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特許拒絶査定不服審判

2021-000898

装置間(D2D)通信方法及びD2D装置

審判番号
2021-000898
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-550346外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年01月22日
審決日
2022年01月05日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (H04W) / P18 .121-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-550346「装置間(D2D)通信方法及びD2D装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日国際公開、WO2017/193306、令和元年7月11日国内公表、特表2019-519950、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2016年(平成28年)5月11日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年11月13日 手続補正書の提出

令和 元年11月29日付け 拒絶理由通知書

令和 2年 3月 5日 手続補正書、意見書の提出

令和 2年 9月16日付け 拒絶査定

令和 3年 1月22日 審判請求書、手続補正書の提出

令和 3年 9月22日付け 拒絶理由通知書(当審)

令和 3年11月26日 手続補正書、意見書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和2年9月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(特許法第29条第1項第3号)について

・請求項 1,2,4,6,10,11,13,14,17

・引用文献等 1

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1-4,6-8,10-17

・引用文献等 1-3

<引用文献等一覧>

1.ZTE,Discussion on SA content[online],3GPP TSG-RAN WG1#84b R1-162411,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_84b/Docs/R1-162411.zip>,2016年4月2日アップロード

2.国際公開第2015/170766号

3.特表2015-521406号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明について

本願の請求項1ないし20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、令和3年11月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
装置間D2D通信方法であって、
第一のD2D装置がデータパケットを生成し、前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔であることと、
前記第一のD2D装置が第二のD2D装置へ前記データパケットを送信することとを含む、装置間D2D通信方法。
続きを表示(全68行)
【請求項2】
前記第一のSA情報はさらに指示情報、又は、前記SPS/SPTサービスのプロセスIDのうちの少なくとも一つを含み、前記指示情報が前記SPS/SPTサービスの未伝送データに必要な伝送回数を示すことに用いられることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスIDは前記第一のD2D装置によってランダムに生成されるものであることを特徴とする
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一のSA情報内のリザーブ情報ビット、又は、前記周期情報の所在フィールドはリザーブ値を含み、前記リザーブ値が前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記指示情報の所在フィールドはリザーブ値を含み、前記リザーブ値が前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする
請求項2乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記周期情報が、前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記指示情報が、前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする、
請求項2、3、又は5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データパケットの送信時点がtであり、
前記方法はさらに、
前記第一のD2D装置が第一の時点に第二のSA情報を送信し、前記第一の時点が前記送信時点tの前のいずれかの時点であり、前記第二のSA情報が前記第一のD2D装置が前記送信時点tに前記データパケットを送信しようとすることを示すことに用いられることを特徴とする
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の時点がt-a時点であり、t-a時点が前記送信時点tにデータを送信しようとする第一のD2D装置がリソースプール使用状況の検出を開始する時点であることを特徴とする
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記周期情報に対応するビットの値が0である場合、現在の伝送されているサービスが非SPS/SPTサービスであることを示すことを特徴とする
請求項1乃至9に記載の方法。
【請求項11】
前記周期情報は、一つの周期集合に対応する一つのインデックス番号であり、プロトコルによって一つの前記周期集合が予め設定されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
装置間D2D通信方法であって、
第二のD2D装置が第一のD2D装置から送信されたデータパケットを受信し、前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔であることと、
前記第二のD2D装置が前記データパケットから前記第一のSA情報を取得することと、
前記第二のD2D装置が前記第一のSA情報から前記SPS/SPTサービスの周期情報を取得することとを含む、装置間D2D通信方法。
【請求項13】
前記第一のSA情報はさらに指示情報、又は、前記SPS/SPTサービスのプロセスIDのうちの少なくとも一つを含み、前記指示情報が前記SPS/SPTサービスの未伝送データに必要な伝送回数を示すことに用いられることを特徴とする
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセスIDは前記第一のD2D装置によってランダムに生成されるものであることを特徴とする
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一のSA情報内のリザーブ情報ビット、又は、前記周期情報の所在フィールドはリザーブ値を含み、前記リザーブ値が前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする
請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記指示情報の所在フィールドはリザーブ値を含み、前記リザーブ値が前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする
請求項13乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記データパケットの送信時点がtであり、
前記方法はさらに、
前記第二のD2D装置が前記第一のD2D装置によって第一の時点に送信された第二のSA情報を受信し、前記第一の時点が前記送信時点tの前のいずれかの時点であり、前記第二のSA情報が前記第一のD2D装置が前記送信時点tに前記データパケットを送信しようとすることを示すことに用いられることを含むことを特徴とする
請求項12乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の時点がt-a時点であり、t-a時点が前記送信時点tにデータを送信しようとする第一のD2D装置がリソースプール使用状況の検出を開始する時点であることを特徴とする
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記周期情報に対応するビットの値が0である場合、現在の伝送されているサービスが非SPS/SPTサービスであることを示すことを特徴とする
請求項12乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
装置間D2D装置であって、
プロセッサと、
命令が記憶されるメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサで実行される時に、前記プロセッサが請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法、又は請求項12乃至19のいずれか1項に記載の方法を実行する、装置間D2D装置。」

第4 引用例の記載事項及び引用発明

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1.引用例1について

原査定の拒絶理由で引用された、ZTE,Discussion on SA content[online],3GPP TSG-RAN WG1#84b R1-162411,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_84b/Docs/R1-162411.zip>,2016年4月2日アップロード(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「2)Agreements:
・For V2V communication on the PC5 interface:
- Option 1: Transmission of SA and its associated data on same subframe is supported
・・・
- Option 2: Each SA transmission precedes all of its associated data transmissions.」(1ページ本文10~15行)

(当審仮訳:

2)合意

・PC5インターフェース上でのV2V通信に対して:

- オプション1:SA及びその関連データの同一サブフレームにおける送信がサポートされる

・・・

- オプション2:SA送信のそれぞれは、その関連するデータ送信の全てに先行する。)

引用例1の上記記載、及びこの技術分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(1) 引用例1に記載された「V2V通信」は、第一のV2V装置と第二のV2V装置との間における装置間V2V通信を意味することが技術常識であり、引用例1に記載された「SA及びその関連データの同一サブフレームにおける送信がサポートされる」ことや「SA送信のそれぞれは、その関連するデータ送信の全てに先行する」ことは、当該装置間V2V通信の方法に含まれることが明らかである。

そうすると、引用例1には、装置間V2V通信方法が記載されている、といえる。

(2) 引用例1には、「SA及びその関連データの同一サブフレームにおける送信がサポートされる」ことや「SA送信のそれぞれは、その関連するデータ送信の全てに先行する」ことが記載されているから、引用例1に記載された装置間V2V通信方法は、第一のV2V装置がデータを生成することと、第一のV2V装置が第二のV2V装置へ前記データを送信することを含む、といえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 装置間V2V通信方法であって、
第一のV2V装置がデータを生成することと、
前記第一のV2V装置が第二のV2V装置へ前記データを送信することとを含む、装置間V2V通信方法。」

2.引用例2について

原査定の拒絶理由で引用された国際公開第2015/170766号(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「SAは、UEID及びMCS以外の所定の情報(Reserved)を含んでもよい。・・・ユーザデータが時間方向においてSPSである場合、所定の情報は、SPSの周期を示す情報であってもよい。」(段落[0071])

「UE複雑性を下げるために、モード1とモード2の両方に関して共通のPHYデザインを有することが好ましい。」(段落[0120])

上記記載によれば、引用例2には、「SAはSPSの周期を示す情報を含んでもよく、また、モード1とモード2の両方に関して共通のPHYデザインを有することが好ましい。」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用例3について

原査定の拒絶理由で引用された特表2015-521406号公報(以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。

「ランダムなアプリケーション識別子が、アプリケーションによって生成され、ユーザIDに追加され得る。」(段落【0084】)

上記記載によれば、引用例3には、「ランダムな識別子が生成される。」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断

本願発明1と引用発明を対比する。

(1) 引用発明の「V2V通信」が本願発明1の「D2D通信」に含まれることは通信技術分野における技術常識であるから、本願発明1の「装置間D2D通信方法」と引用発明の「装置間V2V通信方法」は、「装置間D2D通信方法」である点で一致する。

(2) 引用発明の「第一のV2V装置」は、データを生成し第二のV2V装置へ前記データを送信するものであるから、本願発明1の「第一のD2D装置」に含まれるといえ、そうすると、本願発明の「第一のD2D装置がデータパケットを生成し、前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔であること」と、引用発明の「第一のV2V装置がデータを生成すること」は、第一のD2D装置がデータを生成することである点で、一致する。

(3) 上記(2)で説明したとおり、引用発明では、「第一のV2V装置」が生成したデータを、「第一のV2V装置」から「第二のV2V装置」へ送信するから、引用発明の「第一のV2V装置」は本願発明1の「第一のD2D装置」に含まれ、引用発明の「第二のV2V装置」は本願発明1の「第二のD2D装置」に含まれるといえ、そうすると、本願発明1の「前記第一のD2D装置が第二のD2D装置へ前記データパケットを送信すること」と、引用発明の「前記第一のV2V装置が第二のV2V装置へ前記データを送信すること」は、前記第一のD2D装置が第二のD2D装置へ前記データを送信することである点で一致する。

以上のことから、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)

「 装置間D2D通信方法であって、
第一のD2D装置がデータを生成することと、
前記第一のD2D装置が第二のD2D装置へ前記データを送信することとを含む、装置間D2D通信方法。」

(相違点)

本願発明1は、第一のD2D装置が生成し第二のD2D装置へ送信する「データ」は「データパケット」であり、かつ「前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔である」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、第一のV2V装置が生成し第二のV2V装置へ送信する「データ」について当該発明特定事項が特定されていない点。

上記相違点について検討する上で、「データパケット」についての発明特定事項の一部である、「半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり」、かつ「第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み」、さらに「前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔である」ことについて検討する。

「装置間D2D通信方法」において「第一のD2D装置」が生成し「第二のD2D装置」へ送信する「データパケット」が、「半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり」、かつ「第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み」、さらに「前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔である」ことは、引用例2及び3のいずれにも記載されておらず、また、当該技術分野における周知技術であるともいえない。

そうすると、引用発明の「データ」を「データパケット」とすることについて論及するまでもなく、本願発明1の「データパケット」についての発明特定事項の一部である、「装置間D2D通信方法」において「第一のD2D装置」が生成し「第二のD2D装置」へ送信する「データパケット」を、「前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔である」とすることは、当業者であっても、引用発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたこととはいえない。

したがって、本願発明1は、上記(相違点)で引用発明と相違するから、引用発明であるとはいえない。また、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし11について

本願発明2ないし11は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明12ないし19について

本願発明12ないし19は、第二のD2D装置が第一のD2D装置から送信されて受信する「データパケット」について、本願発明1の「データパケット」についての発明特定事項の一部と同様、「前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔である」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明20について

本願発明20は、本願発明1の発明特定事項の全て、又は本願発明12の発明特定事項の全てを含むから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断

本願発明1ないし20は、上記「第5」の「1.」ないし「4.」のとおり、原査定において引用された引用例1に記載された発明ではなく、また当業者であっても、引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものともいえない。

したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 当審が通知した拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要

当審が令和3年9月22日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記

●理由1(明確性)について

(1) 請求項 4ないし8、13ないし17

請求項4には、「前記第一のSA情報内のリザーブ情報ビット、又は、前記周期情報又は前記指示情報の所在フィールドはリザーブ値を含み、前記リザーブ値が前記SPS/SPTサービスを終止することを示すことに用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。」と記載されている(下線は当審で付加した。以下同様。)。

ここで、下線部の「前記指示情報」に対応する「指示情報」は、請求項1には記載されておらず、請求項2に最初の記載があるから、請求項4の記載が、請求項1の記載を直接引用し請求項2の記載を引用しない場合に、下線部の「前記指示情報」が何を意味するのか、不明確である。

また、請求項5、及び13の記載にも同様の不備がある。

さらに、請求項13の「前記指示指示情報」という記載は、「前記指示情報」の誤記の疑いがあるので、不明確である。

・・・

(2) 請求項 7、8、15ないし17

請求項7には、「前記第一の時点がt-a時点であり、aが前記送信時点tにデータを送信しようとする第一のD2D装置がリソースプール使用状況の検出を開始する時点であることを特徴とする請求項6に記載の方法。」と記載されており、請求項7が引用する請求項6には「前記データパケットの送信時点がtであり(以下略)」と記載されている(下線は当審で付加した。)。

そうすると、上記「t」、「t-a」、及び「a」はいずれも「時点」である。

しかしながら、上記「t」及び「a」が「時点」であることを前提にすると、上記「t-a」は、t時点とa時点の差分すなわち時間を意味すると解するのが自然であるから、上記「t-a」も「時点」であるという請求項7の記載は、不明確である。

一方、上記「t」及び「t-a」が「時点」であることを前提にすると、上記「t-a」における「a」は、t時点とt-a時点の差分すなわち時間を意味すると解するのが自然であるから、上記「a」も「時点」であるという請求項7の記載は、不明確である。

また、請求項15の記載にも同様の不備がある。

・・・

(3) 請求項 8、16、及び17

請求項8に記載された「ビッド」という用語は、「ビット」の誤記の疑いがあるので、不明確である。

また、請求項16の記載にも同様の不備がある。

・・・

(4) 請求項 9、及び17

請求項9には、「前記周期情報は、一つの周期集合のインデックス番号であり、プロトコルによって予め設定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。」と記載されている(下線は当審で付加した。)。

請求項9の記載は、「プロトコルによって予め設定される」対象が、「前記周期情報」、「周期集合」、又は「インデックス番号」のいずれであるのか、不明確である。

・・・

(5) 請求項 17

請求項17には、「装置間D2D装置であって、前記D2D装置は第一のD2D装置であり、プロセッサと、命令が記憶されるメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサで実行される時に、前記プロセッサが請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法、又は請求項10乃至16のいずれか1項に記載の方法を実行する、装置間D2D装置。」と記載されている(下線は当審で付加した。以下同様。)。

ア 請求項17の冒頭に記載された「装置間D2D装置」という用語は、単一の名詞と解される。そうすると、下線部における「前記D2D装置」よりも前に、対応すべき「D2D装置」という用語は記載されていないから、「前記D2D装置」という記載は、何を意味するのか、不明確である。

イ 請求項17の下線部における「前記D2D装置」という記載は、前記装置間D2D装置の誤記であったと仮定して検討すると、請求項17の下線部には、「前記D2D装置は第一のD2D装置であり」と記載されているから、「前記D2D装置」すなわち「前記装置間D2D装置」は「第一のD2D装置」であるといえる。

ここで、請求項17の記載が引用する請求項1には「前記第一のD2D装置が第二のD2D装置へ前記データパケットを送信する」と記載され、また同じく引用する請求項10には「第二のD2D装置が第一のD2D装置から送信されたデータパケットを受信し」と記載されているから、請求項17に記載された「第一のD2D装置」は、「データパケットを送信する」装置であると解される。

一方、請求項17には「前記プロセッサが請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法、又は請求項10乃至16のいずれか1項に記載の方法を実行する」と記載されているから、請求項17に係る発明は、「前記プロセッサが」「請求項10乃至16のいずれか1項に記載の方法を実行する」構成を含むことが明らかである。

そして、例えば、請求項10には、「装置間D2D通信方法であって、第二のD2D装置が第一のD2D装置から送信されたデータパケットを受信し、前記データパケットが半静的スケジューリング/半静的伝送(SPS/SPT)サービスのデータパケットであり、前記データパケットが第一のスケジューリング割り当て(SA)情報を含み、前記第一のSA情報が前記SPS/SPTサービスの周期情報を含み、前記SPS/SPTサービスの周期情報がSPS/SPTサービスのデータパケットの伝送に必要な時間間隔であることと、前記第二のD2D装置が前記データパケットから前記第一のSA情報を取得することと、前記第二のD2D装置が前記第一のSA情報から前記SPS/SPTサービスの周期情報を取得することとを含む、装置間D2D通信方法。」と記載されているから、請求項10に係る発明は、実質的に、「データパケットを受信」した「第二のD2D装置」が動作する方法を特定しているといえる。

以上をまとめると、請求項17の下線部における「前記D2D装置」という記載は、前記装置間D2D装置の誤記であったと仮定して検討すると、「前記D2D装置」すなわち前記装置間D2D装置は、「第一のD2D装置」だとしても、請求項10乃至16の記載を引用した場合、請求項10乃至16に記載された「第一のD2D装置」と「第二のD2D装置」のどちらの装置の動作を行うのか、不明確である。

・・・

(以下略)

2.当審拒絶理由が解消されたことについて

(1) 令和3年11月26日付け手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)により、本件補正前の請求項4から請求項2に依拠する「又は前記指示情報」という記載が削除されるとともに、本件補正前の請求項4の一部に基づき請求項2乃至3の記載のみを引用する補正後の請求項5が新設され、同様に、本件補正前の請求項5から請求項2に依拠する「又は前記指示情報」という記載が削除されて補正後の請求項6とされるともに、本件補正前の請求項5の一部に基づき請求項2、3、又は補正後の請求項5の記載のみを引用する補正後の請求項7が新設され、さらに同様に、本件補正前の請求項13から本件補正前の請求項11に依拠する「又は前記指示指示情報」という記載が削除されて補正後の請求項15とされるとともに、本件補正前の請求項13の一部に基づき本件補正前の請求項11乃至12(補正後の請求項13乃至14に対応する。)の記載のみを引用する補正後の請求項16が新設されたから、当審拒絶理由の「●理由1(明確性)について」(1)で指摘した拒絶理由は、解消された。

(2) 本件補正により、本件補正前の請求項7及び15(補正後の請求項9及び18に対応する。)における「aが前記送信時点tにデータを送信しようとする第一のD2D装置がリソースプール使用状況の検出を開始する時点である」という記載は、「t-a時点が前記送信時点tにデータを送信しようとする第一のD2D装置がリソースプール使用状況の検出を開始する時点である」という記載へ補正されたから、当審拒絶理由の「●理由1(明確性)について」(2)で指摘した拒絶理由は、解消された。

(3) 本件補正により、本件補正前の請求項8及び16(補正後の請求項10及び19に対応する。)における「ビッド」という記載は「ビット」という記載へ補正されたから、当審拒絶理由の「●理由1(明確性)について」(3)で指摘した拒絶理由は、解消された。

(4) 本件補正により、本件補正前の請求項9(補正後の請求項11に対応する。)における「前記周期情報は、一つの周期集合のインデックス番号であり、プロトコルによって予め設定される」という記載は、「前記周期情報は、一つの周期集合に対応する一つのインデックス番号であり、プロトコルによって一つの前記周期集合が予め設定される」という記載へ補正されたから、当審拒絶理由の「●理由1(明確性)について」(4)で指摘した拒絶理由は、解消された。

(5) 本件補正により、本件補正前の請求項17(補正後の請求項20に対応する。)における「前記D2D装置は第一のD2D装置であり、」という記載は削除されたから、当審拒絶理由の「●理由1(明確性)について」(5)で指摘した拒絶理由は、解消された。

(6) 以上のとおり、当審拒絶理由は全て解消された。

第8 むすび

以上のとおり、本願発明1ないし20は、引用例1に記載された発明ではなく、当業者が引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-000898

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