特許拒絶査定不服審判
2021-004572
カミソリ刃
- 審判番号
- 2021-004572
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-508221
- 請求日
- 2021年04月08日
- 審決日
- 2022年11月30日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 見目 省二
- 審判官 刈間 宏信
- 審判官 中里 翔平
- 分類
- P18 .121-WZ (B26B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-508221「カミソリ刃」拒絶査定不服審判事件〔2018年(平成30年)2月22日国際公開、WO2018/034921、令和1年10月3日国内公表、特表2019-527604〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)8月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年8月15日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の主な手続は、以下のとおりである。
令和2年 3月 2日付け:拒絶理由の通知
同 年 9月10日 :意見書及び手続補正書の提出
同 年12月 4日付け:拒絶査定
令和3年 4月 8日 :審判請求書の提出
令和4年 2月 8日付け:拒絶理由の通知
同 年 6月15日 :意見書及び手続補正書の提出(以下、当該
補正書による補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本願の請求項1~15に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)の記載は、以下のとおりである。
「カミソリカートリッジ内の任意の位置に配置されたカミソリ刃であって、
鋭利な先端によって画定された刃先を有する基材であって、前記鋭利な先端から8マイクロメートルの距離で測定して約4.20マイクロメートル~約5.30マイクロメートルの厚さと、前記鋭利な先端から4マイクロメートルの距離で測定して約2.30マイクロメートル超の厚さと、前記鋭利な先端から16マイクロメートルの距離で測定して約7.93マイクロメートル超の厚さとを有する、基材と、
前記基材に接合された中間層と、前記中間層に接合された硬質コーティング層と、前記硬質コーティング層に接合された上塗り層とを含む1つ以上のコーティング層と、
を含む、カミソリ刃。」
第3 当審の拒絶の理由
本願発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明に、請求項2~4の特定事項を加え、さらに限定したものに相当するところ、本件補正前の請求項1~4に係る発明に対して、当審が令和4年2月8日付けで通知した拒絶の理由のうちの理由3(進歩性)の概要は、以下のとおりである。
この出願の請求項1~3に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に係る周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、請求項4に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に係る周知技術並びに引用文献4及び5に係る周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特表2014-527453号公報
引用文献2:特表2009-530012号公報
引用文献3:特表2009-528120号公報
引用文献4:特表2011-527929号公報
引用文献5:米国特許出願公開第2008/0086888号明細書
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付したものである。以下同じ。)。
「【0001】
本発明は、湿式剃毛用安全かみそり、より具体的には多数のブレードを有する安全かみそりブレードユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
実現される剃毛の近接さを向上させると同時に、快適なシェービング体験までも提供することを目的として、湿式剃毛用かみそりは長年にわたり、多数のブレードを含むように進化してきた。剃毛における近接さの主な促進要因の1つは、ヒステリシスと呼ばれる効果である。ヒステリシス効果は、剃毛中に毛が切断された後に発生する準安定性の毛の伸張である。現行のかみそりでは、剃毛ストローク中にカートリッジの鮮鋭な切断エッヂが個々の毛に係合し、毛に力を及ぼし、かみそりが皮膚の表面に対して移動すると同時にそれらを毛嚢から引き揚げさせる。一旦毛が切断され、力が除かれると、毛は皮膚内に後退する。毛が完全に後退する前にタイムラグがあり、このときに、第2のブレードが十分近くに配置されるならば、これが係合し、毛を切断するであろう。毛が皮膚内に完全に後退する前に毛を切断する連続ブレードの概念が、「ヒステリシス切断」として知られている。第2の及び連続ブレードが更に毛に係合し、切断しながら毛を引き抜くならば、単一のブレードのかみそりを使用する場合よりも極めて近接した切断を得ることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より近接した剃毛をもたらすヒステリシス効果を更に引き出すことが本発明の目的である。」
「【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、概して、湿式剃毛用システムで使用されるかみそりカートリッジに関する。」
「【0008】
ヒステリシス切断は、カートリッジ内のブレードエッジの互いに対する近接に依存し、すなわち、第1のブレードは毛に接触し、それを皮膚表面から引き抜き、隣接するブレードは、毛が皮膚表面に完全に後退する前に毛に係合するように、第1のブレードに十分に近くになければならない。本発明者は、毛の伸張を完全に利用するために、毛が第1のブレードによって切断されると同時に、次の/第2のブレードが、毛が後退する前に毛を切断することが望ましいことを発見した。これは、2つの連続ブレードが同じ毛に接触する場合、最も容易に達成される。本発明の一実施形態において、及び図5で概略的に示すように、対の先行するブレード、この場合は前刃が毛に係合するように配置されて、剃毛ストロークが進むと同時に毛を引き抜き、その後後刃が毛を切断して、ブレード対による毛の二重係合を効果的にもたらす、ブレード対26が提供される。」
「【0025】
上述したように、二重係合を容易にするために、前刃は、いくらか効率が悪いように設計される。特に、前刃は、毛に侵入するのに十分であるが、理想的には毛を終わりまで切断しない切断力を有することが好ましく、ここでは、切断力は、ブレードが毛又はその他の定義された材料を切り通すために必要とされる努力の尺度となる。・・・」
「【0027】
ブレードエッジ60の切断力に影響を与え得る多くの要因が存在する。例えば、異なる摩擦特性を有するコーティングがブレードに塗布されてもよく、又はブレードによる切断をより効率的に又は効率が悪くなるように、プロファイルが変更されてもよい。図8a)は、2つの異なるブレードプロファイルを示し、これらは、それ以外が同一であるならば、異なる切断力を有するであろう。比較測定値を以下に示すが、ここでは、w1、w2及びw3は、それぞれ先端部62から4μm、8μm及び16μmで測定されたブレードの幅である。
【0028】
【表1】
[図:0001396596000001.jpg]
」
「【0029】
以下の表は、以下に記載の単一ファイバ切断法により測定されたときの、ブレード1 64及びブレード2 66によって経験される切断力を示す。
【0030】
【表2】
[図:0001396596000002.jpg]
」
図8(a)
「
[図:0001396596000003.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された技術的事項
上記(1)の記載事項から、以下の技術的事項を理解できる。
ア かみそりは、多数のブレードを含むように進化してきたが、その理由の1つは、ヒステリシスと呼ばれる効果を利用した切断にあり、これは、かみそりのブレードが毛に係合して力を及ぼして、毛嚢から引き揚げた後に、毛が切断されて力が除かれることで、毛が皮膚内に後退する際のタイムラグを利用し、毛が皮膚内に完全に後退する前に、後続するブレードで毛を切断するもので、ヒステリシス切断として知られていること(【0002】)。
イ 引用文献1に係る発明は、多数のブレードを有する(【0001】)かみそりカートリッジに関するもの(【0006】)であり、ヒステリシス効果をさらに引き出すことを目的とする(【0003】)こと。
ウ 表1の右側のブレード2(実験ブレード)は、先端から4μm(w1)の幅、すなわち厚さが2.25μm~3.25μmであり、先端から8μm(w2)の厚さが4μm~5μmであり、先端から16μm(w3)の厚さが8μm~9μmである(【0028】)こと。
エ 表1の実験ブレードの先端半径は、20nmに満たない(【0028】)こと。
オ ブレードにコーティングを塗布してもよい(【0027】)こと。
(3)引用発明
上記(2)の技術的事項を、技術常識をふまえた上で整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているということができる。
「かみそりカートリッジの多数のブレードであって、
半径20nmに満たない先端を有する実験ブレードであって、前記先端から8マイクロメートルの距離で測定して4マイクロメートル~5マイクロメートルの厚さと、前記先端から4マイクロメートルの距離で測定して2.25マイクロメートル~3.25マイクロメートルの厚さと、前記先端から16マイクロメートルの距離で測定して8マイクロメートル~9マイクロメートルの厚さとを有する、実験ブレードと、
実験ブレードに塗布されたコーティング層と、
を含む、ブレード。」
2 引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0017】
所望の性能特性を有するカミソリを提供するように、より鋭いブレードとより鈍いブレードの組合せ及び位置決めを選定することができる。一般に、比較的より鋭いブレードは、毛を切断し、比較的より鈍いブレードは、次に続くブレードによって毛が皮膚により近くで切断されることができるようにするために、毛を引っ張り上げる傾向がある。しかしながら、特定のブレードが機能するやり方は、その露出に加えてその鋭さに依存する。」
「【0026】
所望される場合、カミソリは、4枚、5枚、又はそれ以上のブレードを含むことができる。そのブレードが、様々な組合せの鋭さを有してもよい。例えば、4枚のブレードを有するカミソリでは、より高いカッター抵抗の2枚のブレードが、より低いカッター抵抗を有する2枚のブレードと交互に配置されてもよい。・・・様々なブレードの鋭さの所望の程度を決定するに際しては、上で説明された原則が適用され、すなわち、より鈍いブレードは、一般に、より大きな安全性を提供し、また毛に張力を付加し、毛を毛嚢から引き出して、続くブレードがより綿密に切断することを可能にし、一方、より鋭いブレードは、より綿密に及びより少ないカッター抵抗で毛を切断する。・・・」
3 引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0023】
所望であれば、カミソリは、4つ、5つ、又はそれ以上のブレードを含むことができる。ブレードは、尖鋭度の様々な組み合わせを有してもよい。例えば、4つのブレードを有するカミソリでは、より高い切断力を有する2つのブレードが、より低い切断力を有する2つのブレードと交互になるように位置付けられてもよい。・・・様々なブレードの所望の尖鋭度の決定において、上述の原理が適用され、即ち、より鈍いブレードは、一般に、より高い安全性を提供し、及び毛に張力を加え、それを毛嚢から引張って、後に続くブレードによってより密接に切断できるようにし、より鋭いブレードは、より密接に、及びより低い切断力で毛を切断する。・・・」
4 引用文献4の記載事項
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【0015】
次に図2を参照すると、基材11、中間層34、硬質コーティング層36、上塗り層38、及び外層40を含む完成した第1のカミソリの刃10が示される。・・・基材、中間層、硬質コーティング層、上塗り層、及び外層を有するカミソリの刃の例は、米国特許第6,684,513号に記載されている。
【0016】
中間層34は、硬質コーティング層36の基材11に対する接着を促進するために使用される。・・・
【0017】
硬質コーティング層36は、強度、耐食性、及びヒゲ剃り能力を改善し、微細結晶・・・から作製することができる。・・・
【0018】
上塗り層38は、硬質コーティングされた縁部の先端が丸くなるのを低減し、外層の硬質コーティングに対する接着を促進すると同時になお両方の利益を維持させるために使用される。・・・」
図2
「
[図:0001396596000004.jpg]
」
第5 対比及び判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 引用発明の「かみそりカートリッジ」が、本願発明の「カミソリカートリッジ」に相当することは明らかであり、以下同様に、「かみそりカートリッジの多数のブレード」が「カミソリカートリッジ内の任意の位置に配置されたカミソリ刃」に相当し、「半径20nmに満たない先端」が「鋭利な先端によって画定された刃先」に相当し、「実験ブレード」はブレード自体であるから、「基材」に相当する。
イ 先端から8マイクロメートルの距離の厚さの下限値について、引用発明の「4マイクロメートル」と、本願発明の「約4.20マイクロメートル」を対比すると、「4マイクロメートル以上」という点で共通する。
ウ 先端から8マイクロメートルの距離の厚さの上限値について、引用発明の「5マイクロメートル」は、本願発明の「約5.30マイクロメートル」の範囲に包含される。
エ 先端から4マイクロメートルの距離の厚さの下限値について、引用発明の「2.25マイクロメートル」と、本願発明の「約2.30マイクロメートル超」を対比すると、「2.25マイクロメートル以上」という点で共通する。
オ 先端から16マイクロメートルの距離の厚さの下限値について、引用発明の「8マイクロメートル」は、本願発明の「約7.93マイクロメートル超」の範囲に包含される。
カ 引用発明の「実験ブレードに塗布されたコーティング層」と、本願発明の「前記基材に接合された中間層と、前記中間層に接合された硬質コーティング層と、前記硬質コーティング層に接合された上塗り層とを含む1つ以上のコーティング層」を対比すると、「コーティング層」という点で共通する。
2 一致点及び相違点
上記1の対比をまとめると、本願発明と引用発明は、以下に示す一致点で一致し、相違点1~3において相違する。
<一致点>
「カミソリカートリッジ内の任意の位置に配置されたカミソリ刃であって、
鋭利な先端によって画定された刃先を有する基材であって、前記鋭利な先端から8マイクロメートルの距離で測定して4マイクロメートル以上~約5.30マイクロメートルの厚さと、前記鋭利な先端から4マイクロメートルの距離で測定して2.25マイクロメートル以上の厚さと、前記鋭利な先端から16マイクロメートルの距離で測定して約7.93マイクロメートル超の厚さとを有する、基材と、
コーティング層と、
を含む、カミソリ刃。」である点。
<相違点1>
先端から8マイクロメートルの距離の厚さの下限値が、本願発明は「約4.20マイクロメートル」であるのに対して、引用発明は「4マイクロメートル」である点。
<相違点2>
先端から4マイクロメートルの距離の厚さの下限値が、本願発明は「約2.30マイクロメートル超」であるのに対して、引用発明は「2.25マイクロメートル」である点。
<相違点3>
コーティング層が、本願発明は「前記基材に接合された中間層と、前記中間層に接合された硬質コーティング層と、前記硬質コーティング層に接合された上塗り層とを含む1つ以上のコーティング層」であるのに対して、引用発明は「実験ブレードに塗布されたコーティング層」であり、層の構成についての特定がない点。
3 相違点1の判断
ア 引用発明は、ヒステリシス効果をさらに高めることを目的としている(上記第4の1(2)イ)ところ、ヒステリシス効果を利用した切断は、ブレードが毛に係合して力を及ぼして、毛嚢から引き揚げた後に、毛が切断されて力が除かれることで、毛が皮膚内に後退する際のタイムラグを利用し、毛が皮膚内に完全に後退する前に、後続するブレードで毛を切断するものである(上記第4の1(2)ア)から、当業者であれば、ヒステリシス効果を高めるために、ブレードが毛に係合した後に、毛を切断せずに、より長く引き揚げるようにすることを理解できる。
イ そして、カミソリのブレードについて、より鈍いブレードは、毛を引っ張り上げる傾向があることは、引用文献2の記載事項(上記第4の2)や引用文献3の記載事項(上記第4の3)に示すように周知の技術的事項である。
ウ また、引用文献1には、ブレードのプロファイルについて、切断の効率が悪くなるように変更してもよい旨の示唆(【0027】)があるところ、表1及び表2を参照すると、刃の薄い対照ブレードは平均切断力が約51mNであるのに対して、刃の厚い実験ブレードは平均切断力が約109mNであること、すなわち、刃の厚いブレードは、切断により多くの力を必要とし、切断の効率が悪いことを理解できる。
エ 以上を考慮すると、引用発明において、ヒステリシス効果をさらに高めるように、より鈍いブレード、すなわち、より刃の厚いブレードを採用して、毛を切断せずに、より長く引き揚げるように変更することは、当業者が容易に想到できる事項というべきであるから、引用発明における先端から8マイクロメートルの距離の厚さの下限値を「4マイクロメートル」から「約4.20マイクロメートル」に変更することは、当業者が容易に想到できたものである。
4 相違点2の判断
上記3で説示する理由と同様の理由により、引用発明における先端から4マイクロメートルの距離の厚さの下限値を「2.25マイクロメートル」から「約2.30マイクロメートル超」に変更することは、当業者が容易に想到できたものである。
5 相違点3の判断
ア カミソリのブレードについて、中間層、硬質コーティング層及び上塗り層を含むコーティング層を設けることは、引用文献4に記載された事項(上記第4の4)である。
イ そして、引用文献4には、中間層は、硬質コーティング層がブレードの基材に対して接着することを促進するために使用され、硬質コーティング層は、強度、耐食性、及びヒゲ剃り能力を改善するために使用され、上塗り層は、硬質コーティングされた縁部の先端が丸くなるのを低減し、外層の硬質コーティングに対する接着を促進するために使用されることが示されている。そして、引用発明のブレードにおいても、強度、耐食性、及びヒゲ剃り能力を改善することが求められることは、当業者にとって自明な課題といえる。
ウ したがって、引用発明のブレードに対して、強度、耐食性、及びヒゲ剃り能力を改善するように、引用文献4に示す、中間層、硬質コーティング層及び上塗り層を含むコーティング層を付加することは、当業者が容易に想到できたものである。
6 小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2及び3の記載事項に示す周知の技術的事項、並びに引用文献1及び4の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
7 請求人の主張について
請求人は、令和4年6月15日の意見書において、引用文献1には、中間層、硬質コーティング層及び上塗り層を含むコーティング層について、示唆ないし教示はなく、引用文献1に記載された発明においてコーティング層を採用することは、当業者が容易に想到し得ない旨を主張しているが、コーティング層については、上記5に説示するとおり、拒絶理由通知で示した引用文献4に記載されたものであって、このようなコーティング層を設けることは、当業者が容易に想到できたものであるから、当該主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2及び3の記載事項に示す周知の技術的事項、並びに引用文献1及び4の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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