審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2019-002195

牛の第一胃鼓脹症検出方法及び第一胃鼓脹症検出システム

審判番号
2019-002195
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-023112
請求日
2019年02月18日
審決日
2019年11月11日
公報発行日
2019年12月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 【請求人代理人】丹羽 俊輔
  • 【請求人】国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 【請求人代理人】丹羽 俊輔
審判長/審判官
  • 審判長 秋田 将行
  • 審判官 有家 秀郎
  • 審判官 森次 顕
分類
P18 .121-WY (A01K) / P18 .537-WY (A01K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 23112「牛の第一胃鼓脹症検出方法及び第一胃鼓脹症検出システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月12日出願公開、特開2016-144428、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年2月9日の出願であって、原審におけるその後の手続の経緯は、以下のとおりである。 平成30年 5月16日付け  拒絶理由通知 (平成30年 5月24日発送) 平成30年 7月17日    意見書及び手続補正書の提出 平成30年11月12日付け  拒絶査定 (平成30年11月20日発送) 本件はこれに対し、原査定の謄本送達から3月以内の平成31年2月18日に、拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成30年11月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1ないし5に係る発明は、下記引用文献1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献: 1.米国特許出願公開第2009/0182207号明細書 2.米国特許出願公開第2012/0310054号明細書 第3 本願発明 本願請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」等という。)は、平成30年7月17日付け手続補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であって、以下のとおりの発明である。 本願発明1 「【請求項1】 略筒形状で、重量密度1.8~8.0gf/cm3であり、位置変化を検出できる変位検出手段及び該変位検出手段の測定データを無線送信する無線送信手段を備えた無線センサ端末を経口投与により牛の第一胃内に留置させ、該牛個体の体外で、前記変位検出手段の測定データとして、前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形を取得し、該波形の変動を検知することによって第一胃鼓脹症の発症の有無を検出する牛の第一胃鼓脹症検出方法。」 本願発明2 「【請求項2】 前記無線センサ端末より送信された前記測定データを受信するとともに該受信データをデータ処理手段へ送信する中継手順を含む請求項1記載の牛の第一胃鼓脹症検出方法。」 本願発明3 「【請求項3】 前記変位検出手段が、有機圧電薄膜で形成された圧電体を備え、圧電効果による電荷の変化により位置変化を検出する構造である請求項1又は請求項2記載の牛の鼓脹症検出方法。」 本願発明4 「【請求項4】 前記変位検出手段が加速度センサである請求項1~3のいずれか一項記載の牛の鼓脹症検出方法。」 本願発明5 「【請求項5】 略筒形状で、重量密度1.8~8.0gf/cm3であり、位置変化を検出できる変位検出手段及び該変位検出手段の測定データを無線送信する無線送信手段を備え、牛への経口投与により第一胃内に留置させる経口投与型の無線センサ端末と、 前記無線センサ端末より送信された前記測定データを受信するとともに該受信データをデータ管理手段へ送信する中継手段と、 前記中継手段より送信された前記測定データを処理するデータ処理手段と、を備え、 前記測定データとして、前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形を取得し、該波形の変動を検知することによって第一胃鼓脹症の発症の有無を検出する牛の第一胃鼓脹症検出システム。」 第4 進歩性 1 引用文献の記載 (1)引用文献1 ア 記載事項 原査定に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(各段落の後の括弧書きの仮訳、及び下線は、当審で付した。以下同様。)。 (ア) 「【0008】This disclosure relates generally to systems and methods for monitoring a health condition of an animal and, in particular, to systems and methods for monitoring one or more animal characteristics to detect a health condition of the animal. (本開示は、一般に、動物の健康状態を監視するためのシステムおよび方法、より詳細には、動物の健康状態を検出するために動物の1又は複数の特性を監視するためのシステムおよび方法に関する。)」 (イ) 「【0013】Turning now to FIG. 1, a block diagram 100 of one embodiment of a system for monitoring one or more animal characteristics is depicted. In FIG. 1, an ingestible bolus 10, 20 may be disposed within the body of an animal 12, 22. Bolus 10, 20 may be configured to be ingested via the esophagus 13, 23 of a ruminant animal 12, 22, such as a bovine. In this embodiment, bolus 10, 20 may be configured to have a size and density which will enable it to remain within the stomach of a bovine 12, 22, ensuring that it is not regurgitated from the animal's reticulum 14, 24 and/or rumen 15, 25. (ここで図1を参照すると、動物の1又は複数の特性を監視するためのシステムの一実施形態のブロック図100が示されている。図1において、体内に摂取することが可能なボーラス10、20が、動物12、22の体内に配置されている。ボーラス10、20は、牛などの反芻動物12、22の食道13、12を通じて、体内に摂取されるように構成することができる。この実施形態では、ボーラス10、20は、牛12、22の胃の内部に留まることができる大きさと密度とを有するように構成することができ、それにより当該動物の第二胃14、24及び/又は第一胃15、25から吐き戻されないようにすることができる。) 【0014】FIG. 1 shows ingestible bolus 10 within reticulum 14 of ruminant animal 12 and ingestible bolus 20 within rumen 24 of ruminant animal 22. Ingestible bolus 10, 20 may be maintained in any stomach and/or stomach chamber capable of holding bolus 10, 20. Bolus 10, 20 may be capable of remaining in the animal's reticulum 14, 24 and/or rumen 15, 25 throughout the life of the animal 12, 22. (図1は、反芻動物12の第二胃14内に配置された、体内に摂取可能なボーラス10、及び、反芻動物22の第一胃24内に配置された、体内に摂取可能なボーラス20を示している。体内に摂取可能なボーラス10、20は、ボーラス10、20を保持することができる任意の胃及び/又は胃室の中に維持することができる。ボーラス10、20は、反芻動物12、22の生涯にわたって、当該動物の第二胃14、24及び/又は第一胃15、25の中に留めることが可能である。) 【0015】In an alternative embodiment, bolus 10, 20 may be injected into and/or implanted under the skin of an animal 12, 22 or otherwise implanted within the body of an animal 12, 22. (別の実施形態では、ボーラス10、20は、動物12、22の皮下に埋め込まれ、あるいは動物12、22の体の内部に埋め込まれてもよい。) 【0016】Bolus 10, 20 may comprise wireless communications means to allow bolus 10 to be in wireless communication with base station 40. Base station 40 may comprise a computing device 42 communicatively coupled to base station 40. Computing device 42 may be any general and/or specific purpose computing device known in the art. (ボーラス10、20は、ボーラス10が基地局40と無線通信することができるようにするため、無線通信手段を備えていてもよい。基地局40は、基地局40と通信可能に結合されたコンピュータ装置42を含むことができる。コンピュータ装置42は、当技術分野で知られている任意の汎用又は特殊目的のコンピュータ装置であってもよい。) 【0017】The base station 40 and/or computing device 42 may be monitored by and/or in communication with an animal manager. As used herein, an animal manager may refer to any person, machine, and/or process used to manage one or more animals. The animal manager may be in charge of and/or responsible for one or more animals monitored by the systems and methods disclosed herein. An animal manager may comprise one or more automated systems, such as feeding, heating, cooling and other systems. An animal manager may further comprise a human animal manager and/or veterinarian. Base station 40 and/or computing system 42 may be configured by and/or interact with the animal manager to monitor and/or respond to changes in animal 12, 22 health condition. (基地局40及び/又はコンピュータ装置42は、動物の管理主体によって監視されるか、動物の管理主体と通信してよい。本明細書で使用される場合、動物の管理主体は、1又は複数の動物を管理する任意の者、管理するために用いられる任意の機械若しくは任意のプロセスであってよい。動物の管理主体は、本明細書で開示されるシステムおよび方法によって監視される1又は複数の動物に関与し、及び/又は責任を持ってよい。動物の管理主体は、給餌、暖房、冷却等の1又は複数の自動システム、及びその他のシステムを含むことができる。動物の管理主体は、さらに人間である動物管理者及び/又は獣医師を含むことができる。基地局40及び/又はコンピュータ装置42は、動物12、22の健康状態を監視し、及び/又は健康状態の変化に対応するように、動物の管理主体に組み込まれ、あるいは動物の管理主体と相互作用するように構成してよい。) 【0018】The wireless communication means of bolus 10, 20 may comprise a wireless transmitter and/or receiver operating at 900 MHz or some other suitable radio frequency (RF). In some embodiments, such wireless communication may be two-way, allowing bolus 10, 20 to transmit and receive data from base station 40. In other embodiments, bolus 10, 20 may only be capable of transmitting data to base station 40. (ボーラス10、20の無線通信手段は、900MHz又は他の適切な無線周波数(RF)で動作する無線送信機及び/又は受信機を含んでもよい。いくつかの実施形態では、このような無線通信は、ボーラス10、20が基地局40からデータを送受信できる双方向通信とすることができる。他の実施形態では、ボーラス10、20は、基地局40にデータの送信を行うことができるだけでもよい。) 【0019】Animals 12 and 22 may be capable of roaming over a relatively large area, such as a feed lot, dairy, range area, enclosure, or the like. As such, the distance between base station 40 and bolus 10, 20 may become greater than the wireless communication range of bolus 10, 20. In this case, one or more wireless transponders 60, 62 may be deployed to increase the communications range of bolus 10, 20 to base station 40. Transponder(s) 60, 62 may receive wireless transmissions from bolus 10 and retransmit them at a higher power and/or a different frequency to allow such transmissions to be received by base station 40. Similarly, in this embodiment, transponder(s) 60, 62 may receive transmissions from base station 40 to bolus 10 and retransmit them at higher power so that they may be received by bolus 10, 20. (動物12及び22は、餌場、酪農場、放牧地域、囲い地のような比較的広い範囲にわたって移動可能である場合がある。そのため、ボーラス10、20と基地局40との間の距離は、ボーラス10、20の無線通信範囲よりも大きくなる場合がある。このような場合、1又は複数の無線中継器60、62を展開して、ボーラス10、20の基地局40に対する通信範囲を増加してよい。中継器60、62は、ボーラス10からの無線送信を受信して、より高い出力及び/又は異なる周波数でそれらを再送信することで、基地局40による受信が行われるようにすることができる。同様に、この実施形態では、中継器60、62は、基地局40からボーラス10への送信を受信し、ボーラス10、20による受信が行われるように、高い電力で再送信してもよい。)」 (ウ) 「【0022】Bolus 10, 20 may comprise one or more sensors to detect one or more characteristics of animal 12, 22. In this embodiment, bolus 10, 20 may wirelessly transmit data corresponding to monitored animal characteristics to base station 40. Monitored animal characteristics may include physiological characteristics, such as animal temperature, stomach pH, blood pH, heart rate, respiration, stomach contractions, and the like. Monitored animal characteristics may also include non-physiological characteristics, such as animal movement and/or motion activity, animal location, and the like. (ボーラス10、20は、動物12、22の1又は複数の特性を検出する1又は複数のセンサを含んでもよい。この実施形態では、ボーラス10、20は、監視される動物の特性に対応するデータを基地局40に無線送信してよい。監視される動物の特性は、体温、胃のpH、血液のpH、心拍数、呼吸、胃収縮等の生理学的特性を含むことができる。監視される動物の特性はまた、動物の移動特性及び/又は運動特性、動物の位置等のような、非生理学的特性を含むことができる。)」 「【0025】Turning now to FIG. 2, a block diagram of one embodiment 200 of a bolus 210 is depicted. The components of bolus 210 may be disposed within an enclosure 205. Enclosure 205 may be formed from any material capable of remaining within the stomach of an animal without deteriorating and/or degrading. In addition, enclosure 205 may be formed of a material unlikely to produce an adverse reaction in an animal when implanted therein (e.g., within the rumen or reticulum of the animal). In one embodiment, enclosure 205 may be formed from a non-toxic plastic material. (次に図2を参照すると、ボーラス210の一実施形態200のブロック図が示されている。ボーラス210の構成部品は筐体205内に配置することができる。筐体205は、動物の胃の中で崩壊及び/又は劣化することなく残存可能な任意の材料から形成することができる。また、筐体205は、動物内(例えば、動物の第一胃又は第二胃内)に移植された場合に、動物に有害な反応を生じにくい材料で形成することができる。一実施形態では、筐体205は、非毒性プラスチック材料から形成することができる。) 【0026】Bolus 210 may comprise one or more sensors 220 configured to measure one or more animal characteristics. One or more of sensors 220 may detect animal movement and/or motion activity characteristics including, but not limited to: distance traveled by the animal; animal movement frequency; animal movement speed; and the like. In one embodiment, an accelerometer 221 may be used to detect such movement and/or motion activity characteristics. In this embodiment, accelerometer 221 may be a three-axis accelerometer capable of detecting animal movement and/or motion activity in each of the Cartesian "x,""y," and "z" axes. Bolus 210 may change its orientation while within an animal (e.g., within an animal's rumen and/or reticulum). As such, detection of movement and/or motion activity in only one (1) or two (2) axes may yield inaccurate results. (ボーラス210は、動物の1又は複数の特性を測定するように構成された、1又は複数のセンサ220を含むことができる。1又は複数のセンサ220は、限定するものではないが次のような移動特性及び/又は運動特性:動物が移動した距離;動物の移動頻度;動物の移動速度など、を検出してよい。一実施形態では、加速度計221が、そのような移動特性及び/又は運動特性を検出するために、使用される。この実施形態では、加速度計221は、デカルト座標系の”x”、”y”、”z”各軸における動物の移動特性及び/又は運動特性を検出することが可能な、三軸加速度計であってもよい。ボーラス210は、動物の体内(例えば、動物の第一胃及び/又は第二胃内)で、その配向が変わる場合がある。そのため、移動特性及び/又は運動特性の検出が、一軸又は二軸のみである場合には、不正確な結果に至るおそれがある。) 【0027】An acceleration vector magnitude (VM) value may be calculated from the readings of the three-axis accelerometer by calculating a square root of the sum of squares of each of the "x,""y," and "z" coordinate axes as shown in Equation 1.1: (加速度のベクトル長(VM)は、式1.1に示すように、三軸加速度計の”x”、”y”、”z”各座標軸の測定値の自乗の和の平方根により、計算することができる。 (当審注; 式1.1の訳は省略)) 【0028】A derivative of the vector magnitude (VM) may be approximated by calculating the absolute value of the difference between subsequent vector magnitude values as illustrated in equation 1.2: (ベクトル長(VM)の導関数は、式1.2に示すように、後続のベクトル長との差分の絶対値を計算することで、近似することができる。 (当審注; 式1.2の訳は省略)) 【0029】The derivative of acceleration calculated per equation 1.2 may be useful in monitoring animal characteristics as it may remove errors caused by "sloshing" movement of bolus 210 within the stomach of the animal or other constant acceleration forces acting on the animal (e.g., gravity). Accordingly, the derivative of the movement and/or motion activity vector magnitude may provide an accurate representation of the actual movement and/or motion activity characteristics of the animal. (式1.2によって算出された加速度の導関数は、動物の胃の中で液面揺動により生じる誤差や、動物に作用するその他の一定の加速度(例えば重力)を除去することを可能とするため、動物の特性を監視するうえで有用である。従って、動物の移動特性及び/又は運動特性のベクトル長の導関数により、動物の実際の移動特性及び/又は運動特性の正確な表現を提供することができる。) 【0030】In addition to detecting movement and/or motion activity, accelerometer 221 may be configured to detect stomach contractions. Since bolus 210 may be disposed in the stomach of an animal (e.g., in a ruminant animal's rumen or reticulum), bolus 210 may be movably affected by animal stomach contractions. In this case, bolus 210 may be configured to have a weight and/or density sufficient to cause bolus 210 to be maintained in a lower portion of the animal stomach and/or be movably coupled to a wall of the animal's stomach. As used herein, a bolus 210 movably coupled and/or in movable communication with a stomach of an animal may refer to a condition wherein a movement of the stomach, such as a contraction, causes a corresponding movement detectable by accelerometer 221 the bolus 210. As such, bolus 210 may be movably coupled and/or in movable communication with a stomach wall, but not in contact with the stomach wall (e.g., bolus 210 may be movably coupled to the stomach wall via other materials in the stomach, such as feed material and/or fluids within the stomach). Stomach contraction movement may be detected by accelerometer 221 as a periodic acceleration. For example, a typical ruminant animal may experience a three (3) stomach contractions every minute while "on-feed" (i.e., every 20 seconds). As used herein, "on-feed" may refer to an animal health condition wherein the animal is actively feeding, and "off-feed" may refer to an animal health condition wherein the animal is no longer and/or intermittently feeding. Accordingly, an animal manager may be able to detect when an animal goes "off-feed" by observing a change and/or reduction in the frequency of animal stomach contractions. This may be important since going "off-feed" may be indicative of a more serious health condition. In addition, an animal may go "off-feed" before other health-condition symptoms (e.g., increased/decreased movement, temperature, or the like) are observable. (移動特性及び/又は運動特性を検出することに加えて、加速度計221は、胃の収縮を検出するように構成することができる。ボーラス210は、動物の胃の中(例えば、反芻動物の第一胃又は第二胃の中)に配置できるので、動物の胃の収縮による動的影響を受けることができる。この場合、ボーラス210は、動物の胃の下方部分に位置し続け、及び/又は動物の胃壁と連携して動くのに、十分な質量及び/又は密度を有するように構成することができる。本明細書において、ボーラス210が動物の胃と連携して動く及び/又は動物の胃の動きが伝わるとは、収縮のような胃の動きが、ボーラス210の加速度計221によって検出可能な対応する動きを生じるような状態を指す。そのため、ボーラス210は、動物の胃と連携して動く、及び/又は動物の胃の動きが伝わるが、胃壁と接触していなくともよい(例えば、ボーラス210に対して、胃内の食物及び/又は流体といった他の物質を介して、胃壁の動きが伝わってもよい)。胃の収縮運動は、加速度計221により、周期的な加速度として検出され得る。例えば、典型的な反芻動物では、”オン-フィード”では、毎分3回の(即ち、20秒毎の)の胃の収縮が生じる。ここで、”オン-フィード”とは、動物が活発に餌を食べている際の動物の健康状態を指し、”オフ-フィード”とは、動物がもはや餌を食べていないか、あるいは一時的に餌を食べていない際の動物の健康状態を指す。したがって、動物の管理主体は、動物の胃の収縮頻度の変化及び/又は減少を観察することにより、動物が”オフ-フィード”となったことを検出することができる。”オフ-フィード”となることは、より深刻な健康状態の指標である場合があるので、重要である。加えて、動物は、他の健康状態の症状(例えば、運動や体温の増加/低下等)が観察可能となるのに先立って、”オフ-フィード”となる場合がある。)」 (エ) 「【0059】Referring again to FIG. 1, one or more bolus 10, 20 may be in wireless communication with a base station 40. As such, bolus 10, 20 may periodically transmit animal characteristics messages to the base station 40. Base station 40 may be communicatively coupled to and/or may comprise a general and/or special purpose computing device 42. This computing device 42 may be configured to create one or more animal profiles associated with one or more animals 12, 22. The device may be further configured to compare any animal characteristics messages to one or more stored animal profiles. As a result of this comparison, the computing device 42 may modify the configuration of the bolus 10, 20 (e.g., modify the bolus 10, 20 polling frequency, sample time, transmission time or the like), may detect a health condition in an animal 12, 22 (e.g., detect an estrus and/or off-feed condition in an animal 12, 22), establish a profile and/or baseline characteristics for an animal 12, 22 or group of animals, or the like. (再び図1を参照すると、1又は複数のボーラス10、20は、基地局40と無線通信することができる。それに伴い、ボーラス10、20は、動物の特性のメッセージを、基地局40に周期的に送信してよい。基地局40は、汎用及び/又は特殊目的のコンピュータ装置42と通信可能に結合されるか、コンピュータ装置42を含むように構成されてよい。コンピュータ装置42は、1又は複数の動物12、22に関連付けられた、1又は複数の動物プロファイルを作成するように構成することができる。コンピュータ装置42はさらに、動物の特性のメッセージを、1又は複数の格納された動物プロファイルと比較するように構成されてもよい。この比較に基づいて、コンピュータ装置42は、ボーラス10、20の設定を修正したり(例えば、ボーラス10、20の通信頻度、サンプル時間、送信時間などを修正したり)、動物12、22の健康状態を検出したり(例えば、動物12、22が発情期であること及び/又はオフ-フィード状態であることを検出したり)、動物12、22または動物のグループの特性プロファイル及び/又は基準特性を確立したりすることができる。)」 (オ) 「【0060】Turning now to FIG. 3, one embodiment of an ingestible bolus 310 is depicted. Bolus 310 may comprise a substantially hollow enclosure shell 305. A portion of the enclosure shell 305 may be substantially cylindrically shaped. As discussed above, enclosure shell 305 may be formed from any material capable of withstanding the environment within a stomach of a ruminant animal. In addition, the material of enclosure shell 305 may be formed from a non-toxic material such that it may not significantly adversely affect a host animal while disposed within the animal's stomach. (ここで図3を参照すると、体内に摂取可能なボーラス310の一実施形態が示されている。ボーラス310は、実質的に中空の筐体外殻305を含むことができる。筐体外殻305は、実質的に円筒形の形状であり得る。上述したように、筐体外殻305は、反芻動物の胃内の環境に耐えることのできる任意の材料から形成することができる。また、筐体外殻305の材料は、動物の胃内に配置されている間に、宿主動物に重大な悪影響を及ぼさないよう、非毒性材料から形成されてもよい。)」 (カ) 「【0062】The end 303 of shell 305 may be enclosed. As such, ballast weight 315 may be disposed therein. In the FIG. 3 embodiment, ballast weight 315 may comprise a plurality of substantially spherical weights (e.g., bearings, BBs, or the like). Alternatively, ballast weight 315 may be comprised of a formed solid material. Ballast weight 315 may be configured such that when bolus 310 is disposed within a stomach of an animal, bolus 310 may be maintained substantially in a bottom portion of the stomach. In this embodiment, bolus 310 may be maintained in contact with the portion of the stomach wall. As such, bolus 310 may be movably coupled to the stomach wall to allow an accelerometer sensor (e.g., element 321 discussed below) of bolus 310 to detect a contraction or other movement of the stomach and/or stomach wall. Since bolus 310 may be configured to contact a lower portion of the stomach wall, ballast weight 315 may be configured to cause bolus 310 to have a greater density than the fluids and/or feed commonly within the stomach of a host animal. Alternatively, bolus 310 may be movably coupled to the animal's stomach substantially as described above in conjunction with FIG. 2. (筐体外殻305の端部303は、密閉することができる。このようにして、調整錘315が、その中に配置されてもよい。図3の実施形態では、調整錘315は、多数の実質的に球形の錘(例えば、ベアリング、BBなど)を含んでいてもよい。あるいは、調整錘315は、形成された固体材料から構成することができる。調整錘315は、ボーラス310が動物の胃の中に配置されると、ボーラス310が実質的に胃の底部に留まるように構成することができる。この実施形態では、ボーラス310は、胃壁の一部との接触を維持することができる。このようにして、ボーラス310は、ボーラス310の加速度計センサ(例えば、以下で論ずる加速度センサ321)が、胃及び/胃壁の収縮又は他の動きを検出することが可能となるように、胃壁と連携して動くようにされ得る。ボーラス310が胃壁の下方部分と接触するように構成する場合、調整錘315は、ボーラス310の密度が、宿主動物の胃の内部の流体及び/又は餌より概して大きな密度となるように、構成してよい。あるいは、ボーラス310は、図2に関連して既に述べたように、動物の胃と連携して動くように構成してよい。)」 (キ) 「【0071】The electrical components of bolus 310 may be disposed on first and second PCBs 325 and 327 and electrical communication therebetween may be provided by one or more PCB traces disposed on PCBs 325 and 327 and/or prongs 329. The electrical components may comprise one or more sensors 320, including an accelerometer 321 and thermistor 322. Accelerometer 321 may be a three-axis accelerometer. Thermistor 322 may be configured to detect an internal temperature (e.g., stomach temperature) of an animal. The electrical components may further comprise a communications module 330, a processor 340, and a memory unit 350. Communications module 330 may comprise a transceiver 331. Transceiver 331 may be capable of transmitting and receiving data wirelessly using antenna 333. (ボーラス310の電気部品は第1および第2のプリント回路板325、327上に配置して、それらの間の電気的通信は、印刷回路基板325、327及び/又は突起329上に配置された1以上のPCBトレースによって提供されてもよい。電気部品は、加速度計321及びサーミスタ322を含む1又は複数のセンサ320を有していてもよい。加速度計321は、三軸加速度計であってもよい。サーミスタ322は、動物の内部温度(例えば、胃の温度)を検出するように構成されてもよい。電気部品は更に、通信モジュール330、プロセッサ340と、メモリユニット350を含むことができる。通信モジュール330は、トランシーバ331を含むことができる。トランシーバ331は、アンテナ333を用いて無線でデータを送信及び受信することが可能である。)」 イ 引用文献1に記載された発明 上記アにおいて、図1が「システム」の「ブロック図」であり、図2が「ボーラス」の「ブロック図」であること(段落【0013】及び【0025】参照)、図3における「ボーラス310」の実施形態において、図2に関連する説明が援用されていること(段落【0062】参照)から、引用文献1には、上記ア(オ)~(キ)に示される「ボーラス310」を用いる場合についても、図1及び図2に関する上記ア(イ)~(エ)に説明されたシステム及び方法とすることが開示されていると認められる。 また、上記アにおいて、動物を「牛」とすること、及び、ボーラスを動物の生涯にわたって「第二胃」又は「第一胃」の中に留めること(段落【0013】及び【0014】参照)が記載されていることから、引用文献1には、ボーラスを配置し、胃の収縮を検出する対象を、「牛」の「第一胃又は第二胃」とする発明も、記載されていると認められる。 以上をふまえて、「ボーラス310」を「牛」の「第一胃又は第二胃」内に留める場合に着目して整理すると、上記アより、引用文献1には次の発明(以下、方法の発明とシステムの発明とを、それぞれ「引用発明1-1」及び「引用発明1-2」といい、両者をあわせて「引用発明1」という。なお、仮訳における半角数字及びアルファベットは、全角に統一した。)が記載されていると認められる。 引用発明1-1 「牛の1又は複数の特性を監視して牛の健康状態を検出する方法であり、 実質的に円筒形の筐体外殻305、三軸加速度計321を含むセンサ320、及びトランシーバ331を含みセンサのデータを無線で送信することができる通信モジュール330を備え、牛の食道を通じて体内に摂取可能であり、牛の第一胃又は第二胃に留まることが可能な密度を有し、牛の第一胃又は第二胃の収縮による動きが伝わり内部の三軸加速度計321によって検出可能な対応する動きを生じる、ボーラス310と、 ボーラス310からの無線送信を受信して、基地局40に再送信する無線中継器60、62と、 基地局40が含むコンピュータ装置42であり、ボーラス310が送信した牛の特性のメッセージを、1又は複数の格納された動物プロファイルと比較し、牛の健康状態を検出する、コンピュータ装置42とを有し、 ボーラス310内の三軸加速度計321が検出する、牛の第一胃又は第二胃の収縮に伴うボーラス310の対応する動きを示す加速度から、毎分3回の第一胃又は第二胃の収縮が生じ、牛が活発に餌を食べている際の健康状態を示す”オン-フィード”であるのか、牛の第一胃又は第二胃の収縮頻度の変化及び/又は減少が生じ、牛がもはや餌を食べていないか一時的に餌を食べていない際の健康状態を指す”オフ-フィード”であるのかを検出する、 牛の健康状態を検出する方法。」 引用発明1-2 「引用発明1-1の方法を実施するシステム。」 (2)引用文献2 ア 記載された事項 原査定に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 (ア) 「【0006】The object of the present invention is therefore to alleviate these problems, and thus offer high-sensitivity registration of pressure signals in a ruminant animal's reticulum. (本発明の目的は、これらの問題を緩和することにあり、したがって、反芻動物の第二胃内の圧力信号の高感度な記録を提供する。) 【0007】According to the invention, this object is achieved by the initially described bolus further containing a sensor module, a mechanical amplifier element and a guide means. The sensor module is included in the interior of the bolus' case unit. The sensor modole is configured to transduce pressure signals into electric signals, which form a basis for data representing body movements, a heart beat rate, a respiratory rate, a respiratory depth and/or stomach activity of the animal. The mechanical amplifier element extends out from the case unit. The mechanical amplifier elerent is adapted to be surrounded by the fluids in the reticulum and absorb mechanical energy from the pressure signals. The guide means is configured to convey mechanical energy from the mechanical amplifier element to the sensor module for processing. (本発明によれば、この目的は、センサ・モジュール、機械的増幅素子及び伝達手段をさらに有する、冒頭に記載したボーラスによって達成される。センサ・モジュールは、ボーラスのケース・ユニットの内部に含まれている。センサ・モジュールは、圧力信号を電気信号に変換するように構成されており、これが動物の体の動き、心拍数、呼吸速度、呼吸深さ、及び/又は胃の活動を表すデータの基礎となる。機械的増幅素子は、ケース・ユニットから外へと突出している。機械的増幅要素は、第二胃内の流体中に浸漬されて、圧力信号から機械的にエネルギーを取り込むようになっている。伝達手段は、機械的なエネルギーを、機械的増幅要素から、処理のためにセンサ・モジュールへと伝達するように構成されている。)」 (イ) 「【0021】We refer initially to FIGS. 1 and 2, where FIG. 1 schematically shows a bolus according to one embodiment of the invention, and FIG. 2 illustrates a ruminant animal 200 carrying the proposed bolus 210 in its reticulum 220. (まず図1、図2を参照すると、図1は、本発明の一実施形態のボーラスを模式的に示し、図2は、本発明が提示するボーラス210を第二胃220内に有する、反芻動物200を示している。) 【0022】The bolus 210 is configured to register pressure signals SP transmitted through fluids in the reticulum 220. To this aim, the bolus 210 has a case unit 100, which is adapted to be immersed in said fluids while preventing the fluids from reaching an interior of the case unit 100. The case unit 100 is preferably made of a polymeric material being transparent to radio waves, such as natural rubber, nylon, PVC or polystyrene. The interior of the case unit 100 contains a sensor module 110, a processing module 120 and a communication module 130. (ボーラス210は、この第二胃220内の流体を介して伝達される圧力信号SPを記録するように構成される。この目的のために、ボーラス210は、当該流体中に浸漬されるが、該流体の内部への到達は防止するよう適合されたケース・ユニット100を有している。ケース・ユニット100は、好ましくは天然ゴム、ナイロン、PVC又はポリスチレンのような、無線電波に対して透明なポリマー材料で形成される。ケース・ユニット100の内部には、センサ・モジュール110、処理モジュール120及び通信モジュール130を含む。) 【0023】A mechanical amplifier element MA extends out from the case unit 100. The mechanical amplifier element MA is adapted to be surrounded by the fluids in the reticulum and absorb mechanical energy from the pressure signals SP. Preferably, the mechanical amplifier element MA has a substantially flat main surface 145, which is configured to be repositioned in response to the pressure signals SP (essentially move up and down) and thus function as an energy receiver. For practical reasons it is further advantageous if the substantially flat surface 145 of the amplifier element MA has an overall circular shape. Namely, thereby for a given maximum area of the surface, the risks are minimized that the amplifier element MA injures the animal or interferes significantly with the digestive function when the bolus 210 is being tossed around in the reticulum 220. The substantially flat surface 145 is operatively connected to a guide means 140 that is configured to convey mechanical energy from the mechanical amplifier element MA to the sensor module 110. Thus, the substantially flat surface 145 and the guide means 140 are preferably relatively rigid, while a top part of case unit 100 towards the substantially flat surface 145 and the guide means 140 is flexible, so that any movements of the substantially flat surface 145 will cause the guide means 140 to influence the sensor module 110. (機械的増幅素子MAは、ケース・ユニット100から外へと延出している。機械的増幅素子MAは、第二胃内の流体中に浸漬されて、圧力信号から機械的にエネルギーを取り込むようになっている。機械的増幅素子MAは、好ましくは、圧力信号SPに応答して位置を変ること(基本的に上下に動くこと)によって、エネルギー受信要素として機能する、実質的に平坦な表面145を有する。機械的増幅素子MAの実質的に平坦な表面145は、実際的な理由から、全体的に円形の形状を有することが、さらに有利である。すなわち、それによって、当該表面が最大の面積を有しながら、ボーラス210が第二胃220内に投入される際に、機械的増幅要素が動物を傷つけたり、消化機能を損なう妨害が生じる危険が、最小限に抑制される。実質的に平坦な表面145は、機械的増幅器素子MAから機械的エネルギーをセンサモジュール110へと伝達するように構成された伝達手段140が動作するように、接続されている。そのため、好ましくは、実質的に平坦な表面145及び伝達手段140が比較的硬質である一方、実質的に平坦な表面145及び伝達手段140の側のケース・ユニット100の上端部は可撓性であり、実質的に平坦な面145のわずかな動きが、伝達手段140を介して、センサ・モジュール110に影響を与えるようになっている。) 【0024】As an alternative to the substantially flat surface 145, the mechanical amplifier element MA may include a dome-shaped surface configured to receive and convey energy from the pressure signals SP to the sensor module 110. (機械的増幅素子MAは、実質的に平坦な表面145の代わりに、圧力信号SPからエネルギーを受け取りセンサ・モジュール110に伝達するよう構成された、ドーム状の表面を含むことができる。) 【0025】The sensor module is configured to transduce any pressure signals forwarded via the guide means 140 into electric signals S. These signals, in turn, form a basis for said data D. More precisely, the processing module 120 is configured to receive the electric signals S and extract data D there from. Here, the data D represent: body movements, a heart beat rate, a respiratory rate, a respiratory depth and/or stomach activity of the animal 200. (センサ・モジュールは、伝達手段140を介して伝達された圧力信号を、電気信号Sに変換するよう、構成されている。変換された電気信号は、次に、先に述べたデータDのための基礎となる。より正確には、処理モジュール120が、電気信号Sを受信し、そこからデータDを抽出するように構成される。ここで、データDは次のものを表す:動物200の身体の動き、心拍数、呼吸速度、呼吸の深さ、及び/又は胃の活性。) 【0026】The communication module 130 is configured to receive the data D and transmit output signals SD (e.g. in the form of radio waves) from the animal 200, which output signals SD reflect the data D. (通信モジュール130は、当該データDを受け取って、データDを反映した出力信号SDを動物200から出力する(例えば、電波の形で出力する)ように構成されている。)」 (ウ) 「【0028】Anyhow, the case unit 100 preferably has a general cylinder shape because this facilitates the introduction of the bolus 210 into the animal 200 via the esophagus 205. Said general cylinder has first and second short sides, and the mechanical amplifier element MA is arranged to extend from the first short side (top side in FIG. 1). The length of the bolus 210 is preferably 75-145 mm and the width is preferably 20-60 mm. (いずれにしても、ケース・ユニット100は、食道205を介して動物200内にボーラス210を導入することを容易にするため、一般的な筒形状を有することが好ましい。一般的な筒は、第1及び第2の短辺を有しており、前記機械的増幅要素MAは第1短辺(図1での上面)から延在するように配置されている。ボーラス210の長さは、75-145mmであることが好ましく、幅は20-60mmであることが好ましい。) 【0029】It has been found that the sensor in the sensor module 110 has the best sensitivity if the first short side (where the mechanical amplifier element MA is located) points in a general upward direction when the bolus 210 is installed in the animal 200. To increase the probability that the bolus 210 is oriented this way, it is advantageous if the case unit 100 includes at least one ballast 150 and/or 160 having such weight and position relative to the contents of the case unit 100 that a center of gravity of the case unit 100 is located closer to the second short side than the first short side. This renders the bolus balanced by the ballast and the buoyancy, such that the first short side with the mechanical amplifier element points in a general upward direction when the bolus is installed in the animal. Thereby, the sensor attains good sensitivity. (ボーラス210が動物200内に配置されたとき、第1の短辺(機械的増幅素子MAが配置されている箇所)が概して上方向を向いている場合に、センサ・モジュール110内のセンサが、最高の感度を示すことが見出された。ボーラス210がこの方向に配向する確率を高めるために、ケース・ユニット100は、ケース・ユニット100の重心がケース・ユニット100の第1の短辺側よりも第2の短辺側に近い位置となるように、ケース・ユニット100の内容物に対する位置と重さとを調整する、少なくとも1の調整錘150及び/又は160を含むことが、有利である。この構成により、ボーラスが動物の体内に配置されたとき、調整錘と浮力とのバランスで、機械的増幅素子MAを備える第1の短辺が概して上方を向くようになり、それゆえにセンサの感度が良好となる。)」 (エ) 「【0031】FIG. 3a shows a sensor module 110 according to a first embodiment of the invention, wherein the sensor module 110 includes a piezoelectric sensor 111, e.g. disc shaped. As can be seen in FIG. 3a, the guide means 140 is operatively connected to the sensor 111, such that any forces exerted on the mechanical amplifier element MA can be transported to the sensor 111. A support plate 112 (preferably of metal) is arranged on the opposite side of the sensor 111 to enable deformation of the sensor 111 in response to any forces applied via the guide means 140. To limit a maximum possible force exerted on the sensor 111 the sensor 111 is preferably connected to the case unit 100 via resilient members 113, e.g. of silicon. Alternatively, the sensor 111 may be held in the interior of the case unit 100 between a fixed support structure and a wave-shaped washer, which is configured to flex in response to a predefined force. Hence, any excessive external forces exerted on the sensor 111 can be absorbed by the wave-shaped washer, and consequently the sensor 111 is protected from mechanical overloading. (図3aは、本発明の第1の実施形態に係るセンサー・モジュール110を示し、ここでセンサ・モジュール110は圧電センサ111を含み、例えばディスク形状である。図3aからわかるように、伝達手段140が、機械的増幅素子MA上に加えられるあらゆる力がセンサ111に伝達されるよう、動作可能にセンサ111に接続されている。伝達手段140を介して加えられる力に応答してセンサ111が変形するように、センサ111の反対側には、支持板112(好ましくは金属の)が配置されている。センサ111に加わる力の最大値を制限するために、センサ111は、好ましくは弾性部材113、例えばシリコンを介して、ケース・ユニット100に接続されている。あるいは、センサ111は、ケース・ユニット100の内部で、固定の支持構造と所定の力に応じて撓むように構成された波型のワッシャとの間に、保持されてもよい。そうすると、センサ111に作用する過度の外力が波型のワッシャによって吸収され、センサ111を過剰な機械的過負荷から保護することができる。) 【0032】Due to the characteristics of the piezoelectric material in the sensor 111, a deformation thereof causes a voltage to be generated. Consequently, the variations in this voltage reflect pressure variations in the fluids of the reticulum 220. Since such pressure variations, in turn, may be the result of body movements, heart activities, activities of the respiratory organs and stomach activities, the voltage produced by the sensor 111 may form a basis for determining a heart beat rate, a respiratory rate, a respiratory depth and/or stomach activity of the animal 200. (センサ111の圧電材料は、その特性により、自身の変形によって電圧を発生する。そのため、当該電圧における変化は、第二胃220の流体内の圧力の変化を反映している。このような圧力の変化は、身体運動、心臓活動、呼吸器官の活性及び胃の活動の結果であり得るので、センサ111が発生する電圧は、動物200の心拍数、呼吸数、呼吸の深さ及び/又は胃の活性を決定するための基礎とすることができる。)」 (オ) 「【0037】FIG. 3c shows a sensor module 110 according to a third embodiment of the invention, wherein the sensor module 110 includes a MEMS accelerometer configured to register acceleration and deceleration parameters. This type of component is advantageous because it can be designed as a so-called 3-axis sensor capable of registering deformations in three dimensions x, y and z (i.e. downwards/upwards as well as lateral movements in a plane). A 3-axis MEMS accelerometer detects acceleration and deceleration in three independent directions. Since gravitation constitutes one important example of acceleration (namely towards earth), the sensor can detect how it is oriented relative to earth with respect to each of said axes. Consequently, in addition to the above-mentioned pressure variations, the sensor may also determine static pressures. Additionally, extremely slow pressure variations can be registered accurately. (図3cは、本発明の第3の実施形態に係るセンサー・モジュール110を示し、ここではセンサ・モジュール110は、加速度及び減速度のパラメータを記録するように構成されたMEMS加速度計を含んでいる。この類型の構成要素は、3次元のx、y、z軸に沿った変形(すなわち、上方向/下方向と同様に水平面内の動き)を記録することが可能な、いわゆる3軸センサとして設計することができるので、有利である。3軸MEMS加速度計は、独立した3方向の加速度及び減速度を検出する。重力は加速度の一つの重要な例(すなわち地面に向かっての加速度)を構成しているので、当該センサは、前記軸の各々が地面に対してどのように配向されているかを検出することができる。そのため、当該センサは、上述した圧力の変化に加えて、静的な圧力もまた決定することができる。さらに、非常にゆっくりとした圧力の変化も、正確に記録することができる。)」 イ 引用文献2に記載された発明 上記アより、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。なお、仮訳における半角数字及びアルファベットは、全角に統一した。)が記載されていると認められる。 「ボーラス210を用いて、反芻動物200の第二胃220内の圧力信号SPを高感度に記録する方法であり、 一般的な筒形状を有し、第1及び第2の短辺を有するケース・ユニット100と、 ケース・ユニット100の第1短辺側でケース・ユニット100の可撓性の上端部から延出し、反芻動物200の第二胃220内で上方を向いて流体中に浸漬され、該流体の圧力信号SPに応答して上下に動くことによって、圧力信号SPの機械的エネルギーを伝達手段140を介してセンサ・モジュール110に伝達する、機械的増幅素子MAと、 ボーラス210が動物200内に配置されたとき、機械的増幅素子MAが配置された第1短辺が概して上方向を向くよう、ボーラス210の重心を調整する調整錘150と、 機械的増幅素子MAから、伝達手段140を介して伝達される圧力信号SPを、電気信号Sに変換する、圧電センサ111又は三軸MEMS加速度計を有する、センサ・モジュール110と、 電気信号Sから、反芻動物200の身体の動き、心拍数、呼吸速度、呼吸の深さ、及び/又は胃の活性を表すデータDを抽出する、処理モジュール120と、 データDを反映した出力信号SDを、電波の形で、反芻動物200から出力する、通信モジュール130と、 を有するボーラス210を、反芻動物200の食道205を介して第二胃220内に導入し、第二胃220内の流体の圧力信号SPを高感度に記録する方法。」 2 本願発明1について (1)対比 本願発明と引用発明1-1とを対比する。 引用発明1-1における「ボーラス310」は、センサ及び無線による通信機能を有しており、かつ牛の胃の中に配置可能であるから、本願発明1における「無線センサ端末」に相当する。 引用発明1-1における「ボーラス310」が、「実質的に円筒形の筐体外殻305」を有する点は、本願発明1における「無線センサ端末」が「略筒形状」である点に相当する。 引用発明1-1における「三軸加速度計321」は、「牛の第一胃又は第二胃の収縮による動きが伝わ」ることで「対応する動き」を生じる「ボーラス301」の動き、すなわち位置変化を、加速度として検出可能であるから、本願発明1における「位置変化を検出できる変位検出手段」に相当する。 引用発明1-1における「トランシーバ331を含みセンサのデータを無線で送信することができる通信モジュール330」は、三軸加速度計321が測定したデータも無線で送信すると解されるから、本願発明1における「該変位検出手段の測定データを無線送信する無線送信手段」に相当する。 引用発明1-1において、「ボーラス310」を「牛の食道を通じて体内に摂取」させ「牛の第一胃又は第二胃に留」めることと、本願発明1において「無線センサ端末」を「経口投与により牛の第一胃内に留置させ」ることとは、「無線センサ端末」を「経口投与により牛の胃内に留置させ」る点で共通する。 引用発明1-1において、「牛」の「体内」に配置する「ボーラス310」と無線通信を行う「無線中継器60、62」、「基地局40」は、牛の体外に存在することが明らかであるから、引用発明1-1における「基地局40」が「ボーラス310からの無線送信」を「無線中継器60、62」を介して「受信」し、「基地局40が含むコンピュータ装置42」が「ボーラス310が送信した牛の特性のメッセージ」を処理することは、本願発明1において「該牛個体の体外で、前記変位検出手段の測定データ」を「取得」することに相当する。 引用発明1-1において、「ボーラス310内の三軸加速度計321が検出する、牛の第一胃又は第二胃の収縮に伴うボーラス310の対応する動きを示す加速度から、毎分3回の第一胃又は第二胃の収縮が生じ、牛が活発に餌を食べている際の健康状態を示す”オン-フィード”であるのか、牛の第一胃又は第二胃の収縮頻度の変化及び/又は減少が生じ、牛がもはや餌を食べていないか一時的に餌を食べていない際の健康状態を指す”オフ-フィード”であるのかを検出する」ことと、本願発明1において、「前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形」の「変動を検知することによって第一胃鼓脹症の発症の有無を検出する」こととは、「該変位検出手段の測定データから、胃と関連する健康状態を検出する」という点で、共通する。 引用発明1-1における「牛の健康状態を検出する方法」と、本願発明1における「牛の第一胃鼓脹症検出方法」とは、「牛の健康状態を検出する方法」という点で共通する。 以上より、本願発明1と引用発明1-1とは、次の点で一致する。 「略筒形状で、位置変化を検出できる変位検出手段及び該変位検出手段の測定データを無線送信する無線送信手段を備えた無線センサ端末を経口投与により牛の胃内に留置させ、該牛個体の体外で、前記変位検出手段の測定データを取得し、該変位検出手段の測定データから、胃と関連する健康状態を検出する、牛の健康状態を検出する方法。」 一方、本願発明と引用発明1-1とは、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明1では、無線センサ端末の密度が、「重量密度1.8~8.0gf/cm3」と特定されているのに対し、 引用発明1-1では、ボーラス310の密度が、「牛の第一胃又は第二胃に留まることが可能な密度」であるものの、「重量密度1.8~8.0gf/cm3」に相当する密度であるか否かが不明である点。 <相違点2> 検出する症状、及びそのための検出手法に関して、 本願発明1では、「第一胃鼓脹症検出方法」であり、無線センサ端末を牛の「第一胃」内に留置させ、「測定データとして、前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形」の「変動を検知」することによって「第一胃鼓脹症の発症の有無」を検出することが特定されているのに対し、 引用発明1-1では、実質的に円筒形の筐体外殻305を有するボーラス310が備える三軸加速度計321が示す、牛の第一胃又は第二胃の収縮頻度の変化及び/又は減少から、牛がもはや餌を食べていないか一時的に餌を食べていない際の健康状態を指す”オフ-フィード”であることを検出するものの、「無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形」の「変動」から「第一胃鼓脹症の発症の有無」を検出していない点。 (2)判断 ア 相違点2について 事案に鑑み、上記相違点2について判断する。 (ア)引用文献1中の記載に基く場合 引用発明1-1は、ボーラス310が備える三軸加速度計321が示す、牛の第一胃又は第二胃の収縮頻度の変化及び/又は減少から、牛がもはや餌を食べていないか一時的に餌を食べていない際の健康状態を指す”オフ-フィード”であることを検出するものの、引用文献1中には、牛の「第一胃鼓脹症」を検出することを示す記載、及び、三軸加速度計321の出力のうち、ボーラス310の「長軸方向と略一致する軸方向」の「位置変化を経時的に表す波形」が「第一胃鼓脹症の発症の有無」を検出するうえで有利であることを示す記載は、いずれも存在しない。引用文献1の段落【0026】では、ボーラスの配向が動物の第一胃又は第二胃内で変わる場合があり、そのために一軸又は二軸のみの加速度計による検出は不正確な結果となることが言及されているが、引用文献1においては、後続する段落【0027】-【0029】の記載にも示されるように、三軸加速度計を使用すれば重力の加速度も検出できるため、誤差の軽減が可能であるとされており、ボーラス310が有する三軸加速度計321が有する三軸の出力のうち、三軸の処理を離れて特定の軸の出力に着目する思想は示されていない。また、引用発明1-1のボーラス310が実質的に円筒形の筐体外殻305を有するからといって、牛の第一胃内において、前述した三軸全ての信号を用いる処理を離れて、ボーラスの長軸方向の加速度出力に着目した検出処理を行うことについて、引用文献1中に動機付けあるいは示唆があったということはできない。 一方、上記相違点2に係る本願発明1の構成に関して、本件明細書の段落【0037】-【0040】には、次のように記載されている。 「【0037】 本発明者らは、独自の検討の結果、略筒形状の無線センサ端末Bを牛第一胃C1内に留置させた場合、その無線センサ端末Bの長軸方向と略一致する軸方向における位置変化を経時的に表す波形が、第一胃収縮運動と同調することを新規に見出した。従って、例えば、前記測定データとして、前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における位置変化を経時的に表す波形を取得し、該波形の変動を検知することによって牛の第一胃鼓脹症の発症の有無を検出する構成とすることで、高感度、高精度かつ確定的に同疾患の発症の有無を検出できる。 【0038】 その場合、一軸(一方向)のみの位置変化を検出可能な変位検出手段2によっても、無線センサ端末Bの長軸方向と略一致する軸方向における位置変化を検知できる。但し、二軸(XY軸の二方向)又は三軸(XYZ軸の三方向)の位置変化を検出可能な変位検出手段2を用いることで、牛個体Cの動作・移動や、牛第一胃C1内での無線センサ端末Bの移動・回転・向きなども検知できるため、それらを考慮した判定が可能となり、同疾患の発症有無の検出確度をより高めることができる。 【0039】 この変位検出手段2の測定データの評価は、例えば、一定時間内における波形のピークの大きさや回数、波形の変化量、一定時間内における測定データの積算値などに基づいて行うことができる。 【0040】 正常時(第一胃鼓脹症を発症していない時)には、無線センサ端末Bの長軸方向と略一致する軸方向の位置変化を表す波形が大きく変動し、ピークが現れる。この波形の変動は、牛個体Cの行動状態によって異なり、採食時に最も大きく、反芻時、休息時の順に低くなるが、いずれの行動状態の場合においても、波形の変動を検知できる。一方、第一胃鼓脹症発症時には、波形のピークが消失し、変動も小さくなる。そこで、例えば、測定データの波形が正常時の波形と異なる場合に、第一胃鼓脹症の発症の可能性があると判定するようにすることで、牛の第一胃鼓脹症の発症の有無を早期に検出することができる。」 上記の記載によれば、本願発明1は、上記相違点2に係る構成を有することにより、一軸のみの位置変化を検出可能な変位検出手段を用いても、牛の第一胃内の無線センサ端末を用いて牛の第一胃鼓脹症を有効に検出できるとともに、三軸の位置変化を検出可能な変位検出手段を用いる場合にも、無線センサ端末の長軸方向と略合致する方向の出力に着目しつつ、検出精度をより高めることができる、という所定の効果を奏するものと解される。 このように、引用文献1において上記相違点2に係る本願発明1の構成を採用する動機付けや示唆がなく、また本願発明1は上記相違点2に係る構成をとることにより、本件明細書に記載される所定の効果を奏するものであるから、引用発明1-1において、上記相違点2に係る本願発明1の構成に至ることは、単なる設計事項ということができず、引用文献1中のその他の記載に基いて想到容易ということもできない。 (イ)引用発明2に基く場合 引用文献2には、上記1(2)イに認定した引用発明2が記載されており、引用発明2は、「反芻動物200の第二胃220内」に導入する、「一般的な筒形状」の「ケース・ユニット100」を有する「ボーラス210」において、「ケース・ユニット100の第1短辺側」で「ケース・ユニット100」の「上端部から延出」する「機械的増幅素子MA」の「上下の動」きに着目する構成を有している。 当該構成は「長軸方向と略一致する軸方向」のセンサ出力に着目する、という点のみについてみれば、上記相違点2に係る本願発明1の構成と、一部において共通する点を有している。 しかしながら、引用発明2は、「反芻動物200の第二胃220」内で「圧力信号SP」を高感度に記録することを主眼としており、そのために「ボーラス210」も、「反芻動物200の第二胃220」内で、「機械的増幅素子MAが配置された第1短辺が概して上方向を向」き、かつ「機械的増幅素子MA」が「流体中に浸漬され」るような構造を有することを、前提としている。また、引用発明2においては、センサとして「三軸MEMS加速度計」を用いる選択肢を有していても、着目するボーラス210の「機械的増幅素子MA」の「上下の動」きは、「機械的増幅素子MA」が「ケース・ユニット100の可撓性の上端部から延出」していることにより、「圧力信号SPに応答」してボーラス210内で生じる相対的な動きである前提である。 そのため、たとえ引用発明2がボーラスの「長軸方向と略一致する軸方向」のセンサ出力に着目する、という構成を有していても、前述した引用発明2の前提を離れて、当該構成のみを分離して取り出し、引用発明1-1に適用する動機付けが、引用文献2にあるということはできない。また、引用発明1-1において「三軸加速度計321」が検出する「動き」は、「牛の第一胃又は第二胃の収縮による動きが伝わ」ることで「ボーラス310」に生じる動きであるから、引用発明2において「圧力信号SPに応答」してボーラス210内で生じる相対的な動きとは異質なものであり、引用発明2における「機械的増幅素子MA」の動きを検出するための処理を、引用発明1-1において採用する動機付けがあるということはできない。 なお、引用発明2において、「反芻動物200の第二胃220」内への配置を前提とした「ボーラス210」を、牛の「第一胃」内に配置して「第一胃鼓脹症」を検出することについて予備的に検討しても、引用文献2中にそのような動機付けがあるということはできない。 したがって、引用発明1-1において、上記相違点2に係る本願発明1の構成に至ることは、引用発明2、又は引用文献2に記載されたその他の事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたということはできない。 イ まとめ 上記アのとおり、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明1-1に基いて、引用文献2に記載された事項を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。 したがって、上記相違点1についての判断を要することなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明2ないし4について 本願発明2は、本願発明1の構成を全て有したうえで、さらに付加的特定事項により本願発明1を限定したものである。そして、上記2で判断したとおり、本願発明1が、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではないから、本願発明2も、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 本願発明3及び4は、末尾が「牛の鼓脹症検出方法」と記載されているが、引用する本願発明1が「牛の第一胃鼓脹症検出方法」であり、かつ引用する本願発明1において特定されるとおり「無線センサ端末」を「牛の第一胃内に留置」させて「第一胃鼓脹症の発症の有無を検出」するものであるから、末尾における「牛の鼓脹症検出方法」の記載は「牛の第一胃鼓脹症検出方法」の趣旨であることが明らかである。また、本願発明3及び4は、本願発明1の構成を全て有したうえで、さらに付加的特定事項により本願発明1を限定したものであることが明らかである。そして、上記2で判断したとおり、本願発明1が、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものではないから、本願発明3及び4も、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明5について (1)対比 本願発明5は、本願発明1の「牛の第一胃鼓脹症検出方法」の発明を、対応する「システム」の発明とし、さらに「前記無線センサ端末より送信された前記測定データを受信するとともに該受信データをデータ管理手段へ送信する中継手段と、 前記中継手段より送信された前記測定データを処理するデータ処理手段と」という構成を加えたものである。 本願発明5と上記1(1)イに認定した引用発明1-2とを対比すると、引用発明1-2が引用発明1-1の部分において有する「ボーラス310からの無線送信を受信して、基地局40に再送信する無線中継器60、62」、及び「基地局40が含むコンピュータ装置42であり、ボーラス310が送信した牛の特性のメッセージを、1又は複数の格納された動物プロファイルと比較し、牛の健康状態を検出する、コンピュータ装置42」は、それぞれ本願発明5の上記付加的構成における、「前記無線センサ端末より送信された前記測定データを受信するとともに該受信データをデータ管理手段へ送信する中継手段」、及び「前記中継手段より送信された前記測定データを処理するデータ処理手段」に、相当する。 引用発明1-2と、本願発明5において、方法の発明である本願発明1に対応する部分との対比については、上記2(1)において示したと同様である。 以上より、本願発明5と引用発明1-2とは、次の点で一致する。 「略筒形状で、位置変化を検出できる変位検出手段及び該変位検出手段の測定データを無線送信する無線送信手段を備え、牛への経口投与により胃内に留置させる経口投与型の無線センサ端末と、 前記無線センサ端末より送信された前記測定データを受信するとともに該受信データをデータ管理手段へ送信する中継手段と、 前記中継手段より送信された前記測定データを処理するデータ処理手段と、を備え、 前記測定データとして、変位検出手段の測定データを取得し、該変位検出手段の測定データから、胃と関連する健康状態を検出する、牛の健康状態を検出するシステム。」 一方、本願発明5と引用発明1-2とは、以下の点で相違する。 <相違点1’> 本願発明5では、無線センサ端末の密度が、「重量密度1.8~8.0gf/cm3」と特定されているのに対し、 引用発明1-2では、ボーラス310の密度が、「牛の第一胃又は第二胃に留まることが可能な密度」であるものの、「重量密度1.8~8.0gf/cm3」に相当する密度であるか否かが不明である点。 <相違点2’> 検出する症状、及びそのためにシステムが採用する検出手法に関して、 本願発明5では、「第一胃鼓脹症検出システム」であり、無線センサ端末を牛の「第一胃」内に留置させ、「測定データとして、前記無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形」の「変動を検知」することによって「第一胃鼓脹症の発症の有無」を検出することが特定されているのに対し、 引用発明1-2では、実質的に円筒形の筐体外殻305を有するボーラス310が備える三軸加速度計321が示す、牛の第一胃又は第二胃の収縮頻度の変化及び/又は減少から、牛がもはや餌を食べていないか一時的に餌を食べていない際の健康状態を指す”オフ-フィード”であることを検出するものの、「無線センサ端末の長軸方向と略一致する軸方向における第一胃内での位置変化を経時的に表す波形」の「変動」から「第一胃鼓脹症の発症の有無」を検出していない点。 (2)判断 事案に鑑み、上記相違点2’について判断する。 上記相違点2’は、引用発明1-1と本願発明1との相違点2と実質的に同一である。 そして、上記2(2)において相違点2について判断したと同様に、相違点2’に係る本願発明5の構成は、引用発明1-2に基いて、引用文献2に記載された事項を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。 したがって、上記相違点1’についての判断を要することなく、本願発明5は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、容易に発明できたものであるとはいえない。 第5 原査定について 本願発明1ないし5は、前記第4で検討したとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1ないし2に記載された発明に基いて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2019-002195

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決153件(国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)
  • 2018-700125異議申立 / 2018-05-21 / 維持燃焼排ガス中の二酸化炭素を利用した園芸用施設への二酸化炭素供給装置
    同じ当事者: 国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 2025-001767拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポリフェノール鉄錯体カプセル、過酸化水素カプセル、フェントン反応キット及び魚介類…
    同じ当事者: 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 2025-012191拒絶査定不服審判 / 2026-07-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)血中カルシウム濃度予測装置、デバイス固定具、血中カルシウム濃度予測方法、およびプ…
    同じ当事者: 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 2025-014216拒絶査定不服審判 / 2026-07-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)貯水池決壊判定方法、貯水池決壊判定プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録…
    同じ当事者: 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 2024-018865拒絶査定不服審判 / 2026-06-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)金属系固定化触媒及びそれを用いてなるカルボン酸及び/又はカルボン酸エステルの製造…
    同じ当事者: 国立研究開発法人産業技術総合研究所
同じ論点・分野の審決(審決分類)164件(121・A01K、537・A01K)
  • 2023-011568拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)異種移植のための多トランスジェニックブタ
    共通の審決分類: 121・A01K、537・A01K
  • 2025-000681拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)魚計数システム、魚計数方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・A01K、537・A01K
  • 2023-013142拒絶査定不服審判 / 2026-05-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)複数の重鎖免疫グロブリン遺伝子座を有するトランスジェニックげっ歯類由来のヒト抗体
    共通の審決分類: 121・A01K、537・A01K
  • 2023-020789拒絶査定不服審判 / 2026-04-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)家畜飼育場で温水を製造するためのシステム
    共通の審決分類: 121・A01K、537・A01K
  • 2023-017669拒絶査定不服審判 / 2025-11-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)抗IGF-I受容体抗体
    共通の審決分類: 121・A01K、537・A01K

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存