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特許拒絶査定不服審判

2019-003207

電力変換装置および電力変換装置の状態判定方法

審判番号
2019-003207
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-006676
請求日
2019年03月07日
審決日
2020年07月15日
公報発行日
2020年09月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社日立産機システム
  • 【請求人代理人】特許業務法人湘洋内外特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 田中 秀人
  • 審判官 小林 秀和
  • 審判官 月野 洋一郎
分類
P18 .121-WY (H02M) / P18 .55 -WY (H02M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-  6676「電力変換装置および電力変換装置の状態判定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月27日出願公開、特開2015-136243、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続きの経緯 本願は,平成26年1月17日の出願であって,平成29年9月29日付けで拒絶理由通知がされ,平成29年12月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成30年5月28日付けで最後の拒絶理由通知がされ,平成30年8月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものの,平成31年1月11日付けで前記平成30年8月6日付けの手続補正を却下する旨の補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,平成31年3月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和1年5月7日付けで最後の拒絶理由通知がされ,令和1年7月12日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1-2に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明2」という。)は,令和1年7月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 負荷で生じた回生電力を交流電力に変換して電源に出力する回生電力逆変換部と、 前記回生電力逆変換部を制御する回生電力逆変換制御部と、 継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部と、 前記継電器制御部から前記継電器に出力される前記駆動信号を検出する検出部と、 前記継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号と、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記継電器の状態を判定する判定部と、 前記負荷に交流電力を出力する逆変換部と、 前記逆変換部を制御する逆変換制御部と、 を有し、 前記継電器は、容量素子と直列に接続されて、前記回生電力逆変換部及び前記逆変換部に並列に接続され、 前記判定部は、前記継電器制御部から、 前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定し、 前記継電器を閉じたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を開くための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定し、 前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合、 前記回生電力逆変換制御部は、前記回生電力逆変換部の電力変換を停止するように制御し、 前記逆変換制御部は、前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する ことを特徴とする電力変換装置。」 本願発明2は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 第3 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平4-295299号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) A「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、モータ起動用リレーの異常検出装置に係り、特にメインリレーと、メインリレーに並列に設けられた充電用抵抗およびサブリレーとを備えるモータ起動用リレーの異常検出装置に関する。」 B「【0020】 【課題を解決するための手段】この発明に係るモータ起動用リレーの異常検出装置は、メインリレーの駆動コイルの一端の電圧を検出する検出手段と、検出手段により検出された電圧と基準電圧とを比較する比較手段と、比較手段からの出力によりメインリレーがオープンしているか否かを判断し、オープンしていると判断した場合、インバータからモータへの電力供給を規制する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。」 C「【0022】 【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。なお、図4乃至図7に示される従来例と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。本実施例の装置においては、図1に示すように、メインリレー24の出力側がトランジスタ44のコレクタに接続されており、トランジスタ44のベースは抵抗46を介してコントローラ38に接続されている。従って、コントローラ38からの指令によりトランジスタ44が動作状態/遮断状態となり、これによりメインリレー24が開閉するようになっている。 【0023】また、サブリレー20の出力側はトランジスタ40のコレクタに接続されており、トランジスタ40のベースは抵抗42を介してコントローラ38に接続されている。従って、コントローラ38からの指令によりトランジスタ40が動作状態/遮断状態となり、これによりサブリレー20が開閉するようになっている。なお、トランジスタ40,44のエミッタは補機バッテリ34のマイナス側へ接続されている。 【0024】そして、IGスイッチ36とコントローラ38との間には並列に例えば1kオームの分圧抵抗64,66が直列接続されており、分圧抵抗64,66の接続点は比較手段としてのコンパレータ52のマイナス側入力に接続されている。これによりメインリレー24の開放時より低くかつ通流時より高い基準電圧がコンパレータ52のマイナス側入力に入力されるようになっている。 【0025】また、コンパレータ52のプラス側入力はメインリレー24の出力側に接続されており、コンパレータ52の出力側はコントローラ38に接続されている。」 D「【0029】そして、サブリレー20が閉じてからコンデンサ26の充電時間内の所定時間経過後にコントローラ38はトランジスタ44へ指令信号(c)を出力してメインリレー24を閉じる。この際、メインリレー24が作動することにより電圧がドロップし、コンパレータ52のプラス側入力は「H」から「L」へ落ち(図2(e)参照)、これによりコンパレータ52の出力は「H」から「L」へ変化し(図2(f)参照)、コントローラ38がONし(図2(g)参照)、コントローラ38は、インバータ28を制御して主バッテリ16から供給される直流電流を交流電流に変換してモータ20へ供給し、モータ20を起動する。 【0030】また、メインリレー24が故障等により正常に作動しなかった場合、コンパレータ52のプラス側入力は「H」レベルのままであり(図3(e)参照)、コンパレータ52の出力は「H」レベルに固定され(図3(f)参照)、コントローラ38はOFFのままであり(図3(g)参照)、コントローラ38はインバータ28を作動させることはなく、主バッテリ16からサブリレー20および充電用抵抗22を介してインバータ28へ大電流が流れず、充電用抵抗22が焼損することはない。」 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「モータ起動用リレーの異常検出装置であって, メインリレーの駆動コイルの一端の電圧を検出する検出手段と,検出手段により検出された電圧と基準電圧とを比較する比較手段と,比較手段からの出力によりメインリレーがオープンしているか否かを判断する制御手段と,を備え, メインリレーの出力側がトランジスタのコレクタに接続されており,トランジスタのエミッタは補機バッテリのマイナス側へ接続されており,分圧抵抗の接続点は比較手段としてのコンパレータのマイナス側入力に接続されており,基準電圧がコンパレータのマイナス側入力に入力されるようになっており,コンパレータのプラス側入力はメインリレーの出力側に接続されており,コンパレータの出力側はコントローラに接続されており,コントローラはトランジスタへ指令信号を出力してメインリレーを閉じ,この際,コンパレータのプラス側入力は「H」から「L」へ落ち,これによりコンパレータの出力は「H」から「L」へ変化し,コントローラは,インバータを制御して主バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換してモータへ供給し,メインリレーが故障等により正常に作動しなかった場合,コンパレータのプラス側入力は「H」レベルのままであり,コンパレータの出力は「H」レベルに固定され,コントローラはインバータを作動させることはない, モータ起動用リレーの異常検出装置。」 2.引用文献3,4,a,b,αについて (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平7-59359号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 E「【0016】 【実施例】以下この発明の実施例を図1の回路図に従って説明する。なお図1においては図2に示す従来技術の実施例の場合と同一機能の構成要素に対しては同一の表示符号を付している。図1は図2の回路図において、限流抵抗51と電磁接触器の接点52との並列接続を限流抵抗36と電磁接触器の接点37との並列接続に変更の上、その設置場所を変更し、コンデンサ33に対しその正極側において直列に接続したものである。なお前記の限流抵抗36と接点37との並列接続をコンデンサ33に対しその負極側において直列に接続しした場合も、コンデンサ33に対する突入電流の限流特性において全く同様に機能する。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2009-11042号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 F「【0009】 図1は、本発明の突入電流防止回路の保護方法を実施するインバータ装置の構成図である。同図において、1は交流電源、2はコンバータ部、3は突入電流抑制抵抗、41は接点がONしたことを示すアンサーバック機能を有したリレー、5は平滑コンデンサ、6はインバータ部、7は負荷となるモータ、8は直流母線電圧検出部、9は制御回路部である。制御回路部9は、トルクリミット機能を有したインバータ制御部、直流母線電圧検出部8による直流電圧の監視、リレー4の駆動指令およびアンサーバック信号の監視機能を有している。 突入電流防止回路10は突入電流抑制抵抗3、リレー41、直流母線電圧検出部8および制御回路部9により構成されたものである。その基本動作は図3で示す従来例と同様であるが、図3の回路構成と異なるのは、リレー4をアンサーバック機能を有したリレー41とし、直流母線電圧検出部8を追加した点である。 【0010】 図2は実施例における突入電流防止回路10の保護方法、さらに詳細に言えば突入電流抑制抵抗の焼損を防止するための処理手順を示すフローチャートである。以下、図2に基づいて本発明の突入電流防止回路10の保護方法について説明する。 はじめにステップ1(図2ではS1と記載。以下、同じ。)でリレー4のアンサーバック信号を監視しておきアンサーバック信号がOFFすると、ステップ2で電動側トルクリミッタの設定値を下げて、すなわち、突入電流抑制抵抗3に連続通電可能な電流値以下となる値まで下げて、負荷となるモータ7への負荷電流を抑制する。これにより突入電流防止回路10が異常であった場合の突入電流抑制抵抗3の焼損を防止している。アンサーバック信号がOFFでなければステップ1に戻る。」 (3)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献a(特開2013-219939号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 G「【0004】 判定手段6は、前記のようにCPLT信号に基づいてリレー5に対し充電電路の開閉信号を送信する他、接点検出手段8からリレー5の開閉状態を示す信号を受け取って前記開閉信号との整合性を判断し、溶着判定や不動作判定等のリレー5の状態判定を行い、制御部3の制御に対しリレー5が実際に動作しているかを監視している。動作が行われていない時には表示部13にエラー表示を行う。」 (4)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献b(特開平6-103872号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 H「【0009】 【作用】接点異常は先に述べたように接点が焼失や溶着により開閉不能となるものであり、その際は接点が常時開または常時閉の状態となる。このことから、上記第1及び第2発光素子の点灯状態を照合する接点異常検出方法では、接点がメーク接点の場合には両発光素子の一方が点灯で他方が不点灯であることにより接点異常を検出することができ、接点がブレーク接点の場合には両発光素子が共に点灯または不点灯であることにより接点異常を検出することができる。」 (5)令和1年5月7日付けの拒絶の理由に引用された引用文献α(特開平6-249569号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 J「【0030】中継器24は前記各出力端子17A及び18Aからの信号に基づき、ステップS1で検出器2からの信号が正常か否か判断する。ここで、電磁継電器4に異常が発生しておらず、正常であれば励磁コイル9に通電されることにより全接点6、7、8も閉じるため、前記励磁コイル電圧検出信号が「H」の場合には二次側電圧検出信号も「H」となる。逆に、励磁コイル9が非通電となれば全接点6、7、8も開くため、前記励磁コイル電圧検出信号が「L」の場合には二次側電圧検出信号も「L」となる。従って、両信号がいずれも「H」或いは「L」である場合には中継器24はステップS1からステップS5に進んで電磁継電器4が正常である旨のデータを、それに対応する検出器2の前記認識番号を付加し、通信データとして集中警報装置27に送信する。集中警報装置27は全ての中継器24からのデータを受信し、いずれも正常であれば当該データを保存すると共に、その旨パーソナルコンピュータ29に送信する。パーソナルコンピュータ29は当該正常である旨のデータを電話回線32によりサービス会社等に送信する。 【0031】ここで、例えば接点6、7、8にカーボンが付着して接点接触不良が発生し、励磁コイル9に通電して全接点6、7、8を閉じても、圧縮機3に通電されなくなったものとすると、前記励磁コイル電圧検出信号が「H」であるにも係わらず二次側電圧検出信号は「L」となる。係る場合、中継器24は電磁継電器4に接点接触不良が発生したものと判断してステップS2とステップS3を実行し、検出器2の入力端子21Aに励磁コイルOFF-ON信号を一回又は複数回送信する。検出器2の励磁コイル制御回路21は中継器24からの励磁コイルOFF-ON信号に基づいてコイル19により励磁コイル制御スイッチ12を一回又は複数回開閉する試行動作を実行する。」 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。 (ア) 引用発明の「モータ起動用リレーの異常検出装置」は,「主バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換」するものであるから,電力変換のための装置であるといえる。 してみると,本願発明1の「電力変換装置」と引用発明の「モータ起動用リレーの異常検出装置」とは,“電力変換装置”である点で一致する。 (イ) 引用発明の「メインリレー」は,本願発明1の「継電器」に相当する。 (ウ) 引用発明では,「メインリレーの駆動コイルの一端の電圧を検出する検出手段」「により検出された電圧」は,「比較手段」が「比較する」ものであり,「比較手段としてのコンパレータ」「のプラス側入力はメインリレーの出力側に接続されており」,「コンパレータのプラス側入力は」,「メインリレーを閉じ」る「際,」「「H」から「L」へ落ち」るものであるところ,駆動コイルを有するリレーの一般的な動作は,駆動コイルの端部に印加される電圧に応じて,リレー接点の開閉状態が変化するものであることが技術常識であるから,引用発明の「メインリレーの駆動コイルの一端の電圧」は,「L」へ落ちることでメインリレーを閉じることが可能な駆動信号であるといえる。また,引用発明は,「コントローラはトランジスタへ指令信号を出力してメインリレーを閉じ」るものであり,「メインリレーの出力側がトランジスタのコレクタに接続されて」いるのであるから,「メインリレーの駆動コイルの一端の電圧」は,指令信号に応じてトランジスタの動作状態が変化することで,当該トランジスタのコレクタからメインリレーの出力側に出力される電圧によってもたらされるものであるといえる。そして,引用発明の「指令信号」は,メインリレーの開閉状態を示す信号であるといえるところ,引用発明の「トランジスタ」及び「コントローラ」は,全体として,メインリレーを開閉することが可能な電圧をメインリレーの出力側に出力するとともに,指令信号を出力するものであるといえる。 してみると,本願発明1の「電力変換装置」と引用発明の「モーター起動用リレーの異常検出装置」とは,“継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部”であって,“継電器の開閉状態を示す制御状態信号”が“継電器制御部から出力される”,“継電器制御部”を有する点において一致する。 (エ) 引用発明の「メインリレーの駆動コイルの一端の電圧」は,メインリレーの出力側からコンパレータのプラス側入力に入力されるものである。 してみると,上記(ウ)の検討内容も踏まえると,本願発明1の「電力変換装置」と引用発明の「モーター起動用リレーの異常検出装置」とは,“継電器制御部から継電器に出力される駆動信号を検出する検出部”を有する点において一致する。 (オ) 引用発明は,「コンパレータの出力側はコントローラに接続されており」,「制御手段」は「比較手段からの出力によりメインリレーがオープンしているか否かを判断する」ものであるから,引用発明の「コントローラ」は,コンパレータの出力に基づいてメインリレーの状態を判定するものであるといえる。また,引用発明は,「コンパレータのプラス側入力は「H」から「L」へ落ち,これによりコンパレータの出力は「H」から「L」へ変化」する一方で,「コンパレータのプラス側入力は「H」レベルのままであ」ると,「コンパレータの出力は「H」レベルに固定され」るものであるから,コンパレータの出力は,コンパレータのプラス側入力の検出結果を示すものであるといえる。 してみると,本願発明1の「電力変換装置」と,引用発明の「モーター起動用リレーの異常検出装置」とは,“検出部の検出結果に基づいて、継電器の状態を判定する判定部”を有する点で一致する。 (カ) 引用発明の「モータ」及び「インバータ」は,それぞれ本願発明1の「負荷」及び「逆変換部」に相当する。また,引用発明は,「コントローラは,インバータを制御して主バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換してモータへ供給」するものであるから,インバータはモータに交流電力を出力するものであり,コントローラはインバータを制御するものであるといえる。 してみると,本願発明1の「電力変換装置」と引用発明の「モーター起動用リレーの異常検出装置」とは,“負荷に交流電力を出力する逆変換部”,及び “逆変換部を制御する逆変換制御部”を有する点で一致する。 (キ) 引用発明は,「コントローラはトランジスタへ指令信号を出力してメインリレーを閉じ」,「メインリレーが故障等により正常に作動しなかった場合,コンパレータのプラス側入力は「H」レベルのままであり」,「コントローラはインバータを作動させることはない」ものであるから,引用発明の「コントローラ」は,コントローラからメインリレーを閉じるための指令信号が出力され,コンパレータのプラス側入力は「H」レベルのままである場合,メインリレーが正常に作動しない異常な状態であると判断するものであるといえる。そして,前記「コンパレータのプラス側入力は「H」レベルのままである場合」とは,メインリレーの駆動コイルの一端の電圧,すなわち,駆動信号が,メインリレーが正常に作動せずオープンしている電圧レベルのままである場合といえるから,実質的に,検出部によって継電器を開くための駆動信号が検出された場合であるといえる。また,この判断は,メインリレーがオープンしているか否かについての判断の一環として行われるものであるといえる。 してみると,上記(ウ)及び(オ)の検討内容も踏まえると,本願発明1の「判定部」と,引用発明の「コントローラ」におけるメインリレーがオープンしているか否かを判断する機能部分とは,“継電器制御部から,継電器を閉じたことを示す制御状態信号が出力され,検出部によって継電器を開くための駆動信号が検出された場合,継電器は異常であると判定”するものである点で一致する。 (ク) 引用発明は,「メインリレーが故障等により正常に作動しなかった場合」,「コントローラはインバータを作動させることはない」ものであるから,引用発明の「コントローラ」は,メインリレーが正常に作動しない場合にインバータを停止するよう制御するものであるといえる。また,この制御は,インバータを制御することの一環として行われるものであるといえる。 してみると,上記(カ)及び(キ)の検討内容も踏まえると,本願発明1の「逆変換制御部」と,引用発明の「コントローラ」におけるインバータを制御する機能部分とは,“判定部によって継電器が異常であると判定された場合,逆変換部の電力変換を停止するように制御する”ものである点で一致する。 イ したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部と, 前記継電器制御部から前記継電器に出力される前記駆動信号を検出する検出部と, 前記検出部の検出結果に基づいて、前記継電器の状態を判定する判定部と, 負荷に交流電力を出力する逆変換部と, 前記逆変換部を制御する逆変換制御部と, を有し, 前記判定部は,前記継電器制御部から, 前記継電器を閉じたことを示す制御状態信号が出力され,前記検出部によって前記継電器を開くための前記駆動信号が検出された場合,前記継電器は異常であると判定し, 前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合, 前記逆変換制御部は,前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する ことを特徴とする電力変換装置。」 (相違点) (相違点1)本願発明1は,「負荷で生じた回生電力を交流電力に変換して電源に出力する回生電力逆変換部」と「回生電力逆変換部を制御する回生電力逆変換制御部」を有するのに対し,引用発明はそのような構成を備えていない点。 (相違点2)本願発明1は,「継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号と、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記継電器の状態を判定する判定部」を有するのに対し,引用発明の「コントローラ」は,継電器の状態の判定を,「継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号」に基づいて行うことについて特定されていない点。 (相違点3)本願発明1の「継電器」が、容量素子と直列に接続されて、前記回生電力逆変換部及び前記逆変換部に並列に接続され」るものであるのに対し,引用発明の「メインリレー」はそのように構成されていない点。 (相違点4)本願発明1の「判定部」が、「継電器制御部から、前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定」するものであるのに対し,引用発明の「コントローラ」はそのように構成されていない点。 (相違点5)本願発明1は,「前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合、前記回生電力逆変換制御部は、前記回生電力逆変換部の電力変換を停止するように制御」するものであるのに対し,引用発明はそのような構成を備えていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて,上記相違点4について先に検討する。相違点4に係る本願発明1の「前記判定部は、前記継電器制御部から、前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定」するという構成は,上記引用文献1,3,4,a,b,αには記載されておらず,本願出願前において周知技術であるともいえない。 また,引用発明は,「メインリレーがオープンしているか否かを判断する」ことについて,メインリレーを閉じるための「指令信号を出力し」てから行うことを前提とするものであって,メインリレーを閉じるための指令信号を出力していない状態で,メインリレーがオープンしているか否かの判定を行うべきであるとする課題について何ら言及されておらず,この点において引用発明に対して上記相違点4に係る構成を採用する動機付けを認めることはできず,また,他に引用発明に対し上記相違点4に係る構成を採用する動機づけも見出すことはできない。 したがって,引用発明に基づいて,相違点4に係る本願発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得ることであるとはいえない。 したがって,本願発明1は,他の相違点を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明,引用文献3,4,a,b,αに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2について 本願発明2は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1の「前記判定部は、前記継電器制御部から、前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定」することに対応する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても引用発明,引用文献3,4,a,b,αに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は,請求項1~8に係る発明は,引用文献1,3,4,a,bに記載された発明に基づいて,当業者であれば容易になし得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないというものである。しかしながら,令和1年7月12日付け手続補正により補正された請求項1,2は,それぞれ「前記判定部は、前記継電器制御部から、前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定」するという事項,当該事項に対応する構成を有するものとなっており,上記のとおり,本願発明1-2は,上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献3,4,a,bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。 第6 令和1年5月7日付け拒絶理由について 1.特許法第17条の2第3項について 令和1年5月7日付け拒絶理由通知書(以下,「前置拒絶理由通知書」という。)では,平成31年3月7日付け手続補正により補正された請求項1には,「回生電力逆変換部または前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する」との記載があるが,当該記載は当初明細書に記載された事項ではない,との拒絶の理由が通知されているが,同手続補正により補正された請求項1における「前記回生電力逆変換制御部及び前記逆変換制御部は、前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合、それぞれ前記回生電力逆変換部または前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する」との記載が,令和1年7月12日付けの手続補正により,「前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合、前記回生電力逆変換制御部は、前記回生電力逆変換部の電力変換を停止するように制御し、前記逆変換制御部は、前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 2.特許法第29条第2項について 前置拒絶理由通知書では,請求項2に係る発明は,引用文献1,3,a,b,αに記載された発明に基づいて,当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないとの拒絶の理由が通知されているが,上記のとおり,本願発明2は,上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献3,a,b,αに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明1-2は,当業者が引用発明及び引用文献3,4,a,b,αに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2019-003207

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