特許異議申立
2020-700504
電子音楽装置及びプログラム
- 審判番号
- 2020-700504
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-156768
- 登録番号
- 6651729
- 請求日
- 2020年07月20日
- 審決日
- 2021年11月29日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ヤマハ株式会社
- 【権利者代理人】大澤 豊
- 【権利者代理人】大澤 敬
- 【異議申立人】市東 勇
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 渡辺 努
- 審判官 樫本 剛
- 分類
- P1651.113-YAA(G10H) / P1651.121-YAA(G10H) / P1651.851-YAA(G10H) / P1651.853-YAA(G10H) / P1651.841-YAA(G10H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6651729号発明「電子音楽装置及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6651729号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。
特許第6651729号の請求項1~3に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6651729号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成27年8月7日の出願であって、令和2年1月27日付けでその特許権の設定登録(特許公報発行日 令和2年2月19日)がされた。
これに対して、令和2年7月20日に特許異議申立人市東勇より請求項1~3に対して特許異議の申立てがなされた。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月27日付け 取消理由通知
同年12月25日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
令和3年 6月 1日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 8月 2日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
なお、令和2年12月25日付け訂正請求及び令和3年8月2日付け訂正請求に対する特許異議申立人からの意見書の提出はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和3年8月2日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による、特許権者が請求する訂正の趣旨は、「特許第6651729号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正事項
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線は訂正箇所である。
(1)請求項1、2に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する出力制御手段」
と記載されているのを、
「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを選択的に実行可能であり、前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う出力制御手段」
に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記出力制御手段は、前記判定手段が、前記発音手段が接続されていないと判定した場合に、前記第1音信号に加えて前記第2音信号も前記第1出力手段へ供給する」
と記載されているのを、
「前記出力制御手段は、前記判定手段が、前記発音手段が接続されていないと判定した場合に、前記第1音信号と前記第2音信号との双方を前記第1出力手段へ供給する」
に訂正する。
(2)請求項3に係る訂正
ア 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する出力制御手順」
と記載されているのを、
「前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、前記音信号取得手段で取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを選択的に実行し、前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う出力制御手順」
に訂正する。
3 訂正の適否の判断
(1)請求項1、2に係る訂正
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1、2について、請求項2は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1、2に対応する訂正後の請求項1、2は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
イ 訂正の目的
(ア)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する出力制御手段」に発明特定事項を付加して「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを選択的に実行可能であり、前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う出力制御手段」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)訂正事項2
訂正事項2は、訂正事項1により、請求項1の出力制御手段が「前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御」を実行可能であるものに訂正されたことに伴い、請求項1を引用する請求項2の「前記第1音信号に加えて前記第2音信号も前記第1出力手段へ供給する」との記載が、請求項1の記載と整合しなくなり明瞭でない記載となったことを解消するために、請求項2の「前記第1音信号に加えて前記第2音信号も前記第1出力手段へ供給する」との記載を「前記第1音信号と前記第2音信号との双方を前記第1出力手段へ供給する」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
なお、以降の下線は、説明のために当審において付したものである。
(ア)訂正事項1
訂正事項1は、明細書の段落0028、0030、0042、0044における以下の下線部の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「【0028】
また、振り分け部230は、各音信号取得部201-1~nが取得した音信号を、DA変換部21とDA変換部22に振り分けて供給する機能を備える。より具体的には、振り分け部230は、混合バス231,232、スイッチ233-1~n、スイッチ234-1,2、およびスイッチ235を備える。
このうち混合バス231は、各音信号取得部201が取得した音信号のうち、ユーザの演奏又は発声に応じて生成された第1音信号を入力して、それらの音信号をミキシングした音信号を、主パートの音信号として生成する機能を備える。混合バス232は、各音信号取得部201が取得した音信号のうち、上記第1音信号以外の第2音信号を入力して、それらの音信号をミキシングした音信号を、副パートの音信号として生成する機能を備える。なお、ここでいう「主」と「副」は、便宜的な呼称であり、実際のどちらの音が目立つかといった点とは関係がない。」
「【0030】
スイッチ234-1,2は、主パートと副パートのどちらの音声を内蔵スピーカから発音するかを切り替えるためのスイッチであり、CPU11の制御により連動して切り替えられる。これらのスイッチ234-1,2が図で下側の接点と接続される場合、主パートの音信号はDA変換部21へ供給されてその音声が内蔵スピーカ23から発音される。副パートの音信号はDA変換部22へ供給されてその音声が外部スピーカ30から発音される。逆に、スイッチ234-1,2が図で上側の接点と接続される場合、主パートの音声が外部スピーカ30から発音され、副パートの音声が内蔵スピーカ23から発音される。」
「【0042】
次に、演奏モード設定部113は、ユーザによる設定操作子17の操作に従い、主パートを内蔵スピーカ23と外部スピーカ30のどちらで発音させるかを示す演奏モードを設定する機能を備える。
第2スイッチ制御部114は、その演奏モードの設定に従い、スイッチ234-1,2を、演奏モードに従った出力を行う側に切り替える機能を備える。
これらの動作は、演奏モードの変更操作を検出した場合に実行すればよく、演奏モード設定部113及び第2スイッチ制御部114の機能と対応する処理は,図7のフローチャートのステップS21~S22に示すものである。」
「【0044】
少なくとも、音信号入力部19から、ユーザのリアルタイムの演奏又は発声に応じて生成された音信号を取得する場合、どちらの発音が望ましいかを電子楽器10側で判別することは難しいため、どちらの発音を行うかをユーザが演奏モードとして設定できるようにしている。
しかし、演奏操作子18により演奏操作がなされている場合には、自動で主パートを内蔵スピーカ23から発音させるようにしてもよい。」
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(イ)訂正事項2
訂正事項2は、明細書の段落0045における以下の下線部の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「【0045】
次に、外部スピーカ接続検出部115は、スピーカ接続端子24に外部スピーカ30が接続されているか否かを判定する判定手段の機能を備える。この判定は、例えば図3及び図4を用いて説明した、CONNECT信号線の電圧をスキャンして行うことができる。
第3スイッチ制御部116は、その判定結果に従い、外部スピーカ30が接続されていれば、スイッチ235を、副パートの音信号と主パートの音信号とを別々の出力先へ出力する側(図2で下側)へ切り替え、接続されていなければ、スイッチ235を、副パートの音信号と主パートの音信号とを加算して同じ出力先へ出力する側(図2で上側)へ切り替える機能を備える。
これらの動作は、定期的に外部スピーカ30の接続状態を検出して実行し、外部スピーカ接続検出部115及び第3スイッチ制御部116の機能と対応する処理は,図8のフローチャートのステップS31~S34に示すものである。」
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
エ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記イに示したように、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、いずれも発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
オ 独立特許要件について
訂正前の請求項1、2は、本件特許異議申立事件において特許異議申立人から特許異議の申立てがされている請求項であるから、訂正事項1、2については、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)請求項3に係る訂正
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項3の「前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する出力制御手順」に発明特定事項を付加して「前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、前記音信号取得手段で取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを選択的に実行し、前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う出力制御手順」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)ウ(ア)と同様に、訂正事項3は、明細書の段落0028、0030、0042、0044の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アに示したように、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件について
訂正前の請求項3は、本件特許異議申立事件において特許異議申立人から特許異議の申立てがされている請求項であるから、訂正事項3については、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的としており、かつ、同条第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合している。
したがって、訂正後の請求項〔1、2〕、3についての訂正を認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれの発明を「本件訂正発明1」~「本件訂正発明3」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
なお、説明のために、A~Kの記号を当審において付与した。以下、「構成A」~「構成K」と称する。
(本件訂正発明)
【請求項1】(本件訂正発明1)
A 電子音楽装置であって、
B ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手段と、
C 当該電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段と、
D 当該電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段と、
E11 前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
E12 前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを
E1 選択的に実行可能であり、
E2 前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う
E 出力制御手段とを備えることを特徴とする
A 電子音楽装置。
【請求項2】(本件訂正発明2)
請求項1に記載の電子音楽装置であって、
F 前記第2出力手段に、該第2出力手段が出力する音信号に従った発音を行う発音手段が接続されているか否かを判定する判定手段を備え、
G 前記出力制御手段は、前記判定手段が、前記発音手段が接続されていないと判定した場合に、前記第1音信号と前記第2音信号との双方を前記第1出力手段へ供給することを特徴とする
A 電子音楽装置。
【請求項3】(本件訂正発明3)
H コンピュータに、
I ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手順と、
J11 前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
J12 前記音信号取得手段で取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを
J1 選択的に実行し、
J2 前記第1モードと第2モードとから一方を選択する設定をユーザから受け付け、前記第1モードと第2モードとのうちユーザが行った前記設定に従った一方の制御を行う
J 出力制御手順とを
K 実行させるためのプログラム。
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
令和2年12月25日の訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれの発明を「本件第1訂正発明1」~「本件第1訂正発明3」という。)に対して、当審が令和3年6月1日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は、次のとおりである。(以下、「取消理由(1)」~「取消理由(3)」という。)
(1)本件第1訂正発明1は、刊行物2に記載された発明であるから、本件第1訂正発明1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)本件第1訂正発明2は、刊行物2に記載された発明、刊行物1に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件第1訂正発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件第1訂正発明3は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件第1訂正発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
刊行物1:実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行)
刊行物2:特開平6-250660号公報
2 取消理由通知(決定の予告)で採用した各刊行物について
(1)刊行物1(実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行))
ア 刊行物1に記載された事項
刊行物1には、「演奏装置」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
「この考案は、電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置に係り、特に、主演奏者と、少なくとも1種類以上の従演奏音とを、各々別個のスピーカから発音させることにより、良好な立体音響効果が得られ、臨場感溢れる演奏を表現し得るようにした演奏装置に関する。」(3頁3~8行)
「この図において、1は鍵盤(キーボード)3の操作に対応した楽音信号(主楽音信号)MSを発生する楽音信号発生回路であり、(中略)2はリズム音信号(従楽音信号)RSを発生するオートリズム音信号発生回路であり、」(7頁1行~14行)
「上記楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MSは、抵抗r1および接続点Cを介して増幅器4の入力端に供給され、また、オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、抵抗r2を介して後述する外部出力用ジャック(外部出力端子)J2の第2接点S2へ供給されると共に、FET5を介して接続点Cへ供給され、この接続点Cで楽音信号MSとミキシングされて増幅器4の入力端へ供給される。そして、この増幅器4から出力された楽音信号は、外部出力用ジャックJ1の付属スイッチSW1を介して内蔵スピーカSPへ供給され、楽音として発せられる。この場合、外部出力用ジャックJ1に、接続プラグP1が差し込まれると、付属スイッチSW1がオフとなり、増幅器4から出力された楽音信号は、ジャックJ1とプラグP1を介して外部スピーカSP1へ供給され、この外部スピーカSP1から楽音として発せられる。」(8頁7行~9頁4行)
「以上の構成において、通常、FET5のゲートにはジャックJ2の付属スイッチSW2の第4接点S4および第5接点S5を介して電源電圧+Vが印加され、これによりFET5はオンとなっている。そして、楽音信号発生回路1が発生した楽音信号MSとオートリズム音信号発生回路2が発生したリズム音信号RSとが接続点Cでミキシングされ、ミキシングされた信号が増幅器4で増幅されて内蔵スピーカSPへ供給され、楽音として発せられる。」(11頁4~13行)
「ここで、ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、付属スイッチSW2が切替わり、(中略)これにより、FET5はオフとなる。すると、増幅器4には楽音信号MSのみが供給され、したがって、内蔵スピーカSPからは楽音信号MSに対応した主演奏音のみが発音される。一方、オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、ジャックJ2の第2接点S2およびプラグP2を介して増幅器15の入力端へ供給され、この増幅器15で増幅された後、外部スピーカSP2へ供給される。したがって、外部スピーカSP2からはリズム音信号RSに対応したリズム演奏音のみが発音される。」(11頁18行~12頁13行)
「
[図:0001382347000001.jpg]
」
イ 刊行物1に記載された発明
上記アの記載事項を考慮すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。
なお、1a~1fは、当審で付したものであり、以下、「構成1a」~「構成1f」という。
(刊行物1発明)
1a 電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置において、
1b 鍵盤(キーボード)3の操作に対応した楽音信号(主楽音信号)MSを発生する楽音信号発生回路と、
1c リズム音信号(従楽音信号)RSを発生するオートリズム音信号発生回路とを備え、
1d 楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MSは、接続点Cを介して増幅器4の入力端に供給され、オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、外部出力用ジャック(外部出力端子)J2の第2接点S2へ供給されると共に、FET5を介して接続点Cへ供給され、この接続点Cで楽音信号MSとミキシングされて増幅器4の入力端へ供給され、増幅器4から出力された楽音信号は、外部出力用ジャックJ1の付属スイッチSW1を介して内蔵スピーカSPへ供給され、楽音として発せられ、外部出力用ジャックJ1に、接続プラグP1が差し込まれると、付属スイッチSW1がオフとなり、増幅器4から出力された楽音信号は、ジャックJ1とプラグP1を介して外部スピーカSP1へ供給され、この外部スピーカSP1から楽音として発せられ、
1e FET5はオンとなっていると、楽音信号発生回路1が発生した楽音信号MSとオートリズム音信号発生回路2が発生したリズム音信号RSとが接続点Cでミキシングされ、内蔵スピーカSPへ供給され、楽音として発せられ、
1f ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、FET5はオフとなり、増幅器4には楽音信号MSのみが供給され、内蔵スピーカSPからは楽音信号MSに対応した主演奏音のみが発音され、オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、ジャックJ2の第2接点S2およびプラグP2を介して、外部スピーカSP2へ供給され、外部スピーカSP2からはリズム音信号RSに対応したリズム演奏音のみが発音される、
1a 電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置。
(2)刊行物2(特開平6-250660号公報)
ア 刊行物2に記載された事項
刊行物2には、「電子楽器」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同時発音可能な楽音数の制限を緩和させる手段を備えた電子楽器に関する。」
「【0006】この鍵盤装置12は、CPU10の押鍵検出部30に接続されている。鍵盤装置12は、各鍵のオン/オフ状態を1ビットに対応させたビット列からなるデータを押鍵検出部30に送出する。
【0007】押鍵検出部30は、鍵盤装置12から送られてきたデータに基づき、押鍵又は離鍵された鍵のキーナンバ及び押鍵の速度(強さ)を示すイニシャルタッチデータを検出するものである。この押鍵検出部30で検出されたキーナンバ及びイニシャルタッチデータ(以下、「キーデータ」という)は、ローカルオン/オフ切換部31及びMIDIデータ変換部36に送られる。
【0008】MIDIデータ変換部36は、押鍵検出部30から受け取ったキーデータをMIDIフォーマットのデータ(以下、「MIDIデータ」という)にフォーマット変換するものである。このMIDIデータ変換部36で変換されたMIDIデータはMIDIインタフェース回路14に送られる。
【0009】MIDIインタフェース回路14は、入力されたMIDIデータを、MIDI規格に則ったMIDI信号に変換して出力するものである。このMIDIインタフェース回路14から出力されたMIDI信号は、MIDI出力端子OUTを介して外部に出力される。このMIDI出力端子OUTから出力されたMIDI信号は、外部装置としての例えば音源モジュールや他の電子楽器等に供給され、その外部装置で楽音信号が生成される。」
「【0013】自動演奏データ記憶部11は、自動伴奏等に用いる自動演奏データを記憶するものであり、例えばリードオンリメモリ(以下、「ROM」という)で構成されている。この自動演奏データ記憶部11は、CPU10のデータ読出部34に接続されている。
【0014】データ読出部34は、上記自動演奏スイッチ13Aの指示に応じて、上記自動演奏データ記憶部11から自動演奏データを読み出すものである。このデータ読出部34で読み出された自動演奏データは、発音チャネル割当部33に送られる。
【0015】発音チャネル割当部33は、上記押鍵検出部30からローカルオン/オフ切換部31を介して送られてきたキーデータ又は上記データ読出部34から送られてきた自動演奏データを受け取り、これらが発音を指示するデータ(以下、「ノートオンデータ」という)である場合は発音チャネルを割り当て、消音を指示するデータ(以下、「ノートオフデータ」という)である場合は発音チャネルを解放する処理を行うものである。」
「【0017】発音チャネル割当部33で発音チャネルが割り当てられると、その旨の情報と発音指示に係るキーデータ又は自動演奏データとが楽音信号発生部15に送られる。
【0018】楽音信号発生部15は、上述したように複数のオシレータを有し、発音チャネル割当部33で割り当てられたオシレータを使用してキーデータ又は自動演奏データに基づく楽音信号を生成するものである。この楽音信号発生部15で生成された楽音信号は増幅器16で所定の増幅が行われ、スピーカ17を介して放音されることになる。」
「【0022】ところが、電子楽器が有する発音チャネル数は、楽音信号発生部15が有するオシレータ数に規制されるので有限である。従って、自動演奏を行わせながら鍵盤装置12で多数の音を同時に発音させるような場合には発音チャネルが不足し、キーデータ又は自動演奏データにより発音が指示された全ての楽音を発生できないという問題を生じていた。特に、自動伴奏を伴う場合は、自動伴奏はコード音を発生する必要から多数の楽音を同時発生しなければならず、発音チャネルの不足は顕著であった。」
「【0025】本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、多数の同時発音を必要とする自動演奏を行なわせながら、多数の押鍵による同時発音をも可能にし、音楽性が損なわれることのない多彩な演奏を行うことのできる電子楽器を提供することを目的とする。」
「【0033】従って、同時発音される楽音が多い楽曲を演奏するような場合は、本電子楽器の楽音信号生成手段が有する発音チャネル数を勘案して、鍵情報又は自動演奏情報を適宜外部に出力し、外部音源を用いて楽音信号を発生させることにより、本電子楽器が有する発音チャネル数以上の楽音を同時発生させることができるので、従来のような強制的な消音により音楽性を損なうこともない。」
「【0040】(1)第1の実施例
図1は、本発明に係る電子楽器の第1の実施例の概略的な構成を示すブロック図である。以下では、図11に示した従来例と同一又は相当部分には同一符号を付して簡単な説明を加えるに止め、相違する部分を中心に説明する。」
「【0043】鍵盤装置12は、従来例で説明したものと同じである。押鍵検出部30は、鍵情報生成手段に対応するものであり、その機能は従来例で説明したものと同じである。この押鍵検出部30で検出されたキーナンバ及びイニシャルタッチデータからなる鍵情報としてのキーデータは、切換部31及び32に送られる。
【0044】操作パネル13は、本電子楽器に各種動作を指示するものであり、複数のスイッチ、表示器等により構成されている。本第1の実施例で使用する自動演奏スイッチ13A、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C、自動ローカルコントロールスイッチ13D及びノーマル切換スイッチ13Eは、この操作パネル13に搭載されている。なお、操作パネル13には、上記以外の各種スイッチ、例えば音色切換スイッチ、音量変更スイッチ、リズム変更スイッチ等が設けられているが、本発明とは直接関係しないので説明は省略する。
【0045】自動演奏スイッチ13Aは、自動演奏を開始させるスイッチであり、後述するデータ読出部34における自動演奏データの読み出し開始/停止を指示するために使用される。鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cは指示手段の一部に対応するものであり、鍵盤装置12のローカルオン/オフを指示するために使用される。即ち、後述する切換部31及び切換部32におけるキーデータの通過の許諾又は阻止を制御するために使用される。
【0046】自動ローカルコントロールスイッチ13Dは指示手段の一部に対応するものであり、自動演奏のローカルオン/オフを指示するために使用される。即ち、後述する切換部35における自動演奏データの通過の許諾又は阻止を制御するために使用される。」
「【0048】切換部31は、第1の制御手段の一部に対応するものであり、上記鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C又はノーマル切換スイッチ13Eの操作に応じて、押鍵検出部30が出力するキーデータを通過させて発音チャネル割当部33に送るか又は上記キーデータが発音チャネル割当部33に送られるのを阻止するかを切り換えるものである。
【0049】即ち、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示された場合又はノーマル切換スイッチ13Eが押下された場合は、切換部31はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータを発音チャネル割当部33に送る。一方、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合は、切換部31はスイッチが開放された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータが発音チャネル割当部33に送られるのを阻止する。
【0050】切換部32は、第2の制御手段の一部に対応するものであり、上記鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C又はノーマル切換スイッチ13Eの操作に応じて、押鍵検出部30が出力するキーデータを通過させてMIDIデータ変換部36に送るか又は上記キーデータがMIDIデータ変換部36に送られるのを阻止するかを切り換えるものである。
【0051】即ち、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合又はノーマル切換スイッチ13Eが押下された場合は、切換部32はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータをMIDIデータ変換部36に送る。一方、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示された場合は、切換部32はスイッチが開放された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータがMIDIデータ変換部36に送られるのを阻止する。」
「【0053】発音チャネル割当部33は割当手段に対応するものであり、上記押鍵検出部30から切換部31を介して送られてきたキーデータ又は上記データ読出部34から切換部35を介して送られてきた自動演奏データを受け取り、これらがノートオンデータである場合は発音チャネルを割り当て、ノートオフデータである場合は発音チャネルを解放する処理を行うものである。この発音チャネル割当部33の機能は、従来例で説明したものと同じである。
【0054】自動演奏データ記憶部11及びデータ読出部34は自動演奏情報生成手段に対応するものであり、従来例で説明したものと同じ機能を有するものである。データ読出部34で読み出された自動演奏データは、切換部35に送られる。
【0055】切換部35は、第1の制御手段及び第2の制御手段の各一部に対応するものであり、上記自動ローカルコントロールスイッチ13D又はノーマル切換スイッチ13Eの操作に応じて、データ読出部34が出力する自動演奏データを発音チャネル割当部33に送るか又はMIDIデータ変換部36に送るかを切り換えるものである。
【0056】即ち、自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合又はノーマル切換スイッチ13Eが押下された場合は、切換部35はスイッチが発音チャネル割当部33側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データは発音チャネル割当部33に送られる。一方、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで自動ローカルオフが指示された場合は、切換部35はスイッチがMIDIデータ変換部36側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データはMIDIデータ変換部36に送られる。
【0057】MIDIデータ変換部36及びMIDIインタフェース回路14は出力手段に対応するものであり、MIDIデータ変換部36は、押鍵検出部30からのキーデータを受け取る他に、データ読出部34からの自動演奏データをも受け取ることを除けば、その機能は従来例で説明したものと同じである。
「【0059】外部音源モジュール20は、入力されたMIDIデータに基づき楽音信号を生成するものであり、本電子楽器における発音チャネル割当部33及び楽音信号発生部15の両機能に相当する機能を有するものである。
【0060】この外部音源モジュール20としては、独立の音源モジュールの他に、例えば他の電子楽器の音源を使用することができる。この外部音源モジュール20で生成された楽音信号は、本電子楽器の外部入力端子INを介して増幅器16に供給されるようになっている。なお、上記外部音源モジュール20で生成された信号を独立の増幅器及びスピーカを介して放音するように構成しても良いことは勿論である。」
「
[図:0001382347000002.jpg]
」
「
[図:0001382347000003.jpg]
」
イ 刊行物2に記載された発明
刊行物2に記載されている事項について検討する。
(ア)刊行物2には、段落0002~0022に従来の技術が記載され、段落0040~0112に第1の実施例が記載されている。
段落0040の記載から、図1に示された電子楽器の第1の実施例において、図11に示された電子楽器の従来の技術と同一符号が付されている箇所については、従来の技術と同一の構成であるといえる。
したがって、第1の実施例に記載された発明を認定する際に、同一符号が付されている箇所については、段落0002~0022の従来の技術の項の記載も適宜認定する。
そこで、鍵盤装置12、MIDIインタフェース回路14、自動演奏データ記憶部11、楽音信号発生部15については、段落0002~0022の従来の技術の項の記載から認定する。
また、押鍵検出部30については段落0007及び0043、MIDIデータ変換部36については段落0008及び0057、データ読出部34については段落0014及び0054、発音チャネル割当部33については段落0015、0017及び0053の記載から認定する。
さらに、操作パネル13、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C、自動ローカルコントロールスイッチ13D、切換部31、32、35については、第1の実施例の記載から認定する。
(イ)段落0056には、自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合は、切換部35はスイッチが発音チャネル割当部33側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データは発音チャネル割当部33に送られること、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで自動ローカルオフが指示された場合は、切換部35はスイッチがMIDIデータ変換部36側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データはMIDIデータ変換部36に送られることが記載されている。
しかし、段落0055には、切換部35は、自動ローカルコントロールスイッチ13Dの操作に応じて、データ読出部34が出力する自動演奏データを発音チャネル割当部33に送るか又はMIDIデータ変換部36に送るかを切り換えるものであることが記載され、図1では、切換部35に入力される信号は、自動ローカルコントロールスイッチ13D及びノーマル切換スイッチ13Eからの信号のみであり、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cからの信号は、切換部35に入力されていないことが見てとれることから、段落0056の「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで自動ローカルオフが指示された場合」との記載は、「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合」の誤記であるといえる。
(ウ)上記(ア)、(イ)及び、上記アに摘記した刊行物2に記載された事項から、刊行物2には、以下の発明(以下、「刊行物2発明」という。)が記載されている。
なお、2a~2nは、当審で付したものであり、以下、「構成2a」~「構成2n」という。
(刊行物2発明)
2a-1 電子楽器が有する発音チャネル数は有限であり、自動演奏を行わせながら鍵盤装置12で多数の音を同時に発音させるような場合には発音チャネルが不足し、キーデータ又は自動演奏データにより発音が指示された全ての楽音を発生できないという問題を生じていたので、
2a-2 多数の同時発音を必要とする自動演奏を行なわせながら、多数の押鍵による同時発音をも可能にし、音楽性が損なわれることのない多彩な演奏を行うことのできる電子楽器を提供することを目的とするもので、
2a-3 同時発音される楽音が多い楽曲を演奏するような場合は、本電子楽器の楽音信号生成手段が有する発音チャネル数を勘案して、鍵情報又は自動演奏情報を適宜外部に出力し、外部音源を用いて楽音信号を発生させることにより、本電子楽器が有する発音チャネル数以上の楽音を同時発生させることができる
2a 電子楽器であって、
2b 鍵盤装置12は、押鍵検出部30に接続され、各鍵のオン/オフ状態を1ビットに対応させたビット列からなるデータを押鍵検出部30に送出し、
2c-1 押鍵検出部30は、鍵盤装置12から送られてきたデータに基づき、押鍵又は離鍵された鍵のキーナンバ及びイニシャルタッチデータを検出し、
2c-2 押鍵検出部30で検出されたキーナンバ及びイニシャルタッチデータ(以下、「キーデータ」という。)は、切換部31及び32に送られ、
2d-1 MIDIデータ変換部36は、押鍵検出部30からのキーデータを受け取る他に、データ読出部34からの自動演奏データをも受け取り、
2d-2 MIDIフォーマットのデータ(以下、「MIDIデータ」という)にフォーマット変換し、MIDIデータ変換部36で変換されたMIDIデータはMIDIインタフェース回路14に送られ、
2e MIDIインタフェース回路14は、入力されたMIDIデータを、MIDI規格に則ったMIDI信号に変換して出力するものであり、このMIDIインタフェース回路14から出力されたMIDI信号は、MIDI出力端子OUTを介して外部に出力され、MIDI出力端子OUTから出力されたMIDI信号は、外部装置としての音源モジュールに供給され、
2f 自動演奏データ記憶部11は、自動伴奏等に用いる自動演奏データを記憶するものであり、データ読出部34に接続され、
2g-1 データ読出部34は、上記自動演奏データ記憶部11から自動演奏データを読み出すものであり、
2g-2 データ読出部34で読み出された自動演奏データは、切換部35に送られ、
2h-1 発音チャネル割当部33は、上記押鍵検出部30から切換部31を介して送られてきたキーデータ又は上記データ読出部34から切換部35を介して送られてきた自動演奏データを受け取り、
2h-2 これらが発音を指示するデータ(以下、「ノートオンデータ」という)である場合は発音チャネルを割り当て、発音チャネル割当部33で発音チャネルが割り当てられると、その旨の情報と発音指示に係るキーデータ又は自動演奏データとが楽音信号発生部15に送られ、
2i 楽音信号発生部15は、キーデータ又は自動演奏データに基づく楽音信号を生成するものであり、楽音信号発生部15で生成された楽音信号は増幅器16で所定の増幅が行われ、スピーカ17を介して放音され、
2j 操作パネル13は、本電子楽器に各種動作を指示するものであり、複数のスイッチ、表示器等により構成され、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C、自動ローカルコントロールスイッチ13Dは、この操作パネル13に搭載されており、
2j-1 鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cは、鍵盤装置12のローカルオン/オフを指示するために使用され、切換部31及び切換部32におけるキーデータの通過の許諾又は阻止を制御するために使用され、
2j-2 自動ローカルコントロールスイッチ13Dは、自動演奏のローカルオン/オフを指示するために使用され、切換部35における自動演奏データの通過の許諾又は阻止を制御するために使用され、
2k-1 切換部31は、上記鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cの操作に応じて、押鍵検出部30が出力するキーデータを通過させて発音チャネル割当部33に送るか又は上記キーデータが発音チャネル割当部33に送られるのを阻止するかを切り換えるものであり、
2k-2 鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示された場合は、切換部31はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータを発音チャネル割当部33に送り、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合は、切換部31はスイッチが開放された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータが発音チャネル割当部33に送られるのを阻止し、
2l-1 切換部32は、上記鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cの操作に応じて、押鍵検出部30が出力するキーデータを通過させてMIDIデータ変換部36に送るか又は上記キーデータがMIDIデータ変換部36に送られるのを阻止するかを切り換えるものであり、
2l-2 鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合は、切換部32はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータをMIDIデータ変換部36に送り、鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示された場合は、切換部32はスイッチが開放された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータがMIDIデータ変換部36に送られるのを阻止し、
2m-1 切換部35は、上記自動ローカルコントロールスイッチ13Dの操作に応じて、データ読出部34が出力する自動演奏データを発音チャネル割当部33に送るか又はMIDIデータ変換部36に送るかを切り換えるものであり、
2m-2 自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合は、切換部35はスイッチが発音チャネル割当部33側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データは発音チャネル割当部33に送られ、自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合は、切換部35はスイッチがMIDIデータ変換部36側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データはMIDIデータ変換部36に送られ、
2n 外部音源モジュール20は、入力されたMIDIデータに基づき楽音信号を生成するものであり、外部音源モジュール20で生成された楽音信号は、本電子楽器の外部入力端子INを介して増幅器16に供給されるようになっているが、上記外部音源モジュール20で生成された信号を独立の増幅器及びスピーカを介して放音するように構成しても良い、
2a 電子楽器
3 当審の判断
(1)取消理由(1)について
ア 本件訂正発明1と刊行物2発明との対比
(ア)構成Aについて
構成2aの「電子楽器」は、構成Aの「電子音楽装置」に相当する。
(イ)構成Bについて
構成2a-1、2bより、「鍵盤装置12」は、ユーザが演奏することにより電子楽器が発音する音に対応するデータを発生する装置であるといえる。
そして、構成2c-2の「キーデータ」は、当該鍵盤装置12から送出される「各鍵のオン/オフ状態を1ビットに対応させたビット列からなるデータ」から検出されるので、ユーザが演奏することにより発生するデータからなる信号といえ、構成Bの「ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号」に相当する。
構成2fの「自動伴奏等に用いる自動演奏データ」は、「キーデータ」とは異なるデータであり、構成Bの「前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号」に相当する。
構成2c-1の「押鍵検出部30」は、「鍵盤装置12から送られてきたデータ」すなわち「各鍵のオン/オフ状態を1ビットに対応させたビット列からなるデータ」に基づき、「キーデータ」を検出していることから、「キーデータ」を取得しているといえ、構成2g-1の「データ読出部34」は、「自動伴奏等に用いる自動演奏データ」を取得しているといえるので、「押鍵検出部30」と「データ読出部34」とを合わせた構成は、構成Bの「音信号取得手段」に相当する。
以上より、刊行物2発明は、構成Bに相当する手段を備えるものである。
(ウ)構成Cについて
構成2iの「スピーカ17」は、増幅器16の後段に位置する構成であるといえる。そして、構成2nより、増幅器16は、外部入力端子INと接続されているので、増幅器16とスピーカ17は、電子楽器の外部ではなく、内部に位置するものといえる。
したがって、構成2iの「スピーカ17」は、構成Cの「当該電子音楽装置に内蔵する発音手段」に相当する。
また、構成2iの「楽音信号発生部15」は、電子楽器の内部に位置するスピーカ17に楽音信号を出力するものであるから、構成Cの「第1出力手段」に相当する。
以上より、刊行物2発明は、構成Cに相当する手段を備えるものである。
(エ)構成Dについて
構成2nより、刊行物2発明は、「外部音源モジュール20で生成された信号を独立の」「スピーカを介して放音する」構成を含む発明である。ここで、「外部音源モジュール20」は電子楽器の外部に存在するものであるから、当該「独立のスピーカ」についても、電子楽器の外部に存在することは明らかである。
したがって、構成2nの「独立のスピーカ」は、構成Dの「当該電子音楽装置の外部にある発音手段」に相当する。
また、構成2e、2nより「MIDIインタフェース回路14から出力されたMIDI信号は、MIDI出力端子OUTを介して外部に出力され、MIDI出力端子OUTから出力されたMIDI信号は、外部装置としての音源モジュールに供給され、」「外部音源モジュール20は、入力されたMIDIデータに基づき楽音信号を生成するものであり、」「外部音源モジュール20で生成された信号を独立の」「スピーカを介して放音するように構成」されることから、「MIDIインタフェース回路14」は、独立のスピーカにMIDI信号を出力するものであり、「楽音信号発生部15」と異なる構成であるから、構成Dの「前記第1出力手段と異なる第2出力手段」に相当する。
以上より、刊行物2発明は、構成Dに相当する手段を備えるものである。
(オ)構成E11について
構成2c-2、2k-2、2h-1、2h-2より、刊行物2発明は、「押鍵検出部30で検出された」「キーデータ」「は、切換部31及び32に送られ、」「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示された場合は、切換部31はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータを発音チャネル割当部33に送り、」「発音チャネル割当部33は、上記押鍵検出部30から切換部31を介して送られてきたキーデータ」「を受け取り、」「楽音信号発生部15に送られ」る構成を含むものである。
また、構成2g-2、2m-2、2d-2より、刊行物2発明は、「データ読出部34で読み出された自動演奏データは、切換部35に送られ、」「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合は、切換部35はスイッチがMIDIデータ変換部36側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データはMIDIデータ変換部36に送られ、」「MIDIデータ変換部36で変換されたMIDIデータはMIDIインタフェース回路14に送られ」る構成を含むものである。
したがって、刊行物2発明は、「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する制御を実行可能である。
ここで、上記b~dで検討したように、刊行物2発明の「キーデータ」、「自動演奏データ」、「楽音信号発生部15」、「MIDIインタフェース回路14」は、それぞれ、構成E11の「第1音信号」、「第2音信号」、「第1出力手段」、「第2出力手段」に相当する。
以上より、刊行物2発明は、構成E11に相当する制御を行うものである。
(カ)構成E12について
構成2g-2、2m―2、2h-1、2h-2より、刊行物2発明は、「データ読出部34で読み出された自動演奏データは、切換部35に送られ、」「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合は、切換部35はスイッチが発音チャネル割当部33側に接続された場合と同様に作用し、データ読出部34で読み出された自動演奏データは発音チャネル割当部33に送られ、」「発音チャネル割当部33は、」「上記データ読出部34から切換部35を介して送られてきた自動演奏データを受け取り、」「楽音信号発生部15に送られ」る構成を含むものである。
また、構成2c-2、2l-2、2d-2より、刊行物2発明は、「押鍵検出部30で検出された」「キーデータ」「は、切換部31及び32に送られ、」「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合は、切換部32はスイッチが閉成された場合と同様に作用し、押鍵検出部30が出力するキーデータをMIDIデータ変換部36に送り、」「MIDIデータ変換部36で変換されたMIDIデータはMIDIインタフェース回路14に送られ」る構成を含むものである。
したがって、刊行物2発明は、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する制御を実行可能である。
ここで、上記(イ)~(エ)で検討したように、刊行物2発明の「キーデータ」、「自動演奏データ」、「楽音信号発生部15」、「MIDIインタフェース回路14」は、それぞれ、構成E12の「第1音信号」、「第2音信号」、「第1出力手段」、「第2出力手段」に相当する。
以上より、刊行物2発明は、構成E12に相当する制御を行うものである。
(キ)構成E1について
上記(オ)及び(カ)の検討より、刊行物2発明は、「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合」と、「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示され」かつ「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合」とでは、異なる制御を選択的に実行可能とするものである。
したがって、刊行物2発明は、構成E1に相当する構成を有しているものである。
(ク)構成E2について
構成2k-1~2m-2より、刊行物2発明は、電子楽器を使用するユーザにより
「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合」に、「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、
「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合」に、「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示された場合」に、「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合」に、「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること
のいずれかが選択可能であり、いずれかの制御を行うものである。
上記(オ)及び(カ)の検討より、刊行物2発明の、
「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、及び、
「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給することは、
それぞれ、構成E2の「第1のモード」及び「第2のモード」に相当する。
そうすると、刊行物2発明と構成E2は、複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う点で共通する。
しかし、複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明1は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物2発明は、第1のモード及び第2のモードに相当する
「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、及び、
「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給することだけでなく、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給することも含み、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点で相違する。
(ケ)構成Eについて
上記(オ)~(ク)の検討より、刊行物2発明は、「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C」及び「自動ローカルコントロールスイッチ13D」で指示を行うことにより、「キーデータ」もしくは「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」(第1出力手段に相当)もしくは「MIDIインタフェース回路14」(第2出力手段に相当)へ供給するという制御を実行可能であるから、出力を制御する手段を備えるものといえる。
したがって、刊行物2発明は、構成Eに相当する構成を有しているものである。
イ 一致点、相違点
上記アより、本件訂正発明1と刊行物2発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
A 電子音楽装置であって、
B ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手段と、
C 当該電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段と、
D 当該電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段と、
E11 前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
E12 前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを
E1 選択的に実行可能であり、
E2’ 複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う
E 出力制御手段とを備えることを特徴とする
A 電子音楽装置。
(相違点1)
複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明1は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物2発明は、第1のモード及び第2のモードに相当する
「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、及び、
「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給することだけでなく、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給することも含み、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点。
ウ 検討
上記イより、本件訂正発明1と刊行物2発明は、相違点1を有するものであるから、本件訂正発明1は、刊行物2に記載された発明でない。
(2)取消理由(2)について
ア 本件訂正発明2と刊行物2発明との対比
(ア)本件訂正発明1の引用箇所について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用しており、当該引用箇所の対比は、上記(1)アと同様である。
(イ)構成F、構成Gについて
刊行物2発明は、構成F、構成Gに相当する構成を有するものではない。
イ 一致点、相違点
したがって、本件訂正発明2と刊行物2発明は、上記(1)イで記載した相違点1に加えて、以下の相違点2で相違する。
(相違点2)
本件訂正発明2は、「前記第2出力手段に、該第2出力手段が出力する音信号に従った発音を行う発音手段が接続されているか否かを判定する判定手段を備え、前記出力制御手段は、前記判定手段が、前記発音手段が接続されていないと判定した場合に、前記第1音信号と前記第2音信号との双方を前記第1出力手段へ供給することを特徴とする」構成であるのに対し、刊行物2発明は、そのような構成を有するものではない点。
ウ 検討
事案に鑑みて、上記相違点のうち相違点1について検討する。
刊行物2発明は、構成2a-1~2a-3のように、電子楽器が有する発音チャネル数は有限であり、自動演奏を行わせながら鍵盤装置12で多数の音を同時に発音させるような場合には発音チャネルが不足し、キーデータ又は自動演奏データにより発音が指示された全ての楽音を発生できないという問題を生じていたので、多数の同時発音を必要とする自動演奏を行なわせながら、多数の押鍵による同時発音をも可能にし、音楽性が損なわれることのない多彩な演奏を行うことのできる電子楽器を提供することを目的とするもので、同時発音される楽音が多い楽曲を演奏するような場合は、本電子楽器の楽音信号生成手段が有する発音チャネル数を勘案して、鍵情報又は自動演奏情報を適宜外部に出力し、外部音源を用いて楽音信号を発生させることにより、本電子楽器が有する発音チャネル数以上の楽音を同時発生させることができる電子楽器である。
すなわち、刊行物2発明は、同時発音される楽音が少ない楽曲を演奏する場合に、MIDIインタフェース回路14へ供給することなく、キーデータ及び自動演奏データの両方を楽音信号発生部15へ供給するように制御する構成が前提であり、同時発音される楽音が多い楽曲を演奏する場合に、発音チャネル数が不足するので、キーデータ及び自動演奏データのいずれかをMIDIインタフェース回路14、楽音信号発生部15へ供給、もしくは、両方をMIDIインタフェース回路14へ供給するものである。
したがって、刊行物2発明は、キーデータ及び自動演奏データの両方を楽音信号発生部15へ供給する構成、キーデータ及び自動演奏データの両方をMIDIインタフェース回路14へ供給する構成も課題を解決するための必須の構成であり、刊行物2発明において、キーデータ及び自動演奏データの両方を楽音信号発生部15へ供給する構成、キーデータ及び自動演奏データの両方をMIDIインタフェース回路14へ供給する構成を含まずに、「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する構成、及び、「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給する構成のみとし、一方を選択し、一方の制御を行うような構成に変更する動機付けがない。
よって、刊行物2発明を、相違点1に係る本件訂正発明2の構成にすることは、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。
また、刊行物1発明も、相違点1に係る本件訂正発明2の構成を有しておらず、当該構成は、当業者であっても刊行物1発明から容易に想到し得るものとはいえない。
以上のように、相違点1に係る本件訂正発明2の構成は、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者であっても、刊行物2発明、刊行物1発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(3)取消理由(3)について
ア 本件訂正発明3と刊行物2発明との対比
(ア)構成H、構成Kについて
刊行物2発明は、電子楽器に関する発明であり、コンピュータに実行させるためのプログラムに関する発明ではなく、構成H、構成Kに相当する構成を有するものではない。
(イ)構成Iについて
上記(1)ア(イ)の検討を援用するに、構成2c-2の「キーデータ」は、構成Iの「ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号」に相当する。
構成2fの「自動伴奏等に用いる自動演奏データ」は、構成Iの「前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号」に相当する。
構成2c-1の「押鍵検出部30」と構成2g-1の「データ読出部34」とは、それぞれ、「キーデータ」と「自動伴奏等に用いる自動演奏データ」とを取得する手順を実行するものといえるので、「押鍵検出部30」と「データ読出部34」とを合わせた構成は、構成Iの「音信号取得手順」を実行するものである。
以上より、刊行物2発明は、構成Iに相当する手順を実行するものである。
(ウ)構成J11について
上記(1)ア(ウ)~(オ)の検討を援用するに、構成2iの「スピーカ17」は、構成J11の「電子音楽装置に内蔵する発音手段」に相当する。
構成2iの「楽音信号発生部15」は、構成J11の「第1出力手段」に相当する。
構成2nの「独立のスピーカ」は、構成J11の「前記電子音楽装置の外部にある発音手段」に相当する。
構成2e、2nより、「MIDIインタフェース回路14」は、構成J11の「前記第1出力手段と異なる第2出力手段」に相当する。
刊行物2発明は、「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する制御を実行するものであるから、刊行物2発明は構成J11に相当する制御を実行するものである。
(エ)構成J12について
上記(1)ア(カ)の検討を援用するに、刊行物2発明は、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する制御を実行するものであるから、刊行物2発明は構成J12に相当する制御を実行するものである。
(オ)構成J1について
上記(1)ア(キ)の検討を援用するに、刊行物2発明は、「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオンが指示され」かつ「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオフが指示された場合」と、「自動ローカルコントロールスイッチ13Dで自動ローカルオンが指示され」かつ「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13Cで鍵盤ローカルオフが指示された場合」とでは、異なる制御を選択的に実行するものである。
したがって、刊行物2発明は、構成J1に相当する構成を有しているものである。
(カ)構成J2について
上記(1)ア(ク)の検討を援用するに、刊行物2発明と構成J2は、複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う点で共通する。
しかし、複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明3は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物2発明は、第1のモード及び第2のモードに相当する
「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、及び、
「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給することだけでなく、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給することも含み、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点で相違する。
(キ)構成Jについて
上記(ウ)~(オ)の検討より、刊行物2発明は、「鍵盤ローカルコントロールスイッチ13C」及び「自動ローカルコントロールスイッチ13D」で指示を行うことにより、「キーデータ」もしくは「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」(第1出力手段に相当)もしくは「MIDIインタフェース回路14」(第2出力手段に相当)へ供給するという制御を行うものであるから、出力を制御する手順を実行するものといえる。
したがって、刊行物2発明は、構成Jに相当する構成を有しているものである。
イ 一致点、相違点
上記アより、本件訂正発明3と文献2発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
I ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手順と、
J11 前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
J12 前記音信号取得手段で取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御とを
J1 選択的に実行し、
J2’ 複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う
J 出力制御手順とを
実行する構成。
(相違点3)
本件訂正発明3が、「コンピュータに」「実行させるためのプログラム」に関する発明であるのに対し、刊行物2発明は、電子楽器に関する発明である点。
(相違点4)
複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明3は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物2発明は、第1のモード及び第2のモードに相当する
「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給すること、及び、
「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給することだけでなく、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給すること、
「キーデータ」及び「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給することも含み、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点。
ウ 検討
事案に鑑みて、上記相違点のうち相違点4について検討する。
上記(2)ウの検討と同様に、刊行物2発明において、キーデータ及び自動演奏データの両方を楽音信号発生部15へ供給する構成、キーデータ及び自動演奏データの両方をMIDIインタフェース回路14へ供給する構成を含まないようにし、「キーデータ」を「楽音信号発生部15」へ供給し、「自動演奏データ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給する構成、及び、「キーデータ」を「MIDIインタフェース回路14」へ供給し、「自動演奏データ」を「楽音信号発生部15」へ供給する構成とし、一方を選択し、一方の制御を行うような構成に変更する動機付けがない。
よって、刊行物2発明を、相違点4に係る本件訂正発明3の構成にすることは、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。
以上のように、相違点4に係る本件訂正発明3の構成は、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、当業者であっても、刊行物2発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(4)まとめ
上記(1)~(3)より、取消理由通知(決定の予告)で採用した取消理由を認めることはできない。
第5 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立書における、請求項1~3に係る特許(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明3」という。)に対しての特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。(以下、「異議申立理由(1)」~「異議申立理由(12)」という。)
なお、特許異議申立書の「第3 申立ての理由」「4 具体的理由」「(2) 証拠の説明」「ア 甲第1号証」では、「甲第1号証(実開昭63-124291号公報)」と記載している。
しかし、甲第1号証の写しとして、実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行)の写しが特許異議申立書に添付されていることから、実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行)を証拠として提出したものと判断し、以下では、実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行)を刊行物1、特開平6-250660号公報(甲第2号証)を刊行物2として検討を行う。
(1)本件特許発明1は、刊行物1に記載された発明である。
(2)本件特許発明1は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)本件特許発明1は、刊行物2に記載された発明である。
(4)本件特許発明1は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)本件特許発明2は、刊行物1に記載された発明である。
(6)本件特許発明2は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7)本件特許発明2は、刊行物2に記載された発明、刊行物1に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8)本件特許発明2は、刊行物2に記載された発明、周知の技術(所定の機器が接続されているかを判定する判定手段を備え、このような判定手段の判定結果に従って機器を制御すること)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9)本件特許発明3は、刊行物1に記載された発明である。
(10)本件特許発明3は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(11)本件特許発明3は、刊行物2に記載された発明である。
(12)本件特許発明3は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
刊行物1:実願昭62-16248号(実開昭63-124291号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年8月12日特許庁発行)
刊行物2:特開平6-250660号公報
2 各刊行物について
刊行物1、刊行物2の記載事項及び刊行物1、刊行物2に記載された発明については、上記第4の2に記載したとおりである。
3 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
上記1における本件訂正発明1に係る異議申立理由(1)~(4)のうち、(3)については、取消理由通知(決定の予告)で採用(上記第4の1の取消理由(1))しており、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は、(1)、(2)、(4)であるので、これらについて以下で検討する。
(1-1)特許異議申立理由(1)、(2)について
ア 本件訂正発明1と刊行物1発明との対比
(ア)構成Aについて
構成1aの「電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置」は、構成Aの「電子音楽装置」に相当する。
(イ)構成Bについて
構成1bの「鍵盤(キーボード)3の操作に対応した楽音信号(主楽音信号)MS」は、構成Bの「ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号」に相当し、構成1cの「リズム音信号(従楽音信号)RS」は、オートリズム音信号発生回路から発生される信号であるから、自動的に演奏される信号であるといえ、構成Bの「前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号」に相当する。
構成1dより「楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MS」は「増幅器4の入力端」に供給され、「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RS」は、「増幅器4の入力端」及び「外部出力用ジャック(外部出力端子)J2の第2接点S2」に供給されるものであるから、刊行物1発明は、「楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MS」や「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RS」を取得する手段を有しているといえる。
以上より、刊行物1発明は、構成Bに相当する手段を備えるものである。
(ウ)構成Cについて
構成1dの「内蔵スピーカSP」は、構成Cの「当該電子音楽装置に内蔵する発音手段」に相当する。
構成1dより、「増幅器4から出力された楽音信号は、外部出力用ジャックJ1の付属スイッチSW1を介して内蔵スピーカSPへ供給」されるものであるから、刊行物1発明は、内蔵スピーカSPへ楽音信号を出力する手段を有するといえ、構成Cの「第1出力手段」に相当する手段を備えるものである。
以上より、刊行物1発明は、構成Cに相当する手段を備えるものである。
(エ)構成Dについて
構成1fの「外部スピーカSP2」は、構成Dの「当該電子音楽装置の外部にある発音手段」に相当する。
構成1fより、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、」「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、外部スピーカSP2へ供給」されるものであるから、刊行物1発明は、外部スピーカSP2へリズム音信号を出力する手段を有するといえ、構成Dの「前記第1出力手段と異なる第2出力手段」に相当する手段を備えるものである。
以上より、刊行物1発明は、構成Dに相当する手段を備えるものである。
(オ)構成E11について
構成1fより、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、」「内蔵スピーカSPからは楽音信号MSに対応した主演奏音のみが発音され、」「外部スピーカSP2からはリズム音信号RSに対応したリズム演奏音のみが発音される」ので、刊行物1発明は、構成E11の「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御」に相当する制御を行うものである。
(カ)構成E12について
構成1d~1fより、刊行物1発明は、本件訂正発明1の「第1モードの制御」に相当する構成以外に、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御(ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれて、ジャックJ1に接続プラグP1が差し込まれる場合)、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御(ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれず、ジャックJ1に接続プラグP1が差し込まれる場合)、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御(ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれず、ジャックJ1に接続プラグP1が差し込まれない場合)が含まれており、構成E12とは『第1モードとは異なるモードの制御』である点で共通する。
しかし、第1モードとは異なるモードの制御に関して、本件訂正発明1は、「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御」であるのに対し、刊行物1発明は、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御である点で相違する。
(キ)構成E1、E2、Eについて
上記(オ)及び(カ)の検討より、刊行物1発明は、内蔵スピーカSPからは主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からはリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御という異なる制御を選択的に実行可能であるといえ、また、それぞれの制御は、構成1d及び1fより、ユーザが、「外部出力用ジャックJ1に、接続プラグP1が差し込まれる」という行為、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれる」という行為を行うことにより成されるものである。
そうすると、刊行物1発明と構成E1、E2、Eとは、選択的に実行可能であり、複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う出力制御手段とを備えることを特徴とする点で共通する。
しかし、複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明1は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物1発明は、第1のモードの制御に相当する内蔵スピーカSPからは主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からはリズム演奏音のみが発音される制御は含むものであるが、第1のモードとは異なるモードの制御は、第2のモードでなく、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御であり、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点で相違する。
イ 一致点、相違点
上記アより、本件訂正発明1と刊行物1発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
A 電子音楽装置であって、
B ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手段と、
C 当該電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段と、
D 当該電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段と、
E11 前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第1音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を前記第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
E12’ 第1モードとは異なるモードの制御とを
E1 選択的に実行可能であり、
E2’ 複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う
E 出力制御手段とを備えることを特徴とする
A 電子音楽装置。
(相違点5)
第1モードとは異なるモードの制御に関して、本件訂正発明1は、「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御」であるのに対し、刊行物1発明は、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御である点。
(相違点6)
複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明1は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物1発明は、第1のモードの制御に相当する内蔵スピーカSPからは主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からはリズム演奏音のみが発音される制御は含むものであるが、第1のモードとは異なるモードの制御は、第2のモードでなく、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御であり、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点。
ウ 検討
(ア)特許異議申立理由(1)について
上記イより、本件訂正発明1と刊行物1発明は、相違点5、6を有するものであるから、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明でない。
(イ)特許異議申立理由(2)について
相違点5、6をまとめて検討する。
構成1d~1fより、刊行物1発明において、内蔵スピーカSPからリズム演奏音が発音される場合には、主演奏音とリズム演奏音がミキシングされていることが前提となるものである。
よって、前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御を実行可能に構成することができず、また、想定することもできない。
以上より、本件訂正発明1は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(1-2)特許異議申立理由(4)について
ア 本件訂正発明1と刊行物2発明との対比、一致点、相違点
本件訂正発明1と刊行物2発明との対比、一致点、相違点は、上記3(1)ア、イのとおりである。
イ 検討
相違点1についての検討は、上記3(2)ウと同様であり、相違点1に係る本件訂正発明1の構成は、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、本件訂正発明1は、刊行物2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明2について
上記1における本件訂正発明2に係る異議申立理由(5)~(8)のうち、(7)については、取消理由通知(決定の予告)で採用(上記第4の1の取消理由(2))しており、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は、(5)、(6)、(8)であるので、これらについて以下で検討する。
(2-1)特許異議申立理由(5)、(6)について
ア 本件訂正発明2と刊行物1発明との対比
(ア)本件訂正発明1の引用箇所について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用しており、当該引用箇所の対比は、上記(1)(1-1)アと同様である。
(イ)構成Fについて
上記(1)(1-1)ア(エ)の検討を援用するに、構成1fより、刊行物1発明は、構成Fの「前記第2出力手段」に相当する手段を備えるものである。
そして、構成1fは、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、」「リズム音信号RSは、ジャックJ2の第2接点S2およびプラグP2を介して、外部スピーカSP2へ供給され、外部スピーカSP2からはリズム音信号RSに対応したリズム演奏音のみが発音される」ことから、構成1fの「外部スピーカSP2」は、ジャックJ2が出力するリズム音信号RSに対応したリズム演奏音が発音されるものといえ、構成Fの「該第2出力手段が出力する音信号に従った発音を行う発音手段」に相当する。
また、構成1fは、「プラグP2を介して、外部スピーカSP2へ供給」され る構成であることから、接続プラグP2は、外部スピーカSP2に接続されているものである。
そして、構成1fでは、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、」「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RSは、」「外部スピーカSP2へ供給」される構成であるから、ジャックJ2に、接続プラグP2、すなわち、その先に接続されている外部スピーカSP2が接続されているか否かを判定する手段を備えるものといえるので、刊行物1発明は、構成Fの「判定手段」に相当する手段を備えるものである。
(ウ)構成Gについて
構成1eは、「FET5はオンとなっていると、楽音信号発生回路1が発生した楽音信号MSとオートリズム音信号発生回路2が発生したリズム音信号RSとが接続点Cでミキシングされ、内蔵スピーカSPへ供給され、楽音として発せられ」るものであり、構成1fより「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、FET5はオフ」となることから、構成1eは、ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれていない場合であるといえる。
そうすると、刊行物1発明は、構成Gの「前記出力制御手段は、前記判定手段が、前記発音手段が接続されていないと判定した場合に、前記第1音信号と前記第2音信号との双方を前記第1出力手段へ供給する」構成に相当する構成を有しているものである。
イ 一致点、相違点
したがって、本件訂正発明2と刊行物1発明は、上記(1)(1-1)イで記載した相違点5、6で相違する。
ウ 検討
(ア)特許異議申立理由(5)について
上記イより、本件訂正発明2と刊行物1発明は、相違点5、6を有するものであるから、本件訂正発明2は、刊行物1に記載された発明でない。
(イ)特許異議申立理由(6)について
上記(1)(1-1)ウ(イ)の検討と同様であり、本件訂正発明2は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(2-2)特許異議申立理由(8)について
ア 本件訂正発明2と刊行物2発明との対比、一致点、相違点
本件訂正発明2と刊行物2発明との対比、一致点、相違点は、上記第4の3(2)ア、イのとおりである。
イ 検討
事案に鑑みて、上記相違点のうち相違点1について検討する。
相違点1についての検討は、上記第4の3(2)ウと同様である。
また、所定の機器が接続されているかを判定する判定手段を備え、このような判定手段の判定結果に従って機器を制御することが周知の技術であるとしても、当該周知の技術は、相違点1に係る本件訂正発明2の構成を有しておらず、当該構成は、当業者であっても周知の技術から容易に想到し得るものとはいえない。
以上のように、相違点1に係る本件訂正発明2の構成は、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、当業者であっても、刊行物2発明、周知の技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(3)本件訂正発明3について
上記1における本件訂正発明3に係る異議申立理由(9)~(12)のうち、(12)については、取消理由通知(決定の予告)で採用(上記第4の1の取消理由(3))しており、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は、(9)~(11)であるので、これらについて以下で検討する。
(3-1)特許異議申立理由(9)、(10)について
ア 本件訂正発明3と刊行物1発明との対比
(ア)構成H、構成Kについて
刊行物1発明は、電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置に関する発明であり、コンピュータに実行させるためのプログラムに関する発明ではなく、構成H、構成Kに相当する構成を有するものではない。
(イ)構成Iについて
上記(1)(1-1)ア(イ)の検討を援用するに、構成1bの「鍵盤(キーボード)3の操作に対応した楽音信号(主楽音信号)MS」は、構成Iの「ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号」に相当し、構成1cの「リズム音信号(従楽音信号)RS」は、構成Iの「前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号」に相当する。
構成1dより「楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MS」は「増幅器4の入力端」に供給され、「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RS」は、「増幅器4の入力端」及び「外部出力用ジャック(外部出力端子)J2の第2接点S2」に供給されるものであるから、刊行物1発明は、「楽音信号発生回路1から出力された楽音信号MS」や「オートリズム音信号発生回路2から出力されたリズム音信号RS」を取得する手順を有しているといえる。
以上より、刊行物1発明は、構成Iに相当する手順を実行するものである。
(ウ)構成J11について
上記(1)(1-1)ア(ウ)~(オ)の検討を援用するに、構成1dの「内蔵スピーカSP」は、構成J11の「電子音楽装置に内蔵する発音手段」に相当する。
刊行物1発明は、構成J11の「第1出力手段」に相当する手段を備えるものである。
構成1fの「外部スピーカSP2」は、構成J11の「電子音楽装置の外部にある発音手段」に相当する。
刊行物1発明は、構成Dの「前記第1出力手段と異なる第2出力手段」に相当する手段を備えるものである。
刊行物1発明は、「ジャックJ2に接続プラグP2が差し込まれると、」「内蔵スピーカSPからは楽音信号MSに対応した主演奏音のみが発音され、」「外部スピーカSP2からはリズム音信号RSに対応したリズム演奏音のみが発音される」ので、構成J11に相当する制御を実行するものである。
(エ)構成J12について
上記(1)(1-1)ア(カ)の検討を援用するに、構成1d~1fより、刊行物1発明と構成J12とは『第1モードとは異なるモードの制御』である点で共通する。
しかし、第1モードとは異なるモードの制御に関して、本件訂正発明3は、「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御」であるのに対し、刊行物1発明は、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御である点で相違する。
(オ)構成J1、J2、Jについて
上記(1)(1-1)ア(キ)の検討を援用するに、刊行物1発明と構成J1、J2、Jとは、選択的に実行し、複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う出力制御手順である点で共通する。
しかし、複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明3は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物1発明は、第1のモードの制御に相当する内蔵スピーカSPからは主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からはリズム演奏音のみが発音される制御は含むものであるが、第1のモードとは異なるモードの制御は、第2のモードでなく、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御であり、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点で相違する。
イ 一致点、相違点
上記アより、本件訂正発明3と刊行物1発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
I ユーザの演奏に応じて生成された第1音信号と、前記第1音信号と異なる、自動演奏又は楽音データの再生による第2音信号とを取得する音信号取得手順と、
J11 前記音信号取得手順で取得した音信号のうち、前記第1音信号を、電子音楽装置に内蔵する発音手段へ音信号を出力する第1出力手段へ供給し、前記第2音信号を、前記電子音楽装置の外部にある発音手段へ音信号を出力する、前記第1出力手段と異なる第2出力手段へ供給する第1モードの制御と、
J12’第1モードとは異なるモードの制御とを
J1 選択的に実行し、
J2 複数のモードからいずれかを選択する設定をユーザから受け付け、前記複数のモードのうちユーザが行った前記設定に従ったいずれかの制御を行う
J 出力制御手順とを
実行させる構成。
(相違点7)
本件訂正発明3が、「コンピュータに」「実行させるためのプログラム」に関
する発明であるのに対し、刊行物1発明は、電子楽器や自動演奏装置等の演奏装置に関する発明である点。
(相違点8)
第1モードとは異なるモードの制御に関して、本件訂正発明3は、「前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御」であるのに対し、刊行物1発明は、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御である点。
(相違点9)
複数のモードからいずれかを選択すること、複数のモードのうちいずれかの制御を行うことに関して、本件訂正発明3は、第1のモードと第2のモードから一方を選択し、前記第1のモードと第2のモードとのうち一方の制御を行うのに対し、刊行物1発明は、第1のモードの制御に相当する内蔵スピーカSPからは主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からはリズム演奏音のみが発音される制御は含むものであるが、第1のモードとは異なるモードの制御は、第2のモードでなく、外部スピーカSP1から主演奏音のみが発音され、外部スピーカSP2からリズム演奏音のみが発音される制御、外部スピーカSP1から主演奏音もリズム演奏音も発音される制御、内蔵スピーカSPから主演奏音もリズム演奏音も発音される制御であり、それらからいずれかを選択し、いずれかの制御を行う点。
ウ 検討
(ア)特許異議申立理由(9)について
上記イより、本件訂正発明3と刊行物1発明は、相違点7~9を有するものであるから、本件訂正発明3は、刊行物1に記載された発明でない。
(イ)特許異議申立理由(10)について
相違点8、9をまとめて検討する。
上記(1)(1-1)ウ(イ)の検討と同様に、構成1d~1fより、刊行物1発明において、内蔵スピーカSPからリズム演奏音が発音される場合には、主演奏音とリズム演奏音がミキシングされていることが前提となるものである。
よって、前記音信号取得手段が取得した音信号のうち、前記第2音信号を前記第1出力手段へ供給し、前記第1音信号を前記第2出力手段へ供給する第2モードの制御を実行可能に構成することができず、また、想定することもできない。
以上より、本件訂正発明3は、刊行物1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
(3-2)特許異議申立理由(11)について
ア 本件訂正発明3と刊行物2発明との対比、一致点、相違点について
本件訂正発明3と刊行物2発明との対比、一致点、相違点は、上記第4の3(3)ア、イのとおりである。
イ 検討
上記第4の3(3)イより、本件訂正発明3と刊行物2発明は、相違点3、4を有するものであるから、本件訂正発明3は、刊行物2に記載された発明でない。
(4)まとめ
上記(1)~(3)より、特許異議申立理由を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2020-700504