商標取消審判
2020-300084
ドリースキン、ドーリースキン、ドリー、ドーリー、デイエス
- 審判番号
- 2020-300084
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-010892
- 登録番号
- 5780372
- 請求日
- 2020年01月30日
- 審決日
- 2022年03月14日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】齋藤 糧三
- 【請求人代理人】雨宮 康仁
- 【被請求人】豊永 美奈
- 【被請求人代理人】藤井 大祐
- 審判長/審判官
- 審判長 平澤 芳行
- 審判官 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T131 .1 -Y (W03)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5780372号商標の商標登録取消審判事件についてされた令和2年11月25日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10152号,令和3年7月29日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5780372号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成27年2月6日に登録出願,第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同年7月24日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和2年2月14日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成29年(2017年)2月14日ないし令和2年(2020年)2月13日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証(チラシ)について
乙第1号証は,被請求人も自認するように,「平成26年頃に使用していた」ものであって,要証期間に頒布されたものではない。
また,乙第1号証の頒布主体は,「Dolges,Corp.」(ドルジェス・コーポレーション)なる法人であって,自然人たる本件商標権者ではない。
そもそも乙第1号証には,本件商標は表示されていない。
したがって,乙第1号証は,本件商標の使用証拠たり得ない。
(2)乙第2号証(チラシ)について
被請求人は,本件商標権者が乙第2号証を平成29年頃に使用していたと主張するのみで,それが要証期間に頒布されたことを示す客観的な証拠がない。
また,乙第2号証の頒布主体は,「ドルジェス」なる法人であって,自然人たる本件商標権者ではない。
したがって,乙第2号証は,本件商標の使用証拠たり得ない。
(3)乙第3号証から乙第5号証について
ア 乙第3号証(ウェブページを印刷したもの)について
乙第3号証は,「2020/4/14」の表示から明らかなとおり,要証期間内に表示されたものではない。
また,乙第3号証のウェブページの表示主体は,「DOLGES,CORP.」なる法人であって,自然人たる本件商標権者ではない。
そもそも,乙第3号証には,本件商標が表示されていない。
さらに,乙第3号証に掲載されている写真のとおり,「Dolges」なる法人が譲渡等しているのは,美容クリーム「EX:biarge」のみであるから,乙第3号証のウェブページは,美容ミスト「Dolly Skin」の広告ではない。
したがって,乙第3号証は,本件商標の使用根拠たり得ない。
イ 乙第4号証(決済メール)について
乙第4号証の1及び2には,本件商標が表示されていない。
また,乙第4号証の1及び2は,乙第3号証のウェブページから明らかなとおり,美容クリーム「EX:biargue」に関するメールであって,美容ミスト「Dolly Skin」とは無関係である。
さらに,乙第4号証の1は,「2020年3月10日」との記載から分かるとおり,要証期間内に頒布されたものではない。
したがって,乙第4号証の1及び2は,本件商標の使用証拠たり得ない。
ウ 乙第5号証(納品書)について
乙第5号証の1及び2の頒布主体は,「ドルジェス」なる法人であって,自然人たる本件商標権者ではない。
また,乙第5号証の1及び2は,その鮮明さからして,実際に頒布されたものの写しではなく,要証期間後,被請求人が本件審判答弁書の作成にあたり新たに印刷して作成したものであることは明らかであるから,被請求人の主張に合わせて,商標も日付もいかようにもすることができ,信憑性はなく,証拠としての価値はない。
さらに,現在「ドルジェス」なる法人は美容クリーム「EX:biargue」のみを譲渡等し,本件商標権者はおろか,同法人さえも美容ミスト「Dolly Skin」をもはや譲渡等していない事実に照らせば,美容クリーム「EX:biargue」の納品書であるはずの乙第5号証の1及び2に,全く無関係の美容ミスト「Dolly Skin」が記載されていることは極めて不自然であり,乙第5号証の1及び2が,要証期間後,被請求人の主張に合わせて作成されたものであると疑念を抱かざるを得ない。
また,乙第5号証の1は,「2020年3月11日」の記載のとおり,要証期間内に頒布されたものではない。
したがって,乙第5号証の1及び2は,本件商標の使用証拠たり得ない。
(4)乙第6号証(従前のウェブページを印刷したもの)について
乙第6号証の1及び2は,「2020/3/26」との表示及び被請求人が現在公開されていないと認めていることからも明らかなとおり,要証期間内に表示されたものではない。
また,同ウェブページの表示主体は,「ドルジェス」なる法人であって,自然人たる本件商標権者ではない。
したがって,乙第6号証の1及び2は,本件商標の使用証拠たり得ない。
(5)したがって,乙第1号証ないし乙第6号証は,いずれも本件商標の使用証拠たり得ない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,審判事件答弁書,審尋に対する回答書及び弁駁書に対する反論(令和2年9月18日付け)並びに回答書(令和3年12月8日付け)において要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標権者の開業経緯,営業状況等
ア 本件商標権者は,平成16年頃から「DOLGES.Corp.」(ドルジェス・コーポレーション)の屋号で,美容化粧品の通信販売事業を開始した。
イ 当該事業における主力商品は,美容液クリーム「EX:biargue」(エクスバイアージュ)(乙1)であり,本件商標権者は,主にネットの共同購入サイト(「ポンパレ」,「くまポンbyGMO」等)を通じて販売しており,年間販売数が1万個を超えることもあった。
平成28年頃から,本件商標権者は,上記商品に加えて美容ミスト「Dolly Skin」の販売を行うようになった(乙2)。
ウ なお,「ポンパレ」のサービスの平成29年5月の終了や,本件商標権者の身分関係の変動,豪雨災害などにより,本件商標権者としても,それ以降は積極的な事業拡大までは手が回っていない。
もっとも,本件商標権者は,自社サイト(乙3)等を通じ,Paypalの決済を利用して(乙4,乙5),クチコミ客やリピーターなどに対して,その事業を現在も継続しているところであり,現在は,改めて事業拡大を検討している。
(2)本件商標の使用状況
本件商標権者は,本件商標を「Dolly Skin」のラベル(乙2)や,納品書(乙5)に,それぞれ現在も使用している。
2 審尋に対する回答及び弁駁書に対する反論
(1)乙第2号証について
乙第2号証(チラシ)の作成主体は,本件商標権者である。
「DOLGES,Corp.」(ドルジェス・コーポレーション)は,本件商標権者が個人事業として美容化粧品の通信販売事業を行う際の屋号である。かつて,本件商標権者は,平成16年(2004年)頃,同人を代表とした同名のアメリカ合衆国デラウェア州法人を設立しており(乙7),一時的には同法人名義の口座を顧客の入金先としていた(乙1)こともあるが,同法人は休眠状態のまま平成27年(2015年)2月3日には閉鎖に至っている。そのため,平成29年(2017年)頃のチラシには同法人名義の口座は記載されていない(乙2)。
なお,現在の事業収入の大半は,Paypalを利用した決済であるところ,その契約主体も本件商標権者個人となっている(乙8)。
また,乙第2号証(チラシ)は,注文があったときに,商品や納品書と一緒に梱包する形で配布しており,このような頒布方法は,平成29年頃から現在まで継続中である。
(2)乙第5号証の2について
乙第5号証の2(納品書)の作成主体は,本件商標権者である。この納品書は,商品を顧客に納品する際,乙第2号証(チラシ)と同梱する形で,各顧客に届けられている。
(3)頒布の証拠
乙第5号証(納品書)記載の追跡番号に関する追跡結果を提出する(乙10の1,乙10の2)。本件商標権者の居住地から,乙第4号証に各記載の顧客住所(千葉県及び愛知県)へ商品が発送されたことが確認できる。
(4)本件商標権者は,顧客への付帯サービスとして美容せっけんを進呈している(乙5の2)ところ,同せっけんには,本件商標のシールを付して顧客に渡している(乙11)。
なお,要証期間経過後に関する取引についても,商標の使用の裏付けを行っており,これ以外にも複数,同様の取引があるが,使用の立証は上記で十分であると思料する。
(5)本件商標の使用は,本件商標権者が,個人事業たる化粧品販売業において,自己の商品に本件商標を付して販売しているもので,商標法第2条第3項第1号及び同項第2号の行為に該当する。
3 回答書(令和3年12月8日付け)の要旨
(1)乙第2号証(チラシ)について
本件商標権者がその私的事情から積極的な事業拡大にまでは至っていないこともあり,乙第2号証(チラシ)の在庫も多数残っている状況にある。そのため,本件商標権者において,キャンペーン開始日等の記載内容が古くなってしまっていても,残っている上記チラシを消化してしまいたいとの考えから,当該チラシを商品に同梱するというのは自然である。
また,後記のとおり,優に認められる事実である商品の発送に伴い,本件チラシが同梱されることにより,本件商標は使用されている。
(2)乙第3号証(ウェブサイト)について
ログイン履歴の全部(乙18)より,平成23年8月から10月にかけて及び令和2年7月から9月にかけての期間のみならず,当該サイトを開設した平成23年8月以降,要証期間である平成29年2月14日から令和2年2月13日までを含めた現在までの全ての期間の本件商標権者による当該サイトへのログイン履歴が確認できる。もっとも,本件サイトの掲載内容自体は大きく変わっていないため,本件商標権者がログインする必要が生じたのは,掲載内容の軽微な訂正や,顧客からアクセスができないというクレームが入ったときにメンテナンスをする程度であり,ログインの頻度自体は多くなかった。
そして,上記ログイン履歴により,当該サイトが平成23年8月27日に開設され,その後,現在に至るまで継続して運用されていること(すなわち,インターネット上で閲覧できる状態にあること)は優に認められる。
以上のとおり,本件サイトが平成23年8月27日に開設され,その後,現在に至るまで継続して運用されている。本件チラシに記載された本件サイトが継続的に運用されているのであって,本件チラシの記載と本件サイトの間の整合性に疑問はない。
(3)令和2年1月10日から同月12日にかけての取引(乙4の2,乙9の2,乙10の2)について
次のとおり,郵便局の配達状況の記録(乙10の2)も併せ考慮すると,令和2年1月10日から12日にかけての取引が存在したことは明白である。
ア レターパックへの梱包について
レターパックへの梱包状況に関する写真撮影報告書(乙19)から,レターパックに美容液クリーム「EX:biargue」を6個とサービス品の化粧せっけん2個,A4チラシ数枚程度を同梱しても送付が可能なことは,明白である。
イ PayPalでの決済について
乙第4号証の2及び乙第10号証の2に加え,PayPalからのメールに関する写真撮影報告書(乙20)及びPayPalへのログイン状況に関する写真撮影報告書(乙21)から,上記取引がされていることは明らかであり,ひいては,上記取引における本件チラシや本件納品書写しの原本の同梱も推認できる。
ウ 本件納品書写し(乙5の2)について
本件納品書写しに,「DollySkin」の文字のような,本件商標権者の屋号でもなく,取引内容とは無縁の表示が顕著に表示されていることについては,本件商標権者において,費用をかけて取得した商標を顧客に直接送付する納品書に利用することは,自然なことである。
(4)美容せっけんの同梱について
ア 商標法50条1項の不使用取消の趣旨は,商標使用者の業務上の信用維持と需要者の利益の保護という商標法の目的は,商標が現実に使用され出所識別機能を発揮することで達成されるところ,不使用商標の放置はこの目的に反するという点にある。そのような趣旨からすると,たとえ販売促進のノベルティとしての使用であっても,登録商標を放置しているとはいえず,同項との関係では使用に当たるといえる。そのような形態での使用が商標権侵害を構成しないといった議論はあり得たとしても,同様の考え方が不使用取消しの場合にまで当てはまるものとはいえない。
イ せっけんの頒布の事実は,本件納品書写しや本件チラシによって,明らかである。
第4 当審の判断
1 取引に係る認定事実
(1)本件商標権者が作成したチラシ(乙2。以下「本件チラシ」という。)には,別掲2のとおり,「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を横並びで表してなる商標(以下「本件使用商標」という。)を容器側面に表示した「ドーリースキン」と称する「美容ミスト」(以下「本件使用商品」という。)の写真が掲載されており,その他に,同商品の「¥2,990」の価格,注文先としてhttp://exbiargue.weebly.com」,担当者として「ドルジェス【担当】豊永 美奈」の記載がある。
(2)本件商標権者が作成した本件納品書写し(乙5の2)には,「2020年1月11日」,「本日(1月11日)商品発送させていただきました。」,「【商品名】日本郵便・レターパック・プラス(対面でのお受取)」,「【追跡番号(商品番号)】627149932452」の記載とともに,「商品」の欄に「美容クリーム」,合計額の欄に「¥17,940」「※美容せっけん2つプレゼント(同梱)」の記載がある。
本件納品書写しの下部には,本件商標権者の連絡先の記載に並べて,黒塗りされた長方形枠内に「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を白抜きで横並びに表してなる商標が表示されている。
(3)本件商標権者が提出した写真(乙11)には,「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を横並びに表してなる商標を包装に表示した円形の固形せっけんと思しき商品が表示されている。
(4)証拠(乙4の2,乙10の2,乙20,乙23,乙24)によると,<1>本件商標権者が,愛知県在住の特定人(以下「A」という。)から,令和2年1月10日,PayPalで1万7940円の支払を受けたこと及び,<2>同支払を本件商標権者に連絡するPayPalからのメールには,同支払金額について,「エクスバイアージュ6個(送料無料)」「17,940JPY」が,数量「1」であるとの記載があることが認められる。
また,証拠(乙10の2)によると,<3>問い合わせ番号「6271-4993-2452」のレターパックプラスについて,令和2年1月12日に福岡県で引受けがされ,同月13日に愛知県の届け先に届けられたことが認められる。
さらに,証拠(乙5の2,乙28の3)及び被請求人の主張によると,<4>本件商標権者が「6271-4993-2452」と記載されたレターパックプラスの追跡番号シールを所持しており,同シールは,本件納品書写し(乙5の2)と同一内容の納品書の控え(乙28の3)の裏面に貼付されていることが認められる。
(5)本件チラシ(乙2)には,「送料無料」,「美容クリーム(エクスバイアージュ)¥2,990」との記載がある。
また,被請求人が提出する別のチラシ(乙1)には,「特別販売(2,990円&送料無料)」,「感謝を込めて【1個2,990円&送料無料】の特別販売続行中」との記載がある。なお,同チラシには,「EX:biargue(エクスバイアージュ)」について「40,000円(税込)」との記載もある。
さらに,本件サイト(乙3)には,「EX:biargue」との表示がされたクリームの瓶の写真の右側に,「特別販売キャンペーン」,「1個(送料無料)2,990円」,「6個(送料無料)17,940円」などの記載がある。
以上の各チラシ及び本件サイトの各記載は,上記(4)<2>の事実と整合するもので,上記(4)<2>の事実と併せると,上記(4)<1>のAからの支払が,本件チラシに記載された「美容クリーム(エクスバイアージュ)」6個の代金の支払であることを推認させるものである。
(6)ア 本件納品書写し(乙5の2)及びこれと同一内容で上記(4)<4>のとおり裏にレターパックプラスの追跡番号シールが貼付された納品書の控え(乙28の3)の記載内容をみると,「今回の商品配送詳細【無料】」,「【商品名】日本郵便・レターパックプラス(対面でのお受取)」,「【追跡番号(商品番号)】627149932452」との記載のほか,「商品」として「美容クリーム」,「単価」として「¥2,990」,「個数」として「6」,「計」として「¥17,940」,「備考」として「送料無料」の記載があり,宛名欄にはAの氏名の記載がある。そして,本件納品書写し及び上記納品書の控えには,上部に,「DOLGES」の文字の下に「D」及び「S」を重ねるように組み合わせて円で囲んだ図形を配置した商標が表示され,右下部には黒塗りされた長方形枠内に「D」及び「S」を重なるように組み合わせて円で囲んだ図形の右側に「DollySkin」の文字を白抜きで横並びに表してなる商標が表示されている。
イ 上記アの事実に,上記(4)<1>ないし<4>の事実及び上記(5)のとおり推認される事実を併せ考慮すると,本件商標権者が,上記(4)<1>の令和2年1月10日のAからの支払を受けて,本件チラシに記載された「美容クリーム(エクスバイアージュ)」6個を発送し,それが同月13日に愛知県在住のAに届けられたという事実が推認され,この推認を覆す事情は認められない。
(7)陳述書(乙25)における本件商標権者の主張によると,本件商標権者が,上記(4)<1>の令和2年1月10日のAからの支払を受けて,「美容クリーム(エクスバイアージュ)」(6個)に,本件納品書の写し(乙5の2)の原本及び本件チラシ(乙2)を同封したレターパックプラスを発送し,それが同月13日にAに届けられたという取引(以下「本件取引」という。)の事実が認められる。これは,上記(4)ないし(6)で指摘した各事実と整合しており,本件取引について述べる部分について,その信用性を否定すべき事情は見受けられない。
2 本件商標の使用について
(1)ア 本件チラシ(乙2)には,本件使用商標を容器側面に表示した美容ミストである本件使用商品の写真が掲載されている。本件チラシは,本件商標権者が作成したものである(証拠及び被請求人の主張)。
イ 本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一であると認められる。
ウ 本件使用商品「美容ミスト」は, 本件審判の請求に係る指定商品中,第3類「化粧品」に含まれるものと認められる。
(2)上記(1)の事実及び前記1(7)のとおり認められる本件取引の事実からすると,本件商標の商標権者が,要証期間内である令和2年1月10日から同月13日までの間に,本件商標の指定商品のうち「化粧品」に含まれる本件使用商品について,本件商標の使用(商標法第2条第3項第8号[広告に標章を付して頒布])をしたものと認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,本件チラシが頒布されたことを裏付ける証拠がないと主張するが,前記1(7)のとおり,上記の点は陳述書における本件商標権者の主張により裏付けられているといえる。
(2)請求人は,本件チラシの頒布主体や本件納品書写しに係る頒布主体は法人であると主張するが,前記1(7)のとおり,本件取引の主体は本件商標権者であり,本件チラシの頒布主体及び本件納品書写しの原本の送付主体は本件商標権者であると認められる。
(3)請求人は,本件納品書写しについて,本件納品書写しの鮮明さからすると,後日作成されたものであり,被請求人の主張に合わせて,商標も日付もいかようにもすることができるもので,信用性がないと主張する。
しかし,後日作成することが可能であるという点は,単に可能性を指摘するものにすぎず,そのことから直ちに,本件納品書写しが信用性を欠くものとはいえない。
(4)その他,請求人が主張する点は,いずれも前記1及び2の認定判断を左右するものではない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に,日本国内において,本件商標権者がその請求に係る指定商品中「化粧品」に含まれる本件使用商品「美容ミスト」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法50条の規定により取り消すべきものとはいえない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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