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特許拒絶査定不服審判

2021-003278

車両用表示装置及び車両用表示方法

審判番号
2021-003278
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-133325外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月11日
審決日
2022年03月01日
公報発行日
2022年04月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-133325「車両用表示装置及び車両用表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年1月26日出願公開、特開2017-21019、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年7月5日(優先権主張平成27年7月8日)の出願であって、令和2年2月17日付け(発送日:同年2月25日)で拒絶理由が通知され、令和2年4月13日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年5月12日付け(発送日:同年5月19日)で最後の拒絶理由が通知され、令和2年7月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年12月8日付け(発送日:同年12月15日)で令和2年7月13日提出の手続補正書による補正を却下するとともに同日付け(発送日:同年12月15日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和3年3月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 「この出願については、令和2年5月12日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」 そして、令和2年5月12日付けの最後の拒絶理由通知の概要は次のとおりである。 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1-4 ・引用文献1-2 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2007/142084号 2.国際公開第2010/109941号」 第3 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和3年3月11日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定された、以下のとおりのものである(下線部は、請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)。 「【請求項1】 車両の目的地への誘導経路を表示する車両用表示装置であって、 前記車両の目的地までの誘導経路を取得する誘導経路取得部と、 前記誘導経路取得部で取得された誘導経路上で前記車両が走行している道路から分岐した誘導地点を検出し、前記誘導経路を示す誘導マークが、前記車両が走行する道路と前記誘導地点で分岐した後の道路面に重畳して表示されるように前記誘導マークの表示位置を設定する表示位置設定部と、 前記表示位置設定部で表示位置が設定された前記誘導マークを、前記道路面から所定の傾斜角度だけ前記車両側に傾けて表示するように設定する傾斜角度設定部と、 前記傾斜角度設定部で前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、前記車両に備えられたフロントウィンドウの位置と重複するように設けられた表示領域に表示する表示部とを備え、 前記表示位置設定部は、複数の前記誘導マークを所定の間隔で前記誘導地点の前後の道路面上に配置し、 前記傾斜角度設定部は、前記誘導地点と前記車両の間に配置された前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させることを特徴とする車両用表示装置。 【請求項2】 前記傾斜角度設定部は、前記誘導マークの傾斜角度を前記誘導地点の前後で変化させることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。 【請求項3】 前記傾斜角度設定部は、前記誘導地点で分岐した後の道路面に表示される前記誘導マークの傾斜角度を、前記分岐前後の誘導経路が交差する角度に応じて設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。 【請求項4】 車両の目的地への誘導経路を表示する車両用表示装置の車両用表示方法であって、 前記車両用表示装置は、 前記車両の目的地までの誘導経路を取得し、 取得した前記誘導経路上で前記車両が曲がる誘導地点を検出し、前記誘導経路を示す誘導マークが前記誘導地点の前後の道路面に重畳して表示されるように前記誘導マークの表示位置を設定し、 前記表示位置が設定された誘導マークを、前記道路面から所定の傾斜角度だけ前記車両側に傾けて表示するように設定し、 前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、前記車両に備えられたフロントウィンドウの位置と重複するように設けられた表示領域に表示し、 複数の前記誘導マークが、所定の間隔で前記誘導地点の前後の道路面上に配置され、 前記誘導地点と前記車両の間に配置された前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させることを特徴とする車両用表示方法。」 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、「ナビゲーション装置」に関して、図面(特に図7ないし図16を参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。 ア 「[0001] 本発明は、ナビゲーション装置に関し、より特定的には、3次元空間画像に案内オブジェクトを重畳表示するナビゲーション装置に関する。 背景技術 [0002] 従来、設定された目的地に対して現在の自車位置からの経路探索を行い、経路上に存在する案内点に対して、蓄積された地図データを利用して経路案内を行うナビゲーション装置が広く普及している。」 イ 「[0008] しかしながら、従来技術は、案内矢印の右左折方向を指示する部分が3次元画像の地平面に対して垂直に立った状態で表示されるため、右左折方向を指示する部分の高さが大きくなり、図16に示すように、案内点の直前では、案内矢印によって背景画像が隠蔽されてしまう。このため、ユーザは、案内点周辺の様子を認識し辛い。なお、地平面とは、車両と道路の接平面のことを表す。以下では、地平面と称する。 [0009] そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされた。すなわち、自車位置から案内点までの距離に基づいて、3次元空間画像の地平面に対する案内矢印の右左折方向を指示する部分の高さ、又は透明度を制御することによって、案内点の直前において、案内矢印によって背景画像が隠蔽されてしまうことを軽減するナビゲーシヨン装置を提供することを目的とする。なお、3次元空間画像は、実写画像、及び3次元地図画像を含む。 課題を解決するための手段 [0010] 本発明の局面は、ナビゲーション装置に向けられている。本発明は、案内オブジェクトを生成するオブジェクト生成部と、自車位置から案内点までの距離に基づいて、案内オブジェクトの所定部分について、表示上の大きさ、又は透明度を制御するオブジェクト制御部と、オブジェクト制御部が制御して得られる案内オブジェクトに基づいて、ドライバーズビューによってナビゲーション表示する表示制御部とを備える。 [0011] また、オブジェクト制御部は、自車位置から案内点までの距離に基づいて、案内オブジェクトの所定部分について、傾きを制御することにより、表示上の大きさを制御することが好ましい。 [0012] また、オブジェクト制御部は、自車位置から案内点までの距離に基づいて、案内オブジェクトのうち、右左折を指示する部分について、角度を制御することにより、傾きを制御することが好ましい。 [0013] また、オブジェクト制御部は、自車位置から案内点までの距離が近い程、角度を小さくすることが好ましい。 [0014] また、オブジェクト制御部は、角度を90度から0度の範囲内で小さくすることが好ましい。 [0015] また、オブジェクト制御部は、自車位置から案内点までの距離に基づいて、案内オブジェクトの所定部分について、高さを制御することにより、表示上の大きさを制御することが好ましい。 [0016] また、オブジェクト制御部は、自車位置から案内点までの距離に基づいて、案内オブジェクトのうち、右左折を指示する部分について、高さを制御することが好ましい。 [0017] また、オブジェクト制御部は、自社位置から案内点までの距離が近い程、高さを低くすることが好ましい。」 ウ 「発明の効果 [0021] 以上説明したように、本発明の局面によれば、自車位置から案内点までの距離に基づいて、3次元空間画像の地平面に対する案内矢印の右左折方向を指示する部分の大きさ、又は透明度を制御することによって、案内点の直前において、案内矢印によって背景画像が隠蔽されてしまうことを軽減するナビゲーション装置を提供することができる。」 エ 「[0025] 図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。図1において、ナビゲーション装置100は、映像取得部101、測位部102、地図データベース103、入力部104、制御部105、経路探索部106、矢印生成部107、矢印制御部108、表示制御部109、及び表示部110を備える。」 オ 「[0034] 経路探索部106は、入力部104から入力された目的地に関する情報、及び測位部102から取得した自車位置情報に基づいて、地図データベース103を参照して、目的地に至る最適経路を探索する。 [0035] 矢印生成部107は、3次元空間画像において、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部106によって探索された案内経路に該当する道路に沿った形状の案内矢印を生成する。 [0036] 矢印制御部108は、案内矢印の右左折方向を指示する部分が3次元地図の地平面となす角度を制御する。表示制御部109は、実写映像に矢印制御部108の制御によって得られる案内矢印を重畳して表示部110に表示させる。 [0037] 次に本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置100の動作について図4に従って説明する。図4は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置100の動作を示すフロー図である。 [0038] まず、制御部105は、入力部104から目的地が設定されたか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401において、目的地が設定されなかった場合、制御部105は、S401に処理を戻す。一方、ステップS401において、目的地が設定された場合、経路探索部106は、測位部102で取得した自車位置情報に基づいて、地図データベース103を参照して、目的地に至る経路を探索する(ステップS402)。目的地に至る経路が探索されると、制御部105は、案内を開始する(ステップS403)。」 カ 「[0044] 次に、矢印生成部107は、3次元地図空間において、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部106によって探索された案内経路に該当する道路に沿った形状の案内矢印を生成する(ステップS407)。 [0045] 矢印制御部108は、案内矢印を直進方向矢印と右左折方向矢印とに分離して、それぞれについて、3次元地図空間において、案内経路に該当する道路上の配置を決定する。この分離処理は、案内矢印を構成するノードの情報に基づいて、どのノードが直進方向矢印と右左折方向矢印との分離点になるのかが判別されることによって行われる。 [0046] 図7は、直進方向矢印、及び右左折方向矢印の定義をそれぞれ説明した図である。図7に示すように、走行中の道路(道路R1)上に配置される矢印が直進方向矢印であり、案内対象交差点で右左折した先の道路(道路R2)上に配置される矢印が右左折方向矢印である。なお、図7は、あくまで直進方向矢印、及び右左折方向矢印の定義について説明するものであり、実際に配置処理によって決定された案内矢印の配置を示すものではない。また、案内矢印の形状は、図7に示した矢印図形に限らず 、例えば、矢印図形から先端の三角形を除いた折れ線図形を用いても構わない。 [0047] 矢印制御部108は、案内矢印の配置処理において、直進方向矢印を3次元地図空間の該当する道路上の地平面に平行に重なるように配置する(ステップS408)。一方、矢印制御部108は、自車位置から案内対象交差点までの距離に応じて右左折方向矢印の配置を変更する。具体的には、矢印制御部108は、まず、自車位置から自車が次に通過する案内対象交差点までの距離を算出する(ステップS409)。なお、以降では自車位置から案内対象交差点までの距離は定期的に算出されるものとする。 [0048] 次に、矢印制御部108は、自車位置から案内対象交差点までの距離Dが所定の値(距離D1)以下か否かを判定する(ステップS410)。ステップS410において、矢印制御部108は、距離Dが距離D1より大きいと判定した場合、右左折方向矢印を配置せずに直進方向矢印のみを配置する。 [0049] 次に、矢印制御部108は、直進方向矢印を配置すると、直進方向矢印からなる案内矢印の投影処理(ステップS410→S412)に処理を移す。なお、以降では、距離D1は200mであるとして説明を行う。また、自車位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点が存在しない場合にも、右左折方向矢印が表示されないこととする。 [0050] 一方、ステップS410において、自車位置から案内対象交差点までの距離Dが距離D1(200m)以下であると判定された場合、矢印制御部108は、右左折方向矢印を配置する(ステップS410→S411)。このとき、右左折方向矢印は、3次元地図空間の該当する道路上に、地平面に対して自車位置から案内対象交差点までの距離に応じた角度をつけて配置される。具体的には、右左折方向矢印は、自車位置から案内対象交差点までの距離が近い程、地平面に対する案内矢印の角度θが小さくなるように配置される。例えば、角度θが(式1)を満たすように配置される。 (式1) θ=90(D>200) θ=D/2-10(20≦D≦200) θ=0(0≦D≦20) このとき、角度θは図8に示すように自車位置から案内対象交差点までの距離Dに応じて変化する。図9は、3次元地図空間の道路R1を通り、且つ地平面に垂直な断面から見た図である。図9に示すように、自車位置から案内対象交差点までの距離が200mの場合は、角度θは90度となり、右左折方向矢印は立った状態で配置される(図9(a)参照)。 [0051] 自車位置から案内対象交差点までの距離が近くなるにつれて、案内矢印は立った状態から徐々に寝かせた状態に変化していき(自車位置から案内対象交差点までの距離が100mのとき角度θは40度・図9(b)参照)、自車位置から案内対象交差点までの距離が20mになると右左折方向矢印は、完全に寝かせた状態(道路上の平面に平行に重なる状態)で配置される(図9(c)参照)。 [0052] 次に、矢印制御部108は、右左折方向矢印を配置すると、図5に示すカメラ画面を投影面として、直進方向矢印と右左折方向矢印からなる案内矢印に対して投影処理を行う(ステップS412)。 [0053] 投影処理において案内矢印が投影される投影面は、映像取得部1のカメラ画面と一致するため、表示制御部109は、図10及び図11に示すように、案内矢印を実写画像上に映っている道路(案内経路に該当)上に重畳して表示部110に表示させる。 [0054] 図10に示すように、交差点から離れた地点(例えば、交差点手前200m)では、右左折方向矢印が高さを有した状態で表示がなされる。このときの右左折方向矢印は、遠くからでも容易に視認できる程度に充分大きく表示される。 [0055] また、図11に示すように、交差点に近い地点(例えば、交差点手前20m)では、右左折方向矢印が高さを有さない状態で地平面上に配置されるため、案内矢印が背景画像を隠蔽することはない。」 キ「[0064] このように、本発明によれば、自車位置から案内点までの距離に基づいて、3次元空間画像の地平面に対する案内矢印の右左折方向を指示する部分の表示上の大きさ、又は透明度を制御することによって、案内点の直前において、案内矢印によって背景画像が隠蔽されてしまうことを軽減するナビゲーシヨン装置を提供することができる。特に、実写画像に案内オブジェクトを重畳する表示方法において、実風景と案内画面の対比が取り辛くなり、ユーザに対して直感的な経路誘導を行うことが困難となる問題を回避することができる。」 ク 上記カの記載事項(特に段落[0046]ないし[0049]参照。)からみて、ナビゲーション装置100は、自車位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点が存在する場合に右左折方向矢印を配置し、存在しない場合に右左折方向矢印を表示しないものであるから、自車位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点があるかどうかを検出していることは明らかである。すなわち、引用文献1記載のナビゲーション装置100は、案内対象交差点を検出するように構成されているといえる。 ケ 上記カの記載事項(特に段落[0053]を参照。)からみて、案内矢印は、表示制御部109によって実写画像上に映っている道路上に重畳して表示部110に表示されるものであるから、画像として投影されていることが明らかである。 コ 上記カの記載事項(特に段落[0047]及び[0050]を参照。)からみて、矢印制御部108は、案内対象交差点の前の道路R1の道路上の地平面に平行に重なるよう直進方向矢印を配置し、前記案内対象交差点の後の道路R2の道路上の地平面に対して角度θだけ角度をつけて右左折方向矢印を配置している。そして、直進方向矢印と右左折方向矢印はともに案内矢印の一つであって、それぞれ案内対象交差点の前後の道路上の地平面の上に平行に又は角度をつけて配置されるものであるから、案内対象交差点の前後の道路上の地平面上に配置されるものといえる。 上記アないしコの記載事項及び図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 〔引用発明〕 「車両の目的地への案内経路に該当する道路に沿った形状の案内矢印を表示するナビゲーション装置100であって、 前記車両の目的地までの案内経路を探索する経路探索部106と、 前記経路探索部106で探索された案内経路上で自車位置からの経路中に案内対象交差点を検出し、前記案内経路を示す案内矢印を、前記車両の走行中の道路R1上に直進方向矢印として道路上の地平面に平行に重なるよう配置し、前記案内対象交差点で右左折した先の道路R2の道路上に右左折方向矢印として、前記道路上の地平面に対して角度θだけ角度をつけて配置するように処理する矢印制御部108と、 前記矢印制御部108で前記角度θが処理された前記右左折方向矢印の投影された画像を、前記車両の前方の実写画像上に映っている道路と重畳して表示部110に表示する表示制御部109とを備え、 前記矢印制御部108は、前記案内矢印を前記案内対象交差点の前後の道路R1とR2の道路上の地平面上に配置し、 前記矢印制御部108は、前記案内対象交差点で右左折した後の道路R2に配置された前記右左折方向矢印の角度を、前記自車位置から前記案内対象交差点までの距離が近い程、角度θが小さくなるよう配置する、 ナビゲーション装置100。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2の段落[0017]ないし[0021]、[0025]ないし[0033]、[0039]、[0076]、[0078]及び[0125]ないし[0130]並びに図1、2、14及び15には、「車載用表示システム、表示方法及び車両」に関して、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 〔引用文献2記載事項〕 「地図情報から目的地までの経路を生成するナビゲーションシステムによって求められた経路を示す矢印である表示オブジェクト180を、フロントガラス710に設けられる反射体711に投影して表示する車載用表示システムにおいて、進路を変更する第2位置P02に対応する第2視野像位置PV02までの間で複数の表示オブジェクト要素180pを断続的に配列して表示すること。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比する。 その機能、構成又は技術的意義からみて、引用発明の「目的地」は本願発明1の「目的地」に相当し、以下同様に、「ナビゲーション装置100」は「車両用表示装置」に、「案内経路」は「誘導経路」に、「探索」は「取得」に、「経路探索部106」は「誘導経路取得部」に、「案内矢印」、「直進方向矢印」及び「右左折方向矢印」は「誘導マーク」に、「前記車両の走行中の道路R1」は「前記車両が走行する道路」に、「案内対象交差点で右左折した先の道路R2」は「誘導地点で分岐した後の道路」に、「道路上の地平面」は「道路面」に、「案内矢印」の「配置」は「誘導マーク」の「表示位置」に、「処理」は「設定」に、「角度θ」は「所定の角度」に、「投影された画像」は「表示画像」に、それぞれ相当する。 イ 引用発明の「案内対象交差点」は「案内経路上で自車位置からの経路中」に検出されるものであり、通常、「交差点」は道路が分岐している箇所であることを踏まえると、引用発明の「前記経路探索部106で探索された案内経路上で自車位置からの経路中に案内対象交差点を検出し」は本願発明1の「前記誘導経路取得部で取得された誘導経路上で前記車両が走行している道路から分岐した誘導地点を検出し」に相当する。 ウ 引用発明において、「右左折方向矢印」を「道路上の地平面に対して角度θだけ角度をつけて」配置することは、道路面から角度θだけ右左折方向矢印を立てるように表示することであるから、道路面から車両側に傾けて表示することと表現できる。 したがって、上記相当関係を踏まえると、引用発明の「右左折方向矢印として、前記道路上の地平面に対して角度θだけ角度をつけて配置するように処理する」は、本願発明1の「前記表示位置設定部で表示位置が設定された前記誘導マークを、前記道路面から所定の傾斜角度だけ前記車両側に傾けて表示するように設定する」に相当する。 そして、引用発明の「矢印制御部108」は、「案内矢印」、「直進方向矢印」及び「右左折方向矢印」について「配置を処理する」とともに、「右左折方向矢印」について「道路上の地平面に対して角度θだけ角度をつけて配置するよう処理する」ものであるから、本願発明の「表示位置設定部」及び「傾斜角度設定部」に相当する。 エ 本願発明1の「前記傾斜角度設定部で前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、前記車両に備えられたフロントウィンドウの位置と重複するように設けられた表示領域に表示する表示部」と引用発明の「前記矢印制御部108で前記角度θが処理された前記右左折方向矢印の投影された画像を、前記車両の前方の実写画像上に映っている道路と重畳して表示部110に表示する表示制御部109」とは、上記相当関係を踏まえると、「前記傾斜角度設定部で前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、表示する表示部」という限りにおいて一致する。 オ 引用発明の「前記案内対象交差点で右左折した後の道路R2に配置された前記右左折方向矢印の角度を、前記自車位置から前記案内対象交差点までの距離が近い程、角度θが小さくなるよう配置する」ものは、自車位置から案内矢印が配置される位置までの距離が大きくなるのに応じて、角度θが大きくなるようにするものである。 したがって、本願発明1の「前記表示位置設定部は、複数の前記誘導マークを所定の間隔で前記誘導地点の前後の道路面上に配置し、 前記傾斜角度設定部は、前記誘導地点と前記車両の間に配置された前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させる」と、 引用発明の「前記矢印制御部108は、前記案内矢印を前記案内対象交差点の前後の道路R1とR2の道路上の地平面上に配置し、 前記矢印制御部108は、前記案内対象交差点で右左折した後の道路R2に配置された前記右左折方向矢印の角度を、前記自車位置から前記案内対象交差点までの距離が近い程、角度θが小さくなるよう配置する」とは、上記相当関係を踏まえると、 「前記表示位置設定部は、前記誘導マークを前記誘導地点の前後の道路面上に配置し、 前記傾斜角度設定部は、前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させる」 という限りにおいて一致する。 そうすると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点、相違点がある。 〔一致点〕 「車両の目的地への誘導経路を表示する車両用表示装置であって、 前記車両の目的地までの誘導経路を取得する誘導経路取得部と、 前記誘導経路取得部で取得された誘導経路上で前記車両が走行している道路から分岐した誘導地点を検出し、前記誘導経路を示す誘導マークが、前記車両が走行する道路と前記誘導地点で分岐した後の道路面に重畳して表示されるように前記誘導マークの表示位置を設定する表示位置設定部と、 前記表示位置設定部で表示位置が設定された前記誘導マークを、前記道路面から所定の傾斜角度だけ前記車両側に傾けて表示するように設定する傾斜角度設定部と、 前記傾斜角度設定部で前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、表示する表示部とを備え、 前記表示位置設定部は、前記誘導マークを前記誘導地点の前後の道路面上に配置し、 前記傾斜角度設定部は、前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させる 車両用表示装置。」 〔相違点1〕 本願発明1においては、表示部が「前記傾斜角度設定部で前記傾斜角度が設定された前記誘導マークの表示画像を、前記車両に備えられたフロントウィンドウの位置と重複するように設けられた表示領域に表示する」のに対して、 引用発明においては、表示制御部109が矢印制御部108で角度θが処理された案内矢印の投影画像を、車両の前方の実写画像上に映っている道路と重畳して表示部110に表示する点。 〔相違点2〕 本願発明1においては、「前記表示位置設定部は、複数の前記誘導マークを所定の間隔で前記誘導地点の前後の道路面上に配置し、 前記傾斜角度設定部は、前記誘導地点と前記車両の間に配置された前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させる」のに対して、 引用発明においては、矢印制御部108(本願発明1の「表示位置設定部」に相当。)が案内矢印を案内対象交差点の前後の道路R1とR2の道路上の地平面上に配置するものの、「複数の」案内矢印を「所定の間隔で」前後の道路面上に配置するものではないとともに、さらに、矢印制御部108(本願発明1の「傾斜角度設定部」に相当。)が案内対象交差点から先の道路R2の地平面上に配置された前記右左折方向矢印の角度θを、前記右左折方向矢印の配置位置から自車位置までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させるものの、「前記誘導地点と前記車両の間に配置された」前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から前記車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させるものではない点。 (2)判断 相違点について検討する。 事案に鑑み、上記相違点2について検討する。 上記「第4」の2で述べたとおり、引用文献2記載事項は、「地図情報から目的地までの経路を生成するナビゲーションシステムによって求められた経路を示す矢印である表示オブジェクト180を、フロントガラス710に設けられる反射体711に投影して表示する車載用表示システムにおいて、進路を変更する第2位置P02に対応する第2視野像位置PV02までの間で複数の表示オブジェクト要素180pを断続的に配列して表示すること。」というものであって、「複数の表示オブジェクト要素180p」を配列して表示することが開示されているものの、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。 また、他に、表示位置設定部が、複数の前記誘導マークを所定の間隔で誘導地点の前後の道路面上に配置し、傾斜角度設定部が、前記誘導地点と車両の間に配置された前記誘導マークの傾斜角度を、前記誘導マークの表示位置から車両までの距離が大きくなるのに応じて、大きくするように変化させることについて、本願の優先日前に周知技術であったというべき証拠は無い。 そして、本願発明1は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を有することで「車両から離れた位置に表示された誘導マークであっても運転者が容易に認識することができるので、誘導マークの視認性を向上させることができる。」(本願明細書の【0030】参照。)及び「傾斜角度θを一定にした場合よりも誘導マークを運転者から見やすく表示することができる。」(本願明細書の【0026】参照。)という格別の作用効果を奏するものである。 したがって、引用発明において、引用文献2記載事項を参酌して、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることを当業者が容易に想到することができたとはいえない。 (3)小括 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。 したがって、本願発明2及び3は、上記1(2)と同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 本願発明4について 本願発明4は、実質的に本願発明1の「物の発明」を「方法の発明」にカテゴリー置換した発明であるといえるから、本願発明4と引用発明に係る車両用表示方法とは、実質的に、上記1(1)で検討したのと同じ相違点を有し、その余の点で一致する。 そして、本願発明4は、上記1(2)と同様の理由により、引用発明に係る車両用表示方法及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし4は、原査定で引用された引用文献1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-003278

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