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特許拒絶査定不服審判

2019-004164

バイアスカット装置

審判番号
2019-004164
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-062316外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年03月29日
審決日
2019年11月11日
公報発行日
2019年12月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B26D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-62316「バイアスカット装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日出願公開、特開2016-179538、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年3月25日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 6月 8日付け:拒絶理由通知書 平成30年 7月27日  :意見書、手続補正書の提出 平成30年12月 4日付け:拒絶査定 平成31年 3月29日  :審判請求書と同時に手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成30年12月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1-2に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の技術を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 請求項3-5に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2006-205335号公報 2.特開2014-65132号公報 第3 本願発明 本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成31年3月29日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 矩形断面のベルトをバイアスにカットするバイアスカット装置であって、 前記矩形断面のベルトに対して張力を付与しつつ、ベルト周長方向に掛け渡すことが可能な少なくとも2本の軸と、 少なくとも前記2本の軸のうち何れか一方を駆動可能な軸駆動部と、 前記ベルトの張り側と弛み側の少なくとも一方を押圧するプッシュロールと、 前記軸間に掛け渡された前記ベルトの内周空間に配置される一枚の丸刃を備えたカッターヘッドと、 前記丸刃を、前記カッターヘッドに対して回転可能にする丸刃駆動部と、 前記カッターヘッドの前記丸刃を、対向する前記ベルト内周面の一方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルトの幅方向の一端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる第1方向と、前記ベルトの幅方向に移動させる第2方向と、対向する前記ベルト内周面の他方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルトの幅方向の他端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる第3方向と、に移動自在にする移動機構と、 制御部と、を備え、 前記2本の軸に掛け渡された前記ベルトを、前記軸駆動部の駆動により、走行させた際に、前記丸刃駆動部により回転させる、前記丸刃の回転方向は、前記ベルトの走行方向と同じ方向になるように設定されており、 前記制御部は、前記丸刃を前記第1方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の一端側を前記バイアスカット面に沿ってカットさせた後、前記丸刃を前記第2方向へ移動させて、前記丸刃を前記ベルトの幅方向の一端側から他端側に移動させた後、前記丸刃を前記第3方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の他端側を前記バイアスカット面に沿ってカットするように前記移動機構を制御するバイアスカット装置。」 また、本願発明2-5は、概略、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は理解の便のため当審にて付与。以下同。)。 ア 段落【0024】-【0026】 「【0024】 次に、上記伝動ベルト1を製造するためのバイアスカット装置20の構成について、図1~図3を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るバイアスカット装置の全体的な構成を示した斜視図、図2はカッターヘッドの移動によるバイアスカットの様子を示す平面断面拡大図である。図3は、カッターヘッド及びその支持構成の斜視図である。 【0025】 図1に示すように、このバイアスカット装置20は、その本体23に、矩形断面のベルト40を張架することが可能な、互いに平行な駆動軸21と従動軸22を備えている。この2本の軸21・22は、本体23の前面から手前側に向けて突出されている。また、この2本の軸21・22のうち少なくとも何れか一方は、他方の軸に対して近接または離間する方向に移動可能であり、様々なベルト長のベルト40を張架できるようになっている。 【0026】 前記駆動軸21は、本体23に内蔵された図示しないモータ等の原動機(駆動部)に連結されており、この原動機からの駆動力を受けて回転して、ベルト40を走行させることができるようになっている。」 イ 段落【0029】-【0030】 「【0029】 またバイアスカット装置20は、図1や図2に示すように、互いに対向して配置された第1支持部41と第2支持部42を備えている。これら支持部41・42のそれぞれは、ベルト40の張り側と弛み側で接触しながら回転可能に設けられたプッシュロール43と、ベルト40の両側面を挟持しながら回転可能に設けられたガイドロール44を備えている。 【0030】 上記の駆動軸21及び従動軸22の間であって、2つの支持部41・42の間の位置(ベルト40の内周空間)には、前記ベルト40の側面をバイアス(斜状)にカットするカッターヘッド50が配置される。このカッターヘッド50は、ディスク状の2枚の刃(第1刃51及び第2刃52)を備えている。カッターヘッド50は、ベルト40の内周空間に差し込まれるように延在する1本のアーム53の先端に取り付けられている。」 ウ 段落【0031】-【0032】 「【0031】 バイアスカット装置20の本体23は、前記カッターヘッド50を移動させるための移動機構60を備えている。この移動機構60は、第1テーブル61と、この第1テーブル61の上に移動可能に設けられたダイアル駆動式の回転台63と、この回転台63の上に設けられた第2テーブル62と、第2テーブル62上を移動可能な移動体64と、を備えている。移動体64には連結部材54が固定され、この連結部材54の先端に前記アーム53の基端部が固定されている。本実施形態では、このアーム53と連結部材54とにより、カッターヘッド50を支持する支持部材が構成されている。 【0032】 第1テーブル61及び第2テーブル62には図示しないサーボモータが備えられており、このサーボモータにより、移動体64、ひいてはそれに連結部材54及びアーム53を介して連結されたカッターヘッド50を移動させることができる。」 エ 段落【0033】-【0034】 「【0033】 カッターヘッド50の構成を図1~図3を参照して詳細に説明する。第1刃51及び第2刃52は互いに同一の形状とされ、何れも、その全周に刃部が形成された円形刃に構成されている。これらの刃51・52は、円柱状の固定部材55を介して一体的に相互連結される(図2・図3を参照)。固定手段としては、例えば取付ネジ56が使用される。なお、このとき2枚の刃51・52は、図2に示すように、刃の厚み方向でみたときに互いに一部重複(オーバーラップ)するように、かつその中心軸C1・C2同士が互いに異なるように偏心させながら平行に配置され、固定部材55へ取り付けられる。カッターヘッド50が移動するときは、上記の2枚の刃51・52の相対的な位置関係は維持される(即ち、2枚の刃51・52は相対的に移動不能に相互連結される)。 【0034】 第1刃51及び第2刃52は、互いに厚み方向に適宜の距離(固定部材55の長さ分の距離)を形成するように配置されている。従って、2つの刃51・52を互いに干渉させずに確実に固定することができる。また、ベルト40のカット時に2枚の刃51・52が衝突したり干渉することがなくなるので、刃51・52の耐久性が向上され、メンテナンスの必要頻度を低減できる。また、第1刃51と第2刃52によって通常は回転不能に固定されているが、メンテナンス作業時には例えば前記取付ネジ56を緩めることで、両刃51・52を中心軸C1・C2まわりに回転させることができる。こうして構成されたカッターヘッド50が、刃51・52を若干傾斜させた状態で、アーム53の先端に取り付けられている。」 オ 段落【0035】-【0040】 「【0035】 次に、この構成のバイアスカット装置20を使用してV字状の伝動ベルト1を製造する方法について説明する。 【0036】 先ず、矩形断面のベルト40を、両軸21・22の収容溝24の部分に掛ける。その後、図示しない前記シリンダを駆動すると、収容溝24の側面でベルト40(特に、図4の前記圧縮ゴム層6)を挟んだ状態で、ベルト40を2本の軸21・22に張架することが できる。また、支持部41・42においては、ベルト40の両側部をガイドロール44・44で挟持させるとともに、背面をプッシュロール43で押圧させる。こうしてベルト40のバイアスカット装置20へのセットが完了する(図1)。 【0037】 その後、図略の原動機で駆動軸21を駆動し、ベルト40に張力を付与しつつ走行させる。そして移動機構60を駆動し、カッターヘッド50の第1刃51でベルト40の圧縮ゴム層6の一側の側面を斜めにカットし、第2刃52で他側の側面を斜めにカットする。 【0038】 具体的には先ず、カッターヘッド50を図2の矢印Iの方向へ駆動し、第1支持部41のプッシュロール43で押されたベルト40の圧縮ゴム層6に対し、その第1支持部41側へ突出している第1刃51を、斜めに進入させる。こうして、ベルト40の側面にバイアスカット面15を形成できる。続いて、カッターヘッド50を矢印IIの方向へ駆動し、第2支持部42のプッシュロール43で押されたベルト40の圧縮ゴム層6に対し、その第2支持部42側へ突出している第2刃52を、斜めに進入させる。この結果、ベルト40の一側の側面を第1刃51により、他側の側面を第2刃52により、それぞれ斜めにカットし、図4の如く両側にバイアスカット面15・15を形成することができる。なお、カット部41・42において、ベルト40はプッシュロール43により押圧されるとともに側面をガイドロール44・44によって挟持されているので、カッター45進入時のベルト40の逃げは防止される。こうして、断面V字状の伝動ベルト1が完成する。 【0039】 上述したように、本実施形態では、カッターヘッド50が、互いに移動不能に連結された第1刃51と第2刃52を有しており、このカッターヘッド50がアーム53によって支持されるとともに、移動機構60は、連結部材54及び前記アーム53を介して前記カッターヘッド50を移動させるようになっている。そして、移動機構60によってカッターヘッド50を一側へ移動させる(矢印I)ことにより、前記第1刃51で前記圧縮ゴム層6の一側の側面をバイアスにカットし、カッターヘッド50を他側へ移動させる(矢印II)ことにより、前記第2刃52で前記圧縮ゴム層6の他側の側面をバイアスにカットする。 【0040】 従って、単一のカッターヘッド50が矢印I,IIの双方へ移動することでベルト40の両側の側面をカットできるから、カッターヘッド50やその移動機構60を1つに集約でき、移動機構60等を含めたコンパクト化、軽量化、低コスト化を図ることができる。また、カッターヘッド50はベルト40の内周空間に備えられ、内周側からベルト40の両側側面をバイアスにカットする構成となっているから、バイアスカットに必要なカッターヘッド50の移動距離を少なくでき、作業時間も短縮できる。更に、カッターヘッド50が上述のように2枚の刃51・52を一体的にまとめた構成となっているから、カッターヘッド50自体をコンパクトとでき、内周空間が狭い短いベルト長のベルトもカットすることができる。」 (2)上記(1)の記載及び図面から、引用文献1には、次の技術的事項が開示されていると認められる。 ア 上記(1)ウ、オの記載事項及び図1の図示内容から、引用文献1には、カッターヘッド50のディスク状の刃51・52を、対向するベルト40内周面の一方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルト40の幅方向の一端側のバイアスカット面に沿って進入させる矢印Iの方向と、前記ベルト40の幅方向に移動させる方向と、対向する前記ベルト40内周面の他方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルト40の幅方向の他端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる矢印IIの方向と、に移動自在にする移動機構60が記載されていると認められる。 イ 技術常識から、「移動機構60」による「カッターヘッド50」の移動は、「制御部」によって制御されていると認められる。 (3)上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 引用発明 「矩形断面のベルト40をバイアスにカットするバイアスカット装置20であって、 前記矩形断面のベルト40に対して張力を付与しつつ、ベルト40周長方向に掛け渡すことが可能な駆動軸21と従動軸22と、 前記駆動軸21を駆動可能な原動機と、 前記ベルト40の張り側と弛み側の少なくとも一方を押圧するプッシュロール43と、 前記駆動軸21と従動軸22間に掛け渡された前記ベルト40の内周空間に配置される2枚のディスク状の刃51・52を備えたカッターヘッド50と、 前記カッターヘッド50の前記ディスク状の刃51・52を、対向する前記ベルト40内周面の一方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルト40の幅方向の一端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる矢印Iの方向と、前記ベルト40の幅方向に移動させる方向と、対向する前記ベルト40内周面の他方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルト40の幅方向の他端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる矢印IIの方向と、に移動自在にする移動機構60と、 制御部と、を備え、 前記制御部は、前記ディスク状の刃51・52を前記矢印Iの方向へ移動させて、前記ベルト40の幅方向の一端側を前記バイアスカット面に沿ってカットさせた後、前記ディスク状の刃51・52を前記矢印IIの方向へ移動させて、前記ベルト40の幅方向の他端側を前記バイアスカット面に沿ってカットするように前記移動機構60を制御するバイアスカット装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明における「バイアスカット装置20」は、本願発明1における「バイアスカット装置」に相当し、以下同様に、「ベルト40」は「ベルト」に、「駆動軸21と従動軸22」は「少なくとも2本の軸」に、「駆動軸21」は「少なくとも前記2本の軸のうち何れか一方」に、「原動機」は「軸駆動部」に、「プッシュロール43」は「プッシュロール」に、「前記駆動軸21と従動軸22間」は「前記軸間」に、「カッターヘッド50」は「カッターヘッド」に、「矢印Iの方向」は「第1方向」に、「ベルト40の幅方向に移動させる方向」は「ベルトの幅方向に移動させる第2方向」に、「矢印IIの方向」は「第3方向」に、「移動機構60」は「移動機構」に、それぞれ相当する。 イ 引用発明の「(2枚の)ディスク状の刃51・52」と、本願発明1の「(一枚の)丸刃」とは、「丸刃」という点で一致する。 ウ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「矩形断面のベルトをバイアスにカットするバイアスカット装置であって、 前記矩形断面のベルトに対して張力を付与しつつ、ベルト周長方向に掛け渡すことが可能な少なくとも2本の軸と、 少なくとも前記2本の軸のうち何れか一方を駆動可能な軸駆動部と、 前記ベルトの張り側と弛み側の少なくとも一方を押圧するプッシュロールと、 前記軸間に掛け渡された前記ベルトの内周空間に配置される丸刃を備えたカッターヘッドと、 前記カッターヘッドの前記丸刃を、対向する前記ベルト内周面の一方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルトの幅方向の一端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる第1方向と、前記ベルトの幅方向に移動させる第2方向と、対向する前記ベルト内周面の他方向側の内周面に向かう方向であって、前記ベルトの幅方向の他端側の前記バイアスカット面に沿って進入させる第3方向と、に移動自在にする移動機構と、 制御部と、を備え、 前記制御部は、前記丸刃を前記第1方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の一端側を前記バイアスカット面に沿ってカットさせた後、前記丸刃を前記第3方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の他端側を前記バイアスカット面に沿ってカットするように前記移動機構を制御するバイアスカット装置。」 (相違点1) 本願発明1は、「一枚の丸刃」を備えた「カッターヘッド」と、「前記丸刃を、前記カッターヘッドに対して回転可能にする丸刃駆動部」を備え、「前記2本の軸に掛け渡された前記ベルトを、前記軸駆動部の駆動により、走行させた際に、前記丸刃駆動部により回転させる、前記丸刃の回転方向は、前記ベルトの走行方向と同じ方向になるように設定されて」いるのに対し、引用発明は、「カッターヘッド50」が「2枚のディスク状の刃51・52」を備え、「ディスク状の刃51・52」を回転可能にする駆動部があるか不明な点。 (相違点2) 本願発明1は、「制御部は、前記丸刃を前記第1方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の一端側を前記バイアスカット面に沿ってカットさせた後、前記丸刃を前記第2方向へ移動させて、前記丸刃を前記ベルトの幅方向の一端側から他端側に移動させた後、前記丸刃を前記第3方向へ移動させて、前記ベルトの幅方向の他端側を前記バイアスカット面に沿ってカットするように前記移動機構を制御する」のに対し、引用発明は、「制御部は、前記ディスク状の刃51・52を前記矢印Iの方向へ移動させて、前記ベルト40の幅方向の一端側を前記バイアスカット面に沿ってカットさせた後、前記ディスク状の刃を前記矢印IIの方向へ移動させて、前記ベルト40の幅方向の他端側を前記バイアスカット面に沿ってカットするように前記移動機構60を制御する」ものであり、ディスク状の刃51・52を矢印Iの方向へ移動させてベルト40をカットさせた後、前記ディスク状の刃51・52を前記ベルト40の幅方向の一端側から他端側に移動させることは明記されていない点。 (2)相違点についての判断 (上記相違点1について) 引用発明は、従来ベルトの両端面を挟むように設けられていた2枚の刃を、カッターヘッドに一体的にまとめた構成とするとともに、刃を回転不能に固定することにより、装置の構成を簡素にし、コンパクト化、低コスト化を実現したものである。引用文献1には、2枚の刃を一箇所にまとめることは記載されているものの、2枚の刃を1枚に変更することまでは記載されていない。また、「メンテナンス作業時には例えば前記取付ネジ56を緩めることで、両刃51・52を中心軸C1・C2まわりに回転させる」ことは記載されているものの、駆動部を用いて刃を回転させることまでは記載されていない。 そうすると、たとえ1枚の刃で複数箇所を切断するカット装置や丸刃の回転方向を対象の走行方向と同じ方向になるように設定したカット装置が周知であったとしても、引用発明において、2枚の刃51・52を1枚にするとともに、当該1枚の刃を駆動部を用いて回転可能にするように変更する動機はないというべきである。 したがって、上記相違点1に係る構成は、当業者であっても、引用発明に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 したがって、本願発明1は、相違点2を検討するまでもなく、引用発明に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-5について 本願発明2-5は、本願発明1の構成全てを引用した発明であって、本願発明1の相違点1に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 原査定について 1.理由(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1-5は「前記丸刃を、前記カッターヘッドに対して回転可能にする丸刃駆動部」を備え、「前記2本の軸に掛け渡された前記ベルトを、前記軸駆動部の駆動により、走行させた際に、前記丸刃駆動部により回転させる、前記丸刃の回転方向は、前記ベルトの走行方向と同じ方向になるように設定され」るという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-5は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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