2021-001419
イヤホン
- 審判番号
- 2021-001419
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-018117外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1692700
- 請求日
- 2021年02月01日
- 審決日
- 2021年06月22日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソニーグループ株式会社
- 【請求人代理人】五味 飛鳥
- 分類
- D18 .52 -WY (H7-2)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第7条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯
本願は、令和1年8月16日の意匠登録出願であって、令和2年6月5日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月22日に意見書が提出されたが、同年10月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和3年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠は、意匠に係る物品を「イヤホン」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって(以下「本願意匠」という。)、「左右対称のもの一対のうち、左耳装着用のみを表した。」ものであり、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「赤色で着色した部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。赤色で着色した部分とそれ以外の部分の境界線は、形状線を表すものではなく、単に部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界線を表している。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願が、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないので、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないというものであり、具体的には以下のとおりである。
「この意匠登録出願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、(A)耳に接して保持する部分の一部、及び、(B)イヤーピース取付け部の根本部を、意匠登録を受けようとする部分(以下、「請求部分」といいます。)としたものですが、(A)及び(B)の両部分は、物理的に分離しており、また、(1)両部分に形態的な一体性が認められる場合、(2)両部分に機能的な一体性が認められる場合、若しくは、(3)ある用途及び機能を果たすための部分や、形態的なまとまりを有する部分を非請求部分としたものである場合のいずれにも該当しないため、この意匠登録出願は、(A)及び(B)をそれぞれ請求部分とする二つの意匠に係るものです。」
第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、ワイヤレスの「イヤホン」である。
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分の用途及び機能は、左右の耳のうち、一方の耳を特定し、その特定した一方の耳の耳甲介舟部、下方の対珠部及び耳珠部に接することでイヤホンを固定し、装着時の安定性を図るものである。
(※)「耳甲介舟」、「対(耳)珠」及び「耳珠」については、参考文献(別紙第2)を参照。
参考文献
笠井耳鼻咽喉科クリニック自由が丘診療室が公開した「耳介血腫、耳介軟骨膜炎・笠井耳鼻咽喉科クリニック」第2頁(出力日:令和3年5月31日)
(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、イヤホンのハウジング側(A)と、イヤーピースを取り付ける音導管側(B)の2箇所に分離しているもので、具体的には以下のとおりである。
(A)ハウジング側
本願意匠のハウジングは、装着時に外に露出する外方ハウジング部と、その内側で耳に接して耳の中心部に収まる内方ハウジング部、及び両者の間のくびれ部による構成とするもので、本願部分の位置、大きさ及び範囲は、その内方ハウジング部の周側面の一部とするもので、正面視、内方ハウジング部側の周側面の略中央より下側に、イヤホン全高の約6/100幅の略帯状とし、底面視、左上から時計回り方向に右下までの約半周にわたり、内方ハウジング部の周側面に沿って表れるもので、左側面視から正面視右寄りまでは水平に、正面視右寄りから右側面視にかけてわずかに右上がりとなり、かつ先細りとするものである(以下「ハウジング側帯部」という。)。
(B)音導管側
本願意匠の音導管は、底面視において内方ハウジング部の中央左寄り、正面視において内方ハウジング部の下側左寄りの左右非対称に配され、内方ハウジング部に対して約25度の角度で斜め左下方向に突出し、直径を内方ハウジング部の横幅の約1/3の管状とするもので、本願部分の位置、大きさ及び範囲は、音導管の周側面根元側に、周方向に一周する、イヤホン全高の約1/100幅とする帯状部(以下「音導管側帯部」という。)である。
(4)本願部分の形態
(A)ハウジング側帯部
ア ハウジング側帯部の形状
本願部分のハウジング側帯部の形状は、底面視、僅かに変形した(長手方向の軸に対してわずかに左右非対称形とする)略卵形の内方ハウジング部を左に約30度傾け、その頂部のやや左寄りから時計回りに略卵型の底部側頂部の手前までにわたる周側面の一部とするもので、左側、正面、右側及び背面視において、全体として下方の底面側に向かってすぼまり、高さ方向略半分から下方はアールを伴って急激にすぼまる態様とするものである。
イ ハウジング側帯部の色彩
本願部分のハウジング部側帯部の色彩は、全体を明るい調子の灰色とするものである。
(B)音導管側帯部
ア 音導管側帯部の形状
本願部分は、音導管の中心軸方向に見て円環状とするもので、略円筒状の音導管の周側面に沿った態様とするものである。
イ ハウジング側帯部の色彩
本願部分の音導管側帯部の色彩は、全体を明るい調子の灰色とするものである。
2 意匠法第7条における一意匠について
本願部分のように、意匠登録を受けようとする物品の部分が物理的に分離している場合、意匠登録出願が、意匠法第7条の要件を満たすには、意匠創作上の一体性が認められることが必要とされる。
本願部分は、(A)ハウジング側帯部と(B)音導管側帯部の2箇所(以下「両部分」という。)に分離し、その位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、前記(3)及び(4)に示したとおりである。
(A)、(B)それぞれについてみた場合、両部分は、形態における本願部分の色彩に共通点がみられるが、本願意匠における本願部分以外の色彩が特定されていないことから、本願部分の(A)及び(B)のみを意図して同色としたと認定することはできず、この点を持って両部分が意匠創作上の一体性を有するとは認められない。
一方、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに形状における全体の構成をみると、(A)のハウジング側帯部と、(B)の音導管側帯部の位置や角度によって、左右の耳のうち、一方の耳を特定し、その特定した一方の耳の耳甲介舟部、下方の対珠部及び耳珠部に、内方ハウジング側帯部の、長手方向の軸に対して僅かに左右非対称形とする略卵形を左に約30度傾けた周側面の一部とする形状が接することが実現されるのであり、(A)と(B)の両部分が具わってはじめて、イヤホンを固定し、装着時の安定性を図るという、本願部分の用途及び機能が成立するものと認められる。
そうすると、本願部分は、(A)ハウジング側帯部と(B)音導管側帯部の2箇所に物理的に分離しているものの、これら(A)及び(B)が具わることで特定の用途及び機能を成立させるために、一体となって創作されたものであることを否定することはできない。
よって、本願は、意匠法第7条に規定する要件を満たすものである。
3 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審においてさらに審理した結果、ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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