2019-014736
合流支援装置
- 審判番号
- 2019-014736
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-005159外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月05日
- 審決日
- 2020年09月17日
- 公報発行日
- 2020年11月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社デンソー
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WY (B60W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
理由
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年1月14日の出願であって、その手続は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
「この出願については、令和元年5月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
備考
理由(特許法第29条第2項)について
・請求項1
・引用文献等1-2
・請求項2-7
・引用文献等1-2
<引用文献等一覧>
1.特開平11-345393号公報
2.特開平8-34326号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和元年11月5日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定された、以下のとおりのものである(下線は請求人によるもので、補正箇所を示す。)。
「【請求項1】第1レーンを走行中の自車両が第2レーンに合流することを支援する合流支援装置(1)であって、前記第1レーンにおいて自車両を目標速度まで加速させる加速ユニット(9)と、前記目標速度まで加速した自車両を、前記第1レーンから前記第2レーンに車線変更させる車線変更ユニット(11)と、続きを表示(全34行)自車両から、前記第1レーンにおける基準地点までの距離Aを取得する距離A取得ユニット(13)と、自車両の速度を取得する自車両速度取得ユニット(15)と、前記自車両速度取得ユニットで取得した前記速度で走行中の自車両が、予め設定された減速度により停車するまでの走行距離Bを算出する走行距離B算出ユニット(17)と、前記加速ユニットによる加速の可否判断の開始時点から、前記車線変更ユニットによる前記車線変更の開始時点までの期間中において、前記距離A取得ユニットにより取得した前記距離Aから、前記走行距離B算出ユニットにより算出した前記走行距離Bを差し引いた値が、予め設定された閾値より小さいか否かを判断する処理を繰り返し実行し、前記処理において前記差し引いた値が前記閾値より小さいと判断することを条件に、前記合流の支援を中止する中止ユニット(19)と、を備え、前記走行距離B算出ユニットは、前記中止ユニットが前記処理を実行するごとに、前記処理で使用する前記走行距離Bを算出する合流支援装置。【請求項2】請求項1に記載の合流支援装置であって、前記中止ユニットが前記合流の支援を中止した場合、自車両を減速させる減速ユニット(21)をさらに備える合流支援装置。【請求項3】請求項1又は2に記載の合流支援装置であって、前記第2レーンを走行中の他車両の速度を取得する他車両速度取得ユニット(29)と前記他車両速度取得ユニットが取得した前記他車両の速度に対し、予め設定された関係を有する前記目標速度を設定する目標速度設定ユニット(23)と、をさらに備える合流支援装置。【請求項4】請求項1~3のいずれか1項に記載の合流支援装置であって、前記第1レーンを走行中の自車両の位置及び速度を含む自車両情報を取得する自車両情報取得ユニット(27)と、前記第2レーンを走行中の他車両の位置及び速度を含む他車両情報を取得する他車両情報取得ユニット(29)と、自車両が予め設定された速度制御スケジュールに従って前記合流を行った時点における自車両及び前記他車両の位置を、前記自車両情報及び前記他車両情報を用いて推定する位置推定ユニット(31)と、前記位置推定ユニットにより推定した自車両の位置と、前記位置推定ユニットにより推定した前記他車両の位置との間隔が、予め設定された閾値以上であるか否かを判断する間隔判断ユニット(33)と、をさらに備え、前記加速ユニットは、前記間隔が前記閾値以上であると前記間隔判断ユニットが判断することを条件として、加速を開始する合流支援装置。【請求項5】請求項4に記載の合流支援装置であって、前記他車両情報取得ユニットは、自車両に搭載されているセンサ(51、53)を用いて、前記他車両情報を取得する合流支援装置。【請求項6】請求項4に記載の合流支援装置であって、前記他車両情報取得ユニットは、自車両と前記他車両との車車間通信を用いて、前記他車両情報を取得する合流支援装置。【請求項7】請求項1~6のいずれか1項に記載の合流支援装置であって、前記基準地点は、前記第1レーンに停車している停車車両の地点である合流支援装置。」
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平11-345393号公報(以下「引用文献1」という。)には、「車の自動合流制御方法及び装置」に関して、図面(特に【図1】、【図2】及び【図10】を参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与したものである。以下同様。)。
ア 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、車の自動運転が可能なインフラ設備を具備した道路上を自動運転が可能な車(AHS車)と自動運転が不可能な車(非AHS車)が同一走行レーンを混在して走行する車の自動運転システムにおける前記道路の本線につながる合流部に自動運転が可能な車である合流車が発生したとき、該合流車の本線への合流を自動かつ安全に実現する車の自動合流制御方法及び装置に関するものである。」
イ 「【0006】請求項2の発明の車の自動合流制御装置は、車の車種、位置、速度などのデータを入力し、それらを記憶し、また車へ制御データを出力するとともに、天候条件、道路のデータ、路面の状況データなどのデータも管理する情報伝送・管理装置と、この情報伝送・管理装置からデータを入力し、演算処理して得られる道路上の車の速度、車間距離などの走行条件を情報伝送・管理装置に出力する走行条件演算装置と、本線の被合流車直前の先行車と合流車との距離および本線の被合流車と合流車との距離が合流可能最小距離以上であれば合流可能という合流可能最小距離を定め、その合流可能最小距離をテーブル化しておくとともに、本線を走行する被合流車と先行車の間に合流車を合流させる場合に、本線の被合流車と先行車の間隔をより安全な距離にする値を安全合流車間距離と定め、その安全合流車間距離を決定する合流条件決定手段と、合流車が発生すると、該合流車の現在速度、インフラ設備で決定した定常走行速度、車の加速率をもとに、該合流車の初期の速度パターンを決定する初期速度パターン作成手段と、この初期速度パターン作成手段で決定された速度パターンに沿って合流部上を走行している合流車が合流部上の決められた地点を通過すると、合流車の複数の速度パターンを計算するとともに、それらの速度パターンをもとに該合流車の走行予測を計算する合流車走行予測手段と、合流車走行予測手段の計算が終了した段階で、本線を走行する車の現在位置と現在速度と合流条件決定手段で決定されている合流可能最小距離とを使って、本線車の走行予測を計算するとともに、自動運転が不可能な車に対しては現状速度が変動した場合の走行予測をも計算する本線車走行予測手段と、本線車走行予測手段の計算が終了した段階で、合流車走行予測手段で計算された合流車の走行予測と本線車走行予測手段で計算された本線走行車の走行予測とからの車線変更入口付近での合流車と本線車の相対位置に応じて、該合流車の被合流車を決定するとともに、該合流車の今後の速度パターンを決定する被合流車決定手段と、この被合流車決定手段で決定された速度パターンに沿って合流部上を走行している合流車が、速度パターンの最終速度に達したときあるいは車線変更区間間の入口に到達したとき、該合流車と本線車との相対位置に応じて合流車と本線車との相対位置に応じて合流車と本線車の速度を調整し、合流条件決定手段で決められた合流可能最小距離以上の合流スペースを確保したうえで車を合流させる合流スペース確保手段と、を有することを特徴とする。【0007】【発明の実施の形態】この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は全体の制御系等の構成を示すブロック図、図2はさらに自動運転システムのインフラ等を説明する図1の要部の拡大図である。まず、図2により前提条件を説明するための道路の一例を説明する。1は本線の自動運転が可能なインフラを装備した走行レーン、2は走行レーン1の中央に設置されているガイドライン、3は本線を走行する車で、AHS車の場合もあれば非AHS車の場合もある。4は自動運転が可能なインフラを装備した合流路、5は合流車、6は車線変更区間である。地点P0は合流する車を検知し、合流車5の必要情報が把握できる地点である。インターチェンジの場合、料金所でも良いし、料金所から少し進んだ地点でも良い。この実施の形態では特に場所を限定せず、合流車5の車種、速度などが把握できる地点である。地点P1は合流路4で曲線が厳しく速度を上げられない区間の終わりの地点である。特に制限がない場合は省略できる。地点P2は合流路4のある決められた地点で、任意に設けた地点である。合流車5が地点P2を通過したタイミングで、合流車5、本線車3の走行予測及び被合流車の決定を行う地点である。地点P3は車線変更区間6の始まりの地点である。地点P4は車線変更区間6の終わりの地点である。地点P5は合流側の車線変更車区間6の途中に任意に設けた地点である。この地点を通過すると、合流車5が地点P4で停止出来ない地点である。従って、合流車5の速度によっても異なる地点である。合流部とは、地点P0から地点P4までのおおよそのエリアを呼ぶことにする。【0008】7は情報伝送・管理装置で、自動運転を実現するための道路側のインフラ設備である自動運転システム設備の1つである。この情報伝送・管理装置7は道路を走行するすべての個々の車の車種、位置、速度など自動運転及び自動合流するために必要な情報を道路側のインフラ設備或いは車から受け取り、それらを記憶し、また、各車への速度指令などを伝送する機能を有する。実際には、AHS車からの情報はAHS車と道路間の通信装置を介しデータが入力され、AHS車へデータを送る場合も通信装置を介して送られる。情報伝送・管理装置7は天候条件、道路のデータ、路面の状況データ、などの情報も管理している。天候条件は現在の道路においても各種の標識に表示されているように既存の技術で入手できるもので、道路の管理者が入力しても良い。路面条件は、最近、道路が凍結しているかなど路面の状態を計測する技術が進んでおり、この計測値を入力すれば良い。道路の線形条件は、カーブの激しいところ、など設備データとして、当然把握している値である。車種、車の行き先なども車がインターチェンジなどで自動運転のサービスを受ける時に別のインフラ設備で登録され、情報伝送・管理装置7に入力されている。情報伝送・管理装置7はさらに時々刻々のすべての車の位置情報から、ある時刻でのすべての車の車間距離も計算している。」
【0009】
8は走行条件演算装置で、これも自動運転システム設備に1つで、道路上の車の速度、車間距離などの走行条件を決定する機能を有する。現在、高速道路では、通常100Km/hr前後で車は走行している。この速度は霧、雨、などの天候条件、路面凍結などの路面条件、道路の線形条件、車種などで変わることは言うまでもない。車の自動運転を実現するには走行速度を自動的に天候や道路条件に相応し決める必要がある。また、必要車間距離も天候条件、路面条件、線形条件のほかに、車種、走行速度によって、車が衝突しないように適正な車間距離を決める必要がある。これら天候条件、路面条件などの入力データをもとに、走行条件演算装置8は道路上の車の定常速度(Vss)、最小車間距離Dmin(ここでは車間距離とは車の前方車との距離とする。最小車間距離とは通常走行で、この距離以下に車間距離では走行させないという値である。もし、この車間距離以下になるとAHS車は自動的に減速し、最小車間距離を保つとする)と加速率、減速率などの基本的な走行条件を決定する。これらの決定された値は情報伝送・管理装置7に送られ、AHS車に伝送される。非AHS車は道路標識などで伝えられる。AHS車は情報伝送・管理装置7から送られた速度基準、車間距離基準などの指示に従って、AHS車に搭載された制御装置でそれらの基準値にあうよう自動制御される。さらに、AHS車は走行レーンのガイドラインに沿って自動的に逸脱することなく走行し、またAHS車の車線変更も情報伝送・管理装置7から車線変更の指令が車に出れば、AHS車は自動的に車線変更する。以上は、合流に関係なく車の自動運転を実現する基本的なインフラ設備である。」
ウ 「【0014】速度パターンを計算で求める方法を図4で説明する。図4で、合流車の現在速度Vsがわかっており、合流車は、合流するために走行条件演算装置8で決定された本線車の定常速度(Vss)まで加速すれば良い。加速率も走行条件演算装置8により予め決定されている。地点P1は、合流路のカーブが厳しく、速度を上げられない区間の終点を示す。すなわち、図4に示すように、地点P1までは、比較的、低速度の現在速度で走行し、以後決められた加速率で本線車の定常速度(Vss)まで加速する速度パターンを容易に作成できる。計算で求めた速度パターンあるいはテーブルで索引した速度パターンは情報伝送・管理装置7に送られ、そのパターンは直ちに合流車に送られる。合流車はその指示された速度で走行する。なお、図1の点線で囲った各手段の出力17は、情報伝送・管理装置7に送られる。」
エ 「【0025】ブロック102は、被合流車の車間距離が十分かをチェックする。図11(A)のD3をチェックする。被合流車の車間距離D3が合流条件決定手段9で決定されている合流安全車間距離以上の場合(Yの場合)、問題なく、合流車は合流でき、合流車が地点P3通過を確認した後、ブロック111で合流車の車線変更実施の指示を出す。合流車はこの指示の基づき車線変更し合流がなされる。ブロック102で被合流車の車間距離D3が合流安全車間距離以下の場合(Nの場合)、ブロック103に示すように被合流車を減速させる。これは、被合流車の車間距離D3が合流安全車間距離以下の場合で合流すると、被合流車であるAHS車は、いずれ減速するのは明らかであるので、合流前から徐々に減速しておくためである。そして、ブロック111に進み、合流車に車線変更実施の指示を出し、合流がなされる。実際の指示は情報伝送・管理装置7が実施する。ここでは処理フローが分かりやすいように記述してある。ブロック104も、本手段とは関係ないが、処理フローを理解しやすいように、被合流車の動作をフローの中にいれたものである。」
オ 「【0030】ブロック107は車の加減速が実施開始された後、時々刻々の各車の相対位置を把握し、ブロック108ではブロック101と同様に合流スペースをチェックする。そして、数2,3の式が満足すれば、すなわち、合流スペースが確保された時に、合流可能となり、ブロック111に進み、合流車へ車線変更の指示を出す(実際には、情報伝送・管理装置7に送られ、車へ伝送される)。合流車は車線変更の指示に基づき車線変更を実施し合流がなされる。ブロック108で合流スペースが確保されていない場合、ブロック109を経由してまたブロック107に戻る。ブロック109は、合流車が車線変更区間の途中の地点P5を通過したかチェックする。地点P5はこの地点を合流車を通過すると、合流車が地点P4で停止できない位置である。従って、地点P5を通過しても合流スペースが確保できない場合は、合流をさせず、ブロック110の合流車の特殊処理を行う。具体的には、P4で合流車を停止させる処理を行う。図11(A)で示すように、地点P4の先に避難路を新たに設置すれば、避難路に誘導する。以上のように、ブロック107,108,109のループは、早い周期(例えば0.1秒程度以下)でループさせておく必要がある。なお、合流車が車線変更する前には合流車は車線変更するウインカを点灯することはいうまでもない。」
上記アないしオの記載事項及び図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「車線変更区間6を走行中の合流車5が走行レーン1に合流することを支援する自動合流制御装置であって、前記車線変更区間6において合流車5を定常速度VSSまで加速させる制御装置と、前記定常速度VSSまで加速した合流車5を、前記車線変更区間6から前記走行レーン1に車線変更させる合流スペース確保手段と、自車両の速度を取得する情報伝達・管理装置7と、地点P5を通過しても合流スペースが確保できない場合は、合流車を停止させる処理を行う情報伝達・管理装置7と、を備える自動合流制御装置。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平8-34326号公報(以下「引用文献2」という。)の段落【0024】ないし【0027】、【0042】ないし【0044】、【0048】、【図3】及び【図5】には、「車両の自動制御装置」に関して、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
[引用文献2記載事項]
「自車速度v0、平均減速度a0及びブレーキの遅れ時間tdから停止可能距離Xbを求めること。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、その機能、構成及び技術的意義からみて、引用発明の「車線変更区間6」は本願発明1の「第1レーン」に相当し、以下同様に、「合流車5」は「自車両」に、「走行レーン1」は「第2レーン」に、「自動合流制御装置」は「合流支援装置(1)」に、「定常速度VSS」は「目標速度」に、「合流スペース確保手段」は「車線変更ユニット(11)」に、「情報伝達・管理装置7」は「自車両速度取得ユニット(15)」に、それぞれ相当する。
また、本願発明1の「自車両から、前記第1レーンにおける基準地点までの距離Aを取得する距離A取得ユニット(13)と、自車両の速度を取得する自車両速度取得ユニット(15)と、前記自車両速度取得ユニットで取得した前記速度で走行中の自車両が、予め設定された減速度により停車するまでの走行距離Bを算出する走行距離B算出ユニット(17)と、前記加速ユニットによる加速の可否判断の開始時点から、前記車線変更ユニットによる前記車線変更の開始時点までの期間中において、前記距離A取得ユニットにより取得した前記距離Aから、前記走行距離B算出ユニットにより算出した前記走行距離Bを差し引いた値が、予め設定された閾値より小さいか否かを判断する処理を繰り返し実行し、前記処理において前記差し引いた値が前記閾値より小さいと判断することを条件に、前記合流の支援を中止する中止ユニット(19)」と、引用発明の「地点P5を通過しても合流スペースが確保できない場合は、合流車を停止させる処理を行う情報伝達・管理装置7」とは、「一定条件において、合流の支援を中止する中止ユニット」の限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点がある。
[一致点]
「第1レーンを走行中の自車両が第2レーンに合流することを支援する合流支援装置であって、前記第1レーンにおいて自車両を目標速度まで加速させる加速ユニットと、前記目標速度まで加速した自車両を、前記第1レーンから前記第2レーンに車線変更させる車線変更ユニットと、自車両の速度を取得する自車両速度取得ユニットと、一定条件において、合流の支援を中止する中止ユニットと、を備えた合流支援装置。」
[相違点1]
「一定条件において、合流の支援を中止する中止ユニット」に関して、本願発明1は「自車両から、前記第1レーンにおける基準地点までの距離Aを取得する距離A取得ユニット(13)と、自車両の速度を取得する自車両速度取得ユニット(15)と、前記自車両速度取得ユニットで取得した前記速度で走行中の自車両が、予め設定された減速度により停車するまでの走行距離Bを算出する走行距離B算出ユニット(17)と、前記加速ユニットによる加速の可否判断の開始時点から、前記車線変更ユニットによる前記車線変更の開始時点までの期間中において、前記距離A取得ユニットにより取得した前記距離Aから、前記走行距離B算出ユニットにより算出した前記走行距離Bを差し引いた値が、予め設定された閾値より小さいか否かを判断する処理を繰り返し実行し、前記処理において前記差し引いた値が前記閾値より小さいと判断することを条件に、前記合流の支援を中止する中止ユニット(19)」であるのに対して、引用発明は「地点P5を通過しても合流スペースが確保できない場合は、合流車を停止させる処理を行う情報伝達・管理装置7」である点。
[相違点2]
本願発明1は「走行距離B算出ユニットは、中止ユニットが前記処理を実行するごとに、前記処理で使用する前記走行距離Bを算出する」のに対して、引用発明は、そのような事項を備えていない点。
相違点について検討する。
事案に鑑み、上記相違点1について検討する。
上記「第4 2」で述べたとおり、引用文献2記載事項は「自車速度v0、平均減速度a0及びブレーキの遅れ時間tdから停止可能距離Xbを求めること。」であり、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
また、自車両から、第1レーンにおける基準地点までの距離Aを取得する距離A取得ユニット(13)、自車両が、予め設定された減速度により停車するまでの走行距離Bを算出する走行距離B算出ユニット(17)、及び、加速ユニットにより加速の可否判断の開始時点から、車線変更ユニットによる車線変更の開始時点までの期間中において、距離Aから、走行距離Bを差し引いた値が、予め設定された閾値より小さいか否かを判断する処理を繰り返し実行し、前記差し引いた値が閾値より小さいと判断することを条件に、合流の支援を中止する中止ユニット(19)を備えた構成は、本願の出願前の周知技術であったというべき証拠は無く、また当業者が適宜決定し得た設計的事項であるともいえない。
そうすると、引用発明において、引用文献2記載事項を参酌しても、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることはできず、本願発明1が有する発明特定事項によって、自車両の走行中の速度に応じて「自車両が基準地点に過度に近づく前に、合流の支援を中止する」(段落【0008】)という特有の作用効果を奏することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本願発明2ないし7について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし7は、請求項1の記載を置換することなく直接又は間接的に引用するものであるから、本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし7は、本願発明1について述べたものと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 小括
本願発明1ないし7は、原査定で引用された引用発明1及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-014736