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特許拒絶査定不服審判

2019-005591

粘着剤組成物、粘着シート、及び、光学部材

審判番号
2019-005591
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-133344外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年04月25日
審決日
2020年01月09日
公報発行日
2020年04月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (C09J) / P18 .121-Z (C09J) / P18 .575-Z (C09J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-133344「粘着剤組成物、粘着シート、及び、光学部材」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月21日出願公開、特開2016- 11363〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年6月27日の出願であって、平成30年2月16日付けの拒絶理由通知に対して、その指定期間内の同年4月20日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月27日付けの拒絶理由通知に対して、その指定期間内の同年8月31日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成31年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月25日に拒絶査定不服の審判が請求される同時に手続補正書が提出されたものである。 なお、本件については、平成30年5月8日付け、同年同月14日付け、同年同月29日付け、同年10月3日付け及び同年11月7日付けで刊行物等提出書が出されている。 第2 平成31年4月25日付け手続補正についての補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成31年4月25日付け手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 特許法第17条の2第1項第4号に該当する手続補正である、平成31年4月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、そのうち請求項1についての補正は以下のとおりである。 (1-1)本件補正前の請求項1(すなわち、平成30年8月31日付け手続補正書の請求項1) 「  【請求項1】 モノマー成分として、炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50~99質量%、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1~30質量%、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.001~1質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、 前記モノマー成分が、環構造を有する(メタ)アクリレート、及び、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドを含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分を重合して得られたものであり、前記重合時の重合開始剤として、有機テルル化合物を含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万~500万であり、かつ、分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が5area%以下であり、 融点が30~50℃のイオン性化合物を含まないことを特徴とする粘着剤組成物。」 (1-2)本件補正後の請求項1(すなわち、平成31年4月25日付け手続補正書の請求項1) 「  【請求項1】 モノマー成分として、炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50~99質量%、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1~30質量%、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.001~1質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、 前記モノマー成分が、環構造を有する(メタ)アクリレート、及び、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドを含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分を重合(リビングラジカル重合を含まない)して得られたものであり、 前記重合時の重合開始剤として、有機テルル化合物を含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万~500万であり、かつ、分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が5area%以下であり、 融点が30~50℃のイオン性化合物を含まないことを特徴とする粘着剤組成物。」(以下、「本件補正発明」ともいう。) 本件補正の前後の両請求項を対比すると、本件補正は、補正前の請求項1における発明を特定するために必要な事項である「重合」 なる事項について、「(リビングラジカル重合を含まない)」に限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号にいう特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 そこで、上記本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(すなわち、いわゆる独立特許要件を満たすか)について以下検討する。 2.独立特許要件の検討 (2-1)引用刊行物及びその記載事項 刊行物A:特開2014-31440号公報(原査定の引用文献1) A 特開2014-31440号公報 (A-1)「【0040】 次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって、なんら限定されるものではない。 なお、各例で得られたアクリレート共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、並びに重量平均分子量10万以下の低分子量成分の含有量を、下記の方法により求めた。 <GPC法> 測定装置:東ソー社製の高速GPC装置「HLC-8120GPC」に、高速カラム「TSK gurd column HXL-H」、「TSK Gel GMHXL」、「TSK Gel G2000 HXL」(以上、全て東ソー社製)をこの順序で連結して測定した。 カラム温度:40℃、送液速度:1.0mL/分、検出器:示差屈折率計」 (A-2)「【0044】 実施例1 (1)リビングラジカル重合によるランダム共重合体からなるアクリル酸エステル系共重合体(A)の製造 単量体としてブチルアクリレート[BA、東京化成社製]と、メチルアクリレート[MA、東京化成社製]と、4-ヒドロキシブチルアクリレート[4HBA、東京化成社製]と、アクリル酸[AA、東京化成社製]とを、質量比76.7:20:3:0.3の割合で用い、以下に示すリビングラジカル重合により、BA/MA/4HBA/AAのランダム共重合体からなるアクリル酸エステル系共重合体(A)を製造した。この共重合体の性状を第1表に示す。 <リビングラジカル重合> アルゴン置換したグローブボックス内で、合成例1で製造したエチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート68.5μL、ブチルアクリレート(同上)107g、メチルアクリレート(同上)28g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(同上)4.2g、アクリル酸(同上)0.42g及び2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)[AIBN;Aldrich社製]4.6mgを60℃で20時間反応させた。 反応終了後、反応器をグローブボックスから取り出し、酢酸エチル500mlに溶解した後、そのポリマー溶液を活性アルミナ[和光純薬工業社製]で作製したカラムに通した。ポリマー溶液の粘度が5000mPa・s(25℃)となるようにトルエンを添加した。得られたポリマーの固形分は15.0質量%であった。 またGPCにより、重量平均分子量103万、分子量分布2.00であった。 【0045】 (2)粘着剤組成物の調製 上記(1)で製造したランダム共重合体からなるアクリル酸エステル系共重合体(A)100質量部(固形分)と、架橋剤としてイソシアヌレート型HDI[日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」、NCO含量:21.3質量%、固形分100%]2.00質量部を、溶媒であるメチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度13質量%の粘着剤組成物を調製した。」 (A-3)「比較例5 (1)フリーラジカル重合によるアクリル酸エステル系共重合体の製造 単量体としてブチルアクリレート(同上)と、メチルアクリレート(同上)と、4-ヒドロキシブチルアクリレート(同上)と、アクリル酸(同上)とを、質量比76.8:20:3:0.2の割合で用い、以下に示すフリーラジカル重合により、BA/MA/4HBA/AAのランダム共重合体からなるアクリル酸エステル系共重合体を製造した。この共重合体の性状を第1表に示す。 <フリーラジカル重合> 撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを封入後、酢酸エチル90質量部、ブチルアクリレート75質量部、メチルアクリレート19.5質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート2.9質量部、アクリル酸0.2質量部、重合開始剤2,2'-アゾビス(イソブチルニトリル)(AIBN)0.2質量部を仕込み、撹拌しながら酢酸エチルの還流温度で7時間反応させた。反応終了後、トルエン95質量部を添加して室温まで冷却した。固形分15質量%であるアクリル酸エステル系共重合体を得た。 以下、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製し、さらに保護フィルムを作製した。この保護フィルムの諸特性を第2表に示す。」 (A-4)「【0051】 【表1】 」 (2-2)刊行物Aに記載された発明 上記刊行物Aの比較例5には、ブチルアクリレート(同上)と、メチルアクリレート(同上)と、4-ヒドロキシブチルアクリレート(同上)と、アクリル酸(同上)とを、質量比76.8:20:3:0.2の割合で用い、重合開始剤2,2'-アゾビス(イソブチルニトリル)を用いて、フリーラジカル重合により、BA/MA/4HBA/AAのランダム共重合体からなるアクリル酸エステル系共重合体を製造したこと、そのアクリル酸エステル系共重合体を実施例1と同様にして、粘着剤組成物を調製したことが、記載されており(摘記(A-2)参照)、該アクリル酸エステル系共重合体は、重量平均分子量が100万であり、Mw10万以下の成分が4.35%であることが、記載されている(摘記(A-4)参照。) そうすると、刊行物Aには、次の発明が記載されているものといえる。 「モノマー成分として、ブチルアクリレートを76.8質量%、メチルアクリレートを20質量%、4-ヒドロキシブチルアクリレートを3質量%、及び、アクリル酸を0.2質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分をフリーラジカル重合して得られたものであり、 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が100万であり、かつ、分子量10万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が4.35%である粘着剤組成物。」(以下、「引用発明」という。) (2-3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「ブチルアクリレートを76.8質量%、メチルアクリレートを20質量%」は、ブチルアクリレート及びメチルアクリレートは炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーであり、両者合計96.8質量%であるから、本願補正発明の「炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50~99質量%」に相当する。 引用発明の「4-ヒドロキシブチルアクリレートを3質量%」は、4-ヒドロキシブチルアクリレートはヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーであるから、本願補正発明の「ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1~30質量%」に相当する。 引用発明の「アクリル酸を0.2質量%」は、アクリル酸はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーであるから、本願補正発明の「カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.001~1質量%」に相当する。 引用発明の「前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分をフリーラジカル重合して得られたものであり」は、本願補正発明の「前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分を重合(リビングラジカル重合を含まない)して得られたものであり」に相当する。 引用発明の「前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が100万であり」は、本願補正発明の「前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万~500万であり」に相当する。 そして、引用発明は、前記モノマー成分が、環構造を有する(メタ)アクリレート、及び、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドを含まないないこと、前記重合時の重合開始剤として2,2'-アゾビス(イソブチルニトリル)を用いており、有機テルル化合物を含まないこと、及び、融点が30~50℃のイオン性化合物を含まないことは、明らかである。 そうすると、本願補正発明と上記引用発明は、 「モノマー成分として、炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50~99質量%、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1~30質量%、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.001~1質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、 前記モノマー成分が、環構造を有する(メタ)アクリレート、及び、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドを含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分を重合(リビングラジカル重合を含まない)して得られたものであり、 前記重合時の重合開始剤として、有機テルル化合物を含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万~500万であり 融点が30~50℃のイオン性化合物を含まないことを特徴とする粘着剤組成物。」である点で一致し、下記の点で一応相違する。 <相違点> 本願補正発明は、分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が5area%以下であるのに対し、引用発明は、分子量10万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が4.35%である点。 (2-4)相違点の検討 引用発明において分子量10万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が4.35%であるから、分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合も4.35%以下であることは明らかである。そして、引用発明の分子量10万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合はGPC法により測定されたものであり(摘記(A-1)参照)、本願補正発明の分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合もGPC測定法によろ測定されたものであるから、引用発明の分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合も4.35%以下であることは、本願補正発明の分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が5area%以下であることと重複するといえるから、この点は実質的な相違点とはならない。 仮にこの相違点が実質的なものであるとしても、当該相違点に係る本願補正発明の発明特定事項は容易想到の範疇の事項にすぎない。 (2-5)小括 したがって、本件補正発明は、刊行物Aに記載された発明であるか、当該刊行物Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当するか、同法同条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 上記第2のとおり、平成31年4月25付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年8月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1は次のとおりである。 「  【請求項1】 モノマー成分として、炭素数1~14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50~99質量%、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.1~30質量%、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.001~1質量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物であって、 前記モノマー成分が、環構造を有する(メタ)アクリレート、及び、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドを含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、前記モノマー成分を重合して得られたものであり、前記重合時の重合開始剤として、有機テルル化合物を含まず、 前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万~500万であり、かつ、分子量1万以下の(メタ)アクリル系ポリマーの割合が5area%以下であり、 融点が30~50℃のイオン性化合物を含まないことを特徴とする粘着剤組成物。」(以下、「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由は、「平成30年6月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由2」であって、要するに、この出願の請求項1~5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。 そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。 <引用文献等一覧> 1.特開2014-31440号公報 2.特開2007-264092号公報 3.特開2014-98131号公報 3 引用刊行物 査定の拒絶の理由で引用された刊行物1は、上記刊行物Aにほかならず、刊行物Aの記載事項は、前記「2(2-1)A」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2 1(1-1)」で検討した本件補正発明の粘着剤組成物について、「(リビングラジカル重合を含まない)」との事項が「重合」に拡張されたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2(2-5)」に記載したとおり、刊行物Aに記載された発明であるか、当該刊行物Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、刊行物Aに記載された発明であるか、当該刊行物Aに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するか、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-005591

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