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特許拒絶査定不服審判

2021-001466

部品装着方法および部品装着ライン

審判番号
2021-001466
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-505190外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月02日
審決日
2022年02月07日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-505190「部品装着方法および部品装着ライン」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月21日国際公開、WO2017/158821、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本件に係る出願は、2016年(平成28年)3月18日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

令和2年 4月21日付け:拒絶理由通知
令和2年 6月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年10月30日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和3年 2月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年 8月 4日付け:当審による拒絶理由通知(以下、「当審拒絶 理由通知」という。)
令和3年 9月27日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明について

本願の請求項1~3に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、令和3年9月27日に提出した手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含む部品装着ラインにおいて、基板に、(a) 装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品と、(b) 装着時においてクリンチ作業を必要とせず、かつ、クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある非クリンチ部品とが含まれる複数の部品を装着する方法であって、
前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行い、
前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われ、そのクリンチ装置は、前記基板の下方においてX方向,Y方向に移動させられ、Z方向に平行の軸線まわりに回転させられるものであることを特徴とする部品装着方法。
【請求項2】
前記上流側部品装着機の部品装着速度が、前記下流側部品装着機の部品装着速度より低くされている請求項1に記載の部品装着方法。
【請求項3】
上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含み、基板に、(a) 装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品と、(b) 装着時においてクリンチ作業を必要とせず、かつ、クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある非クリンチ部品とが含まれる複数の部品を装着する部品装着ラインであって、
前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行い、
前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われ、そのクリンチ装置は、前記基板の下方においてX方向,Y方向に移動させられ、Z方向に平行の軸線まわりに回転させられるものであることを特徴とする部品装着ライン。」

第3 当審拒絶理由通知の概要

当審拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。

(進歩性)本件出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開平9-83121号公報
引用文献2:国際公開第2015/145730号

第4 引用文献に記載された事項及び引用発明

1.引用文献1に記載された事項及び引用発明

当審拒絶理由通知に引用された引用文献1である特開平9-83121号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。

(1)「【0002】
【従来の技術】従来より、IC、抵抗、コンデンサ等多数のチップ状の電子部品を自動的に基板(プリント基板)に搭載し、その搭載した電子部品を半田付けして基板ユニットを製造する製造ラインがある。このような製造ラインにおいて、基板に搭載される電子部品には、その電子部品の形状に応じて、基板に単に載置した状態で半田付けされるものと、基板に設けられた孔にリード端子を挿入した状態で半田付けされるものがある。
【0003】上記の基板に単に載置した状態で半田付けされる載置型の電子部品は、チップ状の本体側面方向に突設する複数のリード端子又はチップ状の本体下面に半球状に露出する複数のバンプを、基板のプリント配線の所定の位置に当接するように載置される。この場合、電子部品を載置する前にペースト状のクリーム半田を電子部品を接続するプリント配線に予め塗布する方法と、電子部品を載置してから溶融した半田を流し込む方法とがある。クリーム半田を塗布した場合は、電子部品を載置した後、基板ユニット全体を加熱してクリーム半田の溶剤を蒸発させ接続部を固結させている。また、溶融した半田を流し込んだ場合は、溶融した半田が接続部の露出した導電部材にのみ付着して固結し、残余の半田は溶融状態のうちに自動的に基板外に流出するようになっている。
【0004】一方、上記の基板に設けられた孔にリード端子を挿入した状態で半田付けされる挿入型の電子部品は、チップ状の本体側面方向に突設する比較的長大な複数のリード端子を備えている。これらのリード端子が下方に略直角に曲げられて、夫々の端子が基板に設けられた孔に挿入され、基板の裏面に突き出たリード端子先端が基板の裏面に沿って折り曲げられ、この折り曲げによって電子部品が基板に仮固定される。この後溶融した半田に浸漬されて引き上げられる。これにより、溶融した半田が接続部の露出した導電部材にのみ付着して固結し、残余の半田は溶融状態のまま基板外に流出するようになっている。こののち上記基板の裏面に沿って折り曲げられているリード端子の先端を切除して基板の裏面を整えている。
【0005】図9(a),(b) は、上述した電子部品搭載処理のフローチャートである。上述したように、載置型の電子部品と挿入型の電子部品とでは基板への搭載方法が異なる為、これらの電子部品に対応して搭載装置がそれぞれ専用化されており、どちらの型の搭載装置を製造ラインの上流に配置するかによって、基板の処理手順が異なる。同図(a) は、挿入型の電子部品を搭載する専用機を製造ラインの上流に配置した場合の処理手順である。同図に示すように、先ず挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い(処理手順S1)、次にそれら搭載した電子部品の半田付けを行い(処理手順S2)、更に続いて載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行い(処理手順S3)、それら電子部品の半田付けを行って(処理手順S4)、上記挿入型及び載置型の2種類の電子部品を混載する処理を完了するようにしている。
【0006】また、同図(b) は、載置型の電子部品を搭載する専用機を製造ラインの上流に配置した場合の処理手順である。同図に示すように、この場合は、先ず載置型電子部品を搭載する専用機によって載置型電子部品の搭載作業を行い(処理手順S11)、次にそれら搭載した電子部品の半田付けを行い(処理手順S12)、更に続いて挿入型電子部品を搭載する専用機を用いて挿入型電子部品の搭載作業を行い(処理手順S13)、それら電子部品の半田付けを行って(処理手順S14)、上記載置型及び挿入型の2種類の電子部品を混載する処理を完了するようにしている。」

(2)「【0008】また、上記挿入型電子部品を基板に搭載する専用機は、基板の孔に挿入する電子部品のリード先端を基板裏面より案内するリード案内装置や、その挿入後にリードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めするクリンチ装置、及びリードの半田付け後に余剰のリード先端部を切除するリードカッタ等を基板固定位置の下方に備えており、これらの装置が極めて高価であるため製品価格への波及度が大きく、このため需要の拡大を阻害するという問題も有していた。」

(3)「【図9】
[図:0001386729000001.jpg]
」

摘記事項(1)~(3)から、引用文献1には、次の発明(以下、それぞれを「引用発明1」、「引用発明2」といい、両者をまとめて「引用発明」という。)が記載されている。

【引用発明1】

「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機と載置型電子部品を搭載する専用機とを含む製造ラインにおいて、基板に、挿入後に基板の裏面に突き出たリードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする挿入型電子部品と、基板に単に載置した状態で半田付けされる載置型電子部品の2種類の電子部品を混載する処理手順であって、
先ず挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い、続いて載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行い、
クリンチ装置は、挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ、リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする、
電子部品を混載する処理手順。」

【引用発明2】

「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機と載置型電子部品を搭載する専用機とを含み、基板に、挿入後に基板の裏面に突き出たリードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする挿入型電子部品と、基板に単に載置した状態で半田付けされる載置型電子部品の2種類の電子部品を混載する処理を行う製造ラインにおいて、
先ず挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い、続いて載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行い、
クリンチ装置は、挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ、リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする、
電子部品を混載する処理を行う製造ライン。」

2.引用文献2に記載された事項

当審拒絶理由通知に引用された引用文献2である国際公開第2015/145730号には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)「[0007] 以下、本発明の一実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、下記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
図1に示すように、自動組立装置(電子回路組立装置)の一種であるリード部品装着機は、(a)組立装置本体10,(b)基板搬送装置12,(c)部品供給装置14,(d)部品挿入装置16、(e)カットアンドクリンチ装置18等を含む。
基板搬送装置12は、回路基板P(以後、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものである。図1において、xは基板搬送装置12による基板Pの搬送方向であり、yは基板Pの幅方向であり、zは基板Pの厚み方向、すなわち、リード部品装着機の上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。」

(2)「[0009] カットアンドクリンチ装置18は、基板搬送装置12の下方に設けられたものであり、基板Pに形成された貫通穴に上方から挿入されたリード部品のリード線の基板Pの下方から突出した部分を所定の長さに切断するとともに、基板Pの裏面に沿って曲げることにより、リード部品を基板Pに仮止めする装置である。カットアンドクリンチ装置18は、図3~6に示すように、カットアンドクリンチユニット34と、カットアンドクリンチユニット34を移動(直線移動と回転とを含む)させるユニット移動装置36とを含む。」

(3)「[0013] ユニット移動装置36は、カットアンドクリンチユニット34を、x方向に移動させるx方向移動装置86、y方向へ移動させるy方向移動装置87、z方向へ移動させるz方向移動装置88、鉛直線回りに回転させるθ回転装置89等を含む。
x方向移動装置86は、図3,4に示すように、(1)x軸モータ90(図7参照)、(2)x軸方向に延びたx軸ガイド91、(3)x軸モータ90の回転を直線移動に変換するボールねじ機構92、(4)ボールねじ機構92のナット92Nに保持されるともにx軸ガイド91に係合させられたxスライダ93を含む。
y方向移動装置87は、xスライダ93に設けられ、(1)y軸モータ94、(2)y方向に延びたy軸ガイド95、(3)ボールねじ機構96、(4)ボールねじ機構96のナット96Nに保持されるとともに、y軸ガイド95に係合させられたyスライダ97等を含む。
z方向移動装置88は、yスライダ97に設けられ、(1)z軸モータ100、(2)z方向に延びたガイド101、(3)ボールねじ機構102、(4)ボールねじ機構102のナットに保持される一方、ガイド101に係合させられたzスライダ103等を含む。zスライダ103は、カットアンドクリンチユニット34を支持するユニット支持部材としての機能も有する。
θ回転装置89は、zスライダ(ユニット支持部材)103に設けられ、(1)カットアンドクランチユニット34を鉛直線回りに回転させる駆動用モータ104(以下、θモータ104と略称する)、(2)θモータ104の回転に伴って鉛直線回りに回転させられる回転テーブル106を含み、回転テーブル106にユニット本体38が一体的に回転可能に設けられる。
[0014] 本実施形態において、θが0の場合において、カットアンドクリンチユニット34の座標系(xc、yc、zc)とリード部品装着機の座標系(x、y、z)とは一致するが、カットアンドクリンチユニット34がθ回転装置89により鉛直線回りに回転させられることにより、座標系(xc、yc、zc)が座標系(x、y、z)に対してz軸回りに回転させられる。以下、カットアンドクリンチユニット34の座標系を表す場合には、添え字cを付し、リード部品装着機の座標系と区別する。
また、カットアンドクリンチユニット34の座標系において、第1可動部40a,bの移動方向(接近・離間方向)がxc方向とされるのであり、可動子80a,bはxc軸上に位置する。」

第5 当審の判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比する。

引用発明1の「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機」は、本願発明1の「上流側部品装着機」に相当し、引用発明1の「載置型電子部品を搭載する専用機」は、「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機」の下流にあるから、本願発明1の「下流側部品装着機」に相当する。したがって、引用発明1の「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機と載置型電子部品を搭載する専用機とを含む製造ライン」は、本願発明1の「上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含む部品装着ライン」に相当する。

引用発明1の「挿入後に基板の裏面に突き出たリードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする挿入型電子部品」は、本願発明1の「装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品」に相当する。

引用発明1の「基板に単に載置した状態で半田付けされる」ことは、リードの先端を折り曲げる作業をしないことを意味するから、引用発明1の「基板に単に載置した状態で半田付けされる載置型電子部品」は、「装着時においてクリンチ作業を必要としない非クリンチ部品」という限りにおいて、本願発明1の「装着時においてクリンチ作業を必要とせず、かつ、クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある非クリンチ部品」と一致する。

引用発明1の「2種類の電子部品」は、本願発明1の「複数の部品」に相当し、引用発明1の「混載する」ことは、本願発明1の「装着する」ことに相当するから、引用発明1の「2種類の電子部品を混載する処理手順」は、本願発明1の「複数の部品を装着する方法」に相当する。

引用発明1の「挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明1の「前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着」することに相当し、引用発明1の「載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明1の「前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着」することに相当する。そして、引用発明1において、「先ず」「挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い」、「続いて」「載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、「挿入型電子部品を搭載する専用機」による「挿入型電子部品の搭載作業」、「載置型電子部品を搭載する専用機」による「載置型電子部品の搭載作業」、の順に行うことを意味するから、引用発明1の「先ず挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い、続いて載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明1の「前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行」うことに相当する。

引用発明1の「クリンチ装置」が「挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ」ていることは、本願発明1の「クリンチ装置」が「前記上流側部品装着機に設けられた」ことに相当し、引用発明1の「クリンチ装置」が「リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする」ことは、本願発明1の「前記クリンチ作業」が「クリンチ装置によって行われ」ることに相当するから、引用発明1の「クリンチ装置は、挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ、リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする」ことは、本願発明1の「前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われ」ることに相当する。

以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点1】

「上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含む部品装着ラインにおいて、基板に、(a) 装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品と、(b) 装着時においてクリンチ作業を必要としない非クリンチ部品とが含まれる複数の部品を装着する方法であって、
前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行い、
前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われる部品装着方法。」

【相違点1】

「非クリンチ部品」について、本願発明1では、「クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある」ものであるのに対し、引用発明1では、かかる構成が特定されていない点。

【相違点2】

本願発明1では、「クリンチ装置」が、「前記基板の下方においてX方向,Y方向に移動させられ、Z方向に平行の軸線まわりに回転させられるものである」のに対し、引用発明1では、かかる構成が特定されていない点。

(2)判断

上記相違点1について検討する。

引用文献1の段落【0006】及び【図9(b)】には、先ず載置型電子部品の搭載作業を行い、次にそれら搭載した電子部品の半田付けを行い、更に続いて挿入型電子部品の搭載作業を行い、それら電子部品の半田付けを行う処理手順が記載されている。この場合、載置型電子部品が搭載された状態で挿入型電子部品の搭載作業を行うこととなるが、挿入型電子部品の搭載作業を行う時点で載置型電子部品は既に半田付けされているから、載置型電子部品が搭載された状態で挿入型電子部品の搭載作業を行ったとしても、載置型電子部品がずれる可能性はないものといえる。

また、引用文献1の段落【0005】及び【図9(a)】を参照すると、引用発明1は、挿入型電子部品の搭載作業及び載置型電子部品の搭載作業のそれぞれの直後において、各電子部品の半田付けを行うものであるから、引用発明1においても、一方の電子部品の搭載作業を行った際に、既に搭載されている他方の電子部品がずれる可能性はないものといえる。

そして、引用文献1には、載置型電子部品の搭載作業の次に、搭載した電子部品の半田付けを行わずに、挿入型電子部品の搭載作業を行うようにすることを示唆する記載も無いから、引用発明1において、「載置型電子部品」を「挿入型電子部品の搭載作業を行った際にずれる可能性がある」ものとして、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

また、引用文献2にも、上記相違点1に係る構成を示唆する記載が無いことは、明らかである。

したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2について

本願発明2は、本願発明1をさらに減縮するものであって、本願発明1の「非クリンチ部品」が「クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある」ものである点と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたとはいえない。

3.本願発明3について

(1)対比

本願発明3と引用発明2とを対比する。

引用発明2の「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機」は、本願発明3の「上流側部品装着機」に相当し、引用発明2の「載置型電子部品を搭載する専用機」は、「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機」の下流にあるから、本願発明3の「下流側部品装着機」に相当する。したがって、引用発明2の「製造ラインの上流に配置した挿入型の電子部品を搭載する専用機と載置型電子部品を搭載する専用機とを含」むことは、本願発明3の「上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含む」ことに相当する。

引用発明2の「挿入後に基板の裏面に突き出たリードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする挿入型電子部品」は、本願発明3の「装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品」に相当する。

引用発明2の「基板に単に載置した状態で半田付けされる」ことは、リードの先端を折り曲げる作業をしないことを意味するから、引用発明2の「基板に単に載置した状態で半田付けされる載置型電子部品」は、「装着時においてクリンチ作業を必要としない非クリンチ部品」という限りにおいて、本願発明3の「装着時においてクリンチ作業を必要とせず、かつ、クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある非クリンチ部品」と一致する。

引用発明2の「2種類の電子部品」は、本願発明3の「複数の部品」に相当し、引用発明2の「混載する」ことは、本願発明3の「装着する」ことに相当するから、引用発明2の「2種類の電子部品を混載する処理を行う製造ライン」は、本願発明3の「複数の部品を装着する部品装着ライン」に相当する。

引用発明2の「挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明3の「前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着」することに相当し、引用発明2の「載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明3の「前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着」することに相当する。そして、引用発明2において、「先ず」「挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い」、「続いて」「載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、「挿入型電子部品を搭載する専用機」による「挿入型電子部品の搭載作業」、「載置型電子部品を搭載する専用機」による「載置型電子部品の搭載作業」、の順に行うことを意味するから、引用発明2の「先ず挿入型電子部品を搭載する専用機によって挿入型電子部品の搭載作業を行い、続いて載置型電子部品を搭載する専用機を用いて載置型電子部品の搭載作業を行」うことは、本願発明3の「前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行」うことに相当する。

引用発明2の「クリンチ装置」が「挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ」ていることは、本願発明3の「クリンチ装置」が「前記上流側部品装着機に設けられた」ことに相当し、引用発明2の「クリンチ装置」が「リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする」ことは、本願発明3の「前記クリンチ作業」が「クリンチ装置によって行われ」ることに相当するから、引用発明2の「クリンチ装置は、挿入型電子部品を基板に搭載する専用機の基板固定位置の下方に備えられ、リードの先端を折り曲げて電子部品を基板に仮止めする」ことは、本願発明3の「前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われ」ることに相当する。

以上のとおりであるから、本願発明3と引用発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点2】

「上流側部品装着機と下流側部品装着機とを含み、基板に、(a) 装着時に基板の裏側においてクリンチ作業を必要とするクリンチ部品と、(b) 装着時においてクリンチ作業を必要としない非クリンチ部品とが含まれる複数の部品を装着する部品装着ラインであって、
前記上流側部品装着機で前記クリンチ部品を装着し、前記下流側部品装着機で前記非クリンチ部品の少なくとも一部を装着し、それらの装着の作業を、前記上流側部品装着機,前記下流側部品装着機の順で行い、
前記クリンチ作業は、前記上流側部品装着機に設けられたクリンチ装置によって行われる部品装着ライン。」

【相違点3】

「非クリンチ部品」について、本願発明3では、「クリンチ部品へのクリンチ作業によって基板上の適正な装着位置からずれる可能性のある」ものであるのに対し、引用発明2では、かかる構成が特定されていない点。

【相違点4】

本願発明3では、「クリンチ装置」が、「前記基板の下方においてX方向,Y方向に移動させられ、Z方向に平行の軸線まわりに回転させられるものである」のに対し、引用発明2では、かかる構成が特定されていない点。

(2)判断

上記相違点3について検討する。

上記相違点3は、1.(1)で示した上記相違点1と実質的に同等の相違点と認められる。

してみれば、1.(2)で示した判断と同様の理由により、引用発明2において、上記相違点3に係る本願発明3の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

したがって、相違点4について検討するまでもなく、本願発明3は、引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4.小括

以上のとおりであるから、本願発明1~3は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定の概要及び原査定についての判断

原査定の概要は、以下のとおりである。

1.(新規性)この出願の請求項1、3、4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の請求項1、3、4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開平9-83121号公報

しかしながら、令和3年9月27日に提出した手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された発明、すなわち本願発明1~3は、上記第5のとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1~3は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の拒絶理由及び当審が通知した拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。

そして、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-001466

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