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特許拒絶査定不服審判

2021-001733

バッチ蒸着のための高材料流束によるソース試薬に基づく流体の送出

審判番号
2021-001733
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-090352外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月08日
審決日
2022年08月17日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C23C) / P18 .575-Z (C23C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第50条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019- 90352「バッチ蒸着のための高材料流束によるソース試薬に基づく流体の送出」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日出願公開、特開2019-167626〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)5月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月31日、アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願である特願2015-515233号(以下、「原出願」という。)の一部を、令和元年5月13日に新たな出願(特願2019-90352号)としたものであって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和 元年 6月10日 :手続補正書(自発)の提出 令和 2年 5月19日付け:拒絶理由通知書(特許法第50条の2の通 知を伴う拒絶理由通知) 同年 8月25日 :意見書の提出 同年 9月28日付け:拒絶査定 令和 3年 2月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年2月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年2月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、 前記気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイと、を備え、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面を含み、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁をさらに備え、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さを有し、前記複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有し、且つ試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有し、 前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システムであって、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、 前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成し、 前記複数の試薬支持トレイは、支持トレイと、下部支持トレイとを含み、前記下部支持トレイが前記支持トレイの下に垂直に積層された際、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルを通る、前記下部支持トレイの前記下縁の下のガス流が、前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルに直線的に流入しないように、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りが前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りに対してオフセットされるように構成される、 システム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、令和元年6月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりである。 「【請求項1】 内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、 前記気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイと、を備え、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面を含み、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁をさらに備え、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さを有し、前記複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有し、且つ試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有し、 前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システムであって、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達し、 前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成する、システム。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の試薬支持トレイ」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の原出願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2008-501507号公報(平成20年1月24日公表。以下「引用文献1」という。)には、「ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける方法及び装置」(発明の名称)に関する、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 「【請求項36】 容器と、 ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、を備える装置であって、 ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有する装置。」 「【0002】 技術分野 この特許出願に記述した1つ以上の実施形態は、蒸発器の分野に関するものである。 【背景技術】 【0003】 背景 蒸発器が、たとえば、工作物全体に薄膜を形成させる化学気相成長法(CVD)設備、又は工作物内に噴射するために工作物の方にイオンを加速させるイオン注入機などの、半導体処理設備の処理槽にキャリヤガス内の材料を送出するのに使用されることがある。 【0004】 噴水機器と呼ばれる1つの蒸発器が、容器内の液体材料を加熱し、容器の底部近くの液体材料内に制御された速度でキャリヤガスを導入することにより、液体状態の材料から処理槽に蒸気を送出する。次いで、キャリヤガスは、容器の上部まで泡立つと、液体材料からの蒸気で飽和する。次いで、飽和したキャリヤガスは処理槽に運ばれる。 【0005】 材料をその昇華温度まで加熱し、キャリヤガスをその加熱された材料を流れるよう方向付けることにより、固体状態の材料からの蒸気が、処理槽に送出されることがある。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 詳細な説明 図1は、1つ以上の実施形態について、蒸発器110から蒸発器110に結合された処理設備120に所望のガスを送出するシステム100を示している。蒸発器110は、材料を蒸発させ、蒸発器110に結合されたガス源130からガスを受けとり、受けとられたガスと蒸発材料との接触から生じたガスを処理設備120に送出するのを助ける。蒸発器110は、受けとられたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう、蒸発すべき材料の 露出表面積を増加させるのを助けるために、蒸発すべき材料を支える。 【0016】 受けとられたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けることにより、1つ以上の実施形態の蒸発器110が、比較的より高い流量で、得られたガスを処理設備120に送出するのを助けるよう使用されることがある。」 「【0017】 1つ以上の実施形態の蒸発器110が、図2の流れ図200に従って、所望のガスを処理設備120に送出するのに使用されることがある。 【0018】 図2のブロック202について、蒸発すべき材料が、蒸発すべき材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう、蒸発器110の容器内で支えられる。 ・・・ 【0020】 1つ以上の実施形態の蒸発器110が、固体状態の任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、たとえば約20℃~約300℃の範囲内の昇華温度及びたとえば約10-2トル~約103トルの範囲内の蒸気圧によって特徴づけられる、任意の好適な固体材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、ホウ素(B)、亜リン酸(P)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ランタン(La)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、デカボラン(B10H14)、四塩化ハフニウム(HfCl4)、四塩化ジルコニウム(ZrC14)、三塩化インジウム(InCl3)、有機金属β-ジケトネート複合体、シクロペンタジエニルシクロヘプタトリエニルチタン(CpTiChT)、三塩化アルミニウム(A1Cl3)、ヨウ化チタン(TixIy)、シクロオクタテトラエンシクロペンタジエニルチタン((Cot)(Cp)Ti)、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジアジド、タングステンカルボニル(Wx(CO)y)、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(Cp)2)、及び/又は三塩化ルテニウム(RuCl3)を有する、任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、粉末、凝集粒子、1つ以上の結晶体、及び/又は薄膜などの、任意の好適な形態の任意の好適な固体材料を蒸発させるよう使用されることがある。結晶体が、たとえば、板、レンガ、又は平円板形状などの、任意の好適な大きさ及び形状を有することがある。 【0021】 1つ以上の実施形態の蒸発器110が、液体状態の任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。蒸発器110が、たとえば、第3アミリミドトリス(ジメチルアミド)タンタル(タイマータ)、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(TDEAT)、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(TDMAT)、五リン酸ジメチルアミドタンタル(PDMAT)、タンタルペンタエトキシド(TAETO)、及びビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)(Ru(EtCp)2)を有する、任意の好適な材料を蒸発させるよう使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、材料を蒸発させる前に、固体状態の任意の好適な材料を液体状態まで加熱するのに使用されることがある。 ・・・ 【0043】 図2のブロック210について、導入されたガスと蒸発材料との接触から生じたガスが、処理設備120に送出される。蒸発器110が、得られたガスを処理設備120に送出するために、任意の好適な方法で任意の好適な処理設備120に結合されることがある。蒸発器110が導入されたガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるので、1つ以上の実施形態のガスが、得られたガスを比較的より高い流量で処理設備120に送出するのを助けるために、比較的より高い流量で蒸発器110の容器内に導入されることがある。 【0044】 1つ以上の実施形態の蒸発器110が、送出されたガスを受けたことに反応して、任意の好適な処理設備120により実施すべき任意の好適な半導体プロセスにおいて使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることがある。1つ以上の実施形態の蒸発器110が、たとえば、原子層堆積(ALD)法、プラズマ促進原子層堆積(PEALD)法、有機金属気相成長(MOCVD)法、又はプラズマ促進化学気相成長(PECVD)法などの、任意の好適な化学気相成長(CVD)法において使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることがある。」 「【0050】 増大した表面積を有する材料を支えるための構造の例 1つ以上の実施形態の蒸発器110が、材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう材料を支えるのを助けるための1つ以上の支持面を画定する、1つ以上のホルダを備えた容器を備えることがある。図3は、一実施形態の例について、各支持面311、321、331、341、351、及び361を画定する、複数のホルダ310、320、330、340、350、及び360を備えた容器300を示している。 ・・・ 【0052】 一の実施形態の容器は、底部壁にほぼ対向する容器の上部に又はこの近くに、任意の好適な大きさ及び形状の開口部を有する、任意の好適な大きさ及び形状の内部領域を画定するのを助けるための、底部壁と1つ以上の側壁とを有することがある。図3の実施形態の例に示されているように、容器300が、容器300の上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有することがある。1つ以上の実施形態のほぼ円筒形の内部領域の内径は、たとえば約3インチ~約6インチの範囲内であり、一の実施形態のそれは、たとえば約3.75インチであり得る。一の実施形態の容器は、底部壁にほぼ対向する容器の上部に又はこの近くにほぼ矩形の開口部を有する、容器内のほぼ平行六面体の形状の内部領域を画定するのを助けるための、底部壁と4つの側壁とを有することがある。 ・・・ 【0058】 図3の実施形態の例に示されているように、ホルダ310は、底面301全体に支持面311を画定するために底面301全体に位置決めされ、ホルダ320は、支持面311全体に支持面321を画定するためにホルダ310全体に位置決めされ、ホルダ330は、支持面321全体に支持面331を画定するためにホルダ320全体に位置決めされ、ホルダ340は、支持面331全体に支持面341を画定するためにホルダ330全体に位置決めされ、ホルダ350は、支持面341全体に支持面351を画定するためにホルダ340全体に位置決めされ、ホルダ360は、支持面351全体に支持面361を画定するためにホルダ350全体に位置決めされることがある。図3の実施形態の例には、6つのホルダ310、320、330、340、350、及び360を使用して示されているが、たとえば3、4、又は5などの、任意の好適な数の1つ以上のホルダが、1つ以上の他の実施形態のために使用されることがある。 ・・・ 【0064】 一の実施形態の複数の除去可能なホルダが、任意に、容器の内部領域内のスタック内に置かれることがある。一の実施形態の複数の分離可能かつ除去可能なホルダが、一度に1つずつ容器内に置かれることがある。第1のホルダが容器内に置かれた後、一の実施形態の第2のホルダが、第1のホルダ上に載るよう容器内に置かれ、次いで、任意のその後のホルダが、容器内の上部のホルダ上に載るよう容器内に置かれることがある。一の実施形態の1つ以上のホルダが、別のホルダに直接載るよう容器内に置かれることがある。 一の実施形態の1つ以上のホルダが、たとえばガスケット又は他の任意の好適な構造が他のホルダ全体に置かれた、別のホルダに間接的に載るよう容器内に置かれることがある。 ・・・ 【0068】 ホルダが、任意の好適な大きさ、輪郭、及び形状を有する、1つ以上の支持面を画定することがある。1つ以上の実施形態のホルダが、任意に、ホルダ全体に位置決めされた、たとえば1つ以上の他のホルダを支えるのを助けるための、かつホルダによって支えられた材料全体にガスが流れる領域を画定するのを助けるための、支持面に対して任意の好適な大きさ及び形状の、1つ以上の側壁及び/又は1つ以上の支持材を有することがある。一の実施形態のホルダが、支持面の周囲の少なくとも一部分に沿って、1つ以上の側壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の側壁が、ホルダによって支えられる、任意の好適な量の材料を含むのを助けるよう画定されることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の側壁に、任意に、たとえばホルダと上にあるホルダとの間にガスケットを位置決めするのを助けるために、上部に沿って溝がつけられることがある。」 「【0074】 ガスの導入 ガスが、任意の好適な場所で、容器の1つ以上の内部領域内に任意の好適な流量で導入されることがある。1つ以上の実施形態のガスが、内部領域内の別の端部の方に流れるよう、内部領域内の一方の端部又はこの近くの容器の内部領域内に導入されることがある。 【0075】 1つ以上の実施形態のガスが、内部領域の底面及び/又は内部領域内の蒸発すべき材料を支える最下部のホルダの又はこの近くの、容器の内部領域内に導入されることがある。一の実施形態のガスが、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間に導入されることがある。一の実施形態のガスが、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域内の蒸発すべき材料を支える次の最下部のホルダとの間に導入されることがある。 ・・・ 【0079】 図3の実施形態の例に示されているように、ほぼ環状の支持材304が、底面301より上でホルダ310を支えるために、容器300の内部領域内の底面301上に置かれることがある。次いで、管305が、容器300の内部領域のほぼ中心の部分内のホルダ360、350、340、330、320、及び310内の開口部を通って、ホルダ310と底面301との間の場所まで延在することがある。」 「【0097】 一の実施形態の上にあるホルダが、上にあるホルダの1つ以上の通路と下にあるホルダの1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、下にあるホルダに対して位置決めされる又は配向されることがある。一の実施形態の上にあるホルダが、このようなホルダが互いに如何に位置決めされるか又は配向されるかに関係なく、上にあるホルダの1つ以上の通路と下にあるホルダの1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、異なる場所に1つ以上の通路を有することがある。通路が整列するのを回避することにより、上にあるホルダの底部は、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすよう、下にあるホルダを通って1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けることがある。材料が蒸発する時にホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすようガス流を方向付けることは、ガスと蒸発する材料との接触時間を増加させるのを助け、したがって、ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける。 【0098】 一の実施形態の上にあるホルダ及び下にあるホルダが、任意に、上にあるホルダの1つ以上の通路と下にあるホルダの1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、互いに位置決めする又は配向させるのを助ける任意の好適な構造を画定する及び/又は有することがある。図4の実施形態の例に示されているように、刻み目314が、ホルダ310に対して上にあるホルダを配向させるのを助けるために、上にあるホルダの底部から下に延在する、これに対応する突起を受けとるために、側壁312の上部に画定されることがある。」 「【0106】 一の実施形態のホルダが、支持面を分割するのを助けるためにホルダの支持面から上に延在する、任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有し、ホルダを通るガス流用の1つ以上のこのような1つ以上の壁内に画定された任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の通路を有することがある。一実施形態のこのような1つ以上の壁が、蒸発すべき材料が支えられる任意の好適な数の2つ以上の領域に支持面を分割するのを助けるために、任意の好適な場所に画定されることがある。 【0107】 図6の実施形態の例に示されているように、ホルダ610が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有することがある。ホルダ610、支持面611、側壁612、及び側壁615が、図3、図4、及び図5の、それぞれ、ホルダ310、支持面311、側壁312、及び側壁315にほぼ対応する。ホルダ610が、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有することがある。1つ以上の通路が、ホルダ610全体に、上に、及び/又は内に、蒸発すべき材料を置くこと又は形成することを簡単にするのを助けるために、たとえば支持面611全体に渡って広がるのではなく、1つ以上のこのような1つ以上の壁内に画定されることがある。 【0108】 一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に流れるよう、下にあるホルダを通って1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダに対して位置決めされる又は配向されることがある。一の実施形態について、下にあるホルダのための1つ以上の通路を有する1つ以上の壁は、ガス流が下にあるホルダを通って1つ以上の通路を出ることができるようにするために、及び/又は下にあるホルダによって支えられた材料全体にガス流を循環させる又は渦を起こすのを助けるために、このような1つ以上の壁と上にあるホルダの底部との間で、任意の好適な大きさの出口領域を画定するのを助ける任意の好適な高さであり得る。 【0109】 図6の実施形態の例に示されているように、上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有することがある。ホルダ620、支持面621、側壁622、側壁625、及び壁627及び628は、それぞれ、ホルダ610、支持面611、側壁612、側壁615、及び壁617及び618にほぼ対応する。一の実施形態の上にあるホルダ620が、上にあるホルダ620の、たとえば壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されることがある。」 「【0117】 一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、任意に、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に延在するために、ホルダの底部から下に延在する任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁が、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助けることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さであり得る。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、任意の好適な技術を使用して、ホルダに結合されることがある。別の実施形態のこのような1つ以上の壁が、ホルダと一体に形成されることがある。 【0118】 たとえば、図6の実施形態の例のホルダ620が、ホルダ620を通って1つ以上の通路に延在する、たとえば壁627及び/又は628などの支持面621を分割する1つ以上の壁に対向するホルダ620の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。たとえば、図7の実施形態の例のホルダ720が、ホルダ720を通って1つ以上の通路に延在する壁727に対向するホルダ720の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。」 「【0144】 ガスが容器の内部領域の第1の端部に又はこの近くに導入され、内部領域の第2の端部の方に流れるよう方向付けられる、1つ以上の実施形態について、第1の端部の方に支えられた材料が、第2の端部の方に支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されることがある。キャリヤガスが容器内に導入される1つ以上の実施形態について、キャリヤガスは、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料で大部分又は十分に飽和することがある。ガスが蒸発材料に反応するよう容器内に導入される1つ以上の実施形態について、導入されたガスが、第2の端部の又はこの近くの蒸発材料に到達する前に、蒸発材料に反応することがある。1つ以上の実施形態について、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、より多くの材料が第1の端部の方に支えられ、より少ない材料が第2の端部の方に支えられることがある。複数のホルダが容器の内部領域内で材料を支えるのを助けるのに使用される1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、任意に、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、第1の端部の方にはより多くの材料を及び第2の端部の方にはより少ない材料を支えるのを助ける大きさを有する及び/又は間隔が置かれることがある。たとえば、このようなホルダが1つ以上の側壁を有する1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、異なる高さの1つ以上の側壁を有することがある。」 「【0151】 図面の簡単な説明 【図1】1つ以上の実施形態について、ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける蒸発器を使用するシステムを示す図である。 【図2】1つ以上の実施形態について、図1のシステム内のガス送出を示す流れ図である。 【図3】一例の実施形態について、ガスとホルダによって支えられた材料からの蒸気との接触を促進するのを助けるための、ホルダを備えた蒸発器の容器を示す透視分解図である。 【図4】一例の実施形態について、ホルダを示す透視図である。 ・・・ 【図6】別の例の実施形態について、別のホルダの上に位置決めされたホルダを示す透視分解組立図である。」 「【図1】 [図:0001392480000001.jpg] 【図2】 [図:0001392480000002.jpg] 【図3】 [図:0001392480000003.jpg] 【図6】 [図:0001392480000004.jpg] 」 (3)引用文献1に記載された発明(引用発明) ア 引用文献1の【請求項36】には、「容器と、ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、を備える装置であって、ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有する装置。」が記載されている。 イ そして、【0002】には、当該装置の実施形態(具体例)として、「蒸発器」が挙げられ、【図1】、【0151】(ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける蒸発器を使用するシステムを示す図)及びその説明箇所(【0015】、【0016】)には、「ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう材料の増大した露出表面積を有する蒸発器110」を使用するシステム100について記載されているから、上記の装置として、「蒸発器(蒸発器110)」が想定されていることを理解できる。 ウ また、上記請求項36に係る装置の「容器」及び「ホルダ」の具体例として、【図3】、【0151】(ガスとホルダによって支えられた材料からの蒸気との接触を促進するのを助けるための、ホルダを備えた蒸発器の容器を示す透視分解図)には、「容器300」が記載され、また、【図4】、【図5】には当該容器において使用されているホルダが、さらに、【図6】~【図8】には、【図4】、【図5】のものとは異なる別のホルダが、それぞれ記載されているところ、【図6】に記載された「ホルダ610」、「ホルダ620」は、後述のとおり、1つ以上の壁と通路を有することから、上記請求項36に係る装置における「ホルダ」の具体例であるということができる(なお、【図6】以外のホルダ図面については摘記を省略した。)。 エ ここで、上記【図3】及び【図6】について子細にみておくと、蒸発器110の容器300について記載した【図3】及びその説明箇所(【0050】~【0068】)には、材料の露出表面積を増加させるのを助けるよう材料を支えるのを助けるための1つ以上の支持面を画定する、1つ以上のホルダを備えた「容器」として、各支持面311、321、331、341、351、及び361を画定する、複数のホルダ310、320、330、340、350、及び360を備えた「容器300」が記載され(【0050】)、「容器300」が、その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有することが記載され(【0052】)、さらに、「ホルダ310」は、底面301全体に支持面311を画定するために底面301全体に位置決めされ、「ホルダ320」は、支持面311全体に支持面321を画定するためにホルダ310全体に位置決めされ、「ホルダ330」は、支持面321全体に支持面331を画定するためにホルダ320全体に位置決めされ、「ホルダ340」は、支持面331全体に支持面341を画定するためにホルダ330全体に位置決めされ、「ホルダ350」は、支持面341全体に支持面351を画定するためにホルダ340全体に位置決めされ、「ホルダ360」は、支持面351全体に支持面361を画定するためにホルダ350全体に位置決めされることが記載されている(【0058】)。 また、蒸発器110のホルダ610、620について記載した【図6】及びその説明箇所(【0106】~【0109】)には、「ホルダ610」が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有し、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有し、これら「ホルダ610」、「支持面611」、「側壁612」、及び「側壁615」が、それぞれ【図3】、【図4】の「ホルダ310」、「支持面311」、「側壁312」、及び「側壁315」に対応するものであることが記載され(【0107】)、さらに、「上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有し、当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されること」が記載されている(【0109】)。 そして、前記【0109】の「上にあるホルダ620が、・・・当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されること」は、【図6】の記載、その説明箇所(【0108】)、及び【図4】、【図5】の説明箇所(【0097】~【0098】)の記載をふまえれば、上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610が、互いに位置決めされる又は配向されることであるといえる。 オ さらに、ガスの導入について記載した【0074】~【0075】には、ガスが、容器の内部領域内の別の端部の方に流れるよう、内部領域内の一方の端部に導入されること(【0074】)、ガスが、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間に導入されること(【0075】)が記載されているから、前記「蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間」は、前記「内部領域内の一方の端部」であるといえる。 カ そうすると、引用文献1には、【請求項36】に記載されている、容器とホルダを備える蒸発器(蒸発器110)において、容器として、【図3】に記載された容器300を、ホルダとして、【図6】に記載されたホルダ610、620を、それぞれ使用することが記載されているといえるから、引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)として、以下の発明を認定することができる。 「容器と、 ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助けるよう増大した露出表面積を有する、前記容器内の材料を支えるのを助けるための支持面を画定する1つ以上のホルダと、 を備える蒸発器であって、 ホルダが、ガスが前記ホルダを通って流れることができるようにするために、1つ以上の壁と1つ以上の壁内の1つ以上の通路とを有し、 前記容器は、 複数のホルダを備え、 その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有するものであり、 前記ホルダは、ホルダ610が、支持面611を画定し、支持面611の周囲に沿った側壁612と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁615とを有し、蒸発すべき材料が置かれる又は形成される多くの領域に支持面611を分割するために、側壁612と側壁615との間に延在する、たとえば壁617及び618などの、複数の壁を有し、 上にあるホルダ620が、支持面621を画定し、支持面621の周囲に沿った側壁622と、ガス導入用の管が延在する開口部の周囲に沿った側壁625と、蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する、側壁622と側壁625との間に延在するたとえば壁627及び628などの複数の壁とを有し、 当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610が、互いに位置決めされる又は配向されるものであり、 ガスは、前記容器の内部領域内の一方の端部である、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間に導入され、内部領域内の別の端部の方に流れるものである、 蒸発器110。」 (4)本件補正発明の容易想到性の検討 ア 本件補正発明と引用発明との対比 (ア)両者の主要構成について 引用発明の「蒸発器」は、引用文献1の【0044】に記載のとおり、原子層堆積(ALD)法などの化学気相成長(CVD)法において使用するための任意の好適なガスを送出するのに使用されることが想定されているところ、引用発明の「蒸発材料」は、当該ガスを得るための材料であって、同【0020】、【0021】に記載のとおり、ホウ素(B)などの固体材料やテトラキス(ジメチルアミド)チタン(TDMAT)などの液体材料などが想定されたものである。 他方、本願明細書の【0008】には、本件補正発明の「システム」は、化学蒸着(CVD)や原子層蒸着(ALD)プロセスに用いられる「ソース試薬材料」の気化のためのものであることが記載され、同【0022】には、当該ソース試薬材料として、ホウ素をはじめとする、上記引用文献1記載の蒸発材料と同様の物質が列記されている。 そうすると、引用発明の「蒸発器」及び「蒸発材料」は、それぞれ本件補正発明の「システム」及び「ソース試薬材料」に相当するものであるといえ、さらに、当該引用発明の「蒸発器」の主要構成である、「容器(容器300)」及び上記蒸発材料を支える「ホルダ(ホルダ610、620)」は、本件補正発明の「システム」の主要構成である、「気化器容器」及び「試薬支持トレイ」に、それぞれ対応するものであるということができる。 (イ)両者の各主要構成について 各主要構成について子細にみていく。 a 気化器容器(容器:容器300)について 引用発明の「容器300」は、「その上部に又はこの近くにほぼ円形の開口部を有する、容器300内のほぼ円筒形の内部領域を画定するのを助けるための、表面を有する底部壁301と側壁302とを有するもの」である。 そして、引用発明の「底部壁301と側壁302」が画定する「内部領域」は、本件補正発明でいう「1以上の内壁」が包囲する「内部容積」に相当するから、引用発明の「容器300」は、本件補正発明の「気化器容器」に相当するものといえる。 b 試薬支持トレイ(ホルダ:ホルダ610、620)について (a)引用発明の「容器(容器300)」に備えられた「1つ以上のホルダ(複数のホルダ:ホルダ610、620)」は、「支持面611、621」及び「側壁612、622」を有し、当該支持面611、621上に「蒸発すべき材料」が置かれるものである。 そして、引用発明の「支持面611、621」が、上面と下面(下縁)を有するものであることは、引用文献1の【図6】に示される形状からみて明らかであるから、引用発明の「蒸発すべき材料」が置かれる「支持面611、621」は、本件補正発明の「ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面」に相当する。 また、引用文献1の【図6】によれば、引用発明の「側壁612、622」は、「支持面611、621」から離れるように垂直方向に延在することが見てとれるから、引用発明の「側壁612、622」は、本件補正発明の「支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁」に相当する。 そうすると、引用発明の「蒸発すべき材料」が置かれる「支持面611、621」及び「側壁612、622」を有する「容器(容器300)」に備えられた「1つ以上のホルダ(複数のホルダ:ホルダ610、620)」は、本件補正発明の「ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面」及び「支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁」を有する「気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイ」に相当するものである。 (b)さらに、引用発明における「ホルダ(ホルダ610、620)」は、最終的に容器300の内部領域内に、【図3】に示されているように設置されるものであり、引用文献1の【0064】にも、「一の実施形態の複数の除去可能なホルダが、任意に、容器の内部領域内のスタック内に置かれることがある。・・・第1のホルダが容器内に置かれた後、一の実施形態の第2のホルダが、第1のホルダ上に載るよう容器内に置かれ、次いで、任意のその後のホルダが、容器内の上部のホルダ上に載るよう容器内に置かれることがある。」との記載があることからみて、当該「ホルダ」は、本件補正発明が「複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され」ているのと同様の構成を有していることは明らかである。 そして、引用発明の「上にあるホルダ620」は、「壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、下にあるホルダ610に対して位置決めされる又は配向されるものである」から、引用発明の「ホルダ」は、本件補正発明が「前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成され」ているのと同様の構成を有しているということができる。 (c)引用発明の「ホルダ(ホルダ610、620)」は、上にあるホルダ620についていうと、「蒸発すべき材料置かれる又は形成される多くの領域に支持面621を分割する・・・壁627及び628などの複数の壁」及び「当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路」を有するものであり、当該「壁」及び「通路」は、それぞれ本件補正発明の「仕切り」及び「孔(チャネル)」に相当するものといえる。また、引用文献1の【図6】における通路の形態は、「壁627及び628などの複数の壁」にそれぞれ形成された複数の通路が、全体として平行な複数のチャネルを形成していることが見てとれるから、引用発明の「ホルダ」は、本件補正発明が「前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって」「前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成する」のと同様の形態を有しているということができる。 (d)引用発明の「ホルダ(ホルダ610、620)」は、「上にあるホルダ620」の「壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう、たとえば壁618内に画定された1つ以上の通路を出るガス流を方向付けるのを助けるために、上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610が、互いに位置決めされる又は配向される」という構成を備えるものである。 そして、引用発明の「上にあるホルダ620」及び「下にあるホルダ610」は、それぞれ本件補正発明の「支持トレイ」及び「下部支持トレイ」に相当し、さらに、引用発明の「上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610」が「上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するのを回避する」ことは、本件補正発明の「前記下部支持トレイが前記支持トレイの下に垂直に積層された際、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルを通る、前記下部支持トレイの前記下縁の下のガス流が、前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルに直線的に流入しないように、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りが前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りに対してオフセットされる」ことに相当するから、引用発明は、本件補正発明の「前記複数の試薬支持トレイは、支持トレイと、下部支持トレイとを含み、前記下部支持トレイが前記支持トレイの下に垂直に積層された際、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルを通る、前記下部支持トレイの前記下縁の下のガス流が、前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルに直線的に流入しないように、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りが前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りに対してオフセットされるように構成される」のと同様の構成を有しているということができる。 イ 一致点・相違点の認定 そうすると、本件補正発明と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点が存するものと認められる。 (ア)一致点 「内部容積を包囲する1以上の内壁を有する気化器容器と、 前記気化器容器の内部容積内に配置された複数の試薬支持トレイと、を備え、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、ソース試薬材料の供給を支持するように構成された上面と、下縁と、を有する支持表面を含み、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面から離れるように最上縁まで垂直方向に延在する側壁をさらに備え、前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面の前記下縁から前記側壁の前記最上縁までの高さを有し、 前記複数の試薬支持トレイは、試薬支持トレイのスタックを形成するように前記内部容積内で垂直に積層可能に構成され、前記複数の試薬支持トレイのうちの1以上の試薬支持トレイは、前記試薬支持トレイのスタックの隣接する2以上の試薬支持トレイの間を進むガス流を方向転換させることにより、当該ガス流が、前記試薬支持トレイのスタックの前記複数の試薬支持トレイのうちの次の試薬支持トレイ内に進む前に、前記複数の試薬支持トレイのうちの特定の試薬支持トレイ内の前記ソース試薬材料と相互に作用するように構成される、システムであって、 前記複数の試薬支持トレイの各々は、前記支持表面を少なくとも部分的に横切って延在する少なくとも1つの仕切りであって、 前記少なくとも1つの仕切りは、これを通って延在する複数の孔を含み、前記複数の孔は、複数の仕切りの各々を通って延在する全体として平行な複数のチャネルを形成し、 前記複数の試薬支持トレイは、支持トレイと、下部支持トレイとを含み、前記下部支持トレイが前記支持トレイの下に垂直に積層された際、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルを通る、前記下部支持トレイの前記下縁の下のガス流が、前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルに直線的に流入しないように、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りが前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りに対してオフセットされるように構成される、 システム。」 (イ)相違点 a 相違点1 本件補正発明は、「複数の試薬支持トレイのうちの少なくとも2つの試薬支持トレイが異なる高さを有し、且つ試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有し」ているのに対し、引用発明は、かかる構成を有するものではない点。 b 相違点2 本件補正発明は、少なくとも1つの仕切りが、支持表面の「下縁より下に第1の距離延在する下端部」を有していることで、結果的に、複数の試薬支持トレイの各々は、「前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達」するという構成を具備するものとなっているのに対し、引用発明は、かかる構成を有するものではない点。 ウ 相違点についての検討 (ア)相違点1について 引用発明は、「ガス」が、「容器の内部領域内の一方の端部である、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間に導入され、内部領域内の別の端部の方に流れる」ものである。 一方、上記(2)における、引用文献1の【0144】には、「ガスが容器の内部領域の第1の端部に又はこの近くに導入され、内部領域の第2の端部の方に流れるよう方向付けられる、1つ以上の実施形態について、第1の端部の方に支えられた材料が、第2の端部の方に支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されることがある。」と記載されている。 そうすると、前記【0144】の記載から、「ガス」が、「容器の内部領域の第1の端部である、蒸発すべき材料を支える最下部のホルダと内部領域の底面との間に導入されて、内部領域の第2の端部に位置する最上部のホルダの方に流れる」ように方向付けられている引用発明では、第1の端部の最下部のホルダに支えられた材料は、第2の端部に位置する最上部のホルダに支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されることがあるものと理解される。 そして、引用文献1の【0144】には、「蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、より多くの材料が第1の端部の方に支えられ、より少ない材料が第2の端部の方に支えられることがある。」と記載されており、さらに、「複数のホルダが容器の内部領域内で材料を支えるのを助けるのに使用される1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、任意に、蒸発材料のこのような不均衡な除去を相殺するのを助けるよう、第1の端部の方にはより多くの材料を及び第2の端部の方にはより少ない材料を支えるのを助ける大きさを有する及び/又は間隔が置かれることがある。たとえば、このようなホルダが1つ以上の側壁を有する1つ以上の実施形態について、このようなホルダの2つ以上が、異なる高さの1つ以上の側壁を有することがある。」とも記載されている。 してみれば、これらの記載に基づいて、引用発明において、最下部のホルダに支えられた材料が、最上部のホルダに支えられた材料より速い速度で、導入されたガスによって除去されるという不均衡を相殺するために、より多くの材料を最下部のホルダで支え、より少ない材料を最上部のホルダで支えられるように、最下部のホルダと最上部のホルダのそれぞれの大きさを異ならせること、すなわち、より多くの材料を支えることが求められる最下部のホルダの側壁の高さを、より少ない材料を支えることが求められる最上部のホルダの側壁の高さよりも大きいものとして、引用発明において、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。 そして、当該相違点1に係る本件補正発明の構成を具備することにより、引用文献1の記載などから予測し得ない有利な効果を奏するものともいえない。 (イ)相違点2について 上記(2)における、引用文献1の【0117】には、「一の実施形態の1つ以上の通路を有する1つ以上の壁を有する上にあるホルダが、任意に、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に延在するために、ホルダの底部から下に延在する任意の好適な大きさ及び形状の1つ以上の壁を有することがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁が、上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助けることがある。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さであり得る。一の実施形態のこのような1つ以上の壁は、任意の好適な技術を使用して、ホルダに結合されることがある。別の実施形態のこのような1つ以上の壁が、ホルダと一体に形成されることがある。」と記載され、続けて、同【0118】には、「たとえば、図6の実施形態の例のホルダ620が、ホルダ620を通って1つ以上の通路に延在する、たとえば壁627及び/又は628などの支持面621を分割する1つ以上の壁に対向するホルダ620の底部から下に延在する1つ以上の壁を有することがある。」と記載されている。 これらの記載に基づけば、引用発明において、たとえばホルダ620の支持面621を分割する壁627及び628を、ホルダ620の底部から下にも延在する構成とすること、すなわち、本件補正発明でいう「少なくとも1つの仕切りが、支持表面の前記下縁より下に第1の距離延在する下端部を有す」る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。 そして、当該壁の構成は、上記【0117】の記載のとおり、「上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入る前に、下にあるホルダによって支えられた材料全体に循環させる又は渦を起こすために、ガス流を方向付けるのを助ける」ものであり、また、「ガス流が上にあるホルダを通って1つ以上の通路に入ることができるようにするために、このような1つ以上の壁とたとえば下にあるホルダによって支えられた材料の上部面との間で任意の好適な大きさの入口領域を画定するのを助けるための、任意の好適な深さ」を提供するものであるから、結局、上記の壁の構成を具備した引用発明のホルダは、本件補正発明でいう「前記下縁より下に第1の距離延在する下端部と、上端部と、を有する少なくとも1つの仕切りと、前記少なくとも1つの仕切りを通って前記下端部と前記上端部との間に延在する少なくとも1つのチャネルと、を含み、前記下縁の下のガスは、前記下縁から離れるように循環させられて、前記少なくとも1つの仕切りの前記下端部において前記少なくとも1つのチャネルに達」するという構成を具備するものとなるといえる。 したがって、上記相違点2に係る本件補正発明の構成についても、上記引用文献1の教示に基づいて当業者が容易に想到し得たものということができる。 そして、当該相違点2に係る本件補正発明の構成を具備することにより、引用文献1の記載などから予測し得ない有利な効果を奏するものともいえない。 エ 審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1は、単に、位置の限定されないホルダの2つ以上が異なる高さの1つ以上の側壁を有すると記載しているに過ぎず、また、図3に記載されていることは、明らかに、すべてのトレイが同じ高さを有するものであることである。そのため、何ら後知恵なく、上記1)、2)から、「且つ試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有し」という具体的な特徴に採用するのは、当業者であっても容易はことではない。」と主張する。 しかしながら、上記ウ(ア)の「相違点1について」で判断したとおり、引用文献1には、「試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有し」という構成が、そのような構成を採用する動機と共に記載されているから、審判請求人の前記主張は、その主張の前提を欠き採用することはできない。 更に、審判請求人は、「引用文献1は、図6に示されるように仕切りを整列させる必要がないことを教示しているが、これは、トレイ表面の下に延在しない仕切りのみについて教示しているに過ぎない。当業者であっても、トレイの上下に延びる仕切りが、その上下のトレイの仕切りからもオフセットされていることを想像することができた又は想像していたとは考えられないと思料する。トレイ表面の下に延びる仕切りは、非常に特異な流れのパターンを生成するものであり、このことは引用文献1には教示も示唆も存在しない。そのような教示又は示唆がなければ、当業者であっても、特に、『試薬支持トレイのスタックの最下端に位置する試薬支持トレイが、スタックまたは試薬支持トレイの最上端に位置する試薬支持トレイの第2の高さより大きい第1の高さを有』する一方で、そのような特異な流れが望ましいと考えることはないと思料する。」とも主張する。 しかしながら、引用発明は、「ガスと蒸発材料との接触を促進するのを助ける」ことを目的として、「当該壁627及び628内に画定された1つ以上の通路に入る前に、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料全体に流れるよう」に、「上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610が、上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するのを回避するのを助けるよう、互いに位置決めする又は配向させたもの」である。 そして、引用発明において、仮に、上にあるホルダ620及び下にあるホルダ610が、上にあるホルダ620の1つ以上の通路と下にあるホルダ610の1つ以上の通路とが整列するように位置決めされた場合、すなわち、トレイの上下に延びる仕切りが、その上下のトレイの仕切りからオフセットされていない場合には、下にあるホルダ610の1つ以上の通路から供給されるガスは、上にあるホルダ620の1つ以上の通路へと直線的に流入して、壁618に隣接する2つの支持面領域全体に支えられた材料に流れることができなくなることは明らかであるから、このような構成を採用すると、「蒸発器」は、その機能を十分に果たすことができなくなるといえる。 したがって、上下のホルダの通路の位置をオフセットさせることは、仕切りがトレイ表面の下に延在するか否かに関わらず、「蒸発器」が、その機能を十分に果たすために必要なことであるから、「当業者であっても、トレイの上下に延びる仕切りが、その上下のトレイの仕切りからもオフセットされていることを想像することができた又は想像していたとは考えられないと思料する。」とする審判請求人の前記主張は採用することはできない。 オ 小括 以上のとおり、上記相違点1、2に係る本件補正発明の構成はいずれも容易想到の事項であり、これらの構成の組合せによる相乗的効果もないから、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび 以上の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年2月8日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和元年6月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし8に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特表2008-501507号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記複数の試薬支持トレイは、支持トレイと、下部支持トレイとを含み、前記下部支持トレイが前記支持トレイの下に垂直に積層された際、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルを通る、前記下部支持トレイの前記下縁の下のガス流が、前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りの前記少なくとも1つのチャネルに直線的に流入しないように、前記下部支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りが前記支持トレイの前記少なくとも1つの仕切りに対してオフセットされるように構成される」という限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の前記限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)で検討したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-001733

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