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特許拒絶査定不服審判

2021-005692

遊技機

審判番号
2021-005692
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-231508外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月30日
審決日
2022年02月16日
公報発行日
2022年03月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .4 -WY (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法39条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第39条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-231508号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日出願公開、特開2019- 37853号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成19年12月7日(以下「出願遡及日」という。)に出願した特願2007-316800号の一部を平成25年5月15日に新たな特許出願(特願2013-103025号)とし、さらにその一部を平成27年1月19日に新たな特許出願(特願2015-7937号)とし、さらにその一部を平成28年12月13日に新たな特許出願(特願2016-241485号)とし、さらにその一部を平成30年12月11日に新たな特許出願(特願2018-231508号)としたものであって、令和1年9月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月25日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年6月16日付けで拒絶の理由が通知(最後)され、同年8月20日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年2月26日付けで、令和2年8月20日提出の手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和3年4月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年11月9日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月22日に意見書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年4月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である(なお、AないしKについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

「A 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤に設けられ、遊技球が入球可能な作動口と、
B 該作動口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、
C 前記遊技盤に設けられ、前記抽選手段による抽選の結果に基づいて遊技球の入球が可能な所定状態とされる所定入球手段と、
D 該所定入球手段の上流に設けられた遊技球が通過する流路と、
続きを表示(全11行)
E 前記抽選手段による抽選の結果が特定の結果となった場合、または前記所定入球手段の特定領域を遊技球が通過した場合に、遊技者にとって有利な有利遊技状態へと移行する状態移行手段と、
F 前記流路の入球部を通過した遊技球を検出可能な検出手段と、
G 該検出手段による検出がされた場合に、遊技球通過に関する予め定められたデータに基づき、該検出された遊技球に関する情報を報知する第1報知手段と、
H 前記抽選手段による抽選の結果が前記特定の結果であるか前記特定の結果ではない非特定の結果であるかを報知する第2報知手段と、を備え、
I 前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記所定入球手段が前記所定状態となり、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球が前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記流路を通過した遊技球が前記所定入球手段へ入球、及び前記有利遊技状態が発生することを示唆する特定態様を報知可能であって、
J 前記検出タイミングが前記所定入球手段へ遊技球が入球し難い所定の期間である場合には前記特定態様による報知がされない
K ことを特徴とする遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>

1.特願2016-241485号(特許第6500883号公報)

第4 同日出願1

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願遡及日と同日の平成19年12月7日に出願した特願2007-316800号の一部を平成25年5月15日に新たな特許出願(特願2013-103025号)とし、さらにその一部を平成27年1月19日に新たな特許出願(特願2015-7937号)とし、さらにその一部を平成28年12月31日に新たな特許出願(特願2016-241485号(特許第6500883号公報;以下「同日出願1」という。)の請求項1に係る発明(以下、「同日発明1」という。)は、平成30年12月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、aないしkは、本願発明の特定事項AないしKに概ね対応させて合議体が付した。)。

「a 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤に設けられ、遊技球が入球可能な作動口と、
b 該作動口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、
c 前記遊技盤に設けられ、前記抽選手段による抽選の結果に基づいて遊技球の入球が可能な所定状態とされる所定入球手段と、
d 該所定入球手段の上流に設けられ、遊技球の流下速度を減速させることが可能な減速手段と、
続きを表示(全11行)
e 前記抽選手段による抽選の結果が特定の結果となった場合、または前記所定入球手段の特定領域を遊技球が通過した場合に、遊技者にとって有利な有利遊技状態へと移行する状態移行手段と、
f 前記減速手段の入球部を通過した遊技球を検出する検出手段と、
g 該検出手段による検出がされた場合に、遊技球に関する予め定められたデータに基づき、前記減速手段を通過した遊技球に関する情報を報知する第1報知手段と、
h 前記抽選手段による抽選の結果が前記特定の結果であるか前記特定の結果ではない非特定の結果であるかを報知する第2報知手段と、を備え、
i 前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球に基づき、前記所定入球手段が前記所定状態となり前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記減速手段を通過した遊技球が前記所定入球手段に入球し、前記有利遊技状態が発生する可能性が高まることを報知するものであって、
j 前記第1報知手段による報知と前記第2報知手段による報知は、遊技に関する情報を表示する1の表示装置に表示されるものである
k ことを特徴とする遊技機。」

第5 対比・判断

1 対比

本願発明と同日発明1を対比する。

(1)同日発明1の「a 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤に設けられ、遊技球が入球可能な作動口」は、本願発明の「A 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤に設けられ、遊技球が入球可能な作動口」に相当する。

(2)同日発明1の「b 該作動口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段」は、本願発明の「B 該作動口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段」に相当する。

(3)同日発明1の「c 前記遊技盤に設けられ、前記抽選手段による抽選の結果に基づいて遊技球の入球が可能な所定状態とされる所定入球手段」は、本願発明の「C 前記遊技盤に設けられ、前記抽選手段による抽選の結果に基づいて遊技球の入球が可能な所定状態とされる所定入球手段」に相当する。

(4)同日発明1の「d 該所定入球手段の上流に設けられ、遊技球の流下速度を減速させることが可能な減速手段」と、本願発明の「D 該所定入球手段の上流に設けられた遊技球が通過する流路」とは、「D’該所定入球手段の上流に設けられた遊技球が通過する流路」で共通する。

(5)同日発明1の「e 前記抽選手段による抽選の結果が特定の結果となった場合、または前記所定入球手段の特定領域を遊技球が通過した場合に、遊技者にとって有利な有利遊技状態へと移行する状態移行手段」は、本願発明の「E 前記抽選手段による抽選の結果が特定の結果となった場合、または前記所定入球手段の特定領域を遊技球が通過した場合に、遊技者にとって有利な有利遊技状態へと移行する状態移行手段」に相当する。

(6)同日発明1の「f 前記減速手段の入球部を通過した遊技球を検出する検出手段」と、本願発明の「F 前記流路の入球部を通過した遊技球を検出可能な検出手段」とは、「F’前記流路の入球部を通過した遊技球を検出可能な検出手段」で共通する。

(7)同日発明1の「g 該検出手段による検出がされた場合に、遊技球に関する予め定められたデータに基づき、前記減速手段を通過した遊技球に関する情報を報知する第1報知手段」と、本願発明の「G 該検出手段による検出がされた場合に、遊技球通過に関する予め定められたデータに基づき、該検出された遊技球に関する情報を報知する第1報知手段」とは、「G’ 該検出手段による検出がされた場合に、遊技球に関する予め定められたデータに基づき、該検出された遊技球に関する情報を報知する第1報知手段」で共通する。

(8)同日発明1の「h 前記抽選手段による抽選の結果が前記特定の結果であるか前記特定の結果ではない非特定の結果であるかを報知する第2報知手段」は、本願発明の「H 前記抽選手段による抽選の結果が前記特定の結果であるか前記特定の結果ではない非特定の結果であるかを報知する第2報知手段」に相当する。

(9)同日発明1の「i 前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球に基づき、前記所定入球手段が前記所定状態となり前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記減速手段を通過した遊技球が前記所定入球手段に入球し、前記有利遊技状態が発生する可能性が高まることを報知するものであって、」と、本願発明の「I 前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記所定入球手段が前記所定状態となり、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球が前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記流路を通過した遊技球が前記所定入球手段へ入球、及び前記有利遊技状態が発生することを示唆する特定態様を報知可能であって、」とは、「I’前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記所定入球手段が前記所定状態となり、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球が前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記流路を通過した遊技球が前記所定入球手段へ入球、及び前記有利遊技状態が発生する可能性が高まることを報知するものであって、」で共通する。

(10)同日発明1の「遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

(11)上記(1)ないし(10)からみて、本願発明と同日発明1とは、

「A 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤に設けられ、遊技球が入球可能な作動口と、
B 該作動口への遊技球の入球に基づいて抽選を行う抽選手段と、
C 前記遊技盤に設けられ、前記抽選手段による抽選の結果に基づいて遊技球の入球が可能な所定状態とされる所定入球手段と、
D’該所定入球手段の上流に設けられた遊技球が通過する流路と、
E 前記抽選手段による抽選の結果が特定の結果となった場合、または前記所定入球手段の特定領域を遊技球が通過した場合に、遊技者にとって有利な有利遊技状態へと移行する状態移行手段と、
F’前記流路の入球部を通過した遊技球を検出可能な検出手段と、
G’該検出手段による検出がされた場合に、遊技球に関する予め定められたデータに基づき、該検出された遊技球に関する情報を報知する第1報知手段と、
H 前記抽選手段による抽選の結果が前記特定の結果であるか前記特定の結果ではない非特定の結果であるかを報知する第2報知手段と、を備え、
I’前記第1報知手段は、前記第2報知手段によって前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることを報知後、前記所定入球手段が前記所定状態となり、前記第2報知手段による報知を発生させる契機となった遊技球とは異なる遊技球の入球が前記検出手段による検出がされた場合において、前記検出手段の検出タイミングと、前記抽選手段による抽選の結果が前記非特定の結果であることと、前記データに基づき、前記流路を通過した遊技球が前記所定入球手段へ入球、及び前記有利遊技状態が発生する可能性が高まることを報知するものである、
K 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項D、F、G、I)

「遊技球が通過する流路」が、

本願発明では、「流路」そのものであるのに対し、

同日発明1では「遊技球の流下速度を減速させることが可能な減速手段」となっている点。

・相違点2(特定事項G)

「第1報知手段」が、

本願発明では、「該検出手段による検出がされた場合に、遊技球通過に関する予め定められたデータに基づき、該検出された遊技球に関する情報を報知する」のに対し、

同日発明1では、「該検出手段による検出がされた場合に、遊技球に関する予め定められたデータに基づき、前記減速手段を通過した遊技球に関する情報を報知する」点。

・相違点3(特定事項I)

「第1報知手段」の「報知」に関し、

本願発明では、「前記流路を通過した遊技球が前記所定入球手段へ入球、及び前記有利遊技状態が発生することを示唆する特定態様を報知可能であ」あるのに対し、

同日発明1では、「前記減速手段を通過した遊技球が前記所定入球手段に入球し、前記有利遊技状態が発生する可能性が高まることを報知するものであ」る点。

・相違点4(特定事項J)

本願発明では、「前記検出タイミングが前記所定入球手段へ遊技球が入球し難い所定の期間である場合には前記特定態様による報知がされない」のに対し、

同日発明1では、「前記第1報知手段による報知と前記第2報知手段による報知は、遊技に関する情報を表示する1の表示装置に表示されるものである」点。

2 判断

事案に鑑み、相違点4について検討する。

同日発明1を先願とし、本願発明を後願とした場合について判断する。

本願発明は、「前記検出タイミングが前記所定入球手段へ遊技球が入球し難い所定の期間である場合には前記特定態様による報知がされない」との特定事項Jを有するものであり、同日発明1は、当該特定事項Jを有しないものであり、当該特定事項Jは周知技術であるともいえない。

本願発明は、前記特定事項Jにより、第1報知手段が、遊技球の検出タイミングが遊技者にとって有利な場合は、それを示す特別態様に係る表示を行い、遊技球の検出タイミングが遊技者にとって不利な場合は、特別態様に係る表示を行わないようにすることで、所定入球手段に遊技球の入球があったとき、当該入球のタイミングがどの程度有利なものであるか遊技者に認識させることができるという効果を奏する。

このような効果を奏する発明は、同日発明1との関係において周知・慣用技術の付加・削除・転換等であって、新たな効果を奏しないものに該当しない。

したがって、本願発明を先願とし、同日発明1を後願とした場合について検討するまでもなく、また、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明と同日発明1とは同一の発明ではない。

第6 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定は、令和1年11月25日提出の手続補正書により補正された請求項1が同日発明1と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

本願発明は、「前記検出タイミングが前記所定入球手段へ遊技球が入球し難い所定の期間である場合には前記特定態様による報知がされない」との特定事項Jを有し、同日発明1が該特定事項Jを有しないから、上記第5の2のとおり、本願発明は、同日発明1と同一ではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

当審拒絶理由は、本願発明が、本願の一部を新たな特許出願とした特願2021-96165号(特開2021-126555号公報)(以下「同日出願2」という。)の請求項1に係る発明と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

しかしながら、同日出願2は、令和3年12月22日提出の手続補正書による補正によって、その請求項1に係る発明(以下「同日発明2」という。)が、少なくとも、本願発明の特定事項I及びJを備えないものとなるとともに、新たに「さらに、前記入球検出手段での入球検出時である検出開始時から第1期間内における当該入球検出手段での入球検出数と、前記検出開始後の第2期間内における前記作動口への入球検出とに基づいて、前記開閉入球手段に遊技球が入球し易い状態が近づいていることとその状態の優劣とを示唆する優劣示唆手段を備えている」との特定事項が追加された。

このように、本願発明は、特定事項Jを備えることにより、上記第5の2で示した効果を奏し、同日発明2は、新たに追加された特定事項により、入賞装置の開閉入球手段に遊技球が入球し易い状態が近づいていることとその状態の優劣とを遊技者が知り得ることによる、遊技球が入賞するか否かの過程の見落としを低減できるという効果を奏することとなった。

以上のとおり、本願発明が同日発明2と同一でないこととなり、この拒絶の理由は解消した。

第8 むすび

以上のとおり、本願発明は、同日発明1又は2と同一ではないから、特許法第39条第2項に規定する要件を満たしていないということもできない。

したがって、原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-005692

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