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特許拒絶査定不服審判

2020-013817

二次元コード読み取りプログラム、二次元コード読み取り装置、および売上データ処理装置

審判番号
2020-013817
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-144160外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年10月02日
審決日
2021年04月15日
公報発行日
2021年06月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-144160「二次元コード読み取りプログラム、二次元コード読み取り装置、および売上データ処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日出願公開、特開2018- 14017、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は,平成28年7月22日の出願であって,令和2年3月30日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年4月21日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がされたが,令和2年8月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年10月2日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年10月29日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和2年10月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-7に係る発明は,以下の引用文献1に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧

1.特開2014-160315号公報

第3 本願発明

本願請求項1ないし7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は,令和2年10月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりのものである。

「【請求項1】
撮像部を備える携帯端末のコンピュータを、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて二次元コードを認識する認識手段、
前記認識手段により認識した二次元コードが、所定の情報を複数に分割して分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された複数の二次元コードのうちの何れか一つであった場合に、前記所定の情報の読み取り状況として前記複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる表示制御手段、
続きを表示(全31行)
として機能させ、
前記表示制御手段は、前記複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる場合には、前記複数の二次元コードの最初の一つを認識できた段階で前記所定の情報の分割数と等しい数のアイコンであってそれぞれが前記複数の二次元コードの何れかに対応する複数のアイコンを並べた表示を前記分割数を示す情報に基づいて開始させるとともに、認識済みの二次元コードに対応するアイコンと未認識の二次元コードに対応するアイコンとの間で表示態様が異なるように前記複数のアイコンを表示させる、
ことを特徴とする二次元コード読み取りプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記認識手段により前記複数の二次元コードの全てが認識された場合に、前記複数の二次元コードのそれぞれに含まれる分割情報に基づいて前記所定の情報を再構成する再構成手段、
として機能させることを特徴とする請求項1に記載の二次元コード読み取りプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記再構成手段により前記所定の情報が再構成された場合に、その旨を報知させる報知制御手段、
として機能させることを特徴とする請求項2に記載の二次元コード読み取りプログラム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記認識手段によって認識された二次元コードが前記複数の二次元コードのうち、どの番数であるかを前記アイコンに対応付けて表示させる、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載の二次元コード読み取りプログラム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記アイコンを表示させている画面に、前記撮像部が撮像した画像をスルー表示させると共に、前記認識手段によって認識された二次元コードの領域を認識順番に応じた色の矩形枠で囲って表示させる、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載の二次元コード読み取りプログラム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項に記載の二次元コード読み取りプログラムを実行するコンピュータに前記所定の情報を再構成させるため、前記所定の情報を複数に分割してエンコードすることにより前記複数の二次元コードを生成するとともに当該生成した複数の二次元コードを所定の媒体に出力する、
ことを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項7】
画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて二次元コードを認識する認識部と、
前記認識部により認識した二次元コードが、所定の情報を複数に分割して分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された複数の二次元コードのうちの何れか一つであった場合に、前記所定の情報の読み取り状況として前記複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる場合には、前記複数の二次元コードの最初の一つを認識できた段階で前記所定の情報の分割数と等しい数のアイコンであってそれぞれが前記複数の二次元コードの何れかに対応する複数のアイコンを並べた表示を前記分割数を示す情報に基づいて開始させるとともに、認識済みの二次元コードに対応するアイコンと未認識の二次元コードに対応するアイコンとの間で表示態様が異なるように前記複数のアイコンを表示させる、
ことを特徴とする二次元コード読み取り装置。」

第4 引用文献,引用発明等

1 引用文献1について

ア 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,特開2014-160315号公報(以下,これを「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同じ。)

a 「【0018】
図1に示すように、読取情報照合システム10は、特定用コードCsや照合用コードCmなどの情報コードを光学的に読み取るための携帯型の光学的情報読取装置11を備えている。この光学的情報読取装置11は、図2に示すように、外郭を構成するケース12の内部に回路部20が収容されてなるものであり、回路部20は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系とを備えている。
【0019】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、特定用コードCsが付された照合対象Rに向けて照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
【0020】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C-MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、情報コードに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されている。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。」
b 「【0024】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する照合処理、解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。」
c 「【0028】
次に、本発明の特徴的構成について、図3および図4を用いて以下に説明する。図3は、特定用コードCsのデータフォーマットを示す説明図である。図4は、所定数のカテゴリのいずれかに区分けされる照合対象を概念的に示す説明図である。
【0029】
本実施形態では、所定数のカテゴリのいずれかに区分けされる照合対象について、1回の照合作業にて、カテゴリごとに1つずつの照合対象をまとめてマスターデータと照合する場合を想定している。上記照合作業では、照合対象に付された特定用コードCsを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされた後に、照合用コードCmを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされる。
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【0030】
読取情報照合システム10では、上記照合作業での光学的情報読取装置11を用いた読み取り回数を削減して当該照合作業の簡素化を図るために、特定用コードCsおよび照合用コードCmを以下のように生成する。
【0031】
特定用コードCsは、他の同種の情報コードと連結可能なQRコード(登録商標)であって、図3に示すように、読み取らせたいデータである特定用情報の前に、連結モードインジケータと、コード番号と、分割数と、パリティデータとが付加されてコード化されている。ここで、連結モードインジケータは、連結可能なQRコードであることを示す所定の連結情報であり、例えば、「0011」に設定される。また、コード番号は、属するカテゴリを示すカテゴリ番号に相当するものであり、例えば、4ビットの値で設定される。また、分割数は、上記所定数に相当するカテゴリ数を示す情報であり、例えば、4ビットの値で設定される。
【0032】
また、パリティデータは、本実施形態では、その特定用コードCsの特定用情報とは関係なく各照合対象にて共通な値に設定される。なお、パリティデータは、本実施形態と異なる通常の連結QRコードでは、特定用情報に応じて設定される情報であって、例えば、分割前のデータ(連結後の統合データ)をバイトごとにXOR演算で得られる値として設定される。
【0033】
すなわち、連結モードインジケータを有する特定用コードCsから読み取られた特定用情報は、他のコード番号であって分割数およびパリティデータが同じ他の特定用コードCsから読み取られた特定用情報と連結することができる。
・・・中略・・・
【0036】
また、照合用コードCmは、照合すべき各照合対象の特定用情報をコード番号順に連結したデータが、上述した照合用情報としてコード化されて生成される。例えば、カテゴリ1の「CPU A」と、カテゴリ2の「メモリ B」と、カテゴリ3の「マザーボード C」と、カテゴリ4の「HDD D」とをマスターデータと照合するための照合用コードCmは、「CPU A」の特定用情報、「メモリ B」の特定用情報、「マザーボード C」の特定用情報および「HDD D」の特定用情報がコード番号順に連結された照合用情報が、コード化されて生成される。すなわち、上述のように生成される照合用コードCmを読み取ると、「CPU A」、「メモリ B」、「マザーボード C」および「HDD D」の各特定用情報が取得される。」
d 「【0041】
以下、上述のように生成される照合用コードCmおよび各特定用コードCsを読み取る照合作業時に光学的情報読取装置11の制御回路40にて実行される照合処理について、「CPU A」、「メモリ B」、「マザーボード C」および「HDD D」を照合する場合を例に、図5~図9を参照して説明する。図5~図7は、制御回路40にて実施される照合処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、1回の照合作業時における読取作業順を例示する説明図である。図9は、照合対象の追加と削除に関する影響を説明する説明図である。
【0042】
光学的情報読取装置11が情報コードを読取可能な状態となると、図5のステップS101に示す判定処理がなされる。この判定処理では、特定用コードCsを読み取っていることを前提に順次取得した各特定用情報を連結するための連結コード編集モードが設定されているか否かについて判定される。ここで、キー操作部42に対する所定の操作に応じて連結コード編集モードが設定されている場合には(S101でYes)、ステップS103に示す撮像処理がトリガースイッチ41の操作等を受けてなされる。例えば、撮像可能エリア内に「CPU A」に付される特定用コードCs1が存在する場合にはこの特定用コードCs1が撮像され、この特定用コードCs1のコード画像がメモリ35に記憶される。
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【0043】
続いて、ステップS105に示すデコード処理がなされ、撮像画像に含まれるコード画像に対して公知のデコード処理がなされる。このデコードが成功することで(S107でYes)、連結モードインジケータ、コード番号、分割数およびパリティデータと、「CPU A」を特定する特定用情報とが取得される。
【0044】
次に、上述のようにデコード結果に連結モードインジケータが含まれていることから特定用コードCsを読み取っているとして、ステップS109にてYesと判定される。なお、デコード処理が失敗した場合(S107でNo)やデコード結果に連結モードインジケータが含まれていない場合(S109でNo)には、上記ステップS103からの処理が再びなされる。
【0045】
上述のようにデコード結果に連結モードインジケータが含まれている場合、ステップS111に示す判定処理にて、読み取った特定用コードCsが初回読み取りであるか否かについて判定される。ここで、「メモリ B」の特定用コードCs2、「マザーボード C」の特定用コードCs3および「HDD D」の特定用コードCs4がいずれも読み取られておらず、「CPU A」の特定用コードCs1がまず最初に読み取られている場合には初回読み取りであるとして(S111でYes)、ステップS113に示す連結用コード情報取得処理がなされる。この処理では、上記デコード処理にて取得した分割数およびパリティデータが連結用コード情報として取得される。続いて、ステップS115に示す特定用情報セット処理がなされ、上記デコード処理にて取得した「CPU A」の特定用情報がそのコード番号1に関連付けられて取得される。
【0046】
そして、ステップS117に示す判定処理にて分割数分の特定用情報が取得されているか否かについて判定され、上述のように「CPU A」の特定用情報のみ取得されていることから(S117でNo)、上記ステップS103からの処理が再びなされる。なお、上記ステップS117に示す判定処理を実施する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「判定手段」の一例に相当し得る。
・・・中略・・・
【0052】
そして、「マザーボード C」の特定用コードCs3が読み取られることで、「マザーボード C」の特定用情報がそのコード番号3に関連付けられて取得された後に、「HDD D」の特定用コードCs4が読み取られることで、「HDD D」の特定用情報がそのコード番号4に関連付けられて取得されると、分割数分の特定用情報が取得されているとして(S117でYes)、図6のステップS127に示す連結特定用情報生成処理がなされる。この処理では、上記ステップS115に示す特定用情報セット処理および上記ステップS125に示す特定用情報セット処理にてそれぞれ取得された特定用情報がコード番号順に連結される。これにより、「CPU A」、「メモリ B」、「マザーボード C」および「HDD D」を照合するための連結特定用情報の生成が完了する。なお、上記連結特定用情報生成処理を実施する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「生成手段」および「並べ替え手段」の一例に相当し得る。」
e 「【0067】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。(1)上記ステップS117に示す判定処理にて分割数分の特定用情報が取得されていないと判定される場合に、読み取られていないカテゴリに関する情報を液晶表示器46に表示することで報知してもよい。例えば、「CPU A」、「メモリ B」および「マザーボード C」の特定用コードCs1~Cs3を読み取っており、「HDD D」の特定用コードCs4が読み取られていない場合には、カテゴリ4に関する情報やコード番号4の照合対象の特定用コードCsが読み取られていない旨を報知することができる。この場合、液晶表示器46は、「報知手段」の一例に相当し得る。また、例えば、報知手段として機能する発光部43、ブザー44、バイブレータ45等を用いて、読み取られていないカテゴリに関する情報を報知してもよい。」
f 「図3
」
g 「図5
」
h 「図6
」

i 上記aの段落【0018】及び【0020】には,“照明光源21, 固体撮像素子である受光センサ28,結像レンズ27等の光学系と,メモリ35,制御回路40等のマイクロコンピュータ系とを備えている,特定用コードCsや照合用コードCmなどの情報コードを光学的に読み取るための携帯型の光学的情報読取装置11”が記載されている。

また,上記bの段落【0024】には,“メモリ35は,RAMやROMであって,ROMには,照合処理を実行可能な所定プログラムが格納されている”ことが記載されている。

また,上記dの段落【0041】には,“図5は,制御回路40にて実施される照合処理の流れを例示するフローチャートである”ことが記載されている。

してみると,引用文献1には,“照明光源21,受光センサ28,結像レンズ27等の光学系と,メモリ35,制御回路40等のマイクロコンピュータ系とを備えている,特定用コードCsや照合用コードCmなどの情報コードを光学的に読み取るための携帯型の光学的情報読取装置11における,メモリ35に格納された,制御回路40にて実施される照合処理のプログラム”が記載されているといえる。

j 上記cの段落【0029】には,“照合作業は,照合対象に付された特定用コードCsを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされた後に,照合用コードCmを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされることである”ことが記載されている。

また,段落【0031】ないし【0033】には,“特定用コードCsは,他の同種の情報コードと連結可能なQRコードであって,読み取らせたいデータである特定用情報の前に,連結モードインジケータと,コード番号と,分割数と,パリティデータとが付加されてコード化されており,ここで,連結モードインジケータは,連結可能なQRコードであることを示す所定の連結情報であり,また,コード番号は,属するカテゴリを示すカテゴリ番号に相当するものであり,また,分割数は,カテゴリ数を示す情報であり,また,パリティデータは,その特定用コードCsの特定用情報とは関係なく各照合対象にて共通な値に設定されたものであり,そして,連結モードインジケータを有する特定用コードCsから読み取られた特定用情報は,他のコード番号であって分割数およびパリティデータが同じ他の特定用コードCsから読み取られた特定用情報と連結することができるものである”ことが記載されている。

さらに,上記cの段落【0036】には,“照合用コードCmは,照合すべき各照合対象の特定用情報をコード番号順に連結したデータが,照合用情報としてコード化されて生成されるものである”ことが記載されている。

k そして,上記dの段落【0041】ないし【0052】,図5及び図6には,“「CPU A」,「メモリ B」,「マザーボード C」および「HDD D」を照合する場合の,照合用コードCmおよび各特定用コードCsを読み取る照合作業時に光学的情報読取装置11の制御回路40にて実行される照合処理は,トリガースイッチ41の操作等を受け,撮像可能エリア内に「CPU A」に付される特定用コードCs1を撮像し,この特定用コードCs1のコード画像をメモリ35に記憶するステップS103,撮像画像に含まれるコード画像に対して公知のデコード処理をし,連結モードインジケータ,コード番号,分割数およびパリティデータと,「CPU A」を特定する特定用情報とを取得するステップS105及びステップS107,デコード結果に連結モードインジケータが含まれているかによって特定用コードCsを読み取っているか判定するステップS109,デコード結果に連結モードインジケータが含まれている場合に,読み取った特定用コードCsが初回読み取りであるか否かについて判定するステップS111,「CPU A」の特定用コードCs1が最初に読み取られている場合には初回読み取りであるとして,上記デコード処理にて取得した分割数およびパリティデータを連結用コード情報として取得するステップS113,デコード処理にて取得した「CPU A」の特定用情報をそのコード番号1に関連付けて取得するステップS115,分割数分の特定用情報が取得されているか否かについて判定するステップS117,S117でNoの場合には,ステップS103からの処理を再び行うこと,また,S117でYesの場合には,取得された特定用情報をコード番号順に連結する連結特定用情報生成処理,からなる”ことが記載されている。

m さらに,上記eの段落【0067】には,“ステップS117に示す判定処理にて分割数分の特定用情報が取得されていないと判定される場合には,読み取られていないカテゴリに関する情報を液晶表示器46に表示することで報知すること“が記載されている。

イ 上記aないしmの記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「照明光源21, 固体撮像素子である受光センサ28,結像レンズ27等の光学系と,メモリ35,制御回路40等のマイクロコンピュータ系とを備えている,特定用コードCsや照合用コードCmなどの情報コードを光学的に読み取るための携帯型の光学的情報読取装置11における,メモリ35に格納された,制御回路40にて実施される照合処理のプログラムにおいて,
照合作業は,照合対象に付された特定用コードCsを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされた後に,照合用コードCmを光学的情報読取装置11により読み取る読取作業がなされることであり,
特定用コードCsは,他の同種の情報コードと連結可能なQRコードであって,読み取らせたいデータである特定用情報の前に,連結モードインジケータと,コード番号と,分割数と,パリティデータとが付加されてコード化されており,ここで,連結モードインジケータは,連結可能なQRコードであることを示す所定の連結情報であり,また,コード番号は,属するカテゴリを示すカテゴリ番号に相当するものであり,また,分割数は,カテゴリ数を示す情報であり,また,パリティデータは,その特定用コードCsの特定用情報とは関係なく各照合対象にて共通な値に設定されたものであり,そして,連結モードインジケータを有する特定用コードCsから読み取られた特定用情報は,他のコード番号であって分割数およびパリティデータが同じ他の特定用コードCsから読み取られた特定用情報と連結することができるものであり,
照合用コードCmは,照合すべき各照合対象の特定用情報をコード番号順に連結したデータが,照合用情報としてコード化されて生成されるものであって,
「CPU A」,「メモリ B」,「マザーボード C」および「HDD D」を照合する場合の,照合用コードCmおよび各特定用コードCsを読み取る照合作業時に光学的情報読取装置11の制御回路40にて実行される照合処理は,トリガースイッチ41の操作等を受け,撮像可能エリア内に「CPU A」に付される特定用コードCs1を撮像し,この特定用コードCs1のコード画像をメモリ35に記憶するステップS103,撮像画像に含まれるコード画像に対して公知のデコード処理をし,連結モードインジケータ,コード番号,分割数およびパリティデータと,「CPU A」を特定する特定用情報とを取得するステップS105及びステップS107,デコード結果に連結モードインジケータが含まれているかによって特定用コードCsを読み取っているか判定するステップS109,デコード結果に連結モードインジケータが含まれている場合に,読み取った特定用コードCsが初回読み取りであるか否かについて判定するステップS111,「CPU A」の特定用コードCs1が最初に読み取られている場合には初回読み取りであるとして,上記デコード処理にて取得した分割数およびパリティデータを連結用コード情報として取得するステップS113,デコード処理にて取得した「CPU A」の特定用情報をそのコード番号1に関連付けて取得するステップS115,分割数分の特定用情報が取得されているか否かについて判定するステップS117,S117でNoの場合には,ステップS103からの処理を再び行うこと,また,S117でYesの場合には,取得された特定用情報をコード番号順に連結する連結特定用情報生成処理を行うこと,からなり,
また,ステップS117に示す判定処理にて分割数分の特定用情報が取得されていないと判定される場合には,読み取られていないカテゴリに関する情報を液晶表示器46に表示することで報知する,
制御回路40にて実施される照合処理のプログラム。」

2 引用文献2について

ア 本願の出願日前に頒布され,前置報告において周知技術を示す文献として引用された,特開平10―187872号公報(以下,これを「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0013】この2次元コード読取装置で読取りの対象となる2次元コードは、図3に示すように大量のデータをコード化して1つの2次元コード10で表す代わりに、そのデータをコード化して複数の2次元コード11,12,13,14に分けて表し、さらに各2次元コード11,12,13,14にその順番号情報としての順番号データ及び全情報シンボル数情報としての全コード数データをコード化して持たせるようにしたものである。
【0014】この順番号データ及び全コード数データについては、その順番号データを1,2,3,4、全コード数データを4という具合にそれぞれ単独のデータで構成してもよいし、また、分子を順番号データ、分母を全コード数としてまとめた分数(1/4,2/4,3/4,4/4)で構成してもよい。
【0015】上記MPU1は、順番号データ及び全コード数データを持つ、図3に示すような複数個の2次元コード11,12,13,14を読取るときには、図2に示すような2次元コード読取制御を行うようになっている。すなわち、MPU1はST(ステップ)1にてRAM3のスタックエリアをクリアするとともに、最初のスタックエリアに記憶されるように設定する等の初期設定を行う。このとき、既に読取った2次元コード数kを0に初期化しておく。
【0016】次に、ST2にてハンディスキャナ7からの2次元コード1つ分のイメージデータを入力する。すなわち、ハンディスキャナ7のスイッチをオンして、ハンディスキャナ7の読取窓の枠内に1つの2次元コードが入るようにその2次元コードが印刷等された媒体にハンディスキャナ7を当接させるという操作者による2次元コードの読取り作業が行われると、その作業により読取られた2次元コードの画像データを通信ケーブル及びスキャナインタフェース6を介して入力する。
【0017】そして、ST3にてこの画像データを2値化してデコードする(解析手段)。次に、既に読取った2次元コード数kが0か否かを判断する。このとき、既に読取った2次元コード数kが0であると判断した場合は、ST5にて読取った2次元コードの2値化データから全コード数データを認識し、ST6にて認識した全コード数データをnとしてRAM3に記憶しておく。
【0018】続いて、ST7にて読取った2次元コードの2値化データから順番号データを認識し、ST8にてその順番号データが既に読取った2次元コードのものか否か、すなわち2度読みか否かを判断する(2度読み判断手段)。このとき、既に読取った2次元コードの順番号データであると判断した場合は、ST9にて当該2次元コードのデータを破棄する(データ破棄手段)。
【0019】また、ST8にて既に読取った2次元コードの順番号データでないと判断した場合は、ST10にて当該2次元コードのデータをRAM3のスタックエリアの1つに記憶する。
【0020】次に、ST11にて既に読取った2次元コード数kをインクリメントし(情報シンボル数カウント手段)、ST12にて全コード数nと既に読取った2次元コード数kを比較し、n≦kでない、すなわち未だすべての2次元コードを読取っていないと判断した場合は、ST13にてRAM3の次の2次元コードのデータを記憶するスタックエリアに更新し、ST14にて未だ読取っていない残りの2次元コード数(n-kの値)を表示コントローラ4を制御して表示器5に表示する(表示制御手段)。」

イ 上記の記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記引用文献2には次の技術事項(以下,「引用発明2に記載の技術事項」という。)が記載されている。

「所定のデータを複数に分割して全情報シンボル数を示す情報とともにコード化することにより生成された複数の2次元コードを読取る際に,未だ読取っていない残りの2次元コードの数を表示させること。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「受光センサ28」は,「固体撮像素子である」から,本願発明1の「撮像部」に相当する。

また,引用発明の「光学的情報読取装置11」は,「受光センサ28」を備え,「携帯型」であるから,本願発明1の「撮像部を備える携帯端末」に相当する。

そして,引用発明の「光学的情報読取装置11」の「制御回路40」は,本願発明1の「撮像部を備える携帯端末のコンピュータ」に相当する。

イ 引用発明の「特定用コードCs」は,「QRコードであって」,二次元コードであるといえ,また,「読み取らせたいデータである特定用情報の前に,連結モードインジケータと,コード番号と,分割数と,パリティデータとが付加されてコード化」したものであって,さらに,「特定用情報」は「コード番号順に連結し」「照合用コードCm」となるものであり,各「特定用コードCs」の「特定用情報」は,「照合用コードCm」の連結された情報の一部といえる。

してみると,引用発明の「照合用コードCm」の「特定用情報」が連結された情報は,本願発明1の「所定の情報」に相当し,また,引用発明の「特定用コードCs」と,本願発明1の「所定を複数に分割して分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された」「二次元コード」とは,後記の点で相違するものの,“所定の情報の一部が分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された二次元コード”である点で共通する。

そして,引用発明の「CPU A」,「メモリ B」,「マザーボード C」および「HDD D」に付された「特定用コードCs」は,本願発明1の「複数の二次元コード」に対応する。

ウ 引用発明の「プログラム」は,「制御回路40にて実施される」ものであって,「撮像可能エリア内に「CPU A」に付される特定用コードCs1を撮像し,この特定用コードCs1のコード画像をメモリ35に記憶」し,「撮像画像に含まれるコード画像に対して公知のデコード処理をし,連結モードインジケータ,コード番号,分割数およびパリティデータと,「CPU A」を特定する特定用情報とを取得する」ものであり,撮像した画像に基づいて「特定用コードCs」の認識を行っているといえ,また,「撮像」が「受光センサ28」によって行われていることは明らかである。してみると,引用発明の「プログラム」は,「制御回路40」を,「受光センサ28」が撮像した画像に基づいて「特定用コードCs」を認識する手段として機能させている,特定用コードCs1の読み取りプログラムといえる。

また,引用発明の「プログラム」は,「「CPU A」,「メモリ B」,「マザーボード C」および「HDD D」を照合する場合」に,「「CPU A」に付される特定用コードCs1を撮像し」,「撮像画像に含まれるコード画像に対して公知のデコード処理をし,連結モードインジケータ,コード番号,分割数およびパリティデータと,「CPU A」を特定する特定用情報とを取得」し,「デコード結果に連結モードインジケータが含まれているかによって特定用コードCsを読み取っているか判定」し,「デコード結果に連結モードインジケータが含まれている場合に,読み取った特定用コードCsが初回読み取りであるか否かについて判定」し,「「CPU A」の特定用コードCs1が最初に読み取られている場合には初回読み取りであるとして,上記デコード処理にて取得した分割数およびパリティデータを連結用コード情報として取得」し,「分割数分の特定用情報が取得されているか否かについて判定」し,「分割数分の特定用情報が取得されていないと判定される場合には,読み取られていないカテゴリに関する情報を液晶表示器46に表示」するものである。そして,「照合用コードCm」は,「特定用情報」を「コード番号」すなわち「カテゴリを示すカテゴリ番号」の「順に連結した」ものであるから,「読み取られていないカテゴリに関する」表示は,「照合用コードCm」の「特定用情報」が連結された情報の読み取りの認識状況と認められる。

してみると,引用発明の「プログラム」は,「制御回路40」を,認識した「特定用コードCs」が,「照合用コードCm」の「特定用情報」が連結された情報の一部が分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された複数の「特定用コードCs」のうちの何れか一つであった場合に,「照合用コードCm」の「特定用情報」が連結された情報の読み取り状況として前記複数の「特定用コードCs」の認識状況を表示させる手段として機能させている特定用コードCs1の読み取りプログラムであって,さらに,「特定用コードCs」の認識状況を表示させる場合には,前記複数の「特定用コードCs」の最初の一つを認識できた段階で未認識の「特定用コードCs」に関する表示を表示させているといえる。

したがって,上記ア及びイの検討内容も踏まえると,引用発明の「照合処理のプログラム」と,本願発明1の「二次元コード読み取りプログラム」とは,後記の点で相違するものの,“撮像部を備える携帯端末のコンピュータを,前記撮像部が撮像した画像に基づいて二次元コードを認識する認識手段,前記認識手段により認識した二次元コードが,所定の情報の一部が分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された複数の二次元コードのうちの何れか一つであった場合に,前記所定の情報の読み取り状況として二次元コードの認識状況を表示させる表示制御手段,として機能させ,前記表示制御手段は,前記複数の二次元コードの認識状況を表示させる場合には,前記複数の二次元コードの最初の一つを認識できた段階で,未認識の二次元コードに関する表示を表示させる,二次元コード読み取りプログラム”の点で共通する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,以下の一致点と相違点とがある。

〈一致点〉

「撮像部を備える携帯端末のコンピュータを,
前記撮像部が撮像した画像に基づいて二次元コードを認識する認識手段,
前記認識手段により認識した二次元コードが,所定の情報の一部が分割数を示す情報とともにエンコードすることにより生成された複数の二次元コードのうちの何れか一つであった場合に,前記所定の情報の読み取り状況として二次元コードの認識状況を表示させる表示制御手段,
として機能させ,
前記表示制御手段は,前記複数の二次元コードの認識状況を表示させる場合には,前記複数の二次元コードの最初の一つを認識できた段階で,未認識の二次元コードに関する表示を表示させる,
二次元コード読み取りプログラム。」

〈相違点1〉

「所定の情報の一部」が,本願発明1では「所定の情報を複数に分割し」た情報であるのに対して,引用発明では連結される情報である点。

〈相違点2〉

「表示制御手段」が,本願発明1では「複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる」ものであって,さらに,「前記複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させる場合には」「前記所定の情報の分割数と等しい数のアイコンであってそれぞれが前記複数の二次元コードの何れかに対応する複数のアイコンを並べた表示を前記分割数を示す情報に基づいて開始させるとともに、認識済みの二次元コードに対応するアイコンと未認識の二次元コードに対応するアイコンとの間で表示態様が異なるように前記複数のアイコンを表示させる」ものであるのに対して,引用発明ではそのような複数の二次元コードのそれぞれに対応させるものではなく,さらに,アイコンを用いるものでもない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み相違点2について先に検討する。

引用文献2(上記第4 2)には,所定のデータを複数に分割して全情報シンボル数を示す情報とともにコード化することにより生成された複数の2次元コードを読取る際に,未だ読取っていない残りの2次元コードの数を表示させる技術事項が記載されている。

しかしながら,引用文献2には,複数の二次元コードのそれぞれに対応させて当該二次元コードの認識状況を表示させること,及び,分割数と等しい数のアイコンであってそれぞれが前記複数の二次元コードの何れかに対応する複数のアイコンを並べた表示を行い,認識済みの二次元コードに対応するアイコンと未認識の二次元コードに対応するアイコンとの間で表示態様が異なるように前記複数のアイコンを表示させることは記載されておらず,さらに,これらのことが本願の出願日前に周知の技術であったとも認められない。

したがって,上記相違点2に係る構成が,引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基づき当業者が容易に構成し得たものであるとはいえない。

以上のとおりであるから,他の相違点については検討するまでもなく,本願発明1が引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基づき当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし6について

本願発明2ないし6は,本願発明1を更に限定したものであるので,同様に,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明7について

本願発明7は,本願発明1の「二次元コード読み取りプログラム」を「二次元コード読み取り装置」の観点から記載したものに過ぎないことから,同様に,当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について

<特許法29条2項について>

審判請求時の補正により,本願発明1ないし7は上記第3に示したとおりのものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用発明(上記第4の引用文献1に記載された発明)に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2020-013817

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