特許拒絶査定不服審判
2016-011221
小型線形振動触覚アクチュエータ
- 審判番号
- 2016-011221
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-547989外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月26日
- 審決日
- 2018年12月17日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WZ (H02K) / P18 .55 -WZ (H02K) / P18 .575-WZ (H02K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-547989「小型線形振動触覚アクチュエータ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月27日国際公開、WO2013/092760、平成27年 1月22日国内公表、特表2015-502737〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)12月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年11月19日、仏国)を国際出願日とする出願であって、平成27年5月27日付けの拒絶理由の通知に対し、平成27年10月20日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成28年3月22日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成28年3月29日)、これに対して平成28年7月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、当審において、平成29年7月3日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)が通知され、平成29年12月27日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成30年1月31日付けで最後の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)が通知され、平成30年8月6日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 平成30年8月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年8月6日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
本件補正は、特許請求の範囲の記載を
「【請求項1】
-隣り合う2つの磁石(15、105)の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石(15、105)を備える、第1要素(14、104)であって、前記永久磁石(15、105)は第1要素の滑動方向(X2)に沿って整列される第1要素(14、104)と、
-その中で前記第1要素が滑動方向(X2)へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞(12、102)を形成する第2要素(11、101)であって、磁力発生器(13、111)を形成するために、滑動方向(X2)に直角に延びかつ前記第1要素(14、104)に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイル(13、103)を備える第2要素と、
-前記第2要素(11、101)内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素(14、104)を復帰及び案内する手段(25、41、125)であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面(P2)が、対面する磁力発生器(111)の中心平面(P1)と一致する、復帰及び案内手段と、
を備え、
前記復帰及び案内する手段(25、41、125)が弾性隔膜であり、
前記コイルと前記永久磁石の間の空隙が滑動空隙によって構成されるように、前記コイルが前記永久磁石に直接対向していて、
少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜の断面の一部が半円形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が2つの半円形断面のローブを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が互いに同心の輪状ひだを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が透かし加工される、
小型線形振動触覚アクチュエータ。
【請求項2】
前記永久磁石(15)及び前記コイル(13)が管状であり、
前記空洞(12)が円形断面を有し、
前記コイル(13)が、前記第1要素(14)を取り囲むように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記永久磁石(105)及び前記コイル(103)が、平行六面体の平面的形状を持ち、かつ互いに平行な平面で拡がり、
前記空洞(102)が矩形断面を有し、
前記コイル(103)が、前記空洞の対向する2つの面を形成する2つの群(107)で構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
アクチュエータが、平行六面体の平面的形状を有する、請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記永久磁石(15、105)が透磁性又は軟性強磁性材料の要素(20、120)によって分離されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
少なくとも、
-芯(29)に導電線コイル(13、103)を位置付けるステップと、
-前記コイル(13、103)と前記芯(29)を鋳型(27)に挿入するステップと、
-鋳型(27)に材料を射出するステップと、
-前記材料を硬化させるステップと、
-前記硬化した材料の一部によって形成されかつ前記コイル(13、103)を備える前記第2要素(11、101)を取り外すステップと、
-前記芯(29)を破壊または除去するステップと、
-前記第2要素(11、101)内部へ前記第1要素(14、104)を挿入するステップと、
を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項7】
前記永久磁石(15)及び前記コイル(13)が管状であり、前記空洞(12)が円形断面を有し、前記コイル(13)が前記第1要素(14)を取り囲むように構成される、アクチュエータの製造に適する方法であって、
前記位置付けステップにおいて、前記コイルが前記芯の周りに嵌合されることを特徴とする、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記永久磁石(105)及び前記コイル(103)が平行六面体の平面的形状を持ちかつ互いに平行の平面で拡がり、前記空洞(102)が矩形断面を有し、かつ前記コイル(103)が前記空洞の対向する2つの面を形成する2つの群(107)で構成される、アクチュエータの製造に適する方法であって、
前記位置付けステップにおいて、前記コイルが、前記芯の表面に位置付けられることを特徴とする、
請求項6に記載の製造方法。」から、
「【請求項1】
-隣り合う2つの磁石(15、105)の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石(15、105)を備える、第1要素(14、104)であって、前記永久磁石(15、105)は第1要素の滑動方向(X2)に沿って整列される第1要素(14、104)と、
-その中で前記第1要素が滑動方向(X2)へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞(12、102)を形成する第2要素(11、101)であって、磁力発生器(13、111)を形成するために、滑動方向(X2)に直角に延びかつ前記第1要素(14、104)に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイル(13、103)を備える第2要素と、
-前記第2要素(11、101)内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素(14、104)を復帰及び案内する手段(25、41、125)であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面(P2)が、対面する磁力発生器(111)の、前記滑動方向(X2)に対して直角に延びる中心平面(P1)と一致する、復帰及び案内手段と、
を備え、
前記復帰及び案内する手段(25、41、125)が弾性隔膜であり、
前記コイルと前記永久磁石の間の空隙が滑動空隙によって構成されるように、前記コイルが前記永久磁石に直接対向していて、
少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される、
小型線形振動触覚アクチュエータ。
【請求項2】
前記永久磁石(15)及び前記コイル(13)が管状であり、
前記空洞(12)が円形断面を有し、
前記コイル(13)が、前記第1要素(14)を取り囲むように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記永久磁石(105)及び前記コイル(103)が、平行六面体の平面的形状を持ち、かつ互いに平行な平面で拡がり、
前記空洞(102)が矩形断面を有し、
前記コイル(103)が、前記空洞の対向する2つの面を形成する2つの群(107)で構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
アクチュエータが、平行六面体の平面的形状を有する、請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記永久磁石(15、105)が透磁性又は軟性強磁性材料の要素(20、120)によって分離されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
少なくとも、
-芯(29)に導電線コイル(13、103)を位置付けるステップと、
-前記コイル(13、103)と前記芯(29)を鋳型(27)に挿入するステップと、
-鋳型(27)に材料を射出するステップと、
-前記材料を硬化させるステップと、
-前記硬化した材料の一部によって形成されかつ前記コイル(13、103)を備える前記第2要素(11、101)を取り外すステップと、
-前記芯(29)を破壊または除去するステップと、
-前記第2要素(11、101)内部へ前記第1要素(14、104)を挿入するステップと、
を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアクチュエータの製造方法。
【請求項7】
前記永久磁石(15)及び前記コイル(13)が管状であり、前記空洞(12)が円形断面を有し、前記コイル(13)が前記第1要素(14)を取り囲むように構成される、アクチュエータの製造に適する方法であって、
前記位置付けステップにおいて、前記コイルが前記芯の周りに嵌合されることを特徴とする、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記永久磁石(105)及び前記コイル(103)が平行六面体の平面的形状を持ちかつ互いに平行の平面で拡がり、前記空洞(102)が矩形断面を有し、かつ前記コイル(103)が前記空洞の対向する2つの面を形成する2つの群(107)で構成される、アクチュエータの製造に適する方法であって、
前記位置付けステップにおいて、前記コイルが、前記芯の表面に位置付けられることを特徴とする、
請求項6に記載の製造方法。」(下線部は、補正箇所である。)に変更する(以下、「本件補正1」という。)とともに、
願書に添付された図面の図7及び8を変更する(以下、「本件補正2」という)ものである。
2.補正の適否
2-1.新規事項
本件補正後の図7及び8には、平面P2が磁石105の滑動方向X4における中央部をとおる平面であることが記載されている。この点が、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かについて検討する。
当初明細書等の図7には、平面P2に関する記載はないが、当初明細書等の図8には、平面P2が隣り合う2つの磁石105の間に配置されたバー120をとおる平面であることが記載されている。更に、明細書の段落0017及び0038を参照するに、図7及び8は、第2実施形態に従ったアクチェータに関する図面であり、当該アクチェータに関して、願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。)には、「可動取付け部品104は、5つの整列した平面的な平行六面体の永久磁石105によって形成される。磁石105は、透磁性材料から製造されるバー120によって分離される。同じバー120に対面する2つの磁石105の2つの面は、同一の極性(N極-N極又はS極-S極)を有する。」(段落0040)及び「図7及び8に示す平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面P2(図8において破線で示すP2は、バー120の中心平面である)は、実質的に対面する発生器の平面P1に一致する。」(段落0042。下線は、当審で付した。)との記載があり、永久磁石105が平面的な平行六面体である(当初明細書段落0040)第2実施形態に対する、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項3が引用する請求項1には「隣り合う2つの磁石の間の中心平面(P2)」との記載がある。そして、第2実施形態に従ったアクチェータにおける平面P2について、当初明細書等には、その余の記載はない。
以上の記載からみて、当初明細書等には、平面P2が隣り合う2つの磁石105の間をとおる平面であることは記載されているが、平成P2が磁石105の滑動方向X4における中央部をとおる平面であることは記載も示唆もされていない。
そうすると、本件補正2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2-2.独立特許要件について
本件補正前後の特許請求の範囲は、いずれも、請求項の数が8であり、請求項1が「小型線形振動アクチュエータ」についての物の発明に係る独立形式の請求項であり、請求項2~6が請求項1を引用し、更に発明特定事項を付加する引用形式の請求項であり、請求項6~8が「小型線形振動アクチュエータ」についての方法の発明に係る、請求項1を引用する引用形式の請求項である。そして、本件補正前後で請求項2~8の記載に変更はないから、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に対応するものである。
そして、本件補正1は、本件補正前の請求項1に記載された「少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜の断面の一部が半円形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が2つの半円形断面のローブを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が互いに同心の輪状ひだを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が透かし加工される」という事項を「少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される」に限定する補正を含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正1は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
-隣り合う2つの磁石(15、105)の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石(15、105)を備える、第1要素(14、104)であって、前記永久磁石(15、105)は第1要素の滑動方向(X2)に沿って整列される第1要素(14、104)と、
-その中で前記第1要素が滑動方向(X2)へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞(12、102)を形成する第2要素(11、101)であって、磁力発生器(13、111)を形成するために、滑動方向(X2)に直角に延びかつ前記第1要素(14、104)に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイル(13、103)を備える第2要素と、
-前記第2要素(11、101)内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素(14、104)を復帰及び案内する手段(25、41、125)であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面(P2)が、対面する磁力発生器(111)の、前記滑動方向(X2)に対して直角に延びる中心平面(P1)と一致する、復帰及び案内手段と、
を備え、
前記復帰及び案内する手段(25、41、125)が弾性隔膜であり、
前記コイルと前記永久磁石の間の空隙が滑動空隙によって構成されるように、前記コイルが前記永久磁石に直接対向していて、
少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される、
小型線形振動触覚アクチュエータ。」
(2)引用例の記載事項
ア.引用例1
(ア)当審拒絶理由2で引用された本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である、特開平6-315255号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
ア-a.「【特許請求の範囲】
【請求項1】 同極対向された少なくとも2個の永久磁石間に中間部磁性体を設け、かつ両端に位置する永久磁石の外側端面に端部磁性体を設けて磁石可動体を構成し、少なくとも3連のコイルの内側に当該磁石可動体を移動自在に設け、前記少なくとも3連のコイルを、各永久磁石の磁極間を境にして相異なる方向に電流が流れる如く結線したことを特徴とする可動磁石式アクチュエータ。
【請求項2】 前記コイル外周側に磁性体ヨークを設けて、前記永久磁石の着磁方向に垂直な方向の磁束成分を増加させるための磁気回路を構成した請求項1記載の可動磁石式アクチュエータ。
【請求項3】 前記永久磁石、中間磁性体及び端部磁性体を非磁性ホルダで一体化して前記磁石可動体を構成した請求項1又は2記載の可動磁石式アクチュエータ。
【請求項4】 前記磁石可動体に出力取り出し用ピンが設けられている請求項1、2又は3記載の可動磁石式アクチュエータ。」
ア-b.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御機器、電子機器、工作機械等において電気エネルギーを電磁作用により往復運動エネルギー等に変換させる可動磁石式アクチュエータに関する。」
ア-c.「【0023】図1及び図2は本発明の第1実施例を示す。これらの図において、1は軟磁性体の円筒状ヨークであり、該円筒状ヨーク1の内側に3連のコイル2A,2B,2Cが配置され、磁石可動体3を摺動自在に案内するためのガイド筒体4を構成する絶縁樹脂等の絶縁部材で円筒状ヨーク1に固着されている。磁石可動体3は、同極対向配置の2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に固着される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に固着される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとからなり、それらの永久磁石5A,5B及び軟磁性体6A,6B,6Cは接着剤等で相互に一体化されている。前記3連のコイル2A,2B,2Cは永久磁石5A,5Bの磁極間を境にして相異なる方向に電流が流れる如く結線されている。すなわち、中央のコイル2Bは中間部軟磁性体6及び永久磁石5A,5BのN極を含む端部を囲み、両側のコイル2A,2Cは、永久磁石5A,5BのS極及び端部軟磁性体6B,6Cを含む領域をそれぞれ囲むことができるようになっており、かつ中央のコイル2Bに流れる電流の向きと、両側のコイル2A,2Cの電流の向きとは逆向きである(図1の各コイルに付したN,Sを参照)。なお、端部軟磁性体6B,6Cの肉厚は、中間部軟磁性体6Aの1/2~1倍程度に設定される。」
ア-d.「【0027】図3は本発明の第2実施例を示す。この図において、磁石可動体23は、同極対向配置の2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に配置される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に配置される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとを円筒状の非磁性ホルダ24内に収納し、該ホルダ24の端部のかしめ、あるいは各部材のホルダ24への接着等により一体化したものである。また、磁石可動体23が有する端部軟磁性体6B,6Cには非磁性ピン25が一体的に設けられている。すなわち、偏平円柱状の端部軟磁性体6B,6Cの中心部に非磁性ピン25が溶接、接着等で固着一体化されている。一方、軟磁性体の円筒状ヨーク1及びガイド筒体4の両端部に支持板28が固着され、該支持板28の中心穴26を前記非磁性ピン25が貫通している。両非磁性ピン25は中心穴26により摺動自在に支持される。そして、永久磁石5A,5Bの外側端面の磁極との間で反発力を発生するように環状永久磁石27が両方の支持板28の内側にそれぞれ固定されている。例えば図3では、永久磁石5A,5Bの外側端面のS極に環状永久磁石27のS極が対向している。なお、その他の構成は前述の第1実施例と同じである。」
ア-e.「【0029】図4は本発明の第3実施例を示す。この図において、磁石可動体23が有する端部軟磁性体6B,6Cにはピン(非磁性でも磁性でもよい)25Aが一体的に設けられている。すなわち、偏平円柱状の端部軟磁性体6B,6Cの中心部にピン25Aがそれぞれ溶接、接着等で固着一体化されてるか、あるいは端部軟磁性体自体に一体に形成されている。一方、軟磁性体の円筒状ヨーク1及びガイド筒体4の両端部に支持板28が固着され、該支持板28の中心穴26を前記ピン25Aが貫通している。両ピン25Aは中心穴26により摺動自在に支持される。そして、端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に圧縮ばね29が配設されている。なお、その他の構成は前述の第2実施例と同じである。
【0030】この第3実施例によれば、各コイル2A,2B,2Cに通電されていない状態では、磁石可動体23は左右の圧縮ばね29の弾性力で円筒状ヨーク1内の中間位置に復帰しており、各コイル2A,2B,2Cに直流電流を通電することで磁石可動体23を一方に駆動することができる。また、交流電流を通電すれば、磁石可動体23は往復運動してバイブレータして動作するが、磁石可動体23はある程度変位した所で圧縮ばね29の弾性力で中間位置に戻されるため、磁石可動体23が支持板28に衝突して衝撃音を発生することを防止できる。」
ア-f.「【0031】なお、上記各実施例では、2個の同極対向の永久磁石と両永久磁石間の中間部軟磁性体と両端の端部軟磁性体とで磁石可動体を構成したが、3個以上の同極対向の永久磁石と両永久磁石間の中間部軟磁性体と端部位置の永久磁石の外側端面に位置する端部軟磁性体で磁石可動体を構成してもよく、これに対応させてコイル数も4個以上とすることができる。
【0032】また、各実施例において、円筒状のヨーク1及びガイド筒体4を用いたが、角筒状等のヨーク及びガイド体を採用することもでき、角柱状の磁石可動体を用いることもできる。これらの場合も各コイルは磁石可動体の外周を周回するように巻回すればよい。
【0033】さらに、ガイド筒体4を省略して、各コイル2A,2B,2Cをヨーク1の内周面に絶縁固定する構造を採用することもできる。」
そして、記載事項ア-cないしア-e及び図4の記載からみて、引用例1には次の事項が開示されていると理解できる。
ア-g.磁石可動体23は、同極対向配置の軸方向に着磁された2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に配置される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に配置される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとを円筒状の非磁性ホルダ24内に収納し、端部軟磁性体6B,6Cにピン25Aが一体的に設けられたものであり、前記軸方向に往復運動する。
記載事項ア-a及びア-cないしア-f及並びに図4の記載からみて、引用例1には次の事項が開示されていると理解できる。
ア-h.可動磁石式アクチュエータは、磁石可動体23と、軟磁性体の円筒状ヨーク1と、円筒状ヨーク1の内周面に絶縁固定された3連のコイル2A,2B,2Cと、円筒状ヨーク1の両端部に固着された支持板28と、を備え、3連のコイル2A,2B,2Cの内側に磁石可動体23を移動自在に設け、端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に圧縮ばね29が配設されている。
記載事項ア-e及及び図4の記載からみて、引用例1には次の事項が開示されていると理解できる。
ア-i.各コイル2A,2B,2Cに通電されていない状態では、磁石可動体23は左右の圧縮ばね29の弾性力で円筒状ヨーク1内の中間位置に復帰し、磁石可動体23が前記中間位置にあるとき、円柱状の中間部軟磁性体6Aの軸方向位置とコイル2Bの軸方向中央部の位置とが一致する。
(イ)そうすると、これらの事項からみて、本件出願の請求項1の記載に倣って整理すれば、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「同極対向配置の軸方向に着磁された2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に配置される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に配置される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとを円筒状の非磁性ホルダ24内に収納し、端部軟磁性体6B,6Cにピン25Aが一体的に設けられた磁石可動体23と、
軟磁性体の円筒状ヨーク1と、円筒状ヨーク1の内周面に絶縁固定された3連のコイル2A,2B,2Cと、円筒状ヨーク1の両端部に固着された支持板28と、を備え、
3連のコイル2A,2B,2Cの内側に磁石可動体23を移動自在に設け、
端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に圧縮ばね29が配設され、各コイル2A,2B,2Cに通電されていない状態では、磁石可動体23は左右の圧縮ばね29の弾性力で円筒状ヨーク1内の中間位置に復帰し、磁石可動体23が前記中間位置にあるとき、中間部軟磁性体6Aの軸方向位置とコイル2Bの軸方向中央部の位置とが一致し、
磁石可動体23は前記軸方向に往復運動してバイブレータとして動作する、
可動磁石式アクチュエータ。」
また、特に記載ア-c並びに図1及び2の記載からみて、引用例1には次の技術が記載されていると認められる。
「同極対向配置の軸方向に着磁された2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に配置される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に配置される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとからなる磁石可動体3と、
軟磁性体の円筒状ヨーク1と、円筒状ヨーク1の内周面に絶縁固定された3連のコイル2A,2B,2Cと、を備え、
3連のコイル2A,2B,2Cの内側に磁石可動体3を移動自在に設け、
磁石可動体3は前記軸方向に往復運動してバイブレータとして動作する、可動磁石式アクチュエータにおいて、
永久磁石5A,5B及び軟磁性体6A,6B,6Cを接着剤等で相互に一体化する。」
イ.引用例2
(ア)当審拒絶理由2で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である、特表平11-512262号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
イ-a.「【特許請求の範囲】
1.管状部材にしっかりと固定されたコイルを有するモータコイルからなる組立体と、該モータコイル内で同心状に配置された磁石組立体と、前記モータコイルに対し軸線方向に可動するように前記磁石組立体を支持する弾性手段と、を特徴とし、前記モータコイル部材が分布式モード放射体に固定されて取り付けられるようになった慣性振動トランスジューサ。
2.前記弾性部材は、対向するエラストマー部材からなることを特徴とする請求項1に記載の慣性振動トランスジューサ。
3.前記モータコイルの軸線方向の端部を閉鎖するキャップを特徴とし、前記弾性部材が前記キャップ上に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の慣性振動トランスジューサ。
4.前記コイルが前記管状部材の内面に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の慣性振動トランスジューサ。
・・・(中略)・・・
6.前記キャップが前記弾性手段からなることを特徴とする請求項1から3項のいずれか1つに記載の慣性振動トランスジューサ。
7.前記各キャップが環状追従ロール周囲部からなることを特徴とする請求項6に記載の慣性振動トランスジューサ。
・・・(中略)・・・
12.前記磁石組立体が磁極片(14)をサンドイッチする対向する対の磁石(15)からなることを特徴とする請求項1から9項のいずれか1つに記載の慣性振動トランスジューサ。」(第2ページ第1行~第3ページ第8行(空白行を除く、以下同じ。))
イ-b.「本発明は、トランスジューサに関する。より詳細には、本発明は、パネル形状の音響放射エレメントから構成されるラウドスピーカの振動トランスジューサに関する。」(第4ページ第4~6行)
イ-c.「図4は、図3の実施例に類似し、コア(22)が表皮(21)と面するようになった種類の剛性軽量分布式モード放射パネル(2)の内側に完全に埋め込まれ撓み波をパネルに送るようになっている可動コイルトランスジューサ(9)の1実施例を図示する。トランスジューサ(9)は、モジュール組立体として形成されており、パネル(2)への組立てを行いやすいようにしている。図示するように、パネル(2)には適当なキャビティ(120)が形成されており、トランスジューサ(9)を受け取るようになっている。
トランスジューサは、例えば硬質接着ポッティング(20)によって、円筒形コイルフォーマ(18)の内壁に固定されたコイル(13)を備え、フォーマ(18)は、トランスジューサの外側ケーシングを形成し、例えば接着結合剤(220)によって所望の形態でコイルフォーマにしっかりと固定された軽量端部キャップ(19)により対向する軸線端部で閉鎖されるようになっている。組立体は、矢印A の方向に動かすことにより、分布式モードパネル(2)内のトランスジューサキャビティ(120)内に配置されるように構成されている。トランスジューサは、接着剤によりキャビティ内に固定されている。
コイルフォーマ(18)によって形成されたキャビティ(29)内には、磁極形成部材(14)によって分離された対向する対の磁石(15)からなる磁石組立体が取り付けられており、磁石組立体は、例えばフォームラバーのようなラバー状材料の対向した追従サスペション部材(19)によってコイルフォーマ(18)の端部キャップ(119)上に取り付けられ、サスペンション部材(19)は、磁石組立体と各端部キャップの内面とに接着剤で固定されている。
このように、磁石組立体(14、15)がコイル(13)と同心で取り付けられサスペンション(19)上を軸線方向に可動となる。トランスジューサ(9)は、図3 の実施例を参照して上述したのと同一の方法でパネルの局所的弾性変形を生じさせるように振動させることにより撓み波をパネル(2)に送るように作動する。」(第12ページ第1~25行)
イ-d.「図6 のトランスジューサ(9)は、分布式モードパネル(2)の厚さ内にほぼ埋めることのできる小さい形状の装置として示されている。トランスジューサ(9)は例えば接着剤によって、パネル(2)の対応するアパーチュア(29)内に固定されるようになった円筒形コイルフォーマ(18)を備える。コイル(13)は、例えば接着剤の助けを得て、フォーマ(18)の内面に固定され、モータコイル組立体を形成するようになっている。フォーマ(18)の対向する軸線方向の端部が、例えばラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)により閉鎖され、サスペンションのそれぞれは、これの周縁部近くの環状波形部分(136)が形成され、従来のピストンコーンラウドスピーカドライブユニットに使用されるものと類似したロール状周囲部を形成するようになっている。部材(59)の周縁部が、接着剤または別の適当な手段の助けを得て、例えば留めることによりコイルフォーマ(18)の軸線方向の縁部に固定されている。環状波形部分(136)によって形成された部材(59)の中央部分が、該中央部分の間で、磁極片(14)をサンドイッチする対向する一対の磁石(15)からなる磁石組立体を支持する。磁石(15)の外側面が、部材(59)の中央部分に結合されているか、そうでない場合には固定されており、磁石組立体(14、15)がコイル(13)に対し同心で配置され、コイルに対し軸線方向の動きを規制することができる。」(第13ページ第29行~第14ページ第16行)
そして、記載事項イ-c及びイ-d並びに図4及び6の記載からみて、引用例2には次の事項が開示されていると理解できる。
イ-e.磁極片(14)をサンドイッチする対向する一対の磁石(15)は、同一の極が対向し、軸線方向に沿って整列している。
図4及び6を参照すると、特にサスペンション部材(19)及び追従サスペンション部材(59)の状態からみて、図4及び6には、コイル(13)に通電されていない状態のトランスジューサ(9)が記載されているといえるから、記載事項イ-a、イ-c及びイ-d並びに図4及び6の記載からみて、引用例2には次の事項が開示されていると理解できる。
イ-f.モータコイル組立体は、円筒形コイルフォーマ(18)と、円筒形フォーマ(18)の内面に固定されるコイル(13)と、を備え、磁石組立体は、前記モータコイル組立体内で同心状に配置され、前記モータコイル組立体に対して軸線方向に可動であり、コイル(13)に通電されていない状態では、前記磁石組立体は、磁極片(14)の軸線方向の位置がコイル(13)の軸線方向の中央部の位置と略一致する位置にある。
(イ)そうすると、これらの事項からみて、本件出願の請求項1の記載に倣って整理すれば、引用例2には次の技術が記載されていると認められる。
「磁極片(14)をサンドイッチし、同一の極が対向する一対の磁石(15)からなり、一対の磁石(15)が軸線方向に沿って整列している磁石組立体と、
その内に磁石組立体が同心状に配置され、円筒形コイルフォーマ(18)と、円筒形フォーマ(18)の内面に固定されるコイル(13)と、を備えるモータコイル組立体と、
前記磁石組立体のコイル(13)に対する軸線方向の動きを規制する、追従サスペンション部材(19,59)と、
を備え、
前記磁石組立体は、前記モータコイル組立体に対して軸線方向に可動であり、コイル(13)に通電されていない状態では、前記磁石組立体は、磁極片(14)の軸線方向の位置がコイル(13)の軸線方向の中央部の位置と略一致する位置にある、トランスジューサにおいて、
追従サスペンション部材(19,59)は、
前記磁石組立体と円筒形コイルフォーマ(18)の軸線端部を閉鎖する各端部キャップ(119)の内面とに固定されている、ラバー状材料の対向した追従サスペション部材(19)であるか、又は、
ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)であって、その周縁部近くの環状波形部分(136)が形成され、周縁部が円筒形コイルフォーマ(18)の軸線方向の縁部に固定され、中央部分に磁石(15)の外側面が結合されている、追従サスペンション部材(59)である。」
ウ.引用例3
当審拒絶理由2で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である、特開2005-348461号公報(以下、「引用例3」という。)には、以下の記載がある。
ウ-a.「【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、・・・(中略)・・・磁束密度を均一にして、安定的な磁場を得ることができる整列巻きコイル・・・(中略)・・・を得ることを目的とする。」
ウ-b.「【0018】
即ち、コイル形成部位1の終端部1bに相当するコイル形成部位2の始端部2aから巻き下げを開始して(図7の番号10,11を参照)、その線材を同一平面上で図7の番号12まで巻くと、1周目の巻き下げを終了する。
次に、2周目の巻き下げは、その線材が1周目の線材の真下に位置するように列を移動してから(図8の番号13を参照)、その線材を同一平面上で図8の番号14まで巻くと、2周目の巻き下げを終了する。
3周目以降の巻き下げも、2周目の巻き下げと同様に、その線材が1周前の線材の真下に位置するように列を移動してから(図8の番号15,17,19を参照)、その線材を同一平面上で図8の番号16,18,20まで巻くと、3周目以降の巻き下げを終了する。
図8の例では、線材を5周巻き下げることにより、2層目の巻線であるコイル形成部位2をコイル形成部位1の外周に形成している。
【0019】
上記のようにして、2層目の巻線であるコイル形成部位2を形成すると、今度は、図5及び図10に示すように、同一の線材を螺旋状に巻き上げることにより、3層目の巻線であるコイル形成部位3を形成する。
【0020】
即ち、コイル形成部位2の終端部2bに相当するコイル形成部位3の始端部3aから巻き上げを開始して(図9の番号20,21を参照)、その線材を同一平面上で図10の番号22まで巻くと、1周目の巻き上げを終了する。
次に、2周目の巻き上げは、その線材が1周目の線材の真上に積み重なるように列を移動してから(図10の番号23を参照)、その線材を同一平面上で図10の番号24まで巻くと、3周目の巻き上げを終了する。
3周目以降の巻き上げも、2周目の巻き上げと同様に、その線材が1周前の線材の真上に積み重なるように列を移動してから(図10の番号25,27,29を参照)、その線材を同一平面上で図10の番号26,28,30まで巻くと、3周目以降の巻き上げを終了する。
図6の例では、線材を5周巻き上げることにより、3層目の巻線であるコイル形成部位3をコイル形成部位2の外周に形成している。
【0021】
このように、一本の線材を巻回して、コイル形成部位1,2,3を順次形成することにより、3層の整列巻きコイルが形成される。
なお、この実施の形態1では、3層の整列巻きコイルを形成しているが、さらに、コイル形成部位を順次形成することにより、4層以上の整列巻きコイルを形成するようにしてもよいことは言うまでもない。」
そして、図1~10には、整列巻きコイルの態様が記載されている。
エ.引用例4
当審拒絶理由2で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である、特開2008-148406号公報(以下、「引用例4」という。)には、以下の記載がある。
エ-a.「【0005】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ノズルから供給されるワイヤをボビンに全巻層にわたって緊密に整列巻きすることを可能とした集中巻ステータコアの整列巻線方法を提供することにある。」
エ-b.「【0026】
すなわち、図3及び図4、並びに図5(a)のワイヤ2の中に「1」を付して示すように、上部から巻き始めた2本のワイヤ2は、ボビン3の筒部3aの外周4面のうち他の左右一対をなす平行面である左平巻部及び右平巻部のうち左平巻部にて第1鍔部3bに沿って垂直に巻かれ下渡り部に至る。次に、下渡り部にて図5(b)のワイヤ2の中に「1」を付して示すように、ワイヤ2の0.5本分だけ斜めにレーンチェンジが行われ、右平巻部にて垂直に巻かれて上渡り部に至る。次に、上渡り部にて図5(a)にワイヤ2の中に「1」及び「2」を付して示すように、ワイヤ2の1.5本分だけ斜めにレーンチェンジが行われ、再び左平巻部にて垂直に巻かれて下渡り部に至る。その後、上記と同様に下渡り部及び上渡り部でレーンチェンジが繰り返し行われることにより、コイル4の1層目が形成される(図5(a),(b)において1層目は、ワイヤ2の中に「1~6」の数字が付されて示される。)。1層目の巻き回しが終わると、巻き始め位置の反対側にて折り返され、図5(b)に示すように、下渡り部では1層目とは逆向きにワイヤ2の0.5本分だけレーンチェンジが行われる。その後、図5(a)に示すように、上渡り部では1層目とは逆向きにワイヤ2の1.5本分だけレーンチェンジが行われる。」
そして、図1~9には、整列巻線方法の態様が記載されている。
オ.引用例5
当審拒絶理由2で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である、特開2008-182867号公報(以下、「引用例5」という。)には、以下の記載がある。
オ-a.「【0056】
図4はコイル導線の他の巻回形態を示している。図4では、コイル導線12の各周回の上に、次層のコイル導線12が巻回された態様を示している。」
オ-b.「【0059】
もっとも、上記製造方法で製造されたコイル10の略全体が、図2又は図4で示す巻回形態で統一されていてもよい。」
そして、図4には、コイル導線の巻回形態の態様が記載されている。
カ.引用例6
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願昭56-35112号(実開昭57-148560号)のマイクロフィルム(以下、「引用例6」という。)には、以下の記載がある。
カ-a.「ブースタシエル1は前後一対の椀状体1A,1Bを衝合せ結合して構成され、その内部は、それに前後往復動自在に収容したブースタピストン2と、その後面の環状溝2aに内周ビードを固着すると共に外周ビードを前記両椀状体1A,1B間に挟着したピストンダイヤフラム3とにより前部の第1作動室Aと、後部の第2作動室Bとに区画される。」(明細書第4ページ第5~12行)
そして、第1図の記載から、ピストンダイヤフラム3の外側ビードが椀状体1Aに形成された肩部に押圧されていることが理解できる。
キ.引用例7
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平8-116658号公報(以下、「引用例7」という。)には、以下の記載がある。
キ-a.「【0098】図13は本発明の第12実施例である磁石可動型ポンプを示す。この場合は、往復駆動体としてのピストンに代えて往復動するダイアフラムを使用している。すなわち、往復動アクチュエータ60の構成は、前述の第11実施例の往復動アクチュエータ40とほぼ同様であり、軟磁性体の円筒状ヨーク61の内側に、3連のコイル2A,2B,2Cと、円環状軟磁性体8A,8B,8C,8Dとを有し、前記磁石可動体43を摺動自在に案内するためのガイド筒体64を絶縁樹脂等の絶縁部材(非磁性材)で構成している。・・・(中略)・・・ケーシング室70の左部分を構成する有蓋筒体71の端面と前記ガイド筒体64の端面間に可撓性(弾性)を持つ薄板状のダイアフラム72の周縁部が挟持、固定されている。・・・(中略)・・・ダイアフラム72の中央部は磁石可動体43に一体に固定されている軸部品45Aの軸48Aに連結されている。」
そして、図13の記載から、ダイヤフラム72の周縁部が円筒状ヨーク61とガイド筒体64とで形成された肩部に押圧されており、ダイヤフラム72の中央部が軸48aの端部に形成された溝に係合していることが理解できる。
ク.引用例8
本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2011/136259号(以下、「引用例8」という。)には、以下の記載がある。
ク-a.「[0044] 下側突出部223の下方にはポンプ室8の底面を規定するダイヤフラム12が配置されている。ダイヤフラム12は、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などからなるゴム製の弾性体であり、上方から見たときに円形の平面形状を備えている。ダイヤフラム12は、中央部分と外周縁部分が厚肉に形成されており、中央部分と外周縁部分との間には、上方に膨らむように湾曲する一定厚さの連結膜部分を備えている。ダイヤフラム12の中央部分の下側部分には、電磁式直動アクチュエータ3を接続する接続部12aが設けられている。
[0045] 電磁式直動アクチュエータ3は、下側突出部223の外周側を利用して下側ハウジング22に取り付けられている。電磁式直動アクチュエータ3が取り付けられると、ダイヤフラム12は、その外周縁部分が、下側突出部223の円環状下端面と、電磁式直動アクチュエータ3との間に挟まれた状態となり、固定される。」
ク-b.「[0049] ・・・(中略)・・・上側ケース31および下側ケース32の内部には、上下方向に直動可能な移動体33と、この移動体33を移動させるための固定体34が配置されている。移動体33はその上端部分がダイヤフラム12の接続部12aに固定されており、移動体33が上下方向に往復移動すると、ダイヤフラム12は上下方向に往復動してポンプ室8の容積を変化させる。・・・(中略)・・・
[0050] ・・・(中略)・・・移動体33は、マグネット331の磁極面331a、331bを除く外周面部分を保持しているマグネットホルダ332を備えている。
[0051] マグネットホルダ332は、マグネット331の前後の側面を装置前後方向から保持している前後の縦枠部332aと、前後の縦枠部332aの上端部を連結している上側枠部332bと、前後の縦枠部332aの下端部を連結している下側枠部332cを備えている。前後の縦枠部332aには、それぞれ、磁極面331a、331bと平行に突出するガイド突部333、333が設けられている。各ガイド突部333は直方体形状をしており、上下方向に所定の長さ寸法を備えている。上側枠部332bには、ダイヤフラム12との接続部334が上方に突出するように設けられている。下側枠部332cには、下方に突出するガイド軸335が設けられている。」
ク-c.「[0058] 上側ケース31は、図3に示すように、矩形の上板311と、上板311の四方の縁から下方に延びる4枚の側板312~315を備えている。上板311には、その上端面から上方の突出する矩形の接続部316が設けられている。接続部316の中央部分には貫通孔316aが形成されており、この貫通孔316aの上端部分には外側に広がる段部316bが設けられている。下側ハウジング22に電磁式直動アクチュエータ3が取り付けられた状態では、図4に示すように、段部316bの内側に下側ハウジング22の下側突出部223が挿入され、下側突出部223の円環状下端面と段部316bの円環状端面との間にダイヤフラム12の周縁部分が挟み込まれた状態となる。」
そして、図2~4の記載から、ダイヤフラム12の中央部分が接続部334の端部に形成された溝に係合しており、ダイヤフラム12の外周縁部分が段部316bに押圧されていることが理解できる。
(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
a.引用発明の「円柱状希土類永久磁石5A,5B」は、本件補正発明の「磁石」に相当するから、引用発明の「同極対向配置の軸方向に着磁された2個の円柱状希土類永久磁石5A,5B」は、本件補正発明の「隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石」に相当する。引用発明の「磁石可動体23」は、その機能からみて、本件補正発明の「第1要素」に相当し、引用発明において、磁石可動体23は、円柱状希土類永久磁石5A,5Bの軸方向に往復運動するから、引用発明の「軸方向」は、本件補正発明の「第1要素の滑動方向」に相当する。そして、引用発明において、2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bは、円筒状の非磁性ホルダ24内に収納されているから、前記軸方向に整列している。更に、本件出願の明細書、特許請求の範囲及び図面を参照すると、本件補正発明の第1要素は、ロッド19やワッシャ20等の永久磁石以外の部材をも備えるものを包含する。
そうすると、引用発明の「同極対向配置の軸方向に着磁された2個の円柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B間に配置される円柱状の中間部軟磁性体6Aと、永久磁石5A,5Bの外側端面に配置される円柱状の端部軟磁性体6B,6Cとを円筒状の非磁性ホルダ24内に収納し、端部軟磁性体6B,6Cにピン25Aが一体的に設けられた磁石可動体23」「を備え、」「磁石可動体23は前記軸方向に往復運動」することは、本件補正発明の「隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石を備える、第1要素であって、前記永久磁石は第1要素の滑動方向に沿って整列される第1要素」「を備え」ることに相当する。
b.引用発明の「コイル2A,2B,2C」は、本件補正発明の「磁力発生器」及び「導電線コイル」に相当し、ストランドを有していることも明らかである。引用発明において、各コイル2A,2B,2Cに交流電流を通電すると、磁石可動体23が往復運動するから、各コイル2A,2B,2Cは、磁石可動体23に電磁的影響を持っているといえる。そして、引用発明の「3連のコイル2A,2B,2Cの内側に磁石可動体23を移動自在に設け」ていることは、本件補正発明の「その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する」ことに相当する。
そうすると、引用発明は、「軟磁性体の円筒状ヨーク1と、円筒状ヨーク1の内周面に絶縁固定された3連のコイル2A,2B,2Cと、円筒状ヨーク1の両端部に固着された支持板28」が、合わせて、本件補正発明の「第2要素」に相当し、引用発明の「軟磁性体の円筒状ヨーク1と、円筒状ヨーク1の内周面に絶縁固定された3連のコイル2A,2B,2Cと、円筒状ヨーク1の両端部に固着された支持板28と、を備え、3連のコイル2A,2B,2Cの内側に磁石可動体23を移動自在に設け」ていることは、本件補正発明の「その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、滑動方向に直角に延びかつ前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素」「を備え」ることと、「その中で第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素を備える」点で一致する。
c.引用発明の「円筒状ヨーク1内の中間位置」は、本件補正発明の「平衡位置」に相当し、引用発明の「磁石可動体23は」「円筒状ヨーク1内の中間位置に復帰」することは、本件補正発明の「前記第2要素内で平衡位置へ向かう」ことに相当するから、引用発明の「端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に圧縮ばね29が配設され、各コイル2A,2B,2Cに通電されていない状態では、磁石可動体23は左右の圧縮ばね29の弾性力で円筒状ヨーク1内の中間位置に復帰」することは、本件補正発明の「前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する手段」「を備え」ることに相当する。
引用発明において、円柱状の中間部軟磁性体6Aは、同極対向配置の2個の永久磁石5A,5B間に配置されているから、引用発明の「中間部軟磁性体6Aの軸方向位置」は、本件補正発明の「隣り合う2つの磁石の間の中心平面」の前記滑動方向の位置と一致する。引用発明の「コイル2B」は、本件補正発明の「対面する磁力発生器」に相当し、引用発明の「コイル2Bの軸方向中央部の位置」は、本件補正発明の「対面する磁力発生器の、前記滑動方向に対して直角に延びる中心平面」の前記滑動方向の位置と一致する。そうすると、引用発明の「磁石可動体23が前記中間位置にあるとき、中間部軟磁性体6Aの軸方向位置とコイル2Bの軸方向中央部の位置とが一致」することは、本件補正発明の「前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面が、対面する磁力発生器の、前記滑動方向に対して直角に延びる中心平面と一致する」ことに相当する。
d.引用発明の「バイブレータとして動作する、可動磁石式アクチュエータ」は、本件補正発明の「小型線形振動触覚アクチュエータ」に相当する。
e.以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりと認められる。
【一致点】
「-隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石を備える、第1要素であって、前記永久磁石は第1要素の滑動方向(X2)に沿って整列される第1要素と、
-その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素と、
-前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する手段であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面が、対面する磁力発生器の、前記滑動方向に対して直角に延びる中心平面と一致する、復帰及び案内手段と、
を備える、
小型線形振動触覚アクチュエータ。」
【相違点1】
本件補正発明は、導電線コイルのストランドが滑動方向に直角に延びているのに対し、
引用発明は、導電線コイル(3連のコイル2A,2B,2C)のストランドがどの方向に延びているのか明らかではない点。
【相違点2】
本件補正発明は、コイルと永久磁石の間の空隙が滑動空隙によって構成されるように、前記コイルが前記永久磁石に直接対向しているのに対し、
引用発明は、永久磁石(永久磁石5A,5B)が円筒状の非磁性ホルダ24内に収納され、該ホルダ24を介してコイル(コイル2A,2B,2C)と前記永久磁石が対向している点。
【相違点3】
本件補正発明は、復帰及び案内する手段が弾性隔膜であり、少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧されるのに対し、
引用発明は、圧縮ばね29であって、端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に配設されている点。
(4)判断
ア.相違点1について検討する。
コイルを巻き角の範囲内でコイル軸に直角にストランドを配置するように巻回することは周知の巻線方法であるから(例えば引用例3~5参照)、引用発明において、前記周知のコイルの巻線方法を採用することに格別の困難性は見いだせない。
してみれば、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明を特定する事項を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得る事項である。
イ.相違点2について検討する。
引用例1には、前記永久磁石、中間部軟磁性体6A及び端部軟磁性体6B,6Cを、ホルダ24内に収納するのではなく、接着材で相互に一体化する技術が記載されている(前記「第2[理由]2.2-2(2)ア(イ)」参照)。さらに、引用例1には、一の実施例にかかる構成を他の実施例に適用する示唆もあるといえるから(例えば、「その他の構成は前述の第1実施例と同じである。」(段落0027)、「その他の構成は前述の第2実施例と同じである。」(段落0029)参照)、引用発明において、前記永久磁石、中間部軟磁性体6A及び端部軟磁性体6B,6Cを、ホルダ24内に収納するのではなく、接着材で相互に一体化するようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。そして、前記永久磁石、中間部軟磁性体6A及び端部軟磁性体6B,6Cを、ホルダ24内に収納するのではなく、接着材で相互に一体化するようにすれば、前記永久磁石と前記コイルは、おのずと,ホルダ24を介してではなく、直接対向し、両者の間の空隙は滑動空隙によって構成されることとなる。
してみれば、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明を特定する事項を備えるようにすることは、引用例1に記載された技術に基いて、当業者が容易に想到し得る事項である。
ウ.相違点3について検討する。
a.引用例2に記載された技術の「磁石(15)」は、本件補正発明の「磁石」に相当するから、引用例2に記載された技術の「同一の極が対向する一対の磁石(15)」は、本件補正発明の「隣り合う2つの磁石(15、105)の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石」に相当する。引用例2に記載された技術の「磁石組立体」は、その機能からみて、本件補正発明の「第1要素」に相当し、引用例2に記載された技術において、前記磁石組立体は、軸線方向に可動であるから、引用例2に記載された技術の「軸線方向」は、本件補正発明の「第1要素の滑動方向(X2)」に相当する。そうすると、引用例2に記載された技術の「磁極片(14)をサンドイッチし、同一の極が対向する一対の磁石(15)からなり、一対の磁石(15)が軸線方向に沿って整列している磁石組立体」は、本件補正発明の「隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石を備える、第1要素であって、前記永久磁石は第1要素の滑動方向に沿って整列される第1要素」に相当する。
b.引用例2に記載された技術の「コイル(13)」は、本件補正発明の「磁力発生器」及び「導電線コイル」に相当し、ストランドを有していることも明らかである。引用例2に記載された技術がコイル(13)に通電してコイル(13)と前記磁石組立体とを相対的に軸線方向に移動させるものであることは明らかであるから、コイル(13)は、前記磁石組立体に電磁的影響を持っているといえる。そして、引用例2に記載された技術の「前記磁石組立体は、前記モータコイル組立体に対して軸線方向に可動であり、」モータコイル組立体は、「その内に磁石組立体が同心状に配置され」ていることは、本件補正発明の「その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する」ことに相当する。そうすると、引用例2に記載された技術の「モータコイル組立体」は、本件補正発明の「第2要素」に相当し、引用例2に記載された技術の「その内に磁石組立体が同心状に配置され、円筒形コイルフォーマ(18)と、円筒形フォーマ(18)の内面に固定されるコイル(13)と、を備えるモータコイル組立体」「を備え、前記磁石組立体は、前記モータコイル組立体に対して軸線方向に可動であ」ることは、本件補正発明の「その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、滑動方向に直角に延びかつ前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素」「を備え」ることと、「その中で第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素を備える」点で一致する。
c.引用例2に記載された技術の、「コイル(13)に通電されていない状態」における前記磁石組立体の位置は、本件補正発明の「平衡位置」に相当し、引用例2に記載された技術は、追従サスペンション部材(19,59)が前記磁石組立体のコイル(13)に対する軸線方向の動きを規制しており、追従サスペンション部材(19,59)がコイル(13)に通電されていない状態における前記磁石組立体の位置に向かう方向へ前記磁石組立体を付勢していることは明らかであって、「コイル(13)に通電されていない状態では、前記磁石組立体は、磁極片(14)の軸線方向の位置がコイル(13)の軸線方向の中央部の位置と略一致する位置にあ」るから、引用例2に記載された技術の「前記磁石組立体のコイル(13)に対する軸線方向の動きを規制する、ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)」は、本件補正発明の「前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する手段であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面が、対面する磁力発生器の、前記滑動方向に対して直角に延びる中心平面と一致する、復帰及び案内手段」と、少なくとも「第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ第1要素を復帰及び案内する、復帰及び案内手段」である点において一致する。
d.引用例2、特に図4及び6の記載からみて、引用例2に記載された技術において、円筒形コイルフォーマ(18)は、前記モータコイル組立体の軸線端部を規定しているから、「円筒形コイルフォーマ(18)の軸線端部」は、本願発明の「第2要素」の(第1要素の)滑動方向端部に相当する。
e.引用例2に記載された技術の「ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)」は、本件補正発明の「弾性隔膜」にも相当する。
引用例2に記載された技術において、「周縁部近くの環状波形部分(136)」は、本件補正発明の「半円環形」に相当し、円筒形コイルフォーマ(18)の軸線方向の縁部に固定される周縁部を含む、ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)の環状波形部分(136)より周縁側の部分は、本件補正発明の「外部ビード」に相当し、磁石(15)の外側面が固定されている中央部分を含む、ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)の環状波形部分(136)より中央側の部分は、本件補正発明の「内側ビード」に相当する。そして、先に検討したとおり、ラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)は、本件補正発明の「前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する手段」に相当するから、引用例2に記載された技術の「追従サスペンション部材(59)は、周縁部近くの環状波形部分(136)が形成され、周縁部が円筒形コイルフォーマ(18)の軸線方向の縁部に固定され、中央部分に磁石(15)の外側面が結合されている」ことは、本件補正発明の「少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される」ことと、少なくとも「少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、永久磁石と直接又は間接的に結合される一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が第1要素を平衡位置において戻しばねを形成するよう、第2要素の肩部に固定される」点で一致する。
f.引用例2に記載された技術の「トランスジューサ」は、本件補正発明の「小型線形振動触覚アクチュエータ」と、少なくとも「振動アクチュエータ」である点で一致する。
g.以上を踏まえると、引用例2に記載された技術は、
「-隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石を備える、第1要素であって、前記永久磁石は第1要素の滑動方向に沿って整列される第1要素と、
-その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素と、
-前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する、復帰及び案内手段と、
を備える、振動アクチュエータにおいて
前記復帰及び案内手段として、
前記第1要素と前記第2要素の前記滑動方向端部を閉鎖する各端部キャップ(119)の内面とに固定されている、ラバー状材料の対向した追従サスペション部材(19)と、
弾性隔膜であって、少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり、前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石に直接又は間接的に結合される一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に固定される、弾性隔膜と、を選択的に用い得る。」ということを示唆するものであるといえる。
h.引用発明と引用例2に記載された技術は、少なくとも「-隣り合う2つの磁石の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石を備える、第1要素であって、前記永久磁石は第1要素の滑動方向に沿って整列される第1要素と、-その中で前記第1要素が滑動方向へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞を形成する第2要素であって、磁力発生器を形成するために、前記第1要素に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイルを備える第2要素と、-前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する、復帰及び案内手段と、を備える、振動アクチュエータ」に係るものである点において、技術分野を一にするものであり、引用発明の圧縮ばね29と引用例2に記載された技術の追従サスペンション部材(19)及び追従サスペンション部材(59)は、いずれも、本件補正発明の、前記第2要素内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素を復帰及び案内する手段に相当するものである。更に、引用発明の「支持板28」と引用例2に記載された技術の「端部キャップ(119)」は、第2要素の(第1要素の)滑動方向端部を閉鎖する部材である点で一致するから、引用発明の「端部軟磁性体6B,6Cと支持板28の内面間に」「配設され」ている「圧縮ばね29」と引用例2に記載された技術の「前記磁石組立体と円筒形コイルフォーマ(18)の軸線端部を閉鎖する各端部キャップ(119)の内面とに固定されている、ラバー状材料の対向した追従サスペション部材(19)」は、「第1要素と第2要素の(第1要素の)滑動方向端部を閉鎖する部材の内面間に配設されている付勢及び案内手段」である点で一致している。そうすると、引用例2に記載された技術を引用発明に適用し、引用発明において、圧縮ばね29に代えて、前記復帰及び案内する手段を、その一部を半円環形であり、該半円環形の部分が内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれている弾性隔膜とし、前記内部ビードを永久磁石に直接又は間接的に結合する一方、前記外部ビードを、該弾性隔膜が第1要素を平衡位置において戻しばねを形成するよう、第2要素に固定することは、当業者が容易になし得る事項である。
更に、引用発明の「ピン25A」は、本件補正発明の「前記永久磁石を維持するロッド」に相当し、弾性隔膜の内部ビードをロッドの端部に形成された溝に係合することにより、該ロッドが形成された部材に前記弾性隔膜を結合すること、及び弾性隔膜の外部ビードを肩部に押圧することにより、該肩部が形成された部材に前記弾性隔膜を結合することは、周知であるから(例えば引用例6~8参照)、引用例2に記載された技術を引用発明に適用するにあたり、前記永久磁石を維持するロッドに溝を形成し、該溝に弾性隔膜の内部ビードを係合するとともに、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素に肩部を形成し、該肩部に弾性隔膜の外側ビードを押圧することは、当業者が通常発揮する創作能力の範囲内のものである。
してみれば、引用発明において、相違点3に係る本件補正発明を特定する事項を備えるようにすることは、引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得る事項である。
エ.そして、本件補正発明を特定する事項を総合してみても、本件補正発明の奏する効果に、引用例1及び引用例2に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得る範囲を越えるものは見いだせない。
なお、請求人は、平成30年8月6日付けの意見書において、「本願発明は、「少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であり」、「前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される」という特徴を備えています。
従来は段落[0029]に記載するよう、戻し隔膜は、所定の厚みを持つように隔膜を製造するか又は特殊な材料を使用しなければならず、大きな振幅を有する線形移動の場合、歪みを引き起こす可能性がありました。本願発明1では、上記特徴を有することで、例えば段落[0030]に記載するよう、所望の剛性を得ることができ、大きな軸方向の変形能力により、実質的に減少した歪みにより大きな規模の線形移動が可能となります。」(「III.本願発明の特徴と引用文献との相違」参照)と主張している。
しかしながら、本件明細書、特に請求人が引用する段落0029及び0030の記載を参照するに、請求人が主張する「所望の剛性を得ることができ、大きな軸方向の変形能力により、実質的に減少した歪みにより大きな規模の線形移動が可能となります」との効果は、弾性隔膜が、その一部が半円環形であり、かつエラストマー材料から構成されていることにより奏されるものであって、その一部が半円環形であり、かつエラストマー材料から構成されている点において、引用例2に記載された技術のラバー等のディスク状の追従サスペンション部材(59)も異なるところはない。
したがって、請求人が主張する前記効果も引用例1及び引用例2に記載された事項並びに前記周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得る範囲を越えるものではない。
(5)小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明並びに引用例1及び引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年12月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
-隣り合う2つの磁石(15、105)の隣り合う2つの面が同一の極性を持つように整列された永久磁石(15、105)を備える、第1要素(14、104)であって、前記永久磁石(15、105)は第1要素の滑動方向(X2)に沿って整列される第1要素(14、104)と、
-その中で前記第1要素が滑動方向(X2)へ滑動するために遊びを持って前記第1要素が導入される空洞(12、102)を形成する第2要素(11、101)であって、磁力発生器(13、111)を形成するために、滑動方向(X2)に直角に延びかつ前記第1要素(14、104)に電磁的影響を持つ状態で配置された、ストランドを有する導電線コイル(13、103)を備える第2要素と、
-前記第2要素(11、101)内で平衡位置へ向かう方向へ前記第1要素(14、104)を復帰及び案内する手段(25、41、125)であって、前記平衡位置において、隣り合う2つの磁石の間の中心平面(P2)が、対面する磁力発生器(111)の中心平面(P1)と一致する、復帰及び案内手段と、
を備え、
前記復帰及び案内する手段(25、41、125)が弾性隔膜であり、
前記コイルと前記永久磁石の間の空隙が滑動空隙によって構成されるように、前記コイルが前記永久磁石に直接対向していて、
少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜の断面の一部が半円形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が2つの半円形断面のローブを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が互いに同心の輪状ひだを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が透かし加工される、
小型線形振動触覚アクチュエータ。」
2.拒絶の理由
当審拒絶理由2の理由Aの概要は、次のとおりである。
A.本件出願の請求項1~8に係る発明は、その優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献3ないし6に記載された技術に基いて、また下記の引用文献2に記載された発明及び引用文献1、3ないし6に記載された技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開平6-315255号公報 (本審決における「引用例1」)
引用文献2.特開平11-197601号公報
引用文献3.特表平11-512262号公報 (本審決における「引用例2」)
引用文献4.特開2006-296127号公報
引用文献5.特開平11-164543号公報
引用文献6.特開2009-90482号公報
引用文献7.特開平11-355994号公報(周知引例として)
引用文献8.特開2005-348461号公報 (周知引例として)
(本審決における「引用例3」)
引用文献9.特開2008-148406号公報 (周知引例として)
(本審決における「引用例4」)
引用文献10.特開2008-182867号公報(周知引例として)
(本審決における「引用例5」)
3.引用文献
当審拒絶理由通知2で引用された引用文献1,3,8~10、すなわち引用例1~5の記載事項は、前記「第2[理由]2.2-2(2)」に記載したとおりである。
4.対比・判断
前記のとおり却下された本件補正による、本件補正前の請求項1に記載された「対面する磁力発生器(111)の中心平面(P1)」という事項を「対面する磁力発生器(111)の、前記滑動方向(X2)に対して直角に延びる中心平面(P1)」に変更する補正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものではあるが、本願発明は、前記「前記「第2[理由]2.2-2」で検討した本件補正発明から、「対面する磁力発生器(111)の中心平面(P1)」に係る限定事項である「前記滑動方向(X2)に対して直角に延びる」を削除し、「少なくとも1つの弾性隔膜」に係る限定事項である「前記弾性隔膜の半円環形の部分が、内部ビード及び外部ビードによって取り囲まれていて、前記内部ビードは、前記永久磁石を維持するロッドの端部に形成された溝に係合する一方、前記外部ビードは、前記弾性隔膜が前記第1要素を前記平衡位置において戻しばねを形成するよう、前記第2要素の肩部に押圧される」を削除し、更に「少なくとも1つの弾性隔膜」について、少なくとも1つの弾性隔膜の一部が半円環形であるもの以外に、「少なくとも1つの弾性隔膜の断面の一部が半円形であるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が2つの半円形断面のローブを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が互いに同心の輪状ひだを備えるか、または、少なくとも1つの弾性隔膜が透かし加工される」ものであっても、これをも包含するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2[理由]2.2-2(3)~(5)」に記載したとおり、引用発明並びに引用例1及び2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明並びに引用例1及び2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-011221