特許拒絶査定不服審判
2019-003450
コンピューティングオブジェクトのコンテキストの履歴
- 審判番号
- 2019-003450
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-096505外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年03月12日
- 審決日
- 2020年08月19日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】グーグル エルエルシー
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .55 -WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第36条、特許法第164条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 96505「コンピューティングオブジェクトのコンテキストの履歴」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月14日出願公開、特開2017-162502、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2011年11月18日を国際出願日とする特願2013-540092号(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年11月18日(以下,「優先日」という。),米国)の一部を平成27年3月31日に新たな特許出願とした特願2015-71674号の一部を平成29年5月15日に新たな特許出願としたものであって,平成29年6月5日付けで審査請求されると同時に手続補正がなされ,平成30年3月22日付けで拒絶の理由が通知され,同年6月27日に意見書が提出され,同年11月6日付けで拒絶査定(謄本送達日同年11月13日)がなされ,これに対して平成31年3月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,令和1年5月30日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされ,令和2年2月25日付けで当審により拒絶の理由が通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)され,同年6月2日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成30年11月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規事項)平成29年6月5日付け手続補正書でした補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1について
(省略)
●理由2について
・請求項 1-10
・引用文献等 1-4
<引用文献等一覧>
1.特開2010-128522号公報
2.特開平03-179548号公報(周知技術を示す文献)
3.特開平05-189373号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2009-151374号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1乃至7に係る発明(以下,「本願発明1」乃至「本願発明7」という。)は,令和2年6月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至7に記載された,次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】
コンピュータで実行される方法であって、
ユーザの操作がコンピューティングデバイスに与えられたことに基づいて、第1のオブジェクトについて予め定義された第1の動作の発生を記録するステップと、
前記第1のオブジェクトと同時に前記コンピューティングデバイス上で開いている第2のオブジェクトについて予め定義された動作の発生を記録するステップと、
前記コンピューティングデバイスの第1状態を記憶するステップとを含み、前記コンピューティングデバイスの前記第1状態を記憶するステップは、前記第1のオブジェクトに関連付けられた動作と、前記第2のオブジェクトに関連付けられた動作とを互いに関連付けてデータベースに記憶することを含み、前記方法はさらに、
前記第1のオブジェクトが閉じられた後に、前記コンピューティングデバイス上で前記第1のオブジェクトの前記第1の動作の第2の発生を特定するステップと、
前記第2の発生と前記データベースとに基づいて、前記第2のオブジェクトについて予め定義された動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定するステップと、
前記第2のオブジェクトについて予め定義された動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連するとの判定に応答して、前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる1つ以上のオブジェクトのリストを、前記コンピューティングデバイス上での表示のために提供するステップと、
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの1つのユーザ選択を受信するステップと、
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの前記1つを前記コンピューティングデバイス上でインスタンス化させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態を記憶するステップは、前記第1のオブジェクトがインスタンス化された時にインスタンス化されるオブジェクトを特定することを含む、請求項1に記載のコンピュータに実行される方法。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態を記憶するステップはさらに、前記第1のオブジェクトと、前記第2のオブジェクトとの間の相関関係を記憶することを含む、請求項2に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態を記憶するステップはさらに、ユーザインタラクションを特定することと、特定された前記ユーザインタラクションを記憶することとを含む、請求項2に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項5】
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態は前記コンピューティングデバイス上に記憶される、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
プロセッサと、
請求項6に記載のプログラムを記憶するためのメモリとを含む、システム。」
第4 引用例
1 引用例1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由において「引用文献4」として引用し,当審拒絶理由通知において「引用例1」として引用した,優先日前に既に公知である,特開2009-151374号公報(平成21年7月9日公開。以下,これを「引用例1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
A 「【0001】
本発明は、ユーザ操作を支援する操作支援装置、操作支援方法および操作支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者は、ブラウザ、メーラ、ソフトフォン、文書作成ソフトなどコンピュータ上で動作する複数のアプリケーションを連続的に利用して業務を行っている。業務遂行においては、特定の操作が繰り返し行なわれることが多い。」
B 「【0023】
以下、より具体的な構成例について説明する。図3は、本発明による操作支援装置のより具体的な構成例を示すブロック図である。図3に示す操作支援装置は、CPU等の情報処置装置100と、メモリ等の記憶装置200と、キーボード等の入力装置300と、ディスプレイ装置等の出力装置400とを備える。
【0024】
情報処理装置100は、アプリケーション群110と、アプリケーション群100に含まれる各アプリケーションに対応するアプリケーションプラグイン部120と、動作履歴記録手段131と、予測候補抽出手段132と、予測候補提示手段133と、予測候補実行指示手段134とを含む。また、記憶装置200は、動作履歴記憶部201と、作業者情報記憶部202と、予測候補選択履歴記憶部203と、動作対象変換規則記憶部204とを含む。」
C 「【0028】
アプリケーション監視手段121は、当該アプリケーション監視手段121を有するアプリケーションプラグイン部120に対応づけられたアプリケーション(以下、単に、対応アプリケーションという。)の動作を監視し、特定の動作およびその動作対象を検出する。そして、検出した動作を識別するための情報と、検出した動作対象を示す情報とを、後述する動作履歴記録手段131に渡す。なお、アプリケーション監視手段121は、上述したアプリケーション監視手段11に相当する処理手段である。」
D 「【0030】
一例として、ブラウザ用のアプリケーション監視手段121では、ブラウザ110-1で発生する動作を監視し、”ホームページ表示”の動作が検知された場合に、その動作が行われたことおよびその動作対象として表示されたホームページのURLを検出してもよい。そして、ブラウザの”ホームページ表示”動作を識別するための情報と、動作対象としてのURL(例えば、http://www.aaa.com)とを動作履歴記録手段131に通知すればよい。」
E 「【0034】
動作履歴記録手段131は、各アプリケーション監視手段121から、アプリケーション群110で発生した所定の動作を識別するための情報とそのときの動作対象を示す情報とを受け取り、それらの情報を対にして、動作履歴として、動作履歴記憶部201に記憶させる。なお、動作履歴記録手段131は、上述した動作履歴記録手段12に相当する処理手段である。本実施形態では、動作履歴記録手段131は、動作対象変換規則記憶部204に記憶されている動作対象変換規則に従い、アプリケーションから検出される動作対象を示す情報を、所定の形式によって表現される情報に変換した上で、動作履歴記憶部201に記憶させる。動作対象を別の情報に変換して記録することで、元の情報のままでは困難である動作対象間の関連性の判断を容易にする。なお、動作対象の変換手順に関しては、後の動作の説明において詳細に説明する。
【0035】
予測候補抽出手段132は、予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出されると、その動作と動作対象の組み合わせと、動作履歴記憶部201に記憶されている動作履歴を照合し、動作履歴に含まれる動作と動作対象の組み合わせの中から、予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせを、次のユーザ操作に係るアプリケーション動作の予測候補として抽出する。なお、予測候補抽出手段132は、上述した予測候補抽出手段13に相当する処理手段である。予測候補抽出手段132は、例えば、アプリケーション群110で発生した最新の動作を予測対象として、予測候補を抽出してもよい。なお、履歴を照合して予測対象の動作と動作対象の組み合わせとの関連性を判断する手順に関しては、後の動作の説明において詳細に説明する。
【0036】
予測候補提示手段133は、予測候補抽出手段132が抽出した予測候補を提示し、作業者に適切な予測候補として1つの予測候補を選択させる。なお、予測候補提示手段133は、上述した予測候補提示手段15に相当する処理手段である。予測候補提示手段133は、例えば、予測候補とされた動作とその動作対象の組み合わせについて、動作または動作対象の一方だけを絞り込み選択項目として提示し作業者に選択させて、その後選択された動作または動作対象を含む組み合わせだけを選択項目として提示して選択させるといった段階的な絞り込み選択をさせてもよい。また、候補提示手段331は、ユーザから一の候補が選択された場合には、その候補の内容(動作と動作対象の組み合わせ)を予測候補実行指示手段134に通知する。」
F 「【0040】
予測候補実行指示手段134は、予測候補提示手段133によって決定された1の予測候補の内容(動作と動作対象の組)を受け取り、対応するアプリケーションのアプリケーション実行指示手段122に制御指示を出す。また、予測候補実行指示手段134は、動作対象を示す対象情報が、動作対象変換規則に従って別の情報に変換されている場合には、その情報を元の情報(アプリケーションから検出される情報)に変換し直してから、アプリケーション実行指示手段122に渡す機能を有する。
【0041】
動作履歴記憶部201は、アプリケーション群110で発生した所定の動作と、該動作の動作対象とを対応づけて、履歴情報として記憶する。動作履歴記憶部201は、例えば、動作履歴として、図6に示すような動作履歴データと、図7に示すような動作対象履歴データとで分けて記憶してもよい。図6は、動作履歴記憶部201が記憶する動作履歴データの例を示す説明図である。また、図7は、動作履歴記憶部201が記憶する動作対象履歴データの例を示す説明図である。なお、動作履歴データと動作対象履歴データとは、それぞれ履歴IDによって紐づけられている。履歴IDは、履歴情報としての各レコードを識別するための識別情報である。」
G 「【0049】
また、図12は、予測候補抽出から自動実行に係る動作の一例を示すフローチャートである。まず、作業者が操作などによりアプリケーション群110のいずれかのアプリケーションが動作すると、図11のステップA1~A3と同様の動作により、動作履歴記録手段131で動作履歴としての動作を示す情報および動作対象を示す情報とが生成される。動作履歴記録手段131は、それらの情報を予測対象の動作とその動作対象を示す情報として、予測候補抽出手段132に渡す。予測候補抽出手段132は、動作履歴記録手段131から予測対象とする動作とその動作対象を示す情報を取得する(ステップB1)。
【0050】
予測候補抽出手段132は、予測対象とする動作とその動作対象を示す情報を取得すると、動作履歴記憶部201に記憶されている履歴(ここでは、動作履歴データと動作対象履歴データ)から、予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと同一の組み合わせを有する履歴(履歴情報としての一レコード)を照合する(ステップB2)。予測候補抽出手段132は、同一の組み合わせの履歴が照合されると、その履歴から一定時間以内または一定件数以内に記録された履歴を抽出する(ステップB3)。ここで、予測候補抽出手段132は、抽出する履歴の動作を能動的操作によって発生する動作に限定してもよい。また、1つの動作に関する動作対象として、メーラの”送信”動作であれば、”To”,”件名”,”本文”など複数の情報が存在する場合がある。そのような場合には、動作対象の照合では、動作対象を示す複数の情報の一部が一致すれば、動作対象が同一であるとみなしてもよい。この場合に照合された履歴の動作対象は、一致した一部の情報のみとしてもよい(例えば、メールの”To”だけなど)。」
H 「【0055】
次に、予測候補提示手段133は、抽出された予測候補から適切な候補を作業者に選択させるための候補選択画面を出力表示400を介して表示する(ステップB6)。予測候補提示手段133は、2種類の選択項目を含む候補選択画面を表示する。1種類目の選択項目は、予測候補抽出手段132が抽出した動作と動作対象の組み合わせで構成される予測候補を選択させるための選択項目である。2種類目の選択項目は、予測候補抽出手段132が抽出した予測候補に含まれる動作または動作対象の一方を選択させるための絞り込み選択項目である。」
上記記載事項A乃至Hより,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「ユーザ操作を支援する操作支援装置による操作支援方法であって,
作業者が,コンピュータ上で動作する複数のアプリケーションを連続的に利用して業務を行っていることを背景とし,
前記操作支援装置は,CPU等の情報処置装置と,メモリ等の記憶装置と,キーボード等の入力装置と,ディスプレイ装置等の出力装置とを備え,
前記情報処理装置は,アプリケーション群と,アプリケーション群に含まれる各アプリケーションに対応するアプリケーションプラグイン部と,動作履歴記録手段と,予測候補抽出手段と,予測候補提示手段と,予測候補実行指示手段とを含み,
アプリケーション監視手段は,当該アプリケーション監視手段を有するアプリケーションプラグイン部に対応づけられたアプリケーション(以下,単に,対応アプリケーションという。)の動作を監視し,特定の動作およびその動作対象を検出し,検出した動作を識別するための情報と,検出した動作対象を示す情報とを,後述する動作履歴記録手段に渡し,
ブラウザ用のアプリケーション監視手段では,ブラウザで発生する動作を監視し,“ホームページ表示”の動作が検知された場合に,その動作が行われたことおよびその動作対象として表示されたホームページのURLを検出し,
動作履歴記録手段は,各アプリケーション監視手段から,アプリケーション群で発生した所定の動作を識別するための情報とそのときの動作対象を示す情報とを受け取り,それらの情報を対にして,動作履歴として,動作履歴記憶部に記憶させ,
予測候補抽出手段は,予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出されると,その動作と動作対象の組み合わせと,動作履歴記憶部に記憶されている動作履歴を照合し,動作履歴に含まれる動作と動作対象の組み合わせの中から,予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせを,次のユーザ操作に係るアプリケーション動作の予測候補として抽出し,
予測候補提示手段は,予測候補抽出手段が抽出した予測候補を提示し,作業者に適切な予測候補として1つの予測候補を選択させ,
予測候補実行指示手段は,予測候補提示手段によって決定された1の予測候補の内容(動作と動作対象の組)を受け取り,対応するアプリケーションのアプリケーション実行指示手段に制御指示を出し,
動作履歴記憶部は,アプリケーション群で発生した所定の動作と,該動作の動作対象とを対応づけて,履歴情報として記憶し,動作履歴記憶部は,例えば,動作履歴として,動作履歴データと,動作対象履歴データとで分けて記憶し,
作業者が操作などによりアプリケーション群のいずれかのアプリケーションが動作すると,動作履歴記録手段で動作履歴としての動作を示す情報および動作対象を示す情報とが生成され,予測候補抽出手段は,動作履歴記録手段から予測対象とする動作とその動作対象を示す情報を取得し,
予測候補抽出手段は,予測対象とする動作とその動作対象を示す情報を取得すると,動作履歴記憶部に記憶されている履歴(ここでは,動作履歴データと動作対象履歴データ)から,予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと同一の組み合わせを有する履歴(履歴情報としての一レコード)を照合し,
予測候補提示手段は,抽出された予測候補から適切な候補を作業者に選択させるための候補選択画面を出力表示を介して表示する
操作支援方法。」
2 引用例2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において「引用文献1」として引用した,優先日前に既に公知である,特開2010-128522号公報(平成22年6月10日公開。以下,これを「引用例2」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
I 「【0030】
このデータ処理装置100は、いわゆるオペレーティングシステム(図示せず)と、このオペレーティングシステムに対応した各種のアプリケーションソフトASと、がコンピュータプログラムであるソフトウェアとして実装されている。」
J 「【0042】
上述のような構成において、本実施の形態のデータ処理装置100によるデータ処理方法を以下に説明する。例えば、本実施の形態のデータ処理装置100に"A~C"なるアプリケーションソフトASが実装されているとする。」
K 「【0050】
すると、図2に示すように、この複数のA,BなどのアプリケーションソフトASでのソフト連携操作SOが通常のソフト機能動作とは別個に検出され(ステップS8)、例えば、そのA,BなどのアプリケーションソフトASのID(Identity)データによりソフト連携関係SCが登録される。」
L 「【0051】
このようにソフト連携関係SCが登録された状態で、例えば、図5(a)に示すように、前述のように"A"などの起動アイコンSIの指定操作により(ステップS1-Y)、図5(b)に示すように、"A"のアプリケーションソフトASが起動されると(ステップS2)、ソフト連携関係SCにより"A"に対応して"B"なるアプリケーションソフトASが検出される(ステップS3,S4-Y)。
【0052】
すると、上述のように一般ユーザはAの起動アイコンSIしか指定操作していないにも関わらず、ソフト連携関係SCに対応してBのアプリケーションソフトASが自動起動される(ステップS5)。」
M 「【0058】
このため、図6に示すように、"A"などの一つの起動アイコンSIを指定操作するだけで"A~C"などの三つ以上のアプリケーションソフトASを自動起動するようなこともできる。」
N 「【0073】
また、データ処理装置(図示せず)が、特定のアプリケーションソフトASが起動されてから任意のアプリケーションソフトASが起動されるとソフト連携関係SCを記憶してもよい。
【0074】
この場合、他のアプリケーションソフトASとの連携が予想されるプレゼンテーションソフトなどが起動されてからワードプロセッサソフトが起動されたときに、そのソフト連携関係SCが登録されるようなことができる。
【0075】
また、上記形態では、データ処理装置100は、ソフト連携関係SCが記憶されている複数種類のアプリケーションソフトASの任意の一つが起動されると残余を起動することを例示した。」
O 「【0079】
また、上記形態ではデータ処理装置100がソフト連携関係SCにより複数種類のアプリケーションソフトASの起動を連動させることのみ例示した。しかし、ソフト記憶部110は、各々固有のアプリケーションデータを使用する複数種類のアプリケーションソフトASを記憶し、連携記憶部140は、起動されている複数種類のアプリケーションソフトASで使用されているアプリケーションデータのソフト連携関係まで記憶し、連携起動部160は、記憶されているソフト連携関係が確認されると対応するアプリケーションソフトASを起動させるとともにアプリケーションデータを使用状態としてもよい(図示せず)。
【0080】
この場合、ソフト連携関係SCにより所定の複数種類のアプリケーションソフトASが連動して起動されるだけでなく、その複数種類のアプリケーションソフトASのアプリケーションデータも使用状態とされる。
【0081】
このため、複数種類のアプリケーションソフトASのアプリケーションデータを使用して作業していたような場合に、その作業を途中で中断しても迅速に再開するようなことができる。」
以上,上記記載事項I乃至Oより,引用例2には次の事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されているといえる。
「データ処理装置100は,いわゆるオペレーティングシステムと,このオペレーティングシステムに対応した各種のアプリケーションソフトASと,がコンピュータプログラムであるソフトウェアとして実装されており,
データ処理装置100に"A~C"なるアプリケーションソフトASが実装されていて,
この複数のA,BなどのアプリケーションソフトASでのソフト連携操作SOが通常のソフト機能動作とは別個に検出され,そのA,BなどのアプリケーションソフトASのID(Identity)データによりソフト連携関係SCが登録され,
ソフト連携関係SCが登録された状態で,"A"などの起動アイコンSIの指定操作により,"A"のアプリケーションソフトASが起動されると,ソフト連携関係SCにより"A"に対応して"B"なるアプリケーションソフトASが検出され,
一般ユーザはAの起動アイコンSIしか指定操作していないにも関わらず,ソフト連携関係SCに対応してBのアプリケーションソフトASが自動起動され,"A"などの一つの起動アイコンSIを指定操作するだけで"A~C"などの三つ以上のアプリケーションソフトASを自動起動するようなこともでき,
特定のアプリケーションソフトASが起動されてから任意のアプリケーションソフトASが起動されるとソフト連携関係SCを記憶してもよく,
他のアプリケーションソフトASとの連携が予想されるプレゼンテーションソフトなどが起動されてからワードプロセッサソフトが起動されたときに,そのソフト連携関係SCが登録され,
ソフト連携関係SCが記憶されている複数種類のアプリケーションソフトASの任意の一つが起動されると残余を起動し,
ソフト記憶部110は,各々固有のアプリケーションデータを使用する複数種類のアプリケーションソフトASを記憶し,連携記憶部140は,起動されている複数種類のアプリケーションソフトASで使用されているアプリケーションデータのソフト連携関係まで記憶し,連携起動部160は,記憶されているソフト連携関係が確認されると対応するアプリケーションソフトASを起動させるとともにアプリケーションデータを使用状態としてもよく,
ソフト連携関係SCにより所定の複数種類のアプリケーションソフトASが連動して起動されるだけでなく,その複数種類のアプリケーションソフトASのアプリケーションデータも使用状態とされ,複数種類のアプリケーションソフトASのアプリケーションデータを使用して作業していたような場合に,その作業を途中で中断しても迅速に再開するようなことができる
データ処理装置100。」
3 引用例3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において「引用文献2」として引用した,優先日前に既に公知である,特開平3-179548号公報(平成3年8月5日公開。以下,これを「引用例3」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(なお,この項において,(1),(2)等は,○の中に1,2等を表す。)
P 「従来方式の処理の流れは,第6図に示すようになっている。
(1) コマンドログの表示要求により,これまでに採取したログを表示する。
(2) ログ表示画面上で,オペレータからの再実行要求の選択情報を入力する。選択の後,実行キーの入力があったならば,次の処理(3)へ移る。
(3) 選択されたコマンドをコマンドログテーブルから取り出し,コマンド実行画面のコマンド入力域に設定して,画面を表示する。
(4) コマンド実行画面で表示されたコマンドを,実行キーの入力により,再実行させる。」(2ページ左下欄5-16行)
4 引用例4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において「引用文献3」として引用した,優先日前に既に公知である,特開平5-189373号公報(平成5年7月30日公開。以下,これを「引用例4」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。
Q 「【0014】次に、プログラム実行履歴テーブル9に保存されたプログラムを再実行する時、保存プログラム表示手段6によりプログラム実行履歴テーブル9の表示番号の1からmまでの実行手段と実行パラメータとをディスプレイ2に表示する。そして、オペレータは、保存プログラム表示手段6により表示された中より再実行するプログラムをプログラム再実行選択手段7によりキーボード1から選択する。続いて、プログラム再実行手段8は、選択されたプログラムの実行手段と実行パラメータとをプログラム実行履歴テーブル9から解析し、プログラム実行手段4(実行手段1~実行手段n)に制御を移しプログラムの再実行を行う。
【0015】以上のような操作を実施することにより、複数実行手段により複数のプログラムをプログラム実行履歴テーブル9に保存し、プログラムの再実行を実施する時、ディスプレイ2に表示した保存プログラムの一覧から任意のプログラムをキーボードから選択することにより、プログラムの再実行が容易に可能となる。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(あ)引用発明の「操作支援装置」は,「CPU等の情報処置装置と,メモリ等の記憶装置と,キーボード等の入力装置と,ディスプレイ装置等の出力装置とを備え」るものであるから,本願発明1の「コンピューティングデバイス」に相当する。
そして,引用発明の「ユーザ操作を支援する操作支援装置による操作支援方法」は,コンピュータによって実行される方法であることは明らかであるので,引用発明と本願発明1とは,“コンピュータで実行される方法”である点で一致する。
(い)引用発明は,「作業者が操作」することにより「アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが動作する」ものであるところ,当該「アプリケーション」は,本願発明1の「オブジェクト」に相当し,また,当該「アプリケーション」を「動作」させることは,本願発明1の「第1のオブジェクトについて」の「第1の動作の発生」を生じせしめることに対応し,引用発明において「作業者」の「操作」によって「アプリケーションが動作する」ことは,本願発明1の「ユーザの操作がコンピューティングデバイスに与えられたことに基づいて、第1のオブジェクトについて」の「第1の動作の発生」が生ずることに対応する。
また,引用発明は「アプリケーション監視手段は,当該アプリケーション監視手段を有するアプリケーションプラグイン部に対応づけられたアプリケーション(以下,単に,対応アプリケーションという。)の動作を監視し,特定の動作およびその動作対象を検出し,検出した動作を識別するための情報と,検出した動作対象を示す情報とを,後述する動作履歴記録手段に渡し」たうえ,「前記動作履歴記録手段は,各アプリケーション監視手段から,アプリケーション群で発生した所定の動作を識別するための情報とそのときの動作対象を示す情報とを受け取り,それらの情報を対にして,動作履歴として,動作履歴記憶部に記憶させ」るものであるところ,アプリケーションの動作を動作記録として記憶部に記憶していて,上記「第1のオブジェクトについて」の「第1の動作の発生」を記録しているといえるから,以上総合して,引用発明と本願発明1とは,下記の点(相違点1)で相違するものの,“ユーザの操作がコンピューティングデバイスに与えられたことに基づいて,第1のオブジェクトについての第1の動作の発生を記録するステップを含”む点で一致する。
(う)引用発明は,「予測候補抽出手段は,予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出されると,その動作と動作対象の組み合わせと,動作履歴記憶部に記憶されている動作履歴を照合し,動作履歴に含まれる動作と動作対象の組み合わせの中から,予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせを,次のユーザ操作に係るアプリケーション動作の予測候補として抽出」するものであるところ,当該「予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出される」ことは,上記(い)において示した,本願発明1の「第1のオブジェクトについて」の「第1の動作の発生」が再び特定されること,すなわち「前記第1の動作の第2の発生」が「特定」されることを意味するといえるから,引用発明と本願発明1とは,下記の点(相違点4)で相違するものの,“前記コンピューティングデバイス上で前記第1のオブジェクトの前記第1の動作の第2の発生を特定するステップ”を含む点で一致する。
(え)引用発明は,「予測候補抽出手段」によって「予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出されると,その動作と動作対象の組み合わせと,動作履歴記憶部に記憶されている動作履歴を照合し,動作履歴に含まれる動作と動作対象の組み合わせの中から,予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせを,次のユーザ操作に係るアプリケーション動作の予測候補として抽出」されるものであるところ,「予測対象とするアプリケーション動作とその動作対象が検出され」ることは,上記(う)の認定を踏まえると,“前記第2の発生に基づい”た処理が行われていることを示すものである。
また,引用発明は,「予測候補提示手段」によって「予測候補抽出手段が抽出した予測候補を提示し,作業者に適切な予測候補として1つの予測候補を選択させ」た上で,「予測候補実行指示手段」が「前記予測候補提示手段によって決定された1の予測候補の内容(動作と動作対象の組)を受け取り,対応するアプリケーションのアプリケーション実行指示手段に制御指示を出」すものであるところ,当該指示を受けて動作する「対応するアプリケーション」は,本願発明1の「第2のオブジェクト」に対応するといえ,また,当該「対応するアプリケーション」は,「予測候補抽出手段」によって,「予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせ」として,「次のユーザ操作に係るアプリケーション動作の予測候補として抽出」されていることから,当該「次のユーザ操作に係るアプリケーション動作」は,当該「対応するアプリケーション」の「動作」であるといえるから,“第2のオブジェクトについての動作”に対応する。
そして,引用発明の「予測候補抽出手段」が「予測対象とされた動作と動作対象の組み合わせと関連性の高い組み合わせ」を抽出することはすなわち,上記(う)の認定も踏まえれば,“第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定”しているといえることから,以上を総合して,引用発明と本願発明1とは,下記の点(相違点5)において相違するものの,“前記第2の発生に基づいて,第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定するステップ”を含む点で一致する。
(お)引用発明は,「予測候補提示手段」が「抽出された予測候補から適切な候補を作業者に選択させるための候補選択画面を出力表示を介して表示する」ところ,当該「予測候補提示手段」はまた,「予測候補抽出手段が抽出した予測候補を提示し,作業者に適切な予測候補として1つの予測候補を選択させ」るものでもあり,「1つの予測候補を選択させ」ることはすなわち,複数の予測候補のうちから1つを選択させることを示しているといえる。そして,上記(い)の認定を踏まえると,当該「抽出された予測候補から適切な候補を作業者に選択させるための候補選択画面」には,複数の「抽出された予測候補」,すなわち本願発明1の「コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる1つ以上のオブジェクトのリスト」に対応する事項が表示されているといえる。
そして,当該「リスト」に対応する事項は,上記(え)の対比の項で示したように,“第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定”した結果,表示されるものであるから,引用発明と本願発明1とは,“前記第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連するとの判定に応答して,前記コンピューティングデバイスの第1状態に関連付けられる1つ以上のオブジェクトのリストを,前記コンピューティングデバイス上での表示のために提供するステップ”を含む点で一致する。
(か)引用発明の「予測候補提示手段」は,「予測候補抽出手段が抽出した予測候補を提示し,作業者に適切な予測候補として1つの予測候補を選択させ」るものでもあり,当該「作業者」によって「1つの予測候補を選択」させることによって,ユーザによる選択を受信することは明らかであるから,引用発明と本願発明1とは,“前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの1つのユーザ選択を受信するステップ”を含む点で一致する。
(き)引用発明の「予測候補実行指示手段」は,「予測候補提示手段によって決定された1の予測候補の内容(動作と動作対象の組)を受け取り,対応するアプリケーションのアプリケーション実行指示手段に制御指示を出」すものであり,当該「対応するアプリケーションのアプリケーション実行指示手段に制御指示を出」すことによって当該「対応するアプリケーション」が実行されることとなり,したがって引用発明は,本願発明1の「コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの前記1つを前記コンピューティングデバイス上でインスタンス化させる」ことに対応する構成を有するといえるから,引用発明と本願発明1とは,“前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの前記1つを前記コンピューティングデバイス上でインスタンス化させるステップ”を含む点で一致する。
(く)以上,(あ)乃至(き)の検討から,引用発明と本願発明1とは,次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
コンピュータで実行される方法であって,
ユーザの操作がコンピューティングデバイスに与えられたことに基づいて,第1のオブジェクトについての第1の動作の発生を記録するステップを含み,
前記方法はさらに,
前記コンピューティングデバイス上で前記第1のオブジェクトの前記第1の動作の第2の発生を特定するステップと,
前記第2の発生に基づいて,第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定するステップと,
前記第2のオブジェクトについての動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連するとの判定に応答して,前記コンピューティングデバイスの第1状態に関連付けられる1つ以上のオブジェクトのリストを,前記コンピューティングデバイス上での表示のために提供するステップと,
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの1つのユーザ選択を受信するステップと,
前記コンピューティングデバイスの前記第1状態に関連付けられる前記1つ以上のオブジェクトのうちの前記1つを前記コンピューティングデバイス上でインスタンス化させるステップと,
を含む方法。
〈相違点1〉
本願発明1が,「第1の動作の発生を記録するステップ」において記録される「第1の動作」は,「第1のオブジェクトについて予め定義された」ものであり,また,「第1の動作に関連すると判定するステップ」において,「第1のオブジェクトについての前記第1の動作」と「関連すると判定」される動作が,「第2のオブジェクトについて予め定義された動作」であるのに対し,引用発明は,「動作履歴記憶部」が,「アプリケーション群で発生した所定の動作と,該動作の動作対象とを対応づけて,履歴情報として記憶」するものであるが,予め定義された動作を記録することが特定されていない点。
〈相違点2〉
本願発明1が,「前記第1のオブジェクトと同時に前記コンピューティングデバイス上で開いている第2のオブジェクトについて予め定義された動作の発生を記録するステップ」を含むのに対し,引用発明はそのようなステップが特定されていない点。
〈相違点3〉
本願発明1の「コンピューティングデバイスの前記第1状態を記憶するステップ」が,「前記第1のオブジェクトに関連付けられた動作と、前記第2のオブジェクトに関連付けられた動作とを互いに関連付けてデータベースに記憶すること」を含むのに対し,引用発明には,当該データベースに記憶することが特定されていない点。
〈相違点4〉
本願発明1が,「前記コンピューティングデバイス上で前記第1のオブジェクトの前記第1の動作の第2の発生を特定する」ことを,「前記第1のオブジェクトが閉じられた後に」行うのに対し,引用発明ではそのことが特定されていない点。
〈相違点5〉
本願発明1が,「前記第2のオブジェクトについて予め定義された動作が前記第1のオブジェクトについての前記第1の動作に関連すると判定する」に際し,「第2の発生と前記データベース」に基づくのに対し,引用発明は,第2の発生とデータベースに基づくことが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み,先に相違点2,3及び5について検討する。
本願発明1は,「第1のオブジェクトと同時に…コンピューティングデバイス上で開いている第2のオブジェクトについて予め定義された動作の発生を記録する」ものであり,このことは,当該「第1のオブジェクト」及び「第2のオブジェクト」が同時に「コンピューティングデバイス上で開いている」,すなわち起動されていることを特定している。
この点に関し,例えば本願明細書段落0007には,コンピューティングデバイスのオペレーティングシステムの一部として実装される電子的なレコーダによって,デバイス上のプロセスが監視され,例えば,デバイスにおける任意のアプリケーションのインスタンス化,メディアファイルのロード(例えば,歌もしくは動画の再生),またはチャットセッションなどの通信セッションの開始,およびその他のそのようなイベントが,レコーダにより調べることができ,前に開いていたアプリケーションを開き,前に開いていたウェブページまたはその他のコンテンツのソースを開き,前に会話していたユーザに連絡するといったようなことができることが例示され,同じく本願明細書の段落0023には,コンピュータが,どのオブジェクト(例えば,アプリケーション,プログラム,ファイル)が同時に使用されているのかを記録するためにさまざまな時点で「スナップショット」を取ることができ,これらの「スナップショット」から,ユーザがそのユーザのコンピュータで特定のオブジェクトを同時に開いておくことを好むという推定がなされ得ることも例示されている。
これらのことからも,本願発明1の「第1のオブジェクトと同時に…コンピューティングデバイス上で開いている第2のオブジェクトについて予め定義された動作の発生を記録する」との事項は,コンピュータが稼働しているある時点において,同時に複数のオブジェクトが起動されている状態を記録することを特定しているものと解される。
一方,引用発明は,「作業者が,コンピュータ上で動作する複数のアプリケーションを連続的に利用して業務を行っていることを背景とし」たものであって,「動作履歴記録手段」は,「各アプリケーション監視手段から,アプリケーション群で発生した所定の動作を識別するための情報とそのときの動作対象を示す情報とを受け取り,それらの情報を対にして,動作履歴として,動作履歴記憶部に記憶させ」るものであり,結果として,過去のある時点において,複数のアプリケーションが起動されていることが,当該「動作履歴記憶部に記憶」された「動作履歴」から読み出すことは可能であるものの,複数のオブジェクトが同時に開かれた状態を,「第1のオブジェクトに関連付けられた動作」と,「第2のオブジェクトに関連付けられた動作とを互いに関連付けてデータベースに記憶する」ことまでは想定しておらず,またそのことを示唆する記載は引用例1にはない。
また,このことは,上記引用例2の引用例2記載事項においても,「データ処理装置100」に「実装され」る「"A~C"なるアプリケーションソフトAS」について,「そのA,BなどのアプリケーションソフトASのID(Identity)データによりソフト連携関係SCが登録され」ることや,「特定のアプリケーションソフトASが起動されてから任意のアプリケーションソフトASが起動されるとソフト連携関係SCを記憶」すること,さらに「他のアプリケーションソフトASとの連携が予想されるプレゼンテーションソフトなどが起動されてからワードプロセッサソフトが起動されたときに,そのソフト連携関係SCが登録され」ることや,「ソフト記憶部110」が「各々固有のアプリケーションデータを使用する複数種類のアプリケーションソフトASを記憶し,連携記憶部140は,起動されている複数種類のアプリケーションソフトASで使用されているアプリケーションデータのソフト連携関係まで記憶」することなどの記載はあるものの,「第1のオブジェクトと同時に…コンピューティングデバイス上で開いている第2のオブジェクトについて予め定義された動作の発生を記録する」ことは記載されていない。
さらに,このことは,第4 3及び4の上記記載事項P乃至Qにも記載も示唆もされておらず,したがって引用発明及び引用例2乃至4の記載に基づいて,上記相違点2,3及び5に係る構成を想起することは,当業者といえども容易とまではいえない。
したがって,上記その余の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び引用例2乃至4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明2乃至7について
本願発明2乃至7は,本願発明1を直接又は間接的に引用するものであり,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用例2乃至4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 当審拒絶理由の概要
<特許法36条6項1号について>
当審より,請求項1乃至7に係る発明は,本願明細書の発明の詳細な説明に記載されておらず,本願は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶理由を通知したが,上記第3に示すとおり補正され,本拒絶理由は解消した。
<特許法29条2項について>
当審より,請求項1乃至7に係る発明は,その出願前日本国内において頒布された上記引用例1に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨の拒絶理由を通知したが,上記第3に示すとおり補正され,上記第5で判断を示したとおり,当業者であっても,引用発明及び引用例2乃至4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず,本拒絶理由は解消した。
第7 原査定について
1 理由1(特許法17条の2第3項)について
和2年6月2日付け手続補正書による補正により,平成29年6月5日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項8に記載された事項は削除され,原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(特許法29条2項)について
令和2年6月2日付け手続補正書による補正により,本願発明1乃至7は,上記第3に示すとおりとなり,上記第5に示したとおり,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1乃至4(上記第4の引用例4並びに引用例1乃至3)に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由2を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2019-003450