2020-011856
制御装置、入力システムおよび制御方法
- 審判番号
- 2020-011856
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-018584外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月25日
- 審決日
- 2022年01月17日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソーテン
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .537-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年2月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年5月15日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1,2,8,9に係る発明は、以下の引用文献A~Cに記載された発明に基いて、請求項3,6に係る発明は、以下の引用文献A~Eに記載された発明に基いて、請求項4,5に係る発明は、以下の引用文献A~C,Eに記載された発明に基いて、請求項7に係る発明は、以下の引用文献A~Eに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年8月10日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「前記第1の振動よりも大きい第2の振動」と記載されているが、「第2の振動」が「第1の振動」よりも、どのような点で(振動に関する何のパラメータを比較して)「大きい」のか不明である。
請求項5,7-9にも、それぞれ「前記第1の振動よりも大きい」との記載がある。
2 理由2(進歩性)
この出願の請求項1~4,6,8,9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、請求項5,7に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 本願発明
本願請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、令和3年10月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】操作面を有するパネルの前記操作面に対するユーザの操作を検出する操作検出部と、前記パネルに取り付けられた振動素子を駆動して前記パネルに振動を発生させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、続きを表示(全47行)前記操作検出部によって前記操作が検出された場合に、前記振動素子を駆動して、前記パネルに第1の振動を発生させた後、前記パネルに前記第1の振動よりも振幅が大きい第2の振動を発生させ、前記第1の振動は、下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状の振動であることを特徴とする制御装置。【請求項2】前記第1の振動は、前記パネルの厚み方向の中心に対して、前記厚み方向の一方または他方のいずれかの側に片寄った振動であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。【請求項3】前記操作は、前記操作面への押圧操作または前記パネルと平行な方向へのスライド操作であることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。【請求項4】前記駆動部は、前記操作の圧力または距離が第1の閾値以上になった場合に前記第1の振動を前記パネルに継続して発生させ、その後、前記圧力または前記距離が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上になった場合に、前記第2の振動を前記パネルに発生させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の制御装置。【請求項5】前記駆動部は、前記パネルに前記第2の振動を発生させた後、前記圧力または前記距離が第3の閾値以下になった場合に、前記第1の振動よりも振幅が大きい第3の振動を前記パネルに発生させることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。【請求項6】前記駆動部は、前記操作検出部によって前記操作が検出されてから予め設定された第1の時間だけ前記第1の振動を前記パネルに発生させた後、前記第1の時間よりも短い予め設定された第2の時間だけ前記第2の振動を前記パネルに発生させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の制御装置。【請求項7】前記駆動部は、前記パネルに前記第2の振動を発生させた後、第3の時間が経過した場合に、前記第1の振動よりも振幅が大きい第3の振動を前記パネルに発生させることを特徴とする請求項6に記載の制御装置。【請求項8】操作面を有するパネルと、前記パネルを振動させる振動素子と、前記操作面に対するユーザの操作を検出する操作検出部と、前記操作検出部によって前記操作が検出された場合に、前記パネルに第1の振動を発生させる駆動電圧を前記振動素子へ出力した後、前記パネルに前記第1の振動よりも振幅が大きい第2の振動を発生させる駆動電圧を前記振動素子へ出力する駆動部と、を備え、前記第1の振動は、下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状の振動であることを特徴とする入力システム。【請求項9】パネルの操作面に対するユーザの操作を検出する工程と、前記操作が検出された場合に、前記パネルに第1の振動を発生させる工程と、前記パネルに前記第1の振動を発生させた後に、前記パネルに前記第1の振動よりも振幅が大きい第2の振動を発生させる工程と、を含み、前記第1の振動は、下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状の振動であることを特徴とする制御方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0030】[実施の形態1]図1は、実施の形態1のタッチパネル付き表示装置の断面構造を示す図である。【0031】実施の形態1のタッチパネル付き表示装置100は、基板1、液晶パネル2、接触センサ3、表面基板4、圧電駆動装置5A、5B、接触センサ処理回路6、画像表示回路7、駆動制御回路8、主制御装置9、及びメモリ10を含む。」
「【0038】圧電駆動装置5A、5Bは、積層された複数の薄板状の圧電素子を電極板で挟んで樹脂製の筐体に収納したパッケージ型の駆動素子である。圧電駆動素子5A、5Bは、図1に示すように、基板1と表面基板4との間に挟まれた状態で、液晶パネル2及び接触センサ3の両側に対をなすように、一つずつ配設される。圧電駆動装置5A、5Bは、実際には、基板1及び表面基板4の紙面を貫く方向の辺と略同じ長さを有する細長い駆動素子である。圧電駆動素子5A、5Bは、電圧が印加されると、積層方向に歪んで変位するため、表面基板4に振動を生成するための振動生成部として用いられる。」
「【0058】図3に示すように、主制御装置9は、接触状態判定回路11、操作完了パターン生成回路12、及び定在波生成回路13を含む。なお、上述のように、主制御装置9は、タッチパネル付き表示装置100の種々の処理を統括する処理装置であるため、ここに示す回路は、主制御装置9のうちの一部分である。【0059】接触状態判定回路11は、接触センサ処理回路6から入力される入力座標情報及び面積情報のうち、面積情報に基づき、操作者による座標入力面(表面基板4の表面)の押圧度合を判定する回路である。主制御装置9は、接触状態判定回路11によって判定される押圧度合が所定の閾値以上の場合は、操作完了パターン生成回路12に処理を実行させ、接触状態判定回路11によって判定される押圧度合が所定の閾値未満の場合は、定在波生成回路13に処理を実行させる。【0060】操作完了パターン生成回路12は、駆動制御回路8に入力する駆動パターンを生成する2つの回路のうちの一方の回路であり、操作者が液晶パネル2に表示するGUIボタンやスライドバーに触れて操作を行う際に、操作完了を知らせるための触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成する。なお、ここでは、「操作完了」とは、実施の形態1のタッチパネル付き表示装置100が操作者の操作入力を認識したことをいう。【0061】定在波生成回路13は、駆動制御回路8に入力する駆動パターンを生成する2つの回路のうちの他方の回路であり、操作者が液晶パネル2に表示するGUI部品であるボタンやスライドバーに触れる際に、実際のボタンに触れているような触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成する。【0062】図4に示すように、定在波生成回路13は、周波数制御回路14、位相制御回路15、及び振幅制御回路16を含む。」
「【0066】周波数制御回路14、位相制御回路15、及び振幅制御回路16によってメモリ10から周波数データ、位相差データ、及び振幅データが読み出されることにより、定在波生成回路13からこれらのデータが出力され、これにより、周波数データ、位相差データ、及び振幅データで表される駆動パターンが主制御装置9から駆動制御回路8に入力される。【0067】なお、定在波の周期、腹や節の位置、及び振幅は、周波数データ、位相差データ、又は振幅データを変更することで調整できる。【0068】また、周波数データ、位相差データ、及び振幅データを変更することにより、複数の波形を重畳させた駆動パターンを生成することもできる。さらに、生成される波形は正弦波に限定されるものではなく、パルス波や三角波等の波形を生成することもできる。また、圧電駆動装置5A、5Bの駆動パターンは、共通パターン又は異なるパターンのいずれで行うこともできる。」
「【0109】主制御装置9は、ステップS2において、押圧度合が所定の閾値未満であると判定した場合は、起動後に予めメモリ10から読み出しておいた周波数データ、振幅データ、及び位相差データを用いて駆動パターン(定在波駆動パターン)を生成する(ステップS3A)。」
「【0115】一方、主制御装置9は、ステップS2で押圧度合が所定の閾値以上であると判定した場合は、GUIボタン23に操作完了を知らせるための触感を与えるための振動を生成する駆動パターン(操作完了駆動パターン)をメモリ10から読み出す(ステップS3B)。【0116】この場合、続くステップS4では、ステップS3Bで生成された駆動パターン(操作完了駆動パターン)を駆動制御回路8に入力し、圧電駆動装置5A、5Bを駆動する。【0117】この操作完了駆動パターンは、例えば、圧電駆動装置5A、5Bを駆動する周波数、位相差、又は振幅を変更して操作者に提供する触感を変えることにより、操作が完了したことを伝達できるパターンであれば、どのようなパターンであってもよい。【0118】なお、ステップS3B及びこれに続くステップS4の処理は、主制御装置9によって実行される。また、ステップS3Bで用いられる操作完了駆動パターンは、図9に示すテーブルとともに格納されていてもよいし、テーブルとは別にメモリ10内に格納されていてもよい。」
「【0124】図11は、実施の形態1のタッチパネル付き表示装置100において、操作者がGUIボタン23に軽く触れた後に、操作を完了させるべく、押圧力を強めた場合の駆動状態を示す特性図である。図11(a)は押圧度合の時間的変化を示し、図11(b)は定在波駆動パターン及び操作完了駆動パターンで圧電駆動装置5A、5Bを駆動した場合の振動波形の関係を示し、図11(c)は定在波が生成された場合に、表面基板4の表面で腹が生成される位置Aと、節が生成される位置Bにおける振幅を示す。位置Aは、図5(a)で言えば、X=X1、X2、X3の位置に相当し、位置Bは、X=X1、X2、X3を挟む4箇所の節の位置に相当する。【0125】図11(a)に示すように、時刻t=0から徐々に押圧度合Pが上昇して行くと、押圧度合Pが閾値P1未満である間は、圧電駆動装置5A、5Bは、定在波を生成するための周波数、位相差(図11(b)では位相差は零)、及び振幅で駆動される。これにより、位置Aでは定在波の腹を生成する振動が生成され、位置Bは定在波の節であるため振幅は零となる。この定在波により、操作者は触感だけで瞬時にGUI部品の位置を認識することができる。【0126】また、時刻t=t1において、押圧度合Pが閾値P1以上になると、圧電駆動装置5A、5Bを駆動するための周波数が変更され、これにより、表面基板4には定在波が生成されなくなる。このため、図11(c)に示すように、位置A及び位置Bともに、同位相で振動される。これは、表面基板4の全体が同一位相で振動されていることを示す。このように振動パターンが変化することにより、操作者は、操作入力が完了したことを触感だけで認識することができる。」
「【図1】[図:0001381330000001.jpg]」
「【図11】[図:0001381330000002.jpg]」
(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「基板1、液晶パネル2、接触センサ3、表面基板4、圧電駆動装置5A、5B、主制御装置9、及びメモリ10を含むタッチパネル付き表示装置100であって、(【0031】)圧電駆動素子5A、5Bは、基板1と表面基板4との間に挟まれた状態で、液晶パネル2及び接触センサ3の両側に対をなすように、一つずつ配設され、(【0038】)主制御装置9は、接触状態判定回路11、操作完了パターン生成回路12、及び定在波生成回路13を含み、(【0058】)接触状態判定回路11は、入力される入力座標情報及び面積情報のうち、面積情報に基づき、操作者による座標入力面(表面基板4の表面)の押圧度合を判定する回路であり、(【0059】)続きを表示(全14行)操作完了パターン生成回路12は、操作者が液晶パネル2に表示するGUIボタンやスライドバーに触れて操作を行う際に、操作完了を知らせるための触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成し、(【0060】)定在波生成回路13は、操作者が液晶パネル2に表示するGUI部品であるボタンやスライドバーに触れる際に、実際のボタンに触れているような触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成し、(【0061】)周波数データ、位相差データ、及び振幅データを変更することにより、複数の波形を重畳させた駆動パターンを生成することもでき、さらに、生成される波形は正弦波に限定されるものではなく、パルス波や三角波等の波形を生成することもでき、(【0068】)主制御装置9は、押圧度合が所定の閾値未満であると判定した場合は、起動後に予めメモリ10から読み出しておいた周波数データ、振幅データ、及び位相差データを用いて定在波駆動パターンを生成し、一方、主制御装置9は、押圧度合が所定の閾値以上であると判定した場合は、GUIボタン23に操作完了を知らせるための触感を与えるための振動を生成する操作完了駆動パターンをメモリ10から読み出し、(【0115】)この操作完了駆動パターンは、例えば、圧電駆動装置5A、5Bを駆動する周波数、位相差、又は振幅を変更して操作者に提供する触感を変えることにより、操作が完了したことを伝達できるパターンであれば、どのようなパターンであってもよく、(【0117】)操作者がGUIボタン23に軽く触れた後に、操作を完了させるべく、押圧力を強めた場合、(【0124】)時刻t=0から徐々に押圧度合Pが上昇して行くと、押圧度合Pが閾値P1未満である間は、圧電駆動装置5A、5Bは、定在波を生成するための周波数、位相差、及び振幅で駆動され、これにより、位置Aでは定在波の腹を生成する振動が生成され、位置Bは定在波の節であるため振幅は零となり、この定在波により、操作者は触感だけで瞬時にGUI部品の位置を認識することができ、(【0125】)時刻t=t1において、押圧度合Pが閾値P1以上になると、圧電駆動装置5A、5Bを駆動するための周波数が変更され、振動パターンが変化することにより、操作者は、操作入力が完了したことを触感だけで認識することができる、(【0126】)タッチパネル付き表示装置100。」
2 引用文献2
当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0014】先ず、本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明に係る入力装置によるクリック触感呈示方法の原理について説明する。【0015】ヒトが触感として感じる要素には、対象物に触れたときに骨や筋に伝わる荷重により硬さや柔らかさ等の触感を感じる圧覚神経と、対象物に触れた際の皮膚表面に伝わる振動を検知して物の手触り等を感じる触覚神経とがある。つまり、圧覚は荷重を検知し、触覚は振動を検出する。そして、一般に触感とは、圧覚と触覚とが複合した感覚である。したがって、押しボタンスイッチを操作した際の「圧覚」および「触覚」への刺激を、例えばタッチパネル上で同じように再現すれば、操作者にクリック触感を呈示することが可能となる。」
「【0028】以上のことから、タッチパネルのようなプレート状の押圧式の入力部を押圧する際、図1に示すA点からB点までの荷重では、入力部を振動させずに、操作者に自発的に押下させて圧覚を刺激し、その状態で、B点において、例えば、周波数170Hzで入力部を約1周期分振動させて触覚を刺激すれば、操作者に対して図4の測定結果に係る押しボタンスイッチを操作した場合と同様のクリック触感を呈示することが可能となる。【0029】本発明に係る入力装置は、以上の原理に基づいて、プレート状の押圧式の入力部を押圧する場合に、押圧荷重が入力部への入力を受け付ける所定の基準を満たすまでは圧覚を刺激し、所定の基準を満たした際に、入力部を所定の駆動信号、すなわち一定周波数、駆動時間である周期(波長)、波形、振幅、で振動させて触覚を刺激する。【0030】また、ヒトが押しボタンスイッチを操作すると、押下時のみならず、リリース時においても、図4に示したように、指に押しボタンスイッチからの触感刺激が与えられる。そこで、本発明に係る入力装置においては、リリース時にも操作者にクリック触感(以下、リリース時のクリック触感を、適宜、リリース触感とも言う)を呈示する。これにより、操作者に、押しボタンスイッチを押下した場合と同様のリアルなクリック触感を呈示するものである。」
第6 当審拒絶理由の理由2について(引用発明との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「接触状態判定回路11」は、「入力座標情報及び面積情報のうち、面積情報に基づき、操作者による座標入力面(表面基板4の表面)の押圧度合を判定する回路」であるから、「表面基板4の表面」に対する「操作者」の「押圧」を「検出する」といえる。また、ここで、「表面基板4」、「表面」、「操作者」の「押圧」、「接触状態判定回路11」は、それぞれ、本願発明1の「操作面を有するパネル」、「操作面」、「ユーザの操作」、「操作検出部」に相当する。
(イ)引用発明の、
「圧電駆動素子5A、5Bは、基板1と表面基板4との間に挟まれた状態で、液晶パネル2及び接触センサ3の両側に対をなすように、一つずつ配設され」る
との構成及び
「操作完了パターン生成回路12は、操作者が液晶パネル2に表示するGUIボタンやスライドバーに触れて操作を行う際に、操作完了を知らせるための触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成し、定在波生成回路13は、操作者が液晶パネル2に表示するGUI部品であるボタンやスライドバーに触れる際に、実際のボタンに触れているような触感を与えるように圧電駆動装置5A、5Bを駆動させるための駆動パターンを生成」する
との構成によれば、「圧電駆動素子5A、5B」は、「表面基板4」に「取り付けられた」ものであり、それらを「操作完了パターン生成回路12」及び「定在波生成回路13」が「駆動パターン」によって「駆動」することにより、「表面基板4」に「振動を発生させる」といえる。
また、ここで、「圧電駆動素子5A、5B」、「操作完了パターン生成回路12」及び「定在波生成回路13」は、それぞれ、本願発明1の「振動素子」、「駆動部」に相当する。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用発明は、本願発明1の「操作面を有するパネルの前記操作面に対するユーザの操作を検出する操作検出部」及び「前記パネルに取り付けられた振動素子を駆動して前記パネルに振動を発生させる駆動部」に相当する構成を有している。
また、引用発明の「主制御装置9」は、「接触状態判定回路11、操作完了パターン生成回路12、及び定在波生成回路13を含」むものであるから、上記の各構成は、「主制御装置9」が「備え」るものであるといえる。
(エ)引用発明は、
「時刻t=0から徐々に押圧度合Pが上昇して行くと、押圧度合Pが閾値P1未満である間は、圧電駆動装置5A、5Bは、定在波を生成するための周波数、位相差、及び振幅で駆動され、時刻t=t1において、押圧度合Pが閾値P1以上になると、圧電駆動装置5A、5Bを駆動するための周波数が変更され、振動パターンが変化することにより、操作者は、操作入力が完了したことを触感だけで認識することができる」る
というものであるから、「押圧度合Pが閾値P1未満」の「押圧」が「検出された場合に」、「圧電駆動装置5A、5B」を「定在波を生成するための周波数、位相差、及び振幅」で「駆動」し、その後、「押圧度合Pが閾値P1以上になると」、「操作入力が完了したことを触感だけで認識することができる」、「変更され」た「周波数」で、「圧電駆動装置5A、5B」を「駆動」するといえる。
以上の点について上記(ア)、(イ)も踏まえると、本願発明1の
「前記駆動部は、前記操作検出部によって前記操作が検出された場合に、前記振動素子を駆動して、前記パネルに第1の振動を発生させた後、前記パネルに前記第1の振動よりも振幅が大きい第2の振動を発生させ」る
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「前記駆動部は、前記操作検出部によって前記操作が検出された場合に、前記振動素子を駆動して、前記パネルに第1の振動を発生させた後、前記パネルに第2の振動を発生させ」る
という点で共通している。なお、ここで、「第1の振動」は、「圧電駆動装置5A、5B」を「定在波を生成するための周波数、位相差、及び振幅」で「駆動」することによるものであり、「第2の振動」は、同じく「操作入力が完了したことを触感だけで認識することができる」、「変更され」た「周波数」で「駆動」することによるものである。
(オ)引用発明の「主制御装置9」は、後述する相違点を別にすれば、本願発明1の「制御装置」に相当する。
イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「操作面を有するパネルの前記操作面に対するユーザの操作を検出する操作検出部と、前記パネルに取り付けられた振動素子を駆動して前記パネルに振動を発生させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、前記操作検出部によって前記操作が検出された場合に、前記振動素子を駆動して、前記パネルに第1の振動を発生させた後、前記パネルに第2の振動を発生させる、制御装置。」
ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「第1の振動」と「第2の振動」との関係が、「第2の振動」が「前記第1の振動よりも振幅が大きい」というものであるのに対し、引用発明では、「時刻t=t1」の前後の「振動パターン」の関係が、「周波数が変更され」るというものである点。
(相違点2)
本願発明1では、
「前記第1の振動は、下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状の振動である」
のに対し、引用発明では、「時刻t=0」から「時刻t=t1」までの「圧電駆動装置5A、5Bを駆動する」信号の波形について、「下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状」であると特定されるものではない点。
(2)判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
パネルの操作面に対するユーザの操作が検出された場合に振動素子を駆動してパネルに発生させる振動の波形を、下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状とすることは、引用文献1,2のいずれにも記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったともいえない。
また、引用発明は、「周波数データ、位相差データ、及び振幅データを変更することにより、複数の波形を重畳させた駆動パターンを生成することもでき、さらに、生成される波形は正弦波に限定されるものではなく、パルス波や三角波等の波形を生成することもでき」るものであるが、正弦波の波形の下降部分と上昇部分とは対称であることから、「生成される波形」を「三角波」とする場合において、その下降部分と上昇部分とを非対称とすること、すなわち、下降時と上昇時とで単位時間あたりの振幅変化が異なる「三角波」とすることは、引用文献1の記載からは想定されない。そうすると、引用発明において、「三角波」の下降時と上昇時との単位時間あたりの振幅変化の大小関係は設計的事項であるとはいえず、当該「三角波」の形状を、「下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状」とすることは、当業者が適宜なし得ることではない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~9について
本願発明2~7は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8,9は、それぞれ、本願発明1に対応するシステム、方法の発明であって、いずれも、相違点2に係る発明特定事項を含む。
よって、本願発明2~9も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1,2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由の理由2は解消した。
第7 当審拒絶理由の理由1について
令和3年10月4日に提出された手続補正書に係る補正(以下、「本件補正」という。)により、請求項1には、「前記パネルに前記第1の振動よりも振幅が大きい第2の振動」と記載され、「振動」の大小関係が「振幅」に関するものであることが明確となった。
この点は、請求項5,7~9についても同様である。
よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。
第8 原査定についての判断
本件補正により、本願発明1~9は、「操作面を有するパネルの前記操作面に対するユーザの操作」が「検出された場合」に「前記パネル」に「発生させ」る「第1の振動」が、「下降時よりも上昇時の方が単位時間あたりの振幅変化が大きいノコギリ波状の振動である」との技術的事項を含むものとなり、当該技術的事項ついては、引用文献A~Eには記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1~9は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Eに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-011856