意匠拒絶査定不服審判
2020-003398
音楽プレーヤー付きジャケット
- 審判番号
- 2020-003398
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-003682外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1672162
- 請求日
- 2020年03月11日
- 審決日
- 2020年09月14日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .14 -WY (B1-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項、意匠法第14条第1項、意匠法第2条、意匠法第2条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2019- 3682「音楽プレーヤー付きジャケット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により意匠を3年間秘密にすることを請求し、平成31年(2019年)2月24日に出願された、本意匠を意願2019-003681とする関連意匠の意匠登録出願であって、令和1年(2019年)8月2日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月18日に意見書が提出されたが、同年12月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和2年(2020年)3月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠の願書及び願書添付図面の記載
本願の意匠は、意匠に係る物品を「音楽プレーヤー付きジャケット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「一点鎖線で囲んだ部分(向かい合う布片の平滑面の一部とプレーヤーの平滑面の一部)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図における一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願が、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないというものであり、具体的には以下のとおりである。
「この意匠登録出願の、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたものは、意匠登録を受けようとする部分が、物品全体の形態において一定の範囲を占める部分ではあるものの、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る意匠の創作の単位を一つも含んでいないことから、意匠法第2条に定義する意匠を構成せず、意匠法第3条第1項柱書に規定する意匠に該当しないことから、意匠登録を受けることができません。」
第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第1項柱書に規定する意匠に該当するか否かについて検討する。
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする出願であり、物品の部分について意匠登録出願されたものが、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するためには、以下のすべての要件を満たさなければならない。
(1)意匠を構成するものであること
(2)意匠が具体的なものであること
(3)工業上利用(反復生産)することができるものであること
さらに、上記(1)に示す、部分意匠として意匠登録出願されたものが、意匠法第2条第1項において定義されている意匠を構成するためには、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る部分であること、具体的には、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る意匠の創作の単位が表されていなければならない。
そこで、本願の願書及び願書添付図面の記載から本願意匠を認定する。
1 意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「音楽プレーヤー付きジャケット」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「本願物品は、ランニングなどの主として運動の際に着用するジャケットである。肩部に音楽プレーヤーが装着されており、ユーザはヘッドホンやイヤホンを用いずに、音楽を楽しむことができる。プレーヤーは、参考C-C線拡大断面図に示すように、赤色で表した引出線1の布地とこれに縫合された青色で表す引出線2の布片とに挟まれて固定されている板体(引出線3)に、磁力によって着脱自在に取り付けられている。左右2つのプレーヤーによって音楽等のステレオ再生が可能である。プレーヤーは、携帯電話の機能を付加して音声通話に用いたり、音声操作が可能な種々のソフトウェアを導入して携帯情報端末として用いることも可能である。」
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、ジャケット本体の布地に板体を挟んで縫合した布片上に磁力によって着脱自在に装着する音楽プレーヤーの双方の装着面の一定面積を密接させることにより、運動時などにおける音楽プレーヤーの脱落を防止する用途及び機能を有している。
(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、ジャケットの肩部における正面視右側に装着された音楽プレーヤーの装着面(「プレーヤーの拡大背面図」に表れる面。以下「プレーヤー側装着面」という。)の一部(以下「本願部分1」という。)、及び同位置で当該音楽プレーヤーを受けるジャケット側の音楽プレーヤー装着面(「プレーヤーを外した状態のA-B部分拡大正面図」に表れる面。以下「ジャケット側装着面」という。)の一部(以下「本願部分2」という。)とするもので、本願部分1及び本願部分2の位置、大きさ及び範囲は以下のとおりである。
ア 本願部分1
音楽プレーヤー側装着面全体に対し、横方向は中央やや左側、縦方向は中央やや下側とする一点鎖線で囲った略縦長長方形状を左に約20度傾けた位置、大きさ及び範囲とするものである。
イ 本願部分2
ジャケット側装着面は、ジャケットの布地表面に板体を載せ、別の布片を正面視略環状に縫合することでその板体を固定した構成とし、この縫合部に囲まれた「別の布片」表面をジャケット側装着面としたものである。
縫合部は、「別の布片」を3重とし、板体の厚みの約2.5倍の厚みとし、縫合部の厚みに対して略半分へこませた浅い凹部において、「プレーヤーを外した状態のA-B部分拡大図」に見られるジャケット側装着面全体に対し、横方向は中央やや右側、縦方向は中央やや下側とする一点鎖線で囲った略縦長矩形状を右に約20度傾けた位置、大きさ及び範囲とするものである。
ウ 音楽プレーヤー装着時における本願部分1及び本願部分2
本願部分1と本願部分2は、装着時に密接され、その位置、大きさ及び範囲が重なるものである。
(4)本願部分の形態
本願部分1と本願部分2のいずれも平滑面で、音楽プレーヤー装着時には、双方の平滑面が密接する態様としたものである。
2 意匠法第3条第1項柱書に規定する意匠に該当するか否かについて
上記1における本願意匠の認定のとおり、本願部分に係る物品全体の形態は、「音楽プレーヤー付きジャケット」という物品自体の形態であり、非装着時に外部から視認でき、美感に訴求する視覚効果も具備し、その「位置、大きさ及び範囲」も特定されている。そして、本願部分が当該意匠に係る物品の中で有する「用途及び機能」も抽出できることから、意匠の認定に必要とされるこれらの要素を備える他の意匠と対比し得るものであり、本願部分は、他の意匠と対比の対象となり得る意匠の創作の単位が表されているものである。よって、本願意匠は、意匠を構成するものと認められる。
また、上記1のとおり、意匠は具体的であり、当該意匠に係る物品は、工業上利用(反復生産)することができるものである。
したがって、本願意匠は、工業上利用することができる意匠に該当する。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当し、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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