2020-006788
モータグレーダ
- 審判番号
- 2020-006788
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-058837外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月19日
- 審決日
- 2021年02月12日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社小松製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (E02F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月23日の出願であって、令和1年9月12日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年11月11日提出の手続補正書により手続補正がされ、令和2年2月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年5月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1ないし5に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.本願請求項6ないし8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.実願昭57-136439号(実開昭59-43561号)のマイクロフィルム
2.特開2001-146761号公報
3.特開昭60-123633号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、
(1)請求項1において、請求項7に記載された「前記ブレードが配設され、前記フロントフレームの下方に配置された旋回サークルと、」を備えるという事項を追加する補正
(2)請求項1において、請求項7に記載された、撮像装置が「前記旋回サークルの下面に固定され、」というものであるという事項を追加する補正
(3)請求項7及び8を削除する補正
がなされている。
上記(1)及び(2)の補正について検討すると、(1)及び(2)の補正はいずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に最初に添付した特許請求の範囲の【請求項9】における「【請求項9】前記ブレードが配設され、前記フロントフレームの下方に配置された旋回サークルをさらに備え、前記撮像装置は、前記旋回サークルの下面に固定されている、請求項8に記載の作業車両。」との記載からみて、願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、後記「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし6に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
また、上記(3)の補正について検討すると、(3)の補正は請求項の削除を目的とするものであり、新規事項を追加するものではないといえる。
第4 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和2年5月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】リアフレームと、前記リアフレームに回動可能に連結されるフロントフレームとを有する車体フレームと、前記車体フレームの前端と前記車体フレームの後端との間に配置され、前記フロントフレームの下方において前記フロントフレームに支持された、ブレードと、前記ブレードが配設され、前記フロントフレームの下方に配置された旋回サークルと、続きを表示(全16行)前記フロントフレームよりも下方かつ前記ブレードよりも前方に配置され、前記旋回サークルの下面に固定され、画角内に前記ブレードの少なくとも一部を含む撮像装置とを備える、モータグレーダ。【請求項2】前記ブレードよりも前方に配置された前輪と、前記ブレードよりも後方に配置された後輪とをさらに備える、請求項1に記載のモータグレーダ。【請求項3】前記撮像装置は、前記ブレードと前記前輪との間に配置される、請求項2に記載のモータグレーダ。【請求項4】前記撮像装置の画角内に前記ブレードの少なくとも下端を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のモータグレーダ。【請求項5】前記撮像装置は、前記ブレードと交差する光軸を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のモータグレーダ。【請求項6】前記フロントフレームと前記リアフレームとの間に取り付けられるアーティキュレートシリンダをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のモータグレーダ。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した)。
(1)「この考案はアーテイキユレート式土工車輛例えば、ホイールローダやモータグレーダのアーテイキユレートインジケーターに関する。モータグレーダには、地面(路面)の作業は大別して切削、整形(路床の整形、補修)、土砂の移動(表土はぎ、埋戻し)、障害物の除去(除雪、除草、アスフアルト舗装などの)掘起こし等汎用性にとむ土工車輛であり、整地するブレードを取り付けたメーンフレームと運転室を含むエンジンルーム等が固定された車輛と、第1図ないし第2図に示す如く作業装置を装備したメーンフレーム(アーテイキユレートフレーム1)がアーテイキユレートピン3を介してリアフレーム7とが(当審注:「とが」は「と」の誤記であると認める。)分割しており、該リアフレーム7上に搭載した運転室、エンジンルーム等当該ピン3を支点として図示しない油圧シリンダの作動によつて該フレーム1を左右に所定角度屈折する、アーテイキユレート式のものとがある。」(第2頁第15-第3頁第12行)
(2)第1図は次のものである。
第1図からは、「ブレード6が、アーテイキユレートフレーム1の前端とリアフレーム7の後端との間に配置され、アーテイキユレートフレーム1の下方においてアーテイキユレートフレーム1に支持された」点が看て取れる。
(3)第2図は次のものである。
第2図からは、「ブレード6の上方であり、かつ、アーテイキユレートフレーム1の下方である位置に配設された、車両上方から見て環状の部材」が看て取れる。
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「アーテイキユレートフレーム1が、アーテイキユレートピン3を介してリアフレーム7と分割しており、当該ピン3を支点として該フレーム1を左右に所定角度屈折する、アーテイキユレート式のモータグレーダであって、ブレード6が、アーテイキユレートフレーム1の前端とリアフレーム7の後端との間に配置され、アーテイキユレートフレーム1の下方においてアーテイキユレートフレームに支持され、ブレード6の上方であり、かつ、アーテイキユレートフレーム1の下方である位置に配設された、車両上方から見て環状の部材を備える、モータグレーダ。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、段落【0002】、段落【0017】-段落【0019】、段落【0021】、段落【0027】及び図1の記載からみて、建設機械の前方作業機における掘削状態を認識する技術において、排土板3の上部左右中央部分に取付用部材14を設け、この取付用部材14に移動機構15を介して前方監視装置(テレビカメラ)16を下向きに取付け、移動機構15は第2ブラケット18が第1ブラケット17に上下回転自在に取り付けられるとともに、第3ブラケット19が第2ブラケット18に左右回転自在に取り付けられ、前方監視装置(テレビカメラ)16は上下方向に揺動して排土板3の前面3aの上下方向任意の位置を撮影する位置に移動するとともに、左右方向に揺動して排土板3の前面3aにおける左右中央部分を撮影する位置及び左右両端部分を撮影する位置に移動することで、排土板の土砂の抱え込み状態及び排土板左右の土砂バランスをオペレータが運転席で監視することが出来るという技術的事項(以下「技術的事項2」という。)が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
現査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、第2頁右上欄第8行-右下欄第1行及び第3図の記載からみて、モータグレーダにおいて、フロントフレーム(1)とリヤフレーム(2)とをセンターピン(3h)(3i)を中心として左右に折曲がる構造とし、左右両側に配設した油圧シリンダ(3j)(3j)によって作動させるという技術的事項(以下「技術的事項3」という。)が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「リアフレーム7」は、本願発明1における「リアフレーム」に相当する。
そして、引用発明において「アーテイキユレートフレーム1」は、「アーテイキユレートピン3を介してリアフレーム7と」「分割しており、当該ピン3を支点として」「左右に所定角度屈折する」ものであるから、本願発明1における「前記リアフレームに回動可能に連結されるフロントフレーム」に相当する。
したがって、引用発明における「リアフレーム7」と「アーテイキユレートフレーム1」との総体が、本願発明1における「車体フレーム」に相当する。
イ 引用発明における「ブレード6」は、「アーテイキユレートフレーム1の前端とリアフレーム7の後端との間に配置され、アーテイキユレートフレーム1の下方においてアーテイキユレートフレーム1に支持され」るものであるから、本願発明1における「前記車体フレームの前端と前記車体フレームの後端との間に配置され、前記フロントフレームの下方において前記フロントフレームに支持された、ブレード」に相当する。
ウ 引用発明における「ブレード6の上方であり、かつ、アーテイキユレートフレーム1の下方である位置に配設された、車両上方から見て環状の部材」は、モータグレーダに関する技術分野における技術常識を参酌すると、ブレード6が配設された、旋回サークルであると認められる。
してみれば、当該「環状の部材」は、本願発明1における「前記ブレードが配設され、前記フロントフレームの下方に配置された旋回サークル」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「リアフレームと、前記リアフレームに回動可能に連結されるフロントフレームとを有する車体フレームと、前記車体フレームの前端と前記車体フレームの後端との間に配置され、前記フロントフレームの下方において前記フロントフレームに支持された、ブレードと、前記ブレードが配設され、前記フロントフレームの下方に配置された旋回サークルと、を備える、モータグレーダ。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記フロントフレームよりも下方かつ前記ブレードよりも前方に配置され、前記旋回サークルの下面に固定され、画角内に前記ブレードの少なくとも一部を含む撮像装置」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用文献2には上記第5の2に認定した技術的事項2が記載されており、技術的事項2は移動機構15を介して前方監視装置(テレビカメラ)16を取り付ける構成を有するが、相違点1に係る本願発明1の構成と、技術的事項2が有する構成とは、撮像装置の固定構造が異なるものである。この点について詳述すると、相違点1に係る本願発明1の構成における「旋回サークル」は、本願明細書の段落【0035】の記載によれば「車両上方から見て時計方向と反時計方向との両方に、旋回駆動可能である」ことによってブレード推進角を調整するものであり、相違点1に係る構成によって本願発明1は「撮像装置60は、旋回サークル41と一体に、旋回(回転)可能に設けられて」おり「撮像装置60とブレード42とは、旋回サークル41の旋回回転に伴って、一体として旋回する」(本願明細書の段落【0044】参照)という効果を奏するといえる。一方、技術的事項2の構成は、前方監視装置(テレビカメラ)16を第1ブラケット17、第2ブラケット18及び第3ブラケット19に取り付けることにより、上下左右回転自在とするものであるから、引用発明に技術的事項2を適用したとしても、相違点1に係る本願発明1の構成に至るものではない。
また、本願発明1は、相違点1に係る撮像装置の固定構造によって、本願の明細書の段落【0073】に記載されているように「モータグレーダ1の構成要素が撮像装置60の画角V内に存在しにくくなり、モータグレーダ1の構成要素が撮像装置60を用いたブレード42の撮像に対する障害物となることが抑制されている。これにより撮像装置60は、ブレード42の前面を確実に撮像することができる。」という効果も奏するものである。その一方、技術的事項2の構成では、前方監視装置(テレビカメラ)16自体がブラケットを介して上下左右回転自在となるから、引用発明に技術的事項2を適用する際に撮像装置を「前記フロントフレームよりも下方」に配置するとともに「前記旋回サークルの下面に固定」する動機付けがあったということもできない。
したがって、引用発明において、技術的事項2を適用することにより、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではないから、本願発明1は、引用発明及び、技術的事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5も、相違点1に係る本願発明1の「前記フロントフレームよりも下方かつ前記ブレードよりも前方に配置され、前記旋回サークルの下面に固定され、画角内に前記ブレードの少なくとも一部を含む撮像装置」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び技術的事項2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明6について
本願発明6も、相違点1に係る本願発明1の「前記フロントフレームよりも下方かつ前記ブレードよりも前方に配置され、前記旋回サークルの下面に固定され、画角内に前記ブレードの少なくとも一部を含む撮像装置」と同一の構成を備えるものである。そして、当該構成は技術的事項3に含まれているとはいえない。
したがって、本願発明6も、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、技術的事項2及び技術的事項3に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし6は「前記フロントフレームよりも下方かつ前記ブレードよりも前方に配置され、前記旋回サークルの下面に固定され、画角内に前記ブレードの少なくとも一部を含む撮像装置」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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