2021-005931
導電性基板
- 審判番号
- 2021-005931
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-510550外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月10日
- 審決日
- 2022年03月22日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】住友金属鉱山株式会社
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 分類
- P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)3月28日(優先権主張 平成28年4月5日)を国際出願日とする出願であって、令和2年11月4日付けで拒絶理由が通知され、令和3年1月12日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和3年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和3年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、その後、令和3年12月21日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和4年1月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願請求項1-2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明2」という。)は、令和4年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された金属層と、前記金属層上に配置された湿式めっき黒化層とを有し、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRa(μm)が、前記湿式めっき黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下であり、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である導電性基板。」
なお、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
第3 引用文献1及び引用発明
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2015-158829号公報)には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
(1) 段落【0024】
「【0024】本発明に係るタッチパネル装置への適用において、実施例の構造は主として透明基板とその基板上に形成される金属電極又は導線を含み、一般的なタッチパネル又はフレキシブルタイプのタッチパネルに適用される。導電金属の表面には、エッチング等の加工方式又はその他の材料の電解、スパッタリング若しくは蒸着方式によって、艶消粗化構造が形成されている。また、反射光エネルギーを低減し、ひいては光学的整合及び構造強化の機能をもたせるように、黒化層を別途形成してもよい。」
(2) 段落【0035】
「【0035】艶消粗化層403には、黒化層404が更に形成されてもよい。黒化層404は、艶消粗化層403の表面に引き続いて形成され、電解、スパッタリング、蒸着又は塗布によって艶消粗化層403の上に粗い黒化層構造として形成される。従って、非平面の連続構造が金属導電層402の上方に形成されることで、金属導電層402に入射する光線を乱反射又は吸収して、金属反射を抑えることができ、同時に電子トンネルが生じる確率を増加させて導電率が低下しないようにすることが可能である。更には、黒化層構造は、結合強度、硬度が金属導体よりも優れているため、耐食性の保護層としての作用をも有する。黒化層404は、電極構造42全体の外層に設けられるため、金属電極の外観を規定することを補助する効果を奏する。」
(3) 段落【0050】-段落【0053】
「【0050】<第5の実施例>図7Aは、表面に艶消粗化構造を有する基板70に電極構造72を形成した実施例を示す図である。【0051】電極構造72は、積層構造となるように基板70の表面に形成される。電極構造72は主として、基板70と連結される第1の接着層721を含む。基板70と接触する表面は、図6に示すような艶消粗化構造として形成されてもよく、本実施例においては艶消粗化層701である。【0052】第1の接着層721には、図に示す第2の接着層722のように、引き続いて形成される金属導電層723を補強するための他の接着層が更に形成されてもよい。金属導電層723を形成する方式は、上記各実施例を参考にすることができる。金属導電層723によって生じる光反射を低減又は回避するために、本実施例では更に金属導電層723に電極構造72内の他の艶消粗化層724を形成するとともに、耐食能力及び黒化効果を有することのできる第1の黒化層725を引き続いて形成する。図に示す第2の黒化層726のように、スクリーンとによって生じる色ずれを減少させる効果をもたせるために、第1の黒化層725に耐食性及び黒化効果を強化する機能を有する他の黒化層を形成してもよい。【0053】本実施例の積層構造は、外側に面する表面に艶消粗化構造又は黒化構造が形成されているため、基板70又は金属導電層723による光反射を低減又は回避する効果を有すると同時に、スクリーンとの色ずれを減少させることができる。」
(4) 【図7A】
「[図:0001386916000001.jpg]」
(5) 段落【0056】-段落【0067】
「【0056】上述した各実施例において、図7A又は図7Bを例にすると、第1の接着層721及び/又は第2の接着層722は、高分子、酸化物若しくは金属材料、又はそれら材料の組み合わせからなるものであってもよい。詳しく述べると、第1の接着層721中に含まれる高分子材料は、第1の接着層721と基板70との付着性を向上させるのに有用である。第1の接着層721及び/又は第2の接着層722中に含まれる酸化物材料は、接着層に耐反射、耐干渉、耐ニュートンリング、耐摩耗、耐スクラッチの性質を付与する特性を有する。第1の接着層721中に含まれる金属材料は、第1の接着層721と第2の接着層722との付着性を向上させることができる効果を奏する。・・・(中略)・・・【0060】続きを表示(全16行)電極構造72の接着性及び導電性を高めるために、もし金属導電層723が純金属である場合、それと隣接する第2の接着層722にこの純金属が50%を超える含有量で含まれ、第1の接着層721に純金属が50%よりも低い含有量で含まれる段階的構造としてもよい。例を挙げると、金属導電層723がもし純銅である場合、第1の接着層721はニッケル銅クロム鉄合金であってもよく、その組成はニッケル:銅:クロム:鉄=60:30:10:0又はニッケル:銅:クロム:鉄=80:10:5:5である。また第1の接着層721はニッケルタングステン合金であってもよく、その組成はニッケル:タングステン=50:50である。第1の接着層721にはシリコン又はリン等を別途添加してもよい。第2の接着層722は銅ニッケルクロム合金であってもよく、その組成は銅:ニッケル:クロム=60:30:10である。また第2の接着層722は銅ニッケルタングステン合金であってもよく、その組成は銅:ニッケル:タングステン=60:20:20である。第2の接着層722にはシリコン又はリン等を別途添加してもよい。【0061】電極構造72内に設けられた艶消粗化層724は艶消粗化構造であり、物理機械的粗化(圧延、プラズマエッチング)又は化学エッチングの方式を利用して、破壊的な方式でその表面粗さを向上させるようにしてもよい。従って、艶消粗化層724の材質は金属導電層723と同一の材質である。【0062】艶消粗化層(図7Aの724)の構造において、その構造を別途延在させ、艶消粗化層724を拡大して金属導電層723の上方を覆う構成としてもよい。艶消粗化層724の材料は、金属導電層723と異なってもよい。例えば、(1)スパッタリング、蒸着等の乾式コーティング又は電気めっき、化学めっき等の湿式コーティングを含むコーティング条件を変更して、不連続な島状に分布して粗面又は多孔構造が形成されるように艶消粗化層724をコーティングする、或いは(2)平滑な連続構造となるように予め艶消粗化層724の材料をコーティングして、物理機械的な粗化(圧延、プラズマエッチング)又は化学エッチングの方式を利用して、破壊的な方式でその表面粗さを向上させる。成長させる方式を利用して製作された艶消粗化層724の材料は、高分子、酸化物又は金属であってもよく、金属導電層723と同一か又は第1の黒化層725と同一であってもよい。【0063】艶消粗化層724は、電極構造72の表面粗さに影響を及ぼすことができ、耐光反射の性質と、感光性又は感熱性耐食剤の電極構造72表面への付着性を高める能力とを有するため、別途タッチパネルに防眩処理膜を増設する必要がない。従って、コストを低減できるだけでなく、同時に微細回路のエッチングに影響を及ぼすこともない。艶消粗化層724の表面粗さ範囲は、好ましくはRa=0.001μm~0.2μmであり、最も好ましい粗さはRa=0.02μm~0.1μmであるため、光学的ヘイズ値は2よりも小さい。【0064】前述した第1の黒化層725及び/又は第2の黒化層726の材料は、銅、銀、アルミニウム、モリブデン、ニッケル、クロム、タングステン、チタン、シリコン、亜鉛、スズ若しくは鉄、又はそれらの材料の組み合わせであってもよい。第1の黒化層725及び/又は第2の黒化層726の厚さは、好ましくは0.001μm~1μmの範囲である。第1の黒化層725及び/又は第2の黒化層726の反射率は、1%~50%の範囲であってよく、好ましくは30%よりも低い。・・・(中略)・・・【0067】従って、第1の黒化層725によって、同時に金属細線自体の金属色を調整して、第1の黒化層725と合わせて用いられる金属微細回路自体の色(例えば金属母材である純銅の反射率>50%、L>90%、a<0.1、b>2)をスクリーンのブラックマトリクス(Black matrix、BM)の色に近づかせ、コントラストや色差を減少させることができる。なぜならb値が1よりも大きい又は反射率が50%よりも大きい場合、人の眼では黄色寄りの金属反射を容易に捉えるからである。第1の黒化層725と第2の黒化層726の材料自体の色度は、材料の厚さによって変化する。第2の黒化層726によって、第2の黒化層726が被覆している第1の黒化層725の色度を調整して、その色度をスクリーンのブラックマトリクスの色により近づかせると同時に、耐色ずれ、耐反射、耐モアレ干渉、耐ニュートンリング、耐摩耗、耐スクラッチの特性を有することができる。」
(6) 段落【0077】
「【0077】図10に示す電極構造の実施例のように、基板90の表面の艶消粗化層901に形成された電極構造において、金属導電層923’に形成された第1の黒化層924’が直接エッチング又は加工されて粗化されることで、粗面を有する黒化層が形成される。即ち、前述した艶消粗化構造は、黒化層を加工することで直接形成される。この第1の黒化層924’は、電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって金属導電層923’に形成される。この粗面は、第1の黒化層924’の表面にエッチング又は加工を施して形成される。粗面を有する第1の黒化層924’は、表面構造を介して金属導電層923’から反射して形成された光反射を散乱させることができ、ひいては光反射量を低減することができる。」
(7) 段落【0080】
「【0080】2層の黒化層を作成する工程において、第1の黒化層924’’は、電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって金属導電層923’’の上に形成される。第2の黒化層925’’は、電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって第1の黒化層924’’の上に形成される。即ち、両者は類似の作成方式で作成される。」
2 引用発明
したがって、上記引用文献1には、特に、<第5の実施例>(上記(3)-(4)の段落【0050】-段落【0053】、【図7A】の記載を参照。)と関連記載に着目すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「タッチパネル装置への適用において、構造は、透明基板とその基板上に形成される金属電極を含み、電極構造72は、積層構造となるように基板70の表面に形成され、電極構造72は主として、基板70と連結される第1の接着層721を含み、第1の接着層721には、第2の接着層722のように、引き続いて形成される金属導電層723を補強するための他の接着層が更に形成され、金属導電層723によって生じる光反射を低減又は回避するために、更に金属導電層723に電極構造72内の他の艶消粗化層724を形成するとともに、耐食能力及び黒化効果を有することのできる第1の黒化層725を引き続いて形成し、電極構造72の接着性及び導電性を高めるために、金属導電層723が純金属である場合、それと隣接する第2の接着層722にこの純金属が50%を超える含有量で含まれ、第1の接着層721に純金属が50%よりも低い含有量で含まれる段階的構造とし、艶消粗化層724の材料は、金属導電層723と異なってもよく、例えば、スパッタリング、蒸着等の乾式コーティング又は電気めっき、化学めっき等の湿式コーティングを含むコーティング条件を変更して、不連続な島状に分布して粗面又は多孔構造が形成されるように艶消粗化層724をコーティングし、艶消粗化層724の表面粗さ範囲は、好ましくはRa=0.001μm~0.2μmであり、最も好ましい粗さはRa=0.02μm~0.1μmであり、第1の黒化層725の厚さは、好ましくは0.001μm~1μmの範囲であり、第1の黒化層725によって、同時に金属細線自体の金属色を調整して、第1の黒化層725と合わせて用いられる金属微細回路自体の色をスクリーンのブラックマトリクス(Black matrix、BM)の色に近づかせ、コントラストや色差を減少させることができる、透明基板とその基板上に形成される金属電極。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「透明基板」である「基板70」は、本願発明1の「透明基材」に相当する。
イ 引用発明の基板上に形成される「金属電極」である「電極構造72」のうちで、「基板70と連結される第1の接着層721」、「第2の接着層722」、「金属導電層723」、「艶消粗化層724」は、「電極構造72の接着性及び導電性を高めるために、金属導電層723が純金属である場合、それと隣接する第2の接着層722にこの純金属が50%を超える含有量で含まれ、第1の接着層721に純金属が50%よりも低い含有量で含まれる段階的構造」であり、「艶消粗化層724の材料は、金属導電層723と異なってもよく、例えば、スパッタリング、蒸着等の乾式コーティング又は電気めっき、化学めっき等の湿式コーティングを含むコーティング条件を変更して、不連続な島状に分布して粗面又は多孔構造が形成されるように艶消粗化層724をコーティングし」ているから、本願発明1の「前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された金属層」に相当する。
ウ 引用発明の基板上に形成される「金属電極」である「電極構造72」のうちで、「第1の黒化層725」は、その具体的な製造方法が<第5の実施例>(引用文献1の段落【0050】-段落【0053】)には明記されていないものの、引用文献1の段落【0035】、【0077】、【0080】(上記第5の1(2)、(6)、(7)の記載を参照。)に、それぞれ、「第1の黒化層」が、「電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって」形成されることが記載されていることを考慮すると、引用発明の「第1の黒化層725」も、同様の「電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって」形成されると解される。
ここで、通常、用語「電解」には、めっき層を形成したいものを「陰極」とする電解(電気分解)である、「めっき」層を形成するケースと、酸化皮膜を形成したいものを「陽極」とする電解(電気分解)である、「酸化皮膜」を形成するケースとが含まれることが技術常識であるといえる。
よって、引用発明の「電極構造72」のうち、「第1の黒化層725」は、「電解」により形成される場合には、本願発明1の「前記金属層上に配置された湿式めっき黒化層」と、「前記金属層上に配置された電解により形成される黒化層」である点で共通するといえる。
エ 引用発明の「艶消粗化層724の表面粗さ範囲は、好ましくはRa=0.001μm~0.2μmであり、最も好ましい粗さはRa=0.02μm~0.1μmであ」ることは、本願発明1の「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」ことと、少なくとも、「前記金属層の前記電解黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.001μm以上0.2μm以下である」点で共通するといえる。
オ 引用発明の「透明基板とその基板上に形成される金属電極」は、本願発明1の「導電性基板」に相当する。
カ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された金属層と、前記金属層上に配置された電解により形成される黒化層とを有し、前記金属層の前記電解黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.001μm以上0.2μm以下である導電性基板。」
[相違点1]
本願発明1では、「黒化層」が「湿式めっき黒化層」であるのに対して、引用発明では、黒化層が、「電解、スパッタリング、蒸着又は塗布方法によって」形成されるものであって、「湿式めっき」により形成されることが特定されていない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRa(μm)が、前記湿式めっき黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下であり、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」のに対して、引用発明では、「第1の黒化層725」(本願発明の「湿式めっき黒化層」に対応。)と対向する「艶消粗化層724」の表面粗さが、「好ましくはRa=0.001μm~0.2μmであり、最も好ましい粗さはRa=0.02μm~0.1μmであ」ることは特定されているものの、「艶消粗化層724」の表面粗さが「黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下」であり、表面粗さの範囲が「0.024μm以上0.080μm以下」であることが特定されていない点。
(2) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、[相違点2]に係る本願発明1の「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRa(μm)が、前記湿式めっき黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下であり、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」という構成は、上記引用文献1には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、上記引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 請求項2について
本願発明2も、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRa(μm)が、前記湿式めっき黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下であり、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、上記引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定(令和3年1月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規性)本願請求項1-3に係る発明は、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)本願請求項1-3に係る発明は、上記引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
しかしながら、令和4年1月26日付けの補正により補正された請求項1-2は、それぞれ、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRa(μm)が、前記湿式めっき黒化層の厚さ(μm)の0.35倍以上0.67倍以下であり、前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」という技術的事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-2は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、上記引用文献1に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由の理由1(サポート要件)についての判断
当審では、請求項1-2において、金属層の「表面粗さRaが0.080μmを超える」部分については、発明の詳細な説明に記載されていない旨の拒絶の理由を通知しているが、平成4年1月26日付けの補正により、本件補正後の請求項1-2に係る発明は、「前記金属層の前記湿式めっき黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.024μm以上0.080μm以下である」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-2は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、上記引用文献1に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-005931