特許拒絶査定不服審判
2019-014770
ヒートシンク
- 審判番号
- 2019-014770
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-513465外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月05日
- 審決日
- 2020年09月11日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】古河電気工業株式会社
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】二宮 浩康
- 【請求人代理人】上島 類
- 【請求人代理人】住吉 秀一
- 分類
- P18 .121-Z (F28D) / P18 .575-Z (F28D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2019-513465号「ヒートシンク」拒絶査定不服審判事件〔令和1年7月4日国際公開、WO2019/131814〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月26日(優先権主張2017年(平成29年)12月28日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年4月24日:拒絶理由通知書
令和元年6月26日:意見書、手続補正書の提出
令和元年8月2日 :拒絶査定
令和元年11月5日:審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和元年11月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年11月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
パッケージ内に発熱体を備えた発熱体パッケージと熱的に接続される一方の端部と、放熱部と熱的に接続された他方の端部と、を有するヒートパイプを、複数備え、
複数の前記ヒートパイプには、少なくとも、第1のヒートパイプと該第1のヒートパイプよりも熱輸送能力が大きい第2のヒートパイプとが存在し、
複数の前記ヒートパイプの一方の端部が、受熱プレートと熱的に接続されており、該受熱プレートが前記発熱体パッケージと熱的に接続され、
前記パッケージの延在方向において発熱量の多いホットスポットが存在する前記発熱体パッケージの冷却用であり、
前記ホットスポットに、前記第2のヒートパイプの一方の端部が熱的に接続され、
複数の前記ヒートパイプの一方の端部のうち、前記ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面の一部のみが、前記受熱プレートに埋まり、
前記第2のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径が、前記第1のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径よりも大きいヒートシンク。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和元年6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
パッケージ内に発熱体を備えた発熱体パッケージと熱的に接続される一方の端部と、放熱部と熱的に接続された他方の端部と、を有するヒートパイプを、複数備え、
複数の前記ヒートパイプには、少なくとも、第1のヒートパイプと該第1のヒートパイプよりも熱輸送能力が大きい第2のヒートパイプとが存在し、
複数の前記ヒートパイプの一方の端部が、受熱プレートと熱的に接続されており、該受熱プレートが前記発熱体パッケージと熱的に接続され、
前記パッケージの延在方向において発熱量の多いホットスポットが存在する前記発熱体パッケージの冷却用であり、
前記ホットスポットに、前記第2のヒートパイプの一方の端部が熱的に接続され、
複数の前記ヒートパイプの一方の端部のうち、前記ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面の一部のみが、前記受熱プレートに埋まっているヒートシンク。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1のヒートパイプ」及び「第2のヒートパイプ」について、「前記第2のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径が、前記第1のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径よりも大きい」ことの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
ア 引用例
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である特開2016-15845号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は理解の一助のために当審にて付したものである。以下同様。)。
(ア)引用例の記載
「【請求項1】
コンデンサと、
複数の半導体モジュールと、
前記複数の半導体モジュールを一括して放熱させる放熱手段と、
前記コンデンサと前記複数の半導体モジュールを接続するバスバーと、
冷却風を流す送風手段と、を備え、
前記コンデンサからみて前記複数の半導体モジュールが前記バスバーの長手方向に一列に並んで実装され、
前記送風手段は、
前記コンデンサの側から前記複数の半導体モジュールが実装される方向へ前記冷却風を流す
ことを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記放熱手段は、
前記複数の半導体モジュールに接する受熱ブロックと、
前記受熱ブロックに接続されるヒートパイプと、
前記ヒートパイプに接続されるフィンと、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。」
「【0003】
半導体素子は、複数の素子を内蔵したモジュールの形で提供される。電力変換器では、大容量化の目的で、半導体モジュールを複数並列に接続して使用する場合が一般的である。複数の半導体モジュールを実装した電力変換器では、運転時に各半導体モジュールの上昇温度を均一にした状態での使用が望ましい。もし、各半導体モジュールに温度バラツキが生じた場合、上昇温度の大きい半導体モジュールの寿命は温度上昇の小さい半導体モジュールに比べて短くなり、電力変換器の信頼性低下の一因となる。」
「【0008】
そこで、本発明は、複数の半導体モジュールにおける温度バラツキを抑制することができる電力変換器を提供することを課題とする。」
「【0021】
受熱ブロック103は、半導体モジュール101の一方の放熱面および半導体モジュール102の一方の放熱面と接しており、4本のヒートパイプ105~108が埋め込まれている。そして、ヒートパイプ105~108には、熱を空気中へ放出するためのフィン109が取り付けられている。同様に、受熱ブロック104は、半導体モジュール101の他方の放熱面および半導体モジュール102の他方の放熱面と接しており、4本のヒートパイプが埋め込まれている。そして、ヒートパイプには、熱を空気中へ放出するためのフィンが取り付けられている。」
「【0044】
図5に示すように、電力変換ユニット100Bは、半導体モジュール101,102と、受熱ブロック103,104と、大径ヒートパイプ305,306と、ヒートパイプ107,108と、フィン109と、コンデンサ121,122と、バスバー140と、を備えている。即ち、第3実施形態の電力変換ユニット100Bは、第1実施形態の電力変換ユニット100(図2参照)と比較して、ヒートパイプ305,306の構成が異なっている。
【0045】
即ち、発生損失(発熱)が大きい半導体モジュール101を冷却するためのヒートパイプ305,306の直径が、発生損失(発熱)が小さい半導体モジュール102を冷却するためのヒートパイプ107,108の直径よりも大きくなるように形成されている。
【0046】
このような構成により、半導体モジュール102の側よりも半導体モジュール101の側の方の冷却効率をより高くすることができるので、半導体モジュール101,102間の温度バラツキを抑制することができ、電力変換器S(電力変換ユニット100)の信頼性を確保することができる。」
「
」
(イ)上記記載から、引用例には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 図5には、ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部が受熱ブロック103に接続されること、
受熱ブロック103の、発熱が大きい半導体モジュール101の放熱面が接する部分の近傍にヒートパイプ305、306の端部が接続されること、及びヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部の長手方向に対して直交する断面のうちの全てが受熱ブロック103に埋め込まれていることについて記載されている。
b 段落【0044】ないし【0046】及び図5には、電力変換ユニット100Bが備える半導体モジュール101、102の冷却装置について記載されている。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「半導体モジュール101、102の受熱ブロック103に端部が接続されるとともに、熱を空気中へ放出するためのフィン109が取り付けられたヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306を備え、
ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部が受熱ブロック103に接続されるとともに、受熱ブロック103が半導体モジュール101、102の放熱面と接しており、
半導体モジュール101は発熱が大きく、半導体モジュール102は発熱が小さいものであって、半導体モジュール101、102のそれぞれを冷却するものであって、
受熱ブロック103の、発熱が大きい半導体モジュール101の放熱面が接する部分の近傍にヒートパイプ305、306の端部が接続され、
ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部の長手方向に対して直交する断面のうちの全てが受熱ブロック103に埋め込まれており、
ヒートパイプ305、306の直径は、ヒートパイプ107、108の直径よりも大きいものである、半導体モジュール101、102の冷却装置。」
(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明における「フィン109」は、熱を空気中へ放出するためのものであるから、本願補正発明における「放熱部」に相当し、引用発明における「端部」は、本願補正発明における「一方の端部」に相当し、引用発明における「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」は、本願補正発明における「複数」の「ヒートパイプ」に相当する。
そして、引用発明における「半導体モジュール101、102」は、本願補正発明における「パッケージ内に発熱体を備えた発熱体パッケージ」と、「発熱体」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明における「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」の端部は、半導体モジュール101、102の受熱ブロック103に接続されるものであるから、「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」と、「半導体モジュール101、102」とは、受熱ブロック103を介して熱的に接続されるものといえる。
また、引用発明における「熱を空気中へ放出するためのフィン109が取り付けられたヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」は、本願補正発明における「放熱部と熱的に接続された他方の端部」、「を有するヒートパイプ」と、「放熱部と熱的に接続された部分を有するヒートパイプ」という限りにおいて一致する。
(イ)引用発明においては、「ヒートパイプ305、306の直径は、ヒートパイプ107、108の直径よりも大きい」のであって、引用例の段落【0045】及び【0046】には、発熱が大きい半導体モジュール101を冷却するためのヒートパイプ305、306の直径を大きくすることにより冷却効率をより高くする旨の記載があるので、「ヒートパイプ305、306」は、「ヒートパイプ107、108」よりも熱輸送能力が大きいといえる。
そうすると、引用発明における「ヒートパイプ107、108」と、「ヒートパイプ305、306」は、それぞれ、本願補正発明における「第1のヒートパイプ」と、「第1のヒートパイプよりも熱輸送能力が大きい」、「第2のヒートパイプ」に相当する。
(ウ)引用発明における「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部」は、本願補正発明における「複数のヒートパイプの一方の端部」に相当し、引用発明における「受熱ブロック103」は、本願補正発明における「受熱プレート」に相当する。
そして、引用発明における「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部が受熱ブロック103に接続され」ていることは、本願補正発明における「複数の前記ヒートパイプの一方の端部が、受熱プレートと熱的に接続されて」いることに相当し、
引用発明における「受熱ブロック103が半導体モジュール101、102の放熱面と接」することと、本願補正発明における「該受熱プレートが前記発熱体パッケージと熱的に接続され」ることとは、「受熱プレートが発熱体と熱的に接続され」るという限りにおいて一致する。
(エ)引用発明においては、「半導体モジュール101は発熱が大きく、半導体モジュール102は発熱が小さいもの」であって、半導体モジュール101と半導体モジュール102とを併せてみた場合において、半導体モジュール101は、発熱量の多いホットスポットということができる。
そうすると、引用発明における「半導体モジュール101」は、本願補正発明における「発熱量の多い」、「ホットスポット」に相当する。
そして、引用発明における「半導体モジュール101は発熱が大きく、半導体モジュール102は発熱が小さいものであって、半導体モジュール101、102のそれぞれを冷却するもの」は、本願補正発明における「前記パッケージの延在方向において発熱量の多いホットスポットが存在する前記発熱体パッケージの冷却用」のものと、「発熱量の多いホットスポットが存在する発熱体の冷却用」のものという限りにおいて一致する。
(オ)引用発明における「受熱ブロック103の、発熱が大きい半導体モジュール101の放熱面が接する部分の近傍にヒートパイプ305、306の端部が接続され」は、本願補正発明における「ホットスポットに、前記第2のヒートパイプの一方の端部が熱的に接続され」に相当する。
(カ)引用発明における「ヒートパイプ305、306の直径は、ヒートパイプ107、108の直径よりも大きい」ことは、本願補正発明における「前記第2のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径が、前記第1のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径より大きい」ことに相当する。
(キ)引用発明における「半導体モジュール101、102の冷却装置」は、その機能からみて、本願補正発明における「ヒートシンク」に相当する。
イ したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「発熱体と熱的に接続される一方の端部と、放熱部と熱的に接続された部分を有するヒートパイプを、複数備え、
複数の前記ヒートパイプには、少なくとも第1のヒートパイプと該第1のヒートパイプよりも熱輸送能力が大きい第2のヒートパイプとが存在し、
複数の前記ヒートパイプの一方の端部が、受熱プレートと熱的に接続されており、該受熱プレートが前記発熱体と熱的に接続され、
発熱量の多いホットスポットが存在する発熱体の冷却用であり、
前記ホットスポットに、前記第2のヒートパイプの一方の端部が熱的に接続され
前記第2のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径が、前記第1のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径より大きいヒートシンク。」
[相違点1]
本願補正発明においては、発熱体が「パッケージ内に発熱体を備えた」、「発熱体パッケージ」であって、「パッケージの延在方向において発熱量の多いホットスポットが存在する」のに対して、引用発明においては、発熱体が「半導体モジュール101、102」であって、「半導体モジュール101は発熱が大きく、半導体モジュール102は発熱が小さいもの」である点。
[相違点2]
本願補正発明においては「放熱部」が設けられる位置が「ヒートパイプ」の「他方の端部」であるのに対して、引用発明においては「フィン109」が取り付けられる位置が、「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」の端部であるか不明である点。
[相違点3]
本願補正発明においては「複数の前記ヒートパイプの一方の端部のうち、前記ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面の一部のみが前記受熱プレートに埋ま」るのに対して、引用発明においては「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部の長手方向に対して直交する断面のうちの全てが受熱ブロック103に埋ま」る点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
冷却装置により冷却される半導体が複数存在するものにおいて、それらの半導体を一体的に封止する、あるいは共通の基板に搭載するなどしてパッケージ化することは、例えば、特開2015-95560号公報(段落【0070】ないし【0077】、図6及び図7の記載参照。)、あるいは特開2003-153554号公報(段落【0025】ないし【0034】、図1の記載参照。)によれば周知技術(以下、「周知技術1」という。)であって、そのうち、特開2003-153554号公報には、パッケージの延在方向においてダイオードに加えて、高温となるIGBTが搭載されることも記載(図1及び図3の記載参照。)されている。
そうすると、組立性の向上や構造の簡素化などの一般的な課題のもとで、引用発明の半導体モジュール101と半導体モジュール102に周知技術1を適用して半導体モジュール101と半導体モジュール102とを一体のパッケージとするとともに、該パッケージの延在方向において発熱の大きい半導体モジュール101によるホットスポットを形成することにより、上記相違点1に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
半導体の冷却装置において、ヒートパイプの端部にフィンを設けて空気により冷却することは、例えば、特開2016-57902号公報(段落【0042】、図10の記載参照。)、あるいは米国特許明細書第5549155号(第3欄第58ないし63行、図1及び図2のフィン40、ヒートパイプ12、ヒートパイプ12の端部42に関する記載参照。)によれば周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。
そうすると、引用発明において周知技術2を参酌して、「フィン109」が取り付けられる位置を「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306」の端部とすることにより、上記相違点2に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
受熱板にヒートパイプを設ける際に、生産性向上等のために、ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面の一部のみを受熱プレートに埋まるようにすることは、例えば、特開平10-79586号公報(段落【0005】ないし【0010】、図1及び図2の記載参照。)、あるいは米国特許明細書第5549155号(第3欄第41ないし51行、FIG.3参照。)によれば周知技術(以下、「周知技術3」という。)である。
そうすると、生産性向上等のために、引用発明に周知技術3を適用して「ヒートパイプ107、108及びヒートパイプ305、306の端部の長手方向に対して直交する断面」のうちの一部のみが受熱ブロック103に埋まるようにすることにより、上記相違点3に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、本願補正発明による効果は、全体としてみても、引用発明及び周知技術1ないし3から予測される範囲内であって格別顕著なものではない。
エ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年11月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例2に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用例2:特開2016-15845号公報
3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載のとおりである。
4 判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から、「第1のヒートパイプ」及び「第2のヒートパイプ」に係る「前記第2のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径が、前記第1のヒートパイプの一方の端部における短手方向の径よりも大きい」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-014770