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特許拒絶査定不服審判

2020-015506

ユーザーインタフェースを提供する方法、プログラム及び電子機器

審判番号
2020-015506
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-563526外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年11月09日
審決日
2022年08月19日
公報発行日
2022年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F) / P18 .538-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-563526「ユーザーインタフェースを提供する方法、プログラム及び電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月16日国際公開、WO2016/092864、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2015年(平成27年)12月11日(優先権主張 平成26年12月13日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年12月11日 :手続補正書の提出
令和 元年12月12日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 6月 1日 :上申書の提出
令和 2年 8月 6日付け:拒絶査定
令和 2年11月 9日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

出

令和 3年 1月23日 :令和2年11月9日提出の手続補正書に係

る手続補正書の提出

令和 3年 8月31日付け:拒絶理由(当審拒絶理由1)通知書
令和 3年11月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 1月19日付け:拒絶理由(当審拒絶理由2、最後の拒絶理

由)通知書

令和 4年 3月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 4月12日付け:拒絶理由(当審拒絶理由3、最後の拒絶理

由)通知書

令和 4年 6月 7日 :手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和2年8月6日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

この出願の請求項1,5~11,13,14に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基いて、請求項3に係る発明は、以下の引用文献A~Cに記載された発明に基いて、請求項4,12に係る発明は、以下の引用文献A,B,Dに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A: 特開2011-187130号公報
引用文献B: 国際公開第2013/157330号
引用文献C: 特開2009-33583号公報
引用文献D: 特開2006-139615号公報

第3 当審拒絶理由の概要

1 当審拒絶理由1

当審が令和3年8月31日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は次のとおりである。

(1)理由1

(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)理由2

(進歩性)この出願の請求項1,5~8,10,11,13,14に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて(請求項13,14は、請求項1等を引用する場合のもの。他の請求項を引用する場合については省略。)、請求項3に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、請求項4,12に係る発明は、以下の引用文献1,3に記載された発明に基づいて、請求項9に係る発明は、以下の引用文献1,4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特開2011-113469号公報
引用文献2: 特開2013-156923号公報
引用文献3: 特開2006-139615号公報(原査定の引用文献D)
引用文献4: 特開2013-126192号公報

2 当審拒絶理由2

当審が令和4年1月19日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。

(1)理由1

(進歩性)この出願の請求項2,4-7,9,10,12,13に係る発明は、上記引用文献1,2及び以下の引用文献5,6に記載された発明に基づいて(請求項12,13は、請求項1等を引用する場合のもの。他の請求項を引用する場合については省略。)、請求項3,11に係る発明は、上記引用文献1~3及び以下の引用文献5,6に記載された発明に基づいて、請求項8に係る発明は、上記引用文献1,2,4及び以下の引用文献5,6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献5: 特開2014-168154号公報
引用文献6: 特開2013-214842号公報

(2)理由2

(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項4に「前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、再生を停止させる動作」が「含まれる」旨が記載されているが、請求項4が引用する請求項2には、「前記動画を停止させ・・・るステップと、前記動画を引き続き停止させながら、・・・検出するステップ」と記載されており、ここで、再生を停止している状態の動画に対して、再生を停止させる動作を改めて行うことはあり得ないから、請求項4の上記記載がどのような動作を意味するのか不明である。

3 当審拒絶理由3

当審が令和4年4月12日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由3」という。)の概要は次のとおりである。

(委任省令要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第4号に規定する要件を満たしていない。

請求項12は、先行する請求項のみを引用するものとして記載されていないから、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。

第4 本願発明

本願請求項1~12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明12」という。)は、令和4年6月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。

「【請求項1】
画面を指によってタッチすることで操作する電子機器においてユーザーインタフェースを提供する方法であって、画面において動画を再生するステップと、動画を再生している領域におけるユーザーのタッチを検出するステップと、前記タッチの検出に応答して、前記動画を引き続き再生させながら、前記動画上の前記タッチの位置の周囲に、それぞれ動作が関連づけられた複数のフリック補助表示を新規に表示するステップと、前記動画を引き続き再生させながら、前記フリック補助表示に対応するフリック操作の完了を検出するステップと、前記フリック補助表示に関連づけられた動作を実行するステップとを有し、前記タッチの検出に応答して、動画の再生速度を変化させることを特徴とする方法。
【請求項2】前記タッチの検出に応答して、動画を表示している領域の明るさを変更することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、再生を停止させる動作、動画の再生位置を選択する動作、次の動画の再生に移る動作、前の動画の再生に移る動作、及び動画の
続きを表示(全14行)
先頭に移る動作からなる群から選択される再生関連動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、再生の早送りをさせる動作及び再生の巻き戻しをさせる動作からなる群から選択される再生関連動作が含まれ、その早送り又は巻き戻しは、前記フリック操作の後に画面をタッチする時間だけ行われ、その早送り又は巻き戻し中は、その時点の早送り又は巻き戻しに対応した動画が画面に表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、再生中の動画を保存又は登録する動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、特定のアドレスへとアクセスする動作、動画に関連づけられたアドレスをコピーする動作、及び動画に関連づけられたアドレスを使用して特定のプログラムの特定の機能を実行させる動作からなる群から選択されるアドレス関連動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】前記フリック補助表示には、再生中の動画に関連する別の動画の代表画像が表示され、前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、前記代表動画に対応する別の動画を再生する動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、フリック操作の所定の段階における動画のスクリーンショット画像を取得する動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】前記フリック補助表示に関連づけられた動作には、検出した画面上でのユーザーのムーブ動作に応じた動画の再生位置の選択を受け付ける動作が含まれ、当該方法は、その後に、受け付けた再生位置から動画を再生するステップをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】前記フリック補助表示に関連づけられた動作は、更なる補助表示を表示する動作であり、前記フリック操作の完了によって、この更なる補助表示を表示する動作が実行されると、画面上に新たに複数の第2の補助表示を表示し、この第2の補助表示のうちの1つに対するユーザーの選択操作を検出すると、その第2の補助表示に関連づけられた動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を電子機器が実行するように構成するプログラム。
【請求項12】請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成する電子機器。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1、引用発明

(1)当審拒絶理由1,2にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0019】
図2に、タッチパネル処理装置1の機能ブロック図を示す。
タッチパネル処理装置1は、制御部11、センサ12、表示部2、タッチパネル3、ハードキー4、記憶部15、外部I/F16、映像入出力部17、音声入出力部18等を備えて構成される。
【0020】
続きを表示(全13行)
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成され、CPUがROM又は記憶部15に記憶されている所定のプログラム又はデータをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラム又はデータと協働して、タッチパネル処理装置1の動作を統括的に制御する。例えば制御部11は、記憶部15に記憶されているコンテンツ再生プログラム及びコンテンツをRAMに展開してコンテンツを再生する。なお、コンテンツには、例えばMP3やWMA等の音声コンテンツ、MPGやAVI等のビデオコンテンツ、JPG等の画像コンテンツがある。
【0021】
また、制御部11は、記憶部15に記憶されているコンテンツに対して、後述するタッチパネル3やハードキー4の操作による制御信号に基づき、再生開始、停止、早送り、早戻し、スキップ等の処理を行う。
【0022】
センサ12は、GPS(Global Positioning System)センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ等の各種センサを備えて構成され、各種センサにより検出した検出信号を制御部11に出力する。
【0023】
表示部2は、制御部11から出力される制御信号を入力し、入力された制御信号に基づいて、各種設定画面や静止画又は動画の画面を表示する。
【0024】
タッチパネル3は、表示部2の画面上へのタッチ及びタッチ位置(XY座標)を検出し、検出信号を制御部11に出力する。また、タッチパネル3は、タッチ状態からの解除及び解除位置(XY座標)を検出し、検出信号を制御部11に出力する。」
「【0030】
図3を参照して、フリック操作時の制御フローについて説明する。
フリック操作とは、方向性を伴うタッチ操作をいい、タッチパネル3上をタッチしてパネルにタッチした状態のまま所定方向に軽く指をはじく操作をいう。
【0031】
続きを表示(全15行)
制御部11は、タッチパネル3への接触(タッチ)を検出したか否か判断する(ステップS1)。
タッチを検出しない場合(ステップS1;No)、制御部11は、タッチを検出するまで待機する。
タッチを検出した場合(ステップS1;Yes)、制御部11は、検出されたタッチのタッチ位置の情報を記憶部15に記憶する(ステップS2)。
【0032】
制御部11は、ステップS2で記憶されたタッチ位置の情報に基づいて、タッチ位置を中心とした操作ガイドを表示部2の画面上に表示する(ステップS3)。
なお、操作ガイドの表示タイミングは、ステップS1のタッチ検出時と略同時であっても、遅延して表示されるようにタッチ検出時から一定時間経過後であってもよい。
【0033】
図4に、表示部2の画面に表示された操作ガイドSG1の一例を示す。
操作ガイドSG1は、コンテンツファイル再生中にタッチパネル3がタッチされた場合、タッチ位置を中心として表示部2の画面に表示される円形のガイド表示である。
【0034】
操作ガイドSG1の中心位置には「全画面表示」、上方向には「一時停止」、下方向には「操作ガイド非表示」、左方向には「早戻し」、右方向には「早送り」を示す記号がそれぞれ表示され、それぞれの記号は、再生中のコンテンツに対しての制御部11による制御に対応している。」
「【0038】
図3に戻り、制御部11は、タッチ位置が移動したか否か判断する(ステップS4)。
「タッチ位置が移動した」とはフリック操作されたことを意味し、例えば上方向にフリック操作された場合、制御部11はタッチ位置が移動したと判断する。逆に、フリック操作されずにタッチされたままの状態の場合、制御部11はタッチ位置が移動していないと判断する。
【0039】
タッチ位置が移動していない場合(ステップS4;No)、制御部11は、ステップS6に移行する。
タッチ位置が移動した場合(ステップS4;Yes)、制御部11は、移動したタッチ位置を検出する(ステップS5)。
【0040】
制御部11は、検出された移動後のタッチ位置の機能区画を判定する(ステップS6)。」
「【0044】
図3に戻り、制御部11は、タッチパネルのタッチが解除されたか否か判断する(ステップS7)。
解除されていない場合(ステップS7;No)、制御部11は、ステップS5に移行する。
解除された場合(ステップS7;Yes)、制御部11は、ステップS6で判定された機能区画に割り当てられた機能を実行する(ステップS8)。
【0045】
例えば制御部11は、タッチパネル3がタッチされたままでフリック操作が一定時間以上ない場合、またはフリック操作の移動量が機能区画E11に示す半径より小さい場合に、操作パネルSPの表示/非表示を切り替える。制御部11は、操作パネルSPを非表示とした場合、全画面表示とする。
【0046】
また、制御部11は、上方向にフリック操作された場合、「一時停止」処理として再生中のコンテンツを一時停止する。或いは、「再生」処理として停止中のコンテンツを再生する。」
「【図4】
[図:0001391249000001.jpg]
」

(2)主として「タッチパネル処理装置1」(段落【0019】)についての記載である上記(1)の特に段落【0030】以降には、「タッチパネル処理装置1」における方法について記載されているといえる。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「表示部2、タッチパネル3を備えて構成されるタッチパネル処理装置1における方法であって、
コンテンツにはビデオコンテンツがあり、
表示部2は、動画の画面を表示し、
タッチパネル3は、表示部2の画面上へのタッチ及びタッチ位置(XY座標)を検出し、
続きを表示(全13行)
フリック操作時の制御フローにおいて、フリック操作とは、タッチパネル3上をタッチしてパネルにタッチした状態のまま所定方向に軽く指をはじく操作をいい、
タッチパネル3への接触(タッチ)を検出したか否か判断し、タッチを検出した場合、検出されたタッチのタッチ位置の情報を記憶し、
記憶されたタッチ位置の情報に基づいて、タッチ位置を中心とした操作ガイドを表示部2の画面上に表し、
操作ガイドは、コンテンツファイル再生中にタッチパネル3がタッチされた場合、タッチ位置を中心として表示部2の画面に表示される円形のガイド表示であり、
操作ガイドの中心位置には「全画面表示」、上方向には「一時停止」、下方向には「操作ガイド非表示」、左方向には「早戻し」、右方向には「早送り」を示す記号がそれぞれ表示され、それぞれの記号は、再生中のコンテンツに対しての制御に対応しており、
タッチ位置が移動したか否か判断し、例えば上方向にフリック操作された場合、タッチ位置が移動したと判断し、
タッチ位置が移動した場合、移動したタッチ位置を検出し、検出された移動後のタッチ位置の機能区画を判定し、
タッチパネルのタッチが解除されたか否か判断し、解除された場合、判定された機能区画に割り当てられた機能を実行し、
上方向にフリック操作された場合、「一時停止」処理として再生中のコンテンツを一時停止する、方法。」

2 引用文献2

(1)当審拒絶理由1,2にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0048】
(再生中処理)
ここで、本実施形態のデジタルカメラ100において、動画再生中に行われる再生中処理について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
S501で、システム制御部101は、タッチパネル130に対するタッチダウンがあったか否かを判定する。タッチダウンがあったと判定すると処理をS502に移し、そうでない場合は処理をS504へ移す。
【0050】
S502では、システム制御部101は、再生していた動画像を停止する。このように、動画の再生中のタッチパネル130に対するタッチダウンによって動画像の再生停止指示(第1の機能の実行指示)が行える。なお、再生停止指示となるタッチダウンは、表示部108の表示面上のいずれの領域に対するものであってもよいものとする。
【0051】
S503で、システム制御部101は、図6(a)に示されるような戻り指示タッチアイテム601、再生タッチアイテム602、シーケンスタッチアイテム603、及び音量調整タッチアイテム604のGUIデータをROM102から読み出す。システム制御部101は、読み出したアイテム群(タッチ操作用表示アイテム)を画像処理部106に伝送し、停止フレーム画像600に対して重畳させた合成画像610を生成させる。そしてシステム制御部101は、得られた合成画像610を表示部108に伝送して表示させた後、図7で後述するタッチ操作用処理を行う。」

(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。

「タッチパネル130に対するタッチダウンがあったか否かを判定し、タッチダウンがあったと判定すると、
再生していた動画像を停止し、
戻り指示タッチアイテム601、再生タッチアイテム602、シーケンスタッチアイテム603、及び音量調整タッチアイテム604のGUIデータを読み出し、読み出したアイテム群(タッチ操作用表示アイテム)を停止フレーム画像600に対して重畳させた合成画像610を生成し、得られた合成画像610を表示させる、
再生中処理が、動画再生中に行われる、
デジタルカメラ100。」

3 引用文献A

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0038】
ここで、本実施の形態に係るディスク再生装置100のシステムとしての使用形態の一例を図4に示し説明する。例えば、ディスク再生装置100は、BD-ROM10、リムーバブルメディア42、モニタ43、WWWサーバー44、リモコン45とシステム構成される。
【0039】
モニタ43は、再生映像を表示する装置である。また、ユーザーに対してポップアップメニューおよびユーザーインターフェースなどの操作メニューを表示する。よって、ユーザーは、リモコン45を使って視覚的にディスク再生装置100を操作することができる。なお、モニタ43の表示画面上にタッチパネル46を取り付けて、ユーザーが操作できるようにしてもよい。この時、信号処理手段15は、ユーザーが指などでタッチパネル46に触れた画面上の位置を検出し、当該画面上の位置に表示されるポップアップメニューおよびユーザーインターフェースのボタンに対応する各種ユーザー操作をユーザー操作手段18に実行させるようにすることもできる。
続きを表示(全12行)
【0040】
リモコン45は、ディスク再生装置100を遠隔的にユーザー操作するための装置である。ユーザーは、リモコン45やディスク再生装置100上のボタンを操作すれば、BD?ROM10に記録されたコンテンツの再生などすることができる。
【0041】
ここで、ポップアップメニューの表示例を図5を用いて説明する。
【0042】
図5(a)の円形の物体が複数描かれている再生画面で、ユーザーがリモコンなどでポップアップメニューキーを操作する。そうすると、図5(b)のように再生中の画面の上にポップアップメニュー例50がモニタ43に表示される。ポップアップメニュー例50は、ユーザー操作を行うためのボタンが用意され、選択中のボタンがハイライト51により強調表示されている。
【0043】
ポップアップメニュー例50により、ユーザー操作可能な主な機能は、再生しているタイトルの変更、音声・字幕の言語切換やチャプターの変更などがあり、再生中にユーザーが操作したい機能を盛り込むことが可能である。」
「【図5】
[図:0001391249000002.jpg]
」

4 引用文献B

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0015] 図1には、ユーザが操作体である指Fで端末装置10が表示させる表示画面20上の任意の点P1を指定したときに表示されるアイコンIが示される。このアイコンIは、所定の機能と対応づけられた表示オブジェクトの一例であり、所定の機能を実行するためのショートカット機能を有する。また複数のアイコンIは、指定された点P1からいずれかの方向を指定したときに、1つのアイコンIが特定される位置に配置される。例えばこのような配置の一例としては、指定された点P1を取り囲む配置が挙げられる。例えばこのときアイコンIは、指定された点P1を取り囲む円形上に配置されてよい。図1には、指定された点P1を略中心とする円C1上に複数のアイコンIが配置される例が示される。アイコンIの配置の一例としては、円形の他に三角形、四角形を含む多角形、楕円形などが挙げられる。またこの円形、多角形、楕円形などの形状は、その一部が欠けた状態であってもよいことは言うまでもない。

[0016] このように、指定された点P1からの方向が示されたときに、いずれかのアイコンIが特定されるようにアイコンIが配置されると、ユーザは、表示画面20上において任意の点P1を指定し、この点P1からいずれかの方向を指定することによって、所望の機能を実行させることができる。ユーザの操作性を考えたとき、できるだけ小さい動きで所望の機能を実行させることができることが望ましい。したがって、画面上にアイコンIが予め決まった配置で表示された画面を用いる方法、及び階層構造のメニューから所望の項目を段階的に選択する方法と比較して、ユーザの動きが小さい本開示の方法は、操作性の観点から望ましい。

「[図1]
[図:0001391249000003.jpg]
」

第6 当審拒絶理由2の理由1について(引用発明との対比・判断)

1 本願発明1について

(1)対比

ア 請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「タッチパネル処理装置1における方法」は、「タッチパネル3上をタッチしてパネルにタッチした状態のまま所定方向に軽く指をはじく操作」である「フリック操作」が「された場合」に「「一時停止」処理として再生中のコンテンツを一時停止する」するといった動作を行うものであり、「指」がユーザーの指であることが明らかであるから、当該「方法」は、「タッチパネル処理装置1」においてユーザーから「タッチ」や「フリック操作」による入力を受け付ける「ユーザーインタフェースを提供する」ものであり、「タッチパネル処理装置1」は、「タッチパネル3」を指によって「タッチ」することで「操作する」ものであるといえる。

また、引用発明の「タッチパネル処理装置1」において、「表示部2は、動画の画面を表示し」、「タッチパネル3は、表示部2の画面上へのタッチ及びタッチ位置(XY座標)を検出」するから、「タッチパネル3」を「タッチ」することは、実質的に「画面」を「タッチ」することであるといえる。

そして、引用発明の「タッチパネル処理装置1」は、本願発明1の、「電子機器」に含まれる。

以上のことから、後述する相違点は別として、引用発明と本願発明1とは、

「画面を指によってタッチすることで操作する電子機器においてユーザーインタフェースを提供する方法」

である点で一致している。

(イ)引用発明は、「コンテンツにはビデオコンテンツがあり」、「表示部2は、動画の画面を表示し」、「コンテンツファイル再生中にタッチパネル3がタッチされた場合」に「操作ガイド」が「タッチ位置を中心として表示部2の画面に表示される」ものである。

ここで、上記(ア)のとおり、(「タッチパネル3」への)「タッチ」が、ユーザーからの入力であり、実質的に「画面」を「タッチ」することであることを踏まえると、引用発明は、「画面」において「ビデオコンテンツ」としての「動画」を「再生」し、当該「再生」を行っている「画面」の領域におけるユーザーの「タッチ」を「検出する」ことを行うものであるといえる。

したがって、引用発明は、本願発明1の

「画面において動画を再生するステップと、動画を再生している領域におけるユーザーのタッチを検出するステップ」

に相当する構成を有している。

(ウ)引用発明は、「コンテンツファイル再生中にタッチパネル3がタッチされた場合」に「操作ガイド」が「タッチ位置を中心として表示部2の画面に表示され」るものであり、また、

「操作ガイドの中心位置には「全画面表示」、上方向には「一時停止」、下方向には「操作ガイド非表示」、左方向には「早戻し」、右方向には「早送り」を示す記号がそれぞれ表示され、それぞれの記号は、再生中のコンテンツに対しての制御に対応しており、
タッチ位置が移動したか否か判断し、例えば上方向にフリック操作された場合、タッチ位置が移動したと判断し、
タッチ位置が移動した場合、移動したタッチ位置を検出し、検出された移動後のタッチ位置の機能区画を判定し、
タッチパネルのタッチが解除されたか否か判断し、解除された場合、判定された機能区画に割り当てられた機能を実行し、
上方向にフリック操作された場合、「一時停止」処理として再生中のコンテンツを一時停止する」

との構成を有するものである。

ここで、「操作ガイド」における「一時停止」、「操作ガイド非表示」等の「記号」は、「タッチパネル3」への「タッチ」の「検出」に「応答」して、「再生中のコンテンツ」上において、前記「タッチ」の「位置を中心として」、その位置の「周囲に」、「新規に表示する」ものであるといえる。

また、上記(イ)から、「再生中のコンテンツ」は「動画」であり、上記「操作ガイド」を表示する前後において、「上方向にフリック操作され」て「再生中のコンテンツを一時停止する」ことがなされるまでの間、当該「動画」が「引き続き再生させ」られた状態であることが明らかである。

そして、「一時停止」、「操作ガイド非表示」等の「記号」は、複数であり、いずれも、「再生中のコンテンツに対しての制御」に関するもの、すなわち、「動作が関連づけられた」ものであるとともに、ユーザーの「フリック操作」を補助するといえ、本願発明1の「フリック補助表示」に相当する。

以上のことから、引用発明は、本願発明1の

「前記タッチの検出に応答して、前記動画を引き続き再生させながら、前記動画上の前記タッチの位置の周囲に、それぞれ動作が関連づけられた複数のフリック補助表示を新規に表示するステップ」

に相当する構成を有している。

(エ)上記(ウ)で述べた引用発明の構成において、「タッチパネルのタッチが解除されたか否か判断し、解除された場合」とは、「例えば上方向にフリック操作された場合」に、「一時停止」を示す「記号」に対応する「フリック操作」の「完了を検出する」ことがなされた場合であることが明らかである。

また、上記場合に「判定された機能区画に割り当てられた機能を実行」することは、「再生中のコンテンツに対しての制御」として、例えば、「上方向にフリック操作された場合、「一時停止」処理として再生中のコンテンツを一時停止する」といった「動作を実行する」ことであることも明らかである。

以上の点について、上記(ウ)で更に検討した点も踏まえると、引用発明は、本願発明1の

「前記動画を引き続き再生させながら、前記フリック補助表示に対応するフリック操作の完了を検出するステップと、前記フリック補助表示に関連づけられた動作を実行するステップ」

に相当する構成を有している。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。

(一致点)

「画面を指によってタッチすることで操作する電子機器においてユーザーインタフェースを提供する方法であって、画面において動画を再生するステップと、動画を再生している領域におけるユーザーのタッチを検出するステップと、前記タッチの検出に応答して、前記動画を引き続き再生させながら、前記動画上の前記タッチの位置の周囲に、それぞれ動作が関連づけられた複数のフリック補助表示を新規に表示するステップと、前記動画を引き続き再生させながら、前記フリック補助表示に対応するフリック操作の完了を検出するステップと、前記フリック補助表示に関連づけられた動作を実行するステップとを有する方法。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。

(相違点)

本願発明1は、「前記タッチの検出に応答して、動画の再生速度を変化させる」のに対して、引用発明は、「コンテンツファイル再生中にタッチパネル3がタッチされた場合」に「再生」の速度を変化させるものではない点。

(2)判断

そこで、上記相違点について検討する。

再生中の動画に対する操作が複数の候補から選択可能な状態とされてから選択がなされるまでの間、動画の再生速度を変化させるとの事項については、引用文献1~6のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。例えば、引用文献2には上記第5の2(2)のとおりの発明が記載されていると認められるものの、当該発明の「再生していた動画像を停止」することは、動画の再生速度を変化させることとは異なるものである。

よって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1~6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2~12について

本願発明2~10は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明11,12は、それぞれ、方法の発明である請求項1~10のいずれかを引用する形式のプログラムの発明、「電子機器」の発明であるから、いずれも、上記相違点に対応する発明特定事項を含む。そうすると、本願発明2~12も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1~6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括

以上のとおりであるから、当審拒絶理由2の理由1は解消した。

なお、当審拒絶理由1は、当審拒絶理由2の引用文献1~6の一部である引用文献1に基づく新規性欠如、及び、同じく引用文献1~4に基づく進歩性欠如の拒絶理由であるから、当審拒絶理由1も当然に解消している。

第7 当審拒絶理由2の理由2について

当審拒絶理由2の理由2は、請求項4の記載の意味が、請求項4が引用する請求項2の記載との関係で不明であるとしたものであるが、その後の補正により請求項2が削除されているから、当審拒絶理由2の理由2は解消した。

第8 当審拒絶理由3について

令和4年6月7日に提出された手続補正書に係る補正(以下、「本件補正」という。)の結果、請求項12は、請求項1~10のいずれかを引用するものとして記載されているから、経済産業省令で定めるところにより記載されたものである。

よって、当審拒絶理由3は解消した。

第9 原査定についての判断

本件補正により、本願発明1~12は、「前記タッチの検出に応答して、動画の再生速度を変化させる」との技術的事項を含むものとなり、当該技術的事項ついては、引用文献A~Dには記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1~12は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Dに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第10 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-015506

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