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特許拒絶査定不服審判

2019-009583

永久磁石を備えた同期モータ

審判番号
2019-009583
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-228853外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年07月18日
審決日
2020年09月11日
公報発行日
2021年03月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .55 -Z (H02K) / P18 .572-Z (H02K) / P18 .575-Z (H02K) / P18 .56 -Z (H02K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-228853「永久磁石を備えた同期モータ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 1日出願公開、特開2018- 33316〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、平成23年(2011年)12月14日(パリ条約による優先権主張2010年12月15日欧州特許庁)を出願日とする特願2011-273268号の一部を、平成29年11月29日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成29年12月 1日   翻訳文提出 平成29年12月28日付け 拒絶理由の通知 平成30年 6月25日   意見書、手続補正書提出 平成30年 9月 5日付け 拒絶理由の通知(最後) 平成30年12月14日   意見書、手続補正書提出 平成31年 3月12日付け 平成30年12月14日にされた手続補正に              ついての補正の却下の決定・拒絶査定 令和 元年 7月18日   審判請求書、手続補正書提出 令和 元年 9月19日   上申書提出 第2 令和元年7月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 〔補正の却下の決定の結論〕 令和元年7月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 〔理由I〕 (翻訳文新規事項、限定的減縮について) 1 本件補正 (1)本件補正後の請求項1ないし2の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1ないし2の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所を示すため当審で付加した。)。 「  【請求項1】 円筒状のロータ(4)を具備するセンサレス同期モータであって、前記ロータ(4)が、多相の巻き線(U,V,W)を具備する円筒状のスロットレスステータの内側に配置されている、永久磁石を備えており、前記巻き線(U,V,W)が、軸方向に延在しており且つ巻きの端部を具備する、コイルを備えており、前記永久磁石が、前記ロータ(4)の側面の全体に亘って配置されており、前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、軸方向に延在している突起(41)が設けられており、前記突起(41)が、前記コイルの前記巻きの端部が納まる位置の正面の領域に配置されている、前記センサレス同期モータにおいて、 前記ロータ(4)が、が、前記ロータ(4)の極の組の数量と同一とされる数量の前記突起(41)を有しており、 前記突起(41)が、前記ロータの中心に関して対称に配置されており、 前記突起(41)が、前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成していることを特徴とするセンサレス同期モータ。 【請求項2】 前記突起(41)が、接着又はネジによって固定されている前記ロータの材料とは相違する材料から形成されており、 前記突起(41)の材料が、例えばμメタルのような、高透磁率を有していることを特徴とする請求項1に記載のセンサレス同期モータ。」 (2)本件補正前の請求項1ないし2の記載 本件補正前の、平成30年6月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2の記載は次のとおりである(なお、平成30年12月14日にされた手続補正は却下された。)。 「  【請求項1】 円筒状のロータ(4)を具備するセンサレス同期モータであって、前記ロータ(4)が、巻き線(U,V,W)を具備する円筒状のステータの内側に配置されている、永久磁石を備えており、前記永久磁石が、前記ロータ(4)の側面の全体に亘って配置されており、前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)が、前記巻き線(U,V,W)に面するように形成されている、前記センサレス同期モータにおいて、 前記ステータが、スロットレスステータとされ、 前記突起群(42)の突起(41)の数量が、前記ロータ(4)の極の組の数量と同一とされ、 前記突起(41)が、前記ロータの中心に関して対称に配置されていることを特徴とするセンサレス同期モータ。 【請求項2】 前記突起(41)が、接着又はネジによって固定されている前記ロータの材料とは相違する材料から形成されており、 前記突起(41)の材料が、例えばμメタルのような、高透磁率を有していることを特徴とする請求項1に記載のセンサレス同期モータ。」 2 補正の適否 (1)翻訳文新規事項について ア 補正事項 本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記1(1)のとおりであり、本件補正は、「多相の巻き線(U,V,W)を具備する円筒状のスロットレスステータ」とする補正(以下「補正事項1」という。)、「前記突起(41)が、前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成して」いることを追加する補正(以下「補正事項2」という。)、を少なくとも含むものである。 イ 翻訳文記載事項 外国語書面の翻訳文(以下、「翻訳文等」という。)には、図面とともに以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下同様。)。 (ア)「【0006】 本発明は特徴的なロータ形状を形成することを可能にしており、この形状は通常のセンサ制御ユニット無しにロータの位置を与えている。」 (イ)「【0009】 磁石が円筒形ロータの側面全体にわたって配置された場合、レアアース磁石の比透磁率は空気に近接するので、リラクタンス変化が発生しない。このことはコギングトルク(cogging torque;特許文献1において詳細に説明されている。)においてだけでなく、一定を維持する各々の位相の巻き線のインダクタンス値にも影響を与える。センサを備えていないいくつかの制御器は、モータの移送において電流を発するための電子駆動部への信号として、モータのインダクタンス値の数値変化を基にしている。このことは、スロットを備えたモータにおいては極めて一般的であるが、スロットを備えていないモータにおいては明確ではない。」 (ウ)「【図面の簡単な説明】 【0011】 【図1】軸方向に延在した突起を備えたロータの斜視図を示している。 【図2】異なった電気的位相に各々が対応した3つのコイルを備えた、図1のロータを示した図である。 【図3】径方向に延在した突起が存在するロータが設けられたモータの側面を示した図である。 【図4】径方向に延在した突起が存在する別のロータが設けられたモータの側面を示した図である。 【図5】スロットを備えたステータの側面を示した図である。」 (エ)「【0012】 図1において、永久磁石3は円筒のロータ4の側面全体にわたって配置されている。ロータにはその側面の両端部において軸方向に延在した突起41が設けられている。突起41は、コイルの巻きが納まる(図2)位置の正面の領域に配置されている。コイルは、コイル近傍のロータ4の鋼または鉄の有無に対して敏感であり、ロータが回転したときのインダクタンス値の変化に敏感である。ロータの極の組と同数の突起41を備えることが必要であり、もちろん、突起はロータの中心に関して対称に配置されていなければならない。その一方で、突起の影響は他に対して一側から補正される。これらの突起は、代替的な形状、三角形、正弦曲線でなければならない。突起は、ロータの1つの位相、例えばU(図2)の位置において、インダクタンスの最大値を備え、別の位相、例えば位相Wにおいてインダクタンスの最小値を備え、2番目に、例えば位相Vにおいて、インダクタンスの中間値を備えるようにデザインされている。」 (オ)「【0015】 磁石が、表面の代わりにロータの径方向内側に配置された場合、突起のうねりがロータの側面の活性部において形成されなければならず、その様子は図3に示されている。 【0016】 ロータ4に配置されたステータ1、巻き線2、永久磁石3が図2において模式的に図示されている。ロータ4の側面には、その面の活性部において軸方向に延在するうねった突起群42が設けられている。側面の活動部は、巻き線2に面した面を意味している。ロータの位置に依存して、すでに説明したように、インダクタンス値は各々の電気的位相に関して変化する。 【0017】 図4において、ロータ4内部における永久磁石3の別の配列が図示されている。うねった突起群42もロータ4の側面の活性部において軸方向に延在している。」 (カ)「【0018】 図5において、ステータにスロットが設けられていた場合、スロットの入口幅Eを最小化することがモータリラクタンス(motor reluctance)においてエアギャップへの影響を最小化できることが重要である。 【0019】 我々は、スロットの入口に依存した単一または複数のエアギャップの影響を限定し、リラクタンス値が5%よりも大きく変動しないようにすることを提案している。インダクタンスの標準測定は正確に5%の変動を特徴付ける。5%以下のインダクタンスの変動は、ロータの突起の有無として解釈されないだろう。」 ウ 補正事項1について ステータに関して、「巻き線(U,V,W)を具備する」を「多相の巻き線(U,V,W)を具備する」としているが、翻訳文等には、上記イ(エ)の記載、及び図2にみられるように、U相、V相、W相からなる三相の巻き線を具備するステータを備えたモータしか記載されておらず、また、これらの記載及び図面には、巻き線が、三相以外の多相を含むことについての記載も示唆もないことから、このことが翻訳文等から自明であるとはいえない。 請求人は、審判請求書において、その根拠を「段落[0012]の記載、特に「。突起は、ロータの1つの位相、例えばU(図2)の位置において、インダクタンスの最大値を備え、別の位相、例えば位相Wにおいてインダクタンスの最小値を備え、2番目に、例えば位相Vにおいて、インダクタンスの中間値を備えるようにデザインされている」との記載に基づく」と主張するが、上記のとおり、図2及び段落【0012】の記載は、三相モータについての説明であって三相以外を含む多相モータの説明ではなく、多相モータを含むことについての記載も示唆もないから、請求人の当該主張は採用できない。 よって、「多相の巻き線(U,V,W)を具備する」ことは、翻訳文等には記載も示唆もなく、翻訳文等から自明でもないから、補正事項1は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 エ 補正事項2について 補正事項2は、突起(41)が、「前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成」することを特定しており、「波状」とは、三角形、正弦曲線からなる突起から形成されるものの他、様々な形状(例えば、矩形波)を含むものと解される。 ここで、翻訳文等に記載された発明を実施するための形態について整理すると、上記イ(ウ)、イ(エ)の記載及び図1ないし2で示される実施形態であって、永久磁石がロータの側面全体にわたって配置されており、ロータ側面の両端部において軸方向に延在した突起が設けられた実施形態(以下「実施形態1」という。)と、上記イ(ウ)、イ(オ)の記載及び図3又は図4で示される実施形態であって、磁石が(表面の代わりに)ロータの径方向内側に配置され、軸方向に延在する突起のうねりがロータの側面の活性部において形成されている実施形態(以下「実施形態2」という。)が記載されており、さらに、後者は、内部における永久磁石の配列の違いにより、図3で示された形態と、図4で示された形態が記載されている。なお、上記イ(オ)に関して、符号1、2、3、4は図2において示されておらず図3において示されていることから、「ロータ4に配置されたステータ1、巻き線2、永久磁石3が図2において模式的に図示」における「図2」は「図3」の誤記であると解釈した。 そして、ロータ側面の両端部において軸方向に延在した突起が設けられた実施形態1に関しての突起は、上記イ(エ)に記載されるとともに、以下の図1ないし図2に符号41で示されたものである。 図1 図2 すると、実施形態1の突起に関して、上記イ(エ)の記載から、三角形、正弦曲線でなければならないこと、図1ないし2から、軸方向において延在する突起の長さが円周方向に沿って変化していることが看取されるものの、補正事項2で特定される様々な形状を含む「波状」に、ロータの側面の軸方向端部を形成することについては、何ら記載されていない。 また、実施形態2には、上記イ(オ)に、ロータ4の側面に、その面の活性部において、軸方向に延在するうねった突起群42を設ける点が記載されているものの、この「うねり」は、図3ないし4の図示内容を考慮すると、その頂部がロータの側面において軸方向に延在するものであり、補正事項2で特定される「前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の」「周囲を形成」するものではない。 そして、翻訳文等には、実施形態1及び実施形態2以外の記載を考慮しても、突起が、「前記ロータの前記側面の前記軸方向端部」の周囲を「波状」に形成することについては、記載も示唆もされていない。 請求人は、審判請求書において、「同第12~13行に、「前記突起(41)が、前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成している」との記載を追加致しました。当該補正は、本願図1及び図2に基づくものです。」と主張する。 しかしながら、上記のとおり、ロータの側面の軸方向端部を、三角形、正弦曲線や図1ないし2に記載された形状以外の様々な形状を含む「波状」に形成することについては翻訳文等に記載も示唆もされていないから、請求人の主張は採用できない。 よって、本件補正により「前記突起(41)が、前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成していること」を追加することは、翻訳文等には記載も示唆もなく、翻訳文等から自明でもないから、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 オ 翻訳文新規事項についてのまとめ したがって、上記ウ、エ、で検討したとおり、補正事項1及び補正事項2は翻訳文新規事項を含むものであるから、その余の補正事項を検討するまでもなく、本件補正は、翻訳文等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (2)補正の目的について 本件補正は、本件補正前の請求項1の発明特定事項である「前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)が、前記巻き線(U、V、W)に面するように形成されている」を、「前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、軸方向に延在している突起(41)が設けられており、前記突起(41)が、前記コイルの前記巻きの端部が納まる位置の正面の領域に配置されている」とする補正(以下、「補正事項3」という。)を少なくとも含むものである。 補正事項3は、本件補正前において、ロータの側面の2つの軸方向端部に形成された「前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)」との発明特定事項を削除するものであり、本件補正後の請求項1及び請求項1を直接引用する請求項2は、ロータの側面の2つの軸方向端部に、ロータの「側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)」を形成しない態様が含まれることになるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものではない。また、補正事項3は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものに該当しないことは明らかである。 したがって、その余の補正事項を検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし4号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない。 〔理由II〕 (独立特許要件について) 上記〔理由I〕2(1)のとおり、補正事項1及び補正事項2は翻訳文新規事項を含み特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また上記〔理由I〕2(2)のとおり、補正事項3は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものではないが、本件補正が翻訳文新規事項に該当せず、また、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、上記〔理由I〕1(1)に示される本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明1」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 ア 「前記突起(41)が、前記コイルの前記巻きの端部が納まる位置の正面の領域に配置されている」との発明特定事項に関して、「巻きの端部」がいわゆるコイルエンドを意味し、「巻きの端部が納まる位置」は、コイルエンドが配置される位置を意味していたとしても、その「正面の領域」とは、コイルエンドに相対するどの部分までを含み、どの部分を含まないのか、その範囲が判然とせず、不明である。したがって、本願補正発明1は不明である。 請求人は審判請求書において、「当該補正は、本願当初明細書段落[0012]の記載、特に「ロータにはその側面の両端部において軸方向に延在した突起41が設けられている」及び「突起41は、コイルの巻きが納まる(図2)位置の正面の領域に配置されている」との記載に基づく」と主張するが、翻訳文等の記載及び図2を参酌しても、「正面の領域」の記載はその範囲が判然としない不明な記載であるので、請求人の主張は採用できない。 イ 「前記永久磁石が、前記ロータ(4)の側面の全体に亘って配置されており、前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、軸方向に延在している突起(41)が設けられており」との発明特定事項に関して、側面の全体にわたって配置されることから、側面の軸方向端部にある突起にも永久磁石が配置されるものと解されるところ、発明の詳細な説明の段落【0012】には、「図1において、永久磁石3は円筒のロータ4の側面全体にわたって配置されている。ロータにはその側面の両端部において軸方向に延在した突起41が設けられている」との記載がある一方で、図1では突起は永久磁石3で覆われていないことが明らかであることから、当該発明特定事項をどのように理解すべきか不明である。 ウ 「前記ロータ(4)が、が、前記ロータ(4)の極の組の数量と同一とされる数量の前記突起(41)を有しており」(「が、が、」は「が、」の誤記と認める。)との発明特定事項に関して、図1を参酌すると、突起はロータの側面における軸方向の一方と他方の端部(「2つの軸方向端部」)にそれぞれ存在するところ、円周方向で同位相にある軸方向一方の突起と軸方向他方の突起をあわせて1つと数えるのか、2つと数えるのかが明らかでない。 また、「ロータ(4)の極の組」は、いわゆる極対数と解釈するのが通常(例えば磁石の配置が明確である図4においては、ロータの極の組の数は2となる。)であるところ、図1を参酌すると、ロータの表面に濃色で描かれている矩形の部材がすべて永久磁石であるのかどうかも明らかでなく、仮に当該矩形の部材がすべて永久磁石であったとすると、ロータの側面における軸方向一方の突起(41)1つにつき永久磁石(3)が1つより大きく2つより少なく配置されている(軸方向一方の突起と軸方向他方の突起をあわせて1つと数えるのか、2つと数えるのかのいずれにせよロータの極の組の数量と、突起の数量とが同一ではない)ように見受けられ、本願補正発明1における「ロータ(4)の極の組」をどのように解釈すべきか、明らかでない。 上述のとおり、突起の数の数え方が不明であること、「ロータ(4)の極の組の数量」をどのように解釈すべきかが不明であることから、図1を参酌しても本願補正発明1の「前記ロータ(4)が、が、前記ロータ(4)の極の組の数量と同一とされる数量の前記突起(41)を有しており」は、どのような態様を特定しようとしているのか不明である結果、本願補正発明1は不明である。 エ 「前記突起(41)が、前記ロータの前記側面の前記軸方向端部の波状の周囲を形成している」との発明特定事項に関して、「波状」は、翻訳文等に具体的な説明はなく、矩形波も含む様々な「波」が想定されるところ、図1に記載のもの以外にどのような波が上記発明特定事項に含まれるのかが不明である結果、本願補正発明1の外縁が不明である。 上記ア、イ、ウ、エにおいて検討したように、本願補正発明1は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願補正発明1は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。 〔本件補正についてのむすび〕 以上のとおり、本件補正は、翻訳文等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。また、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。また、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成30年6月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、「第2 〔理由I〕1(2)」に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由とされた、平成30年9月5日付け拒絶理由通知書に記載した理由1の概要は、以下のとおりである。 「1.(新規事項)平成30年6月25日付け手続補正書でした補正は、下記の点で外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(新規事項)について ・請求項1-2 「前記永久磁石が、前記ロータ(4)の側面の全体に亘って配置されており、前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)が、前記巻き線(U,V,W)に面するように形成されている」という記載がある。 しかしながら、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)(以下、翻訳文等という)には、図3に示されるように、「磁石が、表面の代わりにロータの径方向内側に配置された場合」において、「その面の活性部において軸方向に延在するうねった突起群42」を設けることは記載されているが、永久磁石がロータの側面の全体にわたって配置されている場合に、「その面の活性部において軸方向に延在するうねった突起群42」を設けることについての記載がなく、また、翻訳文等の記載から自明の事項ともいえない。」 3 当審の判断(平成30年6月25日付け手続補正書でした補正について) 平成30年6月25日付け手続補正書で補正された請求項1に記載されたセンサレス同期モータは、「前記永久磁石が、前記ロータ(4)の側面の全体に亘って配置されており、前記ロータの前記側面の2つの軸方向端部には、前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)が、前記巻き線(U,V,W)に面するように形成されている」という発明特定事項(以下「本願補正事項」という。)を含むものである。 「第2 〔理由I〕2(1)エ」において説示したとおり、翻訳文等には、永久磁石がロータの側面全体にわたって配置されており、ロータ側面の両端部において軸方向に延在した突起が設けられた実施形態1と、永久磁石がロータの径方向内側に配置され、軸方向に延在する突起のうねりがロータの側面の活性部において形成されている実施形態2が存在する。そして、実施形態1では、永久磁石がロータの側面全体にわたって配置されることは記載されているものの、ロータの側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群が設けられることについては記載されていない。実施形態2では、ロータの側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群が設けられることについては記載されているものの、「第2 〔理由I〕2(1)イ(オ)」(段落【0015】)の記載から分かるとおり、永久磁石がロータの側面全体にわたって配置されることは記載されていない。そして、翻訳文等の全体をみても、永久磁石がロータの側面全体にわたって配置されるものにおいて、側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群が設けられることについては、何ら記載も示唆もされていない。 請求人は平成30年6月25日付け意見書において、「「軸方向に延在している突起」との旧記載を、「前記ロータ(4)の前記側面の活性部において軸方向に延在している波状の突起群(42)」との記載に補正致しました。当該補正は、本願当初明細書段落[0016]及び[0017]の記載に基づくものです」、と主張するが、翻訳文等の段落【0016】、【0017】は実施形態2についての説明であり、永久磁石がロータの側面の全体にわたって配置されている実施形態1において、「その面の活性部において軸方向に延在するうねった突起群42」を設けることについては記載されておらず、また、翻訳文等の記載から自明ともいえないから、請求人の主張は採用できない。 よって、上記本願補正事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 したがって、平成30年6月25日付け手続補正書でした補正は、翻訳文等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-009583

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    共通の審決分類: 55・H02K、572・H02K、575・H02K
  • 2019-014410拒絶査定不服審判 / 2020-10-19 / 請求不成立モータ鉄心用積層電磁鋼板およびその製造方法
    共通の審決分類: 572・H02K、575・H02K
  • 2019-005537拒絶査定不服審判 / 2020-04-22 / 請求不成立モータ
    共通の審決分類: 572・H02K、575・H02K
  • 2016-011221拒絶査定不服審判 / 2018-12-17 / 請求不成立小型線形振動触覚アクチュエータ
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