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商標取消審判

2019-300823

キルシュ

審判番号
2019-300823
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2003-046994外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
4747382
請求日
2019年10月30日
審決日
2021年12月27日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
T131 .1 -Y (Y25)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
標準文字
論点(本文から自動抽出・参考)
要部・分離観察商品・役務の類否品質表示不使用(50条)使用の事実・証明社会通念上同一濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第2号、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4747382号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第4747382号商標(以下「本件商標」という。)は、「KIRSCH」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年5月22日に登録出願、第25類「洋服,セーター類,ワイシャツ類」を指定商品として、同16年2月20日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年11月15日であり、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年11月15日ないし令和元年11月14日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、証拠については、「甲(乙)第○号証」について、「甲(乙)○」のように記載する。 1 請求の理由 本件商標は、商標権者等により継続して3年以上、日本国内において使用されておらず、また、本件商標の商標権には専用使用権及び通常使用権は登録されていない。 本件商標について使用状況を調査したところ、商標権者等によって使用されていないことが明らかになった(甲3)。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取消を免れないものと確信する。 2 弁駁の要旨 (1)商標を使用している商品は、本件商標の指定商品ではない 「品番別集計表(写し)」(乙13)においても、商品名として「ナガソデカジュアルTシャツカ(「クシュ」が省略されていると思われる。)」と記載されており(甲5)、証拠書類で示されている商品は、「ティーシャツ」である。 特許庁編の「類似商品・役務審査基準」によると、第25類の「洋服,セーター類,ワイシャツ類」は、類似群コード17A01の見出しの商品であり、その下に同一類似群商品が例示列挙されている(甲6)が、「ティーシャツ」はその中に記載がなく、「キャミソール、ティーシャツ」という見出しに設けられており、類似群17A01及び17A02が付与されている(甲6)別個の商品であるから、「ティーシャツ」への商標の使用は、指定商品「洋服,セーター類,ワイシャツ類」の商標の使用ではないから、本件商標の使用をしていることは証明されていない。 (2)使用証拠への疑義について 乙1の1及び2の発注書とされる書類の「下げ札/ネーム」の欄に、下線を施したやや太字のゴシック体調で表された「KIRSCH」の文字と、同様の書体で「KIRSCH」と書かれたタグの見本と思われる図柄が存在し、また、乙3の1ないし6には、乙1のティーシャツの図柄と同じデザインと見られる現物の写真が表れている。 しかしながら、乙1は、委託先の南通山川服飾有限公司を表す「南通山川」の文字や担当者、日付、費用等は確認することができるが、証拠自体に相手方への送付や受領の分かる表示等、客観的な事実は示されていない。当該証拠は、表計算ソフト等で作成された社内資料を打ち出したもの程度にとどまり、取引書類ということはできず、南通山川服飾有限公司(以下「南通山川」という。)側が受けた注文内容等を確認しなければ、本件商標が記載された下げ札/ネームを付して乙1の商品が製造されたかを認定することは不可能である。 また、乙3の写真には、被請求人が付けた「1682108」、「1682110」、「1682111」、「1682112」、「1682113」、「1682114」の品番のティーシャツに、本件商標が表示されたネームと下げ札が付されているが、その写真の中には「協同組合 関西ファッション連合」というアパレル企業の協同組合の名称はあっても、被請求人の名称の記載はなく、当該写真は、単に同じ場所で6種類のティーシャツを撮影したものであり、これ自体は取引書類に該当するものではない。 そして、本件商標が示された証拠は、いずれも取引書類とはいえない上述の乙1及び乙3だけであり、その他の証拠は、全て被請求人の品番のみが表れているにすぎず、本件商標の記載はなく、乙4、乙5、乙7、乙9及び乙13には、被請求人が付けた品番とされる「1682108」等の番号が表示されているが、「KIRSCH」の文字は一切表れていない。 また、これらの証拠では、何らかの商品がイオングループ(以下「イオン」という。)に譲渡されたことは推認できるが、少なくとも、イオンの小売店舗で実際に販売したとされる乙1の商品の実物を確認できなければ、客観的に商標の使用行為があったのか認定することは不可能である。 さらに、乙1の発注書で記載されている乙1の商品の品番として、「キャスト品番1682108ないし1682111」及び「品番1682112ないし1682114及び1682117」のように、8種類の品番を説明しているところ、乙1の「AEON品番」が、イオンでの品番と推測されるが、この品番は全て同一の番号「1682108EM/WB」であり、「1682109」以降の数字は付されていないことが分かる(甲7)。 乙13の「品番別集計表」もイオン側の資料であると推測するが、ここにも「自社品番」として「1682108WB」と記載されている(甲5)。 被請求人は、乙13と関連して、「(前略)、乙1の商品のうち品番1682108に限ってみても、株式会社キャスト(以下「キャスト」という。)はイオンに対し、計1,120枚、49万2800円を販売している」と主張しているが、この品番1682108は、イオンの品番1682108WBであり、被請求人の品番1682108~1682114、1682117とは別個の品番である。 仮に、被請求人の主張が正しければ、乙4の(南通山川の)INVOICEで、品番「1682108」は1,068着製造したことになっているが(甲8)、乙13の「<合計>」には、1,120着販売したことになっており(甲5)、製造数量より販売数量が多いというある筈がない事態が発生してしまうことになる。 このような被請求人の主張の矛盾点を鑑みると、答弁書における主張や証拠の信ぴょう性に大いに疑問があるといわざるを得ない。 (3)「KIRSCH」を知っているイオン店員はいない 請求人は、本件審判請求直前の2019年10月に、本件商標が過去3年の間に市場で使用されたか否かについて調査を行ったところ、被請求人の一社員が「KIRSCHは弊社がかつて展開していたブランドだが、5年前には担当部署が閉鎖されたので、少なくとも5年前に生産を終了したブランドである。ちなみに、当時ではイオンさん等で販売していたと思う」とコメントしている(甲9の1)。また、「弊社にKIRSCHブランドの在庫はないし、かなり前の製品なので、小売店さんにもない」とも述べ、さらに、似たようなものに「persodea」や「SELF+SERVICE」があるともコメントしている(甲9の2)。 実際に、2019年10月1日にイオンモール直方の店舗を訪問したが、「persodea」及び「SELF+SERVICE」のブランドが店内の柱に掲げられ、それらの商標の下げ札及びネームの商品が販売されていたことを確認している。また、イオンモール直方の婦人服売場の店員一名のコメントによると、「『KIRSCH』というブランドは覚えていないが、製品は大体半年で入れ替わるので、5年前の製品は店舗内にはない」と述べている(甲9の3)。 その他、インターネットや新聞・雑誌等の各メディアを検索したが、過去3年以内に日本国内において本件商標の使用実績に関する情報は発見されていない。 上記の状況にかかわらず、被請求人は、2017年末頃から2018年2月に商標の使用行為があったと主張していることから、請求人は更なる調査を実施し、調査会社は綿密な調査を行い、イオンセンター納入明細書(写し)(乙8)において、乙1の商品を納品したとされる店舗としても記載されている、イオンモールむさし村山等の6店舗において売場店員又は社員に聞き取りを行ったが、誰一人として本件商標を認識している者はいなかった(甲10の1)。 本件商標が付された乙1の商品が約8,000枚製作され、乙8に記載された店舗に分配・納品され、乙7によれば乙1の商品は、イオンの350店もの店舗に納品されたことになっているが(甲4)、請求人が行った調査では、本件商標の使用が全く発見されていない。 (4)イオンのブランド「persodea」について イオンの取り扱う婦人服売場では、「トップバリュ」及び「トップバリュコレクション」、「SELF+SERVICE」等のイオン独自のプライベートブランドが多数展開され、店舗内の壁や柱に看板を掲げたりなどして、そのブランドの商品であることを明確に打ち出して商品を販売しており(甲9の3、甲11)、各店舗の婦人服売場を区切って各々のプライベートブランドの区画を設け、そのブランドのネーム、下げ札を付着した商品が販売されている。 このような方式を採用しているため、イオンのプライベートブランド以外の、メーカー独自の商標を付した商品を陳列・販売するという状況は、ほとんどあり得ない状況である。 イオンの「persodea(ペルソデア)」というブランドは、イオンのプライベートブランドの一つであり、ブランド創立以来イオンの主力として展開、2014年にファッション雑誌「GLOW」のプロデュースにより商品内容を刷新し、その後継続して新商品を展開(甲12)、その後、2019年秋を最後に新商品の発表を停止、「トップバリュ亅に移行することになったとのことである。 一方、上記(3)の被請求人への聞き取り調査でも「本件商標を付した商品と似たようなものに『persodea』や『SELF+SERVICE』がある」との言及があったが、乙13の「品番集計表」にも「得意先」の右隣りに「キャスト●イオン(ペルソディア)」の記載があり、「persodea」の読みの片仮名が示されている(甲5)こと、被請求人は、乙1の商品と品番、デザインで類似するものを「persodea」の商品として数多くイオンに納品しており(甲16~甲22)、被請求人の証拠を見ると、「persodea」を示唆する語が複数見られる上に、当時「persodea」の部門コードとして振られることになっていた「093」の数字を振るような指示もされていること(甲4)、乙1の商品のみ被請求人の独自のブランドである本件商標を付してイオンに納品するということは考えられないことなどから、被請求人は、乙1の商品を「persodea」ブランドの商品として納品した可能性が高く、「KIRSCH」を付して納品したとすると、何らかの特殊事情がなければ実現しない取引であると思われ、被請求人の詳細な釈明が得られない限り、本件商標の使用の事実は認められない。 (5)本件商標「KIRSCH」を付した商品について 請求人が徹底的に行った、本件商標「KIRSCH」の商品についての調査で入手した、本件商標「KIRSCH」を付した本商品には、ネームに「KIRSCH」の文字が大きく書かれており、その下に「always good in life/everyone for happy feelings」の文字が書かれ(甲23)、洗濯ラベル上には、品番として「1624969」と、被請求人の名称である「(株)キャスト」及び「中国製」等の文字が記載されており、被請求人の品番の規則に従うと、本商品は、2012年の海外夏向けの商品と認識でき、要証期間より前のものである。また、別の商品である甲24及び甲25では、いずれもネームに「KIRSCH」の文字があり、前者には、品番として「1524903」、後者には「2648469」の記載があり、それぞれ2012年及び2014年の商品と推測でき、発見された本件商標「KIRSCH」を付した商品は、いずれも要証期間の使用ではなく、その他、中古品市場で発見された数点の本件商標を付した商品の品番は「1234148BA」、「1516901」等であり、2013年や2011年向けの商品である(甲26の1、甲26の2)。 これは、2019年10月に行った請求人の調査で、被請求人の一社員が本件商標を付した商品は5年前に生産を終了したと述べているが、発見された商品は、一番新しいものでも2014年向けであることから、当該社員の言及と商品の製造年がちょうど合致している。また、請求人は、甲10で調査した6店舗以外にも、イオン稲毛店、イオンモール津田沼、イオンモール船橋等の13店舗において、店舗内の調査を行ったが、本件商標を付した商品を一切発見することはできなかった。 このように、請求人は、本件審判のために中古品市場やインターネット検索、実店舗訪問等を通じて徹底的な調査を実施したが、本件商標が要証期間に使用された事実を発見することができなかった。 (6)不使用取消審判の制度趣旨について 請求人は、韓国において、2008年頃から「KIRSH」の商標を使用しており(甲27)、日本において「KIRSH」の商標を付した被服等の販売を考え、我が国においても数件の商標登録出願を行っているが、国際登録第1423121号での審査において、本件商標と類似するという拒絶理由通知書を受領している。 商標の不使用取消審判制度の立法趣旨(甲28:工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第20版)抜粋)によれば、請求人は、権利者以外の商標使用希望者として選択の余地が狭められている状況である。 本件審判では、提出された証拠では商標の使用に疑義があるというべきであるから、日本で商標を使用し、日本の産業の発達に寄与しようとする請求人に商標の保護すべき価値を与え、業務上の信用の維持を図るべきことは、商標法の目的に照らしても明らかである。 (7)むすび 上記で述べたとおり、被請求人が提出した答弁書では、本件商標の指定商品ではない「ティーシャツ」への商標の使用が単に示されているだけである。 また、本件商標「KIRSCH」の記載が二種類の証拠にとどまる一方で、その他の証拠には、イオンのプライベートブランドである「persodea」を示唆する記載が複数あり、「KIRSCH」ではなく「persodea」の商標を付して販売された疑いがある。 さらに、請求人が行った調査においては、イオンの店員に本件商標の認識があるものはおらず、本件商標を付した商品については、いずれも要証期間より前のものしか発見できなかった。 以上のとおり、請求人が徹底的に行った調査・分析によっても、本件商標の要証期間の使用は発見されず、また提出された証拠について大いなる疑義が生じている。 3 口頭審理陳述要領書の要旨 (1)商標法第2条第3項各号の規定に基づく商標の使用の不存在 被請求人は、本件商標の使用の事実として以下の4つを主張している。 ア 被請求人品番1278005、1278006の商品に関する取引書類を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した。 しかしながら、被請求人の行為をみると、北海道三喜の担当者に商品の写真をメールで送信した事実を把握することはできるが、この行為は、単に取引者間の事務的な連絡であり、商標の広告的使用ではない。 よって、「商標の使用」に該当しないのは明らかであるから、上記の行為は、商標法第2条第3項第8号の商標の使用に該当しない。 イ 被請求人品番1278005、1278006の商品に本件商標を付したものを譲渡した。 しかしながら、被請求人が提出した証拠では、何らかの商品が取引されたものと推測することはできるとしても、それにより本件商標が付された商品が譲渡されたことをにわかに信ずることはできない。 したがって、本件商標を付した商品の譲渡が行われたとは認められず、上記行為は、商標法第2条第3項第2号の商標の使用に該当しない。 ウ 被請求人品番1682108ないし1682114及び117の商品に本件商標を付したものを輸入した。 しかしながら、被請求人が主張する上記行為は、あくまでも被請求人の手足となる下請製造会社が外国にあるため外国で委託製造された商品を日本に運び入れた行為にすぎず、商品の出所表示として取引に商標を使用した行為とはいえない。 本号の「輸人」とは、例えば権利者が外国法人である場合に日本に所在する商社等が商品の販売を目的として輸入するような場合を指すが、被請求人の行為は、単に商品販売の準備段階としての製造者の側の内部での行為であり、仮に当該商品に本件商標が付されていたとしても、このような行為が日本国内の市場で出所識別機能を果たすものではなく、「商標の使用」に該当しないのは明らかである。 したがって、上記行為は、商標法第2条第3項第2号の商標の使用に該当しない。 エ 被諦求人品番1682108ないし1682114及び117の商品に本件商標を付したものを譲渡した。 しかしながら、被請求人が提出した証拠では、本件商標を付した商品の譲渡が証明されていない。 マリマ物流が作成したとされる納入明細(乙8)、被請求人が作成したとされる売上データ(乙9)等の証拠(乙10、乙12、乙13、乙45の1、乙64等)には、本件商標の記載が一切なく、また、被請求人は、被請求人品番での商品の流通の照合にこだわるが、被請求人品番である「1682108ないし1682114及び1682117」が記載された証拠は、被請求人が作成した売上データ(乙9)のみであり、この売上データは、マリマ物流からどの店舗に何枚出荷されたかの報告を受け、それをまとめたものであると主張しているが、被請求人が作成したものであって第三者の証明書類ではない。その他の証拠については、イオン独自の品番「2318785058016」、伝票番号「5101983」、ケースID「1682108WB」であり、いずれも被請求人品番と一致しないから、何らかの商品が取引されたものと推測することはできるとしても、それにより本件商標が付された商品が譲渡されたことを信ずることはできない。 また、被請求人は、被請求人品番とその他の番号との照合にこだわるが、本件商標が示された証拠は、被請求人が作成したとされるオーダー書(乙1)及び被請求人代理人事務所で2019年12月19日に撮影された被請求人商品の写真(乙3)に加え、被請求人が作成したとされる下請製造業者に向けたCONFIRMATION ACCESSORY CARD(乙50)、下請製造業者が作成したとされる下げ札の納品書(乙51)及び下請製造業者の質問に対する回答書(乙52)が新たに提出されているだけである。これらは被請求人の側で作成したものであるため、第三者の証明書類でなく、被請求人自身が、被請求人の品番にはブランドを識別するコードは設けられないと述べており、被諸求人品番と商標の対応関係についてもにわかに信ずることができない。 さらに、乙3の1の写真に写っている被請求人品番1682108の商品は、在庫の全てをイオンに納品したとのことであるが、そうすると、写真に写っている被請求人品番1682108の商品は、イオンが保管していたものということになるが、いかにして、この写真の撮影が可能となったのかを明らかにされたい。 加えて、被請求人は、なぜ、イオンに対して、商品受領書の発行を求めないのか、イオンが「流通BMS」を使用しているとしても、同社が本件商標を使用した商品が納品された事実を確認することは、「流通BMS」を使用してできることであると考えるのが当然であり、品番によって、商品が特定できないようなシステムを使用しているとは到底考えることができない。 被請求人が品番だけを羅列し、被請求人のある品番が、イオンのある品番と同じ商品を表していると主張しても、請求人としてはにわかに信ずることができない。 したがって、本件商標を付した商品の譲渡が行われたとは認められず、上記行為は、商標法第2条第3項第2号の商標の使用に該当しない。 (2)商標の機能論に基づく商標の使用の不存在 出所表示機能は、一定の商標を付した商品や役務は一定の出所から流出していることを示す機能であるが、イオンからは何の商標を付しても関与されない一方で、イオンのブランド「persodea」又は「SELF SERVICE」の支配下でのセール品であるため、被請求人の独自ブランドで販売戦略を打ち出すような状況ではない。 また、被請求人は、商標をもって商品を特定せず、又は特定できないと述べており、このような使用方法である場合、本件商標を被服に付しても出所を表示する機能は全く果たしていないといわざるを得ず、被請求人が商品を取引するに当たって、出所表示機能を果たしているのは、商標でなく、品番である。 そうであれば、仮に被服に「KIRSCH」の襟ネーム及び下げ札が付されていたとしても、それによって出所表示機能を全く有しておらず、単に商品としての外形を作る程度の意味合いにすぎず、被服に装飾や模様を付しているのと何ら変わりはない。 したがって、仮に被服に本件商標が書された襟ネームや下げ札が付してあったとしても、その商標には出所表示機能はなく、形式的な商標の使用にすぎず、商標の使用には該当せず、出所表示として使用されていない本件商標について、品質を保証する機能も果たし得ないことは明らかである。 また、イオンは、本件商標が一定の品質を保証するとは全く考えておらず、イオン独自の品質基準を設け、自己の品質基準に合うように品質検査及び製品品質検査をわざわざ被請求人に課していることから、本件商標は、品質保証機能を有していないことは明らかである。 さらに、本件商標が商品に付されていたとしても、イオンのブランド「persodea」等の支配下でのセール品であり、本件商標を需要者に記憶させようと前面に打ち出す場面はなく、本件商標により広告宣伝を行う事情は認められず、被請求人からは本件商標に係る広告宣伝資料の提出は一切ない。 したがって、本件商標が仮に商品に付されて使用されていたとしても、その使用方法では、商標の出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能が発揮されておらず、商標法に基づく商標の使用に該当しないことは明らかである。 (3)その他 ア 被請求人品番1278005及び1278006について 乙25ないし乙29は、被請求人又は被請求人の商品の製造を請け負う韓国の下請製造業者が作成した資料にすぎず、これらの証拠により、本件商標が記載された襟ネームとタグの製作・取付指示があったことは推測できるとしても、ここから直ちに本件商標が商品の販売に使用されたと結論付けることはできない。 イ 被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117について イオンが決算対策や特価セール企画に限り、被請求人に対して被請求人独自ブランドの納品を認めていたことを証明する証拠は一切提出されていないから、そもそもそのような約束に基づき、実際に商品に本件商標が付されたのか否か把握できない。 また、被請求人の従業員が、KIRSCHは(2019年9月時点で)5年前に生産を終了したブランドである旨述べた点について、同人がこれを否定していると主張し、同人の陳述書(乙58)においても、5年前と特定した記憶はないと述べられている。 しかしながら、請求人が再度記録を調べたところ、同人の発言によれば本件商標を取り扱う部署がなくなって5年ぐらい経つ旨明確に述べており、約5年前に生産を終了したと認識できる発言を重ねる等しており、被請求人が提出した同人の陳述書は、同人の曖昧な記憶に基づいて作成されたものであるといわざるを得ず、甲9の1ないし3及び甲10の1ないし6の使用調査報告書の信頼性を揺るがすものではない。 (4)むすび 以上のとおり、被請求人が主張した本件商標の使用は、いずれも商標法第2条第3項第2号又は第8号に該当せず、また、商標の機能諭に基づいても商標の使用として認められない行為である。 4 上申書の要旨 (1)被請求人の商品番号の主張について 被請求人は、商品の納入先のイオンが、「KIRSCH」商品を買い取った事実を示し証明する書類を提出することなく、自己の内部資料である納品記録に関する品番の関連だけを主張しており、その品番と具体的な商品(商品実物)の関係が示されているのは、乙3の商品写真だけである。 商品の買取側が証明書の提出を拒む理由があるとは考えられず、納品書に品番だけが表示されているとしても、この品番の商品は「KIRSCH」商品であることを納入先に示せば、納入先であるイオンは、容易に証明書を発行できるものと考えるが、なぜ、被請求人の手足である製造業者や倉庫業者の証明書類しか提出しないのか、被請求人は、買取側に証明書の提出を求めることができない理由があるのではないか。 被請求人が説明する品番の商品が「KIRSCH」商標を付した商品ではなかったから、イオンに証明を求めることができないのではないか、という疑問が生じたとしても不思議ではない。 (2)乙3の写真の商品について ア 被請求人は、乙3の写真は、「先上げサンプル」の写真であると回答しているが、「先上げサンプル」は、被請求人が実際に商品の作成を依頼した製造業者から被請求人に納める商品のチェック等のために提供されるものであり、市場で販売される商品自体ではない。 したがって、乙3として提出されたものは商品ではなく、サンプル品にすぎず、乙3の写真の商品は、現実にイオンに納入された商品ではないから、商標法上の商品ではなく、また、これがイオンに納入された商品と同一であることは証明されていないことになる。 イ 被請求人は、乙3の商品が商標法上の商品ではないサンプル品であることをなぜ、今回の審尋があるまで表明しないでいたのか、また、被請求人は、「全てのサンプルを保管しているわけではない。」とした上で、「ランダムに保管していた。」としているが、何のために「先上げサンプル」を保管していたのかの説明はない。「先上げサンプル」は、商品のチェックを行なえばそれで役割を終えるものであり、被請求人は、「先上げサンプル」の提供を受けたのが2018年1月19日以前であると述べているが、乙3の写真の撮影日は2019年12月19日であり(証拠説明書)、なぜ、1年11か月もの長い間、役割を終えた「先上げサンプル」を保管しておく必要があったのか、及び乙3のように8種類中の6種類が保管されているということは、かなりの確率で「先上げサンプル」が保管されていたことになり、保管場所等、疑問が残る。 (3)商標的使用について ア 被請求人は、上申書(令和3年10月12日付け)において、「『persodea』『SELF SERVICE』と差別化を図ることができるブランドを使用する必要があった。」と述べているが、回答書(同年1月28日付け)では、「決算対策や特価セールの際は、『persodea』『SELF SERVICE』以外のブランド(ただし「KIRSCH」に限らない)を納品することは認められていた。」と述べており、後者では、別商標を付すことが許容されていたと述べているにすぎないのに、前者では、「差別化をする必要があった。」と述べており、主張が矛盾している。 イ 被請求人が保証しようとしているのは、イオンの販売する「persodea」「SELF SERVICE」ブランドの特価品品質であって、被請求人の「KIRSCH」としての品質ではないから、「品質保証機能がないとはいえない。」ということはできない。 ウ 本審判事件においては、商品の販売の事実があったか否か、それを立証できるか否かが問われているところ、イオンは、決算対策等の特価品を販売する際には、自社ブランド(「persodea」又は「SELF SERVICE」等)のイメージを維持するために被請求人の独自ブランドでの納品を認めたものの、被請求人が使用するブランドについては報告・確認することがなかったのであるから、被請求人の「KIRSCH」商標が、出所表示機能を果たしていないことは明らかであり、商標の使用があったとは到底いえないと断ぜざるを得ない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙68(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 被請求人である、キャストは、以下のとおり、本件商標を日本国内において使用している。 (1)商標権者 キャストは、大阪市中央区に本社を置き、婦人・子供・紳士服の企画、製造及び販売を行うアパレルメーカーである。 (2)ア キャストは、2017年10月30日、南通山川に対し、イオンに販売する目的で、女性向け衣料品(キャスト品番1682108ないし1682111(以下、上記品番以外の乙1の商品も含めて「本件商品」という。)を各1000パック発注した(乙1)。 イ キャストの商品は、全て7桁の品番が付され、統一的に管理されており、この品番は、左から部署コード、担当者、年度、季節、型番(下3桁)の規則で付される(乙2)。 本件商品は、いずれもその品番の下5桁目と4桁目の並びが「82」であるから、全てキャストの2018年度春に販売予定の商品であり、同時期に販売する目的で、国外の製造業者に大量発注したものであることが分かる。 ウ 本件商品には、いずれも本件商標を表示した下げ札及びネームが付されていた(乙3の1~乙3の3)。 乙3の1ないし乙3の3は、本件商品と同一の商品のうち、品番1682108、1682110及び1682111の現物を撮影したものであり、下げ札及びネームは、キャストの指示で、南通山川が作成、取り付けていた(乙1)。 したがって、本件商品は、流通当初から、本件商標を表示した下げ札及びネームが取り付けられた状態にあった。 (3)本件商品の流通の一例 ア 南通山川は、2018年1月23日、上記(2)アの発注に基づき、キャストに対して本件商品を納品して代金を請求し(乙4)、キャストは、本件商品を、キャストを主要取引先の一つとし、イオンを始めとする全国大手中小量販店に衣料品を出荷する物流会社である株式会社マリマ物流(以下「マリマ物流」という。)の倉庫で管理していた(乙5、乙6の1、乙6の2)。 イ キャストは、イオンの注文に基づき、2018年2月8日、マリマ物流において管理していた本件商品を出荷した(乙8)。 このうち、伝票番号510198は、イオン能代店に対する出荷に関する情報であり、当該伝票番号の出荷内容は、キャストの売上データ(乙9)から、当社(キャスト)品番1682108ないし1682111すなわち「KIRSCH」の商標を使用した本件商品であることが特定できる。 ウ イオンの納品データ(乙10)によれば、上記イのとおり本件商品を内容とする伝票番号5101983(末尾の「3」は、チェックディジットである。)の荷物がイオン能代店に到着したこと、その仕入業者がキャストであること、納品枚数が80(乙1の1が48枚、乙1の2が32枚)であること(乙9、売上枚数の合計)、商品単価が440円であり、代金計が3万5200円であることなどが分かる。 エ キャストの請求データ(乙11)によれば、キャストはイオンに対し、伝票番号5101983の商品代金として3万5200円を請求した。 他方、イオンの支払データ(乙12)によれば、イオンはキャス卜に対し、2018年3月15日、伝票番号510198の商品代金として、キャストの請求どおり3万5200円を支払った。 オ 以上のような流通課程を経て、本件商品のうち一部は、イオン能代店の店頭で販売された。 (4)キャストの売上データ(乙8)からも明らかなとおり、本件商品は、上記能代店のほかイオン横手店、同千葉ニュータウン店等日本全国各地のイオン店舗にも同様に出荷され、販売された。 (5)以上のとおり、商標権者であるキャストは、少なくとも要証期間である2018年2月の時点で、日本国内において、本件商標を使用していた。 2 回答書の要旨 (1)被請求人の「使用」の概要 被請求人は、被請求人品番1682108ないし1682114及び117以外の商品についても、要証期間に、以下の4つの使用をしている。 ア 被請求人品番1278005、1278006の商品に関する取引書類を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)。 すなわち、被請求人は、2017年11月15日、北海道三喜株式会社(以下「北海道三喜」という。)に対し、チラシ用写真に使用する目的で、「KIRSCH」の商標を付した商品を被写体とした写真を添付したメールを送信した。 商標法第2条第3項第8号における「取引書類」は、注文書・納品書・出荷案内書・物品領収書・カタログ等の取引に関する書類全般をいうところ、当該メールも、乙1の商品のチラシ作成に関して送信されたものであるから、「取引書類」に当たる。 イ 被請求人品番1278005、1278006の商品に本件商標を付したものを譲渡した(商標法第2条第3項第2号)。 すなわち、被請求人は、買付表(乙38の2)に基づき、2017年11月29日、マリマ物流で保管していた被請求人品番1278005(144着)及び1278006(144着)を北海道三喜物流センター((有)アソシエイト)に出荷し(乙41)、北海道三喜に対して本件商標を付した商品を「譲渡」した。 ウ 被請求人品番1682108ないし1682114及び117の商品に本件商標を付したものを輸入した(商標法第2条第3項第2号)。 (ア)被請求人とイオンは、2017年10月下旬頃、2018年2月度の企画について商談し、同年2月に決算対策セールに、被請求人の商品を納品することとなった。 (イ)当時、一般的に、イオンに納品する商品については、イオンが指定する襟ネーム及び下げ札「persodea」又は「SELF SERVICE」(以下、これらをまとめて「persodia等」という。)を使用することになっていたが、決算対策や特価セール企画の場合、目玉商品として「persodea」等と同等の商品を、これらの価格帯よりも安価に販売することが求められたため、「persodea」等を使用する際に発生するブランド使用料がかからず、同等品質の商品であっても、当該ブランドより安価に商品を提供できることから、イオンは、決算対策や特価セール企画に限り、被請求人に対し、被請求人独自ブランドの納品を認めていた。このことは、請求人提出の調査報告書(甲10の1)によっても分かる。 このように、決算対策や特価セールの際、「persodea」等以外のブランド(ただしKIRSCHに限らない)を納品することは認められていた。 さらに、イオンは、2018年2月度の企画に対し、被請求人がどのようなブランドを使用するかを指定せず、使用予定のブランドについて報告を求めることもしなかったことは、被請求人が、上記商品以外にも、「KIRSCH」の商標を付した商品をイオンに納品し、販売した実績があったこと(乙14、乙17、乙19、乙22、乙33、乙46)、及び「KIRSCH」は、被請求人が商標登録して使用しているブランドの一つであったことから、イオンの特価商品として問題なく受け入れられるであろうとの判断があった。 (ウ)乙45の1及び乙45の2は、イオンとの商談結果を整理する目的で、被請求人が作成した書類であり、作成後、イオンと共通認識を形成するため、イオン担当者にも交付された。 企画は、当初、イオンの187部門及び188部門が担当していたが、2018年2月度の企画については、最終的に、187部門の企画(乙45の1)が採用され、以降、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117は、1682108WBと総称されるようになった。 (エ)被請求人は、イオンが2018年2月度の企画で販売する商品について、取引先である南通山川から仕入れることとし、2017年10月30日、南通山川の担当者及び南通山川の下請会社である南通風光服飾有限公司(以下「南通風光」という。)の担当者に対し、オーダー書をメールで送付し、生地手配及び生地見本の発送を依頼(乙47)、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117について、各1,000着(計8,000着)を発注した。 なお、記録が残っていないため理由は不明であるが、被請求人品番1682115は、2017年11月8日付けで、1682117に変更され(乙1の2、乙47の5)、イオン2018年2月度の企画で販売する商品は、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117であった(乙1、乙45の1)。 (オ)製造枚数については、製作過程でB品が発生することを見越して、受注枚数より多めに製造することが多く、仕上がり品と発注枚数とに誤差が生じることから、被請求人は、南通山川との間で、発注枚数のおおむねプラス・マイナス5%の範囲の枚数であれば、仕上がり品の全てを買い取る取扱いをしている(乙49、乙59)。 (カ)南通山川は、被請求人に対し、2018年1月23日、被請求人品番1682102ないし1682114及び1682117を輸出し、被請求人は、遅くても2018年2月1日までに、これらをマリマ物流に搬入して保管した(乙54の1~乙54の8)。 (キ)被請求人は、南通山川に対し、2018年2月頃、上記(カ)の代金を支払った(乙4)。 (ク)以上のとおり、被請求人は、南通山川から、「KIRSCH」の商標を付した商品を輸入したことから、被請求人は、要証期間に、日本国内において本件商標を使用していたといえる。 エ 被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117の商品に本件商標を付したものを譲渡した(商標法第2条第3項第2号) (ア)被請求人は、2018年2月度の企画に基づき、イオンに対し、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117を2018年2月8日、同月15日、22日及び26日に在庫の全てを納品した。 なお、被請求人は、南通山川から袋詰めの状態で輸入し、マリマ物流で保管されていた商品について、袋から取り出すことなくイオン等に出荷しており、納品した商品は、いずれも「KIRSCH」の商標を付した襟ネーム及び下げ札が取り付けられていたことになる。 (イ)被請求人は、2018年2月8日に、被請求人品番1682108ないし1082114及び1082117を、仕入伝票番号510198(乙8)のとおり、マリマ物流からイオン能代店に納品(譲渡)した。 仕入伝票510198に係る商品は、イオン能代店に到着し(乙10)、被請求人が2018年2月20日にイオンに対して商品代金を請求し(乙11)、イオンが同年3月15日に支払った(乙12)。 (ウ)以上のとおり、被請求人は、2018年2月8日から同月26日、イオンに対して本件商標を付した商品を「譲渡」したことから、被請求人は、要証期間に、日本国内において本件商標を使用していたといえる。 (2)被請求人とイオン間の取引について ア 被請求人とイオン間の初回商談は、おおむね販売時期から3ないし4か月前に行われ(乙15)、同時進行的に、被請求人は、デザイン、ブランド、製造工場等を決め、オーダー書を提出する方法で商品の製造を発注している。 イ 乙45の1及び乙46は、被請求人とイオンとの商談内容を被請求人がまとめて作成し、イオンと共有していた書類(データ)であり、右上の日付が、同書面の作成日である。 ウ 被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117(乙1)については、乙45の1から、2017年11月22日の時点で、イオン及び被請求人が商談し、計画していた2018年2月度企画の内容であり、同時点で、発注日(納期)は2018年2月6日を予定し、1682108WBと称された商品を、予定されていた納期に計画総数分(乙54)納品した。 エ 乙1(乙45の1)の取引について、被請求人の製作会社(南通山川等)への発注が、イオンの計画及び注文より早いとの事実はない。 (3)乙3の撮影者、撮影日、撮影場所は、証拠説明書記載のとおりである。 (4)協同組合関西ファッション連合(以下「関西ファッション連合」という。)は、被請求人が加入している組合であり(乙55)、同組合に加入すると、繊維製品品質表示規程に定める「表示者の氏名又は名称及び住所又は電話番号」を表示する際、組合の名称、電話番号並びにその交付する記号番号を表記することができる。 被請求人は、2017年(平成29年)4月1日から2018年(平成30年)3月31日の期間、関西ファッション連合に加入しており、被請求人の登録番号は、「OS-1361」である(乙55)。当該番号が記載された商品は、全て被請求人の製造、販売に係るものであるから、上記期間内に製造された被請求人品番1278005及び1278006、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117は、全て被請求人の製造、販売に係る商品である。 (5)乙13は、被請求人がイオンに対し、2018年2月8日に出荷した商品の情報を集計した表であり、このうち、「1120」は、被請求人が、イオンに対し、2018年2月8日に出荷した「1682102WB」の販売枚数である。1682102WBが、イオン187部門(乙13の「分類187」はこれを示す。)が企画した被請求人品番1682102ないし1682114及び1682117を指すことは、上記のとおりである。 (6)乙45の1は、イオン及び被請求人の商談課程(2017年11月22日時点)で、被請求人が作成し、イオンに交付している書面(データ)であり、当該書面(データ)は、同時点で確定していた情報(予定)が記載されたものにすぎないから、空欄があっても不自然ではない。 (7)乙13及び乙45の1にペルソデアの記載がある一方で「KIRSCH」の記載がない事情については、イオンの内部事情について関知していない。 被請求人は、被請求人とイオン間の長年の取引実績による信頼関係により、特価品のブランドの選択については、被請求人に一任されていたが、イオンから、どのブランド(どの商標を付した商品)を選択したか確認されることすらなかった。他方、納品する商品の品質については、イオン基準の品質検査を受け、これに合格することが必須であった(乙22、乙31の1、乙31の2、乙53)。 また、「persodea」は、イオンのプライベートブランドの一つであり、被請求人も、2017年から2018年頃、「persodea」の襟ネーム又は下げ札を取り付けた商品をイオンに納品していた。KIRSCHを含む特価品についても、「persodea」の販売コーナーの一角で販売されると聞いていたことから、被請求人にしてみれば、イオンヘの納品は、「persodea」コーナーヘの納品と同義である。 そのため、どのような商品を納品する場合にも、得意先には「イオン(ペルソデア)」と表記しており(乙5、乙13)、ここにいう「ペルソデア」は、「persodea」の商標を付した商品という意味ではなく、persodeaの「販売コーナー」の意味で使用していた。 さらに、乙45の1の1頁の「187部門18年春夏ペルカジトップス基準」や、同2頁の「トップス ペルソデアカジュアル基準」の記載は、イオンの187部門、188部門の商談担当者がそのように呼称していたから、被請求人がこれに合わせてそのように記載しただけにすぎず、いずれも、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117が「persodea」の下げ札を取り付けた商品であったことを示すものではない。 したがって、被請求人及びイオン間では、特価品として納品される商品のブランドについて、共通認識を持つ必要もなく、その機会もなかったため、この点について乙45の1に記載されていなくとも、何ら不自然ではない。 (8)使用に係る商品が、本件商標の指定商品であること ア 審査基準にいう「ティーシャツ」に当たる商品であっても、それが、外出時等に他人に見せる衣服として使用することが想定されている商品であれば、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」(類似群コード17A01)と類似する商品としての保護が及ぶと考えられ、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117は、その素材、デザインからすれば、他人に見せる衣服として使用することが想定されているものであることは明らかであるから、これらの商品は「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」(類似群コード17A01)に類似する商品としての保護が及び、これらの商品の譲渡や輸入行為は、指定商品である「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」としての商標使用に当たる。 イ そもそも、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117の商品について、「ナガソデカジュアルTシャツカクシュ」等の記載のほかに、「トップス」や「プルオーバー」等の記載もあること(乙45の1、乙45の2)、「ティーシャツ」については上述のとおり、広範な使用方法を含む概念であることからすれば、これらの商品が、審査基準上の「ティーシャツ」を意識して「ナガソデカジュアルTシャツカクシュ」等の呼称をつけられていたものでもない。 ウ 小括 したがって、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」と「ティーシャツ」が審査基準上明確に別個の商品であるとはいえず、むしろ想定されている使用方法からすれば、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117は、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」(類似群コード17A01)に類似するものとして、その譲渡や輸入行為は、指定商品の商標使用にあたるものである。 (9)「使用証拠への疑義」について ア 被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117が「KIRSCH」の商標を付して製造されたこと 被請求人は、KIRSCHと同年代をターゲットにしたブランドを多数取り扱うアパレル業者であり、他方、ブランド間に、特筆すべき特徴、コンセプトの違いがあるわけではない。 したがって、同種同類、同対象者向けの商品であっても、ブランドAが使用されることもあれば、ブランドBが使用されることもあり、被請求人の品番(7桁)にも、ブランドを識別するコードは設けられておらず(乙2)、被請求人は、ブランド名(商標)をもって商品を特定しない代わりに、商談、オーダー、流通の全ての場面において、商品の特定は品番で行っており、このような事情から、取引書類にブランド名(商標)が現れること自体がまれである。 イ 被請求人は、製造会社に商品の製造を発注する際、メールを使用する。 乙1が、取引書類であるメール(乙47の1)に添付されたオーダー書の一部(乙47の4、乙47の5)であること、製造会社(南通山川)がこれを中国語に翻訳して使用している(乙48)ことから、乙1の作成と同時期に、南通山川で、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117が製造されたことは確かである。 (10)KIRSCHを知っているイオン店員がいないとする点について ア イオンモールの店舗で店員に調査したとして、調査報告書(甲9、甲10)を提出しているが、その調査対象者は、そもそも数名程度にすぎないし、回答内容も回答者の記憶の限りにとどまるものであり、少なくとも、イオンが、法人として、確かな裏付けをもって回答したものではなく、あくまで個々人が責任なく回答したものであるから、その程度の調査をもって、「KIRSCH」を知っている店員がいないと結論付けるのは、暴論である。 イ KIRSCHは、「persodea」等の看板が店内の柱に掲げられた販売スペース内で、特価品として、年に数回、期間を限定して取り扱われたブランドであり、従業員の認識としては、せいぜい「persodea」の特価品といった程度のものであると考えられる。また、販売計画(乙45の1)によれば、予定販店舗は全国350各地にのぼり、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117は、全部で約8000着の納品であるから、店舗平均の販売枚数は20着程度であって、取扱い枚数も少ない。しかも、イオンの店員は、百貨店のブティック等と違い、売場にブランド専門の販売員が常駐して接客をしているわけではない。 このような状況で、いかに知識のある売場担当であったとしても、特価品を含めた売場にある全てのブランドを記憶しているとは到底考えられず、さらに、被請求人の調査によっても、「KIRSCH」の最終の納品は2018年2月であり、最終販売日から2年近く経過した時点であれば、記憶も相当程度失われていると考えられることからすれば、KIRSCHを知っているイオンの店員がいないと決めつけること自体おかしいし、調査対象者がKIRSCHを知らなかったからといって、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117がKIRSCHの商標を使用したものではないと推認させる事実にもならない。 (11)「persodea」について ア 「persodea」は、イオンのプライベートブランドの一つであり、被請求人も、2017年から2018年頃、「persodea」の襟ネーム又は下げ札を取り付けた商品をイオンに毎月のように納品していた。 被請求人にとってイオンとの取引の主力商品は「persodea」であり、「KIRSCH」やその他被請求人独自のブランドは、特価企画がイオンから提案されれば、これに応じて納品する程度の取扱い状況だった。 イ 2017年から2018年当時、イオンは、「persodea」の販売コーナーを設けており、被請求人が継続的に納品していた「persodea」の商品及び特価品についても、「persodea」コーナーの一角で販売すると聞いていた。 したがって、イオンヘの納品は、「persodea」コーナーヘの納品と同義であり、商品を納品する場合にも、得意先には「イオン(ペルソデア)」と表記していた(乙5、乙13)。 ここにいう「ペルソデア」は、「persodea」の商品という意味ではなく、persodeaの「販売コーナー」の意味である。 多数のブランドを同時に取り扱い、しかも各ブランドに目立った特色がない以上、ブランド名で取引するのはかえって煩雑であるということから、被請求人の商品の発注、荷受け、商品管理、納品等は、いずれも品番で行っている。 また、乙45の1の1頁の「187部門18年春夏ペルカジトップス基準」については、イオンの187部門、188部門の商談担当者がそのように呼称していたから、被請求人がこれに合わせてそのように記載しただけにすぎず、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117が「persodea」の下げ札を取り付けた商品であったことを示すものではない。 (12)被請求人の従業員が「KIRSCH」について5年前に生産を終了したブランドである旨述べたとされる点について(乙58) 請求人の調査によれば、被請求人の従業員が、KIRSCHについて、(2019年9月時点で)5年前に生産を終了したブランドである旨述べたというが、そもそも、当該従業員は、KIRSCHのデザイン、製造や営業に携わった実績がなく、また、被請求人がKIRSCHを使用したと主張している2017年から2018年は、育児休暇のため被請求人に出社していないから(乙59)、受電当時、KIRSCHの使用状況について正確な情報を有しない立場にあった。 当該従業員は、電話の相手が、KIRSCHの使用歴を調査するという真意を明かさず、「母親のためにKIRSCHを購入したい」と述べたことから、KIRSCHの類似品で、ターゲットを同じくするpersodea、SELF SERVICEを案内したのであり、2019年9月当時、被請求人は、確かにKIRSCHを使用しておらず、市場に流通している可能性は高くなかったのであるから、このような案内をするのは当然である。 また、KIRSCHが(2019年9月時点で)5年前に生産を終了したブランドである旨述べた点について、当該従業員は、これを否定しており、仮にこれに類似する発言があったとしても、同人は、KIRSCHの使用歴について正確に知る立場になかった以上、また調査の上回答したものでもなかった以上、これをもって被請求人がKIRSCHを使用していなかったと認めたことには到底なり得ない。 3 口頭審理陳述要領書(1)の要旨 (1)被請求人は、平成29年4月10日、関西ファッション連合に対し、繊維製品品質表示者名称等代行表記制度の登録更新申請書を提出し(乙60)、承認通知書(乙55)の交付を受けた。商標登録原簿の登録事項における被請求人と、承認通知書の名宛人たる株式会社キャストが、同一の法人格であることは明らかである。 承認通知書(乙55)は、家庭用品品質表示法に基づき、関西ファッション連合が、被請求人を代行して上記表示事業を行うことを承認する通知である。 被請求人は、下請製造業者に製造させた上記家庭用品に、下請製造先において、関西ファッション連合から付与された登録番号「OS-1361」を記載した下げ札を付した状態で輸入し(乙20、乙25、乙27、乙50等)、それらの下げ札を付した家庭用品を上記取引先等に販売している。 したがって、登録番号「OS-1361」が記載された商品は全て被請求人の製造、販売に係る商品である。 (2)被請求人がイオンに対して本件商品を販売した事実を確認できる取引書類は、納品データ・納品明細データ(乙10)、支払データ(乙12)である。 ア イオンは、2013年頃から、取引書類の紙媒体での作成、発行を取りやめ、流通BMSを使用したEDI(専用回線や通信回線を通じ、ネットワーク経由で標準的な書式に統一された発注書、納品書、請求書などのビジネス文書を電子的に交換する)仕様に変更した(乙63)。 被請求人が、ある商品をイオンに販売する場合、被請求人・イオン間で行われる流通BMSを通した取引書類のやりとりは、以下のとおりである(乙65の1)。 (ア)発注(イオンからマリマ物流) マリマ物流は、イオンからのオンライン発注受信を完備しており(乙6、乙65)、発注は、イオンからマリマ物流に直接行う。 イオンは、流通BMS上で、発注データを作成し、マリマ物流に開示するが、マリマ物流によれば、イオン作成の発注データには、発注する商品を特定する要素として、品揃え計画兼値札発行書記載のケースID番号(2018年2月8日の取引では1682108WB。乙45の1。)及びイオン独自の品番(同取引では2318785058016)が併記されているところ、両番号だけでは商品を特定できない場合には、被請求人に対し、ケースID(1682108WB)が総称する商品の明細を照会し、被請求人から、口頭あるいはメールなどの方法で明細(1682108WBが被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117を指す。)について回答を受け、出荷すべき商品を特定することになる、とのことであった。 (イ)受注・出荷(マリマ物流からイオン) 受注・出荷は、マリマ物流がイオンに直接行う(乙6、乙65)。 マリマ物流は、発注データを基に、出荷の可否を判断し、発注内容どおりの出荷が可能な在庫状況であれば、流通BMS上で出荷データを作成してイオンに開示し、マリマ物流は、イオンからの発注内容及びイオンに対する出荷状況について、被請求人に報告を行う(乙64、乙65の1)。 (ウ)納品・納品明細(イオンから被請求人)(乙10) イオンは、発注データ、出荷データと納品された商品を照合し、商品の検品等を行い、その結果に問題がなければ、流通BMS上で、受領データ(納品データ及び納品明細データ。乙10)を作成し、被請求人に開示する。 (エ)請求書(被請求人からイオン) 被請求人は、受領データ(乙10)を基に、流通BMS上で、請求書を作成し、イオンに開示する。 (オ)支払(イオンから被請求人)(乙12) イオンは、自身が流通BMS上で作成・開示した受領データと上記(エ)の請求データを照合し、商品代金を支払い、また、流通BMS上で、支払データを作成し、被請求人に開示する。 イ 納品データ・納品明細データ(乙10)及び支払データ(乙12)は、流通BMS上で、イオンが作成し、開示した取引書類であり、通常はデータで管理するものであるが、本審判に提出する目的で、被請求人は、2019年12月12日、上記各データを紙媒体化した。 以上を踏まえ、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117の譲渡(商標法第2条第3項第2号)の2018年2月8日の納品状況を以下のとおり補足する。 (ア)マリマ物流は、2018年2月8日、イオン能代店に、被請求人の商品を出荷した。その伝票番号は、510198である(乙8)。 (イ)被請求人は、イオンからの発受注、出荷について、マリマ物流から報告を受け(乙64)、分類コード187、先方商品名上段「ナガソデカジュアルTシャツカ」、発注単価や売価等の表記が乙45の1の販売計画記載の数字と一致することから、被請求人は、伝票番号510198の出荷の内容が、乙45の1の販売計画に基づく商品計80枚であることを特定できる。 なお、マリマ物流は、各品番の在庫に偏りが出ないよう、枚数を調整しながら出荷し、どの品番を何枚という指定は、被請求人もしないし、イオンからもなされない(納品明細データ(乙10)や品番別集計表(乙13)に「コミ」との表記が見られるが、「コミ」とは、当該販売計画の範囲内で発送商品の内訳をマリマ物流に一任することを意味する。)。また、被請求人は、マリマ物流から、出荷時点では、それぞれの品番(1682108ないし1682114及び1682117)の出荷枚数報告は受けない(乙64)。 被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117について、マリマ物流の在庫が全て無くなると、被請求人は、マリマ物流からの報告で、それぞれの品番がどの店舗に何枚出荷されたか報告を受けることもでき、これをまとめたものが乙9である。 仕入伝票番号510198の内容物は、被請求人品番1682108を12枚含む、計80枚であると分かる(乙9)。 また、イオンは、原則としてイオン独自の品番で商品を管理し、被請求人は、被請求人独自の品番で商品を管理するが、実際に受注・出荷を行うマリマ物流は、両品番を併記して、商品を管理している(乙13)。 以上より、伝票番号510198の内容物は、2318785058016であり、1682108WB(被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117)であると特定できる。 (ウ)仕入伝票510198に係る商品がイオン能代店に到着したこと イオン能代店は、マリマ物流から、伝票番号5101983(末尾の3はチェックディジット)の納品を受け、イオンは、流通BMS上の出荷データと納品内容を照合、検品等を行い、流通BMS上に、納品データ・納品明細データを開示した(乙10)。 被請求人は、流通BMS上で開示された納品データ、納品明細データを基に、請求書を作成し、流通BMS上に開示した。請求金額は、3万5200円である(乙11)。 これを受けて、イオンは被請求人に対し、上記金額を支払うとともに、支払データ(乙12)を作成し、流通BMSに開示した。 (エ)以上のとおり、被請求人は、2018年2月8日から同月26日、イオンに対して本件商標を付した商品を「譲渡」(商標法第2条第3項第2号)した。 4 口頭審理陳述要領書(2)の要旨 (1)本件商品の被請求人での品番 被請求人はイオンに対し、本件商標を付した婦人用衣料品を販売した。乙1の1及び乙1の2は、被請求人が企画した商品の製造を中国の縫製メーカーヘ依頼するための仕様書であるが、同号証記載の1682108から1682114及び1682117の8点がそれに該当する。 企画当初からイオンヘの販売を前提にしていたので、乙1の1及び乙1の2の各商品全てに「AEON 品番 1682108EM/WB12」が付されている。被請求人がイオンに納品した製品には、イオンにて同社固有の品番を付しているが、「AEON 品番 1682108EM/WB12」はイオンが付した品番ではなく、被請求人が付した被請求人固有の品番である。イオン用の商品であるため「AEON 品番」と記載しているだけであり、被請求人の品番としては「1682108EM/WB」である。 なお、イオンでは、187部門及び188部門のいずれが本件商品を扱うのかが不明であったため、当初は、「1682108EM/WB」としていたが、最終的には187部門が扱うことになったので、本件商品の品番は「1682108EWB」とした。 よって、本件商品(上記8点)についての被請求人の品番は「1682108EWB」である。 (2)イオンの仕入れ業務はEDIによって行われている 現在、継続的な商品の受発注(出荷、納品、支払を含む)を行う大手の流通業者ではEDI(Electronic Data Interchange 受発注システム)によって取引が行われており、紙の発注書、納品書、請求書、領収証などは授受されない。イオンも2013年からEDIでの受発注を採用し、出入りの業者はこのシステムを利用して取引を行っている。 (3)被請求人、マリマ物流はイオンの指定業者である 仕入れ業者がイオンに商品を納品するときは、イオンの指定業者である運送業者を利用する必要があり、本件商品は、マリマ物流によってイオンヘ納品されていた。 本件商品は、マリマ物流の大阪府箕面市にある倉庫に保管され、イオンから発注があると、当該倉庫からマリマ物流が搬出し、イオンヘ納品していた。 (4)本件商品の発注、出荷、納品、請求、支払の手順 イオンからの発注があると、以下の手順で出荷、納品、請求、支払が行われており、その受発注システムをEDIという。 ア EDIを利用してイオンが商品を発注すると、伝票番号、商品の品番、個数などの情報がマリマ物流に通知される。 イ マリマ物流は「イオンからの発注データ(マリマ物流にとっては受注データ)」を受領すると、その都度、受注内容を被請求人ヘメールで知らせる。その通知が乙13、乙64である。 乙13には発注商品について、被請求人における品番とイオンの品番が併記されており、これによって、被請求人は自社のどの商品の注文かが分かり、乙64には発注商品について、(発注の)伝票番号、イオンの品番、発注数量、代金などが記載されており、被請求人はこれらを知ることができる。 ウ マリマ物流は自社の倉庫から商品を出荷し、EDIシステムによってイオンに出荷データを送信する。 エ 商品がイオンに到着すると、イオンは発注データと受領品をチェック(検品し、合致していれば、EDIシステムを通じて、被請求人へ受領した旨を通知する(「納品データ」)。被請求人はEDIシステム上のデータによってこれを知る。 EDIのデータベースから該当する伝票データを抽出し、出力したものが乙10であり、この納品データにはイオンの品番と伝票番号等が記載されている。 オ 被請求人からイオンヘ請求データをEDIによって、伝票ごとに、伝票番号を記載して送信する(代金の請求)。 EDIのデータベースから、伝票番号が記載された該当する伝票データを抽出し、出力したものが乙11であり、イオンから被請求人へ、仕入れ代金の支払に関するデータが送付される(代金の支払通知)。 EDIのデータベースから該当する伝票データを抽出し、出力したものが乙12である。 (5)本件商品に関する「イオンの品番」と「被請求人の品番」 イオンが仕入れた商品には、イオンの品番が付されるから、本件商品には、「被請求人の品番」と「イオンの品番」があるので、双方の品番を紐付ける必要がある。 マリマ物流によれば、イオンからの発注データには、被請求人の品番とイオンの品番が併記され、両者が紐付けられているということであり、乙13「品番別集計表」は、マリマ物流がイオンの発注データを受領した際、メールに添付して被請求人へ送信してくるものである。この乙13には、発注商品について、「被請求人の品番」と「イオンの品番」が併記されており、<自社品番>から始まる第1列が被請求人の品番などであり、また、<商品コード>から始まる第2列がイオンでの品番などであり、これによって、被請求人の「1682108WB」がイオンの「2318785058016」であることが分かる。 (6)本件商品がイオンヘ販売されていたこと 本件商品がイオンヘ販売されていたことを、以下説明する。 まず、イオンはマリマ物流に対し発注データを送信する。 ア マリマ物流から被請求人へ、その発注内容が乙13「品番集計表」と乙64によって通知され、乙13によって、「被請求人の品番1682108WB」が「イオンの2318785058016」であることが分かり、乙64によって、(発注の)伝票番号、発注数量、代金などが分かる。 イ イオンからの発注データに基づき、マリマ物流が対象品をイオンヘ出荷し、イオンの検品が終わると、イオンは被請求人に対し納品データを送信する(乙10)。 乙10には、伝票番号5101983、Supplier(供給者)被請求人、Space(受領場所)が記載され、乙10の4頁の「納品明細データ」には納品商品がイオン品番「2318785058016」であることが記載されているところ、イオン品番「2318785058016」は被請求人の「1682108WB」であるから、本件商品がイオンヘ納品されたことが分かる。 ウ 被請求人はイオンに対し、上記納品についての代金を請求する(乙11の請求データ)が、これは、伝票番号5101983についての請求であるから、上記イの納品に対する代金請求であることが分かる。 エ イオンは被請求人に対し、請求された仕入れ代金を支払い、支払データ(乙12)を送信するところ、伝票番号5101983についての支払であるから、上記イ及びウの仕入れ(納品)、請求に対する支払であることが分かる。 オ 上記アないしエによって、イオンから本件商品(被請求人品番1682102WB)の発注があり、それを納品し、代金の支払がされたことが分かる。 また、イオンからの発注日は2018年2月7日(乙13の「受信日」)、納品日は2月12日(乙10)、代金請求が2月20日(乙11)、支払日が2月27日(乙12)であるから、この時点で本件商標を付した本件商品が譲渡されていたことが分かる。 5 上申書の要旨 (1)乙3の被写体について 被請求人は、製造業者に対し、各品番、各色1枚ずつ、先上げサンプルとして本番抜き取り商品(完成品)を提供するよう指示しており、被請求人品番1682108ないし1682114、1683117であれば、2018年1月19日までに(乙1)、被請求人着で先上げサンプルを送付するよう指示している。 保管場所の都合上、被請求人は、全てのサンプルを保管しているわけではなく、ランダムに保管していたものの中に、被請求人品番1682108、1682110、1682111、1682112、1682113、1682114の計6着が有ったことから、本件商標の使用状況を立証する趣旨で撮影し、証拠提出したものである。 (2)本件商品の被請求人品番について ア マリマ物流は、イオン向けの商品を関西XD(イオンの物流センター)へ配送し、関西XDで、イオンが全国の店舗へ配送する仕分けを行っている。 乙8は、マリマ物流が作成し、関西XDまでパッキングした商品を運送する際に、ドライバーに持参させる書面である。当該書面は、マリマ物流がイオンからEDIシステムで受信した発注データに基づいて記載がなされるものであり、乙67は、マリマ物流がイオンからEDIシステムで受信した発注データのうち、イオン能代店に関するデータを抽出し、出力したものである。運送ドライバーがイオン物流センターに到着すると、運送ドライバー及びイオン物流センターは、宛先、個口数及び仕入れ伝票番号など乙8の記載を基に商品を確認し、受け渡しを行う。 乙8は、以上のような内容、趣旨の書面であり、その基となるデータは、「マリマ物流がイオンからEDIシステムで受信した発注データ」である。 イ 乙9の作成者は、被請求人であり、乙9作成の根拠となったマリマ物流からの報告書(データ)は、乙68の2である。被請求人は、同CSVデータを自社の販売管理システムに取り込む。その取り込み結果(データ)を本審判のために印刷したものが乙9である。 (3)イオンとの取引について 被請求人がイオンに対して譲渡した、被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117の特定方法について、以下のとおり補足して主張する。 ア マリマ物流は、イオンからEDIで発注データを受信する。乙67は、イオンに対する譲渡のうち、能代店に関する発注データをマリマ物流のEDIから抽出し、出力したものである。この発注データにより、マリマ物流は、被請求人品番1682108WB(Mycommoditycd 1682108WB)がイオン品番2318785058016(Commoditycd 2318785058016)に対応することが分かる。 イ マリマ物流は、被請求人にイオンから発注があったことを報告するため、乙13と乙64を作成する。被請求人は、マリマ物流がイオンからEDIで受信した発注データを見ることができない代わりに、マリマ物流は、発注データの中から被請求人が求める情報を乙13と乙64に成形し、被請求人に報告する。 このうち、乙13は、マリマ物流が被請求人の営業部に宛てて送付した書面であり、乙13によって、被請求人は、被請求人品番1682108WBがイオン品番2318785058016に対応することが分かる。 ウ 被請求人品番1682108WB(Mycommoditycd 1682108WB)の内容 (ア)被請求人は、衣料品のデザインごとに1つの品番を割り振っており、同一企画の商品で、デザインの異なる衣料品には、連続した番号を割り振っている。これらの同一企画の商品をまとめて販売する場合、商談や取引過程で全ての品番を羅列するのは煩雑であるため、個別の品番とは別にグループ名(代表の番号)を法則に従って付けており、イオンとの取引の場合は、当該グループ先頭の品番の番号末尾に英字を付けていることから、被請求人品番1682108WBは、被請求人品番1682108から始まる同一企画のグループであると特定できる。 (イ)したがって、イオンは、被請求人の品番を1682108WBと認識しており、EDIでイオンと共有された乙45の1にも、1682108WBと表示されており、その具体的な内容については、イオンと被請求人営業との間の商談課程で確認されているし、乙45の1の2頁「商品の絵型・写真」でも確認できる。 以上の事実からすれば、被請求人品番1682108WBが、被請求人品番1682108から始まる同一企画のグループであることは明らかである。 (ウ)上記(イ)の法則については、マリマ物流も承知している(乙66)。 マリマ物流は、被請求人の衣料品について、デザインごとに割り振られた品番で管理しており、本件でいえば、1682108、1682109・・・1682114及び1682117と個別の番号で管理しているため、イオンからEDIで発注データを受信したとき、1682108WBの表示だけでは、それが具体的にどの衣料品に該当するか分からないが、マリマ物流は、イオンからの発注データに、数字の末尾に英字が付された品番が記載されている場合、当該品番を先頭とした商品グループを指すことを承知している。 本件の場合、1682108を先頭とした商品グループであると判断でき、マリマ物流は、被請求人品番1682108WBが被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117を指すと特定できる(乙66)。 (エ)以上のとおり、イオン品番23185058016は、被請求人品番1682108WBを指し、その内容が被請求人品番1682108ないし1682114及び1682117を指すことは明らかである。 イオンは、本件商標が付された被請求人品番1682108WB、すなわち1682108ないし1682114及び1682117を発注(乙67)、受領し(乙10)、被請求人に対し、売買代金を支払った(乙12)のであるから、被請求人は、イオンに対し、本件商標を付した商品を譲渡したといえる。 (4)本件商標の商標的使用について ア 一般的に被服では、襟ネーム、織ネーム、下げ札や包装袋等に商標が表示されており、被請求人も、本件商標を襟ネーム及び下げ札に表示して使用しているが、これは、他社が製造する被服、あるいは自社の製造する他の被服と識別するために、このような表示を行っているのであり、また、被請求人は、上記の表示態様で、2017年から2018年当時、本件商標を付した商品を年間数千着製造し、全国各地に販売していたことから、本件商標を実質的にも使用していたといえる。 被請求人は、正に出所を識別する表示として実際に本件商標を使用しているのであるから、商標法第2条第3項の商標の「使用」に該当する。 イ 本件商標が、商標の機能である自他商品識別機能を有しない態様で使用されているから、商標としての使用に該当しないとの主張について (ア)被請求人は、イオンから特価品の納品を求められたとき、本件商標を付した商品を納品しており、被請求人が納品した特価品は、イオン独自ブランドである「persodea」等のコーナーで展開されるため、被請求人は、当該商品と差別化を図ることのできるブランドを使用する必要があった。 この目的を果たすために被請求人が選択したブランドが本件商標であり、被請求人は、商品の出所について、イオン独自ブランドである「persodea」等と区別するために本件商品に本件商標を付したのであるから、出所表示機能を果たしたといえる。 (イ)品番を用いて管理することがもっとも合理的であることから、被請求人の商品は、商談、オーダー、流通等の場面において、品番を用いて商品の特定がされるところ、流通過程のー場面において、このような方法を採用したからといって、本件商標の出所機能を害することにはならない。 実際に流通し、商品として販売されるのは、被請求人の製造した商品そのものであって、品番ではなく、イオン及び消費者は、「persodea」等との区別は、本件商品に付された本件商標によるしかないから、本件商品に本件商標を付したことは、出所表示機能を果たしたといえる。 (ウ)請求人は、イオンが品質検査及び製品品質検査を被請求人に課しているから、本件商標に品質保証機能がないと主張するが、明らかな誤導であり、商標の品質保証機能とは無関係の問題であって、品質検査を求めるイオンの取扱いをもって、本件商標に品質保証機能がないとはいえない。 (エ)広告宣伝機能とは、出所の表示や品質の保証を通して商標が付された商品を印象付ける機能である。登録商標を需要者に記憶させようと全面に打ち出したり、登録商標によって広告宣伝を行ったりすることを要求するものではない。請求人の主張は、被請求人があたかも本件商標を用いて積極的に広告活動を行わなければならないかのように指摘する点で、明らかな誤りがある。 第4 当審の判断 1 認定事実 (1)被請求人の主張及び証拠は、以下のとおりである。 ア 乙1の1及び乙1の2は、被請求人が作成した、オーダー書とされるものである。 これは、2017年10月30日の日付の宛先を南通山川の担当者とするものであって、「1682108」ないし「1682114」及び「1682117」の番号の8種類の模様及び色の異なるプルオーバー(ボタン掛けなどをせず頭からかぶって着る衣服)型の長袖シャツが表示されており、各数字の下には、「AEON品番 1682108EM/WB」の表示があり、それぞれの長袖のシャツについて各サイズの数量と合計欄に「1000」の表示がある。また、「納期」欄には「1/26大阪一般船」、「BUYER」欄には「AEON」、「その他」欄には「●先上げサンプル各色1枚づつ → 1/19(金)までにCAST着」の表示がある。さらに、8種類の長袖のシャツのうち、「1682108」の番号のシャツは、黄色地で襟ぐり及び裾の一部がボーダー柄のデザインである。 イ 乙3の1は、前側及び後側並びに襟ネーム、下げ札及び洗濯ラベルを写したプルオーバー型の長袖シャツの写真であり、その襟ネーム及び下げ札には「KIRSCH」の欧文字が横書きで表示されている。また、下げ札及び洗濯ラベルには「NO 1682108」、「協同組合 関西ファッション連合」及び「OS-1361」の表示がある。さらに、当該長袖シャツは、黄色地で襟ぐり及び裾の一部がボーダー柄のデザインである。 なお、証拠説明書によれば、その撮影日は、2019年12月19日である。 ウ 乙4は、南通山川がキャストを宛先として作成した、2018年1月23日の日付の請求書(INVOICE)であるところ、これには、「DESCRIPTION OF GOODS(商品の記述)」欄に「LADIES’KNITTED WEAR(レディースニットウェア)」及び「1682108」の当該商品の「QUANTITY(数量)」欄に「1068」の記載がある。また、上記以外の「1682109」ないし「1682114」及び「1682117」についても、「QUANTITY(数量)」欄に「1024」ないし「1092」の記載がある。 エ 乙8は、マリマ物流が作成した「センター納入明細書」とされるものであり、これは、「店名」、「店コード」、「代表部門」及び「仕入れ伝票No」などからなる表であり、店名欄「ノシロ」について、伝票番号として「510198」の表示がある。また、当該表の下部には、「出荷日」欄に「2018年2月8日」、「取引先名」欄に「(カ)キャスト」の記載があり、さらに、「出荷」、「18,2,08」及び「(株)マリマ物流」の文字が表示された丸判が表示されている。 オ 乙9は、被請求人が作成したとされる「当社売上データ」の表示がある書面であり、これは、「出荷日」、「納品日」、「イオン品番」、「当社品番」、「伝票番号」及び「売上枚数」などからなる表であり、当社品番を「1682108」ないし「1682114」及び「1682117」について、出荷日として2018年2月8日、イオン品番として「2318785058016」、伝票番号として「510198」、売上げ枚数として、「1682108」の12枚を含め、合計80枚の記載がある。 カ 乙13は、マリマ物流が作成したとされる「品番別集計表」の表題の書面であり、これには、「得意先」として「キャスト」、「出荷日」として「2018/2/8」、「<自社品番><商品コード>」欄に、「1682108WB 2318785058016」、「商品名 規格」欄に「ナガソデカジュアルTシャツカ コミ」の記載がある。 キ 乙49は、南通山川が作成した「売買確認書」とされる2018年1月10日の日付の書面であり、売主として、「南通山川服飾有限公司」、買主として「CAST CO.,LTD」の記載がある。また「品名及び規格」欄には、「衣服」、「1682108」ないし「1682114」及び「1682117」について、数量として、各1000着の記載があり、下部には、「1.買主が確認したサンプルと同じ品質」、「2.数量と金額はプラスマイナス5%を許容する」との記載があり、支払承認印及び南通山川の丸判がある。 ク 乙55は、「繊維製品品質表示者名称等代行表記制度(兼 登録記号番号交付)承認通知書」の表題の書面であり、キャストの代表取締役を宛先として、関西ファッション連合が作成したものであり、これには、申請された繊維製品品質表示者名称等代行表記制度規約に基づく名称表記を承認し、登録番号を交付する旨の記載があり、有効期間に「平成29年4月1日~平成30年3月31日」、名称に「協同組合関西ファッション連合」、「登録記号番号」に「OSー1361」の記載がある。 ケ 乙64は、マリマ物流から提供された発注データとされるものであり、これには、「先方伝票番号」欄の「510198」について、「発注日」及び「納期」欄には、「180206」及び「180209」の記載、「社名」及び「先方店名」欄には、「イオンリテール」及び「ノシロ」、「先方商品コード」欄には「2318785058016」、「発注数」欄には「80」の記載がある。 コ 乙66は、マリマ物流の代表取締役の氏名及び押印のある「報告書」の表題の書面であり、その記載内容は、以下のとおりである。 (ア)マリマ物流は、キャストから販売する衣料品の保管、出荷業務行い、商品の在庫倉庫を兼ねている旨、及びキャストの商品に関するイオンからの発注指示はマリマ物流にEDI(Electronic Data Interchange)により届き、同社の倉庫から出荷される旨記載されている。また、別紙1は、キャスト品番「1682108WB」(イオン品番「2318785058016」)のイオン能代店の発注データを出力したものであり、そのままでは使いにくいため、別紙2のように同一出荷日・納品先ごとに整形して、発送作業を行っているところ、これらから、キャスト品番に対応するイオン品番が分かる。 そして、別紙1には、「StoreName」欄に「ノシロ」、「OrderNo(伝票番号)」欄に「5101983」、「DeliveryDate(納品日)」欄に「2018/2/9」、「CommodityCD(イオン品番)」欄に「2318785058016」、「MyCommodityCD(キャスト品番)」欄に「1682108WB」、「Quantity(数量)」欄に「80」の記載があり、上記のうち「MyCommodityCD(キャスト品番)」の「1682108WB」は、「1682108」から始まる複数の商品、具体的には「1682108」ないし「1682114」及び「1682117」を指すものである。 (イ)乙13(品別集計表)と乙64(受注データ)は、マリマ物流がメールに添付してキャストに送付したものである。 (ウ)マリマ物流は、イオンの発注データを基に、イオンの店舗及び伝票晩ごとに商品をパッキングし、イオンの物流センター(関西XD)に納入しており、乙8(センター納入明細書)は、トラックごとの貨物の明細であり、原本をマリマ物流が作成し、出荷時にドライバーに渡した原本の控えである。 サ 「1682108」ないし「1682114」及び「1682117」の商品のキャスト品番は、「1682108WB」である(被請求人の主張)。 シ イオンは、商品の受発注を流通BMSを使用したEDI(専用回線や通信回線を通じ、ネットワーク経由で標準的に統一された発注書、納品書、請求書などのビジネス文書を電子的に交換する受発注システム)で行っている(被請求人の主張、乙66)。 (2)上記(1)によれば、以下の事実を認めることができる。 ア 本件商標の商標権者であるキャストは、2017年(平成29年)10月30日に南通山川に対し、「1682108」の番号の長袖シャツ(以下「使用商品」という。)1000枚の製造を依頼し(乙1の1)、使用商品がキャストに納品されたことがうかがわれ(乙49)、2018年(平成30年)1月23日にプラス分を含め使用商品1068枚分の代金が請求された(乙4)。 イ 使用商品は、黄色地で襟ぐり及び裾の一部がボーダー柄のデザインのプルオーバー型の長袖シャツであり、その襟ネーム及び下げ札には「KIRSCH」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている(乙3の1)。また、使用商品の下げ札及び洗濯ラベルには、関西ファッション連合の名称が表示されており(乙3の1)、これは、キャストが関西ファッション連合から名称表記の承認を受け、表示したものである(乙55)。 ウ マリマ物流は、キャストが販売する衣料品を保管し、出荷する業務を行っており、キャストの商品に関するイオンからの発注は、イオンからマリマ物流へ直接指示され、マリマ物流の倉庫から出荷される(乙66)。 エ マリマ物流は、イオンから2018年(平成30年)2月6日に伝票番号「510198」として、商品コード「2318785058016」について、発注を受けた(乙64、乙66)。なお、乙66に記載の伝票番号は「5101983」であるが、末尾の「3」は、チェックディジットであると推認できる。 オ 上記エの発注に基づき、マリマ物流は、2018年(平成30年)2月8日に、イオン能代店に対して、使用商品を含むキャスト品番「1682108WB」の商品80枚を出荷し、当該商品は同月9日に納品された(乙8、乙13、乙64、乙66、上記(1)サ)。 カ キャストの売上データには、使用商品について、出荷日を2018年(平成30年)2月8日、納品日を同月9日、イオン品番を「2318785058016」、伝票番号を「510198」、売上枚数「12」として記録されている(乙9)。 2 判断 (1)使用商標について 使用商標は「KIRSCH」の欧文字を横書きしてなり、本件商標は上記第1のとおり「KIRSCH」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。 (2)使用商品について 使用商品は、黄色地で襟ぐり及び裾の一部がボーダー柄のデザインのプルオーバー型の長袖シャツである。 本件商標の指定商品は、上記第1のとおり、第25類「洋服,セーター類,ワイシャツ類」であるところ、商標法施行規則別表の第25類には、「一 被服」の表示の下、「(一)洋服」、「(二)コート」、「(三)セーター類」、「(四)ワイシャツ類」、「(五)寝巻き類」、「(六)和服」、「(七)下着」等が例示されており、また、「(一)洋服」の表示の下には「イブニングドレス 学生服 子供服 作業服 ジャケット」等、「(二)コート」の表示の下には「オーバーコート トッパーコート マント レインコート」、「(三)セーター類」の表示の下には「カーディガン セーター チョッキ」、「(四)ワイシャツ類」の表示の下には「開きんシャツ カフス カラー スポーツシャツ ブラウス ポロシャツ ワイシャツ」がそれぞれ例示されている。 そして、使用商品は、上記のようなデザインであることからすれば、外出時に着用するものであって、「(五)寝巻き類」及び「(七)下着」に含まれないこと明らかであり、また、その形状からして「(二)コート」及び「(六)和服」にも含まれないものである。 そうすると、使用商品は、少なくとも、商標法施行規則別表の第25類における「一 被服」中の「(一)洋服」、「(三)セーター類」及び「(四)ワイシャツ類」のいずれかの範ちゅうに含まれるものとみるのが相当である。 したがって、使用商品は、本件商標の指定商品、すなわち、本件審判の請求に係る指定商品中に含まれるものである。 (3)使用時期及び使用行為について 上記1(2)イのとおり、使用商品は、その襟ネーム及び下げ札に使用商標が表示されているから、使用商品には使用商標が付されているといえる。 また、上記1(2)オのとおり、マリマ物流は、平成30年2月9日に、イオン能代店に対して、使用商品を納品、すなわち譲渡した。 そうすると、マリマ物流は、平成30年2月9日に、使用商品に使用商標を付したものをイオン能代店に譲渡したということができる。 そして、当該日付は要証期間であり、上記行為は、商品に標章を付したものを譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)に該当する行為である。 (4)使用者について 使用商品には使用商標が付されているところ、上記1(2)アのとおり、使用商品は、キャストが南通山川に対し製造依頼し、キャストに納品されたものであるから、キャストの製造に係る商品であるということができる。 そうすると、使用商品に使用商標を付したのは、キャストであるということができる。 また、上記1(2)ウのとおり、マリマ物流は、キャストが販売する衣料品を保管し、出荷する業務を行っており、キャストの商品に関するイオンからの発注は、イオンからマリマ物流へ直接指示され、マリマ物流の倉庫から出荷されるものであり、さらに、上記1(2)カのとおり、キャストの売上データには、伝票番号を「510198」として、使用商品が平成30年2月8日に出荷され、同月9日に納品されたことが記録されている。 そうすると、平成30年2月9日に、使用商品に使用商標を付したものをイオン能代店に譲渡したのは、キャスト、すなわち、本件商標の商標権者が、マリマ物流を介して行った行為であるというのが相当である。 したがって、使用商標の使用者は、商標権者である。 (5)小括 上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間に、本件審判の請求に係る商品に含まれる商品の襟ネーム及び下げ札に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して譲渡したものと認めることができ、これは商標法第2条第3項第2号に該当する商標の使用ということができる。 3 請求人の主張 (1)請求人は、第25類の「洋服,セーター類,ワイシャツ類」の中には「ティーシャツ」はなく、「キャミソール、ティーシャツ」という別の見出しに設けられており、別個の商品であるから、「ティーシャツ」への商標の使用は、指定商品「洋服,セーター類,ワイシャツ類」の商標の使用ではなく、本件商標の使用をしていることは証明されていない旨主張している。 ところで、平成24年1月1日を施行期日とする商標法施行規則の一部を改正する省令(平成23年12月5日経済産業省令第66号)によれば、商標法施行規則別表の第25類における「一 被服」について、その表示の下、「(七)下着」の下に例示されていた「キャミソール」及び「シャツ」が削除されるとともに、「(九)キャミソール ティーシャツ」が新たに追加される改正が行われた(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/syoreikaisei/shohyo/s_kaisei_23125.html)。 そうすると、請求人の主張は、当該改正後の商標法施行規則別表に基づく主張であるといえる。 しかしながら、本件商標は、上記第1のとおり、当該改正前である平成15年5月22日に登録出願されたものであるから、請求人の主張は、その前提において採用することはできない。 (2)請求人は、<1>本件商標が過去3年の間に市場で使用されたか否かについて調査を行ったところ、被請求人の一社員が少なくとも5年前に生産を終了したブランドである旨コメントし、使用商品を販売したとするイオンの店舗の店員も本件商標を認識しているものはおらず、インターネットや雑誌等の各メディアの検索においても要証期間の使用実績は確認できない、<2>使用商品の納品先であるイオンに係る本件商標の使用を裏付ける証拠の提出がない、<3>被請求人は、使用商品をイオンの「persodia」等ブランドの商品として納品しているのであるから、使用商品に付された「KIRSCH」は、出所識別標識機能を果たすものではないから、商標としての使用とはいえないことなどを主張している。 しかしながら、被請求人の主張によれば、使用商品は2018年2月の決算対策セール用の商品としてイオンに販売されたものであるところ、請求人が調査したとする時期は、上記販売時期から1年半以上後であり、かつ、セール品として限定された時期に販売された商品について販売の事実確認できないこと及び被請求人従業員1名の発言をもって、使用商品が要証期間に販売されなかったとまではいうことはできず、また、「persodia」向けの商品について、イオンが一部でセール品等に単独ブランドを入れていることは甲10の1からいい得るところであり、さらに、本件審判は、上記2のとおり、商標権者が使用商標を付した使用商品をイオンに譲渡したことをもって(商標法第2条第3項第2号)、その使用が認められるところ、イオンに係る本件商標の使用を裏付ける証拠の提出がないこと及び使用商品がイオンによって販売された事実の有無によりその判断が左右されるものでない。 加えて、使用商品の襟ネーム及び下げ札に表示された使用商標は、出所識別標識としての機能を有するものというべきである。 したがって、上記請求人の主張を採用することは、できない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品に含まれる使用商品について本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていることを証明したといえる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-300823

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