意匠拒絶査定不服審判
2020-016883
ラベル地
- 審判番号
- 2020-016883
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-018682
- 登録番号
- 意匠登録第1697877号(D1697877)
- 請求日
- 2020年12月08日
- 審決日
- 2021年09月10日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社寺岡精工
- 【請求人代理人】特許業務法人 英知国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 橘 崇生
- 審判官 正田 毅
- 分類
- D18 .121-WY (F3-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2019-18682「ラベル地」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,令和1年(2019年)8月23日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和2年 1月20日付け :拒絶理由の通知
3月 2日 :意見書の提出
5月11日付け :拒絶理由の通知
6月22日 :上申書の提出
6月22日 :電話応対
6月26日 :意見書の提出
9月 2日付け :拒絶査定
12月 8日 :審判請求書の提出
令和3年 5月31日付け :拒絶理由の通知
7月 8日 :意見書の提出
第2 本願意匠
本願の意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「ラベル地」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。
第3 当審の拒絶の理由
当審における,令和3年5月31日付けの拒絶の理由は,本願の意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「1.本願意匠
(1)本願の意匠(以下「本願意匠」という。別紙第1参照)は,包装フィルムを所定の方法で開封する際に,ラベルも容易に引き裂けるようスリット孔を形成したラベルを提供することができるラベル地です。
(2)本願意匠は,以下の形状を認めることができます。
〔形状A〕ラベルを多数提供するために,1単位のラベルを連続させた状態である,ごく薄い帯状のラベル地です。
〔形状B〕ラベルを連続させているため,スリット孔を長手方向に等間隔で繰り返し設けたラベル地です。
〔形状C〕スリット孔は,包装フィルムと共に容易に引き裂けるラベルとするため,引き裂く方向と同方向のごく短いスリット孔をラベル地の左右両端に少しの余地を設けて略横幅いっぱいに多数,等間隔に設けたものです。
〔形状D〕表面が印字面で,かつ非粘着面であって,背面は粘着面です。
2.出願前から公然知られた形状
(1)意匠1
意匠1の存在により,ラベルの分野において,以下の形状は本願の出願前から公然知られた形状といえます。
〔形状1a〕ラベルを多数提供するために,1単位のラベルを連続させた状態である,ごく薄い帯状のラベル地。
〔形状1b〕ラベルを連続させているため,スリット孔を長手方向に等間隔で繰り返し設けたラベル地。
〔形状1d〕表面が印字面で,かつ非粘着面であって,背面を粘着面としたもの。
(2)意匠2
意匠2の存在により,商品ラベルの分野において,以下の形状は本願の出願前から公然知られた形状といえます。
〔形状2c〕スリット孔は,包装フィルムと共に容易に引き裂けるラベルとするため,引き裂く方向と同方向のごく短いスリット孔をラベル地の左右両端に少しの余地を設けて略横幅いっぱいに多数,等間隔に設けたもの。
3.判断
(1)本願意匠の〔形状A〕は,公知の〔形状1a〕に,
(2)本願意匠の〔形状B〕は,公知の〔形状1b〕に,
(3)本願意匠の〔形状C〕は,公知の〔形状2c〕に,
(3)本願意匠の〔形状D〕は,公知の〔形状1d〕に,
表れている。
よって,本願意匠の,〔形状A〕ないし〔形状D〕の形状は,本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められます。
意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2017-156707
【図4】及び関連する記載により表された
台紙なしラベルの意匠
(令和2年5月11日付けの拒絶理由通知書の意匠3と同じです。)
意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2001-180747
【図7】及び関連する記載により表された
ラベルシートの意匠
(令和2年5月11日付けの拒絶理由通知書の意匠2と同じです。)」
第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,ラベル地である。
本願意匠の意匠に係る物品は,包装フィルムを所定の方法で開封する際に,ラベルも容易に引き裂けるようスリット孔列を形成したラベルを提供することができるものである。
(2)本願意匠の形状
本願意匠は,主に以下の形状を認めることができる。
ア.基本的構成
〔形状A〕同一のラベルを多数提供するために,1単位のラベルを連続させた状態の,ごく薄い帯状のものである。
〔形状B〕ラベルを連続させた状態のため,スリット孔列を長手方向に等間隔で繰り返し設けたものである。
〔形状C〕スリット孔列は,包装フィルムと共に容易に引き裂けるラベルとするため,引き裂く方向と同方向のごく短いスリット孔をラベル地の左右両端に少しの余地を設けて略横幅いっぱいに多数,等間隔に設けたものである。
〔形状D〕表面が印字面でかつ非粘着面であって,背面は粘着面である。
イ.詳細な形状
〔形状E〕帯状ラベル地の長手方向に,ラベル地の幅の約6割の長さの間隔を開けて繰り返しスリット孔列を設けたものである。
〔形状F〕スリット孔列は,スリット孔の長さの約6割の間隔を開けてスリット孔を並列させたものである。
〔形状G〕スリット孔列は,25本のスリット孔を並列させたものである。
2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前に公然知られた形状
本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。
ア.意匠1より,
〔形状1a〕同一のラベルを多数提供するために,1単位のラベルを連続させた状態の,ごく薄い帯状のもの。
〔形状1b〕ラベルを連続させた状態のため,スリット孔列を長手方向に等間隔で繰り返し設けたもの。
〔形状1d〕表面が印字面で,かつ非粘着面であって,背面を粘着面としたもの。
イ.意匠2より
〔形状2c〕スリット孔列は,包装フィルムと共に容易に引き裂けるラベルとするため,引き裂く方向と同方向のごく短いスリット孔をラベルの左右両端に少しの余地を設けて略横幅いっぱいに45本,等間隔に設けたもの。
(2)本願意匠の創作の容易性について
本願意匠のうち基本的構成は,意匠1及び意匠2により本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められる。
しかし,本願意匠は,帯状ラベル地の長手方向に,ラベル地の幅の約6割の長さの間隔を開けて繰り返しスリット孔列を設けたもの(形状E)であり,かつ,スリット孔列は,スリット孔の長さの約6割の間隔を開けてスリット孔を並列させたもの(形状F)であり,なおかつ,スリット孔列は,25本のスリット孔を並列させたもの(形状G)であるが,これらの詳細な形状については,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。
3.結び
したがって,本願意匠は,当審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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