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特許拒絶査定不服審判

2021-005008

多芯ケーブル

審判番号
2021-005008
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-107826外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月19日
審決日
2021年10月22日
公報発行日
2021年12月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-107826「多芯ケーブル」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開,特開2018-206527,請求項の数(3)〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は,特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2017年(平成29年) 5月31日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年11月 9日付け:拒絶理由通知
令和 3年 1月13日  :意見書,手続補正書の提出
令和 3年 2月 3日付け:拒絶査定
令和 3年 4月19日  :審判請求書,手続補正書の提出
令和 3年 7月 5日  :上申書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和 3年 2月 3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術(引用文献2-3)に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1 特開2015-069726号公報

引用文献2 特開2014-175070号公報

引用文献3 特開2016-021415号公報

第3 審判請求時の補正について

審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

審判請求時の補正は,補正前の請求項3の「シールド層」について,「前記シールド層は金属樹脂テープ,金属編組またはこれらの組み合わせで構成されている」と限定を加える補正するものであるから,特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。

また,審判請求時の補正は,本願の願書に最初に添付された明細書の段落0023に記載された事項であり,新規事項を追加するものではないといえ,当該補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1-3に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明

本願請求項1-3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は,令和 3年 4月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は,以下のとおりの発明である。

「 導体と前記導体を覆う絶縁層とを有する絶縁電線を三本以上備え,
前記三本以上の絶縁電線は,二本の前記絶縁電線が撚り合わされた対撚絶縁電線を含み,
前記対撚絶縁電線は,金属編組で覆われており,
前記対撚絶縁電線の前記導体は,複数の素線で形成されており,
前記金属編組は,前記対撚絶縁電線の導体の素線の外径よりも小さい外径の素線が複数本撚り合わされた撚線を用いて編組されており,
前記金属編組で覆われた前記対撚絶縁電線と他の絶縁電線とが外被で覆われて
いる,多芯ケーブル。」

なお,本願発明2-3は,本願発明1のすべての構成要素を備えた発明である。

第5 引用文献,引用発明等

1 引用文献1について

(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様である。)

「【0014】
<本発明の第1実施形態>
以下に,本実施形態に係る電気ケーブルの構成を,図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1(a)に示すように,本実施形態に係る電気ケーブル10は,導体コア11と,導体コア11の外周に形成された編組層13と,を備えている。導体コア11と編組層13との間には,介在12が設けられている。介在12は,例えば,シリコン,ETTE(ポリテトラフルオロエチレン),複数のステープル・ファイバ糸等から構成される。介在12は,スポンジ状或いは液状の埋め込み材等であってもよい。なお,導体コア11と編組層13との間は,空隙であってもよい,つまり,導体コア11と編組層13との間に,介在12を設けなくともよい。
【0016】
導体コア11は,絶縁層により外周が被覆された導体を有する。詳しくは,導体コア11は,図2に横断面図を示すように,複数(図2中では2本を図示)の電力線101と,複数(図2中では2本を図示)の信号線102と,を撚り合わせることで構成されている。電力線101は,複数の導体素線(図示せず)を撚り合わせることにより形成された中心導体101aと,中心導体101aの外周に形成された絶縁層101bと,を備えた絶縁被覆電線として構成されている。信号線102は,2本の信号線コア102aを撚り合わせてなる対撚線と,この対撚線の外周に形成された編組シールド102dと,を備えたシールド付きツイストペアケーブルとして構成されている。信号線コア102aは,複数の導体素線(図示せず)を撚り合わせることにより形成された中心導体102bと,中心導体102bの外周に形成された絶縁層102cと,により構成されている。編組シールド102dは,複数の金属線を対撚線の外周に編み合わせることで構成されている。中心導体101a,102bを形成する導体素線は,例えばSn含有銅合金(Cu-0.15~0.7wt%Sn合金)等により構成されている。絶縁層101b,102cは,例えば架橋ポリエチレン等により構成されている。
【0017】
編組層13は,本実施形態では,第1の金属線16mと第1の繊維線15fとを電気ケーブル10の長手方向に沿って所定の順序で複数配列させ,導体コア11の外周に螺旋状に巻き回してなる第1の線群13aと,第2の金属線16mと第2の繊維線15fとを電気ケーブル10の長手方向に沿って所定の順序で複数配列させ,上述の第1の線群13aとは逆向きに導体コア11の外周に螺旋状に巻き回してなる第2の線群13bと,を編み合わせることで形成されている。」
「【0027】
シース14の構成材としては,耐熱性,耐候性,耐油性,耐水性が良好な材料を用いるのが好ましく,例えば,ブレーキホース用のゴム材料として慣用的に用いられている材料を用いるのが好ましい。~」
「
」
「
」

(2)ここで,引用文献1に記載されている事項を検討する。

ア 段落0015,0027及び図1,2の記載から,引用文献1の「電気ケーブル10」は,「導体コア11と,導体コア11の外周に形成された編組層13」が,「シース14」に覆われていると認められる。

(3) 以上から,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 導体コア11と,導体コア11の外周に形成された編組層13が, シース14に覆われており,
導体コア11は,複数の電力線101と,複数の信号線102と,を撚り合わせることで構成され,
電力線101は,複数の導体素線を撚り合わせることにより形成された中心導体101aと,中心導体101aの外周に形成された絶縁層101bと,を備えた絶縁被覆電線として構成され,
信号線102は,2本の信号線コア102aを撚り合わせてなる対撚線と,この対撚線の外周に形成された編組シールド102dと,を備えたシールド付きツイストペアケーブルとして構成され,
信号線コア102aは,複数の導体素線を撚り合わせることにより形成された中心導体102bと,中心導体102bの外周に形成された絶縁層102cと,により構成され,
編組シールド102dは,複数の金属線を対撚線の外周に編み合わせることで構成されている
電気ケーブル10。」

2 引用文献2について

(1) 原査定の拒絶の理由において周知技術として引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下,本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0016】
図1に示すように,本実施の形態に係る編組シールド付ケーブル10は,シールド線11を編み込んで形成された編組シールド12を備え,シールド線11は,7本又は19本の素線13を撚り合わせた撚線からなることを特徴とする。」
「【0040】
(屈曲・捻回寿命試験)
実施例1及び比較例1に係る編組シールド付ケーブルのそれぞれについて,ケーブル長が2.2mとなるように試験片として切断し,この試験片に対して±135度の屈曲と±180度の捻回との組み合わせを1サイクルとした屈曲・捻回寿命試験を実施し,何サイクルの耐屈曲性及び耐捻回性を有するかについて調査したところ,表1に示すように,何れの編組シールド付ケーブルでも目標とする56万サイクルの耐屈曲性及び耐捻回性を有していた。」
「
」
「
」

3 引用文献3について

(1) 原査定の拒絶の理由において周知技術として引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
[本願発明の実施形態の詳細]
以下,本発明に係る多芯ケーブル及びその製造方法の実施の形態の例を,図面を参照して説明する。
【0016】
続きを表示(全24行)
図1に示すように,本実施形態に係る多芯ケーブル11は,複数本(本例では10本)の多芯集合ユニット21を有し,これらの多芯集合ユニット21は,撚り合わされて配列されて束ねられている。これらの多芯集合ユニット21は,複数本(例えば,16本)の細径ケーブル12を撚り合わせたものであり,外径が例えば1.65mmである。細径ケーブル12は,その長さ方向に垂直な断面において中心層に6本の細径ケーブル12,外層に10本の細径ケーブル12が同心円状に配置されたものである。これらの複数本の多芯集合ユニット21は,その外周に樹脂テープ22が緩く巻かれて束ねられている。多芯ケーブル11は,束ねられた多芯集合ユニット21の外周側がシールド層23によって覆われており,さらに,このシールド層23の外周側が外被24によって覆われている。
【0017】
細径ケーブル12は,外径が例えば0.35mmの同軸電線または絶縁電線である。同軸電線は中心導体の周囲に絶縁体が被覆され,その周囲に外部導体が層状に配置され,その周囲が絶縁体で覆われたものである。外部導体は多数本の金属細線が螺旋状に巻かれたり,金属テープが巻かれたりしたものである。絶縁電線は導体が絶縁体で被覆されたものである。同軸電線の場合,AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG40程度のものが用いられ,絶縁電線の場合,AWG32程度のものが用いられる。
【0018】
樹脂テープ22としては,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートが用いられる。この樹脂テープ22が巻かれた状態での複数本の多芯集合ユニット21の束の外径は例えば5.4mmである。
【0019】
シールド層23は,図2に示す撚線23aを複数本用いて編組したものであり,外径は例えば5.9mm程度である。撚線23aは,銀メッキ銅銀合金線である素線23bが少なくとも2本撚り合わされたものである。2本もしくは3本の素線23bが撚り合わされて撚線23aを形成することが好ましい。素線23bは,その外径が従来の多芯ケーブルのシールド層に用いられる素線(素線径:0.12mm)よりも小さく,例えば0.05mm以下であるのが好ましい。また,素線23bは,その撚りピッチPが撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下,好ましくは25倍以上50倍以下となるように撚り合わされている。ここで,撚りピッチPとは,撚線23aの軸方向に沿って素線23bが一回転する間に進む距離のことを示す。撚線23aの外径Dは,少なくとも2本の素線23bが撚り合わされたときの外径を示す。素線23bの撚りピッチPが撚線23aの外径Dの20倍未満であるとシールド層23の屈曲性の向上が見込めない。撚りピッチPが外径Dの25倍以上であると屈曲性がさらに向上する。素線23bの撚りピッチPが撚線23aの外径Dの50倍よりも大きいと編組時に素線が浮き上がって良品率が極端に悪くなる。
【0020】
外被24は,例えば,ポリ塩化ビニル(PVC)などの弾性を有する軟質合成樹脂から形成されている。このように構成された多芯ケーブル11の外径は例えば8.3mm程度である。
【0021】
次に,本実施形態の多芯ケーブル11の製造方法について説明する。
まず,複数本の細径ケーブル12を撚り合わせて集合させ,多芯集合ユニット21を形成する。次に,複数本の多芯集合ユニット21を撚り合わせて集合させる。
【0022】
次に,寄せ集めた複数本の多芯集合ユニット21の周囲に,樹脂テープ22を巻き付け,多芯集合ユニット21を束ねる。この樹脂テープ22は,寄せ集めた多芯集合ユニット21の一端側から巻き始め,他端側へ向かって螺旋状に巻き付ける。樹脂テープ22を巻き付けると,複数本の多芯集合ユニット21は,束ねられた状態に維持される。
【0023】
次に,図2に示すように,例えば外径0.05mmの少なくとも2本の素線23bを撚り合わせて撚線23aを形成する。このとき,素線23bの撚りピッチPは撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下となるように撚り合わせる。そして,この撚線23aを多芯集合ユニット21の外周に編組していくことで,シールド層23を形成する。
【0024】
その後,シールド層23を被せた多芯集合ユニット21の束の外周に外被となる樹脂を押出被覆することで,外被24を形成する。このようにして,多芯集合ユニット21の束にシールド層23と外被24とが順に被せられた多芯ケーブル11が完成する。
【0025】
上記実施形態に係る多芯ケーブル11によれば,シールド層23が少なくとも2本の素線23bが撚り合わされて形成された撚線23aを編組したものであるため,従来よりも素線径を小さくすることができる。これにより,多芯ケーブル11を屈曲させた時の素線23bの歪みが小さくなり,かつシールド層23を構成する線が撚線であるので屈曲や曲げに対する耐久性が向上する。これにより,シールド層23の断線が抑制できる。また,素線23bの撚りピッチPは撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下であるので,編組時の素線浮きを防止しつつ,多芯ケーブル11の屈曲性や捻回性などの機械的信頼性を向上させることができる。」
「
」
「
」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明において「電力線101」は「中心導体101aと,中心導体101aの外周に形成された絶縁層101bと,を備えた絶縁被覆電線として構成され」ており,また,「信号線コア102a」は「複数の導体素線を撚り合わせることにより形成された中心導体102bと,中心導体102bの外周に形成された絶縁層102cと,により構成され」ている。

すると,引用発明の「電力線101」及び「信号線コア102a」は,どちらも,本願発明1の「導体と前記導体を覆う絶縁層とを有する絶縁電線」に相当する。

イ 引用発明の「2本の信号線コア102aを撚り合わせてなる対撚線」は,本願発明1の「二本の前記絶縁電線が撚り合わされた対撚絶縁電線」に相当する。

そして,引用発明において「対撚線」の外周に形成された「編組シールド102d」は,「複数の金属線を対撚線の外周に編み合わせることで構成されている」から,本願発明1の「金属編組」に対応する。

すると,引用発明の「対撚線」は,本願発明1の「前記対撚絶縁電線」と,「金属編組で覆われて」いる点で一致する。

ウ 引用発明の「信号線コア102a」における「中心導体102b」は,「複数の導体素線を撚り合わせることにより形成され」ているから,本願発明1の「前記対撚絶縁電線の前記導体」と,「複数の素線で形成されて」いる点で一致する。

エ 引用発明において,「導体コア11」は,「複数の電力線101と,複数の信号線102と,を撚り合わせることで構成」されており,「導体コア11の外周に形成された編組層13が,シース14に覆われて」いることから,「複数の電力線101と,複数の信号線102」は,「シース14」に覆われていると認められる。

そして,引用発明の「シース14」が,本願発明1の「外被」に相当する。

オ 引用発明の「電気ケーブル10」は,「複数の電力線101と,複数の信号線102と,を撚り合わせることで構成」されるから,「多芯」であるといえる。

ここで,引用発明の「信号線102」は,「2本の信号線コア102aを撚り合わせてなる」から,「複数の電力線101と,複数の信号線102」から構成される「電気ケーブル10」は,「絶縁電線を三本以上備え」ていることは明らかである。

すると,引用発明の「電気ケーブル10」は,引用発明の「多芯ケーブル」と,「導体と前記導体を覆う絶縁層とを有する絶縁電線を三本以上備え」た「多芯ケーブル」である点で一致する。

カ したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)

「 導体と前記導体を覆う絶縁層とを有する絶縁電線を三本以上備え,
前記三本以上の絶縁電線は,二本の前記絶縁電線が撚り合わされた対撚絶縁電線を含み,
前記対撚絶縁電線は,金属編組で覆われており,
前記対撚絶縁電線の前記導体は,複数の素線で形成されており,
前記金属編組で覆われた前記対撚絶縁電線と他の絶縁電線とが外被で覆われている,
多芯ケーブル。」

(相違点)

(相違点1)本願発明1の「金属編組」は,「前記対撚絶縁電線の導体の素線の外径よりも小さい外径の素線が複数本撚り合わされた撚線を用いて編組されて」いるのに対し,引用発明の「編組シールド102d」は,「複数の金属線を対撚線の外周に編み合わせることで構成されている」点。

(2)相違点についての判断

ア 引用文献2-3には,シールド層として「撚線」を編組することにより,屈曲や曲げに対する耐久性を向上させる技術的事項が記載されていると認められる。

しかしながら,引用文献2-3におけるシールド層は,ケーブル全体を覆うもの,すなわち,引用発明の「編組層13」に対応し,ケーブル内の一部の電線である対撚絶縁電線を覆うものではないから,引用発明の「編組シールド102b」に,引用文献2-3の技術的事項を適用する動機付けはない。

仮に,引用発明の「編組シールド102b」に引用文献2-3の技術的事項を適用したとしても,引用文献2-3には,本願発明1の「前記金属編組は,前記対撚絶縁電線の導体の素線の外径よりも小さい外径の素線が複数本撚り合わされた撚線を用いて編組され」るとの構成のうち,「金属編組」の「素線」の「外径」が,「前記対撚絶縁電線の導体の素線の外径よりも小さい」点について何ら記載されていない。

なお,引用文献3には,外径が例えば0.35mmの「細径ケーブル12」を撚り合わせた「多芯集合ユニット21」(本願発明1の「対撚絶縁電線」に対応する。)と,外径が例えば0.05mm以下である「素線23b」を編組した「シールド層23」(本願発明1の「金属編組」に対応する。)を備えた多芯ケーブルが記載されているが,引用文献3の「細径ケーブル12」は「同軸電線または絶縁電線」であり,「素線」とは認められないし,「細径ケーブル12」における導体の外径も不明であるから,引用文献3に,本願発明1の,「金属編組」の「素線」の「外径」が,「前記対撚絶縁電線の導体の素線の外径よりも小さい」点が記載されているとは認められない。

イ したがって,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び周知技術(引用文献2-3)に基いて,容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-3について

本願発明2-3は,本願発明1のすべての構成要素を備えた発明であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び周知技術(引用文献2-3)に基いて,容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について

本願発明1-3は,上記「第6 対比・判断」の「1 本願発明1について」の「(1)対比」における相違点1に係る構成を有するものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1及び周知技術(引用文献2-3)に基いて,容易に発明できたものとはいえない。

したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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