特許拒絶査定不服審判
2021-000821
運動の採点方法、システム及びプログラム
- 審判番号
- 2021-000821
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-006953外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年01月20日
- 審決日
- 2022年07月05日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】莊 龍飛
- 【請求人代理人】特許業務法人服部国際特許事務所
- 【請求人代理人】服部 雅紀
- 分類
- P18 .537-Z (A63B) / P18 .55 -Z (A63B) / P18 .56 -Z (A63B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 6953「運動の採点方法、システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月22日出願公開、特開2019-136493〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年1月18日(パリ条約による優先権主張2018年2月12日(TW)台湾)の出願であって、令和1年12月19日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和2年5月20日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和3年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年6月23日に上申書が提出されたものである。
第2 令和3年1月20日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年1月20日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を全文にわたって補正をするとともに、併せて明細書の記載について補正をするものであるところ、特許請求の範囲について,下記(1)に示す本件補正前の(すなわち,令和2年5月20日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至11を,下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至11へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
装着型加速度センサーを含む運動採点システムに適用される運動の採点方法であって、
コースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記コーチ運動データを複数のコーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントをある時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しい工程と、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出する工程と、
前記運動点数を表示する工程と、を含む運動の採点方法。
【請求項2】
前記コーチ運動データを各前記コーチセグメントに分けた後、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメントのタイムコードに基づいて、前へ前記タイムコード分だけ延ばして第1のサンプリングポイントとし、後へ前記タイムコード分だけ延ばして第2のサンプリングポイントとし、第1のサンプリング間隔で、前記利用者運動データに対して前記第1のサンプリングポイントから前記第2のサンプリングポイントにかけてサンプリングを実行して複数の前記利用者セグメントを取得する工程を、更に含む請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項3】
誤差の一番小さい前記利用者運動データを取得後、
各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行し、前記コーチセグメントと、前記コーチセグメントに対応する各前記利用者セグメントとの誤差をそれぞれ求め、その中から誤差の一番小さい第1の利用者セグメントおよび誤差の一番小さい第2の利用者セグメントと定義される2つの前記利用者セグメントを取得する工程と、
第2のサンプリング間隔で前記利用者運動データに対して前記第1の利用者セグメントから前記第2の利用者セグメントにかけてサンプリングを実行して少なくとも一つの第3の利用者セグメントを取得し、また前記第2のサンプリング間隔が前記第1のサンプリング間隔よりも小さい工程と、
前記コーチセグメントと前記少なくとも一つの第3の利用者セグメントに基づいて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行する工程と、を含む請求項2に記載の運動の採点方法。
【請求項4】
前記コーチセグメント及び前記少なくとも1つの第3の利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行後、
前記少なくとも第3の利用者セグメントの誤差が前記第1の利用者セグメントの誤差と前記第2の利用者セグメントの誤差よりも大きい場合、
前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントの中の誤差の小さい方を誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定する工程、を更に含む請求項3に記載の運動の採点方法。
【請求項5】
前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行する工程は、
下記数式(1)に基づいて前記コーチサンプリングポイントと前記利用者サンプリングポイントとの誤差を算出する工程を含み、
【数1】
[図:0001391295000001.jpg]
i、jは正の整数であり、
xiは第i個目の前記コーチサンプリングポイントを示し、
xjは第j個目の前記コーチサンプリングポイントを示し、
yjは第j個目の前記利用者サンプリングポイントを示し、
errori, jは誤差を示し、
c1、c2、c3は実数である、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項6】
前記運動点数を算出する工程は、
下記数式(2)に基づいて前記運動点数を算出する工程を含み、
【数2】
[図:0001391295000002.jpg]
siは第i個目のコーチセグメントの対応する前記運動点数であり、
lは前記コーチセグメントの長さであり、
pathiは前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの間のワーピングパスの長さであり、
piは、前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの経時的なオフセットと逆の相関関係がある実数である、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項7】
前記運動点数を算出する工程は、
下記数式(3)、(4)に基づいて前記運動点数を算出する工程を含み、
【数3】
[図:0001391295000003.jpg]
【数4】
[図:0001391295000004.jpg]
siは第i個目のコーチセグメントの対応する前記運動点数であり、
lは前記コーチセグメントの長さであり、
piは、前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの経時的なオフセットと逆の相関関係がある実数であり、
wjは前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの間のワーピングパスの第j個目の素子の対応する誤差であり、
Tは閾値であり、
Kは前記ワーピングパスの長さである、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項8】
各前記利用者サンプリングポイントの前記加速度値がX軸の加速度、Y軸の加速度とZ軸の加速度を含み、
前記運動の採点方法は、前記X軸の加速度又は前記Y軸の加速度の正負符号を変え、誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得する工程を改めて実行し、誤差が小さい時の対応する前記運動点数を表示する工程を更に含む、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項9】
前記運動点数を表示する工程は、
前記数式(2)に基づいて前記コーチセグメントにおける連続の複数の第1のコーチセグメントを取得し、各前記第1のコーチセグメントの第1の運動点数を取得する工程と、
前記第1の運動点数の最大値を表示する工程と、を含む請求項6に記載の運動の採点方法。
【請求項10】
装着型加速度センサーと、
ディスプレイによってコースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得することに用いられ、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含むインテリジェント装置と、を含み、
前記インテリジェント装置は、前記装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含み、
前記インテリジェント装置は、前記コーチ運動データを複数のコーチセグメントに分け、前記コーチセグメントをある時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しく、
又は、前記インテリジェント装置は、前記コーチ運動データと前記利用者運動データをサーバーに伝え、前記サーバーは、前記コーチ運動データを前記コーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントをある時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しく、
各前記コーチセグメントに対して、前記インテリジェント装置又は前記サーバーは、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出し、前記ディスプレイは前記運動点数を表示する、運動採点システム。
【請求項11】
コンピューターに、
コースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記コーチ運動データを複数のコーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントをある時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しい工程と、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出する工程と、
前記運動点数を表示する工程と、の複数の工程を実行させるためのプログラム。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
【請求項1】
装着型加速度センサーを含む運動採点システムに適用される運動の採点方法であって、
コースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記コーチ運動データをタイムコードを有する複数のコーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントを前記タイムコードに基づく時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しい工程と、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、前記コーチセグメントとの誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出する工程と、
前記運動点数を表示する工程と、を含む運動の採点方法。
【請求項2】
前記コーチ運動データを各前記コーチセグメントに分けた後、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメントの前記タイムコードに基づいて、前へ前記タイムコード分だけ延ばして第1のサンプリングポイントとし、後へ前記タイムコード分だけ延ばして第2のサンプリングポイントとし、第1のサンプリング間隔で、前記利用者運動データに対して前記第1のサンプリングポイントから前記第2のサンプリングポイントにかけてサンプリングを実行して複数の前記利用者セグメントを取得する工程を、更に含む請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項3】
前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得後、
各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行し、前記コーチセグメントと、前記コーチセグメントに対応する各前記利用者セグメントとの誤差をそれぞれ求め、その中から誤差の一番小さい前記利用者セグメントおよび誤差の2番目に小さい前記利用者セグメントを取得し、それぞれ第1の利用者セグメントおよび第2の利用者セグメントと定義する工程と、
第2のサンプリング間隔で、前記利用者運動データに対して前記第1の利用者セグメントから前記第2の利用者セグメントにかけて再びサンプリングを実行して少なくとも一つの別の利用者セグメントを取得し、このとき前記第2のサンプリング間隔が前記第1のサンプリング間隔よりも小さい工程と、
前記コーチセグメントと前記少なくとも一つの別の利用者セグメントに基づいて、再び前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行する工程と、を含み、
前記コーチセグメントと前記第1の利用者セグメントの誤差と、前記コーチセグメントと前記第2の利用者セグメントの誤差とは同値である場合を含む請求項2に記載の運動の採点方法。
【請求項4】
前記コーチセグメント及び前記少なくとも一つの別の利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行後、
前記コーチセグメントと前記少なくとも一つの別の利用者セグメントの誤差が、前記コーチセグメントと前記第1の利用者セグメントの誤差及び前記コーチセグメントと前記第2の利用者セグメントの誤差よりも大きい場合、
前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントのうちの一つを前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す工程、を更に含む請求項3に記載の運動の採点方法。
【請求項5】
前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて前記動的時間ワ
ーピングアルゴリズムを実行する工程は、
下記数式(1)に基づいて前記コーチサンプリングポイントと前記利用者サンプリング
ポイントとの誤差を算出する工程を含み、
【数1】
[図:0001391295000005.jpg]
i、jは正の整数であり、
xiは第i個目の前記コーチサンプリングポイントを示し、
xjは第j個目の前記コーチサンプリングポイントを示し、
yjは第j個目の前記利用者サンプリングポイントを示し、
errori, jは誤差を示し、
c1、c2、c3は実数である、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項6】
前記運動点数を算出する工程は、
下記数式(2)に基づいて前記運動点数を算出する工程を含み、
【数2】
[図:0001391295000006.jpg]
siは第i個目のコーチセグメントの対応する前記運動点数であり、
lは前記コーチセグメントの長さであり、
pathiは前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの間のワーピングパスの長さであり、
piは、前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの経時的なオフセットと逆の相関関係がある実数である、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項7】
前記運動点数を算出する工程は、
下記数式(3)、(4)に基づいて前記運動点数を算出する工程を含み、
【数3】
[図:0001391295000007.jpg]
【数4】
[図:0001391295000008.jpg]
siは第i個目のコーチセグメントの対応する前記運動点数であり、
lは前記コーチセグメントの長さであり、
piは、前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの経時的なオフセットと逆の相関関係がある実数であり、
wjは前記第i個目のコーチセグメント及び対応する誤差の一番小さい前記利用者セグメントの間のワーピングパスの第j個目の素子の対応する誤差であり、
Tは閾値であり、
Kは前記ワーピングパスの長さである、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項8】
各前記利用者サンプリングポイントの前記加速度値がX軸の加速度、Y軸の加速度とZ軸の加速度を含み、
前記運動の採点方法は、前記X軸の加速度又は前記Y軸の加速度の正負符号を変え、誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得する工程を改めて実行し、誤差が小さい時の対応する前記運動点数を表示する工程を更に含む、請求項1に記載の運動の採点方法。
【請求項9】
前記運動点数を表示する工程は、
前記数式(2)に基づいて前記コーチセグメントにおける連続の複数の第1のコーチセグメントを取得し、各前記第1のコーチセグメントの第1の運動点数を取得する工程と、
前記第1の運動点数の最大値を表示する工程と、を含む請求項6に記載の運動の採点方法。
【請求項10】
装着型加速度センサーと、
ディスプレイによってコースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得することに用いられ、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含むインテリジェント装置と、を含み、
前記インテリジェント装置は、前記装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含み、
前記インテリジェント装置は、前記コーチ運動データをタイムコードを有する複数のコーチセグメントに分け、前記コーチセグメントを前記タイムコードに基づく時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しく、
又は、前記インテリジェント装置は、前記コーチ運動データと前記利用者運動データをサーバーに伝え、前記サーバーは、前記コーチ運動データを前記コーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントをある時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しく、
各前記コーチセグメントに対して、前記インテリジェント装置又は前記サーバーは、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、前記コーチセグメントとの誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出し、前記ディスプレイは前記運動点数を表示する、運動採点システム。
【請求項11】
コンピューターに、
コースビデオを再生し、前記コースビデオに対応するコーチ運動データを取得し、また前記コーチ運動データが複数のコーチサンプリングポイントを含み、各前記コーチサンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
装着型加速度センサーによって利用者運動データを取得し、また前記利用者運動データが複数の利用者サンプリングポイントを含み、各前記利用者サンプリングポイントが複数の加速度値を含む工程と、
前記コーチ運動データをタイムコードを有する複数のコーチセグメントに分け、各前記コーチセグメントを前記タイムコードに基づく時間範囲における前記利用者運動データの複数の利用者セグメントに対応させ、一部の前記利用者セグメントが互いに部分的に重なり、各前記利用者セグメントの長さは、各前記コーチセグメントの長さに等しい工程と、
各前記コーチセグメントに対して、前記コーチセグメント及び対応する各前記利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行して、前記コーチセグメントとの誤差の一番小さい前記利用者セグメントを取得し運動点数を算出する工程と、
前記運動点数を表示する工程と、の複数の工程を実行させるためのプログラム。」
2 上記1の各補正事項が、本願の願書に最初に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内でされたものであるか否かについて検討する。
なお、本願の願書に最初に添付した明細書及び特許請求の範囲について、それぞれ「当初明細書」及び「当初請求の範囲」といい、これら全体について「当初明細書等」という。
(1)請求項4の「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントのうちの一つを前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す工程」について
当初明細書には、以下のとおり記載されている。
「【0034】
図4は、一実施例による誤差の一番小さい利用者セグメントを捜す模式図である。図4を参照されたい。わかりやすく説明するために、ここでは1つのコーチサンプリングポイントに対して1つのコーチセグメントを示し、また1つの利用者サンプリングポイントに対して1つの利用者セグメントを示す。また、図4には利用者運動データを図示しない。
ここで第1回の検索時に、コーチセグメント212が利用者セグメント231~235に対応し、利用者セグメント231~235の間にサンプリング間隔401があること(例えば10)を仮設定する。
コーチセグメント212と利用者セグメント231~235の各々に対して、何れも上記の動的時間ワーピングアルゴリズムを実行してよく、誤差の一番小さい(一番短い長さKを有する)2つの利用者セグメントを捜して、利用者セグメント233、234(それぞれ第1の利用者セグメントと第2の利用者セグメントと称される)として仮設定することができる。
次に、更に検索するために、ここでサンプリング間隔を(例えば10から5へ)減少させ、減少させられたサンプリング間隔402(第2のサンプリング間隔とも言われる)で利用者運動データに対して利用者セグメント233から利用者セグメント234にかけてサンプリングして利用者セグメント411~413(第3の利用者セグメントとも言われる)を取得する。
このとき、サンプリング間隔402がサンプリング間隔401よりも小さい。つまり、本実施例は、粗から密へ(course to fine)のメカニズムによって、誤差の一番小さい利用者セグメントを捜す。
【0035】
利用者セグメント411~413の誤差が利用者セグメント233、234の誤差よりも大きければ、利用者セグメント233、234における誤差の小さい利用者セグメントを誤差の一番小さい利用者セグメントとして設定し、検索を停止してよい。
利用者セグメント411~413のうちの、1つの利用者セグメントの誤差が小さければ、上記粗から密へのメカニズムを重複して実行し、引き続き捜してもよい。例えば誤差の一番小さい2つの利用者セグメント412、413を取得し、更にサンプリング間隔を減少させ、減少させられたサンプリング間隔403により、利用者セグメント412から利用者セグメント413にかけてサンプリングして利用者セグメント421を取得する。
ある実施例において、サンプリング間隔402が1つの閾値(例えば1、2又は他の数値)よりも小さければ、サンプリング間隔を減少させずに、現在の利用者セグメント411~413から誤差の一番小さい利用者セグメントを取得する。」
上記記載から、複数の利用者セグメントから、サンプリング間隔(例えば10)を設定し、誤差の一番小さい2つの利用者セグメントを捜して、利用者セグメント(それぞれ第1の利用者セグメントと第2の利用者セグメントと称される)として仮設定し、更に検索するために、サンプリング間隔を(例えば10から5へ)減少させ、減少させられたサンプリング間隔で利用者運動データに対してサンプリングして利用者セグメント(第3の利用者セグメントとも言われる)を取得し、利用者セグメントにおける誤差の小さい利用者セグメントを誤差の一番小さい利用者セグメントとして設定することが記載されている。
これに対し、補正後の請求項4は、「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントのうちの一つを前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す工程」と特定され、「第1の利用者セグメント」と「第2の利用者セグメント」のうちの一つを「誤差の一番小さい利用者セグメント」として設定し直すと特定されている。
ここで、補正後の請求項4における「第1の利用者セグメント」及び「第2の利用者セグメント」は、補正後の請求項4が引用する請求項3に「コーチセグメントに対応する各前記利用者セグメントとの誤差をそれぞれ求め、その中から誤差の一番小さい前記利用者セグメントおよび誤差の2番目に小さい前記利用者セグメントを取得し、それぞれ第1の利用者セグメントおよび第2の利用者セグメント」と特定されているとおり「誤差の一番小さい前記利用者セグメント」を「第1の利用者セグメント」、「誤差の2番目に小さい前記利用者セグメント」を「第2の利用者セグメント」と定義されるものである。
してみると、補正後の請求項4は、「誤差の一番小さい前記利用者セグメント」である「第1の利用者セグメント」と、「誤差の2番目に小さい前記利用者セグメント」である「第2の利用者セグメント」のうちの一つを「誤差の一番小さい利用者セグメント」として設定し直すと特定していることとなる。
すなわち、補正後の請求項4は、「誤差の2番目に小さい前記利用者セグメント」を「誤差の一番小さい利用者セグメント」として設定し直すものであって、上記当初明細書には、そのようにして「誤差の一番小さい利用者セグメント」として設定し直すことは記載されていないし、自明の事項といえるものでもない。
また、上記のとおり解されることからすれば、補正後の請求項4の記載は、特定事項同士の関係が明らかに矛盾する記載となっているのであるから、そのような事項が当初明細書等に記載されていないことも明らかといえる。
ここで、補正後の請求項3には、「前記コーチセグメントと前記第1の利用者セグメントの誤差と、前記コーチセグメントと前記第2の利用者セグメントの誤差とは同値である場合を含む」との特定されており、当該特定を前提として、補正後の請求項4について検討する。
「第1の利用者セグメントの誤差」と、「第2の利用者セグメントの誤差」とが「同値」であるのだから、「同値」であると判明した時点で、「第1の利用者セグメント」及び「第2の利用者セグメント」が「誤差の一番小さい前記利用者セグメント」として設定されることとなる。
そこで、補正後の請求項4の「前記コーチセグメント及び前記少なくとも一つの別の利用者セグメントに基づいて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行後」とは、補正後の請求項4が引用する請求項3の「各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行」した後のことを指すのであることから、補正後の請求項4の「前記コーチセグメントと前記少なくとも一つの別の利用者セグメントの誤差が、前記コーチセグメントと前記第1の利用者セグメントの誤差及び前記コーチセグメントと前記第2の利用者セグメントの誤差よりも大きい場合」とは、補正後の請求項4が引用する請求項3の「各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行」した後のことであって、補正後の請求項3の「第1の利用者セグメントおよび第2の利用者セグメントと定義する工程」後をさすものと理解できる。
そうすると、補正後の請求項4の「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントのうちの一つを前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す工程」とは、補正後の請求項3の「各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行し、…第1の利用者セグメントおよび第2の利用者セグメントと定義する工程」後であって、更なる「動的時間ワーピングアルゴリズムを実行」後と解する余地はない。
してみると、補正後の請求項4は、「コーチセグメントについて動的時間ワーピングアルゴリズムを実行」し、「コーチセグメントと第1の利用者セグメントの誤差と、コーチセグメントと第2の利用者セグメントの誤差」とが「同値である場合」、「その中から誤差の一番小さい利用者セグメントおよび誤差の2番目に小さい利用者セグメントを取得し、それぞれ第1の利用者セグメントおよび第2の利用者セグメントと定義」しつつ、第1の利用者セグメントと第2の利用者セグメントのうちの一つを誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す採点方法と解される。
そして、そのような事項は、上記当初明細書等には記載されていないし、自明の事項といえるものでもない。
(2)小括
以上のとおりであるから、請求項4の「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントのうちの一つを前記誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定し直す工程」と補正する本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえない。
そして、本件補正により請求の範囲には、当初明細書等に記載されておらず、また、当初明細書等の記載から自明な事項といえない事項が追加されるものとなっており、これらの事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものではない。
3 補正の却下の決定についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであって、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
上記第2の補正の却下の決定のとおり、本件補正は却下されことから、本審決において判断する対象となる本願の特許請求の範囲は、上記「第2 1(1)」の令和2年5月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至11であり、本願の明細書は、同補正書により補正された明細書である。
第4 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、令和1年12月19日付けの拒絶理由通知書により通知された理由であり、そのうちの次に示す理由を含むものである。
1 原査定の理由
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
(8)請求項4には「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントの中の誤差の小さい方を誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定する工程」と記載されている。
しかし、請求項4が引用する請求項3には「前記利用者セグメントから誤差の一番小さい第1の利用者セグメント」と記載されており、上記記載によって、何が特定されることとなるのか明確ではない。
なお、「誤差の一番小さい」との修飾が「第2の利用者セグメント」にもかかっているのであれば、「一番小さい」の意味が不明確なものとなる。
よって、請求項4に係る発明は明確でない。
第5 請求人の応答内容について
請求人は、上記拒絶理由についての応答として、令和2年5月20日に提出の意見書で次のように主張している。
2.3 原請求項3について、冒頭に記載「誤差の一番小さい前記利用者運動データを取得後、」を追加し、さらに原明細書[0029],[0034],[0036]および図4の記載に基づき、記載「前記利用者セグメントから誤差の一番小さい第1の利用者セグメントと第2の利用者セグメントを取得する工程」を「各前記コーチセグメントについて前記動的時間ワーピングアルゴリズムを実行し、前記コーチセグメントと、前記コーチセグメントに対応する各前記利用者セグメントとの誤差をそれぞれ求め、その中から誤差の一番小さい第1の利用者セグメントおよび誤差の一番小さい第2の利用者セグメントと定義される2つの前記利用者セグメントを取得する工程」に、「第3の利用者セグメント」を「少なくとも一つの第3の利用者セグメント」に、それぞれ修正しました。
第6 当審の判断
請求項4は、「前記第1の利用者セグメントと前記第2の利用者セグメントの中の誤差の小さい方を誤差の一番小さい前記利用者セグメントとして設定する工程」と特定され、「第1の利用者セグメント」と「第2の利用者セグメント」の中の誤差の小さい方を「誤差の一番小さい利用者セグメント」として設定すると特定されている。
ここで、請求項4における「第1の利用者セグメント」及び「第2の利用者セグメント」は、請求項4が引用する請求項3に「前記コーチセグメントと、前記コーチセグメントに対応する各前記利用者セグメントとの誤差をそれぞれ求め、その中から誤差の一番小さい第1の利用者セグメントおよび誤差の一番小さい第2の利用者セグメント」と特定されているとおり「誤差の一番小さい前記利用者セグメント」を「第1の利用者セグメント」及び「第2の利用者セグメント」と定義されるものである。
してみると、請求項4は、いずれも「誤差の一番小さい利用者セグメント」である「第1の利用者セグメント」及び「第2の利用者セグメント」の中から誤差の小さい方を設定することを特定していることとなる。
すなわち、請求項4は、同じ「誤差の一番小さい」ものであるにもかかわらず、誤差の小さい方を選択するという技術的に理解し得ない事項を特定するものである。
以上のとおりであるから、本願の特許請求の範囲の請求項4に係る発明は、原査定の理由で指摘したとおり明確でなく、本願の特許請求の範囲の請求項4の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第7 まとめ
以上のとおり、本願の請求項4の記載が、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていないものであるから、本願は、特許を受けることができない。
よって、その他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
したがって、結論のとおり審決する。
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2021-000821