット」は、「‘入力領域’とは、タッチパネルなど指または指に接触された物体の加圧または微細な移動を感知することができる入力領域(感知領域)を意味し」、「感知ユニット30は」、「基準位置を中心に所定の放射方向のうちの一つへの傾斜を感知して第4方向入力信号を発生し」、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」から、本願発明2の「タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部」に相当する。
ウ 引用発明の「前記第1感知部および第2感知部で感知された感知結果に基づいて前記各放射方向および加圧位置に割り当てられたデータをメモリ部から抽出して入力する制御部」が、「感知ユニット」の「第4方向入力信号」に基づいて、「傾斜入力」を感知することは、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」から、本願発明2の「前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部」と、「前記接触情報取得部が取得した接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部」である点で共通するといえる。
エ 引用発明の「データ入力装置」が備える「入力プログラム」は、本願発明2の「プログラム」に相当するといえる。
オ 引用発明において、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことは、本願発明2において、「前記接触情報は、前記接触領域の接触時の形状であ」ることと、「前記接触情報は、前記接触領域の接触時のパラメータであ」る点で共通するといえる。
カ 引用発明において、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことは、本願発明2において、「前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う」ことと、「前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域の、パラメータについての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う」点で共通するといえる。
(2) よって、本願発明2と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「プロセッサを、タッチパネルのうち物体が接触している接触領域の面積および形状の少なくとも一方に関する接触情報を取得する接触情報取得部、前記接触情報取得部が取得した接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定する判定部として機能させるプログラムであって、前記接触情報は、前記接触領域の接触時のパラメータであり、前記判定部は、前記接触情報の示す前記接触領域のパラメータについての第1条件が充足される場合に、前記指示の入力がある旨の判定を行う、ことを特徴とするプログラム。」
[相違点1]
本願発明2の「判定部」は、「前記接触情報取得部が取得した接触情報が、前記タッチパネルに対して前記物体の接触があることを示す場合」に、当該接触情報に基づいて、前記タッチパネルにおける方向に関する指示の入力があるか否かを判定するのに対して、引用発明は、「タッチパネルに対して物体の接触があることを示す場合に」判定を行うことが特定されていない点。
[相違点3]
本願発明2の「接触情報」は、「前記接触領域の接触時の形状であり」、本願発明2の「判定部」は、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件」が充足される場合に、方向に関する指示の入力がある旨の判定を行うのに対して、引用発明は、「接触面積が変化する形態によって入力方向を把握する」ものであって、「接触時の一の時点の形状」に基づいて、判定を行うものではない点。
(3) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点3]について、先に検討する。
本願発明2の上記[相違点3]に係る、判定部は、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件」が充足される場合に、方向に関する指示の入力がある旨の判定を行うという構成は、上記引用文献1-5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
「引用文献2(引用発明)」には、「傾斜入力」方式として、「この場合、指が傾けられながら最初の指接触面積が変化する形態によって入力方向を把握することができる(指を所定の方向に傾けると、入力反対方向の接触面積が喪失され入力方向の接触面積が増加する)」ことが開示され、指の「接触面積が変化する形態」に基づいて判定を行うことは開示されているものの、本願発明2の上記[相違点3]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献1」には、「変形例3」として、一本の指について、「面積増減判定部12は、面積増減判定部12から通知された各個別接触面積の変化の大きさを示す個別変化値を判定」することが開示され、指の「各個別接触面積の変化の大きさ」に基づいて判定を行うことは開示されているものの、本願発明2の上記[相違点3]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献3」には、「判定部2」が、指の傾きを検出する方式の具体例として、「接触領域の位置、形が所定の変化をした場合」、「指が傾いていると判断すること」することが開示され、「位置、形」の「所定の変化」に基づいて、指の傾きを判定することは開示されているものの、本願発明2の上記[相違点3]のように、「前記接触情報の示す前記接触領域の接触時の一の時点の形状についての第1条件」に基づいて判定するものではない。
「引用文献4」には、ユーザがタッチパネル14Tを触ることによるゲーム操作中に、ユーザが入力している方向が変化した場合に、「振動」を発生させることが開示されているものの、本願発明2の上記[相違点3]の構成は開示していない。
「引用文献5」には、「タッチパネル6a上のユーザにより接触されている一の接触領域A内における複数の押圧量の分布に基づいて、動画像の再生を制御すること」ことが開示されているものの、本願発明2の上記[相違点3]の構成は開示していない。
したがって、[相違点1]について検討するまでもなく、本願発明2は、引用文献1または2に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用発明、引用文献1、3-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明3-8について
本願発明3-8も、本願発明1の上記[相違点2]の構成と、あるいは、本願発明2の上記[相違点3]の構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1または2と同様の理由により、引用文献1または2に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明、引用文献1、3-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-8は、引用文献1または2に記載された発明ではなく、また、当業者が引用発明及び引用文献1、3-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-006462