2020-300873
ガヤ、ガヤス
- 審判番号
- 2020-300873
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2003-045033外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 4787988
- 請求日
- 2020年12月01日
- 審決日
- 2022年02月15日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社 マツダインターナショナル
- 【請求人代理人】工藤 一郎
- 【被請求人】ショコラトゥリ・ドゥ・ロペラ
- 【被請求人代理人】中村 仁
- 【被請求人代理人】土生 真之
- 分類
- T132 .1 -Y (Y30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 標準文字
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 本件商標
本件登録第4787988号商標(以下「本件商標」という。)は,「GAYAS ガヤ」の文字を標準文字で表してなり,平成15年6月2日に登録出願,第29類「ココア油脂」及び第30類「製菓および製パン用チョコレート,チョコレート菓子,ココア,ココア豆・ココアペーストリー・ココア粉・乾燥ココア・カカオ脂およびこれらの混合物からなる粉末状ココア」を指定商品として,同16年6月23日に登録査定,同年7月16日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和2年12月14日である。
以下,本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成29年(2017年)12月14日ないし令和2年(2020年)12月13日)を「要証期間」という。
第2 請求人の主張
折りたたみ中(クリックで表示)
請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の指定商品中,第30類「全指定商品」についての商標登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第30類「全指定商品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書及び回答書(令和3年8月24日付け。以下同じ。)に対して,何ら弁駁するところがない。
第3 被請求人の答弁
折りたたみ中(クリックで表示)
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,審判事件答弁書及び回答書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第57号証を提出した。
1 被請求人の日本国内における事業について
被請求人である本件商標権者(「ショコラトゥリ・ドゥ・ロペラ」。以下「オペラ社」ということがある。)は,フランスにおいて1936年に設立されたチョコレート工場を母体として1995年に設立された製菓用のクーベルチュールチョコレート(ケーキなどの製菓の仕上げに使われる脂肪分の高いチョコレート)を主力事業とする企業であり,本国フランスから日本を含めた海外28か国に進出して事業を行っている。本件商標は,被請求人が発行する英文パンフレット(乙2)11頁及び同社ウェブサイト(乙5)に掲載されているとおり,オペラ社が製造・販売する製菓用チョコレートの名称である。なお,「ダーククーベルチュールチョコレート」は,カカオ分を70%又は62%とするものの二種類があり(乙27),「GAYAS 70%」との記載のうち「70%」とは,カカオの含有量を示すものである。
日本国内において譲渡されている商品は,日本語で記載されたラベル中の「名称」に記載のとおり「チョコレート(製菓用)」であり(乙24),本件商標の指定商品,第30類「製菓用チョコレート」に該当する。また,商品ラベルの中央上部には商品名として大きく「GAYAS」の文字が表示され,日本語ラベルの枠上にも「ガヤス」の文字が記載されている。本件商標の英字部分は標準文字で「GAYAS」であり,商品ラベル中の記載とスペルを同じとするものであり,また,「ガヤス」は「GAYAS」を片仮名書きしたものであり,社会通念上同一の商標である。
日本国内においては,2001年より現在も継続して,本件商標と社会通念上同一の商標である「GAYAS」又は「ガヤス」を商品名とする製菓用チョコレートは,オペラ社と独占販売契約を締結した以下(1)及び(3)の企業により,又は被請求人の子会社である(2)の企業により日本にフランスより輸入され(乙25),(1)ないし(3)の企業により日本語のラベル(乙26)が付され,乙第24号証に示した商品として販売されているものであり,これは商標法第2条第3項第2号に該当する行為に該当するものである。
(1)森永商事株式会社(神奈川県横浜市。以下「森永商事」という。)
森永商事は,2001年から2018年までオペラ社と独占販売契約を締結し,オペラ社より製菓用チョコレートである「GAYAS」を輸入し,日本国内での販売事業を行っていた。本件商標については,オペラ社から書面での使用許諾はないものの,オペラ社の指示の下,森永商事にて独自に作成する日本語ラベルを製菓用チョコレート「GAYAS」の包装袋に貼付け,国内において流通させていた。また,販売促進活動に必要となる宣伝広告物は,オペラ社の事前許諾なく自由に作成することを許可されており,同商標を日本国内で使用していた。本件商標が森永商事によって実際に使用された事実を示す広告,取引書類を以下に挙げる。
ア shipping instruction及びインボイス
製菓用チョコレート「GAYAS」4500Kgが,森永商事からオペラ社宛ての平成30年(2018年)6月8日付けShipping Instructionで発注され,これを受けて同月11日付けインボイスにて納品されている(乙10)。両者には「F0-179」といった共通のレファレンス番号が表示され,数量も一致していることから,通常使用権者である森永商事によるオペラ社からの当該製品の輸入に係る一連の取引の流れを示すものであり,商標法第2条第3項第2号に規定される「使用」に該当する行為である。
イ 広告用パンフレット
広告用パンフレット(乙27)において,「ガヤス」が製菓用チョコレートの名称として記載されており,表紙に記載のとおり,2016年から2017年にわたり頒布されたものであり,これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当する。
ウ 広告書類
森永商事が広告として頒布するデザートのレシピに中に「ガヤス」がチョコレートの名称として記載されている(乙28)が,原材料をいかに配合するかにより当該製品の特長を生かすことができるかを示すことにより,当該製品の購買意欲を高めることにつながるから,レシピの頒布も商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告を頒布する行為に該当する。
エ パンフレット
製菓用チョコレート「GAYAS」の広告用に使用したパンフレット(乙29)中,製品の包装袋の写真には「GAYAS」が記載され,写真下部の説明書中には片仮名書きした「ガヤス」がチョコレートの名称として記載されている。このパンフレットを,顧客などに頒布して営業活動を行っていた。これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当する。
オ 2018年度売上リスト
森永製菓による製菓用チョコレート「GAYAS」を含む2018年の国内における売上の控え(乙30)には,北海道や東海,北陸など地域ごとに「GAYAS」の販売数量が示されている。これにより,チョコレートの包装用袋に本件商標「GAYAS」が付されたものが通常使用権者により譲渡されたことが明らかであり,商標法第2条第3項第2号に該当する行為である。
カ 証明書
本件商標について日本国内における自由な使用が認められていた旨,さらに上記に挙げる使用の事実に相違ない旨の森永商事担当者による証明書(乙31)を提出する。なお,同証明書内の添付書類1は乙第10号証,添付書類2は乙第29号証,添付書類3は乙第28号証,添付書類4は乙第30号証に該当する。
(2)ショコラトゥリー ド オペラジャポン株式会社(神奈川県横浜市。以下「オペラジャポン社」という。)
オペラジャポン社は,オペラ社四代目ニコラ・デ・ロワジー(乙2)が代表取締役となり設立されたオペラ社の日本子会社である(乙32,乙33)。定款(乙32)には,筆頭発起人として被請求人ショコラトゥリ・ドゥ・ロペラが記載されており,発行された1000株のうち800株を同社が保有していることが明らかである。本件商標については,オペラ社から書面での使用許諾はないものの,オペラ社の指示の下,オペラジャポン社が独自に作成する日本語ラベルを製菓用チョコレート「GAYAS」の包装袋に貼付け,国内において流通させていた。また,販売促進活動に必要となる宣伝広告物は,オペラ社の事前許諾なく自由に作成することを許可されており,同商標を日本国内で使用していた。本件商標「GAYAS」がオペラジャポン社によって実際に使用された事実を示す広告,取引書類を以下に挙げる。
ア 広告用パンフレット発注書類
オペラジャポン社を発行元とする広告用バンフレットの発注書類(乙34)には,製菓用チョコレートの名称として「ガヤス」が記載されており,これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当する。
イ 広告用パンフレット
製菓用チョコレート「GAYAS」の広告用に使用したパンフレット(乙35)の商品名の欄には,片仮名「ガヤス」がチョコレートの名称として記載され,このパンフレットを,顧客などに頒布して営業活動を行っていた。これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当する。
ウ 請求書
オペラジャポン社が2019年3月31日付けで発行する株式会社イワセ・エスタ大阪宛ての請求書(乙36)において,2019年3月1日付けで「ガヤス」が6袋納品された事実がみてとれる。オペラジャポン社が2020年2月29日付けで発行する株式会社アイ・エム・コーポレーション宛ての請求書(乙37)において,2020年2月11日付けで「ガヤス」が6袋納品された事実がみてとれる。これは,名古屋マリオットアソシアホテル(愛知県名古屋市)において,ハイカカオアソートとして販売されているキャレチョコレートの原材料としてオペラ社が製造する製菓用チョコレートがオペラジャポン社を通して販売されている事実(乙21~乙23)を示すものである。
エ フーズメッセにおける出品
製菓用チョコレート「GAYAS」,「ガヤス」等を出品した食品原材料の専門商社である株式会社イワセ・エスタ東京の主催する「イワセエスタ フーズメッセ2019」(乙19)は,2019年8月27日及び28日の2日間,東京・五反田の五反田TOCグランドホールにおいて開催され,「協同組合 全日本洋菓子工業会」のウェブサイトにおける業界情報によれば,およそ100社の食材や包装材等のメーカー・商社が参加し,製菓・製パン関連の食材等を展示・紹介する大規模なものであった(乙38)。なお,当該展示会において,製菓用チョコレート「GAYAS」の展示に用いた商品プレートを提出する(乙39)。
オ 広告書類
配布レシピ(乙20)について,原材料をいかに配合するかにより当該製品の特長を生かすことができるかを示すことにより,当該製品の購買意欲を高めることにつながるから,レシピの頒布も商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告を頒布する行為に該当する。
カ 証明書
本件商標について日本国内における自由な使用が認められていた旨,さらに上記に挙げる使用の事実に相違ない旨のオペラジャポン社担当者による証明書を提出する(乙40)。なお,同証明書内の添付書類1は乙第36号証,添付書類2は乙第37号証,添付書類3は乙第35号証,添付書類4は乙第34号証,添付書類5は乙第20号証,添付書類6は乙第39号証に該当する。また,記載の住所は異なるが,これはオペラジャポン社が令和2年2月26日付けで本店又は主たる事務所の所在地を変更したことによる(乙32,乙33,乙40)。証明書(乙40)の署名者は,署名役職欄に記載のとおり,オペラジャポン社の元取締役であり,設立時取締役と同一である(乙32)。
(3)株式会社アルカン(東京都中央区。以下「アルカン社」という。)
2020年から現在も継続して,オペラ社と独占販売契約を締結し,オペラ社より製菓用チョコレートである「GAYAS」を輸入し,日本国内での販売事業を行っている。本件商標については,オペラ社から書面での使用許諾はないものの,オペラ社の指示の下,オペラジャポン社が独自に作成する日本語ラベルを製菓用チョコレート「GAYAS」の包装袋に貼付け,国内において流通させていた。また,販売促進活動に必要となる宣伝広告物は,オペラ社の事前許諾なく自由に作成することを許可されており,同商標を日本国内で使用していた。本件商標がアルカン社によって実際に使用された事実を示す広告,取引書類を以下に挙げる。
ア ニュースリリース
2020年9月付けでアルカン社が発行する報道関係各位宛てのニュースリリース(乙4,乙41)において,令和2年(2020年)11月2日からオペラ社と取引を開始したことが見て取れる。2頁目にはクーベルチュールチョコレートの一種ピュアプランテーションシリーズの一つとして「ガヤス」が記載されており,これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当するものである。
イ 広告用パンフレット
広告用パンフレット(乙42)に,製菓用チョコレートの名称として「ガヤス」が記載され,表紙に記載のとおり,2020年から現在も継続して頒布するものであり,これは,通常使用権者による商標法第2条第3項第8号に規定される商品に関する広告物を頒布する行為に該当する。
ウ インボイス
「GAYAS」製菓用チョコレートが,平成2年(2020年)10月20日付けインボイスにおいては計270Kg(乙13),同月30日付けインボイスにおいては90Kg(乙14)を,通常使用権者であるアルカン社がオペラ社より輸入した。これは,通常使用権者が商品に標章を付したものを輸入する行為であり,商標法第2条第3項第2号の使用行為に該当する。
エ 2020年度売上リスト
アルカン社による製菓用チョコレート「GAYAS」の国内における2020年11月から2021年7月までの売上リスト(乙43)には,「GAYAS」及び「ガヤス」が記載されており,納入先及び販売数量が記載されていることから,製菓用チョコレート「GAYAS」について取引の事実があったことは明らかである。これらの販売行為は,通常使用権者が商品に標章を付したものを譲渡する行為であり,商標法第2条第3項第2号の使用行為に該当する。
オ 証明書
本件商標について,日本国内における自由な使用が認められていた旨,さらに上記に挙げる使用の事実に相違ない旨の同社担当者による証明書を提出する(乙44)。なお,同証明書内の添付書類1は,乙第24号証,添付書類2は乙第26号証,添付書類3は乙第13号証,添付書類4は乙第14号証,添付書類5は乙第42号証,添付書類6は乙第43号証に該当する。
2 本件商標と使用商標の同一性
本件商標権者は,フランスで設立された企業であることから,オペラ社との取引書類においてはすべて欧文字「GAYAS」が記載されており,これは本件商標に含まれる欧文字と同一構成からなるものある。
また,本件商標中の片仮名部分「ガヤ」は欧文字「GAYAS」から生ずる自然な称呼を片仮名書きにしたものである。フランス語においては,単語の末尾の子音字は原則発音しないという規則があり(乙15,乙45~乙47),これに則るものである。
「GAYAS」の語は,我が国において特定の意味合いを有する成語であるとして一般に親しまれているとはいい難いものであるから,フランス語の読みに従った「ガヤ」が欧文字部分から生ずる自然な称呼であり,本件商標の片仮名部分「ガヤ」は欧文字部分の読みを特定したと無理なく理解されるものである。
したがって,使用商標「GAYAS」は,本件商標と社会通念上の同一性を十分に満たすものといえる。このことは,欧文字とこれから生ずる自然な称呼を表す片仮名文字を併記した登録商標において,使用商標が欧文字のみ又は片仮名文字のみであっても,両者は社会通念上同一であると認定した審判決例からも明らかである(乙16~乙18,乙51,乙52)。
3 独占販売代理店及び子会社に認められる黙示の商標使用権
本件商標権者と森永商事及びアルカン社,子会社であるオペラジャポン社との間では,書面による通常使用権の許諾はないものの,日本における独占的な販売を許諾する契約を締結したものであり(乙31,乙40,乙44),「GAYAS」,「ガヤス」を付したラベルの作成・広告書類の作成等を許諾していたという事実に鑑みれば,商標権者が登録商標の使用を黙示で許諾し使用を継続させていたものである。審決例においても,独占販売契約締結の相手方又は子会社に対しては黙示の許諾があったと推認できると認定され,また通常使用権の許諾自体は口頭の契約であっても有効なものと解されている(乙54~乙57)
4 まとめ
以上より,被請求人は独占販売代理店である森永商事及びアルカン社を通して,又は子会社であったオペラジャポン社を通して,請求に係る指定商品中「製菓および製パン用チョコレート」について日本国内において継続して3年以上,本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)被請求人発行に係る広告パンフレット(乙2)及びオペラジャポン社が製菓用チョコレートのデモンストレーションにおいて配布したとされるレシピ(乙20)の記載によれば,本件商標権者は,フランスにおいて1936年に設立されたチョコレート工場を母体に,1995年にフランスで設立された企業であり,「クーベルチュールチョコレート」というケーキなどの製菓の仕上げに用いるチョコレートの製造を行っている。
(2)「アルカン社の2020年9月付けニュースリリース」(乙41)によれば,「多種多様なアロマ 製菓用クーベルチュールチョコレート フランス『ショコラトリー・ド・オペラ』取り扱い開始」の見出しの下,「株式会社アルカン(・・・本社:東京都中央区)は,フランスの製菓用クーベルチュールチョコレート『ショコラトリー・ド・オペラ』の取り扱いを2020年11月2日(月)より開始する。」ことが発表された。
当該ニュースリリースの1葉目には,「『ショコラトリー・ド・オペラ』はフランスを代表する製菓用のクーベルチュールチョコレートのメーカー」である旨記載され,「展開商品」は「クーベルチュール22品,副材料3品」であること,「発売日」は「2020年11月2日(月)」,「販売先」は「製菓,製パンメーカー,ホテル,レストラン,問屋など」,「輸入販売元」は「株式会社アルカン」であることが記載されている。
また,2葉目には「クーベルチュールチョコレート 4つのシリーズ(1.5kgパック/コイン状)」の記載の下に,統一されたデザインで,いずれも下部に「CHOCOLATERIE DE L‘OPERA(R)」(審決注:「OPERA」の「E」にはアクセント記号が付され,「(R)」は円中に「R」が小さく表示されている。以下同じ。)と本件商標権者の名称が表示された3つの商品の包装の画像が掲載され,それぞれの商品には,上部に大きく太字で表された「MEZZO(R)」,「MEKONGA(R)」,「LARGO(R)」等の表示がある。さらに,「ピュアプランテーションシリーズ」の一覧表には,「タイプ ダーク/商品名 ガヤス/カカオ分 70%/産地 エクアドル」との記載がある。
(3)「製菓用チョコレート『GAYAS』商品画像」(令和3年8月19日被請求人代理人出力:乙24。別掲)には,上記(2)に係るニュースリリースに掲載された3つの商品の包装と同様のデザインを有し,下部にも同様に「CHOCOLATERIE DE L‘OPERA(R)」と表示された商品の包装の画像が表示され,当該商品には,上部に大きく太字で表された「GAYAS(R)」の表示とともに,本件商標権者の名称及び住所の記載(フランス語)がある。また,「名称 チョコレート(製菓用)/ガヤス 70% 1.5KG」,「内容量 1.5kg」,「賞味期限 2021.12.20」,「輸入者 株式会社アルカン」と記載された日本語のラベルが貼付されている。
(4)本件商標権者は,2020年10月20日にアルカン社に対し,「Description」(品目)を「Dark Choc.GAYAS 70% 1.5kg」(ダークチョコレート),「BBD 20/12/2021」(賞味期限 2021年12月20日)及び「Qty」(数量)を270とするインボイス(送り状)を発行した(乙13)。
また,本件商標権者は,2020年10月30日にアルカン社に対し,「Description」(品目)を「Dark Choc.GAYAS 70% 1.5kg」(ダークチョコレート),「BBD 20/12/2021」(賞味期限 2021年12月20日)及び「Qty」(数量)を90とするインボイス(送り状)を発行した(乙14)。
(5)アルカン社作成に係る「『GAYAS』販売実績リスト(2020年11月~2021年7月)」(乙43)によれば,同社は,2020年11月及び同年12月に,商品名「ガヤス 70% 1.5KG O」又は同「ガヤス 70% 1.5KG」について,「株式会社イワセエスタ東京」ほかの国内取引先に,総計127パック,191Kg販売した旨の記載がある。
(6)アルカン社のブランドマネージャーによる証明書(乙44)には,アルカン社は,2020年から継続して,オペラ社と独占販売契約を締結し,オペラ社より製菓用チョコレートを輸入し,アルカン社が作成した日本語ラベルを当該商品に貼付し,日本国内で販売している,また,書面での使用許諾契約はないものの,オペラ社の事前の許諾なく販売促進活動に必要となる広告宣伝物を作成することを許可されており,本件商標の自由な使用を認められているものであって,これを日本国内で使用している旨の記載がある。
2 上記1の認定事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
アルカン社は,本件商標権者に係るクーベルチュールチョコレート(以下「本件使用商品」という。)の輸入販売元であり,当該商品の取扱いを2020年11月2日から開始した(乙41)。そして,同社のブランドマネージャーは,当社は,オペラ社とは書面での使用許諾契約はないものの,オペラ社の事前の許諾なく販売促進活動に必要となる広告宣伝物を作成することを許可されており,本件商標の自由な使用を認められているものであって,これを日本国内で使用していると陳述している(乙44)ことから,書面での通常使用権の許諾契約がなくても,本件商標権者から本件商標について黙示の使用許諾を受けているものと推認することができる。
したがって,アルカン社は,本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)使用商標について
本件使用商品は,「4つのシリーズ」(乙41)からなるシリーズ商品であって,ニュースリリースに掲載された3種類の商品の包装と同様のデザインを有するシリーズ商品の一つとして,その商品の包装に,大きく太字で表された「GAYAS(R)」の文字が表示されているところ(乙24,乙44の添付書類1),「(R)」の表示は,登録商標であることを表すにすぎないから,これを除いた「GAYAS」の文字(以下「本件使用商標」という。)が,当該商品の商標を表すものと認められる。
(3)使用時期及び使用行為について
アルカン社は,2020年9月のニュースリリースにおいて,本件商標権者に係る本件使用商品を同年11月2日(月)から日本国内で発売開始すると公表しているが,それに先立つ同年10月20日付け及び同月30日付けで本件商標権者から「Dark Choc.GAYAS 70% 1.5kg」,「BBD 20/12/2021」等と記載された商品(ダークチョコレート)のインボイス(送り状)が発行されている。そして,その後,本件商標権者の名称及び本件使用商標が表示された本件使用商品に,「名称 チョコレート(製菓用)/ガヤス 70% 1.5KG」,「内容量 1.5kg」,「賞味期限 2021.12.20」,「輸入者 株式会社アルカン」等と記載された日本語のラベルを貼付し,2020年11月ないし2021年7月にかけて,商品名「ガヤス 70% 1.5KG」として日本国内の取引先に販売したものである。
そうすると,アルカン社は,2020年(令和2年)9月のニュースリリース公表後,遅くとも同年11月2日までには,本件使用商標を商品の包装に付した本件使用商品を輸入したことを推認することができる。
そして,当該2020年(令和2年)9月から同年11月2日までの期間は,要証期間内といえる。
(4)使用商品について
本件使用商品は,上記1(1)のとおり,「クーベルチュールチョコレート」というケーキなどの製菓の仕上げに用いる製菓用チョコレートであり,当該商品は,本件の審判の請求に係る指定商品中「製菓および製パン用チョコレート」に含まれるものである。
(5)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「GAYAS ガヤ」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成及びフランス語風の発音(乙15,乙45~乙47)に鑑みて,後半の片仮名「ガヤ」の文字部分は,前半の欧文字「GAYAS」の称呼を表したものとみるのが自然であり,その構成文字に相応して「ガヤ」の称呼を生じるものである。また,本件商標は,特定の意味合いを有するものとして我が国で親しまれた文字とはいえないから,特定の観念を生じないものである。
一方,本件使用商標は,「GAYAS」の欧文字からなるものであり,その構成文字は,フランス語風の発音によれば「ガヤ」の称呼を生じるものであるが(乙15,乙45~乙47),特定の意味合いを有するものとして我が国で親しまれた文字とはいえないから,特定の観念を生じないものである。
そこで,本件商標と本件使用商標を比較すると,両商標は,欧文字の全ての文字のつづりを共通にするものであり,また,両者は「ガヤ」の称呼を共通にするものであって,「ガヤ」の片仮名の有無において相違するものの,当該片仮名は欧文字「GAYAS」の読みを表したにすぎないものである。
そうすると,本件商標と本件使用商標とは,「ガヤ」の片仮名の有無におい相違するものの,欧文字のつづりを共通にすること,同一の称呼「ガヤ」を生じること,異なる観念を生じるものではないことをあわせみれば,社会通念上同一と認め得るものである。
(6)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるアルカン社は,要証期間内である2020年(令和2年)9月ないし同年11月2日に,本件使用商品の包装に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したものを輸入し,日本国内で当該商品を販売したものと認められる。
そして,通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために輸入する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「製菓用チョコレート」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲(理由中で参照)
内容を表示(1行)
色彩は原本参照。)
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2020-300873