特許拒絶査定不服審判
2019-016073
給電システム
- 審判番号
- 2019-016073
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-515609外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月28日
- 審決日
- 2021年02月16日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社アイピーコア研究所
- 【請求人代理人】佐野 弘
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-515609「給電システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 3日国際公開、WO2016/175286、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)4月28日(優先権主張:平成27年4月30日(以下、「優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、平成31年2月19日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年4月22日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年9月13日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和元年11月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、当審において、令和2年11月11日付けで拒絶理由通知(最後)(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和2年12月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2007-104794号公報
2.特開2010-110072号公報
3.特開2014-193010号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 (明確性)本願の特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 (サポート要件)本願の特許請求の範囲の請求項1、2の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、令和2年12月23日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、2は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
所定の直流電圧で作動する複数の電子機器に、外部電源の電力を供給する給電システムであって、
前記電子機器が互いに異なる直流電圧で作動する複数の部品を含み、
前記外部電源が発電原理によって互いに特性の異なる、自然再生エネルギーによって発電された電力を出力する直流電源、人力発電によって得られた電力を出力する直流電源、又は燃料電池から出力される直流電源を含む複数の外部電源からなり、
前記複数の外部電源の出力電圧を何れか一つに切り替えて選択的に出力する切替器と、
前記切替器の出力側及び前記複数の電子機器の入力側に接続され、前記切替器を通して所定電圧範囲内の直流電圧を入力したときに、その入力直流電圧の値に拘わらず、1又は複数種類の固定値の直流電圧を出力する広範囲DC/DCコンバータと、
前記切替器の出力側及び前記広範囲DC/DCコンバータの入力側に接続され、満充電時の出力電圧が前記広範囲DC/DCコンバータの許容入力電圧の範囲内に設定され、前記複数の外部電源の各特性による出力電圧の上昇/下降及び前記電子機器の消費電力に応じて充放電を行う、前記電子機器に対する供給電力安定化用の充放電器と、
を有することを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記切替器が前記複数の外部電源のうちの一つの外部電源との接続を解除して他の前記外部電源と接続されるまでの電力供給停止期間に、前記充放電器が充放電を行うことにより、前記広範囲DC/DCコンバータへ電力を供給するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の給電システム。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下、同様。)。
ア 「【0007】
本発明の多出力スイッチング電源装置を実施するための最良の形態について、図2乃至図7を用いて詳細に説明する。図2乃至図7において、1は商用電源、2はノイズフィルター、3は1次側整流平滑回路、4は脈流、5は力率改善回路、6は1次側平滑回路、7は直流電圧、8はスイッチングコンバータ回路、9は絶縁トランス、10は2次側電圧、11は2次側整流平滑回路、12は2次側直流電圧、13はDC/DCコンバータ、14は充放電回路ユニットを示す。
【0008】
図2は、本発明による多出力スイッチング電源装置の第1の実施形態を示すブロック図である。図2に示すように、一次側商用電源1はノイズフィルター2を介して1次側整流回路3で脈流4になる。この脈流4は力率改善回路5と1次側平滑回路6を経て直流電圧7になる。この直流電圧7はスイッチングコンバータ8と絶縁トランス9を介して1次側と絶縁された2次側電圧10に変換される。2次側電圧10は、2次側整流平滑回路11を経て2次側直流電圧12になる。この2次側直流電圧12は、後につながる出力ユニット群13以降の入力電源となる。この2次側直流電圧12は、各国の安全規格で規定する安全電圧の値以下(例えば42V以下)にすることにより、後につながる出力ユニット群以降のユニットに対する安全規格の適用を緩和される可能性がある。
【0009】
本発明における多出力スイッチング電源装置は、入力された商用電源1を整流・平滑する1次側整流平滑回路と絶縁トランス9を介して絶縁された2次側整流平滑回路11を持つ主電源回路ユニットと、前記2次側整流平滑回路11に接続され複数電圧のDC出力を行う出力ユニット群とを有する多出力スイッチング電源装置であって、前記出力ユニット群には、複数のDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットが1つの筺体17に着脱可能に収納されており、通常時は前記充放電制御ユニットを介して前記2次電池を充電し、停電時は前記2次電池より前記充放電制御ユニットを介して前記DC/DCコンバーター13の入力に電力を供給することにより、停電時でも電源装置の出力を一定時間正常に維持することを特徴とする。まず、前記出力ユニット群に、例えば、DC出力1~4をそれぞれ、24V,12V,5V,3Vというように、複数のDC/DCコンバータ13-1~13-4を設けることにより、複数電圧のDC出力を出力することができる。
【0010】
また、複数のDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットを1つの筺体17に着脱可能に収納することにより、DC出力を使用する機器の必要に応じてDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットを自由に着脱することができるので、各機器に応じた電源を供給することができる。本発明においては、複数のDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットを1つの筺体17に着脱可能に収納する方法は問わないが、例えば、DC/DCコンバータ13と充放電制御回路ユニットとをほぼ同じ大きさとし、接続ピンを同じ本数とサイズにする方法が好ましい。出力ユニット群のうち一つのユニットは、充放電回路ユニット14とする。充放電回路ユニットは、その出力側が充電可能な2次電池と接続することが出来る端子を有しており、2次電池をこの端子に接続することにより、通常時はこの2次電池は充電される。2次電池が接続されていない場合、停電時は2次側整流平滑回路11を経由して来る直流電圧はゼロとなるため、出力ユニット群以降のユニットの入力電圧はゼロとなり出力ユニット群の内DC/DCコンバータ13の出力電圧はゼロとなり出力側に接続された機器は動作を停止する。
【0011】
充放電回路ユニット14を介して2次電池を接続することにより、停電時は2次電池に蓄えられた電圧が充放電回路ユニット14を介してDC/DCコンバータ13の入力電圧となり、ある時間DC/DCコンバータ13を動作させることが可能となり、停電時でもDC/DCコンバータ13の出力側につながった機器をある時間動作させることが可能となる。このように本発明によれば、1次側整流平滑回路及びスイッチングコンバーター回路と絶縁された2次側整流平滑回路11に、取り外し可能なDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電回路14を装備し、電源装置の2次側で停電時の対策を行うようにすることにより、従来のように高額で大きな無停電電源装置が不要となり、低価格・省スペース化を図ることができるうえ、1次側でなく2次側に2次電池の充放電回路14を装備するので、電圧の昇降を繰り返す必要がないので電力変換効率を高くすることができる。
【0012】
また、前述の特開2002-233079号公報に記載された電源装置のように出力電圧と電流を固定せず、2次側に取り外し可能な複数のDC/DCコンバータ13を装備したためDC出力を使用する機器に合わせてDC出力電圧を適宜選択することができる。なお、本発明においては、停電の発生を検知する方法については問わないが、例えば、商用電源1の停電により、一次側回路の電圧が低下したことを検知し、この検知信号によって半導体スイッチが働いて2次電池からの電源供給を開始する方法が好ましい。」
イ 「【0016】
図7は、本発明による、多出力スイッチング電源装置の外観図である。図7に示すように、本発明の多出力スイッチング電源装置は一つの筺体17に複数のDC/DCコンバ-タが着脱可能に組み込まれているため、DC出力を使用する機器の必要に応じて適切なDC出力を供給できるうえ、充放電回路ユニットや2次電池ユニットを組み込むことによって、停電時に一定時間出力電圧を維持することができる。」
ウ 「【図2】
」
エ 以上ア~ウより、特に下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「多出力スイッチング電源装置は、入力された商用電源1を整流・平滑する1次側整流平滑回路と絶縁トランス9を介して絶縁された2次側整流平滑回路11を持つ主電源回路ユニットと、前記2次側整流平滑回路11に接続され複数電圧のDC出力を行う出力ユニット群とを有する多出力スイッチング電源装置であって、前記出力ユニット群には、複数のDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットが1つの筺体17に着脱可能に収納されており、通常時は前記充放電制御ユニットを介して前記2次電池を充電し、停電時は前記2次電池より前記充放電制御ユニットを介して前記DC/DCコンバーター13の入力に電力を供給することにより、停電時でも電源装置の出力を一定時間正常に維持することを特徴とし、
前記出力ユニット群に、例えば、DC出力1~4をそれぞれ、24V,12V,5V,3Vというように、複数のDC/DCコンバータ13-1~13-4を設けることにより、複数電圧のDC出力を出力することができ、
出力ユニット群13以降の入力電源となる2次側直流電圧12は、各国の安全規格で規定する安全電圧の値以下(例えば42V以下)にし、
商用電源1の停電により、一次側回路の電圧が低下したことを検知し、この検知信号によって半導体スイッチが働いて2次電池からの電源供給を開始し、
多出力スイッチング電源装置は一つの筺体17に複数のDC/DCコンバ-タが着脱可能に組み込まれているため、DC出力を使用する機器の必要に応じて適切なDC出力を供給できるうえ、充放電回路ユニットや2次電池ユニットを組み込むことによって、停電時に一定時間出力電圧を維持することができる、
多出力スイッチング電源装置。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0019】
例えば、本発明による電源瞬断対策回路は、図1のブロック図に示すように、2つの外部電源(「第1の外部電源VS1」および「第2の外部電源VS2」)を切り換えて使用する場合、切り換え時に発生する入力電源電圧の瞬断に関して、外部電源の切換え中(電源瞬断中)であっても、負荷回路LD側の対象機材が正常な動作を継続することができるように、該対象機材内部の各構成品に対して、安定した電源を供給することを可能としている。
【0020】
つまり、図1に示す電源瞬断対策回路は、図6に示した従来技術の場合と同様に、基本的には、充放電コンデンサC2の充放電特性を利用したものであるが、図6の場合とは異なり、電源電圧昇圧用のステップアップ・コンバータSUC(Step Up Converter)によって高電圧で充放電コンデンサC2を充電し、負荷回路LD(Load)側の各構成品に対しては、レギュレータREG(Regulator)により安定化した電圧を供給すること、さらには、負荷回路LD側の各構成品内部の動作保障電圧の大小により、電源供給ラインを2つのラインに分割することによって、電源瞬断中であっても、供給電圧の低下を抑え、負荷回路LD側の各構成品つまり機材全体を継続して動作させることを可能としている。
」
イ 「【図1】
」
図1より、電源瞬断対策回路は、第1の外部電源及び第2の外部電源を切り換えるためのスイッチ部を有することが見て取れる。
ウ 以上ア、イより、特に下線部に着目すると、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「第1の外部電源及び第2の外部電源を切り換えるためのスイッチ部を有し、2つの外部電源を切り換えて使用する場合、切り換え時に発生する入力電源電圧の瞬断に関して、外部電源の切換え中(電源瞬断中)であっても、負荷回路LD側の対象機材が正常な動作を継続することができるように、該対象機材内部の各構成品に対して、安定した電源を供給することを可能とする電源瞬断対策回路。」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【要約】
【課題】システム全体の消費電力が所定値を超えた場合にも、対応可能とした電子機器の実現を図る。
【解決手段】主電源とは別に補助電源としてバッテリーをPOS端末内に内蔵させ、通常負荷時は主電源からのみ電力供給を行う。POS端末全体の消費電力がある一定値を超えた場合は、バッテリーからも電力供給を行うようにした。主電源で不足する消費電力は、バッテリーで補充することができることから、主電源のマージンをより多くとることができ、その分主電源の小型化が可能となり、電源にかかるコスト低減に寄与する。」
イ 「【0006】
実施形態の電子機器は、商用電源から直流変換した主電源および充電可能なバッテリーにより駆動可能な本体を備えた電子機器にあって、前記本体の消費電力が基準値以下の場合は、前記主電源から電力給電し、基準値以上の場合は、前記主電源に加え、前記バッテリーから電力給電する制御を行う制御部を備えた。」
ウ 「【0039】
この実施形態では、消費電力が第1~第3基準値のそれぞれに対して、一定値以上となった場合に、主電源からの電力供給に加え、第1および/または第2バッテリーから電力供給するようにした。これにより、主電源の最大消費電力を低くでき、電源の小型化に寄与する。」
エ 以上ア~ウより、特に下線部に着目すると、引用文献3には、次の技術事項が記載されていると認められる。
「商用電源から直流変換した主電源および充電可能なバッテリーにより駆動可能な本体を備えた電子機器において、前記本体の消費電力が基準値以下の場合は、前記主電源から電力給電し、基準値以上の場合は、前記主電源に加え、前記バッテリーから電力給電する制御を行うこと。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「DC出力を使用する機器」と、本願発明1の「所定の直流電圧で作動する複数の電子機器」とは、「所定の直流電圧で作動する電子機器」である点で共通する。
イ 引用発明の「商用電源1」は、本願発明1の「外部電源」に相当する。
ウ 引用発明の「多出力スイッチング電源装置」は、「商用電源1」が「入力され」、「複数電圧のDC出力を出力する」ものであり、「DC出力を使用する機器の必要に応じて適切なDC出力を供給できる」、すなわち「必要」な「DC出力」が異なる「複数」の「機器」にそれぞれ「DC出力を供給できる」ものであるから、本願発明1の「所定の直流電圧で作動する複数の電子機器に、外部電源の電力を供給する給電システム」に相当する。
エ 引用発明は、「例えば、DC出力1~4をそれぞれ、24V,12V,5V,3Vというように、複数のDC/DCコンバータ13-1~13-4を設けることにより、複数電圧のDC出力を出力することができ」、「出力ユニット群13以降の入力電源となる2次側直流電圧12は、各国の安全規格で規定する安全電圧の値以下(例えば42V以下)にし」、「DC出力を使用する機器の必要に応じて適切なDC出力を供給できる」ものであるから、引用発明の「複数のDC/DCコンバータ13」は、「DC出力を使用する機器」の「入力側」に「接続され」、「各国の安全規格で規定する安全電圧の値以下(例えば42V以下)」の「2次側直流電圧12」、すなわち「所定電圧範囲内」の「直流電圧」が「入力」されて、「DC出力を使用する機器の必要に応じて適切なDC出力」を出力する、すなわち「固定値の直流電圧」を出力するものである。
また、「DC出力を使用する機器」の個数を1とする場合等、「DC出力」の「種類」が「複数」ではなく「1」でもあり得ることは自明である。
そうすると、引用発明の「複数のDC/DCコンバータ13」と、本願発明1の「前記切替器の出力側及び前記複数の電子機器の入力側に接続され、前記切替器を通して所定電圧範囲内の直流電圧を入力したときに、その入力直流電圧の値に拘わらず、1又は複数種類の固定値の直流電圧を出力する広範囲DC/DCコンバータ」とは、「前記複数の電子機器の入力側に接続され、所定電圧範囲内の直流電圧を入力したときに、1又は複数種類の固定値の直流電圧を出力するDC/DCコンバータ」である点で共通する。
オ 引用発明は、「複数のDC/DCコンバータ13と2次電池の充放電制御回路ユニットが1つの筺体17に着脱可能に収納されており」、「通常時は前記充放電制御ユニットを介して前記2次電池を充電し、停電時は前記2次電池より前記充放電制御ユニットを介して前記DC/DCコンバーター13の入力に電力を供給することにより、停電時でも電源装置の出力を一定時間正常に維持する」ものであり、ここで、「電源装置の出力」とは「機器」が「使用する」「DC出力」を指しており、また、「前記2次電池より前記充放電制御ユニットを介して前記DC/DCコンバーター13の入力に電力を供給する」際に「2次電池」が「放電」を行うことが明らかであるから、引用発明の「2次電池の充放電制御回路ユニット」は、「複数のDC/DCコンバータ13」の「入力側」に接続されたものであって、通常時であるか停電時であるかに応じて「充放電を行う」ものであり、「機器」に対する「供給電力安定化用」のものであるといえる。
また、引用発明は、「商用電源1の停電により、一次側回路の電圧が低下したことを検知し、この検知信号によって半導体スイッチが働いて2次電池からの電源供給を開始」するものであることを踏まえると、「通常時」とは「商用電源1」の「出力電圧」が「低下」していない、すなわち「上昇」した状態であることが明らかである。また、電圧の「低下」は、本願発明1の「下降」に相当する。
そうすると、引用発明の「2次電池の充放電制御回路ユニット」と、本願発明1の「前記切替器の出力側及び前記広範囲DC/DCコンバータの入力側に接続され、満充電時の出力電圧が前記広範囲DC/DCコンバータの許容入力電圧の範囲内に設定され、前記複数の外部電源の各特性による出力電圧の上昇/下降及び前記電子機器の消費電力に応じて充放電を行う、前記電子機器に対する供給電力安定化用の充放電器」とは、「前記DC/DCコンバータの入力側に接続され、前記外部電源の出力電圧の上昇/下降に応じて充放電を行う、前記電子機器に対する供給電力安定化用の充放電器」である点で共通する。
(2)一致点・相違点
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。
[一致点]
「所定の直流電圧で作動する複数の電子機器に、外部電源の電力を供給する給電システムであって、
前記複数の電子機器の入力側に接続され、所定電圧範囲内の直流電圧を入力したときに、1又は複数種類の固定値の直流電圧を出力するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータの入力側に接続され、前記外部電源の出力電圧の上昇/下降に応じて充放電を行う、前記電子機器に対する供給電力安定化用の充放電器と、
を有することを特徴とする給電システム。」
[相違点]
<相違点1>
本願発明1では、「電子機器」が「互いに異なる直流電圧で作動する複数の部品を含」むのに対し、引用発明では、「機器」に関してそのような構成が特定されていない点。
<相違点2>
本願発明1は、「発電原理によって互いに特性の異なる、自然再生エネルギーによって発電された電力を出力する直流電源、人力発電によって得られた電力を出力する直流電源、又は燃料電池から出力される直流電源を含む複数の外部電源」の「出力電圧」を「何れか一つに切り替えて選択的に出力する切替器」を有しており、広範囲DC/DCコンバータ及び充放電器が「前記切替器の出力側」に接続されているのに対し、引用発明では、「商用電源1」が「複数」であると特定されるものではなく、「発電原理によって互いに特性の異なる、自然再生エネルギーによって発電された電力を出力する直流電源、人力発電によって得られた電力を出力する直流電源、又は燃料電池から出力される直流電源を含む複数の外部電源」の「出力電圧」を「何れか一つに切り替えて選択的に出力する切替器」を備えていない点。
<相違点3>
本願発明1の「DC/DCコンバータ」は、「広範囲DC/DCコンバータ」である、すなわち「広範囲」の直流電圧が入力されたときに、「1又は複数種類の固定値の直流電圧」の出力を「その入力直流電圧の値に拘わらず」行うものであるのに対し、引用発明の「複数のDC/DCコンバータ13」は、「広範囲」の直流電圧が入力されることが特定されておらず、「複数電圧のDC出力を出力」することが「その入力直流電圧の値に拘わらず」行われることについて特定されていない点。
<相違点4>
本願発明1では、「充放電器」の「満充電時の出力電圧」が「前記広範囲DC/DCコンバータの許容入力電圧の範囲内に設定され」るのに対し、引用発明では、そのような構成が特定されていない点。
<相違点5>
本願発明1では、「出力電圧の上昇/下降」が「前記複数の外部電源の各特性による」ものであるのに対し、引用発明においては、「通常時」及び「停電時」の発生が何によるものであるのかについて特定していない点。
<相違点6>
本願発明1では、「充放電器」による「充放電」が「出力電圧の上昇/下降」に加えて「前記電子機器の消費電力」に応じて行われるのに対し、引用発明においては、「通常時」の「2次電池」の「充電」及び「停電時」の「2次電池」による「電力を供給」を、「機器」の「消費電力」に応じて行うことについて特定していない点。
(3)相違点についての判断
<相違点2について>
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
引用文献2には、上記第5の2ウの技術事項(第1の外部電源及び第2の外部電源を切り換えるためのスイッチ部を有する電源瞬断対策回路)が記載されているが、引用発明は「停電時でも電源装置の出力を一定時間正常に維持する」ものであることから、電源瞬断への対策が既になされているといえる。
そうすると、引用発明に引用文献2の上記技術事項を適用することについて、動機付けはない。
また、この点は、引用文献3に記載の技術事項とは無関係である。
したがって、本願発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2も、上記相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
令和元年11月28日に提出された手続補正書による補正により、補正後の請求項1、2は、上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、当該構成は、原査定における引用文献1-3には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1、2は、当業者であっても、原査定における引用文献1-3に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項1、2について、「前記複数の電子機器」が何を指しているのかが不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年12月23日に提出された手続補正書による補正により、請求項1の「所定の直流電圧で作動する電子機器」との記載が「所定の直流電圧で作動する複数の電子機器」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2 特許法第36条第6項第1号について
当審では、請求項1、2について、「前記電子機器の作動電圧に応じて充放電を行う」という点は発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年12月23日に提出された手続補正書による補正により、請求項1の「前記電子機器の作動電圧に応じて充放電を行う」との記載が「前記電子機器の消費電力に応じて充放電を行う」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-016073