意匠拒絶査定不服審判
2019-006006
情報端末機
- 審判番号
- 2019-006006
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-019398外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1651467
- 請求日
- 2019年05月08日
- 審決日
- 2019年12月10日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .14 -WY (H7-6)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項、意匠法第2条第2項、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2015- 19398「情報端末機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により本願に係る意匠を3年間秘密にすることを請求した、平成27年(2015年)9月1日の意匠登録出願であって、平成29年(2017年)9月27日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年(2018年)2月6日に意見書が提出されたが、平成31年(2019年)2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和1年(2019年)5月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は本願の願書の記載によれば「情報端末機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由(平成29年9月27日付け拒絶理由通知書)は、本願意匠が、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないとしたものであって、具体的には以下のとおりである。
「意匠とは物品の形態であって視覚を通じて美感を起こさせるものであるところ、物品に表示される画像において、画像が透過性を有するかのように表された部分については、物品の外観として、いわゆる前後のレイヤーの画像が重なって視覚的に認識される画像が意匠となります。このとき、単独のレイヤーの画像は意匠とはなりません。
本願の画像については、意匠の説明欄に「各画像図において一点鎖線で囲んだ部分の画像(色彩のグラデーションによって表される穴の画像部分。各画像図において破線で表したアイコン類の形状は意匠登録を受けようとする部分に含まれない)が意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されており、画像図ないし画像図4において破線でアイコンが表されていますが、グラデーションとアイコンが重なっている領域において、グラデーションのみを「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分」(以下、「請求部分」といいます。)とし、アイコンのみを非請求部分とすることはできません。(グラデーションが表されていない領域については、アイコンは非請求部分であるとみています。)
したがって、本願の請求部分を特定することができず、本願の意匠を特定することができません。
また、意匠の説明欄において、意匠に関して任意に変更する旨の以下の記載があり、本願の意匠を具体的に特定することができません。
・「『穴』の中においては、各種コンテンツを表したり、コンテンツを消去した状態の画像図に示すようにこれらを消去したりと、表示するコンテンツの種類やアイコンの配置を任意に変更することが可能である。」
第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「情報端末機」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「本願意匠に係る物品は、画像を投影するプロジェクターと、当該プロジェクターの投影領域(プロジェクション領域)を捉えるセンサーとを備える機器である。壁、床、テーブルその他の家具類等に画像を投影することによって、各種の情報や、音楽、動画その他の各種のデジタルコンテンツを表示、再生、実行等することができる。ネットワークを介して接続した冷蔵庫、エアコン、オーディオ機器等の各種機器を遠隔的に操作する機能も備えており、家庭用としても業務用としても用いることができる。なお、画像の投影対象であるテーブルや壁の形状は様々であることから、また、プロジェクション領域の範囲や位置の設定(例えばテーブルの端に投影するか中央に投影するか、大きく投影するか小さく投影するか等々の設定)などによっても、本願物品のプロジェクション領域の外縁形状は変化し得る。」
また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。
「実施態様の一例を示す参考図1における引出線1がテーブルや壁などの画像の投影対象を、引出線2が本願物品を、引出線3が本願物品のプロジェクション領域を示している。本願意匠は、主にテーブルに投影されることが想定された画像である。プロジェクション領域中に引出線4で示す画像を表し、その内側に、例えば引出線5aの映像メディア、同bの書籍、同cのウェブサイト、同dのCD、同eの付箋等々のような各種コンテンツを示すアイコン類を表示することによって、あたかもテーブル等に「穴」が開いてその中が露わになったかのような視覚的効果を発揮する。「穴」の中においては、各種コンテンツを表したり、コンテンツを消去した状態の画像図に示すようにこれらを消去したりと、表示するコンテンツの種類やアイコンの配置を任意に変更することが可能である。これら各種コンテンツはアイコン類を指で触れる等の操作によって表示、再生、実行等することができる。実施態様の一例を示す参考図2に示すように、これを「穴」の外に取り出す等の操作を可能とすることもできる。「穴」は、穴が開く様子を示す各参考図に連続的に示す指などでの操作によってその表示を開始する。このような操作によって連続的に変化する各画像図において一点鎖線で囲んだ部分の画像(色彩のグラデーションによって表される穴の画像部分。各画像図において破線で表したアイコン類の形状は意匠登録を受けようとする部分に含まれない)が意匠登録を受けようとする部分である。意匠に係る物品全体の形態を表す一組の図面は、意匠登録を受けようとする部分が表れないため省略する。各図の一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」
これらの願書の記載によれば、本願物品は、「実施態様の一例を示す参考図1」に引出線2で示された、テーブルなどに画像を投影する「情報端末機」であり、投影領域を捉えるセンサーを備えたものである。そして、本願物品は、「同参考図1」に見られるように引出線4で示された画像の内側に各種デジタルコンテンツを示すアイコン類が表示され、そのアイコン類に対して指で触れるなどの操作を行うことにより、各種デジタルコンテンツの表示、再生、実行などをすることができるものである。
また、願書の記載及び願書に添付された「穴が開く様子を示す参考図1」ないし「同参考図4」によれば、「実施態様の一例を示す参考図1」に引出線4で示す画像は、連続的な指の操作によって表示される。
(2)画像図などに表された画像
願書及び願書に添付した図面の記載によれば、「画像図」「画像図2」「画像図3」「画像図4」及び「コンテンツを操作するためのアイコン等を消去した状態の画像図」に表された画像は、「実施態様の一例を示す参考図1」に引出線3で示された、テーブルなどに投影された画像(以下「本願画像」という。)である。
本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本願画像内で一点鎖線で四角形状に囲まれた部分(以下「本願画像部分」という。)であって、「画像図」「画像図2」「画像図3」及び「画像図4」においては、破線(アイコン類)を除いた部分である。
(3)本願画像部分の用途及び機能
上記(1)の願書の記載によれば、本願画像部分の用途及び機能は、各種デジタルコンテンツの表示、再生、実行などに係るものであり、ユーザーが各種デジタルコンテンツを示すアイコン類に対して指で触れるなどの操作を行うことによって、各種デジタルコンテンツの表示、再生、実行などをする本願物品の機能が発揮できる状態になる。そうすると、本願画像部分は、物品「情報端末機」の操作の用に供される画像(意匠法第2条第2項の画像)であると認められる。
(4)本願画像部分の位置、大きさ及び範囲
ア 本願画像について
「画像図」などに表された本願画像は、「実施態様の一例を示す参考図1」に引出線1で示されたテーブルなどに投影された画像であり、そのテーブルは、意匠法第2条第2項で定められた本願物品と「一体として用いられる物品」であると認められる。すなわち、本願画像は、本願物品と「一体として用いられる物品」に表示されるものである。
イ 本願画像における位置、大きさ及び範囲
本願画像内で一点鎖線で囲まれた本願画像部分は、本願画像内の中央部から下端付近に位置しており、一点鎖線で四角形状に囲まれた大きさ及び範囲は、その四角形状の短辺の長さが本願画像の縦幅の約1/1.6、四角形状の長辺の長さが本意匠画像の横幅の約1/1.16を占めている(四角形状に囲まれた範囲の面積は本意匠画像の約1/1.9)。
(5)本願画像部分の形態
ア 「画像図4」における形態
(ア)全体の形態
一点鎖線で囲まれた本願画像部分の外周形状は、縦横比が約2:3の横長長方形状である。
(イ)暗調子部の態様
一点鎖線の内側に、ごく細幅の余地部を介して、一点鎖線の左辺と上辺に沿って、略倒L字状の暗調子部が表されており、同暗調子部は、外側が最も濃く表されており、内側にいくにつれて次第に薄くなっている。略倒L字状の左辺の長さ:上辺の長さは約5:8である。
暗調子部の幅(太さ)は、略倒L字状の左辺と上辺とが同じである。左辺の幅(太さ)の上辺の長さに占める割合は、約1/30であり、上辺の幅(太さ)の左辺の長さに占める割合は、約1/19である。
一点鎖線の右辺に沿った部分及び下辺に沿った部分にも、ごく細幅の暗調子筋が表されており、それらが略倒L字状の暗調子部の外周と一体となって、全体として略ロ字状の暗調子部を形成している。
イ 「画像図」「画像図2」「画像図3」及び「画像図4」における形態の変化
(ア)「画像図」における形態
「画像図4」における上記略ロ字状の暗調子部で区画された部分(以下、単に「区画部」という。「実施態様の一例を示す参考図1」の引出線4に示す画像に相当する。)の上端部であって、左から中央寄りにかけての略横長帯状の部分が、「穴が開く様子を示す参考図1」で示された指の操作によって表されている。同部分の縦幅は区画部の縦幅の約1/14であり、横幅は区画部の横幅の約1/2.2である。
(イ)「画像図2」における形態
区画部の上端部の略横長帯状の部分が、「穴が開く様子を示す参考図2」で示された指の操作によって表されている。同部分の縦幅は区画部の縦幅の約1/14であり、横幅は区画部の横幅と一致している。
(ウ)「画像図3」における形態
区画部の上から中央寄りの略横長長方形状の部分(縦横比が約1:3.2)が、「穴が開く様子を示す参考図3」で示された指の操作によって表されている。同部分の縦幅は区画部の縦幅の約1/2.1であり、横幅は区画部の横幅と一致している。
(エ)「画像図」から「画像図4」への変化
「画像図」から「画像図2」にかけては略横長帯状の部分が右方向に伸張し、「画像図2」から「画像図3」にかけては略横長帯状の部分が下方に伸張して略横長長方形状になり、「画像図3」から「画像図4」にかけては略横長長方形状の部分の高さ幅が増えて同部分の縦横比が約1:1.6に変化している。
2 工業上利用性の判断
画像を含む意匠として意匠登録出願されたものが、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するためには、それが意匠を構成するものであって、その意匠が具体的なものであり、工業上利用することができるものでなければならないと解せられる。
そこで、本願画像部分について検討すると、前記1(3)で認定したとおり、本願画像部分は意匠法第2条第2項に規定する画像(操作画像)を構成するものである。そして、前記1(3)及び(4)で認定したとおり、本願画像の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は具体的なものであり、形態についても、前記1(5)で認定したとおり具体的であると認められる。さらに、本願画像を含む意匠に係る物品は「情報端末機」であるから、本願画像が工業上利用することができるものであることはいうまでもない。
そうすると、本願画像は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するといわざるを得ない。
なお、原審の拒絶の理由において、「画像が透過性を有するかのように表された部分については、物品の外観として、いわゆる前後のレイヤーの画像が重なって視覚的に認識される画像が意匠となります。このとき、単独のレイヤーの画像は意匠とはなりません。」と述べられているが、本願の願書には「レイヤー」の説明はなく、本願画像がどのようなレイヤーで設計されているかは定かではないから(2枚のみのレイヤーであるとは限らず、レイヤーの前後関係も不明。)、不明なレイヤー構造を前提にして不特定なレイヤー(「単独のレイヤー」が特定できない。)に言及し、それについて意匠を構成しないということはできない。
また、「画像図ないし画像図4において破線でアイコンが表されていますが、グラデーションとアイコンが重なっている領域において、グラデーションのみを「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分」(以下、「請求部分」といいます。)とし、アイコンのみを非請求部分とすることはできません。・・・したがって、本願の請求部分を特定することができず、本願の意匠を特定することができません。」と述べられているが、前記1(1)で引用した願書の「意匠の説明」には「このような操作によって連続的に変化する各画像図において一点鎖線で囲んだ部分の画像(色彩のグラデーションによって表される穴の画像部分。各画像図において破線で表したアイコン類の形状は意匠登録を受けようとする部分に含まれない)が意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されているから、本願画像において一点鎖線で囲われた部分であって破線以外で表された部分(仮に「α部分」という。)が意匠登録を受けようとする部分であると述べられており、前記1(5)ア(イ)で認定したとおり、α部分の形態は暗調子部の態様として明確に認定できるから、暗調子部(グラデーションの部分)を特定することができないとはいえない。
さらに、「意匠の説明」において、意匠に関して任意に変更する旨の記載(「表示するコンテンツの種類やアイコンの配置を任意に変更することが可能である」との記載)があり、本願の意匠を具体的に特定することができないと述べられているが、前記1(2)で認定したとおり破線(アイコン類)は本願画像部分から除かれており、アイコンの形状は意匠を構成しないからアイコンの配置を形態として認定することはできず、表示するコンテンツの種類についても、映像メディア、書籍、ウェブサイト、CD、付箋等であると「意匠の説明」で説明されているのでこれらの範囲内であると解せられるから、本願画像におけるコンテンツ種類やアイコン配置について仮に変更可能性が認められるとしても、本願の意匠を具体的に特定することができないとまではいえない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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