2021-005555
情報処理装置、情報処理システム、及びプログラム
- 審判番号
- 2021-005555
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-065059外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月28日
- 審決日
- 2022年03月23日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】メタウォーター株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 分類
- P18 .537-WY (G06F) / P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成31年3月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年1月29日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
1 理由1
本願請求項1~10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2 理由2
本願請求項1~10に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年12月7日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「前記表示情報の少なくとも一部を特定する基準情報」と記載されているが、「基準情報」の「一部を特定する」とは、技術的にどのように「特定」することであるのか不明である。
また、「少なくとも一部」が「一部又は全部」を意味する(「全部」を含む)のか否か、「全部」を含むとすると、「表示情報」の「全部」を「特定する」とはどのような意味かも不明である。
請求項2に「前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち、前記表示部に最初に表示される前記表示情報の少なくとも一部を特定する」と記載されているが、修飾関係が特定できず、「前記表示要求が取得されたのち」が、「表示される」、「特定する」のいずれを修飾しているのか不明である。
請求項8~10にも請求項1と同様の記載がある。
2 理由2(進歩性)
この出願の請求項1~10に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 本願発明
本願請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、令和4年2月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される発明であって、それらのうち、本願発明1,7~9は以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段と、前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段と、を備え、前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定し、前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する、情報処理装置。」
「【請求項7】表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段と、続きを表示(全23行)前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段と、を備え、前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定し、前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する、情報処理システム。【請求項8】情報処理装置を、表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段と、前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段と、として機能させ、前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定し、前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する、プログラム。【請求項9】通信可能に接続された複数の情報処理装置によって構成され、表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段と、前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段と、を備え、前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定し、前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する、情報処理システムにおける、前記複数の情報処理装置のうち1つの情報処理装置を、前記取得手段、前記第1計測手段、前記第2計測手段、及び前記評価手段の少なくとも1つとして機能させる、プログラム。」
なお、本願発明2~6は、本願発明1を減縮した発明である。
第5 当審拒絶理由の理由1について
令和4年2月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲では、請求項1の記載において、「少なくとも」との記載が削除されるとともに、補正前の請求項2の記載の一部(読点の位置)を変更した「前記基準情報は、前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する」との記載が追加されており、その結果、「基準情報」が「表示情報」をどのように「特定」するかが明確なものとなり、また、修飾関係も明確なものとなった。
以上の点は、請求項7~9の各記載についても同様である。
よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。
第6 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1の記載
当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。)。
「【0023】図1は、一実施形態における本明細書に開示されるこのシステムを示す。ユーザは、自分の手の中に、レイテンシ測定システム102とここで呼ばれるシステムを保持し、その末端間レイテンシが測定される試験装置103の一部であるタッチスクリーン104の表面を、穏やかにタップする。実施形態において、この試験装置103は、限定されるものではないが、スマートフォン、タブレット、またはタッチパネル式PCとすることができる。【0024】実施形態において、レイテンシ測定システム102は、その末端間レイテンシが測定される試験装置103のタッチスクリーン104上に、ユーザによって意図的に落下されるように構成される。【0025】種々の実施形態において、レイテンシ測定システム102は、このレイテンシ測定システム102が物理的にタッチスクリーン104と接触する時点、および、ハンマー102の模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーンのディスプレイに画像変化を生じさせる時点を測定するための2つのセンサを使用する。第1のセンサ204は接触センサとすることができ、レイテンシ測定システム102とタッチスクリーン104との間の物理的接触または疑似的な物理的接触を測定する。第2のセンサ205は画像変化センサとすることができ、レイテンシ測定システムの模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーン104に表示される画像変化を測定する。」
「【0032】第1のセンサ204(例えば接触センサ)は、レイテンシ測定システム102がタッチスクリーン104と接触するときに生じる機械的衝撃を電気信号に変換するように配置される。第1のセンサ204は、電気的信号の変化を測定することが可能な計算エンジン201に接続208されている。実施形態において、計算エンジンは、第1のセンサが起動した第1の時点と、第2のセンサが起動した第2の時点とを記録し、レイテンシの計算に関係する2つの時点の差を算定する。実施形態において、計算エンジンは、第1のセンサからの信号で起動し、第2のセンサからの信号で停止する自走クロックを含み、それらによって、測定されるレイテンシを反映するデータが提供される。」
「【0065】別の実施形態において、試験装置103に予めインストールされたソフトウェアプログラムは、物理的タッチ入力事象を受信しないときは、タッチスクリーン104を全体が黒の状態に保持され、その後、レイテンシ測定システム102から受信した各模擬事象に応答して白の四角形を表示するように設定することができ、白の四角形の画像的応答の各々は、第2のセンサ205(例えば画像変化センサ)による容易な検出を確実にするため、適当な寸法に形成される。」
「【0160】測定されたレイテンシは、複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較し、デバイス間の質的または量的のいずれかの比較として報告することができる。」
「【図1】[図:0001383037000001.jpg]」
2 引用発明
上記1の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「システムであって、ユーザは、自分の手の中に、レイテンシ測定システム102を保持し、試験装置103の一部であるタッチスクリーン104の表面を、穏やかにタップし、レイテンシ測定システム102は、このレイテンシ測定システム102が物理的にタッチスクリーン104と接触する時点、および、ハンマー102の模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーンのディスプレイに画像変化を生じさせる時点を測定するための2つのセンサを使用し、第1のセンサ204は接触センサとすることができ、レイテンシ測定システム102とタッチスクリーン104との間の物理的接触を測定し、第2のセンサ205は画像変化センサとすることができ、レイテンシ測定システムの模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーン104に表示される画像変化を測定し、第1のセンサ204は、計算エンジン201に接続208され、計算エンジンは、第1のセンサが起動した第1の時点と、第2のセンサが起動した第2の時点とを記録し、レイテンシの計算に関係する2つの時点の差を算定し、試験装置103は、レイテンシ測定システム102から受信した各模擬事象に応答して白の四角形を表示するように設定することができ、白の四角形の画像的応答の各々は、第2のセンサ205(例えば画像変化センサ)による容易な検出を確実にするため、適当な寸法に形成され、測定されたレイテンシは、複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較し、デバイス間の質的または量的のいずれかの比較として報告することができる、システム。」
第7 当審拒絶理由の理由2について(引用発明との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明は、
「ユーザは、自分の手の中に、レイテンシ測定システム102を保持し、試験装置103の一部であるタッチスクリーン104の表面を、穏やかにタップし、レイテンシ測定システム102は、このレイテンシ測定システム102が物理的にタッチスクリーン104と接触する時点、および、ハンマー102の模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーンのディスプレイに画像変化を生じさせる時点を測定するための2つのセンサを使用し、第1のセンサ204は接触センサとすることができ、レイテンシ測定システム102とタッチスクリーン104との間の物理的接触を測定し、第2のセンサ205は画像変化センサとすることができ、レイテンシ測定システムの模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーン104に表示される画像変化を測定」する
ものであるとともに、
「試験装置103は、レイテンシ測定システム102から受信した各模擬事象に応答して白の四角形を表示するように設定することができ」る
ものである。
ここで、「レイテンシ測定システム102が物理的にタッチスクリーン104と接触する」ことにより、「試験装置103」において「模擬的なタッチ入力」がなされ、「試験装置103」がこれに「応答して」、「タッチスクリーン104」に「白の四角形を表示する」、「タッチスクリーンのディスプレイ」の「画像変化」が「生じ」ること、「白の四角形」の表示が画像データに基づいていること、がそれぞれ明らかである。したがって、「模擬的なタッチ入力」は、「試験装置103」の「タッチスクリーンのディスプレイ」に「白の四角形」の表示のための画像データを表示させるといえる。
そして、「タッチスクリーンのディスプレイ」、上記画像データは、それぞれ、本願発明1の「表示部」、「表示情報」に相当する。
また、「模擬的なタッチ入力」は、「白の四角形を表示する」ことの「試験装置103」に対する要求であるということができ、本願発明1の「表示要求」に相当する。
(イ)引用発明は、
「第1のセンサ204は、計算エンジン201に接続208され、計算エンジンは、第1のセンサが起動した第1の時点と、第2のセンサが起動した第2の時点とを記録し、レイテンシの計算に関係する2つの時点の差を算定」する
ものであるから、引用発明の「計算エンジン201」は、「第1のセンサ204」からの出力を「接続208」を介して「取得する」手段と、「第1のセンサが起動した第1の時点」を「計測する」手段と、「第2のセンサが起動した第2の時点」を「計測する」手段とを、それぞれ機能として有するといえる。
そして、「第1のセンサ204」は、上記(ア)で検討した引用発明の構成によれば、「模擬的なタッチ入力」を感知して、これに対応する信号を出力するといえる。
したがって、「第1のセンサ204」からの出力を「取得する」ことは、実質的に「模擬的なタッチ入力」を「取得する」ことに等しく、この点は、上記(ア)で更に検討した点も踏まえると、本願発明1の「表示要求を取得する」ことに相当する。
また、「第1のセンサが起動した第1の時点」は、「第1のセンサ204」から信号が出力された時点、すなわち「模擬的なタッチ入力」が「取得されたとき」であることが明らかであって、本願発明1の「前記表示要求が取得されたときの第1時間」に相当し、上記「第1のセンサが起動した第1の時点」を「計測する」手段は、本願発明1の「第1計測手段」に相当する。
(ウ)上記(イ)の「第2のセンサが起動した第2の時点」は、上記(ア)で検討した引用発明の構成における「第2のセンサ205」により「測定」される、「レイテンシ測定システムの模擬的なタッチ入力に対し応答してタッチスクリーン104に表示される画像変化」として、「白の四角形」の表示のための画像データが「表示されたと判定したとき」であることが明らかであって、上記(ア)で更に検討した点も踏まえると、本願発明1の「前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間」に相当し、上記(イ)の「第2のセンサが起動した第2の時点」を「計測する」手段は、本願発明1の「第2計測手段」に相当する。
(エ)上記(ア)~(ウ)から、引用発明の「計算エンジン201」は、本願発明1の
「表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段」
に相当する構成を、機能として有している。
(オ)引用発明は、上記(イ)で述べた、
「第1のセンサ204は、計算エンジン201に接続208され、計算エンジンは、第1のセンサが起動した第1の時点と、第2のセンサが起動した第2の時点とを記録し、レイテンシの計算に関係する2つの時点の差を算定」することに加えて、
「測定されたレイテンシは、複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較し、デバイス間の質的または量的のいずれかの比較として報告することができる」
ものである。
ここで、「測定されたレイテンシ」は、「第1の時点」及び「第2の時点」の対から算出されるということができ、本願発明1の「応答時間」に相当する。
また、「測定されたレイテンシ」を「複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較」することは、「複数の入力デバイス」の「レイテンシ」を基準値として、「測定されたレイテンシ」を当該基準値と比較すること、換言すれば、「測定されたレイテンシ」に基づいて、「複数の入力デバイス」の「レイテンシ」よりも小さい(又は大きい)との「所定の基準が満たされるか否かを評価する」ことであり、引用発明は、そのための手段、すなわち「評価手段」を当然に備えている。
以上の点について上記(ウ)も踏まえると、引用発明は、本願発明1の
「前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段」
に相当する構成を有している。
(カ)引用発明は、
「試験装置103は、レイテンシ測定システム102から受信した各模擬事象に応答して白の四角形を表示するように設定することができ、白の四角形の画像的応答の各々は、第2のセンサ205(例えば画像変化センサ)による容易な検出を確実にするため、適当な寸法に形成され」る
ものである。
ここで、「レイテンシ測定システム102から受信した各模擬事象」は、上記(ア)で述べた引用発明の構成における「模擬的なタッチ入力」を複数回入力した場合の各「模擬的なタッチ入力」であることが明らかであり、それらの個々について、「模擬的なタッチ入力」に「応答して」、「タッチスクリーン104」上の当該「模擬的なタッチ入力」がなされた位置が特定され、その位置を示す位置情報に従って、「適当な寸法に形成され」た「白の四角形」を表示することで、「第2のセンサ205(例えば画像変化センサ)による容易な検出」が可能であるものと解される。
また、上記(ア)で述べた「白の四角形」の表示のための画像データは、「白の四角形」に係る部分を含む「タッチスクリーン104」の全体の画像データであって、「白の四角形」が占める領域に係る部分と、それ以外の領域(「白の四角形」の周囲の領域)に係る部分とからなるものと解される。
そうすると、引用発明は、「タッチスクリーン104」の全体の画像データにおける一部である、「白の四角形」が占める領域に係る部分の位置が、「模擬的なタッチ入力」の位置情報によって特定され、上記(イ)の「第2のセンサが起動した第2の時点」を「計測する」手段が、当該「模擬的なタッチ入力」の位置情報に基づいて、「タッチスクリーン104」の全体の画像データが「タッチスクリーンのディスプレイ」に表示されたか否かを判定するものであるといえる。また、「模擬的なタッチ入力」の位置情報は、「タッチスクリーン104」の全体の画像データが「タッチスクリーンのディスプレイ」に表示されたか否かの判定の基準となる情報であるといえるものであって、本願発明1の「基準情報」に相当する。
以上の点について上記(ア)、(イ)で更に検討した点も踏まえると、引用発明は、本願発明1の
「前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定」する
ことに相当する構成を有している。
(キ)引用発明は、上記(エ)の「計算エンジン201」を含む装置(「レイテンシ測定システム102」)と、上記(オ)の「測定されたレイテンシは、複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較」する手段とを備えるシステムであるということができ、当該システムと本願発明1の「情報処理装置」とは、「システム」である点で共通している。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
「表示部に表示情報を表示させる表示要求を取得する取得手段と、前記表示要求が取得されたときの第1時間を計測する第1計測手段と、前記表示要求に応答して前記表示部に前記表示情報が表示されたと判定したときの第2時間を計測する第2計測手段と、前記第1時間及び前記第2時間の対から算出される応答時間に基づいて所定の基準が満たされるか否かを評価する評価手段と、を備え、前記第2計測手段は、前記表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定する、システム。」
ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「前記基準情報」が、「前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する」情報であるのに対して、引用発明では、「模擬的なタッチ入力」がなされた位置を示す位置情報は、そのような内容の情報ではない点。
(相違点2)
本願発明1は、「情報処理装置」が、「取得手段」、「第1計測手段」、「第2計測手段」及び「評価手段」の全てを「備え」るのに対して、引用発明は、単一の装置(「計算エンジン201」を含む装置である「レイテンシ測定システム102」)が、「第1のセンサ204は、計算エンジン201に接続208され、計算エンジンは、第1のセンサが起動した第1の時点と、第2のセンサが起動した第2の時点とを記録し、レイテンシの計算に関係する2つの時点の差を算定」する動作を実行する各手段を備えるものの、「測定されたレイテンシは、複数の入力デバイス(同じモデルの異なる製品または異なるバージョン、異なるモデルなど)で得られたそれらの測定値と比較」する手段については、当該装置が備えるか否かが特定されない点。
(2)判断
そこで、相違点1について検討する。
表示要求が取得されたのち表示部に最初に表示される、表示情報の一部を特定する基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定することは、引用文献1には記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったともいえない。
そうすると、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~9について
本願発明2~6は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明7,8は、それぞれ本願発明1に対応するシステム、プログラムの発明であり、本願発明9は、本願発明7と同一のシステムを構成する複数の装置のうちの一部に係るプログラムの発明であって、いずれも本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。
そうすると、本願発明2~9も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 小括
以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。
第8 原査定についての判断
令和4年2月8日に提出された手続補正書により、請求項1~9は、「前記取得手段によって前記表示要求が取得されたのち前記表示部に最初に表示される、前記表示情報の一部を特定する」、「基準情報に基づいて、前記表示部に前記表示情報が表示されたか否かを判定」するとの技術的事項を含むものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A(引用文献1)には記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1~9は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-005555