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特許拒絶査定不服審判

2020-011433

方向検出機能付きICタグ及び管理システム

審判番号
2020-011433
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-197475
請求日
2020年08月18日
審決日
2021年03月26日
公報発行日
2021年05月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
  • 【請求人代理人】高田 守
  • 【請求人代理人】高橋 英樹
  • 【請求人代理人】小澤 次郎
審判長/審判官
  • 審判長 田中 秀人
  • 審判官 須田 勝巳
  • 審判官 山澤 宏
分類
P18 .121-WY (G06K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-197475「方向検出機能付きICタグ及び管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月12日出願公開、特開2018- 60371、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成28年10月5日の出願であって,令和1年10月18日付けで拒絶理由通知がされ,令和1年12月17日付けで手続補正がされ,令和2年5月18日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年8月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年9月28日に前置報告がされ,令和2年10月22日に上申書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年5月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1~10に係る発明は,以下の引用文献1~6に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2014-182763号公報 2.米国特許出願公開第2011/0072673号明細書 3.特開2010-096725号公報 4.特開2008-311021号公報 5.特開2010-039527号公報 6.特表2011-530752号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は,請求項1~3を削除するものであるから,請求項の削除を目的とするものである。 また,補正後の請求項1~7に記載された事項は,当初明細書等に記載された事項であるから,新規事項を追加するものではないといえる。 したがって,審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものではない。 第4 本願発明 本願の請求項1~7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明7」という。)は,令和2年8月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 筐体と, 重力の向きに対する前記筐体の向きに応じて,無線通信で前記筐体の外部に送信される情報を変化させるロジック回路と, 前記筐体の内部に形成された空洞内で重力に従って移動するスイッチ体と, 前記空洞の隅角部に対応して設けられ,前記スイッチ体と接触することで通電状態が切り替わる複数の接点と, を備え, 前記ロジック回路は,前記複数の接点の通電状態に応じて,無線通信で前記筐体の外部に送信される情報を変化させ, 前記筐体は,前記空洞の内部を視認可能に形成された 方向検出機能付きICタグ。 【請求項2】 前記筐体は,カード型に形成され, 前記空洞は,厚さ方向から見た前記筐体の各辺に対応する位置に隅角部を有する形状に形成された請求項1に記載の方向検出機能付きICタグ。 【請求項3】 前記筐体の表面には,前記複数の接点のそれぞれに対応する方向標示が付された請求項1または請求項2に記載の方向検出機能付きICタグ。 【請求項4】 前記スイッチ体は,前記空洞内に封入された導電性を有する固体又は液体であり, 前記ロジック回路は,無線通信で前記筐体の外部に送信される情報として,前記複数の接点のうち通電している接点に対応して設定された情報を選択する請求項1から3のいずれか1項に記載の方向検出機能付きICタグ。 【請求項5】 前記筐体には,利用者による操作を受け付ける操作部が設けられ, 前記ロジック回路は,前記操作部に対する操作が行われている間には前記筐体の外部に送信される情報を変化させ,前記操作部に対する操作が行われていない間には前記筐体の外部に送信される情報を変化させない請求項1から4のいずれか1項に記載の方向検出機能付きICタグ。 【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項に記載の方向検出機能付きICタグから無線通信で情報を読み取る読取装置と, 前記読取装置により読み取られた情報に基づいて動作する管理装置と, を備え, 前記読取装置には,利用者による操作を受け付ける操作部が設けられていない管理システム。 【請求項7】 前記管理装置は,前記読取装置により連続して読み取られた複数の情報の組み合わせ又は順序に応じて異なる動作を行う請求項6に記載の管理システム。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【0017】 以下,本発明に係る決済システムを具現化した一実施形態について,図面を参照して説明する。図1は,本実施形態に係る決済システム10を概略的に説明する説明図である。 図1に示す決済システム10は,金銭的価値を有する電子マネー情報を利用した決済を行うシステムとして構成されている。この決済システム10は,主に,複数ブランドの電子マネーを利用可能な携帯電話機等の決済用携帯端末20と,決済用携帯端末20と無線通信することで当該決済用携帯端末20の電子マネーを利用した決済に関連する複数種別の決済処理を実施する決済処理装置30とによって構成されている。 【0018】 まず,決済用携帯端末20について,図2を参照して説明する。なお,図2は,図1の決済用携帯端末20の電気的構成を概略的に示すブロック図である。 図2に示すように,決済用携帯端末20の筐体内には,決済用携帯端末20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は,マイコンを主体として構成されるものであり,CPU,システムバス,入出力インタフェース等を有しており,メモリ22とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。また,制御部21には,主に,撮像部23,タッチパネル24,操作部25,通信部26,決済用ICチップ27および傾きセンサ28などが接続されている。」 「【0024】 傾きセンサ28は,当該決済用携帯端末20の傾きを検出するセンサであって,鉛直方向に対する当該傾きセンサ28の傾きを検出し得る公知の傾きセンサ(Gセンサ等)によって構成されている。なお,傾きセンサ28は,特許請求の範囲に記載の「傾き検出手段」の一例に相当し得る。 (中略) 【0026】 図3(A)(B)に示すように,決済処理装置30は,載置面Sに載置される据え置き型の装置として構成されている。この決済処理装置30は,外郭を構成する筐体31を備えており,この筐体31の正面側には,決済用携帯端末20やICカードなどの非接触決済媒体が無線通信時にかざされるかざし面32が設けられている。このかざし面32は,載置面Sに対して傾斜するように形成されている。このかざし面32の傾斜は,後述する3点接触時のタッチパネル24の傾き(決済用携帯端末20の傾き)を検出しやすくするために設けられている。 【0027】 図3(A)および図4に示すように,かざし面32には,1つの基準突起33と6つの選択用突起34~39が設けられている。基準突起33は,かざし面32の略中央から略円柱状に突出して形成されている。また,各選択用突起34~39は,かざし面32からの突出長さがそれぞれ等しくなるように形成されており,基準突起33からの距離(図4のL1参照)がそれぞれ等しく,かつ,隣り合う選択用突起同士の距離(図4のL2参照)が等しくなるように配置されている。」 「【0035】 具体的には,決済用携帯端末20をかざし面32にかざす際に,タッチパネル24をかざし面32の基準突起33と各選択用突起34~39のうちの隣り合う2つとの3つの突起に同時に接触させることで,接触させた2つの選択用突起に応じて使用ブランドが選択される。」 「【0038】 具体的には,タッチパネル24における3つの接触位置を,A(xa,ya),B(xb,yb),C(xc,yc)とするとき,各選択用突起34~39の基準突起33からの距離L1がそれぞれ等しいため,線分AB,線分BC,線分CAのうち長さが等しくなる線分にともに含まれる点が基準突起33の接触点に相当する。例えば,図9に例示するように,線分ABおよび線分CAが等しい場合には,点Aが基準突起33の接触点に相当する。このように基準突起33の接触点に相当する点が検出されると,この点Aを原点として図10に示す入力(タッチ方向)ベクトルDを計算する。この入力ベクトルDは,かざし面32に対する決済用携帯端末20のかざし方によってその方向が変化するベクトルである。 【0039】 また,かざし面32の傾斜に沿う下向きのベクトルを傾斜方向ベクトルEとするとき(図3(B)参照),基準突起33を基点とする傾斜方向ベクトルEは,選択用突起36と選択用突起37との中間点と上記基点とを結ぶ直線上に位置する(図3(A)参照)。また,3点接触時に傾きセンサ28により検出される決済用携帯端末20の傾きは,かざし面32の傾きにほぼ等しくなる。このため,図11に示すように3点接触時の傾きセンサ28の検出結果から求められるベクトルE’をタッチパネル面に平行な面に投影して当該タッチパネル面と垂直な成分を除くことで,傾斜方向ベクトルEを求めることができる。 (中略) 【0041】 そして,入力ベクトルDの単位ベクトルをV=(vx,vy),傾斜方向ベクトルEの単位ベクトルをU=(ux,uy),入力ベクトルDと傾斜方向ベクトルEとの角度をθとすると,図12に示す両ベクトルの外積の式が成立する。ここで,両単位ベクトルの長さは1であるため,角度θと両単位ベクトルとの関係から,以下の式(1)に示す関係が成立する。 sinθ=vx・uy-vy・ux ・・・(1) なお,角度θは,単位ベクトルUを基準として,図12での反時計方向が正側となり時計方向が負側となるように設定される。 (中略) 【0044】 このため,後述する決済処理では,突起33,34,35の3点接触が想定される角度θ(=+90度±α)の検出であれば,電子マネーブランドAの選択情報が決済処理装置30に送信される。また,突起33,35,36の3点接触が想定される角度θ(=+45度±α)の検出であれば,電子マネーブランドBの選択情報が決済処理装置30に送信される。突起33,36,37の3点接触が想定される角度θ(=0度±α)の検出であれば,電子マネーブランドCの選択情報が決済処理装置30に送信される。突起33,37,38の3点接触が想定される角度θ(=-45度±α)の検出であれば,電子マネーブランドDの選択情報が決済処理装置30に送信される。突起33,38,39の3点接触が想定される角度θ(=-90度±α)の検出であれば,電子マネーブランドEの選択情報が決済処理装置30に送信される。」 「【0049】 続いて,決済処理の種別を選択するための処理がなされる(S5)。この処理では,上述したように3点接触位置から求められる入力ベクトルDと,3点接触時の傾きセンサ28の検出結果から求められる傾斜方向ベクトルEとから,決済処理の種別を選択するための角度θが算出され,この角度θに応じて決済処理の種別を選択するための選択情報が生成される。なお,このように選択情報を生成する制御部21は,特許請求の範囲に記載の「生成手段」の一例に相当し得る。 【0050】 このように選択情報が生成されると,この選択情報とカード番号等の電子マネー決済に必要な情報とが,入力通知情報として,通信部26を介して,決済処理装置30に送信される(S6)。」 「【0054】 これにより,決済用携帯端末20の電子マネーを利用した決済関連処理を所望する利用者が,その所望する種別の決済処理に応じた選択用突起と基準突起33とにタッチパネル24を接触させると,その接触箇所とこの接触時の決済用携帯端末20の傾きとに基づいて選択情報が生成されてこの選択情報に基づいて決済用携帯端末20のかざし面32へのかざし方が特定される。このかざし方は,所望する決済処理の種別に対応しているため,上記選択情報を受信した決済処理装置30は,利用者が所望する決済処理の種別を特定することができる。特に,選択情報の送信時にはタッチパネル24が基準突起33と対応する2つの選択用突起とに接触しているため,決済用携帯端末20が確実にかざし面32に近接してかざされることとなり,処理未了が発生することもない。 したがって,処理未了を発生させることなくスムーズな決済処理を実現することができる。」 「図1 」 「図2 」 「図3(A) 」 「図3(B) 」 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「複数ブランドの電子マネーを利用可能な携帯電話機等の決済用携帯端末20と,決済用携帯端末20と無線通信することで当該決済用携帯端末20の電子マネーを利用した決済に関連する複数種別の決済処理を実施する決済処理装置30とによって構成されている決済システム10における決済用携帯端末20であって,(段落0017,図1) 前記決済用携帯端末20の筐体内には,決済用携帯端末20全体を制御する制御部21が設けられ,制御部21には,タッチパネル24,決済用ICチップ27および傾きセンサ28が接続されており,(段落0018,図2) 前記傾きセンサ28は,当該決済用携帯端末20の傾きを検出するセンサであって,鉛直方向に対する当該傾きセンサ28の傾きを検出し得る公知の傾きセンサ(Gセンサ等)によって構成されており,(段落0024) 前記決済処理装置30は,外郭を構成する筐体31を備えており,この筐体31の正面側には,決済用携帯端末20が無線通信時にかざされるかざし面32が設けられており,かざし面32は,載置面Sに対して傾斜するように形成されており,(段落0026,図3(A),図3(B)) 前記かざし面32には,1つの基準突起33と6つの選択用突起34~39が設けられており,(段落0027) 決済用携帯端末20をかざし面32にかざす際に,タッチパネル24をかざし面32の基準突起33と各選択用突起34~39のうちの隣り合う2つとの3つの突起に同時に接触させると,(段落0035) 基準突起33の接触点に相当する点Aを原点として入力(タッチ方向)ベクトルDが計算され,(段落0038) 3点接触時の傾きセンサ28の検出結果から求められるベクトルE’をタッチパネル面に平行な面に投影して当該タッチパネル面と垂直な成分を除くことで,傾斜方向ベクトルEを求め,(段落0039) 入力ベクトルDの単位ベクトルをV=(vx,vy),傾斜方向ベクトルEの単位ベクトルをU=(ux,uy),入力ベクトルDと傾斜方向ベクトルEとの角度をθとすると,sinθ=vx・uy-vy・uxの関係が成立し,(段落0041) 3点接触位置から求められる入力ベクトルDと,3点接触時の傾きセンサ28の検出結果から求められる傾斜方向ベクトルEとから,決済処理の種別を選択するための角度θが算出され,この角度θに応じて決済処理の種別を選択するための選択情報が生成され,(段落0049) この選択情報とカード番号等の電子マネー決済に必要な情報とが,入力通知情報として,通信部26を介して,決済処理装置30に送信され,(段落0050) 例えば,角度θ(=+90度±α)の検出であれば,電子マネーブランドAの選択情報が決済処理装置30に送信され,角度θ(=+45度±α)の検出であれば,電子マネーブランドBの選択情報が決済処理装置30に送信され,角度θ(=0度±α)の検出であれば,電子マネーブランドCの選択情報が決済処理装置30に送信され,角度θ(=-45度±α)の検出であれば,電子マネーブランドDの選択情報が決済処理装置30に送信され,角度θ(=-90度±α)の検出であれば,電子マネーブランドEの選択情報が決済処理装置30に送信される(段落0044) 決済用携帯端末20。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。 「[0022] FIG. 1 is a schematic diagram showing operations of a tilt sensor sensing various tilt directions according to the first embodiment of the invention. FIG. 2 is a schematically cross-section view of FIG. 1 along line AA'. Referring to both FIG. 1 and FIG. 2, the tilt sensor 100 includes a body 110, a plurality of metal pad pairs 122, 124, 126 and 128, and a moving element 130. The body 110 is suitable for tilting in a plurality of tilt directions P1, P2, P3 and P4. The metal pad pairs 122, 124, 126 and 128 and the moving element 130 are in the body 110. [0023] The body 110 has a movement region 112 which has a plurality of corners 112a, 112b, 112c and 112d. In the embodiment, the movement region 112 is a square movement region, which is used as an example to illustrate the concept of the invention. Thus, the movement region 112 has four corners 112a, 112b, 112c and 112d. However, in another embodiment, the shape of the movement region 112 may be other polygons such as a regular pentagon, a regular hexagon or a regular n-sided polygon, where n is a positive integer greater than 4, and thus the movement region 112 has the number of corners corresponding to the shape thereof. [0024] In the embodiment, the body 110 has a substrate 114 and a housing 116 as shown in FIG. 2. The housing 116 is disposed on the substrate 114 and has a recess structure 116a to define the movement region 112. Specifically, the housing 116 may be formed through injection molding or punching molding, and the substrate 114 is, for example a printed circuit board. After completing the fabrication of the housing 116, the housing 116 and the substrate 114 are sealed together by an encapsulating material or related bonding techniques, such that the body 110 is formed. 」 (当審訳:[0022] 図1は,本発明の第1の実施形態に係る種々の傾斜方向を検知する傾斜センサの動作を示す模式図である。図2はAA’線に沿った,図1の模式的断面図である。図1および図2の両方を参照すると,傾斜センサ100は,本体110,複数の金属パッド対122,124,126,128,及び可動子130を有する。本体110は,傾斜方向P1,P2,P3及びP4に傾斜するのに適している。金属パッド対122,124,126,128と,可動子130は本体110内に配置される。 [0023] 本体110は,複数の角部112a,112b,112c,112dを有する移動領域112を有している。この実施形態において,移動領域112は,正方形の移動領域であり,本発明の概念を例示するための例として使用される。このように,移動領域112は,4つの角部112a,112b,112c,112dを有する。しかし,別の実施形態では,移動領域112の形状は,正五角形,正六角形又は正n角形などの他の多角形であってもよく,ここでnは4より大きい正の整数であり,したがって,移動領域112の形状に対応した角部の数を有している。 [0024] 一実施形態では,図2に示すように,本体110は,基板114と筐体116を有している。筐体116は基板114上に配置され,移動領域112を規定する凹部116aを有している。具体的には,筐体116は,射出成形または打ち抜き成形により形成されることができ,基板114は,例えばプリント基板である。筐体116の製造が完了した後,筐体116と基板114とが封止材又は関連接合技術によって共にシールされ,本体110が形成される。) 「[0028] First, FIG. 1 is a schematic diagram showing the moving element 130 moves to various positions corresponding to different tilt directions P1, P2, P3 and P4 when the tilt sensor 100 is disposed on a horizontal plane, for example. For example, when the body 110 tilts downward in the tilt direction P1, the moving element 130 in the movement region 112 moves towards the corner 112a due to gravity, such that state 1 of FIG. 1 is achieved. At this time, since the moving element 130 moves to the metal pad pair 122 in the corner 112a and physically contacts with the metal pad pair 122, the metal pads of the metal pad pair 122 are electrically connected with each other via the moving element 130, wherein the moving element 130 has conductivity. Thus, the tile direction of the tilt sensor 100 is able to be determined as the tilt direction P1 according to the conducting state of the metal pad pair 122.」 (当審訳:[0028] まず,図1は,傾斜センサ100が水平面上に配置される場合に,例えば可動子130の異なる傾斜方向P1,P2,P3及びP4に対応する様々な位置への移動を示す模式図である。例えば,本体110が傾斜方向P1に傾斜するとき,移動領域112内に位置する可動子130は,重力に起因して角部112aに向かって移動し,図1の状態1が達成される。このとき,可動子130は,角部112aの金属パッド対122に移動して金属パッド対122と物理的に接触しているので,金属パッド対122の金属パッドは可動子130を介して互いに電気的に接続されており,ここで,可動子130は,導電性を有する。これにより,傾斜センサ100の傾き方向は,金属パッド対122の導通状態に応じて,傾斜方向P1であると決定することができる。) 「[0034] It should be noted that, the tilt sensor 100 placed on a horizontal plane and sensing various tilt directions is only used as an example. The tilt sensor 100 also could be used to sense various rotation directions on a vertical plane. Besides, the tilt sensor 100 could be designed as an intelligent orientation sensor in a digital camera which recognizes when the camera is rotated from horizontal to vertical. For example, at state 3, the tilt sensor 200 is regarded as being placed on a vertical plane, and then the moving element 130 moves to the corner 112c due to gravity and physically contacts with the metal pad pair 126, such that the metal pads of the metal pad pair 126 are electrically connected with each other (e.g. electrically conducted). At this time, the tilt direction of the tilt sensor 100 is determined as a vertical direction. Then, when the tilt sensor 100 is rotated by 90, 180 and 270 degree in a clockwise direction parallel to the vertical plane, the moving element 130 moves to the corners 112d, 112a and 112b accordingly so that the metal pad pairs 128, 122 and 124 are electrically conducted as shown in state 4, state 1 and state 2 respectively. In other words, the tilt sensor 100 is able to deduce the rotation state thereof based on which one of the metal pad pair 128, 122 and 124 is conducted.」 (当審訳:[0034] なお,水平平面に置かれ,種々の傾斜方向を検知する傾斜センサ100は,一例にすぎないことに留意されたい。傾斜センサ100は,鉛直面上の種々の回転方向を感知するために使用することができる。また,傾斜センサ100は,カメラが水平から垂直に回転されるときに認識するデジタルカメラにおいて,インテリジェントな姿勢センサとして設計することができる。例えば,状態3では,傾斜センサ200を垂直な平面に置かれているものとすると,可動子130は,重力に起因して角部112cに移動して金属パッド対126と物理的に接触して,金属パッド対126の金属パッドは互いに電気的に接続される(例えば,電気的に導通する)。この時,傾斜センサ100の傾斜方向は垂直方向であると判定される。そして,傾斜センサ100を,垂直平面と平行に時計回りに90度,180度,270度回転させると,可動子130は,角部112d,112a,112bへ移動し,状態4,状態1,状態2に示すように,金属パッド対128,122及び124がそれぞれ電気的に導通する。つまり,傾斜センサ100は,金属パッド対128,122および124のどれが導通状態であるかに基づいて回転状態を推定することができる。) したがって,上記引用文献2には次の技術(以下,「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。 「金属パッド対122,124,126,128と,可動子130が本体110内に配置される傾斜センサ100であって, 本体110は,複数の角部112a,112b,112c,112dを有する移動領域112を有しており,移動領域112は,正方形の移動領域であり, また,本体110は,基板114と筐体116を有し, 傾斜センサ100が水平面上に配置される場合,本体110が傾斜方向P1に傾斜するとき,移動領域112内に位置する可動子130は,重力に起因して角部112aに向かって移動し,金属パッド対122と物理的に接触して,金属パッド対122の金属パッドは可動子130を介して互いに電気的に接続され,これにより,傾斜センサ100の傾き方向は,金属パッド対122の導通状態に応じて,傾斜方向P1であると決定することができ, さらに,傾斜センサ100は,鉛直面上の種々の回転方向を感知するために使用することができ, 傾斜センサ100を,垂直平面と平行に時計回りに90度,180度,270度回転させると,可動子130は,角部112d,112a,112bへ移動し,状態4,状態1,状態2に示すように,金属パッド対128,122及び124がそれぞれ電気的に導通し,傾斜センサ100は,金属パッド対128,122および124のどれが導通状態であるかに基づいて回転状態を推定することができ, 移動領域112の形状は,正五角形,正六角形又は正n角形などの他の多角形であってもよく,ここでnは4より大きい正の整数であり,したがって,移動領域112の形状に対応した角部の数を有している, 傾斜センサ100。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【0007】 図2(A)は傾斜センサ10の外観斜視図を示しており,傾斜センサ10の一般的な使用姿勢を示している。すなわち,傾斜センサ10は鉛直方向に対して配線部25が直上となるように設定され,傾斜センサ10は当該設定状態に対するD-D’方向への傾き度合いを検出するものである。また,図2(B)はキャップ13を透明体としてみたときの傾斜センサ10の内部構成を見た図である。図2(B)において,端子C0,C+,C―などは模式的に示したものである。また,図1において示される傾斜センサ10の断面図は,図2(B)の基板11上の電極パターンを線A-A’で切り,鉛直方向に対して図1に示すように配置したときの状態を示している。 【0008】 傾斜センサ10の基板11上には,共通電極20,第1駆動電極21,第2駆動電極22が図示するような電極パターンにて形成されている。第1駆動電極21及び第2駆動電極22は,面積がほぼ等しい略半円形状のパターンであり,それぞれに引き出し用端子C+及びC―が接続される構成となっている。このように,本発明の傾斜センサ10は,電極が基板11上のみに設けられる構造となっており,電極が設けられた2つの基板を対向させるような構造のものではないので,電極の加工精度や,基板間の間隙距離などの位置合わせ精度に労力を要することなく製造することができ,製造コストの低減を実現可能とするものである。また,上記のように本発明の傾斜センサ10は電極が基板11上のみに設けられる構造であるために,露光技術を用いた電極形成(プリント基板のパタニング,リソグラフィ技術)が可能となり傾斜センサ10の製造工程の簡易化とセンサの小型化・低コスト化を可能とした。基板には,絶縁体が用いられる。具体的には,ガラス,プラスチック,セラミックなどが用いられる。また電極の材料としては,銅,金,アルミニウムなどのほかに,モリブデンなども用いることが出来る。 【0009】 また,共通電極20は,第1駆動電極21及び第2駆動電極22のパターンを囲むように形成され,引き出し用端子C0が接続される構成となっている。共通電極20の終端C0と第2駆動電極22の引き出し用端子C―との間には,十分な絶縁性が確保できるような距離の間隙gが形成される。すなわち共通電極20は,第1駆動電極21および第2駆動電極22の引き出し部近傍を除いて,第1駆動電極21および第2駆動電極22とを包囲するように配されてなるものである。また,場合により図2において,第1駆動電極21と第2駆動電極22が入れ替わったとしても,なんら問題はない。すなわち,間隔gが共通電極20と第1駆動電極21との引き出し用端子C+との間にあってもよい。 【0010】 基板11における共通電極20,第1駆動電極21,第2駆動電極22が形成された主面側には,非導電性のキャップ13が基板11周縁を密封するように設けられている。基板11とキャップ13との間に形成される内部空間には,当該内部空間の略1/2を占める検出用液体14が封入されている。非導電性のキャップ13の材料としては,例えばガラスやプラスチック樹脂を用いることができる。」 したがって,上記引用文献3には次の技術(以下,「引用文献3記載技術」という。)が記載されていると認められる。 「非導電性のキャップ13が基板11周縁を密封するように設けられ,非導電性のキャップ13の材料としては,例えばガラスやプラスチック樹脂を用いることができる傾斜センサ10。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【0016】 密閉容器41の内部には、導体としての電解液Lが封入されるとともに、絶縁体としての気泡Bが形成されている。具体的には、4つの電極42a~42dのうち、3つの電極42が電解液Lに接触し、1つの電極42のみが電解液Lに接触しない量の電解液Lが封入される。例えば、図3(a)に示すように、密閉容器41内部を半分以上満たす量の電解液Lが封入されている。気泡Bは、方向検出センサ4が傾斜しても、常時、密閉容器41内部における上部に位置し、電極42a~42dのうち、上側に位置している電極42を覆うこととなる。」 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【0011】 この発明の非接触式ICカードは、ICカード本体の表面に設けられた機能選択手段が利用者に操作されたことに応じて、外部通信器と通信するデータを、複数のデータ格納部に格納されたデータから選択可能となっているので、外部通信器の機能選択ボタンを不要として外部通信器の意匠性を向上させることができる。これとともに、特許文献1のようなICカードケースが不要となるので、ICカード本体の携帯性と機能選択時の利便性とを向上させることができる。」 「【0017】 従って、第1~第3タッチボタン4A~4Cのうち、利用者によって操作されたタッチボタンに対応する第1~第3データブロック7A~7Cに格納されたデータが外部通信器との間で通信される。」 6.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【0159】 方向感知機構208は通常の方法で作動することができるが、予め定められた運動または仕草のシーケンスを検出した場合には、カードホルダ装置304の動作を可能にする代わりに、方向感知機構208は所定の時間の間のカードホルダ装置304の動作を抑制することができる。 【0160】 次に図5を参照すると、仕草を動作に翻訳するために用いる典型的な仕草リスト500には、本発明の若干の実施例に従った記載がされている。 【0161】 表の記載の通り、1本の、2本のまたは、3本の軸の回転運動を使い分けることによってRFID装置108に関するデータを保護するかまたはRFID装置108の動作を制御することができる。 【0162】 更に、摺動運動を、仕草の入力とすることもできる。動作ルールが予め定められた仕草またはシーケンスが検出されるときに、動作は仕草リスト500に挙げられる動作に従って実行される。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 引用発明における「決済用携帯端末20の筐体」は,本願発明1における「筐体」に相当する。 引用発明の「基準突起33の接触点に相当する点Aを原点」とする「入力(タッチ方向)ベクトルD」は,「決済用携帯端末20」のかざし方に応じ,選択用突起34~39のうちのいずれの2点に接触するかによって決定されるものである一方,「傾斜方向ベクトルE」は,「傾きセンサ28の検出結果から求められるベクトルE’をタッチパネル面に平行な面に投影して当該タッチパネル面と垂直な成分を除くことで」「求め」られるものであるから,重力の向きに対応するものといえる。 してみれば,ベクトルDとベクトルEのなす角である「角度θ」は,本願発明1の「重力の向きに対する前記筐体の向き」に相当する。 そして,引用発明は,「角度θ」に応じて「決済処理の種別を選択するための選択情報」が生成され,この「選択情報」が,「無線通信」で「決済用携帯端末20の筐体」の“外部”である「決済処理装置30」に送信されるものであるから,引用発明の「選択情報」は,本願発明1の「重力の向きに対する前記筐体の向き」に応じて「変化させ」られる「無線通信で前記筐体の外部に送信される情報」に相当するといえる。 引用発明の「制御部21」は,上記した「選択情報」を「変化させ」る動作を実行するものであるから,本願発明1の「ロジック回路」に相当する。 引用発明の「決済用携帯端末20」は,「決済用ICチップ27」を内蔵しており,上記した“方向検出機能”を有しているから,本願発明1の「方向検出機能付きICタグ」とは,“方向検出機能付きIC装置”である点で共通する。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「筐体と, 重力の向きに対する前記筐体の向きに応じて,無線通信で前記筐体の外部に送信される情報を変化させるロジック回路と, を備えた, 方向検出機能付きIC装置。」 (相違点) (相違点1) 本願発明1は 「前記筐体の内部に形成された空洞内で重力に従って移動するスイッチ体と, 前記空洞の隅角部に対応して設けられ,前記スイッチ体と接触することで通電状態が切り替わる複数の接点」 を備え 「前記ロジック回路は,前記複数の接点の通電状態に応じて,無線通信で前記筐体の外部に送信される情報を変化させ」るのに対し,引用発明はそのような構成となっていない点。 (相違点2) 本願発明1は「前記筐体は,前記空洞の内部を視認可能に形成され」ているのに対し,引用発明は,そのような構成となっていない点。 (相違点3) 本願発明1は「ICタグ」であるのに対して,引用発明は「ICタグ」であることは特定されていない点。 (2)相違点についての判断 ア 相違点1について 引用発明の傾きセンサ28は,「鉛直方向に対する当該傾きセンサ28の傾きを検出し得る公知の傾きセンサ(Gセンサ等)によって構成されており」,「3点接触時の傾きセンサ28の検出結果から求められるベクトルE’をタッチパネル面に平行な面に投影して当該タッチパネル面と垂直な成分を除くことで,傾斜方向ベクトルEを求め」,これとベクトルDとによって,角度θが算出されているものであるところ,そのような演算を行うためには,傾きセンサ28の出力は,ある程度の精度が要求されるものと認められる。 これに対して,引用文献2の「傾斜センサ100」は,移動領域112が正方形である場合,4方向の離散的な方向を検出するというものであり,「移動領域112の形状は,正五角形,正六角形又は正n角形などの他の多角形であってもよ」いものではあるものの,仮に移動領域112の形状を正20角形として,20方向を検出するものを想定してみても,その精度は,360°÷20=18°にとどまるものであって,そのような限られた精度のセンサを引用発明において敢えて採用する動機付けがあるとはいえない。 また,引用発明のベクトル演算により角度θを算出する手法に代えて,引用文献2記載技術の傾斜センサ100のみで,決済用携帯端末20の向きを直接判定する構成を想定してみると,その場合,決済用携帯端末20を選択用突起34~39に接触させる必要がなくなるところ,引用発明は,決済用携帯端末20を選択用突起34~39に接触させることで,引用文献1の段落0054に記載される「選択情報の送信時にはタッチパネル24が基準突起33と対応する2つの選択用突起とに接触しているため,決済用携帯端末20が確実にかざし面32に近接してかざされることとなり,処理未了が発生することもない。したがって,処理未了を発生させることなくスムーズな決済処理を実現することができる。」という作用効果を得ることができるものであるから,そのような作用効果を失う手法を敢えて採用する動機付けも無いといえる。 したがって,引用発明に引用文献2記載技術の傾斜センサ100を採用して相違点1に係る構成とすることは,当業者であっても,容易に想到し得たことであるとはいえない。 イ 相違点2について 引用文献2には,傾斜センサ100の筐体116を透明にして内部を視認可能にすることは記載されていない。 また,引用文献1には,筐体を透明にするとの記載はなく,引用文献3にも,傾斜センサ10のキャップ13を透明にするとの記載はない。 なお,引用文献3には,「非導電性のキャップ13の材料としては,例えばガラスやプラスチック樹脂を用いることができる」との記載はあるものの,これは,非導電性材料の例としてガラスやプラスチック樹脂が示されているのであって,透明な材料の例として示されているものとは認められないうえに,引用文献3の段落0007には,「図2(B)はキャップ13を透明体としてみたときの傾斜センサ10の内部構成を見た図である。」と記載されていて,この記載は,キャップ部13が透明ではないことを示唆する記載であるとも認められることを考慮すれば,引用文献3には,キャップ13を透明にするという技術思想が開示されているとはいえない。 したがって,当業者であっても,引用発明,引用文献2記載技術,及び引用文献3記載技術から,内部を視認可能に構成することを容易に想到し得たということはできない。 ウ また,上記相違点1及び相違点2に係る構成は,引用文献4~6の記載を参酌しても,当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 エ したがって,相違点3について検討するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2~7について 本願発明2~7は,本願発明1を直接・間接に引用するものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明,及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明1~7は,当業者が引用発明,及び引用文献2~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2020-011433

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