特許拒絶査定不服審判
2019-008672
受信装置および受信方法
- 審判番号
- 2019-008672
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-505150外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年06月28日
- 審決日
- 2020年11月10日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-505150「受信装置および受信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月 3日国際公開、WO2015/129496、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1.手続きの経緯
本願は、2015年(平成27年)2月16日(優先権主張 平成26年2月26日)を国際出願日とする出願であって、平成30年8月1日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年10月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成31年3月25日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和元年6月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、令和2年7月20日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和2年9月15日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2.原査定の概要
原査定(平成31年3月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1-13に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2013-135454号公報
B.特開2010-014979号公報
C.特開2010-130664号公報
第3.当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1-3、5及び6に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2010-130664号公報(拒絶査定時の引用文献C)
第4.本願発明
本願の請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和2年9月15日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-5は以下のとおりの発明である(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
外部機器からコンテンツデータを受信するためのデジタルインタフェース受信部と、
リンクモードを選択的に設定するリンクモード設定部と、
上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致するとき、該一致したリンクモードに応じた内容で、上記デジタルインタフェース受信部におけるリンク設定を行うリンク設定部と、
上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および上記外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするためのユーザインタフェース画面を表示するように制御する表示制御部を備え、
上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる
受信装置。
【請求項2】
上記リンク設定部は、上記一致したリンクモードに応じたリンク内容を上記外部機器から受け取る
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
上記リンクモード設定部でリンクモードの設定を行うためのユーザインタフェース画面の表示を制御する表示制御部をさらに備える
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
上記デジタルインタフェースは、MHL(Mobile High-definition Link)規格のインタフェースである
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
外部機器からコンテンツデータを受信するためのデジタルインタフェース受信ステップと、
リンクモードを選択的に設定するリンクモード設定ステップと、
上記リンクモード設定ステップで設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致するとき、該一致したリンクモードに応じた内容で、上記デジタルインタフェース受信ステップにおけるリンク設定を行うリンク設定ステップと、
上記リンクモード設定ステップで設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および上記外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするためのユーザインタフェース画面を表示するように制御する表示制御ステップを有し、
上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる
受信方法。」
第5.引用文献、引用発明等
1.引用文献1の記載事項について
令和2年7月20日付けの当審による拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0010】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る実施形態1のデータ転送システムを構成するSource側とSink側の各構成を示すブロック図である。図1において、HDMI機器101はデジタルインターフェースを介してデータを送信するSource側であり、例えばデジタルスチルカメラなどが適用される。デジタルインターフェースとしては、デジタル映像信号をTMDSにより差動伝送するHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブル105などが適用される。HDMI送信処理部102は、コマンド、ファイル付加情報、誤り(エラー)検出符号、誤り訂正符号等の「データフレーム」への埋め込み処理を行う。
【0011】
ファイル分割処理部103は転送ファイルのデータフレーム数が複数(2以上)の場合に、ファイルを分割する処理を行う。記録媒体104はメモリカードなどであり、HDMI機器101で撮影された画像ファイルなどが保存されている。映像出力機器106はHDMIケーブル105を介してデータを受信するSink側であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)のようなストレージ機能を持つデジタルテレビジョン受像機などが適用される。
【0012】
HDMI受信処理部107は、HDMI機器101からHDMIケーブル105を介して転送されるデータの受信処理、誤り検出処理または誤り訂正処理などを行う。ファイル結合処理部108は、分割されて転送されるファイルデータを結合する処理を行う。表示部110は、HDMI機器101から受信したビデオ信号に基づく映像を画面に表示する。メモリ部111は、HDMI機器101から受信した映像信号や画像ファイルを記録する。制御部112は、ビデオ転送モードやファイル転送モードへの切り替えや表示部110への表示処理、メモリ部111への記録処理を行う。HDD109はHDMI機器101から転送されたファイルを保存するためのストレージである。
【0013】
図2は、実施形態1のデータ転送処理を示すフローチャートである。図2において、S201にて、ユーザがHDMI機器101もしくは映像出力機器106において、「ファイル転送モード」もしくは「ビデオ転送モード」の選択を行う。S202にて、「ビデオ転送モード」が選択された場合は、画像のスライドショー再生や動画再生などを行うビデオ転送モード(S203)へ移行する。「ファイル転送モード」が選択された場合は、S204にて転送するファイルの選択を行い、S205では転送するファイルをデータフレームにする際のビデオフォーマットが決定される。ここで、ビデオフォーマットの決定方法は、以下の3つが考えられる。
・DDC(VESA Display Data Channel)ラインから取得したディスプレイ情報(解像度)から決定する。特別な処理やコマンド等を加えることなく、映像転送のときと同じように実行することができる。
・ユーザが選択して決定する。ファイルサイズ、伝送負荷などを考慮してフォーマットを選択できる。
・ファイル転送モードでは特定のフォーマットに固定する。例えば1920×1080に固定することで、受信側にファイルを高速転送することができる。
【0014】
S206では、HDMI機器101にて、転送ファイルのデータフレーム数の算出処理を行う。ここでは、S205で決定されたビデオフォーマットよりデータフレーム数の算出を行う。S207でデータフレーム数が2以上の場合は、ファイル分割処理部103にて、転送するファイルを分割する処理を行う(S208)。S209では、HDMI送信処理部102にて、データフレーム数、コマンドなどをブランキング期間に埋め込み、S210でファイル転送を開始する(S210)。」
「【0050】
[実施形態6]
次に、実施形態6について説明する。上述したように、通常はHDMIライン経由で転送されるデータは映像信号や音声信号である。これに対して、Source側でファイルを所定フォーマットで分割してTMDSラインから送信し、Sink側でフレームを結合することで、HDMIケーブルを使用したファイル転送を実現できる。
【0051】
このような拡張機能に対応したHDMI端子を持つ機器は、TMDSラインのデータを映像ストリームとして処理する「ビデオ転送モード」と、ファイルとして処理する「ファイル転送モード」という2つのデータ転送モードを備えている。従来、このように2つの転送モードを有する機器として、撮影画像をそのまま記録装置に転送するリアルタイム転送モードと、画像ファイルを生成してからそのファイルを転送するファイル転送モードとを備える撮影装置がある。これによれば、記録装置から撮影装置の転送モードの変更操作が可能である(例えば、特開2004-336105号公報)。
【0052】
本実施形態では、上記のような拡張機能に対応したHDMI端子を持つデジタルテレビジョン受像機(Sink側)とデジタルスチルカメラ(Source側)とがHDMIケーブルを介して接続された場合を想定する。まず、通常のHDMIと同様に、静止画のスライドショー再生や動画の視聴が可能であり、この場合はSink側もSource側も「ビデオ転送モード」である。ここで、ファイル転送をしたい場合、Source側は転送したいファイルを所定フォーマットでフレーム分割してTMDSラインに送出する。この転送準備が整っている状態が「ファイル転送モード」である。
【0053】
また、Sink側は、TMDSラインから転送されるデータを上記所定フォーマットに従ったファイルとして受信する必要があり、この準備が整っている状態、つまり「ファイル転送モード」になっていなければならない。よって、ファイル転送を行いたい場合は、Sink側とSource側の両方を予めファイル転送モードに切り替えておく必要がある。また、再び映像を転送する場合は、両方をビデオ転送モードに切り替える必要がある。このように、わざわざ両機器の転送モードを切り替える操作は非常に面倒であり、現実的ではなく、両機器の転送モードが連動して切り替わるような構成が望ましい。
【0054】
上記特開2004-336105号公報に記載の技術では、記録装置から撮影装置の転送モードを変更することができるが、記録装置側には転送モードという設定はなく、上述した課題を解決できない。そこで、本実施形態は、Source側とSink側の間で転送モード情報をやり取りし、両機器間で転送モードが連動するように設定することにより、ユーザの利便性の向上を図るものである。なお、HDMIケーブルを使用したファイル転送方法については、実施形態1の図2~図5と同様である。
【0055】
図17は、実施形態6のデータ転送システムを構成するSource側とSink側の各構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付して示している。以下では、Sink側をデジタルテレビジョン受像機(以下、テレビ)、Source側をデジタルスチルカメラ(以下、カメラ)として説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
まず、図17において、テレビ106のHDMIコマンド処理部1701は、CECラインを介してカメラ101と双方向通信が可能であり、デジタルカメラ101との間でCECラインを介して制御信号(コマンド)の送受信処理を行う。制御部112は、ビデオ転送モードとファイル転送モードのそれぞれに合わせた表示部110の表示制御や転送モード切り替え時の映像ミュートなどの処理を行う。
【0057】
メモリ部111には、現在の転送モードを示す情報が記憶され、初期状態ではビデオ転送モードとなっている。初期状態とはユーザがリモコン等を操作して入力が切り替えられた直後の状態を示す。カメラ101のHDMIコマンド処理部1702は、CECラインを介してテレビ106などの外部機器と双方向通信が可能であり、テレビ106との間でCECラインを介して制御信号(コマンド)の送受信処理を行う。
【0058】
ファイル分割処理部103は、ファイル転送モードにおいて転送ファイルを所定フォーマットでフレーム分割する処理を行う。制御部1703は、転送モードの切り替え処理を行う。記録媒体104には、現在の転送モードを示す情報が記憶され、電源投入直後は映像信号転送モードとなっている。
【0059】
次に、上記テレビ106とカメラ101とを接続し、接続が確立されて転送が開始されるまでの処理について図18A~18Dのフローチャートを参照して説明する。図18Aにおいて、テレビとカメラをHDMIケーブルで接続し、両機器の電源をオンする(S1801a、S1808a)。
【0060】
次に、テレビのリモコンを操作して映像入力に切り替えられると(S1802a、S1803a)、両機器でケーブル接続が検出される(S1805a、S1810a)。続いて、テレビのHDMIコマンド処理部1701からカメラ側へCECライン経由で転送モード情報要求コマンドが発行される(S1806a)。
【0061】
転送モード情報要求コマンドを受信したカメラは、記録媒体104に記憶された自己の転送モード情報をHDMIコマンド処理部1702からCECライン経由でテレビへ送信する(S1811a)。カメラから転送モード情報を受信したテレビは、メモリ部111に記憶された自己の転送モード情報と比較し(S1807a)、両転送モードが一致している場合、転送準備完了となる。図18Aのフローでは、転送準備完了後にビデオデータの転送が開始される。
【0062】
図18Aの場合、テレビとカメラが共にビデオ転送モードの状態で接続検出が行われるため、S1807aでの転送モード比較処理の結果は一致する。これに対して、テレビとカメラが異なる転送モードの状態で接続検出が行われた場合のフローを図18B~18Dに示している。
【0063】
図18Bでは、カメラ側がファイル転送モードであるので(S1814b)、テレビ側での転送モード比較処理の結果が不一致となる(S1807b、S1812b)。このため、テレビ側はCECラインを介してカメラ側に転送モード設定コマンドを送信し(S1813b)、カメラ側ではテレビ側の転送モードに合わせてビデオ転送モードに切り替える(S1815b)。
【0064】
図18Cでは、カメラ側がファイル転送モードであるので(S1814c)、テレビ側での転送モード比較処理の結果が不一致となる(S1807b、S1812b)。このため、テレビ側はカメラ側の転送モードに合わせてファイル転送モードに切り替える(S1816c)。
【0065】
図18Dでは、カメラ側がファイル転送モードであるので(S1814d)、テレビ側での転送モード比較処理の結果が不一致となる(S1807d、S1812d)。このため、テレビ側では、比較の結果として「転送モードが一致しません。転送モードを設定してください。」とのメッセージを通知し、ユーザによる転送モードの設定操作を促す(S1817d)。
【0066】
そして、ユーザにより設定された転送モード情報がカメラ側に送信される(S1818d)。カメラ側では、テレビ側で設定された転送モードに切り替える(S1819d)。
尚、本例では、テレビ側で「転送モード情報要求」や「転送モード比較」の各処理を行ったが、カメラ側で行う構成としてもよい。」
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「データ転送システムを構成するSource側とSink側の各構成として、
HDMI機器101はデジタルインターフェースを介してデータを送信するSource側であり、例えばデジタルスチルカメラなどが適用され、デジタルインターフェースとしては、デジタル映像信号をTMDSにより差動伝送するHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブル105などが適用され、記録媒体104はメモリカードなどであり、HDMI機器101で撮影された画像ファイルなどが保存され、([0010]-[0011])
映像出力機器106はHDMIケーブル105を介してデータを受信するSink側であり、例えばデジタルテレビジョン受像機などが適用され、([0011])
HDMI受信処理部107は、HDMI機器101からHDMIケーブル105を介して転送されるデータの受信処理、誤り検出処理または誤り訂正処理などを行い、表示部110は、HDMI機器101から受信したビデオ信号に基づく映像を画面に表示し、メモリ部111は、HDMI機器101から受信した映像信号や画像ファイルを記録し、制御部112は、ビデオ転送モードやファイル転送モードへの切り替えや表示部110への表示処理、メモリ部111への記録処理を行い、([0012])
ユーザがHDMI機器101もしくは映像出力機器106において、「ファイル転送モード」もしくは「ビデオ転送モード」の選択を行い、「ビデオ転送モード」が選択された場合は、画像のスライドショー再生や動画再生などを行うビデオ転送モードへ移行し、「ファイル転送モード」が選択された場合は、転送するファイルの選択を行い、([0013])
通常はHDMIライン経由で転送されるデータは映像信号や音声信号であり、これに対して、Source側でファイルを所定フォーマットで分割してTMDSラインから送信し、Sink側でフレームを結合することで、HDMIケーブルを使用したファイル転送を実現でき、([0050])
HDMI端子を持つ機器は、TMDSラインのデータを映像ストリームとして処理する「ビデオ転送モード」と、ファイルとして処理する「ファイル転送モード」という2つのデータ転送モードを備えており、([0051])
通常のHDMIと同様に、静止画のスライドショー再生や動画の視聴が可能であり、この場合はSink側もSource側も「ビデオ転送モード」であり、ファイル転送をしたい場合、Source側は転送したいファイルを所定フォーマットでフレーム分割してTMDSラインに送出し、この転送準備が整っている状態が「ファイル転送モード」であり、([0052])
Source側とSink側の間で転送モード情報をやり取りし、両機器間で転送モードが連動するように設定することにより、ユーザの利便性の向上を図るものであり、([0054])
データ転送システムを構成するSource側とSink側の各構成として、Sink側をデジタルテレビジョン受像機(以下、テレビ)、Source側をデジタルスチルカメラ(以下、カメラ)とし、([0055])
メモリ部111には、現在の転送モードを示す情報が記憶され、記録媒体104には、現在の転送モードを示す情報が記憶され、([0057]-[0058])
上記テレビ106とカメラ101とを接続し、接続が確立されて転送が開始されるまでの処理について、([0059])
両機器でケーブル接続が検出され、テレビのHDMIコマンド処理部1701からカメラ側へCECライン経由で転送モード情報要求コマンドが発行され、転送モード情報要求コマンドを受信したカメラは、記録媒体104に記憶された自己の転送モード情報をHDMIコマンド処理部1702からCECライン経由でテレビへ送信し、カメラから転送モード情報を受信したテレビは、メモリ部111に記憶された自己の転送モード情報と比較し、両転送モードが一致している場合、転送準備完了となり、([0060]-[0061])
これに対して、テレビとカメラが異なる転送モードの状態で接続検出が行われた場合、([0062])テレビ側では、比較の結果として「転送モードが一致しません。転送モードを設定してください。」とのメッセージを通知し、ユーザによる転送モードの設定操作を促し、([0065])
ユーザにより設定された転送モード情報がカメラ側に送信され、カメラ側では、テレビ側で設定された転送モードに切り替え、尚、テレビ側で「転送モード情報要求」や「転送モード比較」の各処理を行ったが、カメラ側で行う構成としてもよい、([0066])
データ転送システム。」
2.引用文献Aの記載事項について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0034】
図2は、図1A及び図1Bに示した双方向通信インタフェースにより相互に接続する録画再生装置(ソース機器/第一の電子機器)と映像表示装置(シンク機器/第二の電子機器)との間の映像および音声の出力方法の一例を示す。
【0035】
第一および第二の電子機器すなわちソース機器とシンク機器は、製造時期や、基本的な設計の世代(要素部品のスペック)等に応じて、様々な特性(相違)を持つ。このため、シンク機器のデコーダの処理能力に比較してソース機器のデコーダの処理能力が高い場合やデコーダの処理能力が高いが消費電力も多い場合、等において、消費電力の少ない機器を選択したい、等のユーザが選択できるいくつかの組み合わせに関連するトレードオフが伴う場合がある。
【0036】
すなわち、双方向通信インタフェース(HDMI)301によりソース機器101とシンク機器201とを接続した場合、ソース機器101とシンク機器201のそれぞれが有する要素(構成)、例えばデコーダ、映像処理部および音声処理部、等については、例えば消費電力が最小となる、あるいは音質を優先する、もしくは画質を優先する、というような組み合わせが、自動的に(あるいはユーザ設定により)設定(選択)できることが好ましい。なお、以下に説明する例では、トレードオフを伴う要素として、デコーダ(ソース機器側の113、シンク機器側の213)、映像処理部(ソース機器側の114、シンク機器側の214)及び音声処理部(ソース機器側の115、シンク機器側の215)を、代表させて説明する。従って、より多くの要素についての判断を加えることも可能である。また、要素の製造上の形態に変遷等により、上述の要素が1つにまとめられる場合や、4以上の複数の要素に分離される場合のあることはいうまでもない。
【0037】
例えば、ソース機器101とシンク機器201のそれぞれの初期設定が、省電力(消費電力が最小となる)設定である場合、図2を参照して以下に説明するように、HDMI301により接続されるソース機器101とシンク機器201のそれぞれの消費電力を比較して、より消費電力が少ない機器を(自動的に)選択することができる。」
「【0044】
以下、ソース機器101側において、ソース機器101の記録部112が保持するコンテンツ(ファイル)をデコードした映像データ及び音声データを、ソース機器101側での映像処理部114及び音声処理部115において再生処理した映像信号および音声信号をHDMI301によりシンク機器201に供給する「ベースバンド(HDMI)伝送」を『伝送A』、ソース機器101の記録部112が保持するコンテンツ(ファイル)をそのままHDMI301によりシンク機器201に供給し、シンク機器201のデコーダ213によりデコードした映像データおよび音声データを、それぞれ映像処理部214及び音声処理部215において再生処理する「イーサネット伝送」を『伝送B』と、呼称する。
【0045】
なお、以下に説明するトレードオフが存在することに起因して、映像についてはベースバンド(HDMI)伝送し、音声についてはイーサネット伝送する『伝送C』と、音声をベースバンド伝送し、映像をイーサネット伝送する『伝送D』が存在する。」
「【0047】
トレードオフが存在しない場合[102-NO]、ソース機器101の機能がシンク機器201の機能よりも高い(ソース機器101がシンク機器201より優れている)ことをチェックする[111]。
【0048】
ソース機器101の機能がシンク機器201の機能よりも高い(ソース機器101がシンク機器201より優れている)場合[111-YES]、映像・音声の伝送に、『伝送A』が採用(設定)される[112]。従い、シンク機器201の機能がソース機器101の機能よりも高い場合[111-NO]、映像・音声の伝送に、『伝送B』が採用(設定)される[113]。」
「【0049】
トレードオフが存在する場合[102-YES]、図4により後段に一例を示す「ユーザ選択画面」表示401を、シンク機器201のモニタ部217に表示させ、ユーザに「消費電力の少ない機器の組み合わせ」の選択が可能な、例えば『電力優先』表示411及び「画質(映像品質)及び音質(オーディオ品位)」を優先する選択が可能な、例えば『画質・音質優先』表示412のいずれかに対応する制御入力の入力を促す[103]。
【0050】
消費電力の少ない組み合わせを適用する『電力優先』が(ユーザにより)指示された場合[104-YES]、消費電力について、ソース機器101がシンク機器201に比較して少ない(ソース機器101がシンク機器201より優れている)ことをチェックする[121]。
【0051】
ソース機器101の消費電力がシンク機器201の消費電力よりも少ない場合[121-YES]、映像・音声の伝送に、『伝送A』が採用(設定)される[122]。従い、ソース機器101の消費電力がシンク機器201の消費電力よりも多い場合[121-NO]、映像・音声の伝送に、『伝送B』が採用(設定)される[123]。」
したがって、上記引用文献Aには、双方向通信インタフェースにより相互に接続するソース機器101とシンク機器201との間の映像および音声の出力方法において、ソース機器101側とシンク機器201側のどちら側でデコード等の信号処理を行うかについて、「消費電力」と、「画質・音質」の機能との間にトレードオフを伴うか判断し、トレードオフを伴わない場合、「画質・音質」の処理が高機能の側で信号処理するための伝送方式(伝送A、又は伝送B)を設定して信号を伝送し、トレードオフを伴う場合、シンク機器201側において、「電力優先」、又は「画質・音質優先」を選択し、ソース機器101とシンク機器201を、該選択した方に合わせた信号処理をするための両機器間の伝送方式(伝送A、伝送B、伝送C、又は伝送D)を設定して、信号を伝送する技術的事項が記載されている。
3.引用文献Bの記載事項について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0056】
図4は、アスペクト比の設定変更に係る制御部10、30の処理手順を示すフローチャート、図5は、アスペクト比の設定変更手順を示す説明図、図6は、アスペクト比設定の正誤を概念的に示す説明図である。以下では、表示装置1のアスペクト比が16対9にも拘わらず、映像出力装置3側の設定が4対3になっている場合であって、図6(a)に示すようにスコープサイズのレターボックス映像が出力される場合を説明する。スコープサイズのアスペクト比は1対2.35であり、上下に黒帯部分が付加されて、16対9の映像が構成される。映像出力装置3は、出力する映像のアスペクト比が4対3に設定されている。従って、映像出力装置3は、16対9の前記映像に対して更に黒帯部分を付加した4対3のレターボックス映像に変換し、該レターボックス映像の映像信号を表示装置1へ出力する。表示装置1は、4対3の映像信号を受信した場合、例えば4対3の映像を横伸ばして16対9の映像に変換し、図5(a)に示すような映像を表示部16に表示する。」
「【0060】
黒帯部分の面積が所定値より大きいと判定した場合(ステップS33:YES)、例えば図5(a)に示すように、レターボックスの黒帯部分の面積が0.25に対して0.44と明らかに大きな値である場合、制御部10は、図5(b)に示すように、最良の設定では無い旨を表示部16に表示し(ステップS34)、設定の変更を受け付ける。」
「【図5】
」
したがって、上記引用文献Bには、映像出力装置3と表示装置1のアスペクト比が異なっている場合、表示装置1によりアスペクト比の設定が間違っている旨を表示し、設定の変更を受け付ける技術的事項が記載されている。
第6.対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
上記本願発明1と上記引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明のSource側の「カメラ101」及びSink側の「テレビ106」は、HDMIケーブル105を介してデジタル映像信号を前者から後者へ転送する機器であるから、それぞれ、本願発明1の「外部機器」及び「受信装置」に相当する。また、引用発明の「デジタル映像信号」は、本願発明1の「コンテンツデータ」に相当する。
よって、引用発明の「テレビ106」の「HDMI受信処理部107」は、「カメラ101」から「デジタル映像信号」を受信することから、本願発明1の「外部機器からコンテンツデータを受信するためのデジタルインタフェース受信部」に相当する。
イ.引用発明の「転送モード」は、「ファイル転送モード」もしくは「ビデオ転送モード」のいずれかであって、HDMIケーブル105を介して接続されたSource側のカメラ101とSink側のテレビ106との間で接続(リンク)を確立して転送を開始する際の、デジタル映像信号を転送する信号の転送モードを意味することから、本願発明1の「リンクモード」に相当する。
そして、引用発明のカメラ101とテレビ106の両機器それぞれは、信号の転送モードとして、「ファイル転送モード」もしくは「ビデオ転送モード」の設定が可能であり、テレビ106においては、「HDMIコマンド処理部1701」及び「制御部112」により転送モードを設定しているから、これらは、本願発明1における、「リンクモードを選択的に設定するリンクモード設定部」の機能を備えているといえる。
ウ.引用発明において、テレビ106はカメラ101と転送モードが一致している場合、「HDMIコマンド処理部1701」及び「制御部112」は、当該一致したモードに応じたTMDSラインの転送準備を完了することから、本願発明1における「上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致するとき、該一致したリンクモードに応じた内容で、上記デジタルインタフェース受信部におけるリンク設定を行うリンク設定部」の機能を備えているといえる。
エ.カメラ101とテレビ106の転送モードが不一致の場合、テレビ106側では、「転送モードが一致しません。転送モードを設定してください。」とのメッセージを通知し、ユーザによる転送モードの設定操作を促し、ユーザによりテレビ106側で設定された転送モードがカメラ101側に送信され、カメラ101側ではテレビ106側で設定された転送モードに切り替え、尚、テレビ側で「転送モード情報要求」や「転送モード比較」の各処理を行ったが、カメラ側で行う構成としてもよいことから、引用発明の「制御部112」は、本願発明1における「上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および上記外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするためのユーザインタフェース画面を表示するように制御する表示制御部」とは、「上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするための制御をする制御部」である点で共通するといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「外部機器からコンテンツデータを受信するためのデジタルインタフェース受信部と、
リンクモードを選択的に設定するリンクモード設定部と、
上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致するとき、該一致したリンクモードに応じた内容で、上記デジタルインタフェース受信部におけるリンク設定を行うリンク設定部と、
上記リンクモード設定部で設定されたリンクモードが上記外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および上記外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするための制御をする制御部を備える
受信装置。」
[相違点]
(相違点1)
受信装置において、リンクモード設定部で設定されたリンクモードが外部機器で設定されたリンクモードと一致しないとき、所定のリンクモードを選択して自機器および外部機器に設定されるリンクモードを該選択されたリンクモードにするための制御をする制御部は、本願発明1では、「ユーザインタフェース画面を表示するように制御する表示制御部」であるのに対し、引用発明では、「転送モードが一致しません。転送モードを設定してください。」とのメッセージを通知し、ユーザによる転送モードの設定操作を促すものであるものの、当該「メッセージの通知」について、引用発明では具体的にどのような手段で「メッセージの通知」をしているのか開示されておらず、本願発明1のように「ユーザインタフェース画面を表示」してなされるように「表示」制御されるとは明記されていない点。
(相違点2)
リンクモードの選択肢には、本願発明1では、「少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる」のに対し、引用発明では、「ビデオ転送モード」あるいは「ファイル転送モード」であって、本願発明1のような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の「上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる」という構成は、上記引用文献1には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-4について
本願発明2-4も、本願発明1の「上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明5について
本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7.原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-5は、「上記リンクモードの選択肢には、少なくとも、機器のパフォーマンスを優先するパフォーマンス優先モード、コンテンツの種類によって設定を変更するコンテンツ優先モード、あるいは機器の消費電力を低く抑える省エネモードのいずれかが含まれる」という構成と同一の構成を備えるものとなったが、当該構成は、上記「第5.2.」で示した原査定における引用文献A、上記「第5.3.」で示した原査定における引用文献B、及び原査定における引用文献C(当審拒絶理由における引用文献1)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8.むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-008672