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特許拒絶査定不服審判

2021-001348

重合性化合物を含有する液晶媒体

審判番号
2021-001348
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-567182外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年01月29日
審決日
2022年05月11日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .537-WZ (C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第2項
データ出所
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事件の表示

特願2017-567182「重合性化合物を含有する液晶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月29日国際公開、WO2016/206774、平成30年 8月 9日国内公表、特表2018-522104〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2016年(平成28年)6月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年6月26日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和2年1月7日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年4月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月24日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は同月29日)、これに対して、令和3年1月29日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年3月16日付けで、前置審査において拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人から何らの応答もない。

第2 本願発明について

本願発明は、令和3年1月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~27に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「 【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
重合性成分A)を含む液晶(LC、liquid crystal)媒体であって、
重合性成分A)は、
続きを表示(全212行)
重合性基および二環式または多環式炭化水素基を含み、式I1~I4から選択される
1種類以上の第1重合性化合物と、および
重合性基および直鎖状、分枝状または単環式の炭化水素基を含み、式II1~II5
から選択される1種類以上の第2重合性化合物と、および
直鎖状、分枝状または単環式の炭化水素基および、それに接続されたそれぞれ互いに
異なる2個の重合性基を含み、式III1~III3から選択される1種類以上の第3重
合性化合物と
を含む、ポリマー壁を有するディスプレイ用LC媒体。
【化1】
[図:0001388714000001.jpg]
(式中、
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
W11、W12およびW13は互いに独立に、H、FまたはC1~C12-アルキルであり、シクロアルキル基は1個以上の基Lで置換されてよく、
Lは、F、Cl、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rx)2、-C(=O)Y1、-C(=O)Rx、-N(Rx)2、5~20個の環原子を有する置換されてよいシリル、置換されてよいアリールもしくはヘテロアリールまたは1~25個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキルであって、ただし加えて1個以上の隣接しないCH2基は互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、-C(R0)=(R00)-、-C≡C-、-N(R0)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられてよく、ただし加えて1個以上のH原子は、F、Cl、-CNで置き換えられてよく、
Rxは、H、F、Cl、CN、直鎖状、分岐状または環状で1~25個のC原子を有するアルキルであり、ただし1個以上の隣接しないCH2基は、O-および/またはS-原子が互いに直接連結しないようにして、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられてよく、ただし1個以上のH原子は、それぞれFまたはClで置き換えられてよく、
R0、R00は、Hまたは1~20個のC原子を有するアルキルであり、
Y1は、ハロゲンである。)
【化2】
[図:0001388714000002.jpg]
(式中、個々の基は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現で同一または異なって、以
下の意味を有する:
Pは、重合性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
W11、W12は、H、Fまたは直鎖状もしくは分岐状C1~C12-アルキルであり、
W13、W14は、HまたはFであり、
n1は、2~15の整数であり、
n2、n3は、0または1~3の整数であり、
n5は、1~5の整数であり、
n6、n7は、0または1~15の整数である。)
【化3】
[図:0001388714000003.jpg]
(式中、
P1およびP2は、それぞれ互いに異なる重合性基であり、
Sp1およびSp2は、それぞれ互いに同一または異なるスペーサー基または単結合であり、
W11は、それぞれの出現で同一または異なって、H、FまたはC1~C12-アルキルであり、
n1は、2~15の整数であり、
n2、n3は、それぞれ互いに独立に、0または1~3の整数であり、
n4は、0または1~15の整数であり、
および式III2においてシクロヘキシレン環は、1個以上の同一または異なる基W11で置換されてよい。)
【請求項2】
第3重合性化合物において重合性基は、アクリレート、メタクリレート、エタクリレートおよびビニルオキシ基から選択されることを特徴とする請求項1に記載のLC媒体。
【請求項3】
成分A)は、以下の式から選択される1種類以上の第1重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のLC媒体。
【化4】
[図:0001388714000004.jpg]
【化5】
[図:0001388714000005.jpg]
【化6】
[図:0001388714000006.jpg]
【請求項4】
成分A)は、以下の式から選択される1種類以上の第2重合性化合物を含むことを特徴
とする請求項1~3のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化7】
[図:0001388714000007.jpg]
【化8】
[図:0001388714000008.jpg]
【化9】
[図:0001388714000009.jpg]
【化10】
[図:0001388714000010.jpg]
【請求項5】
成分A)は、以下の式から選択される1種類以上の第3重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化11】
[図:0001388714000011.jpg]
【化12】
[図:0001388714000012.jpg]
【化13】
[図:0001388714000013.jpg]
【化14】
[図:0001388714000014.jpg]
【化15】
[図:0001388714000015.jpg]
【請求項6】
成分A)は、下式から選択される1種類以上の第1重合性化合物を含むことを特徴とす
る請求項1~5のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化16】
[図:0001388714000016.jpg]
【請求項7】
成分A)は、下式から選択される1種類以上の第2重合性化合物を含むことを特徴とす
る請求項1~6のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化17】
[図:0001388714000017.jpg]
【請求項8】
成分A)は、下式から選択される1種類以上の第3重合性化合物を含むことを特徴とす
る請求項1~7のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化18】
[図:0001388714000018.jpg]
【化19】
[図:0001388714000019.jpg]
【請求項9】
成分A)は、1個以上の芳香族もしくはヘテロ芳香族環または縮合芳香族もしくはヘテロ芳香族環を含有する環系と、それに接続されたそれぞれ互いに異なる2個の重合性基とを含む1種類以上の第4重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項10】
成分A)は、以下の式から選択される1種類以上の第4重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化20】
[図:0001388714000020.jpg]
(式中、
P1およびP2は、それぞれ互いに異なる重合性基を表し、
Sp1およびSp2は、それぞれ互いに独立に同一もしくは異なるスペーサー基または単結合を表し、
B1およびB2は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現で同一または異なって、好ましく4~25個の環原子を有する芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式またはヘテロ環式基であって、また該基は縮合環を含有してもよく、該基は無置換であるか式Iで定義する通りのLで一置換または多置換されており、ただしB1およびB2の少なくとも一方は芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、
Zbは、それぞれの出現で同一または異なって、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-OCO-、-O-CO-O-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-(CH2)n11-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-(CF2)n11-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、CR0R00または単結合であり、
R0およびR00は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1~12個のC原子を有するアルキルを表し、
mは、0、1、2、3または4を表し、
n11は、1、2、3または4を表す。)
【請求項11】
成分A)は、以下の式から選択される1種類以上の第4重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化21】
[図:0001388714000021.jpg]
【化22】
[図:0001388714000022.jpg]
(式中、
P1およびP2は、それぞれ互いに異なる重合性基を表し、
Sp1およびSp2は、それぞれ互いに独立に同一もしくは異なるスペーサー基または単結合を表し、
Lは、F、Cl、-CN、-NO2、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(Rx)2、-C(=O)Y1、-C(=O)Rx、-N(Rx)2、5~20個の環原子を有する置換されてよいシリル、置換されてよいアリールもしくはヘテロアリールまたは1~25個のC原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキルであって、ただし加えて1個以上の隣接しないCH2基は互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、-C(R0)=(R00)-、-C≡C-、-N(R0)-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられてよく、ただし加えて1個以上のH原子は、F、Cl、-CNで置き換えられてよく、
Rxは、H、F、Cl、CN、直鎖状、分岐状または環状で1~25個のC原子を有するアルキルであり、ただし1個以上の隣接しないCH2基は、O-および/またはS-原子が互いに直接連結しないようにして、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-で置き換えられてよく、ただし1個以上のH原子は、それぞれFまたはClで置き換えられてよく、
R0、R00は、Hまたは1~20個のC原子を有するアルキルであり、
Y1は、ハロゲンであり、
Z1は、-O-、-CO-、-C(RyRz)-または-CF2CF2-であり、
Z2、Z3は、それぞれ互いに独立に、-CO-O-、-O-CO-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-または-(CH2)n-であり、ただしn11は、2、3または4であり、
RyおよびRzは、それぞれ互いに独立に、H、F、CH3またはCF3であり、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2または3であり、
tは、0、1または2である。)
【請求項12】
成分A)は、下式から選択される1種類以上の第4重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化23】
[図:0001388714000023.jpg]
【請求項13】
LC媒体中の第1、第2、第3および第4重合性化合物の濃度は、1~30重量%であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項14】
LC媒体中の第2重合性化合物に対する第1重合性化合物の比は、10:1~1:10であることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項15】
LC媒体が、式AおよびBから選択される1種類以上の化合物を含む成分B)を含むことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化24】
[図:0001388714000024.jpg]
(式中、個々の基は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現で同一または異なって、以下の意味を有する:
【化25】
[図:0001388714000025.jpg]
R21、R31 それぞれ互いに独立に、1~9個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキルもしくはアルコキシアルキルまたは2~9個のC原子を有するアルケニルもしくはアルケニルオキシ、これらの基は全てフッ素化されてよく、
X0 F、Cl、1~6個のC原子を有するハロゲン化アルキルもしくはアルコキシまたは2~6個のC原子を有するハロゲン化アルケニルもしくはアルケニルオキシ、
Z31 -CH2CH2-、-CF2CF2-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH2O-または単結合、
L21、L22、L31、L32 それぞれ互いに独立にHまたはF、
g 0、1、2または3。)
【請求項16】
成分B)は式Aおよび/またはBの化合物に加えて、アルケニル基を含有する式Eの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項15に記載のLC媒体。
【化26】
[図:0001388714000026.jpg]
(式中、個々の基は、それぞれの出現で同一または異なって、それぞれ互いに独立に、以下の意味を有する:
【化27】
[図:0001388714000027.jpg]
【化28】
[図:0001388714000028.jpg]
RA1 2~9個のC原子を有するアルケニル、また環XおよびYの少なくとも1個がシクロヘキセニルを表す場合、RA2の意味の1つ、
RA2 1~12個のC原子を有するアルキル、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-で置き換えられていてもよく、
x 1または2。)
【請求項17】
成分B)は、式CYおよびPYから選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴と
する請求項1~16のいずれか1項に記載のLC媒体。
【化29】
[図:0001388714000029.jpg]
(式中、
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【化30】
[図:0001388714000030.jpg]
R1およびR2は、それぞれ互いに独立に、1~12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて1個または2個の隣接しないCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-で置き換えられてよい。)、好ましくは1~6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
ZxおよびZyは、それぞれ互いに独立に、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2O-、-OCH2-、-CO-O-、-O-CO-、-C2F4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH2O-または単結合、好ましくは単結合を表し、
L1~4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF3、CF3、CH3、CH2F、CHF2を表す。)
【請求項18】
成分B)は、式ANおよびAYから選択される1種類以上のアルケニル化合物を含むことを特徴とする請求項17に記載のLC媒体。
【化31】
[図:0001388714000031.jpg]
(式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、それぞれ互いに独立
に以下の意味を有する:
【化32】
[図:0001388714000032.jpg]
【化33】
[図:0001388714000033.jpg]
【化34】
[図:0001388714000034.jpg]
RA1 2~9個のC原子を有するアルケニル、環X、YおよびZの少なくとも1つがシクロヘキセニルを表す場合、またRA2の意味の1つ、
RA2 1~12個のC原子を有するアルキル、ただし加えて1個または2個の隣接しないCH2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-または-COO-で置き換えられてよく、
Zx -CH2CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2O-、-OCH2-、-CO-O-、-O-CO-、-C2F4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH2O-または単結合、好ましくは単結合、
L1~4 H、F、Cl、OCF3、CF3、CH3、CH2FまたはCHF2H、好ましくはH、FまたはCl、
x 1または2、
z 0または1。)
【請求項19】
重合性化合物は、重合されていることを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載のLC媒体。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載のLC媒体を含むLCディスプレイ。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか1項に記載のLC媒体を含む、ポリマー壁を有するLCディスプレイ。
【請求項22】
フレキシブルディスプレイである請求項20または21に記載のLCディスプレイ。
【請求項23】
TN、OCB、IPS、FFS、正-VA、VAまたはUB-FFSディスプレイである請求項20~22のいずれか1項に記載のLCディスプレイ。
【請求項24】
請求項20~23のいずれか1項に記載のLCディスプレイを製造する方法であって、
請求項1~18のいずれか1項で定義する通りのLC媒体をディスプレイ内に供給する工程と、
ディスプレイの所定の領域で重合性化合物を重合する工程と
を含む方法。
【請求項25】
UV照射に曝露して、重合性化合物を光重合する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
フォトマスクを介してUV照射に曝露して、重合性化合物を光重合する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項15~18のいずれか1項に記載のLC媒体を調製する方法であって、
請求項15~18のいずれか1項で定義する通りの液晶成分B)を、請求項1~14のいずれか1項で定義する通りの1種類以上の重合性化合物または成分A)と、および任意成分として更なるLC化合物および/または添加剤と混合する工程を含む方法。」

第3 前置審査における拒絶の理由

上記拒絶理由は以下のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(明確性)について

・請求項10-27

請求項10には「該基は無置換であるか式Iで定義する通りのLで」なる記載がなされているが、請求項10にも、請求項10が引用する請求項1-9にも、式Iが記載されていないから、当該Lの意味するところが不明である。

請求項11のZ2及びZ3の定義中、「・・・-(CH2)n-であり、ただしn11は・・・」なる記載は、「・・・-(CH2)n11-であり、ただしn11は・・・」の誤記であると考えられる。

請求項10及び11を直接あるいは間接的に引用する請求項12-27についても同様の拒絶理由が存在する。

第4 当審の判断

1.明確性要件(特許法第36条第2項)について

一般に「法36条6項2号は,特許請求の範囲の記載に関し,特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。同号がこのように規定した趣旨は,仮に,特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には,特許の付与された発明の技術的範囲が不明確となり,第三者に不測の不利益を及ぼすことがあり得るので,そのような不都合な結果を防止することにある。そして,特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきことはいうまでもない。」とされている〔知財高裁、平成21年(行ケ)第10434号判決(平成22年8月31日判決言渡)参照。〕。

2.判断

請求項10には「該基は無置換であるか式Iで定義する通りのLで」なる記載がなされているが、請求項10にも、請求項10が引用する請求項1~9にも、式Iが記載されていないから、当該Lの意味するところが不明である。

その結果、請求項10に係る発明の範囲が定まらず、請求項10に係る発明は第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるといわざるを得ない。

また、同様に、請求項10を直接又は間接的に引用する請求項11~27に係る発明も不明確である。

したがって、請求項10~27の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび

以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の請求項10~27の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-001348

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  • 2024-009937拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)高温低アウトガスフッ素化サーマルインターフェース材料
    共通の審決分類: 537・C09K
  • 2024-013057拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)難燃剤組成物
    共通の審決分類: 537・C09K
  • 2025-004119拒絶査定不服審判 / 2026-07-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)温室用途及びシート構造体の為のEu2+でドープされた無機発光ナノ粒子を含む分散物…
    共通の審決分類: 537・C09K
  • 2024-014377拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)難燃性化学組成物
    共通の審決分類: 537・C09K

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