審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-005854

ネットワーク管理装置、物理ネットワーク管理装置、およびパス設定方法

審判番号
2021-005854
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-156470外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年05月07日
審決日
2022年03月30日
公報発行日
2022年05月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (H04L) / P18 .121-WY (H04L) / P18 .537-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-156470「ネットワーク管理装置、物理ネットワーク管理装置、およびパス設定方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月21日出願公開、特開2019-201429、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2015年(平成27年)12月15日(優先権主張 平成26年12月24日)を国際出願日とする出願である特願2016-565900号の一部を、令和元年8月29日に新たな特許出願としたものであって、令和2年7月9日付けで拒絶理由が通知され、令和2年9月9日に意見書が提出され、令和3年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和3年5月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、その後、令和3年12月17日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和4年2月18日に意見書が提出されるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和3年2月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 (新規性)本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 (進歩性)本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.国際公開第2014/054281号

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1 (明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1) 請求項1の「論理パスを設定する」処理とは、具体的に「論理パス」に関する、どのような処理を示すのかが不明確である。

請求項2-10についても同様である。

(2) 請求項1を引用する「請求項3」の、論理パスの「候補を選定」して、次に、論理パスを「候補の中から決定する」という2段階の処理と、請求項1の「論理パスを設定する」処理との関係が不明確である。

請求項8についても同様である。

2 (進歩性)本願請求項1、2、4に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、本願請求項5に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.米国特許公開第2014/0126355号明細書(当審において新たに引用した文献)

2.特開2007-259272号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明

本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和4年2月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段と、
光ネットワークの物理経路情報および伝送特性情報を含む物理ネットワーク情報を受け付ける受信手段、とを備え、
前記論理パス設定手段は、前記光ネットワークにおける物理パスに対応する前記論理パスを、あらかじめ取得した前記物理ネットワーク情報に基づいて設定し、
前記論理パス設定手段は、
前記論理パスの候補を前記物理経路情報に基づいて選定し、
前記論理パスの候補の中から、前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する
ネットワーク管理装置。」

なお、本願発明2-8の概要は以下のとおりである。

本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明である。

本願発明6-8は、本願発明5を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1

当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。

(ア) 段落[0019](一部抜粋)

「[0019] ・・・ Traffic engineering as used herein refers to the measurement and control of network traffic, and in particular to control and optimization of information routing in the network. ・・・」

(訳:

[0019] ・・・ ここでいうトラフィックエンジニアリングとは、ネットワークトラフィックの計測と制御、特にネットワーク内の情報ルーティングの制御と最適化のことを指す。 ・・・)

(イ) 段落[0030]-[0032]

「[0030] FIG. 1 illustrates an embodiment of a network architecture suitable for implementation of the methods and systems described in this disclosure. Network 100 can be described with a 2-layer model. Client layer 102 includes nodes labeled A through F, and server layer 104 includes nodes labeled Q through X. In one example of such a multilayer network, client layer 102 may be an IP/MPLS layer and server layer 104 may be a DWDM layer. In such an embodiment upper layer nodes A through F would represent routers and lower layer nodes Q through F would be optical nodes such as optical switches. The arrows between routers A through F would represent data connections rather than physical ones, and the arrows between optical nodes Q through X would represent optical fiber connections. Interlayer signaling connections between nodes A and Q and between nodes F and X could be implemented in such an embodiment using a GMPLS User to Network Interface (UNI), in which the client layer UNI-C node is considered a “user” of the server network. In the embodiment of FIG. 1, routers A and F may be configured as UNI-C nodes 110 which interact with elements Q and X of the server network, configured as UNI-N nodes 112. The connections between nodes in FIG. 1 may carry all kinds of information, depending on the network configuration, including the user data or “payload” as well as network information concerning operation of the network. As used herein, “network information” includes information regarding shared risk groups in a network, or “shared risk group information”. Shared risk group (SRG) information may include shared risk group identifiers and any other data or information associated with shared risk groups.
[0031] At the client layer, multiple data connection routes between nodes A through F can be used to connect one node to another. To connect nodes A and F, for example, possible routes include ABDF, ACEF, ABCEF, ABCDF, and ABDCEF. Each of these routes in the client layer is associated with a specific path in the server layer, although depending on the routing scheme used the client layer routing control plane may not have knowledge of that server layer path.
[0032] Definition of SRGs for network resources (links, nodes, equipment) or other aspects of the server network that could lead to failure can help the client layer routing control plane recover from failures. SRG information, including the set of SRG identifiers associated with a particular route, can help the control plane determine backup routes less likely to be affected by the same server-layer events that may cause a primary route failure. In practice, however, there are difficulties with SRG-aided routing, especially in the case of fully automated approaches to obtaining and using SRG information.」

(訳:

[0030] 図1は、本開示に記載の方法及びシステムの実施に適したネットワークアーキテクチャの一実施形態を示す。ネットワーク100は、2層モデルで説明することができる。クライアント層102は、A~Fとラベル付けされたノードを含み、サーバ層104は、Q~Xとラベル付けされたノードを含む。そのようなマルチレイヤネットワークの一例では、クライアント層102はIP/MPLS層であってもよく、サーバ層104はDWDM層であってもよい。このような実施形態では、上位層ノードA~Fはルータを表し、下位層ノードQ~F(当審注:「Q~X」の誤記と認める。)は光スイッチなどの光ノードとなる。ルータA~F間の矢印は、物理的な接続ではなく、データの接続を表し、光ノードQ~X間の矢印は、光ファイバの接続を表す。ノードAとQとの間、およびノードFとXとの間のレイヤ間シグナリング接続は、このような実施形態では、クライアント層のUNI-Cノードが、サーバネットワークの「ユーザ」とみなされるGMPLS User to Network Interface(UNI)を使用して実装され得る。図1の実施形態では、ルータA及びFは、UNI-Nノード112として構成されたサーバネットワークの要素Q及びXと相互作用するUNI-Cノード110として構成されてもよい。図1のノード間の接続は、ネットワーク構成に応じて、ユーザデータ又は「ペイロード」だけでなく、ネットワークの動作に関するネットワーク情報を含む、あらゆる種類の情報を運ぶことができる。本明細書では、「ネットワーク情報」には、ネットワーク内の共有リスクグループに関する情報、すなわち「共有リスクグループ情報」が含まれる。共有リスクグループ(SRG)情報は、共有リスクグループの識別子および共有リスクグループに関連するその他のデータまたは情報を含むことができる。

[0031] クライアント層では、あるノードと別のノードを接続するために、ノードA~F間の複数のデータ接続ルートを使用することができる。例えば、ノードAとFを接続するには、ABDF、ACEF、ABCEF、ABCDF、ABDCEFなどのルートがある。クライアント層のこれらのルートは、それぞれサーバ層の特定のパスに関連付けられているが、使用されるルーティングスキームによっては、クライアント層のルーティング制御プレーンがそのサーバ層のパスを知らない場合もある。

[0032] ネットワークリソース(リンク、ノード、機器)や、障害の原因となりうるサーバネットワークのその他の側面について、SRGを定義することは、クライアント層のルーティング制御プレーンが障害から回復するのに役立つ。(特定のルートに関連付けられたSRG識別子の集合を含む)SRG情報は、制御プレーンが、現用ルートの障害の原因となったサーバ層のイベントの影響を受けにくい予備ルートを決定するのに役立つ。しかし、実際には、SRG情報の取得および使用を完全に自動化した場合には、SRG支援ルーティングには困難が伴う。)

(ウ) 図1

「
[図:0001383833000001.jpg]
」

(エ) 段落[0037]

「[0037] A block diagram of an apparatus that may be used in conjunction with a network to implement the methods described herein is shown in FIG. 3. Apparatus 300 of FIG. 3 is configured for connection to a network, but is not necessarily a node within the network. Apparatus 300 may form a portion of a network management system for one or more layers of the network. As such, the apparatus could form a portion of a network controller or a server running a virtual networking application. Alternatively, apparatus 300 could be implemented using a more traditional network device such as a router. In embodiments for which apparatus 308 is implemented as a router, the router is preferably a router at a boundary between network layers or between domains, such as UNI-C routers 210 of FIG. 2 at the client layer to server layer interface, or routers 216 and 218 of FIG. 2 at a routing domain interface within the server layer.」

(訳:

[0037] 本明細書に記載されている方法を実施するために、ネットワークと組み合わせて使用することができる装置のブロック図を図3に示す。図3の装置300は、ネットワークに接続するように構成されているが、必ずしもネットワーク内のノードではない。装置300は、ネットワークの1つまたは複数の層のためのネットワーク管理システムの一部を形成することができる。このように、装置は、ネットワークコントローラの一部、又は、仮想ネットワークアプリケーションを実行するサーバの一部を形成することができる。あるいは、装置300は、ルータなどのより伝統的なネットワーク装置を用いて実装することもできる。装置308(当審注:「装置300」の誤記と認める。)が、ルータとして実装される実施形態では、ルータは、好ましくは、クライアント層からサーバ層へのインタフェースにおける図2のUNI-Cルータ210や、サーバ層内のルーティングドメインインタフェースにおける図2のルータ216および218のように、ネットワーク層間またはドメイン間の境界にあるルータである。)

(オ) 段落[0042]

「[0042] In alternative embodiments of a network having an upper network layer and a lower network layer, processing of SRG identifiers may be performed at least in part at the lower network layer, such that processed SRG identifiers from the lower layer may then be passed to the upper layer. For example, the number of SRG identifiers to be passed to the upper layer could be reduced by first performing at the lower layer a filtering or summarization process as described in this disclosure. In such an embodiment, the SRG identifiers passed to the upper network layer would be available for additional processing at the upper layer. The additional processing at the upper layer could include translation, association of additional information, additional filtering or summarization, and/or other operations and processes described in this disclosure. As another example, processing at the lower network layer may include one or more operations configured to ensure that the SRG identifiers at the lower network layer are unique over a set of SRG identifiers available for processing at the lower network layer. In a further embodiment, the processed SRG identifiers may be unique over all of the SRG identifiers available for processing at the lower layer. In some embodiments in which processing is performed at the lower network layer, network information relating to the upper network layer may be received at the lower network layer for use in the processing.」

(訳:

[0042] 代替的な実施形態の上位ネットワーク層と下位ネットワーク層を有するネットワークでは、SRG識別子の処理は、少なくとも一部は下位ネットワーク層で実行されて、処理されたSRG識別子が下位層から上位層に渡されてもよい。例えば、本開示に記載されるようなフィルタリング処理や要約処理を、下位層で先に実行することによって、上位層に渡されるSRG識別子の数を減らすことができる。このような実施形態では、上位ネットワーク層に渡されたSRG識別子を、上位層での追加処理に利用できる。上位層での追加処理には、翻訳、追加情報との関連付け、追加のフィルタリングや要約、及び/又は、本開示に記載される他の操作とプロセスが含まれ得る。別の例として、下位ネットワーク層での処理は、下位ネットワーク層でのSRG識別子が、下位ネットワーク層での処理に利用可能なSRG識別子の集合に対して一意であることを保証するように構成された1つまたは複数の操作を含むことができる。更に別の実施形態では、処理されたSRG識別子は、下位レイヤでの処理に利用可能なSRG識別子のすべてにわたって一意であってもよい。下位ネットワーク層で処理が実行されるいくつかの実施形態では、上位ネットワーク層に関連するネットワーク情報が、処理に使用するために、下位ネットワーク層で受信されてもよい。)

(カ) 段落[0048]

「[0048] In various embodiments, memory 308 of apparatus 300 further includes one or more of priority filtering process 314, translation/summarization process 316, and SRG ID extension process 318. Priority filtering process 314 contains computer executable instructions that when executed by processor 306 are operable to filter SRG identifiers associated with incoming data using priority information so that only SRG identifiers corresponding to network resources meeting a priority condition are stored. In this way, the number of SRG identifiers that must be processed by network routing protocols can be reduced. In an embodiment, processes 314, 316, and 318 form part of a network management system. A flow diagram illustrating an embodiment of the method performed through execution of priority filtering process 314 is shown in FIG. 5C. In the embodiment of FIG. 5C, SRG identifiers from a lower network layer are filtered at an upper network layer. Method 540 begins with receiving network information corresponding to data from a lower network layer (step 542). In an embodiment for which method 540 is implemented on a router, the router may be at a boundary between network layers. In an embodiment for which process 540 is implemented on, for example, a network controller or server, network information associated with data coming into a network node from a different network layer may be transmitted to apparatus 300 over the network.」

(訳:

[0048] 様々な実施形態において、装置300のメモリ308は、優先度フィルタリングプロセス314、翻訳/要約プロセス316、およびSRG ID拡張プロセス318のうちの1つまたは複数をさらに含む。優先度フィルタリングプロセス314は、プロセッサ306によって実行されると、優先度条件を満たすネットワークリソースに対応するSRG識別子のみが格納されるように、優先度情報を使用して受信データに関連するSRG識別子をフィルタリングするように動作可能なコンピュータ実行可能命令を含む。このようにして、ネットワークルーティングプロトコルによって処理されるべきSRG識別子の数を減らすことができる。一実施形態では、プロセス314、316、318は、ネットワーク管理システムの一部を形成する。優先度フィルタリングプロセス314の実行を通じて実行される方法の一実施形態を示すフロー図を図5Cに示す。図5Cの実施形態では、下位ネットワーク層からのSRG識別子は、上位ネットワーク層でフィルタリングされる。方法540は、下位ネットワーク層からのデータに対応するネットワーク情報を受信することから始まる(ステップ542)。方法540がルータ上で実施される実施形態では、ルータは、ネットワーク層間の境界にあってもよい。プロセス540が例えばネットワークコントローラまたはサーバ上で実施される実施形態では、異なるネットワーク層からネットワークノードに入ってくるデータに関連するネットワーク情報は、ネットワークを介して装置300に送信されてもよい。)

(キ) 段落[0052]

「[0052] Network information other than SRG identifiers, such as the SRG relatedness information described above, may also be forwarded to the traffic engineering function (step 556). This other network information forwarded to the TE function may also include, for example, probability of failure, mean time to failure, priority criteria as described above, and any other information useful to the TE function in making routing and backup path decisions. In the embodiment of FIG. 5C, only this other network information is forwarded to the traffic engineering function when there are no SRG identifiers in the received network information (“no” branch of decision step 544) or when there is no priority index associated with any of the SRG identifiers in the network information (“no” branches of decision steps 546 and 547). Such an embodiment limits the SRG identifiers used by the traffic engineering function of the upper layer to those designated to have priority above a defined threshold. In other words, SRG identifiers having no priority information are treated in this embodiment as if they have a below-threshold priority. In an alternate embodiment, SRG identifiers having no priority information could be stored and forwarded to the traffic engineering function, effectively treating them as having an above-threshold priority.」

(訳:

[0052] また、上述のSRG関連性情報など、SRG識別子以外のネットワーク情報も、トラフィックエンジニアリング機能に転送してもよい(ステップ556)。また、トラフィックエンジニアリング機能に転送されるこの他のネットワーク情報は、例えば、故障の確率、平均故障時間、上述の優先度基準、及び、トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う際に有用な他の情報を含んでもよい。図5Cの実施形態では、受信したネットワーク情報にSRG識別子がない場合(判断ステップ544における「NO」への分岐)、又は、ネットワーク情報のいずれのSRG識別子にも関連する優先度指標がない場合(判断ステップ546及び547の「NO」への分岐)、この他のネットワーク情報のみがトラフィックエンジニアリング機能に転送される。このような実施形態では、上位層のトラフィックエンジニアリング機能が使用するSRG識別子は、規定された閾値以上の優先度を割り当てられたものに限定される。言い換えれば、優先度情報を持たないSRG識別子は、本実施形態では、あたかも閾値以下の優先度を持つものとして扱われる。別の実施形態では、優先度情報を持たないSRG識別子を保存し、トラフィックエンジニアリング機能に転送することにより、実質的に閾値以上の優先度を持つものとして扱うことができる。)

(ク) 図5C

「
[図:0001383833000002.jpg]
」

(2) 引用発明

したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「トラフィックエンジニアリングとは、ネットワークトラフィックの計測と制御、特にネットワーク内の情報ルーティングの制御と最適化のことを指し、
ネットワーク100は、2層モデルで説明することができ、クライアント層102は、A~Fとラベル付けされたノードを含み、サーバ層104は、Q~Xとラベル付けされたノードを含み、マルチレイヤネットワークは、クライアント層102はIP/MPLS層であって、サーバ層104はDWDM層であって、上位層ノードA~Fはルータを表し、下位層ノードQ~Xは光スイッチなどの光ノードとなり、
ルータA及びFは、UNI-Nノード112として構成されたサーバネットワークの要素Q及びXと相互作用するUNI-Cノード110として構成され、
「ネットワーク情報」には、ネットワーク内の共有リスクグループに関する情報、すなわち「共有リスクグループ情報」が含まれ、共有リスクグループ(SRG)情報は、共有リスクグループの識別子および共有リスクグループに関連するその他のデータまたは情報を含むことができ、
装置300は、ネットワークの1つまたは複数の層のためのネットワーク管理システムの一部を形成することができ、装置300が、ルータとして実装され、ルータは、クライアント層からサーバ層へのインタフェースにおける、UNI-Cルータ210のように、ネットワーク層間の境界にあるルータであり、
上位ネットワーク層と下位ネットワーク層を有するネットワークでは、SRG識別子の処理は、少なくとも一部は下位ネットワーク層で実行されて、処理されたSRG識別子が下位層から上位層に渡されてもよく、
下位ネットワーク層からのSRG識別子は、上位ネットワーク層でフィルタリングされ、方法540は、下位ネットワーク層からのデータに対応するネットワーク情報を受信することから始まり(ステップ542)、
SRG関連性情報など、SRG識別子以外のネットワーク情報も、トラフィックエンジニアリング機能に転送し(ステップ556)、また、トラフィックエンジニアリング機能に転送されるこの他のネットワーク情報は、例えば、故障の確率、平均故障時間、優先度基準、及び、トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う際に有用な他の情報を含んでもよい、
装置300。」

2 引用文献2について

当審拒絶理由に引用した引用文献2には、段落【0028】-【0031】に、以下の記載がある。

「【0028】図1に戻って、監視制御端末装置RWOは、接続ノード情報記憶部RWO-1と、既存波長パス記憶部RWO-2と、追加波長パス生成部RWO-3と、追加波長パス設定部RWO-4とを備え、共通監視制御網NTを介して光通信ネットワーク全体を監視し、更に、既存の波長パスを維持管理し、新規波長パスを設定する部分である。
【0029】接続ノード情報記憶部RWO-1は、ネットワークのトポロジー情報、光通信ネットワークに接続されている全てのノードについてのノード情報を予め格納する記憶部である。ノード情報には、各ノードの機能、各ノードが配設されているネットワーク中での位置、許容帯域や周波数等の性能が含まれている。
【0030】既存波長パス記憶部RWO-2は、光通信ネットワーク中に既に設定されている波長パスの内容が格納される。波長パスの内容には、波長パスの始点ノード、波長パスの終点ノード、波長パスの始点から終点に至るまでに光信号が通過するノード、等が含まれる。既存の波長パスの内容が変更された場合には、変更後の内容と共に、変更履歴なども記憶される。
【0031】追加波長パス生成部RWO-3は、ネットワーク管理者から新規波長パスの設定要求を受入れると、接続ノード情報記憶部RWO-1、及び既存波長パス記憶部RWO-2を参照して、ネットワーク管理者が指定しているパスの始点ノードから終点ノードに至る経路(各ノード)をホップバイホップで生成する部分である。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1) 対比

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「クライアント層102はIP/MPLS層であって」、「上位層ノードA~Fはルータを表し」ているから、本願発明1の「パケットネットワーク」に相当する。

ここで、引用発明の「トラフィックエンジニアリング機能」は、「方法540は、下位ネットワーク層からのデータに対応するネットワーク情報を受信することから始まり(ステップ542)、SRG関連性情報など、SRG識別子以外のネットワーク情報も、トラフィックエンジニアリング機能に転送し(ステップ556)」ているから、「ネットワーク情報」の送信側の「サーバ層」(下位層)側ではなく、「クライアント層」(上位層)側にあることは明らかである。

よって、引用発明の「クライアント層」における「トラフィックエンジニアリング機能」は、「トラフィックエンジニアリングとは、ネットワークトラフィックの計測と制御、特にネットワーク内の情報ルーティングの制御と最適化のことを指し」、「トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う」から、本願発明1の「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」に相当する。

イ 引用発明の「サーバ層104はDWDM層であって」、「下位層ノードQ~Xは光スイッチなどの光ノードとな」るから、本願発明1の「光ネットワーク」に相当する。

引用発明の「ネットワーク内の共有リスクグループに関する情報、すなわち共有リスクグループ情報」(「SRG情報」)は、「ネットワーク内の共有リスクグループに関する情報」であって、要するに、同じネットワークリソースを「共有」しているという点で「リスク」を共有する経路やパスからなる「グループ」に関する情報であるから(必要ならば、引用文献1の段落[0004]の記載を参照。)、本願発明1の「光ネットワークの物理経路情報」に相当する。

引用発明のSRG情報以外の「他のネットワーク情報」は、「例えば、故障の確率、平均故障時間、優先度基準、及び、トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う際に有用な他の情報を含んでもよい」から、本願発明1の「伝送特性情報」に相当する。

したがって、引用発明の「ネットワーク情報」には、「ネットワーク内の共有リスクグループに関する情報、すなわち、「共有リスクグループ情報」が含まれ、共有リスクグループ(SRG)情報は、共有リスクグループの識別子および共有リスクグループに関連するその他のデータまたは情報を含むことができ」、「トラフィックエンジニアリング機能に転送されるこの他のネットワーク情報は、例えば、故障の確率、平均故障時間、優先度基準、及び、トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う際に有用な他の情報を含んでもよい」から、本願発明1の「光ネットワークの物理経路情報および伝送特性情報を含む物理ネットワーク情報」に相当する。

よって、引用発明の「下位ネットワーク層からのデータに対応するネットワーク情報を受信することから始まり(ステップ542)」は、本願発明1の「光ネットワークの物理経路情報および伝送特性情報を含む物理ネットワーク情報を受け付ける受信手段」に相当する。

ウ 引用発明の「SRG関連性情報など、SRG識別子以外のネットワーク情報も、トラフィックエンジニアリング機能に転送し(ステップ556)、また、トラフィックエンジニアリング機能に転送されるこの他のネットワーク情報は、例えば、故障の確率、平均故障時間、優先度基準、及び、トラフィックエンジニアリング機能がルーティング及びバックアップ用パスの決定を行う際に有用な他の情報を含んでもよい」ことは、本願発明1の「前記論理パス設定手段は、前記光ネットワークにおける物理パスに対応する前記論理パスを、あらかじめ取得した前記物理ネットワーク情報に基づいて設定する」ことと、「前記論理パス設定手段は、前記光ネットワークにおける物理パスに対応する前記論理パスを、取得した前記物理ネットワーク情報に基づいて設定する」点で共通するといえる。

エ 引用発明の「装置300」は、「ネットワークの1つまたは複数の層のためのネットワーク管理システムの一部を形成することができ、装置300が、ルータとして実装され、ルータは、クライアント層からサーバ層へのインタフェースにおける、UNI-Cルータ210のように、ネットワーク層間の境界にあるルータであ」るから、本願発明1の「ネットワーク管理装置」に相当する。

(2) 一致点、相違点

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]

「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段と、
光ネットワークの物理経路情報および伝送特性情報を含む物理ネットワーク情報を受け付ける受信手段、とを備え、
前記論理パス設定手段は、前記光ネットワークにおける物理パスに対応する前記論理パスを、取得した前記物理ネットワーク情報に基づいて設定する
ネットワーク管理装置。」

[相違点1]

本願発明1では、「前記論理パス設定手段は、前記光ネットワークにおける物理パスに対応する前記論理パスを、あらかじめ取得した前記物理ネットワーク情報に基づいて設定する」のに対して、引用発明では、「トラフィックエンジニアリング機能」(本願発明1の「論理パス設定手段」に相当。)が、「ネットワーク情報」を「あらかじめ」取得することが特定されていない点。

[相違点2]

本願発明1では、「前記論理パス設定手段は、前記論理パスの候補を前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」のに対して、引用発明では、「トラフィックエンジニアリング機能」(本願発明1の「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」に相当。)が、「前記論理パスの候補を前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」ことが特定されていない点。

(3) 当審の判断

事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」が、「前記論理パスの候補を(光ネットワークにおける)前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、(光ネットワークにおける)前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」という構成は、上記引用文献1、2には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

なお、上記引用文献2(上記「第5」、「2」を参照。)には、ネットワーク上のパスを設定する場合に、(「パス」で相互に接続されている)「ノード」に関する「ノード情報」を記憶して利用するようにする周知技術は記載されるが、相違点2に係る本願発明1の「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」が、「前記論理パスの候補を(光ネットワークにおける)前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、(光ネットワークにおける)前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」という構成は記載されていない。

したがって、本願発明1は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1、2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2-8について

本願発明2-8も、本願発明1の上記[相違点2]に係る「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」が、「前記論理パスの候補を(光ネットワークにおける)前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、(光ネットワークにおける)前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」という構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1、2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 当審拒絶理由の理由2(進歩性)についてのまとめ

以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由2によっては、もはや、本願を拒絶することはできない。

第7 当審拒絶理由の理由1(明確性)について

当審では、請求項1-10に対し、上記「第3」、「1」で示した拒絶の理由を通知しているが、令和4年2月18日になされた手続補正において、請求項1の「論理パスの設定」は、「前記論理パスの候補を前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。

第8 原査定についての判断

令和4年2月18日付けの手続補正により、補正後の請求項1-8は、本願発明1の上記[相違点2]に係る「パケットネットワークにおいて論理パスを設定する論理パス設定手段」が、「前記論理パスの候補を(光ネットワークにおける)前記物理経路情報に基づいて選定し、前記論理パスの候補の中から、(光ネットワークにおける)前記物理経路情報および前記伝送特性情報に基づいて前記論理パスを決定する」という技術的事項を有するものとなった。

当該技術的事項は、原査定における引用文献Aには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-8は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-005854

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決667件(日本電気株式会社)
  • 2025-007249拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)顧客管理装置、顧客管理方法、及びプログラム
    同じ当事者: 日本電気株式会社
  • 2024-017285拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)端末デバイスの方法、及び端末デバイス
    同じ当事者: 日本電気株式会社
  • 2025-015454拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)端末装置、ネットワーク装置、及び方法
    同じ当事者: 日本電気株式会社
  • 2025-011274拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム
    同じ当事者: 日本電気株式会社
  • 2025-005291拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)価格決定装置、価格決定方法及びプログラム
    同じ当事者: 日本電気株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)730件(113・H04L、121・H04L、537・H04L)
  • 2025-005484拒絶査定不服審判 / 2026-05-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)ダウンリンク測位参照信号をアグリゲートするための方法
    共通の審決分類: 113・H04L、121・H04L、537・H04L
  • 2025-001380拒絶査定不服審判 / 2026-03-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)2ステップのランダムアクセス手順のための複数の物理アップリンク共有チャネルリソー…
    共通の審決分類: 113・H04L、121・H04L、537・H04L
  • 2025-000285拒絶査定不服審判 / 2025-09-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)短距離通信方法、装置、及びシステム
    共通の審決分類: 113・H04L、121・H04L、537・H04L
  • 2024-017385拒絶査定不服審判 / 2025-08-26 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
    共通の審決分類: 113・H04L、121・H04L、537・H04L
  • 2024-013802拒絶査定不服審判 / 2025-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)通信システム、および、通信プログラム
    共通の審決分類: 113・H04L、121・H04L、537・H04L

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存