2021-002157
端末、システム、及びプリアンブル送信方法
- 審判番号
- 2021-002157
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-566102外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月17日
- 審決日
- 2022年03月15日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社NTTドコモ
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】石原 隆治
- 分類
- P18 .121-WY (H04W) / P18 .113-WY (H04W) / P18 .536-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 31項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)2月1日(優先権主張 平成29年2月3日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 7月30日 手続補正書の提出
令和2年 2月 3日 手続補正書の提出
令和2年 5月 8日付け 拒絶理由通知書
令和2年 8月11日 意見書及び手続補正書の提出
令和2年11月 6日付け 拒絶査定
令和3年 2月17日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和3年 8月19日 上申書の提出
令和3年10月27日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和3年12月27日 意見書及び手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項1ないし8に対して、引用文献1ないし3
引用文献等一覧
1.LG Electronics,Discussion on RACH Procedure [online],3GPP TSG RAN WG1 NR ad hoc Meeting R1-1700463,2017年1月10日アップロード,インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1701/Docs/R1-1700463.zip>(以下、「引用文献1」という。)
2.国際公開第2016/022235号(以下、「引用文献2」という。)
3.特開2016-140068号公報(以下、「引用文献3」という。)
第3 当審拒絶理由の概要
令和3年10月27日付けの拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
4.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
5.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(明確性)について
(1)請求項 1ないし7
請求項1、6の「前記送信部は、・・・(中略)・・・再送を、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」との記載における「第2のリソース」は、「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する」ものであるから、その前段に記載されている「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応するリソースを決定」することにより得られたものであり、「再送」は「送信部」により行われるものと解される。一方、請求項1、6に記載された「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」は、どのように決定された「第1のリソース」を用いるのか、また何によって「送信」が行われるのか何ら特定されていない。してみれば、「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」との記載が、どのような発明特定事項を表しているのか、明確でない。
請求項2、7の「第1のリソースで送信したプリアンブル」という記載についても同様である。
請求項3は、請求項1又は2を引用しており、上述の不明確な点を明確にする記載もないから、請求項3に係る発明についても同様に明確でない。
請求項4の「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」という記載、請求項5の「第1のリソースで受信したプリアンブル」という記載についても同様である。
よって、請求項1ないし7に係る発明は明確でない。
(2)請求項 4
請求項4に係る発明は「基地局」であるところ、請求項4に記載されている発明特定事項のうち、プリアンブルが「RRC信号により前記端末に送信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソースを用いて」端末により送信された点、及び「第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送であって、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用した再送による」ものである点が、「基地局」の動作を特定するものであるか否か、仮に特定するものであるとした場合、「基地局」が、どのような動作を行うことを特定しているのか、明確でない。
よって、請求項4に係る発明は明確でない。
(3)請求項 5
請求項5に係る発明は「基地局」であるところ、請求項5に記載されている発明特定事項のうち、プリアンブルが「RRC信号により前記端末に送信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソースを用いて」端末により送信された点、及び「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」送信されたものである点が、「基地局」の動作を特定するものであるか否か、仮に特定するものであるとした場合、「基地局」が、どのような動作を行うことを特定しているのか、明確でない。
また、請求項5には「前記送信部が第1のリソースで受信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して送信されたプリアンブルを受信する」と記載されているが、上記「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない。
なお、上記「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、端末である場合、「基地局」の発明特定事項として意味を有さない点、留意されたい。
よって、請求項5に係る発明は明確でない。
●理由2(サポート要件)について
・請求項 5
上記理由1(3)で指摘したように、請求項5の記載では、「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない。仮に判断する主体が「基地局」である場合、ランダムアクセスレスポンス送信に成功しないことを基地局が判断することが、発明の詳細な説明のどの記載に基づくものであるのか、明確でない。
よって、請求項5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
●理由3(実施可能要件)について
・請求項 5
上記理由1(3)で指摘したように、請求項5の記載では、「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない。仮に判断する主体が「基地局」である場合、基地局が、ランダムアクセスレスポンス送信に成功しないことを、どのように判断できるのか、発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されていない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
●理由5(進歩性)について
・請求項1ないし3、6及び7に対して、引用文献1、4ないし7
●理由4(新規性)、理由5(進歩性)について
・請求項4及び5に対して、引用文献1
引用文献等一覧
1.LG Electronics,Discussion on RACH Procedure [online],3GPP TSG RAN WG1 NR ad hoc Meeting R1-1700463,2017年1月10日アップロード,インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1701/Docs/R1-1700463.zip>, 2節(原査定の引用文献1)
4.特開2014-053811号公報(周知技術を示す文献)(以下、「引用文献4」という。)
5.特表2015-537484号公報(周知技術を示す文献)(以下、「引用文献5」という。)
6.特開2014-017744号公報(周知技術を示す文献)(以下、「引用文献6」という。)
7.特開2015-164281号公報(以下、「引用文献7」という。)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和3年12月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する受信部と、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送を、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う続きを表示(全39行)端末。【請求項2】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する受信部と、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記受信部が前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用してプリアンブル送信を行う端末。【請求項3】前記同期信号ブロックは、同期信号とブロードキャストチャネルを含む請求項1又は2に記載の端末。【請求項4】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する受信部と、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送を、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う端末と、前記複数の同期信号ブロックを前記端末に送信する送信部と前記第1のリソースを用いて前記端末により送信された前記プリアンブルを受信する受信部と、を備える前記基地局と、を備えるシステム。【請求項5】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する受信部と、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記受信部が前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用してプリアンブル送信を行う端末と、前記複数の同期信号ブロックを前記端末に送信する送信部と前記第1のリソースを用いて前記端末により送信されたプリアンブルを受信する受信部と、を備える前記基地局と、を備えるシステム。【請求項6】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定するステップと、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信するステップと、を備え、前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送を、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う端末が実行するプリアンブル送信方法。【請求項7】基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定するステップと、前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信するステップと、を備え、前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用してプリアンブル送信を行う端末が実行するプリアンブル送信方法。」
第5 引用文献、引用発明及び技術的事項
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献1(LG Electronics,Discussion on RACH Procedure [online](当審仮訳:RACH手順に関する議論),3GPP TSG RAN WG1 NR ad hoc Meeting R1-1700463,2017年1月10日アップロード,インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1701/Docs/R1-1700463.zip>)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「RACH resource selection criteriaIt is agreed that RACH resource is associated with DL broadcast/signal. If the DL broadcast signal is beam-formed transmitted and the associated RACH resource implies that a specific beam direction is assumed per RACH resource in terms of PRACH preamble transmission at UE side and reception at TRP side. Based on the measurement of each SS block index, UE should choose its RACH resource to transmit PRACH preamble on it. Possibly, selection of RACH resource can be based on the M-RS(Measurement RS) in idle mode, load information per SS block if exists, earliest timing of RACH resource, and etc. UE have to decide its best received SS block index (beam direction) and corresponding RACH resource. Multiple RACH resource per UE can be available for PRACH trial and whether/how to utilize multiple RACH resource should also be discussed. UE may down-select its RACH resources as candidates for PRACH trial based on the associated the best N received MRS RSRP or a set within a certain range of MRS-RSRP from the best received MRS-RSRP. We consider that baseline is to allow a single RACH procedure per UE, however there can be a network signalling if the network allows multiple RACH procedure simultaneously.」(第2頁下から第10行目ないし第3頁第2行目)
(当審仮訳:RACHリソース選択基準
RACHリソースがDLブロードキャスト/シグナルと関連付けられることが合意されている。DLブロードキャストシグナルがビームフォーミングで送信され、関連付けられたRACHリソースが 、PRACHプリアンブルのUE側での送信とTRP側での受信に関して、RACHリソースごとに特定のビーム方向が想定されることを暗示する場合。UEは、各SSブロックインデックスの測定に基づいて、PRACHプリアンブルを送信するためのRACHリソースを選択すべきである。RACHリソースの選択は、アイドルモードのM-RS(測定RS)、存在するのであればSSブロックごとの負荷情報、RACHリソースの最も早いタイミングなどに基づいて行うことが可能である。UEは、最良受信SSブロックのインデックス(ビーム方向)と対応するRACHリソースを決定する必要がある。PRACH試行では、UEごとに複数のRACHリソースが利用可能であり、複数のRACHリソースを利用するかどうか/利用方法についても検討すべきである。UEは、関連付けられた受信した最良N個のMRS RSRP、又は受信した最良MRS RSRPから一定範囲内のMRS RSRPのセットに基づき、PRACH試行用の候補としてRACHリソースを絞り込むことができる。我々は、UEごとに単一のRACH手順を許可することが基本であると考えるが、ネットワークが複数のRACH手順を同時に許可する場合、ネットワークシグナリングが発生する可能性がある。)
(2)「PRACH preamble retransmission・・・(中略)・・・Of course, UE is only allowed to try PRACH preamble retransmission unless RAR received within a defined RAR window.」(第4頁第15行目ないし第22行目)
(当審仮訳:PRACHプリアンブル再送
・・・(中略)・・・もちろん、UEは、定義されたRARウィンドウ内でRARを受信しない場合にのみ、PRACHプリアンブルの再送を試みることが許可される。)
引用文献1の上記記載、及び無線通信システムの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「(1)」の「UEは、各SSブロックインデックスの測定に基づいて、PRACHプリアンブルを送信するためのRACHリソースを選択すべきである。」との記載によれば、UEは、複数のSSブロックを測定するものである。そして、上記「(1)」の「UEは、最良受信SSブロックのインデックス(ビーム方向)と対応するRACHリソースを決定する必要がある。」との記載も考慮すると、UEは、複数のSSブロックを測定し、当該測定に基づいて最良受信SSブロックを選択するものであるといえる。
イ 上記「(1)」の「UEは、最良受信SSブロックのインデックス(ビーム方向)と対応するRACHリソースを決定する必要がある。」との記載によれば、UEは、最良受信SSブロックのインデックスに対応するRACHリソースを決定するものである。
そして、上記「(1)」の「UEは、各SSブロックインデックスの測定に基づいて、PRACHプリアンブルを送信するためのRACHリソースを選択すべきである。」との記載によれば、RACHリソースは、PRACHプリアンブルを送信するためのものであるから、UEは、RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信するといえる。
ウ 上記「(2)」の「UEは、定義されたRARウィンドウ内でRARを受信しない場合にのみ、PRACHプリアンブルの再送を試みることが許可される。」との記載によれば、UEは、RARウィンドウ内でRARを受信しない場合にのみ、PRACHプリアンブルの再送を行うものである。
したがって、上記「ア」ないし「ウ」を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のSSブロックを測定し、当該測定に基づいて最良受信SSブロックを選択し、当該最良受信SSブロックのインデックスに対応するRACHリソースを決定し、当該RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信し、RARウィンドウ内でRARを受信しない場合にのみ、PRACHプリアンブルの再送を行う、UE。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献2(国際公開第2016/022235号)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「1. A method of wireless communication for a user equipment (UE), comprising:receiving beamforming capability information indicating one of at least a digital, analog, or hybrid beamforming capability, the beamforming capability associated with a millimeter wave base station (mmW-BS);scanning, based on the beamforming capability information, N transmit beams from the mmW-BS for each of M receive beam directions of the UE;determining one or more preferred scanned beams from among the N transmit beams; andestablishing a wireless communication link with the mmW-BS based on the preferred one or more scanned beams.」(第29頁請求項1)
(当審仮訳:1. ユーザ機器(UE)に関するワイヤレス通信の方法であって、
少なくともデジタル、アナログ、またはハイブリッドビームフォーミング能力のうちの1つを示すビームフォーミング能力情報を受信すること、前記ビームフォーミング能力は、ミリメートル波基地局(mmW-BS)に関連する、と、
前記ビームフォーミング能力情報に基づいて、前記UEのMの受信ビーム方向の各々に関して前記mmW-BSからのNの送信ビームをスキャンすることと、
前記Nの送信ビームの中から1つまたは複数の好ましいスキャンされたビームを決定することと、
前記好ましい1つまたは複数のスキャンされたビームに基づいて前記mmW-BSとワイヤレス通信リンクを確立することと、を備える、方法。)
(2)「7. The method of claim 1, wherein determining the one or more preferred scanned beams comprises comparing a signal quality of the scanned beams to a threshold.」(第30頁請求項7)
(当審仮訳:7. 前記1つまたは複数の好ましいスキャンされたビームを決定することは、前記スキャンされたビームの信号品質をしきい値と比較することを備える、
請求項1に記載の方法。)
上記記載によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「Nの送信ビームの中から1つまたは複数の好ましいスキャンされたビームを決定することであって、前記スキャンされたビームの信号品質をしきい値と比較することにより前記決定をすること。」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献3(特開2016-140068号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【請求項1】基地局の方法であって、前記基地局はUE(ユーザ装置)からの第1のプリアンブル送信をあるビーム上で検出するステップと、前記基地局は前記UEと通信するために使用できる他のビームがあるかどうか検出するために追加の送信を検査するステップと、前記基地局はある基準が満足される場合に前記UEのビームセットは前記UEが前記基地局と通信できるビームを含み完全であるとみなすステップと、を備える方法。」
(2)「【請求項7】前記基準は新たに検出されたビームの強度と最強ビームの強度との差が一定値に達するかどうかに基づいている、請求項1記載の方法。」
(3)「【請求項8】前記基準は新たに検出されたビームが閾値を超える品質を有するかどうかに基づいている、請求項1記載の方法。」
上記記載によれば、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「基地局の方法であって、前記基地局はある基準が満足される場合にUEのビームセットは前記UEが前記基地局と通信できるビームを含み完全であるとみなすステップを備え、前記基準は新たに検出されたビームの強度と最強ビームの強度との差が一定値に達するかどうかに基づいている、又は前記基準は新たに検出されたビームが閾値を超える品質を有するかどうかに基づいている、方法。」
4 引用文献4について
当審拒絶理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献4(特開2014-053811号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0058】図11のステップS31、S33、S34は、図9のステップS11、S13、S14と同様であるため、説明を省略する。図11のステップS32では、無線基地局eNBは、図9のステップS12で説明したCSIプロセス情報に加えて、CSIフィードバックが要求されるCSIについての所定の閾値をユーザ端末UEに通知する。所定の閾値は、例えば、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングにより、通知されてもよい。また、所定の閾値が予めユーザ端末UEで設定されている場合、所定の閾値は通知されなくもよい。」
(2)「【0072】図13のステップS511-S51Kは、図12のステップS411-S41Kと同様であるため、説明を省略する。なお、図示しないが、無線基地局eNBは、CSIフィードバックが要求されるCSIについての所定の閾値をユーザ端末UEに通知する。所定の閾値は、例えば、RRCシグナリングなどの上位レイヤシグナリングにより、通知されてもよい。また、所定の閾値が予めユーザ端末UEで設定されている場合、所定の閾値は通知されなくもよい。」
上記記載によれば、引用文献4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「CSIについての所定の閾値をユーザ端末UEに通知することであって、前記所定の閾値は、RRCシグナリングにより、通知されること。」
5 引用文献5について
当審拒絶理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献5(特表2015-537484号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
「【0035】セル測定しきい値の調整は、アクティブ状態または接続状態においても発生し得ることを理解されたい。すなわち、UE12などのUEは、測定しきい値調整メッセージに基づいて接続モード測定しきい値を調整し得る。その上、いくつかの態様では、アイドルモード測定しきい値など、様々なしきい値が設定可能であり得る。すなわち、しきい値は、(たとえば、RRCシグナリングメッセージを使用する)ネットワークデバイス、(たとえば、UE固有のポリシーをプロビジョニングする)ネットワークオペレータ、またはUE12と通信する他のエンティティによって設定され得る。 」
上記記載によれば、引用文献5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「アイドルモード測定しきい値など、様々なしきい値が、RRCシグナリングメッセージを使用するネットワークデバイスによって設定されること。」
6 引用文献6について
当審拒絶理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献6(特開2014-017744号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
「【0092】図8において、まず、基地局装置1は、周波数F2のセル検出のために、測定設定情報として測定対象および報告設定に、チャネル状態情報基準信号設定および閾値を設定し(ステップS801)、RRCメッセージを用いて前記測定設定情報を含む測定設定を通知する(ステップS802)。」
上記記載によれば、引用文献6には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「測定設定情報として測定対象および報告設定に、チャネル状態情報基準信号設定および閾値を設定し、RRCメッセージを用いて前記測定設定情報を含む測定設定を通知すること。」
7 引用文献7について
当審拒絶理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献7(特開2015-164281号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。)
「【0098】図24に示す例において、ユーザ装置20は、3つの基地局(サイトA、サイトB、サイトC)からPSS/SSSを受信し、複数受信した信号のうち、サイトAのビームグループID#1の広ビームで送信された信号と、サイトBのビームグループID#5の広ビームで送信された信号を良好に受信したとする。良好に受信したとは、例えば、所定の閾値以上の受信電力であった、上位から所定番目(図24の例では2番目)までの受信電力であった、等のことである。」
上記記載によれば、引用文献7には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「複数受信した信号のうち、特定のビームで送信された信号を良好に受信したとするものであって、所定の閾値以上の受信電力であったものを良好に受信したとすること。」
第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「UE」が無線通信システムにおける端末を示すことは技術常識であるから、引用発明における「UE」は、本願発明1の「端末」に相当する。
イ 引用発明における「SSブロック」が、同期信号ブロックを示し、基地局から受信するものであることは技術常識であるから、引用発明における「SSブロック」は、本願発明1の「基地局から受信する」「同期信号ブロック」に相当する。
そして、引用発明における「複数のSSブロック」は、本願発明1の「複数の同期信号ブロック」に相当し、さらに引用発明は「複数のSSブロックを測定」するから、本願発明1の「複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する」ことと、引用発明の「複数のSSブロックを測定」することは、「複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックを測定する」点で共通する。
また、引用発明の「SSブロックを測定」することは、SSブロックを基地局から受信することによって行われることが技術常識であるから、引用発明の「UE」は受信部を備え、受信部で「SSブロックを測定」するといえる。また、上記「ア」で述べたように、引用発明における「UE」は、本願発明1の「端末」に相当する。
以上のことから、本願発明1の「端末」が「基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックの受信電力を測定する受信部」を備えることと、引用発明の「UE」が「複数のSSブロックを測定」することは、「端末」が「基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックを測定する受信部」を備える点で共通する。
ウ 上記「イ」で述べたように、引用発明における「SSブロック」が、同期信号ブロックを示すことは技術常識であるから、本願発明1の「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択」することと、引用発明の「複数のSSブロックを測定し、当該測定に基づいて最良受信SSブロックを選択」することとは、「同期信号ブロックを選択」する点で共通する。
また、引用発明における「RACHリソース」は、本願発明1の「第1のリソース」に含まれる。そうすると、引用発明において「測定に基づいて最良受信SSブロックを選択し、当該最良受信SSブロックのインデックスに対応するRACHリソースを決定」することは、本願発明1の「選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」することに含まれる。
さらに、引用発明における「PRACHプリアンブル」は、本願発明1の「プリアンブル」に含まれる。そうすると、引用発明における「当該RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信」することは、本願発明1の「当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する」ことに含まれる。また、引用発明の「UE」は送信部を備え、送信部で「PRACHプリアンブルを送信」するといえる。そして、上記「ア」で述べたように、引用発明における「UE」は、本願発明1の「端末」に相当する。
以上のことから、本願発明1の「端末」が「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部」を備えることと、引用発明の「UE」が「複数のSSブロックを測定し、当該測定に基づいて最良受信SSブロックを選択し、当該最良受信SSブロックのインデックスに対応するRACHリソースを決定し、当該RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信」することは、「端末」が「同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部」を備える点で共通する。
エ 引用発明における「PRACHプリアンブルの再送」は、再送であるから、その前の「PRACHプリアンブル」の送信に対するものであることは明らかである。また、上記「ウ」で述べたように、引用発明における「当該RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信」することは、本願発明1の「当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する」ことに含まれることも考慮すると、引用発明において「PRACHプリアンブルの再送を行う」ことは、本願発明1の「前記送信部は、前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送を行う」ことに含まれる。
したがって、上記「ア」ないし「エ」を総合すれば、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
「基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックを測定する受信部と、同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送を行う端末。」
<相違点1>
同期信号ブロックの測定に関して、本願発明1では「受信電力を」測定するのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点2>
同期信号ブロックの選択に関して、本願発明1では「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の」同期信号ブロックを選択するのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点3>
第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送に関して、本願発明1では「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討するにあたり、事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
上記相違点3に係る「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項は、引用文献1ないし引用文献7には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点3に係る「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2について
(1)対比
本願発明2と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 本願発明2の第1段落及び第2段落の発明特定事項は、本願発明1の第1段落及び第2段落の発明特定事項と同一であるから、本願発明1の第1段落及び第2段落の発明特定事項の対比について説示した上記「1」の「(1)」の「ア」ないし「ウ」と同様のことがいえる。
イ 引用発明における「RAR」は、ランダムアクセスレスポンスを示すことは技術常識であるから、本願発明2の「ランダムアクセスレスポンス」に相当する。また、ランダムアクセスレスポンスは、送信したプリアンブルに対して受信するものであることが技術常識であるから、引用発明における「RAR」の「受信」は、送信した「PRACHプリアンブル」に対する「受信」であるといえる。そして、上記「1」の「(1)」の「ウ」で述べたことと同様に、引用発明における「当該RACHリソースを用いてPRACHプリアンブルを送信」することは、本願発明2の「当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する」ことに含まれることも考慮すると、引用発明における「RAR」の「受信」は、本願発明2の「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信」に含まれる。さらに、RARウィンドウ内で受信しないことは、受信に成功しないことに含まれるといえる。そうすると、引用発明における「RARウィンドウ内でRARを受信しない場合」は、本願発明2の「ランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」に含まれる。また、引用発明において「PRACHプリアンブルの再送を行う」ことは、本願発明2の「ランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」「プリアンブル送信を行う」ことに含まれる。
以上のことから、引用発明における「RARウィンドウ内でRARを受信しない場合にのみ、PRACHプリアンブルの再送を行う」ことは、本願発明2の「前記送信部は、前記受信部が前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」「プリアンブル送信を行う」ことに含まれる。
したがって、上記「ア」及び「イ」を総合すれば、本願発明2と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
「基地局から受信する複数の同期信号ブロックのうちの少なくとも1つの同期信号ブロックを測定する受信部と、同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記受信部が前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合、プリアンブル送信を行う端末。」
<相違点1>
同期信号ブロックの測定に関して、本願発明1では「受信電力を」測定するのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点2>
同期信号ブロックの選択に関して、本願発明2では「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の」同期信号ブロックを選択するのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
<相違点3>
ランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合のプリアンブル送信に関して、本願発明2では「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討するにあたり、事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
上記相違点3に係る「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項は、引用文献1ないし引用文献7には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点3に係る「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明3ないし5について
本願発明3は、本願発明1又は2の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1又は2と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願発明4は、本願発明1の発明特定事項を全て備える端末を含むシステムであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
さらに、本願発明5は、本願発明2の発明特定事項を全て備える端末を含むシステムであるから、本願発明2と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本願発明6及び7について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であって、上記「1」で説示した相違点3に対応する「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項を少なくとも含むものであるから、本願発明1と同様な理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願発明7は、本願発明2に対応する方法の発明であって、上記「2」で説示した相違点3に対応する「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項を少なくとも含むものであるから、本願発明2と同様な理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
本件補正により、本願発明1ないし7は、いずれも「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項、又は「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第6」の「1」ないし「4」で説示したとおり、本願発明1ないし7は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
1 理由1(明確性)について
(1)理由1(明確性)における(1)の拒絶の理由
当審拒絶理由では、請求項1の「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」との記載が、どのような発明特定事項を表しているのか、明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項1では、「第1のリソース」との記載が「前記第1のリソース」に補正され、その前段の第2段落の記載が「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し、当該第1のリソースを用いてプリアンブルを送信する送信部」と補正されたことにより、「第1のリソース」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し」という方法により決定されるものとなった。これにより、「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」との記載は、上記方法により決定された「第1のリソース」を用いて「送信部」によって「送信」が行われることが明確になった。
また、同様の記載がなされていた請求項2、4ないし7についても同様な補正がなされた結果、請求項2、4ないし7、及び請求項1又は2を引用する請求項3に係る発明についても同様に明確になった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
(2)理由1(明確性)における(2)の拒絶の理由
当審拒絶理由では、請求項4に係る発明は「基地局」であるところ、請求項4に記載されている発明特定事項のうち、プリアンブルが「RRC信号により前記端末に送信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソースを用いて」端末により送信された点、及び「第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送であって、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用した再送による」ものである点が、「基地局」の動作を特定するものであるか否か、仮に特定するものであるとした場合、「基地局」が、どのような動作を行うことを特定しているのか、明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項4に係る発明は「端末」と「基地局」とを備える「システム」に関するものとなり、「端末」の動作と「基地局」の動作が明確に特定されるものとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
(3)理由1(明確性)における(3)の拒絶の理由
当審拒絶理由では、請求項5に係る発明は「基地局」であるところ、請求項5に記載されている発明特定事項のうち、プリアンブルが「RRC信号により前記端末に送信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソースを用いて」端末により送信された点、及び「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」送信されたものである点が、「基地局」の動作を特定するものであるか否か、仮に特定するものであるとした場合、「基地局」が、どのような動作を行うことを特定しているのか、明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項5に係る発明は「端末」と「基地局」とを備える「システム」に関するものとなり、「端末」の動作と「基地局」の動作が明確に特定されるものとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
また、当審拒絶理由では、請求項5には「前記送信部が第1のリソースで受信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合、受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して送信されたプリアンブルを受信する」と記載されているが、上記「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項5では、当該記載は、端末の動作として特定されるものとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
2 理由2(サポート要件)について
当審拒絶理由では、請求項5の記載では、「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない。仮に判断する主体が「基地局」である場合、ランダムアクセスレスポンス送信に成功しないことを基地局が判断することが、発明の詳細な説明のどの記載に基づくものであるのか、明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項5では、当該記載は、端末の動作として特定されるものとなり、発明の詳細な説明の段落【0071】及び【0072】に記載されたものと整合することとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
3 理由3(実施可能要件)について
当審拒絶理由では、請求項5の記載では、「ランダムアクセスレスポンス送信に成功しない場合」を判断する主体が、基地局なのか、端末なのかが明確でない。仮に判断する主体が「基地局」である場合、基地局が、ランダムアクセスレスポンス送信に成功しないことを、どのように判断できるのか、発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されていない旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項5では、当該記載は、端末の動作として特定されるものとなり、発明の詳細な説明の段落【0071】及び【0072】に記載されたものと整合することとなった。これにより、発明の詳細な説明は、当業者が請求項5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとなった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
4 本願発明1ないし3、6及び7に対する理由5(進歩性)について
当審拒絶理由では、請求項1の「第1のリソースを用いたプリアンブル送信」との記載における「第1のリソース」は、どのように決定されるものか明確でないため、「第2のリソース」と同様、閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソースして決定されるものと解釈した上で、請求項1ないし3、6及び7に係る発明は、引用文献1、4ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を通知している。
上記解釈では、「第1のリソース」及び「第2のリソース」は、いずれも「閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソース」として決定されるが、その際に用いる「閾値」が「第1のリソース」と「第2のリソース」で同じか否かについては特定されていないものとしている。
これに対して、本件補正後の請求項1では「第1のリソース」を「前記第1のリソース」に補正し、その前段の第2段落の記載が「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し」と補正されたことにより、「第1のリソース」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定し」という方法により決定されるものとなった。一方、「第2のリソース」は、「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する」ものと記載されており、当該記載中の「前記閾値」は、第2段落に記載されている「閾値」を指すから、本件補正後の請求項1に係る発明では「第1のリソース」及び「第2のリソース」を決定する際に用いる「閾値」は、同じものである。また、請求項2、4ないし7についても同様の補正がなされている。
そして、当審拒絶理由で述べたように、初送と再送で同様の処理を行うという周知技術の存在を考慮すれば、「第1のリソース」及び「第2のリソース」をいずれも「閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックに対応するリソース」として決定するようにすることは、当業者が容易に想到し得たといえるとしても、その際に用いる「閾値」を「第1のリソース」及び「第2のリソース」で同じものとすることまでは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
すなわち、本件補正後の請求項1、4及び6の「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項、及び本件補正後の請求項2、5及び7の「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項は、引用文献1、4ないし7には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
5 本願発明4及び5に対する理由4(新規性)及び理由5(進歩性)について
当審拒絶理由では、請求項4及び5に係る発明は「基地局」であるところ、請求項4及び5に係る発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、「端末」の動作に関して、記載上、表現上の相違があるものの、「基地局」としては差異がないから、請求項4及び5に係る発明は、引用文献1に記載された発明である旨を通知している。
また、請求項4及び5に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を通知している。
これに対して、本件補正後の請求項4及び5に係る発明は「端末」と「基地局」とを備える「システム」に関するものとなり、当該「端末」は、本件補正後の請求項1又は2の発明特定事項を全て備えるものである。そして、上記「4」で説示したように、本件補正後の請求項1の「前記第1のリソースを用いたプリアンブル送信に対する再送」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して行う」ものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項、及び本件補正後の請求項2の「前記第1のリソースで送信したプリアンブルに対するランダムアクセスレスポンス受信に成功しない場合」の「プリアンブル送信」を「受信電力が前記閾値よりも大きな同期信号ブロックに対応する第2のリソースを使用して」行うものであり、ここでの「前記閾値」は、「前記基地局からRRC信号により受信した閾値よりも大きい受信電力の同期信号ブロックを選択し、選択した同期信号ブロックに対応する第1のリソースを決定」する際に使用した閾値であるという発明特定事項は、引用文献1には記載されていないから、本件補正後の請求項4及び5に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるとはいえず、また引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、この拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-002157