特許無効審判
2018-800026
接着補助器具及び当該接着補助器具を備える接着補助システム
- 審判番号
- 2018-800026
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2017-054399
- 登録番号
- 特許第6200112号(P6200112)
- 請求日
- 2018年02月26日
- 審決日
- 2019年10月24日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 大林組
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】桑垣 衛
- 【請求人代理人】小林 徳夫
- 【請求人】東レ・アムテックス 株式会社
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】桑垣 衛
- 【請求人代理人】小林 徳夫
- 【被請求人】株式会社 祥起
- 【被請求人代理人】間瀬 ▲けい▼一郎
- 【被請求人代理人】後藤 昌弘
- 【被請求人代理人】大橋 厚志
- 審判長/審判官
- 審判長 森次 顕
- 審判官 小林 俊久
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1113.112-ZDA(E04F) / P1113.121-ZDA(E04F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第1項、特許法第29条第1項第2号、特許法第123条第1項第2号、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6200112号発明「接着補助器具及び当該接着補助器具を備える接着補助システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6200112号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。
特許第6200112号の請求項12ないし16、20、26ないし28に係る発明についての特許を無効とする。
特許第6200112号の請求項1ないし11、17ないし19、21ないし25に係る発明についての審判請求は、成り立たない。
審判費用は、その28分の19を請求人の負担とし、28分の9を被請求人の負担とする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第6200112号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項1~28に係る発明の特許を無効とすることを求める事件であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成29年 3月21日 本件出願(特願2017-54399号)
平成29年 9月 1日 設定登録(特許第6200112号)
平成30年 2月26日 本件無効審判請求
平成30年 4月 5日 検証申出書、検証物指示説明書提出、証人尋問申出書、証人尋問事項書
平成30年 6月12日 無効審判事件答弁書提出
平成30年 7月19日 審理事項通知(起案日)
平成30年 8月10日 請求人より口頭審理陳述要領書提出
平成30年 8月29日 被請求人より口頭審理陳述要領書提出
平成30年 9月14日 第1回口頭審理、証拠調べ
平成30年10月 5日 請求人より上申書提出
平成30年10月31日 審理事項通知(起案日)
平成30年11月26日 請求人より口頭審理陳述要領書1、口頭審理陳述要領書2提出
平成30年12月 6日 被請求人より口頭審理陳述要領書提出
平成30年12月21日 第2回口頭審理
平成30年12月21日 請求人より上申書提出
平成31年 1月16日 被請求人より上申書提出
平成31年 4月26日 審決予告(起案日)
令和 1年 7月 3日 被請求人より訂正請求書提出
令和 1年 8月26日 被請求人より審判事件弁駁書提出
令和 1年 9月26日 補正許否の決定(起案日)
令和 1年10月 2日 審理終結通知(起案日)
※平成30年4月5日提出の証人尋問申出書は平成30年10月5日上申書において、同日提出の証人尋問事項書は第2回口頭審理において、それぞれ取り下げられた。
第2.訂正請求について
1.訂正の内容
令和1年 7月 3日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「環状体とを備えるコネクター型接着補助器具。」と記載されているのを、
「環状体とを備えており、当該環状体の前記環状壁部において、
前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、
前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されているコネクター型接着補助器具。」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~11も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項7に
「前記環状壁部において、
前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、
前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されており、」と記載されているのを、
「前記環状壁部において、
前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に縦断面山形状に突出するように形成されており、」
に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8~11も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に「前記突起状に突出する突出端部」と記載されているのを、
「前記縦断面山形状に突出する突出端部」に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10~11も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0018】に「環状体(120)とを備える。」と記載されているのを、
「環状体(120)とを備えており、
当該環状体の環状壁部にて、
環状非可変壁部は、円柱状頭部に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変着座部(121)と、当該環状非可変着座部から環状フランジ部とは反対方向へ延出するように円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部(122)と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部(123)とを有してなり、
環状可変部は、環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されている。」に訂正する。
(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0025】に「コネクターとは別部品として、環状非可変壁部及び環状可変部でもって一体に構成されている。」と記載されているのを、
「コネクターとは別部品として、上記構成を有する環状非可変壁部及び上記構成を有する環状可変部でもって一体に構成されている。」に訂正する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0042】に
「環状壁部にて、
環状非可変壁部は、円柱状頭部に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変着座部(121)と、当該環状非可変着座部から環状フランジ部とは反対方向へ延出するように円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部(122)と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部(123)とを有してなり、
環状可変部は、環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されており、」と記載されているのを、
「環状壁部にて、
環状可変部は、環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から環状フランジ部とは反対方向に縦断面山形状に突出するように形成されており、」に訂正する。
(7)訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0046】に「上記突起状に突出する突出端部」と記載されているのを、
「上記縦断面山形状に突出する突出端部」に訂正する。
2.一群の請求項
訂正事項1に関し、本件訂正前の請求項2~11は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用し、訂正事項2に関し、本件訂正前の請求項8~11は、本件訂正前の請求項7を直接又は間接的に引用し、訂正事項3に関し、本件訂正前の請求項10~11は、本件訂正前の請求項9を直接又は間接的に引用しているところ、本件訂正前の請求項1及び同請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~11は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1~3による訂正は当該一群の請求項1~11に対し請求されたものである。
3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に記載の「環状体の環状壁部」における「環状非可変壁部」について、「前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してな」ることを限定し、また、同じく「環状体の環状壁部」における「環状可変部」について、「前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されている」ことを限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、上記の「前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してな」る事項と、「前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されている」事項については、訂正前の請求項7の記載に基づくものであり、また、願書に添付した明細書の段落【0143】の「環状体120は、図2及び図4~図7のいずれかにて示すごとく、コネクター110の円柱状頭部110bに同軸的に圧入により嵌装されて環状フランジ部110c上に着座する。」との記載、段落【0144】の「環状壁部120aは、環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123を備えており、これら環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123は、変形不能に形成されているから、環状非可変着座部、環状非可変厚肉部、環状非可変薄肉部ともいう。ここで、環状着座部121は、環状フランジ部110cの環状上面に同軸的に着座するもので、・・・」との記載、段落【0145】の「環状厚肉部122は、環状着座部121の内周上端部から上方へ同軸的に延出するように形成されており、・・・」との記載、段落【0149】の「環状薄肉部123は、環状厚肉部122の外周上端部から同軸的に上方へ延出するように形成されており、・・・」との記載、段落【0152】の「環状突起部126は、環状薄肉部123の延出端面の幅方向中間部位から所定の高さだけ上方へ延出するように、縦断面山形状にて、上記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、当該環状薄肉部123と一体に形成されている。」との記載及び段落【0162】の「その結果、変形した環状突起部126は、一方の型枠の対向面との間に隙間を形成することなく当該対向面に一様に密着し得る。これが、上述のように環状突起部126をタコ足環状体120の環状壁部120aに備えるようにした根拠である。なお、本実施形態では、環状突起部126は、環状可変部としての役割を果たす。」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項7に記載された「前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、」とされた事項を、上記訂正事項1による訂正により、請求項7が直接的又は間接的に引用する請求項1に追加したことにともなって請求項7から削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げられた事項である明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、請求項7に記載された「環状可変部」の形状を、訂正前の「突起状」から、「縦断面山形状」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、「環状可変部」の形状を、「縦断面山形状」に限定することについては、願書に添付した明細書の 段落【0153】の「当該環状突起部126は、その基部126aにて、図17にて示すごとく、環状薄肉部123の延出端面の幅方向中間部位に一体に形成されており、当該環状突起部126は、基部126aから縦断面山形状に上方へ延出している。」との記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、請求項9に記載された「環状可変部」の形状を、訂正前の「突起状」から、「縦断面山形状」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、「環状可変部」の形状を、「縦断面山形状」に限定することについては、訂正事項2について上記したように、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4による訂正は、訂正前の段落【0018】の記載を、特許請求の範囲の請求項1の記載に整合させたものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げられた事項である明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5による訂正は、訂正前の段落【0025】に記載された「環状非可変壁部及び環状可変部でもって一体に構成されている。」における「環状非可変壁部」及び「環状可変部」が、「上記構成を有する環状非可変壁部」及び「上記構成を有する環状可変部」であることを明確にするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げられた事項である特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、「環状非可変壁部」及び「環状可変部」が、「上記構成を有する環状非可変壁部」及び「上記構成を有する環状可変部」であることを明確にすることについては、訂正事項2について上記したように、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6による訂正は、訂正前の段落【0042】の記載を、特許請求の範囲の請求項7の記載に整合させたものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げられた事項である明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7)訂正事項7について
訂正事項7による訂正は、訂正前の段落【0046】の記載を、特許請求の範囲の請求項9の記載に整合させたものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げられた事項である明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、当該訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第134条の2第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項並びに第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正を認める。
第3 本件発明について
本件訂正請求が認められたことにより、本件特許の請求項1~28に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~28に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、前記円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなるコネクターと、
前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変壁部と、当該環状非可変壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部とを、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる環状体とを備えており、
当該環状体の前記環状壁部において、
前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、
前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されているコネクター型接着補助器具。
【請求項2】
前記コネクターは、前記環状フランジ部に沿い前記円錐台状胴部の外周面の少なくとも一部から外方へ突出するように形成してなる回り止め部を具備することを特徴とする請求項1に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項3】
前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料は、ナイロン6に耐光性黒色顔料を均一に含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項4】
前記複数の面側係合片部は、複数のロッド状湾曲片部からなり、当該複数のロッド状湾曲片部は、それぞれ、前記円柱状頭部の前記延出端面から外方へ凸な湾曲状に突出するように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項5】
前記円柱状頭部にはその前記延出端面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように複数条の凹部が互いに並行に形成されており、
前記複数のロッド状湾曲片部は、その両端部にて、前記複数条の凹部の各々ごとに当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて前記円柱状頭部の前記延出端面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項6】
前記環状体は、前記環状壁部の前記環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように前記環状壁部と一体に前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料で形成してなる複数の周側係合片部を備えており、
当該複数の周側係合片部は、前記環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置するように形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項7】
前記環状壁部において、
前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に縦断面山形状に突出するように形成されており、
前記複数の周側係合片部は、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部からその周方向に亘り間隔をおくように当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出する複数の周側長手状係合片部であることを特徴とする請求項6に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項8】
前記複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部とでもって構成されていることを特徴とする請求項7に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項9】
前記環状可変部は、前記縦断面山形状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項10】
円筒部と、当該円筒部の軸方向一側端部と一体となるように同軸的に形成してなる環状鍔部とを備えるセパジョイントを具備しており、
前記コネクターは、前記円錐台状胴部の底部に同軸的に形成してなる大径孔部と、前記円錐台状胴部の前記底部を除く部位及び前記円柱状頭部に亘り前記大径孔部よりも小さな内径にて同軸的に形成してなる小径孔部とでもって構成される軸孔部を設けてなり、
前記セパジョイントは、その円筒部にて、前記コネクターの前記軸孔部のうちの前記小径軸孔部に前記大径孔部を介し同軸的に圧入されるとともに、前記環状鍔部にて、前記軸孔部の前記大径孔部に嵌装されており、
前記複数の面側係合片部は、前記円柱状頭部の前記延出端面にその前記小径孔部の外周側にて形成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項11】
スペーサボルトが前記セパジョイントに同軸的に形成してなる雌ねじ孔部に対し前記環状鍔部側から当該雌ねじ孔部の軸方向中間部位まで螺合され、かつ前記環状体が木材或いは合成樹脂材料からなる型枠に当接された状態にて、当該型枠に形成してなる貫通状孔部を通して前記スペーサボルトに対向するように前記セパジョイントの前記雌ねじ孔部に螺合される型締めボルトを、補助部品として有することを特徴とする請求項10に記載のコネクター型接着補助器具。
【請求項12】
コンクリート体の表面に形成されるモルタル壁の前記コンクリート体との接着を補助するための接着補助システムにおいて、
大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、前記円錐台状胴部及び前記環状フランジ部の少なくとも一方の一部から外方へ突出する回り止め部と、前記円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に成形してなるコネクターと、前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変壁部と、当該環状非可変壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部とを、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる環状体とを備えるコネクター型接着補助器具と、
中央孔部を形成してなる基板と、当該基板にその両面の一方の面から突出するように前記中央孔部の周囲に分散して形成される複数の面側係合片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成される複数のディスク型接着補助器具とを備えており、
前記複数のコネクター型接着補助器具は、それぞれ、前記円錐台状胴部にて、互いに対向して設置してなる木材或いは合成樹脂材料からなる両型枠の一方の型枠から分散状に他方の型枠に向けて延出する複数のスペーサボルトに、前記環状体の前記環状可変部を前記他方の型枠に対向させるように、連結され、かつ、前記環状壁部の前記環状非可変壁部に向けて前記環状可変部を変形させるように前記他方の型枠を押圧してなり、
前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記コンクリート体が前記両型枠の間に前記複数のスペーサボルト及び前記複数のコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された後、前記両型枠を除去した上で、前記複数のコネクター型接着補助器具とは異なる位置にて、前記コンクリート体の表面に分散状に配設され、かつ、前記基板にて、前記中央孔部を通してネジを前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられており、
前記モルタル壁が、前記各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介し前記コンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させることで、形成されていることを特徴とする接着補助システム。
【請求項13】
前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料は、6ナイロンに耐光性黒色顔料を均一に含有してなることを特徴とする請求項12に記載の接着補助システム。
【請求項14】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、前記複数の面側係合片部は、複数のロッド状湾曲片部からなり、当該複数のロッド状湾曲片部は、それぞれ、前記円柱状頭部の前記延出端面から外方へ凸な湾曲状に突出するように形成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の接着補助システム。
【請求項15】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、
前記円柱状頭部にはその前記延出端面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように複数条の凹部が互いに並行に形成されており、
前記複数のロッド状湾曲片部は、その両端部にて、前記複数条の凹部の各々ごとに当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて前記円柱状頭部の前記延出端面に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の接着補助システム。
【請求項16】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、
前記環状体は、前記環状壁部の前記環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように前記環状壁部と一体に前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって形成してなる複数の周側係合片部を備えており、
当該複数の周側係合片部は、前記環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置するように形成されていることを特徴とする請求項12~15のいずれか1つに記載の接着補助システム。
【請求項17】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、
前記環状壁部の前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、
前記環状壁部の前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されており、
前記複数の周側係合片部は、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部からその周方向に亘り間隔をおくように当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出する複数の周側長手状係合片部であることを特徴とする請求項16に記載の接着補助システム。
【請求項18】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、前記複数の周側長手状係合片部は、それぞれ、前記環状非可変厚肉部の前記環状非可変薄肉部との環状境界部から当該環状非可変薄肉部の中央に向けて傾斜状に延出するロッド部と、当該ロッド部の延出端部に形成してなる球部とでもって、構成されていることを特徴とする請求項17に記載の接着補助システム。
【請求項19】
前記複数のコネクター型接着補助器具の各々において、前記環状可変部は、前記突起状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されていることを特徴とする請求項17に記載の接着補助システム。
【請求項20】
前記複数のディスク型接着補助器具の各々において、
前記基板はその中央孔部の外周側にて複数条の開口部を分散状に形成してなり、
前記複数の面側係合片部は、前記複数条の開口部の各々ごとに、当該開口部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項12に記載の接着補助システム。
【請求項21】
前記複数のディスク型接着補助器具の各々において、
前記基板に前記一方の面から前記複数の面側係合片部の内側にて前記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフックを設けてなり、
当該複数のフックは、それぞれ、前記基板の前記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部と、当該立ち上がり部から前記基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部とでもって、構成されて、環状板を、前記各立ち上がり部により包囲した状態にて前記各折れ曲がり部により前記基板の前記一方の面との間に挟持してなることを特徴とする請求項12または13に記載の接着補助システム。
【請求項22】
環状板部と、当該環状板部の内周縁部から当該内周縁部に沿い間隔をおくように位置して前記環状板部の表面側へ延出する複数の内側糸状片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、
前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられていることを特徴とする請求項12に記載の接着補助システム。
【請求項23】
環状板部と、当該環状板部の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて前記環状板部の表面側へ延出する複数の外側糸状片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、
前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の前記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられていることを特徴とする請求項12に記載の接着補助システム。
【請求項24】
前記複数の環状部材は、それぞれ、前記環状板部の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて前記環状板部の表面側へ延出する複数の外側糸状片部をも一体的に有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、形成されていることを特徴とする請求項22に記載の接着補助システム。
【請求項25】
前記複数の環状部材は、それぞれ、前記環状板部の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出するように前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により一体的に形成してなる環状ボス部を備えて、当該環状ボス部を前記基板の対応中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、前記環状板部にて、前記基板の対応中央孔部にその表面側から載置されており、
前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、ネジをその頭部にて前記複数の環状部材のうちの対応環状部材の前記環状ボス部に着座させるとともに、当該ネジをその首下部にて前記対応環状部材の前記環状ボス部を通してコンクリート体にその表面から締着することで、当該コンクリート体に組み付けられていることを特徴とする請求項23または24に記載の接着補助システム。
【請求項26】
前記複数のディスク型接着補助器具の各々において、前記基板は、前記中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部を分散して形成してなり、
前記複数の面側係合片部は、それぞれ、前記基板の前記一方の面にて、前記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように湾曲状に形成されるとともに当該各対応長手状開口部の長手方向には間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項12~25のいずれか1つに記載の接着補助システム。
【請求項27】
前記複数のディスク型接着補助器具の各々において、前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の周側係合片部を具備することを特徴とする請求項12~25のいずれか1つに記載の接着補助システム。
【請求項28】
前記複数のディスク型接着補助器具の各々において、前記複数の周側係合片部は、それぞれ、前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部とにより形成されていることを特徴とする請求項27に記載の接着補助システム。」
第4 請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1~28に係る発明についての特許を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、概ね以下のとおり主張している(審判請求書(以下「請求書」という。)、平成30年8月10日付け口頭審理陳述要領書(以下「請求人陳述書」という。)、平成30年11月26日付け口頭審理陳述要領書1、2(以下、それぞれ「請求人陳述書1」、「請求人陳述書2」という。)、平成30年12月21日付け上申書(以下「請求人上申書」という。)、令和1年8月26日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という)を参照。)。また、証拠方法として甲第1号証ないし甲第60号証を提出している。なお、弁駁書とともに提出された甲第61号証ないし甲第64号証については、令和1年9月26日付けの補正許否の決定に示したように、次の理由により、証拠として許可しないこととする。
1)上記審判事件弁駁書の「6.弁駁の趣旨」の「(2)-2. 相違点4に係る本件発明の構成が周知技術であり、かつ動機付けも存在すること」の欄における、「(一).特開2000-240284号公報(甲25)」と、新たに追加された「(二).特開2014-152460号公報(甲61)」により立証しようとする事実に基づく請求の理由の補正は、請求の理由に当初から記載された「周知技術」を追加的に主張立証したものとはいえず、実質的には、「直接証拠」を追加して当該追加した証拠に基づく別の権利を無効にする根拠となる事実に変更したものであるから、請求の理由の要旨変更にあたる。そして、前記要旨変更については、審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかとはいえないし、また、訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたとも、審判請求時の請求書に記載しなかったことにつき合理的な理由があるともいえないから、これを許可しない。
2)上記審判事件弁駁書において、「6.弁駁の趣旨」の「(4).請求項21ないし請求項25が無効理由を有することについて」(第17ページ下から5行~第31ページ5行)で新たに主張された、特開平8-135188号公報(甲62)、特開2012-241860号公報(甲63)及び特許第3882325号公報(甲64)を引用例とする無効理由は、「直接証拠」を追加して当該追加した証拠に基づく別の権利を無効にする根拠となる事実に変更したものであるから、請求の理由の要旨変更にあたる。そして、前記要旨変更については、審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかとはいえないし、また、訂正の請求により請求の理由を補正する必要が生じたとも、審判請求時の請求書に記載しなかったことにつき合理的な理由があるともいえないから、これを許可しない。
1 無効理由の概要
〔無効理由1〕
本件特許の請求項1~11に係る発明は、検甲第1号証、検甲第3号証、甲第1号証~甲第10号証、甲第16号証~甲第19号証、甲第34号証~甲第60号証において立証される、本件特許の出願前に公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
〔無効理由2〕
本件特許の請求項1~28に係る発明は、検甲第1号証~検甲第3号証、甲第1号証~甲第10号証、甲第16号証~甲第19号証、甲第34号証~甲第60号証において立証される本件特許の出願前に公然実施をされた発明、及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(第2回口頭審理調書)
<証拠方法>
提出された証拠は、以下のとおりである。
検甲第1号証の1 スーパーループボンドL37製品サンプル
検甲第1号証の2 スーパーループボンドL40製品サンプル
検甲第1号証の3 スーパーループボンドL48製品サンプル
検甲第1号証の4 スーパーループボンド構成部品サンプル
検甲第2号証 ウォールキャッチャーディスク製品サンプル
検甲第3号証 ウォールキャッチャー製品サンプル
甲第1号証 建設技術審査証明(建築技術)報告書 タイル張りモルタル層の剥落防止技術「ループボンド・タフバインダー工法」、一般財団法人日本建築センター、第3版、2013年7月14日
甲第2号証 ループボンド・タフバインダー工法実績2001年~2016年、2017年5月30日
甲第3号証 発注依頼書、東レ・アムテックス(株)、2016年5月13日
甲第4号証 製造委託基本契約書、東レ・アムテックス株式会社/近江化工株式会社、2016年6月1日
甲第5号証の1 「スーパーループボンド(本体)」製作図面、近江化工株式会社、2016年7月27日
甲第5号証の2 「スーパーループボンド(ガードリング)」製作図面、近江化工株式会社、2016年7月27日
甲第5号証の3 「スキンキャッチャー」製作図面、近江化工株式会社、2016年7月27日
甲第5号証の4 「スーパーループボンド 完成品」製作図面、近江化工株式会社、2016年7月27日
甲第6号証の1 部品検査法承認願、近江化工株式会社、2016年8月8日
甲第6号証の2 検査手順書、近江化工株式会社、2016年8月10日 甲第6号証の3 検査手順書、近江化工株式会社、2016年8月10日
甲第6号証の4 検査手順書、近江化工株式会社、2016年8月10日
甲第7号証の1 注文書、株式会社ヤブ原大阪支店、2016年9月21日
甲第7号証の2 出荷依頼書(兼注文書)、東レ・アムテックス株式会社
甲第7号証の3 佐川急便送り状、奥田数株式会社、2016年9月21日
甲第7号証の4 注文書、株式会社ヤブ原大阪支店、2016年9月30日
甲第7号証の5 出荷依頼書(兼注文書)、東レ・アムテックス株式会社
甲第7号証の6 佐川急便送り状、奥田数株式会社、2016年9月30日
甲第7号証の7 倉庫出荷指図書、東レ・アムテックス株式会社、2016年9月30日
甲第7号証の8 到着原票、2016年9月30日
甲第8号証の1 納入品材質証明書、近江化工株式会社、2017年2月6日
甲第8号証の2 安全データシート、東レ株式会社、2016年11月29日
甲第9号証 ウォールキャッチャー設計・施工指針、(株)本郷コーポレーション、2015年11月
甲第10号証 ウォールキャッチャー工法実績表、作成者不明、2012年3月31日
甲第11号証 「タイル剥落防止に32ミリディスク」、建設通信新聞、日刊建設通信新聞社、2016年10月7日
甲第12号証 型枠脱型後対応型外壁タイル・モルタル剥落防止工法ウォールキャッチャーディスク工法、(株)本郷コーポレーション、作成年月日不明
甲第13号証 外壁タイル・モルタル層剥落防止システム ウォールキャッチャーディスク、[online]、2016年10月19日、(株)本郷コーポレーション、<URL:http://hongoh-corp.co.jp/products/wcd/>
甲第14号証 本郷コーポレーションのホームページ、[online]、2016年10月19日、(株)本郷コーポレーション、<URL:http://hongoh-corp.co.jp/>
甲第15号証 本郷コーポレーションのfacebook、(株)本郷コーポレーション、2016年4月5日
甲第16号証 山口勝之ほか2名、「アスファルト材料の紫外線劣化とカーボンブラック添加効果」、土木学会舗装工学論文集、第8巻、2003年12月、p.251-260
甲第17号証 浜平英三、「ゴム・プラスチック用顔料」、色材、一般社団法人色材協会、1983年、56〔2〕、p.109-124
甲第18号証 服部宏、「ポリアミドの安定剤」、高分子、公益社団法人高分子学会、Vol.12、1963年、p.614-618
甲第19号証 旭カーボン株式会社ホームページ、[online]、2018年1月15日、旭カーボン株式会社、<URL:http://www.asahicarbon.co.jp/company/profile.html>
甲第20号証 特開2002-206516号公報
甲第21号証 特開平10-14635号公報
甲第22号証 特開平8-336454号公報
甲第23号証 特開2008-102726号公報
甲第24号証 登録実用新案第3160471号公報
甲第25号証 特開2000-240284号公報
甲第26号証 特開2000-160836号公報
甲第27号証 特開2014-84656号公報
甲第28号証 特開2000-45480号公報
甲第29号証 実公平4-205号公報
甲第30号証 登録実用新案第3163534号公報
甲第31号証 登録実用新案第3161096号公報
甲第32号証 特開2000-145157号公報
甲第33号証 特開2010-275769号公報
甲第34号証 売買基本契約書、東レ株式会社/株式会社祥起、平成18年6月23日
甲第35号証 スーパーループボンド(R)(審決注;原文は丸の中にR)品質管理規定、東レ株式会社、平成17年9月1日
甲第36号証 SLB最終検査結果記録、株式会社祥起、2011年8月22日
甲第37号証 注文書兼出荷依頼書、東和織物株式会社、平成23年8月24日
甲第38号証 佐川急便送り状、東和織物株式会社、平成23年8月24日
甲第39号証 株式会社本郷コーポレーション藤澤祐介名刺
甲第40号証 検甲第1号証の1の梱包用段ボールの外観写真
甲第41号証 検甲第1号証の2の梱包用段ボールの外観写真
甲第42号証 検甲第1号証の3の梱包用段ボールの外観写真
甲第43号証 甲第5号証の2に示す製造図面の高精細な図
甲第44号証 甲第43号証の一部を拡大し、詳細な形状及び寸法を記載した図
甲第45号証 ワコーレ伊丹安堂寺レジデンスの不動産アーカイブ、[online]、2018年10月30日印刷、HOME’S、<URL:http://www.homes.co.jp/archive/c-19454/>
甲第46号証の1 建築現場(型枠)写真、田中住建(株)
甲第46号証の2 甲第46号証の1の写真データのプロパティのスクリーンショット
甲第47号証の1 建築現場(コンクリート壁面)の写真、田中住建(株)
甲第47号証の2 甲第47号証の1の写真データのプロパティのスクリーンショット
甲第48号証 建物受領書、大和ハウス工業株式会社/株式会社大京/株式会社コスモスイニシア、平成29年12月1日
甲第49号証 注文書、株式会社大林組、2015年12月18日印刷
甲第50号証 (仮称)豊崎プロジェクト新築工事工程表、株式会社大林組、平成28年9月23日
甲第51号証 注文請書、東レ・アムテックス株式会社、平成27年12月11日
甲第52号証 電子メール、田中まい子、2017年3月9日
甲第53号証 注文書、田中まい子、2017年3月9日
甲第54号証 注文書の返信ファックス、東レ・アムテックス株式会社、2017年3月9日
甲第55号証 出荷依頼書(兼注文書)、東レ・アムテックス株式会社、2017年3月9日
甲第56号証 倉庫出荷指図書、奥田数株式会社、2017年3月9日
甲第57号証 送り状、ヤマト運輸株式会社、2017年3月9日
甲第58号証 納品書、株式会社内外テクノス、2017年3月11日(納品日)
甲第59号証 電子メール、古谷睦幸、2018年9月28日
甲第60号証 (仮称)豊崎プロジェクト新築工事13階立上り14階床工区、2017年3月21日(撮影日)
2 具体的な理由
(1)背景
検甲1の1~4に示す「スーパーループボンド」は、請求人らの取り扱う製品である。
甲1の一般財団法人日本建築センター作成の「建設技術審査証明(建築技術)報告書 タイル張りモルタル層の剥落防止技術 「ループボンド・タフバインダー工法」」の審査証明依頼者が、東レ株式会社(以下「東レ」という。)、有限会社難波建築研究室(以下「難波」という。)、株式会社大林組(以下「大林組」という。)であることから明らかなように、東レ、難波、大林組の共同開発に係る製品である。
この「ループボンド・タフバインダー工法」は、「スーパーループボンド」に先行する製品である2003年7月14日の初版の報告書で公的試験を受けた従来型の「ループボンド」の開発から継続され、2013年7月14日の第3版の報告書で試験された検甲1の1~4の「スーパーループボンド」につながるものである。この工法は、甲2に示す「ループボンド・タフバインダー工法実績2001年~2016年」のように広く普及をし、検甲1の1~4の「スーパーループボンド」も大量に販売・施工された。
このような工法に係る製品の製造に当たっては、平成18年(2006年)6月23日に、東レ株式会社アメニティー事業部門(後に、請求人である「東レ・アムテックス株式会社」に事業移転される。)部門長 小堀健一と、被請求人である株式会社祥起 代表取締役 諌山修(以下「祥起」という。)との間で、甲34に示す平成18年(2006年)6月23日付の「売買基本契約書」が取り交わされ、製品の製造委託が行われ、検甲1の1~4の「スーパーループボンド」も上記「売買基本契約書」に基づいて祥起にその生産が委託された。
東レ株式会社から東和織物株式会社(平成25年(2013年)に東レ・アムテックスに名称変更。以下「東和織物」という。)に業務が委託され、東和織物は、引き続き株式会社祥起(以下「祥起」という。)に「スーパーループボンド」の製造の委託をした。
東和織物は祥起に製造委託をするにあたり、甲36に示す平成23年(2011年)8月22日作成の「SLB最終検査結果記録」のように、東和織物は祥起から出荷前の製品検査の結果の報告を受けるなどして、SLB、すなわち「スーパーループボンド」を甲1の審査証明を満たすように品質の管理に留意した。
そして、SLBの受注があると、例えば甲第37号証に示す「注文書」により、東和織物住環境製品部本多から、祥起専務諌山に注文を出す。祥起は、これを受けて、甲37の指示に従い「発送人」を「東和織物株式会社」の名前で、上記納品場所にスーパーループボンドを納品するようにしていた(甲38)。
なお、検甲1の1~4の「スーパーループボンド」は、厳格な試験を経て認定された建築構造に係わる標準品・規格製品であり、その取引に当たっては、甲35に示す「スーパーループボンドR品質管理規定」などにより厳格に管理されている。そのため、検甲1の1~4の「スーパーループボンド」は、生産開始から現在に至るまでその規格は完全に同一のものとなっている。
その後、東レから祥起への生産委託は終了し、甲4に示す東レ・アムテックス株式会社(以下「東レ・アムテックス」という。)と近江化工株式会社(以下「近江化工」という。)との「製造委託基本契約書」に基づき「スーパーループボンド」の生産委託は近江化工になされた。
(請求書82頁下から8行~84頁6行)
(2)本件発明1について
ア 検甲第1号証の1~検甲第1号証の4について
検甲1の1~4は、いずれも近江化工株式会社が製造した「スーパーループボンド」である。
検甲1の1は、「スーパーループボンドL37」、
検甲1の2は、「スーパーループボンドL40」、
検甲1の3は、「スーパーループボンドL48」
に係るサンプルである。
ここで、「L37,L40,L48」については、軸足の長さの違いによる呼び名で、本体、ガードリング、スキンキャッチャーからなるスーパーループボンド・アセンブリとしては、共通の構成である。
また、検甲1の4は、本件特許出願前の製品であるが、内部構造を明らかにするための検甲1の1~3のように組み付ける前の構成部品の状態である。
本体の刻印について、
検甲1の1は、「TAT SLB N6 3」と、打点が1つである。
検甲1の2は、「TAT SLB N6 3」と、打点が1つである。
検甲1の3は、「TAT SLB N6 2」と、打点が1つである。
検甲1の4は、「TAT SLB N6 4」と、打点が1つである。
これらの刻印の意義は、甲5の1の「スーパーループボンド(本体)」製作図面の「刻印」「ロットマーク」「ロット管理表」に記載されている。
「TAT」は、製造者の「東レ・アムテックス」を示す略号である。
「SLB」は、製品名のスーパーループボンドを示す。
「>N6<」は、素材のナイロン6を表す。
「3,2,4」などの数字は、型番である。スーパーループボンドの金型は一度に4個取りであり、それぞれに番号を刻印しており、「型番」の1~4は、この4つの金型を識別する刻印である。
これらの製造時期は、甲5の1の「ロット管理表」に記載されているように、刻印による打点マークにより、
打点1つが2016年製、
打点2つが2017年製、
打点3つが2018年製、
打点4つが2019年製を示す。
本件特許出願が2017年3月21日であるため、少なくとも検甲1の1~4は、打点1つであるので本件特許出願前の2016年製造であることが証明できる。
さらに、付言すると、検甲1の1~3の詳細な製造時期は、梱包されている段ボールに記載されて管理されており、
検甲1の1は甲40に示すように2016年8月25日、
検甲1の2は甲41に示すように2016年8月29日、
検甲1の3は甲42に示すように2016年8月31日である。
また、検甲1の4は、梱包用の段ボールとの関連が不明であるが、少なくともその刻印から2016年製であることは明らかになっている。
いずれにしても、検甲1の1~4は、2016年製の製品である。
なお、検甲1の1~4を比較すれば自明であるが、製品の規格は完全に同一である。つまり、検甲1の1~4は、同一規格の製品である。
これらの製品は、甲5の1~4の設計図面に従って製造され、甲6の1~4の製品検査を受けた後、甲7の1~6に示すような手順で出荷される。
以下、本件特許との構成の比較においては、検甲1の1~4の構成は同一であるため、これを区別せず単に「検甲1」という場合がある。
(請求書85頁14行~87頁3行)
イ 対比、判断
検甲1は、本件発明1の構成要件すべてにおいて一致する。
検甲1が耐光性を有するカーボンブラック顔料が含有されている樹脂であるか否かについては、目視では確認できないが、甲1「建設技術審査証明(建築技術)報告書」本文1頁、甲5の1の「製作図面」、甲6の1の「部品検査法承認願」2頁に材質が「ナイロン6」であることが明記され、甲8の1「納入品材質証明書」、甲8の2「安全データシート」2頁の記載からカーボンブラックが含有されていることが立証されている。
なお、カーボンブラックが耐光性を有することは、本件特許明細書の段落0122に「当該所定の耐光性顔料含有樹脂材料としては、例えば、合成樹脂材料の一種であるエンジニアリングプラスチックのうちのナイロンの一種、株式会社東レ製射出成形用非強化ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料を均一に含有させたものが採用されている。」と自認している。
加えて、請求項1のコネクター型接着補助具に限らず、請求項12~28のディスク型接着補助器具、請求項22~25の環状部材のような部材を樹脂製とし、カーボンブラックのような顔料を添加することは甲16~19に示すとおり当業者においては周知である。
(請求書87頁5行~下から9行)
ウ 検甲1に係る「スーパーループボンド」が公然実施された事実について
甲1~10を参照すれば、検甲1に係る発明は、本件特許出願前に公然と販売され、かつ使用されていたことは明らかである。
検甲1に示す「スーパーループボンド」は、甲1の試験対象であり、甲2に示すように長年極めて多数の施工実績があることが明らかになっている。 また、甲3、甲4によれば、東レ・アムテックス(株)が、近江化工(株)にスーパーループボンドの製造委託を本件特許出願前から継続的にしている事実、甲5の1~4の製造図面によれば、近江化工(株)が東レ・アムテックス(株)との規約で、甲8の1~2に示すようにカーボンブラック顔料が添加されたスーパーループボンドの製品を製造しているかが分かる。
さらに、甲6の1~4によれば近江化工(株)で甲5の1~4の製造図面に従って所定の規格に適合して製造した製品を、厳格な検査を行い、検査をパスしたスーパーループボンドの製品のみを東レ・アムテックス(株)に納入していることを示す。甲7の1~6によれば、上記のような厳格な検査を受けたスーパーループボンドが、実際に顧客に販売されていることをそれぞれ立証する。
甲7の1~6の記載によれば、本件特許出願前に検甲1の「スーパーループボンド」と同一の製品が、守秘義務のないユーザに公然と販売された事実が立証されている。
なお、甲9及び甲10及び検甲3によれば、被請求人である株式会社祥起及び本郷コーポレーションも本件特許出願以前に「スーパーループボンド」のコピー製品である「スーパーウォールキャッチャー」を自ら公然と多数販売していることも明らかにしている。
よって、検甲1に係る「スーパーループボンド」及び検甲3に係る「スーパーウォールキャッチャー」のいずれも公然実施されたことは明らかである。
そして、検甲1に係る「スーパーループボンド」及び検甲3に係る「スーパーウォールキャッチャー」のいずれも、本件特許の請求項1~11に係る「コネクター型接着補助器具」と同一の構成である。
(請求書89頁12行~14行、96頁下から8行~97頁17行)
エ 本件発明の「環状可変部」「環状非可変壁部」と検甲1のガードリング(特に、上段部、下段部)との比較
(ア)検甲1のガードリングにおける「上段部」と、本件実施形態の「環状突起部126」とを比較すると、検甲1の「上段部」の最も厚い部分である基端部の厚み(0.4mm)は、本件実施形態の「環状突起部126」の最も厚い部分の厚み(0.5mm)よりも薄く、かつ「上段部」の高さ(0.8mm)は本件実施形態の「環状突起部126」の高さの範囲内(0.1~2.0mm)である。
(イ)また、検甲1のガードリングにおける「下段部」の最も薄い部分である上端部の厚み(0.8mm)は、本件実施形態の「環状薄肉部123」の厚み(1.5mm)よりも薄いが、下段部は、あえて水平面を設けて上段部の基端に対して2倍の厚みに形成されていることからも、上段部と区別された異なる機能を有することは明らかである。
(ウ)そして、検甲1のガードリングは一体成形されており、その材質は、本件実施形態と同じナイロン6である。
(エ)本件実施形態の「環状突起部126」が本件発明の「環状可変部」に相当することからも、検甲1の「上段部」は本件発明にいう「環状可変部」に相当する。
また、本件実施形態の「環状薄肉部123」が本件発明にいう「環状非可変壁部」に相当することからも、検甲1の「下段部」は本件発明にいう「環状非可変壁部」に相当する。
(オ)したがって、検甲1のガードリングにおける「上段部」「下段部」は、それぞれ本件発明の「環状可変部」「環状非可変壁部」に相当する。
オ 本件発明の「上部環状壁部」の変形について
(ア)検甲1、検甲3は、薄厚で変形しやすい「上部環状壁部」が、厚厚で変形しにくい「下部環状壁部」の外周に沿って一体に延びるものであって、型枠への当接にあたっては上側に位置する「上部環状壁部」が先に変形する。この場合、「上部環状壁部」が「下部環状壁部」とともに「外壁」を構成するか否かといったことは、その「変形する」という機能上の意味において、関係がない。
(イ)型枠の凸部が先端部分の内周側に当たれば、先端部分は外周側に倒れて潰れ易く、型枠の凸部が先端部分の外周側に当たれば、先端部分は内周側に倒れて潰れ易くなるのである。
(ウ)「円環樹脂部品」(ガードリング)はナイロン樹脂で形成されているから柔軟性があり、倒れた場合に破断することはない。
(エ)被請求人は、検甲1、検甲3について『当該外壁先端部分は、すべて外周でつながっているため、不均一に、当接した順に外面側に倒れようとする結果、外周の一部が極度に引っ張られ、破断する』旨主張する。しかし、検甲1、検甲3の「上部環状壁部」について、型枠に当接した場合に外周の一部が破断するかどうかは「上部環状壁部」の形状だけが影響するのではなく材質も影響するところ、非請求人は「形状のみ」に基づいて主張している。検甲1、検甲3はナイロン樹脂で形成されていて(甲5の2)柔軟性があり、たとえ「上部環状壁部」の全周が外周側に倒れて潰れるようなことがあっても、全周が延びることとなって外周の一部が破断するようなことはない。被請求人の主張は材質を考慮しておらず失当である。
(請求人陳述書1の17頁4行~18頁10行)
カ 審決の予告における判断について
(ア)審決の予告では、「検甲1発明において、「上部環状壁部」は「下部環状壁部の上部外周に沿って」延びていることにより、製品として完成していることから、「上部環状壁部」を「下部環状壁部の上部外周」以外の部分に形成する動機付けはない。」と判断する(審決の予告第73頁)。
(イ)しかし、審決の予告における「製品として完成している。」という判断はどのような意味を有するのか不明である。
(ウ)「製品が完成している」ことを理由に、相違点に係る検甲1発明の構成について変更する動機付けが存在しないとした審決予告の判断は誤りである。
(エ)さらに、相違点4は、いわば「環状可変部」の形成位置の相違である。
(オ)実際、相違点4に係る本件発明の構成も、相違点4に係る検甲1発明の構成も、「環状可変部」の形成位置が相違するだけで、「環状可変部」の機能(型枠に当接した際に弾性変形する)には相違がなく、また、発明であるコネクター形接着補助器具の機能にも相違はない。したがって、相違点4は、まさに「環状可変部」の形成位置の相違でしかない。審決の予告では、相違点4に係る本件発明の構成について、技術的意義等を検討することなく、単に相違点であることを理由に、動機付けがないとの判断をしている。
(カ)この点で、審決の予告は、相違点4に係る本件発明の構成について、進歩性の容易想到性の判断を実質的に行っておらず、その判断は誤りである。
(弁駁書第6頁9行~第8頁7行)
(3)本件発明2、4~11について
本件発明2、4~11は、請求項1と同じ理由から、本件特許出願前に公然に実施された発明である。
また、少なくとも、請求項1と同じ理由から当業者が本件特許出願時に、本件発明2、4~11に容易に想到することができたものである。
(請求書98頁6行~9行、98頁末行~101頁下から9行)
(4)本件発明3について
検甲1が耐光性を有するカーボンブラック顔料が含有されている樹脂であるか否かについては、目視では明らかではないものの、甲8の1~2の記載からカーボンブラックが含有されていることが明らかであることが立証されている。
なお、カーボンブラックが耐光性を有することは、本件特許明細書の段落0122で自認しているほか、甲16~19に示すとおり当業者においては周知である。
よって、請求項3に係る特許発明は、請求項1と同じ理由から、本件特許出願前に公然に実施された発明である。
また、少なくとも、請求項1と同じ理由から当業者が本件特許出願時に、請求項3に係る特許発明に容易に想到することができたものである。
(請求書98頁16行~下から2行)
(5)本件発明12について
ア 対比、判断
構成要件12B~12Kは、検甲1に開示されている。
検甲1の1~4は、甲1~10に示されるように公然実施(特許法第29条第1項第2号)されている発明である。
構成要件12L~12Nは、検甲2に開示されている。
検甲2は、甲11~15に示されるように公然実施(特許法第29条第1項第2号)されている発明である。
なお、検甲2に係る発明は、甲11により文献公知(特許法第29条第1項第3号)にも該当する発明である。
なお、構成要件12G、12J、12Nの「前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料」については、目視では確認できないが、検甲1がナイロン6で製造されていることは甲1、甲5の1、甲6の1に記載され、カーボンブラックが含有されていることは、甲8の1~2に記載されているため、一致している。
検甲2についても目視では確認できないが、樹脂にカーボンブラックを含有させることや、カーボンブラックが耐光性を有することは、甲16~19に示すとおり当業者においては周知である。また、「ディスク型接着補助器具」を、「コネクター型接着補助器具」である公知の検甲1の「スーパーループボンド」と同一の材料から製造することは、単なる公知材料の選択であり、当業者において適宜選択される設計事項に過ぎないことは明らかである。
相違点について、構成要件12A、12S、12Tは、検甲1と検甲2との組み合わせによる施工方法のシステムであるので相違する。構成要件12O~12Pは、検甲1の施工方法であるため検甲1とは相違する。構成要件12Q~12Rは、検甲2の施工方法であるため検甲2とは相違する。
そして、構成要件12A、12S、12Tについては、甲11に開示されている相互に補助し合う施工方法が当該システムに相当する。構成要件12O~12Pは、甲1に記載の施工方法が相当する。
構成要件12Q~12Rは、甲12に記載の施工方法が相当する。
検甲1及び甲1と、検甲2は、いずれもモルタル剥落防止の技術分野及び当業者が完全同一であり、モルタルの剥落防止という課題も同一であり、組み合わせる動機づけもある。これらを組み合わせることは阻害要因もなく、甲11の建設通信新聞の記事や、甲12の本件特許権者の販売先である本郷コーポレーションが作成したパワーポイントの3枚目の記載を参照すれば検甲2は、検甲1とシステムとして組み合わせることについて前提とされていることから、組み合わせることに格別の困難性はなく当業者の設計事項といえる。
組わせたことによる作用は、単にそれぞれの作用を奏するのみで、それ以上の複合的な作用はない。
また、組み合わせたことによる効果も、検甲1及び検甲2を組み合わせた総和以上の異質な効果も、顕著な効果もない単なる組み合わせである。
よって、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
(請求書101頁下から2行~102頁下から4行、105頁下から12行~106頁2行)
イ 検甲第2号証が公然実施されたことについて
検甲第2号証に係る「ウォールキャッチャーディスク」は、甲第11号証~甲第15号証に示すように、公然実施されたことが立証されている。
(ア)甲11「建設通信新聞」により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明が、本件特許の出願日前に業界新聞により公表された事実を立証する。
(イ)甲12「ウォールキャッチャーディスク工法(パワーポイント)」により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明が、本件特許の出願日前に本郷コーポレーションがプレゼンテーションで公表した事実を立証する。なお、甲第12号証の最終ページには、「ウォールキャッチャーディスク」の設計・製造が被請求人である株式会社祥起であることが明示されている。
(ウ)甲13「ウォールキャッチャーディスク(パンフレット)」により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明が、本件特許の出願日前に本郷コーポレーションがウェブページで公表した事実を立証する。
(エ)甲14「ウォールキャッチャーディスク(ホームページ)」により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明が、本件特許の出願日前に本郷コーポレーションがウェブページで公表した事実を立証する。
(オ)甲15「Facebook」により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明が、本件特許の出願日前に本郷コーポレーションがfacebookで公表した事実を立証する。
(カ)よって、以上の立証により、「ウォールキャッチャーディスク」すなわち検甲2において把握される発明について、被請求人である株式会社祥起において製造され、本郷コーポレーションにより守秘義務のない一般ユーザに対し、業界新聞、研修会、パンフレット、ホームページ、facebookなどで広告され、販売された事実から、公然に譲渡され、譲渡の申し出がなされたものであり、公然実施されたことが立証される。
なお、検甲2に依らずとも甲11~15によって、「ウォールキャッチャーディスク」の特定、及び「ウォールキャッチャーディスク」が守秘義務のない一般ユーザに販売されたことは立証できているが、よりいっそう確実な立証をするため、検甲2により「ウォールキャッチャーディスク」の構成の特定を直接感得するものである。
(請求書102頁下から2行~103頁1行、請求人陳述書7頁下から6行~8頁下から4行)
(6)本件発明13について
甲16~19に基づけば、カーボンブラックに樹脂に耐光性を付与することは周知であり、かつ樹脂に耐光性を付与するためにカーボンブラックを均一に含有させることは、周知慣用技術である。
よって、請求項13に係る特許発明は、請求項12と同じ理由から検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
(請求書106頁9行~14行)
(7)本件発明14~20について
請求項14~20に係る特許発明は、請求項12と同じ理由から検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
(請求書106頁20行~108頁下から9行)
(8)本件発明21について
本発明の「フック」は甲20により文献公知となった発明であるばかりか、甲21~24、33を参照すれば、フックの構成については、当業者が適宜選択する設計事項であるため、格別の困難性もない。
よって、請求項21に係る特許発明は、請求項12と同じ理由に加え、上記理由から検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、引用文献甲20に加え、周知技術である甲21~24、甲33に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
(請求書115頁下から13行~7行)
(9)本件発明22について
検甲2には、22A「環状板部と」、22D「前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」環状部材を備えた基本的構成が開示されている。
甲30には、軸足穴15(「中央孔部」に相当)の周囲に樹脂製の係合フレーム3(「環状部材」に相当する)を配置することで、モルタルの剥落を防止する構成が開示されている。甲31にも同様の構成が開示されている。
甲25には、「環状部材」を備えないが、22B「(基板の)内周縁部から当該内周縁部に沿い間隔をおくように位置して(基板の)穴に向かって表面側へ延出する複数の内側糸状片部とを有するように、」という係止部の構成が記載されている。
また、22C「前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており」は、カーボンブラックのような周知の「耐光性顔料含有樹脂材料」とすることは甲16~19を参照すれば、請求項12で述べたとおり単なる公知材料の選択であり、基板と同様な材質とすることは当業者において設計事項に過ぎない。
検甲2及び甲25、甲30、甲31は、共通する出願人であり、同一技術分野・同一当業者であることは自明であり、これらを組み合わせることには何ら阻害要因がないばかりでなく、技術の転用が容易な設計事項である。
前提となる請求項12に係る説明は前述のとおりである。
よって、本件特許出願時に検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25、甲30、甲31に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
また、甲26~29、甲32の各引用文献には、壁面のモルタル剥落防止のための補助具において、穴を覆うように傾けられた形状の係止部をはじめ、各種形状の係止部の構成に関しては様々な態様のものが開示され、当業者の設計事項として適宜選択されていることがわかる。
よって、請求項22に係る特許発明は、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25、周知文献甲26~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。
(請求書122頁下から9行~123頁15行、129頁2行~10行)
(10)本件発明23について
検甲2には、22A「環状板部と」、22D「前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」環状部材を備えた基本的構成が開示されている。
また、22C「前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、」は、甲30、甲31には中央孔部の周囲に配設された樹脂製の係止部材が記載されており、「耐光性顔料含有樹脂材料」を選択することは単なる公知材料の選択であり、基板と同様な材質とすることは当業者において単なる設計事項に過ぎない。
さらに、係止部が外側に延びる「外側糸状片部」の構成は甲27、甲29を参照すれば当業者が適宜採用し得る周知の構成である。
検甲2及び甲27、29、30、31は、同一技術分野・同一当業者であることは自明であり、これらを組み合わせることには何ら阻害要因がないばかりでなく、技術の転用は設計事項に過ぎない。
なお、前提となる請求項12に係る説明は前述のとおりである。
よって、請求項23に係る特許発明は、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。
(請求書134頁2行~20行)
(11)本件発明24について
環状部材を樹脂で構成することは、単なる公知材料の選択であり、また、樹脂により一体的に形成するか別体として形成するかは、当業者が適宜選択する設計事項に過ぎない。
よって、請求項24に係る特許発明は、請求項22、23と同じ理由から検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。
(請求書135頁7行~12行)
(12)本件発明25について
構成要件25A「前記複数の環状部材は、それぞれ、前記環状板部の内周縁部から同軸的にその裏面側へ延出するように前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により一体的に形成してなる環状ボス部を備えて、当該環状ボス部を前記基板の対応中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、前記環状板部にて、前記基板の対応中央孔部にその表面側から載置されており、」に対して、
甲27の「モルタル剥落防止具1」では、それぞれ、「小円環骨部12c」の内周縁部から「柱脚部12a」により同軸的にその裏面側へ延出するように前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料により一体的に形成してなる「円筒部11」の「ストッパ11a」を備えて、「円筒部11」を対応中央孔部内に同軸的に嵌装するようにして、前記環状板部にて、対応中央孔部にその表面側から載置されており、」という構成に相当する。
また、構成要件25B「前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、ネジをその頭部にて前記複数の環状部材のうちの対応環状部材の前記環状ボス部に着座させるとともに、当該ネジをその首下部にて前記対応環状部材の前記環状ボス部を通してコンクリート体にその表面から締着することで、当該コンクリート体に組み付けられている」に対しては、
甲27では、「それぞれ、ネジをその頭部にて前記複数のモルタル剥落防止部の円筒部11に着座させるとともに、当該ネジをその首下部にて円筒部11のストッパ11aを通してコンクリート体にその表面から締着することで、当該コンクリート体に組み付けられている」という構成に相当する。
よって、請求項25に係る特許発明は、請求項22、23と同じ理由から証拠:検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。
(請求書136頁下から7行~138頁3行)
(13)本件発明26~28について
請求項26~28に係る特許発明は、請求項12~25(さらに本件発明27について請求項26、本件発明28について請求項26、27)と同じ理由から、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、本件特許発明に容易に想到することができる。
(請求書138頁10行~139頁7行)
第5 被請求人の主張
被請求人は、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人の主張に対して、概ね以下のとおり反論している(平成30年6月12日付け無効審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)、平成30年8月29日付け口頭審理陳述要領書(以下「被請求人陳述書」という。)、平成30年12月6日付け口頭審理陳述要領書(以下「被請求人陳述書2」という。)、平成31年1月16日付け上申書(以下「被請求人上申書」という。)を参照。)。
<証拠方法>
提出された証拠は、以下のとおりである。
乙第1号証 陳述書、諫山修一、平成30年8月27日
乙第2号証 成績書、あいち産業科学技術総合センター、平成30年10月30日
1 本件特許発明の本質的部分
(1)本件特許発明の主な課題・目的として、本件特許【0017】記載のとおり、「複数の係合片部をその外周から包囲する環状体の構成に工夫を凝らし、型枠の当該環状体との当接が一様に成立するようにした接着補助器具及び当該接着補助器具を備える接着補助システムを提供すること」が掲げられている。
(2)そして、本件特許発明は、その主な課題解決ないしは目的達成手段として、概要、「コネクター」(構成要件1E)部分と「環状体」(構成要件1H)部分とから構成される本件請求項1の「コネクター型接着補助器具」(構成要件1I)に係る発明において、上記「環状体」の一部である「環状壁部」(構成要件1H)を敢えて「環状非可変壁部」(構成要件1F)と「環状可変部」(構成要件1G)とに分けて構成し、当該「突出する」「環状可変部」(構成要件1G)の方のみを型枠と当接させる構成を選択したのである。
(3)これによって、本件特許【0238】記載のとおり、「環状突起部126の変形が、環状壁部120aのうちの環状突起部126以外の構成部位の変形及び一方の型枠Fの環状壁部120aに対する対向面の部分的変形を伴うことなく、なされることで、環状壁部120aが、コネクター110及び一方の型枠と共に、密閉空間を構成して、当該密閉空間内に複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110dを閉じ込める。」のである。
その結果、本件特許【0239】記載のとおり、「生コンクリートを両型枠Fの間に打ち込んでも、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bが当該生コンクリートから良好に隔離されるので、当該生コンクリートが複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bに達することがない。このことは、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bが、生コンクリートで汚れることなく、生モルタルと良好に密着し得ることを意味する。」効果を生じるのである。
(4)重要なのは、このとき、本件特許【0240】記載のとおり、「環状壁部120aのうち、環状突起部126を除く部位は、上述のごとく、一方の型枠による押圧によって変形することはないので、複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bは、その原形状を、上述の密閉空間内にて、良好に維持し得る。」ことである。
本件特許【0144】に「環状壁部120aは、環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123を備えており、これら環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123は、変形不能に形成されているから、環状非可変着座部、環状非可変厚肉部、環状非可変薄肉部ともいう。」と記載されているとおり、このとき環状壁部120a=「環状壁部」(構成要件1H)のうち、突端の環状突起部126だけが「環状可変部」(構成要件1G)に位置付けられていることは明らかである。
環状薄肉部123までが変形可能になってしまうと、「複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bは、その原形状を、上述の密閉空間内にて、良好に維持」(本件特許【0240】)できなくなってしまうからである。
(答弁書3頁9行~5頁12行)
2 本件発明1について
(1)本件発明1と検甲1(ないしは3)の対比について
本件請求項1の「前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように…着座する環状非可変壁部」(構成要件1F)に対して、検甲1(ないしは3)において「前記複数の面側係合片部(=「前記ループ」)をその外周側から包囲」しているのは、「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」(本件審判請求書5頁)、あるいは、「ガードリングに設けてある」「変形部分(薄い部分)」(甲1の44頁)であるから、明らかに「環状可変壁部」というべきものであり、本件請求項1の「環状非可変壁部」(構成要件1F)とは相容れない構成である。
また、仮に上記検甲1(ないしは3)の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」を本件請求項1の「環状可変部」(構成要件1G)に当て嵌めてみた場合でも、本件発明においては、当該「環状可変部」は、あくまで「環状端部から…突出する」(構成要件1G)ものであるのに対して、検甲1(ないしは3)においては、単に壁本体が連続して薄くなっているにすぎず、何ら「突出」の構造を有していない。
すなわち、「突出」とは、「突き破って出ること。また、だしぬけに飛び出すこと。」(広辞苑第二版補訂版)の意であり、まさに前記本件特許明細書における「環状突起部126」のように、端面の一部が他より目立って突然に飛び出している様をいうべきところ、検甲1(ないしは3)の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」は外壁そのものであり、「突き破って出る」存在ではなく、「だしぬけに飛び出」してもいない。
そして、上記の相違点は、何れも本件発明の本質的部分に関わる構成(要件1F,1G)に関わるものである。
そればかりか、検甲1(ないしは3)は上記相違点に関して本件発明とは真逆の構成を敢えてとっているのであり、これといかなる発明とを組み合わせても本件発明に到らないことは自明である。
すなわち、「可変」な「環状壁部」は、何と組み合わせても、「非可変」な「環状壁部」には変わりようはなく、「環状壁部」自体が変形してしまえば、「コネクター110及び一方の型枠と共に、密閉空間を構成して、当該密閉空間内に複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部110d(=検甲1では、上記「ループ」に該当する)を閉じ込める。」(本件特許【0238】)ことができなくなり、もはや何と組み合わせても、「複数の周側係合片部120b及び複数の面側係合片部120bが、生コンクリートで汚れることなく、生モルタルと良好に密着し得る」(本件特許【0239】)効果を得ることはできないのである。
したがって、請求人提出の証拠によって、本件請求項1に係る発明が公然実施無効にはならないことは勿論、いわゆる組み合わせ阻害要因があることにより、容易想到無効にもなり得ないことは明らかである。
(2)「環状可変部」と「環状非可変壁部」について
ア 本件特許において、「環状可変部」とは、「環状非可変壁部」の「端部から…突出する」(構成要件1G)ものである。すなわち、「環状非可変壁部」の端面を「突き破って出る」(広辞苑)ように、当該面の中途から「だしぬけに飛び出す」(同)構成が必要とされている。
そして、その最大の技術的意義は、上記「環状可変部」が「木製或いは合成樹脂材料製」の型枠と当接した場合でも、上記「環状非可変壁部」の端面の範囲内で「押しつぶされるように変形していく」ことから、対向する上記型枠の内面の方には変形をもたらさず、結果、「型枠の再利用の繰り返しが可能」(本件特許【0211】)になるところにある。
これに対し、請求人が口頭審理陳述要領書15頁の模式図で示す、上記「上段部」、「下段部」の構成は、請求人自身が「両者は外周側では面一である」(同20頁)と認めざるを得ないように、何れもガードリングの側壁そのものを連続的・一体的に構成するもので、その区別は単に場所の違いにすぎない。
したがって、単に「内周側では水平面による段差を境にはっきり区分されて」(同20頁)いるからといって、到底、当該水平面から「突き破って出る、或いはだしぬけに飛び出」していると評価することなどできない。
常識的に見て、上記「上段部」は、水平面から突き破って出ているのではなく、むしろ、ガードリングの側壁の上部を内側から削って、その内面の中途に、水平面の方を新たに生じさせているのである。
したがって、検甲1(ないし検甲3)のガードリング「上段部」が「環状可変部」に、同「下段部」が「環状非可変壁部」に相当する旨の請求人主張は、クレーム文言上も無理があると言わざるを得ない。
イ 上記のとおり、本件特許発明においては、型枠との当接によって変形するのは、あくまで「環状可変部」という突起物であって、環状体(検甲1のガードリング)の側壁自体は変形させない。
したがって、クレーム文言上も、「環状非可変壁部」と「環状可変部」というように、明確に言葉の使い分けを行って、「壁」自体には決して変形の起こらないことを強調している。
これに対して、検甲1(ないし検甲3)発明においては、建設技術審査証明(建築技術)報告書(甲1)の44頁に、「型枠へのスーパーループボンドの取付け」として、「スーパーループボンドには、セメントペーストが侵入しないように型枠の凹凸になじむ変形部分(薄い部分)がガードリングに設けてあるので必要以上に強く締め込む必要は無い、逆に強く締め込み過ぎるとループが潰れるおそれがある。」と記載されているように、ガードリング(環状体)の「壁」自体を一部薄くして変形させる構成を敢えて採用しているのであるから、本件特許発明とは、真逆の構成で相容れない発明と言わざるを得ない。
この結果、検甲1(ないし検甲3)発明の実施品においては、ガードリング壁部が締結時に歪んで大きく変形し、これによって型枠の方に凹凸の跡が生じてしまい再利用できなくなるとともに、生コンクリートの浸潤も許すという事態が指摘されるようになったのに対し、本件特許発明実施品ではそのような課題も解決するに至ったものである(乙1:被請求人代表者の陳述書)。
具体的には、検甲1(スーパーループボンド)の方は、外壁の先端を、対抗する型枠面と外周すべてで当接するよう変形できるように薄くしている構成を採用しているところ、当然のことながら、この部分は外壁そのものであるから、外面はそのままで、内面だけをテーパ状に上にいくに従って薄くなるよう削っている構造になっている。
そうすると、当該外壁先端部分が型枠に当たって押されると、物理的に、テーパー状に膨らんだ内面側に倒れて潰れることなはく、必ず外面側に倒れて潰れることなる。
このとき、当該外壁先端部分は、すべて外周でつながっているため、不均一に、当接した順に外面側に倒れようとする結果、外周の一部が極度に引っ張られ、破断し、そこから生コンクリートの浸潤を許すことになるのである。
そして、このような事態は、凹凸面の多い木製型枠の場合に一層顕著となり、生コンクリートの浸潤を防ごうとするあまり、さらに強い力で締め込むことになり、型枠表面を一層傷つけることになるのである。
これに対して、本件特許発明の方は、型枠との当接部分は、もはや外壁ではないので、外壁として果たすべき構成の制限を受けない。すなわち、検甲1のように、当接した順に必ず外面側に倒れようとする結果、外周の一部が極度に引っ張られ、破断するような事態は解消されるのである。
具体的には、本件特許発明では、型枠との当接部分は、非可変で変形を許さない外壁の端面上に、「突出する」かたちで設けているだけなので、当該部分が型枠に当たって押されても、物理的に、外壁の端面上に容易に潰れて拡がるだけで、何ら外周に破断を生じさせることもなく、結果、強く締め込み過ぎて型枠面に食い込み溝を生じさせることもないのである。
(3)前記のとおり、請求人引用発明は、そもそも「環状壁部」の構成を、課題解決のために敢えて「環状非可変壁部」と「環状可変部」とに分けるという発想が示されていないので、「環状非可変壁部」についてさらに細かく区分している本件請求項7発明については、すべての構成要件不充足というべきである。
(4)特に、構成要件7Cの「環状非可変薄肉部」については、前記のとおり、請求人引用発明は、敢えて「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」(本件審判請求書5頁)、あるいは、「ガードリングに設けてある」「変形部分(薄い部分)」(甲1の44頁)というように、明らかに「環状可変薄肉部」の構成を採用しているのであるから、本件請求項7発明とは相容れない構成である。
(答弁書7頁13行~8頁下から4行、答弁書12頁23行~13頁3行、被請求人陳述書3頁下から7行~6頁12行)
3 本件発明2~6について
請求項1と同様の理由により、請求人引用発明は、「請求項1に記載のコネクター型接着補助器具」とは相容れない構成をとっているため、公然実施無効の主張も容易想到無効の主張も失当である。
(答弁書11頁13行~12頁15行)
4 本件発明7について
(1)さらに、本件請求項7発明においては、「前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成され」と、「突出」の態様も限定されている(構成要件7D)ところ、上記請求人引用発明の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」等がこれに該当しないことは明白である。
(答弁書13頁4行~13頁9行)
5 本件発明8について
請求項7と同様の理由により、請求人引用発明は、「請求項7に記載のコネクター型接着補助器具」(構成要件8C)とは相容れない構成をとっているため、公然実施無効の主張も容易想到無効の主張も失当である。
(答弁書13頁10行~14行)
6 本件発明9について
(1)前記請求項7と同様の理由により、請求人引用発明は、「請求項7に記載のコネクター型接着補助器具」(構成要件9B)とは相容れない構成をとっているため、公然実施無効の主張も容易想到無効の主張も失当である。
(2)さらに、本件請求項9発明においては、「前記環状可変部は、前記突起状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されている」(構成要件9A)と、その形状も限定されているところ、上記請求人引用発明の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」等がこれに該当しないことは明白である。
(答弁書13頁16行~末行)
7 本件発明10、11について
請求項7(本件発明11については請求項10)と同様の理由により、請求人引用発明は、「コネクター型接着補助器具」とは相容れない構成をとっているため、公然実施無効の主張も容易想到無効の主張も失当である。
(答弁書14頁1行~11行)
8 本件発明12について
(1)前請求項11までは、すべて「コネクター型接着補助器具」についての特許発明であったが、本請求項以下は、すべて当該「コネクター型接着補助器具」に加え、これとは別異の「ディスク型接着補助器具」をも組み合わせた「接着補助システム」についての特許発明である。
したがって、請求人引用発明は、そもそも上記「コネクター型接着補助器具」部分において、前記請求項1同様に、「環状非可変壁部」(構成要件12H)および「環状可変部」(構成要件12I)という本質的構成要件と相容れない構成を採っているため、これだけで容易想到無効の主張は失当である。
(2)さらに、構成要件12Pは、上記「コネクター型接着補助器具」部分の施工方法について、「前記環状非可変壁部に向けて前記環状可変部を変形させるように前記他方の型枠を押圧」と規定しているところ、請求人引用発明の側の「コネクター型接着補助器具」部分の施工方法はと言えば、前記のとおり、「スーパーループボンドには、セメントペーストが侵入しないように型枠の凹凸になじむ変形部分(薄い部分)がガードリングに設けてあるので必要以上に強く締め込む必要は無い、逆に強く締め込み過ぎるとループが潰れるおそれがある。」(甲1の44頁)と明記されている。
このとき、上記「ガードリング」の「変形部分(薄い部分)」を敢えて「前記環状可変部」に相当すると捉えてみると、構成要件12Pの施工方法に従えば、「前記環状非可変壁部」すなわち上記「ガードリング」の根元の分厚い部分に向けて潰れるまで型枠を押圧するということになってしまうが、このような施工方法は、「強く締め込み過ぎるとループが潰れるおそれがある。」として、甲1自身が禁じているので採り得ない。
そうすると、上記「ガードリング」の「変形部分(薄い部分)」は、「前記環状非可変壁部」の方に相当すると捉えざるを得ないが、この場合、今度は当該「前記環状非可変壁部」に向けて変形させるべき「前記環状可変部」に相当する部分が、上記「ガードリング」には存在しないことになってしまう。
したがって、どのように解釈しても請求人引用発明から当該構成要件12Pに到ることも不可能であり、前記(1)の「コネクター型接着補助器具」の形状に係る構成要件(12H、12I)だけでなく、その施工方法に係る構成の観点からも、請求人の容易想到無効の主張は失当というべきである。
(答弁書14頁13行~15頁下から6行)
9 本件発明13~16、20について
前記請求項12(本件発明15については請求項14)と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項12(本件発明15については請求項14)に記載の接着補助システム」ないしは「前記複数のコネクター型接着補助器具」とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(答弁書15頁下から2行~16頁下から4行、18頁6行~10行)
10 本件発明17について
(1)前記請求項7発明と同様に、請求人引用発明は、そもそも前記「コネクター型接着補助器具」部分において、「環状壁部」の構成を、課題解決のために敢えて「環状非可変壁部」と「環状可変部」とに分けるという発想が示されていないので、「環状非可変壁部」についてさらに細かく区分している本件請求項17発明についても、すべての構成要件不充足というべきである。
(2)特に、構成要件17Dの「環状非可変薄肉部」については、前記のとおり、請求人引用発明は、敢えて「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」(本件審判請求書5頁)、あるいは、「ガードリングに設けてある」「変形部分(薄い部分)」(甲1の44頁)というように、明らかに「環状可変薄肉部」の構成を採用しているのであるから、本件請求項17発明とは相容れない構成である。
(3)さらに、本件請求項17発明においては、「前記環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成され」と、「突出」の態様も限定されているところ、上記請求人引用発明の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」等がこれに該当しないことは明白である。
(答弁書16頁下から3行~17頁15行)
11 本件発明18、19について
前記請求項17と同様の理由により、請求人引用発明は「前記複数のコネクター型接着補助器具」ないしは「請求項17に記載の接着補助システム」とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
さらに、本件請求項19発明においては、「前記環状可変部は、前記突起状に突出する突出端部にて、横断面丸みを帯びるように形成されている」と、その形状も限定されているところ、上記請求人引用発明の「肉薄で変形する」「ガードリングの端部」等がこれに該当しないことは明白である。
(答弁書17頁16行~18頁5行)
12 本件発明21について
(1)前記請求項12と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項12…に記載の接着補助システム」(構成要件21F)とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(2)なお、請求人は、その他の構成要件21B~21Eについて、甲20の「インテークマニホールド」に関する発明に開示されている旨主張している(本件審判請求書110頁以下)が、仮に当該構成に相当する記載があったとしても、甲20は自動車のエンジン部品に関する公開特許公報であり、本件の建築分野とはあまりにかけ離れた分野の技術である。
そして、当然のことながら、双方の資料に相方との組み合わせを示唆するような記載は一切ない。
甲21の「コインホルダ」に関する発明、甲22の「コイン状装飾体ホルダー」に関する発明、甲23の「RFIDタグ取付具」に関する発明、甲24の貴金属宝飾品に関する「ワッシャーセッティング」に関する発明もすべて同様である。
なお、甲33は、請求人は「本件特許と同様な壁面補修に関する技術である」(本件審判請求書115頁)として挙げているが、請求人の言及する「後部フック」は、当該発明においては、紐状の「繊維束」を長さ方向に掛止するものであるから、そもそも「環状板を…包囲した状態にて…挟時」(構成要件21E)の構成すら有していない。
したがって、請求人の組合せ容易想到無効の主張は、この観点からもすべて失当である。
(答弁書18頁11行~19頁6行)
13 本件発明22について
(1)前記請求項12と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項12に記載の接着補助システム」(構成要件22E)とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(2)請求人は、甲30および甲31に、「耐候性顔料含有樹脂材料で…形成してなる環状部材」(構成要件22C)が開示されていると主張する。
しかしながら、請求人の言及する「係合フレーム」(甲30,31)は、「支柱」や「支持棒」、「筐体」から成るもので、「基板の…面との間に挟時」(構成要件21E)できるような代物ではないのであるから、そもそも、およそ「環状板」(構成要件21E、22A)からなる「環状部材」(構成要件22C)たり得ない。
(3)また、請求人は、「当該環状板部…に位置…する複数の内側糸状片部」(構成要件22B)についても、甲25~甲32に開示されていると主張する。
しかしながら、これらに記載されたモルタル剥落防止の係止部の形状が仮に「内側糸状片部」に相当したとしても、これらは全て「接着補助器具」本体に位置しているものであって、何ら「当該環状板部…に位置…する」ものではない。
したがって、これらをいくら組み合わせても、「当該環状板部…に位置…する複数の内側糸状片部」(構成要件22B)の構成には到らないのである。
かえって、請求人は、「市場での実施品である甲検2のような場合は、コスト等の問題から「環状部材(ワッシャ)」を介してねじ止めする場合は、一般的に市販されている金属ワッシャが用いられているが、この場合、ワッシャ表面には、コストの問題から面側係合片部を形成していない。」(本件審判請求書119頁)と明記しているものであり、甲検2から構成要件22B,22Cへの想到自体を自ら否定していると言わざるを得ない。(言うまでもなく、「コストを度外視すれば、…したいという強い動機づけが存在する」などという理屈は、むしろ経済面での組合せ阻害要因を自認しているとしか解せない。)
請求人の当該主張も失当である。
(答弁書19頁7行~20頁11行)
14 本件発明23について
(1)前記請求項12と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項12に記載の接着補助システム」(構成要件23E)とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(2)また、甲30および甲31に「耐候性顔料含有樹脂材料で…形成してなる環状部材」(構成要件22C)が開示されているとする請求人主張についても、前記請求項22と同様、甲30および甲31には何ら「環状板」(構成要件21E、23A)に相当するものが示されていない以上、失当である。
(3)さらに、甲25~甲32に「当該環状板部の…複数の外側糸状片部」(構成要件23B)が開示されているとする請求人主張についても、前記請求項22と同様、これらは全て「接着補助器具」本体に関する構成に過ぎないから、失当である。
(答弁書20頁12行~下から3行)
15 本件発明24について
前記請求項22と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項22に記載の接着補助システム」(構成要件23E)とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(答弁書20頁下から2行~21頁2行)
16 本件発明25について
(1)前記請求項23,24と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項23または24に記載の接着補助システム」(構成要件25C)とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(2)加えて、請求人は、構成要件25A,25Bの「環状ボス部」に関する構成が甲27に開示されていると主張する。
しかしながら、当該「環状ボス部」はあくまで「前記複数の環状部材」を構成する一部分である(構成要件25A)ところ、前記のとおり、甲27に記載された請求人言及の「円筒部」やその「ストッパ」は、「接着補助器具」本体を構成するものであって、到底、「基板の…面との間に挟時」される「環状板」(構成要件21E)からなる「環状部材」を構成する部分とは言えない。
したがって、請求人の組合せ容易想到無効の主張は、この観点からも失当である。
(答弁書21頁7行~下から6行)
17 本件発明26~28について
前記請求項12(本件発明28については請求項27)と同様の理由により、請求人引用発明は「請求項12(本件発明28については請求項27)…に記載の接着補助システム」とは相容れない構成をとっているため、容易想到無効の主張は失当である。
(答弁書21頁下から5行~22頁10行)
第6 証拠
1 検甲第1号証の1~4
(1)平成30年9月14日に行われた証拠調べ(検証)の結果、検甲第1号証の1~4の各号証は以下の構成を有する。(第1回口頭審理及び証拠調べ調書)
ア 検甲第1号証の1
a 分解することにより、黒色の樹脂製の円柱状の円柱樹脂部品、黒色の樹脂製の円環状の円環樹脂部品、銀色の金属製の円筒状の円筒金属部品、銀色の金属製の金属ボルトからなる。
b 円柱樹脂部品
(a)円柱樹脂部品は、底面から上面に向けて拡大する円錐台状部分、円錐台状部分から環状に外方へ径方向に沿い延出する円柱状の円柱フランジ部分、円柱フランジ部分に連なる円柱フランジ部分より半径が小さい円柱状頭部分が同軸的に一体に形成されてなる。
(b)円柱状頭部分の上面には、分散状に突出する複数の分散係合片部がある。分散係合片部は円柱状頭部分の上面から上方へ凸な湾曲状(半ループ形状)に突出し、分散係合片部の両端部にて、円柱状頭部分の上面に並行に形成してなる複数条の凹部の各々ごとに、当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて円柱状頭部分の上面に一体に形成されている。
(c)円錐台状部分の外周面の一部から外方へ突出し、上部が円柱フランジ部分に連続する片部が一体に形成されている。
(d)円柱フランジ部分の下面には、「TAT SLB >N6< 3」及び1つのドットマークが刻印されている。
(e)円柱樹脂部品の中央には上下に貫通する貫通孔があり、貫通孔は底部から上部にかけて同軸的に、大径孔部、及び大径孔部より小さな内径の小径孔部が一体的に設けられている。分散係合片部は、円柱状頭部分の上面の小径孔部の外周側にて形成されている。
c 円環樹脂部品
(a)円環樹脂部品は、底部において外方に一体に延出する外環状部分を有する環状体からなっており、環状体の上部外周に沿って一体に環状体よりも薄肉の環状壁部を有し、環状壁部は下部環状壁部と下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる上部環状壁部からなっており、上部環状壁部は下部環状壁部より薄肉である。
(b)環状体の上面と下部環状壁部との境界部からその周方向に亘り間隔をおくように下部環状壁部の中央に向けて、内側に向かって傾斜状に延出する16個の係合片部が概ね等間隔に一体に突出している。係合片部は内側に湾曲した湾曲部と湾曲部の先端に一体に形成された球状部からなる。
d 円筒金属部品は、内部に雌ねじ孔を有する円筒部材であり、底部において外方に同軸的に一体に延出する円筒鍔部分を有する。
e 金属ボルトは、上下両端に雄ネジが切られており、中央に非ネジ部が形成され、一方の雄ネジと非ネジ部の境界には鍔部がある。
f 円柱樹脂部品、円環樹脂部品、円筒金属部品、金属ボルトは以下のように結合される。
(a)円環樹脂部品は、円柱樹脂部品の分散係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部分に同軸的に圧入されて、円環樹脂部品の外環状部分は円柱樹脂部品の円柱フランジ部分に着座するように結合する。
(b)円筒金属部品の円筒部材は、円柱樹脂部品の小径孔部に大径孔部を介して同軸的に圧入されるとともに、円筒鍔部分は大径孔部に嵌装されている。
(c)金属ボルトの鍔部が形成された側の雄ネジは、円柱樹脂部品の上部(小径孔部側)から円筒金属部品の円筒部材の雌ねじ孔に螺合される。
g 円柱樹脂部品の円錐台状部分の底面直径は25.10mm、上部直径は29.34mm、円柱フランジ部分の直径は38.56mm、円柱状頭部分の直径は29.74mm、大径孔部の直径は18.27mm、小径孔部の直径は12.02mmである。円錐台状部分の高さは9.50mm、円柱フランジ部分の高さは4.14mm、円柱状頭部分の高さは8.91mmである。分散係合片部の突出高さは3.01mm、太さは0.60mm、間隔は2.36mmである。
h 円環樹脂部品の全体高さは11.89mmである。円環樹脂部品の外環状部分の高さは2.28mm、外側直径は38.71mm、環状体の外側直径は36.15mm、内側直径は30.02mmである。上部環状壁部の板厚は根元部分、先端部分でそれぞれ3回測定し、1回目(根元0.4mm、先端0.34mm)、2回目(根元0.38mm、先端0.32mm)、3回目(根元0.34mm、0.27mm)である。上部環状壁部の高さ2回測定し、1回目0.84mm、2回目0.82mmである。下部環状壁部の板厚は根元部分、先端部分でそれぞれ3回測定し、1回目(根元1.23mm、先端1.10mm)、2回目(根元1.29mm、先端1.06mm)、3回目(根元1.22mm、1.10mm)である。上部環状壁部及び下部環状壁部の高さは2.76mmである。
i 円筒金属部品の円筒部材の高さは21.95mm、外側直径は11.80mm、孔の直径は6.63mmである。円筒鍔部分の直径は18.49mm、高さ(厚さ)は2.93mmである。
j 金属ボルトの軸長さは37.07mm、鍔部が形成された側の雄ネジの径は7.76mmである。
k 金属ボルトの鍔部が形成された側の雄ネジの鍔部からの突出長さは25.33mmである。
イ 検甲第1号証の2
下記以外は、上記アと同じ。
a 金属ボルトの鍔部が形成された側の雄ネジの鍔部からの突出長さは27.64mmである。
ウ 検甲第1号証の3
下記以外は、上記アと同じ。
a 円柱部分の下面には、「TAT SLB >N6< 2」及び1つのドットマークが刻印されている。
b 金属ボルトの鍔部が形成された側の雄ネジの鍔部からの突出長さは36.39mmである。
エ 検甲第1号証の4
下記以外は、上記アb~d、g~iと同じ。
a 円柱部分の下面には、「TAT SLB >N6< 4」及び1つのドットマークが刻印されている。
(2)検甲第1号証の1~4から把握できる発明の認定
上記(1)で記載した事項を踏まえると、検甲第1号証の1~4から、次の発明(以下「検甲1発明」という。)が把握できると認められる。
「以下の構成を有する部材。
a 分解することにより、黒色の樹脂製の円柱状の円柱樹脂部品、黒色の樹脂製の円環状の円環樹脂部品、銀色の金属製の円筒状の円筒金属部品、銀色の金属製の金属ボルトからなる。
b 円柱樹脂部品
(a)円柱樹脂部品は、底面から上面に向けて拡大する円錐台状部分、円錐台状部分から環状に外方へ径方向に沿い延出する円柱状の円柱フランジ部分、円柱フランジ部分に連なる円柱フランジ部分より半径が小さい円柱状頭部分が同軸的に一体に形成されてなる。
(b)円柱状頭部分の上面には、分散状に突出する複数の分散係合片部がある。分散係合片部は円柱状頭部分の上面から上方へ凸な湾曲状(半ループ形状)に突出し、分散係合片部の両端部にて、円柱状頭部分の上面に並行に形成してなる複数条の凹部の各々ごとに、当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて円柱状頭部分の上面に一体に形成されている。
(c)円錐台状部分の外周面の一部から外方へ突出し、上部が円柱フランジ部分に連続する片部が一体に形成されている。
(d)円柱樹脂部品の中央には上下に貫通する貫通孔があり、貫通孔は底部から上部にかけて同軸的に、大径孔部、及び大径孔部より小さな内径の小径孔部が一体的に設けられている。分散係合片部は、円柱状頭部分の上面の小径孔部の外周側にて形成されている。
c 円環樹脂部品
(a)円環樹脂部品は、底部において外方に一体に延出する外環状部分を有する環状体からなっており、環状体の上部外周に沿って一体に環状体よりも薄肉の環状壁部を有し、環状壁部は下部環状壁部と下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる上部環状壁部からなっており、上部環状壁部は下部環状壁部より薄肉である。
(b)環状体の上面と下部環状壁部との境界部からその周方向に亘り間隔をおくように下部環状壁部の中央に向けて、内側に向かって傾斜状に延出する16個の係合片部が概ね等間隔に一体に突出している。係合片部は内側に湾曲した湾曲部と湾曲部の先端に一体に形成された球状部からなる。
d 円筒金属部品は、内部に雌ねじ孔を有する円筒部材であり、底部において外方に同軸的に一体に延出する円筒鍔部分を有する。
e 金属ボルトは、上下両端に雄ネジが切られており、中央に非ネジ部が形成され、一方の雄ネジと非ネジ部の境界には鍔部がある。
f 円柱樹脂部品、円環樹脂部品、円筒金属部品、金属ボルトは以下のように結合される。
(a)円環樹脂部品は、円柱樹脂部品の分散係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部分に同軸的に圧入されて、円環樹脂部品の外環状部分は円柱樹脂部品の円柱フランジ部分に着座するように結合する。
(b)円筒金属部品の円筒部材は、円柱樹脂部品の小径孔部に大径孔部を介して同軸的に圧入されるとともに、円筒鍔部分は大径孔部に嵌装されている。
(c)金属ボルトの鍔部が形成された側の雄ネジは、円柱樹脂部品の上部(小径孔部側)から円筒金属部品の円筒部材の雌ねじ孔に螺合される。」
2 検甲第2号証
(1)平成30年9月14日に行われた証拠調べ(検証)の結果、検甲第2号証は以下の構成を有する。(第1回口頭審理及び証拠調べ調書)
a 黒色の樹脂製の略円盤状のディスク部材、金属製のねじ部材、金属製の円環板部材からなる。
b ディスク部材
(a)中央に中央孔部を有する円型基板であり、円型基板の両面の一方の面から突出するように中央孔部の周囲に分散して複数の面側係合片部が一体的に形成されている。
(b)円型基板の中央孔部の外周側にて複数条の(長手状)開口部を並行して分散状に有し、複数の面側係合片部は、複数条の開口部の各々に、当該開口部を湾曲状(半ループ形状)に跨ぐように、開口部の長手方向に間隔をおいて設けられている。
(c)円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する複数の周側係合片部を有し、周側係合片部は、それぞれ、円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から面側係合片部が設けられてない側に折れ曲がるように延出する折れ曲がり部を有する。
c ディスク部材の円型基板の直径は35.39mm、厚さは0.99mm、中央孔部の直径は4.44mmである。
d ねじ部材の頭部直径は6.60mm、長さは25.56mmである。
e 円環板部材の内径は6.62mm、外径は12.75mm、厚さは1.04mmである。
(2)検甲第2号証から把握できる発明の認定
上記(1)で記載した事項を踏まえると、検甲第2号証から、次の発明(以下「検甲2発明」という。)が把握できると認められる。
「以下の構成を有する部材。
a 黒色の樹脂製の略円盤状のディスク部材、金属製のねじ部材、金属製の円環板部材からなる。
b ディスク部材
(a)中央に中央孔部を有する円型基板であり、円型基板の両面の一方の面から突出するように中央孔部の周囲に分散して複数の面側係合片部が一体的に形成されている。
(b)円型基板の中央孔部の外周側にて複数条の(長手状)開口部を並行して分散状に有し、複数の面側係合片部は、複数条の開口部の各々に、当該開口部を湾曲状(半ループ形状)に跨ぐように、開口部の長手方向に間隔をおいて設けられている。
(c)円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する複数の周側係合片部を有し、周側係合片部は、それぞれ、円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から面側係合片部が設けられてない側に折れ曲がるように延出する折れ曲がり部を有する。」
3 検甲第3号証
(1)平成30年9月14日に行われた証拠調べ(検証)の結果、検甲第3号証は以下の構成を有する。(第1回口頭審理及び証拠調べ調書)
下記以外は、上記1(1)アと同じ。
a 灰色の樹脂製の円柱状の円柱樹脂部品、灰色の樹脂製の円環状の円環樹脂部品からなる。
b 上部環状壁部の板厚は根元部分、先端部分でそれぞれ3回測定し、1回目(根元0.31mm、先端0.23mm)、2回目(根元0.31mm、先端0.26mm)、3回目(根元0.31mm、0.27mm)である。下部環状壁部の板厚は根元部分、先端部分でそれぞれ3回測定し、1回目(根元1.50mm、先端1.44mm)、2回目(根元1.47mm、先端1.41mm)、3回目(根元1.50mm、1.40mm)である。
c 円柱部分の下面には刻印はない。
d 各部品結合後の金属ボルトの突出長さは25.24mmである。
(2)検甲第3号証から把握できる発明の認定
上記(1)で記載した事項を踏まえると、検甲第3号証から把握できる発明(以下「検甲3発明」という。)は、検甲1発明と同じであると認められる。
4 甲第5号証の1~4
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、甲第5号証の1~4には、次の事項が記載されている。
ア 甲第5号証の1
「
」
イ 甲第5号証の2
「
」
ウ 甲第5号証の3
「
」
エ 甲第5号証の4
「
」
5 甲第7号証の1~8
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、甲第7号証の1~8には、次の事項が記載されている。
ア 甲第7号証の1~3
受注日を2016年9月21日として、株式会社ヤブ原大阪支店から、東レ・アムテックス株式会社へ、納入先を西武建設とする、スーパールーフボンドSLB(L37)500個の注文書、出荷依頼書及び送り状。
イ 甲第7号証の4~8
受注日を2016年9月30日として、株式会社ヤブ原大阪支店から、東レ・アムテックス株式会社へ、納入先を田中住建とする、スーパールーフボンドSLB(L37)500個の注文書、出荷依頼書、送り状、倉庫出荷指図書及び到着原票。
6 甲第11号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第11号証には、次の事項が記載されている。(下線は本審決で付した。以下同様。)
ア 「タイル剥落防止に32ミリディスク」「本郷コーポレーション」(見出し)
イ 「既に2000棟超への建物に採用実績がある外壁タイル剥落防止対策『ウォールキャッチャー』の販売を担う本郷コーポレーション・・・が、・・・進化版『ウォールキャッチャー・ディスク』を考案した。」(右欄1行~4行)
ウ 「コンクリート躯体と外壁タイルを張り合わせるモルタル層の劣化が、剥離の原因とされている。・・・躯体とモルタル層の追随性が強く求められる。十数年前に販売したウォールキャッチャーはセパレータ先端に取り付けられた径30ミリ、高さ25ミリほどの筒型パーツ。・・・従来のウォールキャッチャーはセパレーター位置に限定されるが、ディスクを使えば、集中的に対策を施せる利点も生まれる。・・・新築マンションに両製品を併用した形で初適用され・・・売り込みを開始した。」(本文1段1行~3段17行)
エ 「ディスク、ワッシャ、アンカーの3点セット」、「新築向け製品のウォールキャッチャー」、「コンクリート躯体を35ミリほど削孔し電動ドライバーで取り付ける」について、それぞれの以下の写真が記載されている。
「
」
7 甲第13号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった情報である甲第13号証には、次の事項が記載されている。
「
」
8 甲第16号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第16号証には、次の事項が記載されている。
「カーボンブラックは、ゴムや樹脂等の高分子工業分野では広く用いられる耐候性改善用の添加材で、数十から数百m2/gのBET吸着比表面積を有する微粉末炭素材料である。」(252頁左欄下から3行~右欄1行)
9 甲第17号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第17号証には、次の事項が記載されている。
ア 114頁の表5において、「カーボンブラック」欄と「ポリアミド」欄の交点は「○」(一般によく使用されている)であることが看て取れる。
イ 「5.3 耐候性・・・カーボンブラックなどの無機顔料などが良好な性質を示す。・・・図-3にはポリプロピレンフィルムによる顔料およびその添加量の影響を示す。これからみると,カーボンブラック,・・・は,紫外線遮断効果がよく,さらに添加量が増えるに従い,その効果が増加している。とくにカーボンブラックはその効果が著しいので通信ケーブル,自動車部品などに多く使用されている。」(120頁右欄3行~122頁左欄5行)
10 甲第18号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第18号証には、次の事項が記載されている。
「紫外線を遮断するものにカーボンブラック添加の方法があり,ナイロンの劣化防止のために被覆するネオプレン膜の厚みならびにカーボンブラック添加の有無についての検討も報告されている。」(615頁右欄下から6行~3行)
11 甲第20号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第20号証には、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】そこで、本発明の目的は、簡単な構造でボルトの脱落を防止し、かつボルトの交換が容易なフランジ部材およびそれを用いたインテークマニホールドを提供することにある。」
イ 「【0014】フランジ部材20は、フランジ本体21および爪部22を備えている。フランジ本体21には、吸気パイプ11、12、13と接続される図示しない開口部が吸気パイプ11、12、13に対応して3カ所形成されている。フランジ本体21および爪部22は、樹脂により一体に成形されている。
【0015】フランジ本体21には、ワッシャ付きボルト30が挿入されるボルト孔23が貫通して形成されている。ボルト孔23は、フランジ本体21に複数形成されている。なお、図2では、説明の簡単のため、フランジ本体21の両端部にワッシャ付きボルト30を組み付ける場合について示している。
【0016】図1に示すように、ボルト孔23の内周側にはボルトの締め付け力を保持するための金属製のカラー部材24が配設されている。爪部22は、ボルト孔23の端部側からボルト孔23が形成されている方向とは反対方向へ突出して形成されている。爪部22の内部には、ワッシャ付きボルト30が収容される。
【0017】ワッシャ付きボルト30は、インテークマニホールド1とシリンダブロック2とを接続して固定する。ワッシャ付きボルト30は、ボルト本体31とワッシャ32とから構成されている。ボルト本体31は、頭部311および軸部312を有している。頭部311の外径は、爪部22の内径よりも小さく形成されている。軸部312には、雄ねじ部312aが形成されている。軸部312はワッシャ32を貫通している。図3に示すように、ワッシャ32に形成されている内孔32aは、その内径が雄ねじ部312aのねじ山の外径および頭部311の外径より小さいため、ワッシャ32はボルト本体31から脱落しない。ボルト本体31の雄ねじ部312aは、シリンダブロック2に形成されている雌ねじ部2aにねじ込まれる。ボルト本体31がシリンダブロック2にねじ込まれると、爪部22の内部にワッシャ32および頭部311が収容される。
【0018】図1および図3に示すように、爪部22の内周側には、爪部22の内周方向へ突出する突出部25が形成されている。突出部25は、ワッシャ32の外周部32bよりも爪部22の内周側へ突出している。爪部25は、図3に示すようにワッシャ付きボルト30の周方向へ等間隔に4カ所配設されている。
【0019】突出部25は、図1に示すように爪部22の軸方向の断面の形状がカギ形状である。突出部25の反フランジ本体側は傾斜面になっているため、ワッシャ32の挿入が容易である。また、突出部25のフランジ本体側はワッシャ32の形状に対応しているため、ワッシャ32は突出部25のフランジ本体側と当接し、移動が制限される。」
12 甲第21号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第21号証には、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 樹脂製の平板部と、
この平板部に複数で一組として一体的に設けられ、一枚のコインを係脱可能に保持する複数組の弾性を有した保持爪と、
この一組の保持爪で保持したコインの外縁が一部を横切る状態で前記平板部に設けられた複数の開口または凹部を備え、
前記複数組の保持爪を、保持するコインの大きさ毎に区画して配設した、
ことを特徴とするコインホルダ。」
イ 「【0023】図10は保持爪の他の形状を示す説明図である。この図10に示すように、保持爪11~16の保持面を段部を有するものとしても、同様にコインを保持することができる。」
13 甲第22号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第22号証には、次の事項が記載されている。
「【0008】
【実施例】以下、本発明を図面をもって更に詳細に説明する。図1は本発明のコイン状装飾体ホルダ-の第1例を示す斜視図、図2はその側面図、図3は図1のA-A線での断面図である。又、図4はその主要部の拡大断面図である。図において、1はコイン状装飾体ホルダ-の基体となるリング部であり、このリング部1の一方側にはその全周にフランジ部2が形成されており、他方側には4つの爪状フランジ部3が設けられ、コイン状装飾体Aをリング部1内に嵌め込んでから爪状フランジ部3を折り曲げてコイン状装飾体Aを保持する構造となっている。」
14 甲第23号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第23号証には、次の事項が記載されている。
「【0015】
本実施形態のRFIDタグ取付具1は、図1から図4に示すように、コイン型タグのRFIDタグTがはめ込まれる凹部である円形嵌合部2と、該円形嵌合部2の縁に設けられはめ込まれたRFIDタグTの上部に当接して支持する2つの爪部3と、円形嵌合部2内の中央に形成され該円形嵌合部2よりも小さい直径の貫通孔4とを備えている。
また、このRFIDタグ取付具1は、円形嵌合部2を中央に配して全体が横長の菱形板状にゴム材で形成されている。」
15 甲第24号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第24号証には、次の事項が記載されている。
「【考案を実施するための最良の形態】
【0006】
本体に石よりも少しだけ小さい道を作り、表から落ちないようにし、溝にワッシャーをセットしワッシャーのバネを利用して石を留めている。」
16 甲第25号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第25号証には、次の事項が記載されている。
「【0036】本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具において、係止部の形状としては、未硬化のモルタル内に深く侵入できる程度の剛性を有し、かつ硬化後のモルタルを支持するだけの破断強度を有するものであれば特に限定されない。図1,2や図5の実施形態では、係止部2の形状をループ状にしたが、例えば図7(A)~(D)に示すようなフック(鉤)状であってもよく、図7(E)のようなフィラメント状であってもよい。
【0037】図7(A)の係止部2は円弧状フック、同(B)の係止部2はL形フック、同(C)の係止部2はT形フック、同(D)の係止部2はキノコ形または球状フックである。また、図7(E)の係止部2はフィラメント状であるが、その形状はストレート状であっても、ウェーブ状であってもよい。いずれの場合も、列状に並べた状態の内面側をピン中子によって成形され、または延伸を加えるように成形される。
【0038】また、係止部2の配列としては、図1や図5の実施形態では、多数の係止部2の列を平行に配列したが、例えば図6の実施形態のように、放射状に配置したものであってもよい。」
17 甲第26号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第26号証には、次の事項が記載されている。
「【0039】係止部の形状としては、未硬化のモルタル内に深く侵入できる剛性を有し、かつ硬化後のモルタルを支持するだけの破断強度を有するものであれば特に限定されない。図1の実施形態の係止部2はループ形状であるが、例えば図5(A)~(D)に示すようなフック(鉤)状であってもよく、図5(E)に示すようなロッド状であってもよい。フック状については、図5(A)の係止部2は円弧状フック、同(B)の係止部2はL形フック、同(C)の係止部2はT形フック、同(D)の係止部2はキノコ形または球状フックである。
【0040】また、係止部2の配列は、図1、図3、図4の実施形態では、多数の係止部2が並列的に配置されたものであるが、例えば図6の実施形態のように、放射状に配置したものでもよい。また、図7(A),(B)に示す実施形態のように、さらに支持突起4の内壁面に係止部2を配置してもよい。」
18 甲第27号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第27号証には、次の事項が記載されている。
「【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るモルタル剥落防止具1の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明に係るモルタル剥落防止具1は、コンクリート壁Aに埋設されたナット管2に固定ボルト3を介して固定した後、その上からモルタルB等が塗付けられるもので、図2(a),(b)に示すように、エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂から一体的に構成された円筒部11および第1モルタル剥落防止部12と、後述するようにポリエチレン等の熱可塑性樹脂等から構成された第2モルタル剥落防止部としての線状部材13とから構成される。なお、図1において、5は、後述する型枠4の保持のために使用するセパレータであり、図1に示すように、本発明に係るモルタル剥落防止具1は、セパレータ5に固定されたナット管2に固定しても良いし、セパレータ5なしにコンクリート壁Aの壁面に埋設されたナット管2に固定するようにしても良い。また、このモルタル剥落防止具1は、後述する図6以降に示すように型枠4を支持していたスペーサー7を、硬化したコンクリ-ト壁面Aから脱型した後に、そのコンクリ-ト壁面Aに形成される大径円形状凹部A1に挿入される。
【0014】・・・
【0015】
第1モルタル剥落防止部12は、図2~図4に示すように、円筒部11の上面から所定間隔、例えば、90度間隔で立設され上方へ所定長さ、すなわち第1モルタル剥落防止部12の下面がコンクリ-ト壁面Aの高さ以上になるように、円筒部11から上方へ延びて形成されて延びた4本の柱脚部12aと、その各柱脚部12aからコンクリ-ト壁面Aに沿って折曲がり、円筒部11の中心から離れる半径方向に延びる4本の半径方向骨部12
bと、円筒部11の中心をその中心として所定の第1半径で各半径方向骨部12bの中間に連設する小円環骨部12cと、円筒部11の中心をその中心として小円環骨部12cの第1半径より大きい所定の第2半径で各半径方向骨部12bの外周端部に連設する大円環骨部12dとから構成される。
【0016】
第1モルタル剥落防止部12の大円環骨部12dと半径方向骨部12bとの連結(交点)部分の裏面側には、凸部12d1が設けられている。そのため、後述するように、第1モルタル剥落防止部12の大円環骨部12dと半径方向骨部12bとの各連結(交点)部分に、第2モルタル剥落防止部である線状部材13を結び付ける等して掛止する際、各連結部分の突出した凸部12d1に線状部材13を結び目が掛止して、線状部材13等の第2モルタル剥落防止部を半径方向骨部12bや、小円環骨部12cおよび大円環骨部12dの上面と平行に延ばすことが容易となる。なお、第1モルタル剥落防止部12の大円環骨部12dと半径方向骨部12bとの連結(交点)部分の裏面側に凸部12d1を設けることは、任意であり、省略しても良い。
【0017】
なお、この例では、柱脚部12aは、円筒部11の上面から90度の所定間隔で立設して説明したが、本発明では、これに限らず、45度や、60度の所定間隔で8本や6本等の複数本、立設させても良い。半径方向骨部12bも、柱脚部12aと同様に、4本に限らず、8本や6本等、何本設けても良い。さらに、小円環骨部12cと大円環骨部12d以外に、円環骨部を設けても良い。また、第1モルタル剥落防止部12の円筒部11から柱脚部12aを介し延びてコンクリ-ト壁面Aと平行に外側へ広がる半径方向骨部12bや小円環骨部12cおよび大円環骨部12dは、例えば、図1等に示すように、その下面がコンクリ-ト壁面Aの高さ以上になるように構成しているが、本発明では、そこまで突出してなく、半径方向骨部12bや、小円環骨部12cおよび大円環骨部12dの上面がコンクリ-ト壁面Aの壁面より低く、第1モルタル剥落防止部12全体が、コンクリ-ト壁面Aの後述する大径円形状凹部A1(図6や図7等参照。)に埋まるように構成しても勿論良い。
【0018】
第2モルタル剥落防止部である線状部材13は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を溶解して押し出し後、高延伸した合成樹脂製の線材であって、塑性変形により形状保持する素材で、例えば、テクノロート(三井化学株式会社の登録商標)等を使用する。そして、線状部材13は、例えば、図2(a),(b)に示すように、本ほぼ半分に折り返して使用されており、半分に折り返したその先端を折返し部分に通すことにより、掛止孔11dに掛止している。なお、線状部材13を半分に折り返したときの長さは、隣接するモルタル剥落防止具1間の距離のほぼ1/2または1/2以上にすることが望ましい。このようにすると、コンクリート壁面Aに第2モルタル剥落防止部である線状部材13が満遍なく広がって、その上から塗り付けられるモルタル中に広く埋設されるため、従来よりもモルタルやタイル等の外装材の剥落防止性能を向上させることができる。
【0019】
そして、この線状部材13は、第1モルタル剥落防止部12の柱脚部12aではなく、例えば、第1モルタル剥落防止部12の大円環骨部12dと半径方向骨部12bとの連結(交点)部分に結び付けるように掛止している。そのため、この線状部材13は、その掛止部分(結び目)が大円環骨部12に沿って水平方向に回転するように移動したり、柱脚部12aに沿って上下方向に移動することがなくなり、この点で均等かつ確実にコンクリ-ト壁面Aに沿って延びる。その結果、その上から塗付けられるモルタルBに埋設された場合、硬化したモルタルBの剥落を効果的に防止できる。ただし、線状部材13を第1モルタル剥落防止部12の大円環骨部12dと半径方向骨部12bとの連結(交点)部分に掛止することは任意であり、これに限らず、連結(交点)部分以外の大円環骨部12dに掛止したり、半径方向骨部12bや、小円環骨部12c、さらには柱脚部12aに掛止するようにしても良い。」
19 甲第28号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第28号証には、次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリート表面に形成されたコーン跡に埋設させて、該コンクリート表面に塗布されるモルタルの接着補助を行う補助具であって、前記コーン跡に埋設される埋栓部と前記モルタルに係合する係止部とを同一の樹脂で一体成形したモルタル接着補助具。
・・・
【請求項3】 前記係止部をループ状またはフック状に形成した請求項1または2に記載のモルタル接着補助具。」
20 甲第29号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第29号証には、次の事項が記載されている。
ア 「実用新案登録請求の範囲
コンクリート壁面に形成された木コーン穴から突出したセパレータの端部に螺着されるキヤツプ本体と、このキヤツプ本体に一端を取り付けた複数の線材とで構成したことを特徴とする剥落防止用キヤツプ。」
イ 「(ヘ) 考案の効果
以上のように、本考案にあつては、コンクリート壁面に形成された木コーン穴から突出したセパレータの端部に螺着されるキヤツプ本体と、このキヤツプ本体に一端を取り付けた複数の線材とで構成したものであるから、型枠解体後コンクリート壁面に残る木コーン穴から突出するセパレータの端部にキヤツプ本体を螺着することができ、その後に木コーン穴からコンクリート壁面に亘つて塗り込まれるモルタルによつて、キヤツプ本体に取り付けた複数の線材がそのモルタル中に埋設し、コンクリート壁面からのモルタル壁の浮き、剥離を防止すると共に、剥落を防止することができる。」(5欄3行~6欄3行)
21 甲第30号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第30号証には、次の事項が記載されている。
「【考案を実施するための最良の形態】
【0015】
本考案によるタイル剥落防止埋コンの実施形態を、図1に示す斜視図と図2に示す係合フレーム、図3に示す剥落防止埋コンの組み合わせ状態を示す断面図及び図4に示す施工例図と図5の建物が災害を受けた状態を示す参考図で説明する。
【0016】
本考案における剥落防止埋コン1を形成する埋コン2はモルタル素材とし、その大きさは高さ約20mmで径は約35mm程度の略コーン状を成す小径側の中央に係合フレーム3を半埋設し、かつ大径側には金属製のネジ管4を埋設して成るタイル剥落防止埋コン1とする。尚、前記する埋コン2は略コーン状であるが、円柱状でもよい。
【0017】
以下、さらに詳述する。前記する埋コン2はモルタル素材による略コーン状を成す埋コン2の小径側の中央に半埋設する係合フレーム3は、細くても丈夫でかつ適度な柔軟性を有するエンジニアプラスチック素材により、図2のように高さ約21mmで径が約27mmほどのリング5の4か所下部に、端部に突部6を設けた一定長の支柱7を4本取り付けるとともに、そのリング5の支柱7部位から内側中央に4本の支持棒8,8に連結して成る係合縁9付き筒体10を取り付けて成る円形状の係合フレーム3を形成し、その係合フレーム3の下部には、金属製でかつ中ほどに防水壁11を設けたネジ管4を組み合わせた状態で、前記係合フレーム3の筒体10より上部が前記埋コン2の外部面に突設するように埋設形成して成る埋コン本体12を形成する。
【0018】
さらに、以上のように形成した埋コン本体12には、前記係合フレー3側に、別体形成される係止ツバ13付き軸足14と、前記係合フレーム3を覆う大きさの軸足穴15付きキャップ16を組み合わせて一組とするタイル剥落防止埋コン1を構成する。
【0019】
本考案によるタイル剥落防止埋コン1は以上のような構成とするので、埋コン2はコンクリートに馴染むモルタル製とするとともに、その片面に半埋設する係合フレーム3は、細くても丈夫でかつ柔軟性を有するナイロン樹脂等のエンジニアプラスチック素材による円形状の係合フレーム3を埋コン2外部に突設させるとともに、その係合フレーム3の支柱7,7は突部6付き支柱7が埋コン2に半埋設する埋コン本体12を形成するので、係合フレーム3が強く引っ張られると伸びるが埋コン2から分離することはない埋コン本体12を形成する。
【0020】
加えて、その埋コン本体12には、従来から型枠形成時に用いられる軸足13と、かつ前記埋コン本体12の係合フレーム3の突設部を覆うキャップ16が組み合わされるタイル剥落防止埋コン1となるので、型枠Bと前記軸足14を取り外した際は、埋コン2の外部に係合フレーム3上部が突設するので、構築物外壁の下地材となるモルタルEを塗り付け易いタイル剥落防止埋コン1を形成する。
【0021】
次に、以上のようなタイル剥落防止埋コン1を用いて構築物の外壁の施工手順を、以下、図4の(イ)から(ヘ)図に示す施工例図で説明する。
【0022】
まずコンクリート構築物を施工する際に用いる丸セパレータAに、図4の(イ)に示すようにして、本考案のタイル剥落防止埋コン1を前記丸セパレータAの端部に取り付けて後に、締め付け具Cを持って型枠Bを形成した上でコンクリートDを打設する。さらにコンクリートDが硬化した後に締め付け具Cと型枠Bを取り外すと、(ハ)図のように軸足14とキャップ16は埋コン本体12に組み合わされた状態で構築物壁面と面一で残る。
【0023】
さらに、その状態から(ニ)図のように軸足14を取り外すと、係止ツバ13に係合しているキャップ16も取り外されるので、その外壁面に下地材とするモルタルEを塗り付けると(ハ)図のように突設している係合フレーム3や壁面にも容易に均一に塗り込められるとともに、その上に外装材となるタイルFを張り付けると、(ヘ)図のように美しいタイル張りの外装構築物を完成できる。
【0024】
以上のような施工において、本考案品のタイル剥落防止埋コン1を取り付けると、万一、地震などによって外壁面に亀裂が起きても、モルタルが喰い込んでいるエンジニアプラスチック製の係合フレーム3の支柱7は引き伸ばされるため、図5に示すようにモルタルEやタイルFの剥落を最小限に抑えることができる。さらに施工時においては、埋コン本体12に軸足14とキャップ16を組み合わせてコンクリートDを打設した後に、型枠Cを取り外してから軸足14を引き抜くに連動してキャップ16も取り外されるため、係合フレーム3の周囲が空いた状態に形成できるので、埋コン本体12に縁を設けなくても現場のコンクリートDによって、従来品のように係合フレーム12の周囲に隙間を作れる機能的な埋コンとなる。
【0025】
本考案のタイル剥落防止埋コン1における埋コン2の素材はモルタル素材が好ましいが、合成樹脂製でもよい。また係合フレーム4の形状は円形状であるが角状でも差し支えないし、柔軟性があればナイロン素材以外いずれのエンジニアプラスチックでも構わないなど、いずれも特に限定するものではない。」
22 甲第31号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第31号証には、次の事項が記載されている。
「【考案を実施するための最良の形態】
【0014】
本考案によるタイル剥落防止埋コンの実施形態を、図1に示す斜視図と図2に示す係合フレーム、図3に示す剥落防止埋コンのA-A線拡大断面図及び図4~図7に示す使用状態参考図で説明する。
【0015】
本考案におけるタイル剥落防止埋コン1を形成する埋コン本体2はモルタル素材とし、その大きさは高さ約30mmで径45mm程度の円柱状を成す片面の中ほどに、深さ約8mmで径35mmほどの凹部3を形成した内側及び内部に、ナイロン樹脂等のエンジニアプラスチック素材(以下、エンジニアプラスチックと称す)による係合フレーム4を半埋設し、かつ対向側に金属製のネジ管5を埋設したタイル剥落防止埋コン1とする。
【0016】
以下、さらに詳述する。前記する埋コン本体2に埋設する係合フレーム4は、細くても丈夫でかつ適度な柔軟性を有するエンジニアプラスチック素材により、図2に示すように高さ約8mmで径12mmほどの筒体6下部に、一回り大きい嵌合縁7を有する前記筒体6の上端部から四方に延長する支持棒8,8を設けた端部に、径が約30mm程度のリング9を設けるとともに、そのリング9の四か所の連結部から下部に延長する支柱10,10端部に突部11を設けて成る係合フレーム4を一体形成して成るものである。
【0017】
以上のような係合フレーム4を、前記モルタル素材による埋コン本体2の凹部3内に半埋設するとともに、その反対側には、型枠形成時の丸セパレータAに取り付けるための金属製のネジ管12を、前記係合フレーム4の筒体6下部の嵌合縁7に組み合わせた状態で埋コン本体2内に一体に埋設して、本考案によるタイル剥落防止埋コン1を構成する。尚、前記するネジ管は金属素材であるが強度があれば合成樹脂製でも差し支えないし、また埋コン本体2の外形は円柱状であるが、台形でも逆台形状でも構わないものとする。
【0018】
本考案によるタイル剥落防止埋コン1は以上のような構成とするので、埋コン本体2はコンクリートに馴染むモルタル製とするとともに、その片面に設けた凹部3には、細くても丈夫でかつ柔軟性を有するナイロン樹脂等のエンジニアプラスチック素材による丸枠状の係合フレーム4であるとともに、そのリング9下部には、突部11付き支柱10を半埋設して、前記凹部3内に係合フレーム4の上部を位置させているので、例えば、強く引っ張られて伸びても埋コン本体2から分離することはない。
【0019】
また係合フレーム4の筒体6下部の嵌合縁7には、丸セパレータAに螺合するネジ管12を組み合わせて一体に埋設しているので、型枠形成時の丸セパレータAに取り付けるのも容易な構成であり、例えば、極めて強い地震を受けてコンクリート外壁面やモルタルに亀裂が起った場合でも、図7に示すようにタイルBやモルタルF壁が万一剥がれても、係合フレーム4が引き伸ばされながらもタイルBを保持するので、剥離して落下するのを最小限にとどめられるタイル剥落防止埋コン1を形成する。」
23 甲第32号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第32号証には、次の事項が記載されている。
ア 「【0009】
【発明の実施の形態】図1(A),(B)は、本発明のモルタル接着補助具の一例を示す。図において、モルタル接着補助具5は、繊維で強化された強化樹脂からなる円板状の基盤部1と、その片側表面に列状に突設する多数のループ状の係止部2とから構成されている。基盤部1が強化樹脂からなるのに対して、係止部2は補強繊維やフィラーで補強されない非強化樹脂からなり、この基盤部1と係止部2とが射出成形により一体成形されている。
【0010】さらに基盤部1の係止部2側の表面には、ループの内径と同一径からなる多数の凹溝3が多数の係止部2の列方向と交差するように形成されている。また、基盤部1の中央部には、アンカーピン等の固定金具を挿入するための挿入孔4が貫通している。
【0011】上記モルタル接着補助具5は、既設のコンクリート建造物の外壁或いはコンクリート床面を表面層を撤去することなくモルタルを塗布して補修するとき、その剥落防止用前処理のための手段として、図2~5に示すように使用される。」
イ 「【0024】係止部の形状としては、図1、図6、図7(A),(B)に例示するようなループ状が好ましい形状であるが、未硬化のモルタルの塗布圧に抗するだけの剛性を有してモルタル内部に深く侵入し、また硬化後のモルタルを支持するだけの破断強度を有する構成のものであれば特に限定されない。例えば、図7の(C),(D),(E),(F)に示す実施形態のようにフック状や、図7(G)に示す実施形態のようにロッド状であってもよい。フック状については、図7(C)の係止部2は円弧状フック、同(D)の係止部2はL形フック、同(E)の係止部2はT形フック、同(F)の係止部2はキノコ形または球状フックである。」
24 甲第33号証
請求人が無効理由に係る証拠として提出した、本件特許の出願日前に頒布された刊行物である甲第33号証には、次の事項が記載されている。
「【実施例3】
【0088】
図9は他の実施例を説明するものである。実施例1で説明した部分に関しては説明を省略し、図9において実施例1で説明した要素については共通する符号を用いてその説明を省略する。
【0089】
図9(a)図示の状態でタイル20a~20fが浮きタイルであった場合、これらの浮きタイルの目地部21に、ディスクカッター等を用いて、タイル20a~20fの端部側面が露出するように溝条22を形成する。
【0090】
また、ドリルを用いて、溝条22の所定箇所に少なくともコンクリート躯体面より所用の深さに到達する深さの挿入穴25a、25bを形成する。
【0091】
次に、接着・固定材を溝条22と挿入穴25a、25bに充填、注入するとともに、溝条22の長手方向長さを有する複数本の繊維状素材28を一方向性に揃えて束ねた繊維束23で溝条22を埋め込み、接着・固定材を繊維束23に浸潤させて一体化する。
【0092】
また、先端挿入部27bと後端フック部27aとを有する金属製のアンカーピン27を、後端フック部27aで繊維束23を掛止するように先端挿入部27bから挿入穴25a、25bに挿入する。
【0093】
これによって、複数本の繊維状素材28と、接着・固定材とで浮きタイルであるタイル20a~20fとコンクリート躯体30を接着・固定するものである。
【0094】
この実施例でも、実施例1、2と同じく複数本の繊維状素材28が一方向性に揃えて束ねられている繊維束23に接着・固定材が浸潤し一体化した構法による本発明の繊維状浮きタイル繋止材によって、浮きタイルであるタイル20a~20fの端部側面と、コンクリート躯体30との間が接着・固定され、優れた耐久性と強度及び高い靭性が発揮される。」
第7 無効理由1、2についての判断
1 検甲1発明~検甲3発明が本件特許の出願前に公然実施された発明であるか否かについて
(1)検甲1発明、検甲3発明について
上記第6の1(1)に記載された検甲第1号証の1~4の各構成と甲第5号証の1~4の製作図面を比較すると、検甲第1号証の1~4の構成は、甲第5号証の1~4の製作図面に記載されたスーパーループボンドと称する部材と同じ構成を有しているから、甲第5号証の1~4は検甲1発明(検甲第1号証の1~4)の製作図面と認められる。
そして、当該スーパーループボンドは、甲第7号証の1~8によれば、2016年9月頃には西武建設、田中住建に出荷されたことが推認できるから、本件特許の出願日である2017年3月23日以前に、製造販売されていたと認められる。
したがって、検甲1発明は、本件特許の出願前に公然実施された発明であると認められる。
また、検甲3発明は、検甲1発明と同じ構成を有しているので、検甲3発明についての判断等は、検甲1発明についての判断等に代える。
(2)検甲2発明について
上記第6の2(1)に記載された検甲第2号証の構成と甲第11号証の「ディスク、ワッシャ、アンカーの3点セット」の写真を比較すると、検甲第2号証の構成は、当該写真に記載されたウォールキャッチャーディスクと称する部材と概ね同じ構成を有していると認められる。
また、同様に甲第13号証におけるウォールキャッチャーディスクと称する部材も、検甲第2号証の構成と概ね同じであると認められる。
したがって、検甲第2号証は、甲第11号証、甲第13号証の記載に基づいて本郷コーポレーションが製造販売していた製品であると推認できる。
そして、甲第11号証は本件特許の出願前に頒布された刊行物であり、甲第13号証は本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった情報であるので、検甲2発明は、本件特許の出願前に公然実施された発明であると認められる。
2 本件発明1について
(1)本件発明1と検甲1発明の対比
ア 検甲1発明の「円柱樹脂部品」は、「底面から上面に向けて拡大する円錐台状部分、円錐台状部分から環状に外方へ径方向に沿い延出する円柱状の円柱フランジ部分、円柱フランジ部分に連なる円柱フランジ部分より半径が小さい円柱状頭部分が同軸的に一体に形成されてなる」から、本件発明1の「コネクター」の「大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部」と同じ構成を備えているといえる。
したがって、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円錐台状部分」、「円柱フランジ部分」、「円柱状頭部分」は、それぞれ検甲1発明の「コネクター」、「円錐台状胴部」、「環状フランジ部」、「円柱状頭部」に相当する。
イ 検甲1発明の 「円柱樹脂部品」は、樹脂材料で一体に形成してなるから、本件発明1の「所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる」コネクターと、「樹脂材料でもって、一体に形成してなる」点で共通する。
ウ 検甲1発明の「円柱樹脂部品」の「円柱状頭部分の上面に一体に形成されている」「分散状に突出する複数の分散係合片部」は、本件発明1の「円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部」に相当する。
エ 検甲1発明の「円環樹脂部品」は、「円柱樹脂部品の分散係合片部をその外周側から包囲するように円柱状頭部分に同軸的に圧入されて、円環樹脂部品の外環状部分は円柱樹脂部品の円柱フランジ部分に着座するように結合する」から、本件発明1の「環状体」の「複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する」と同じ構成を備えているといえる。
したがって、検甲1発明の「円環樹脂部品」は、本件発明1の「環状体」に相当する。
オ 検甲1発明の「円環樹脂部品」は「底部において外方に一体に延出する外環状部分を有する環状体からなっており、環状体の上部外周に沿って一体に環状体よりも薄肉の環状壁部を有し、環状壁部は下部環状壁部と下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる上部環状壁部からなっており、上部環状壁部は下部環状壁部より薄肉である」ことから、検甲1発明の「下部環状壁部」、「上部環状壁部」は、それぞれ本件発明1の「環状体」の「環状非可変壁部」、「環状可変部」と同じ位置関係にあるから、両者はそれぞれ「下環状壁部」、「上環状部」である点で共通する。
また、検甲1発明の「上部環状壁部」は、「下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる」ので、「下部環状壁部」から突出しているということができるから、検甲1発明の「下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる」は、本件発明1の「環状非可変壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する」に相当する。
カ 検甲1発明の「環状壁部」は、「下部環状壁部と」「上部環状壁部からなって」いるので、本件発明1の「環状壁部」に相当する。
キ 検甲1発明の「円環樹脂部品」の「環状壁部」は樹脂材料で一体に形成してなるから、本件発明1の「所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる」環状体と、「樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる」点で共通する。
ク 上記ア~キから見て、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」は、本件発明1の「コネクター」、「環状体」に相当し、構成部材も実質的に対応していることから、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」からなる部材は、本件発明1の「コネクター型接着補助器具」と同様な機能を有しているといえる。
したがって、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」からなる部材は、本件発明1の「コネクター型接着補助器具」に相当する。
ケ 検甲1発明において、「円環樹脂部品は、底部において外方に一体に延出する外環状部分を有する環状体からなっており、環状体の上部外周に沿って一体に環状体よりも薄肉の環状壁部を有し、環状壁部は下部環状壁部と下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる上部環状壁部からなっており、上部環状壁部は下部環状壁部より薄肉である」ものであり、検甲1発明の「外環状部分」、「環状体」、「下部環状壁部」、「上部環状壁部」は、それぞれ本件発明1の「環状非可変着座部」、「環状非可変厚肉部」、「環状非可変薄肉部」、「環状可変部」に相当するから、検甲1発明の、「環状体の環状壁部」の「環状非可変壁部」は、「環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から環状フランジ部とは反対方向へ延出する環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してな」る点を備えている。
コ 検甲1発明の「環状壁部は下部環状壁部と下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる上部環状壁部からなっており」は、本件発明1の「環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されており」と、「環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されており」の点で共通する。
サ したがって、両者は、次の一致点1で一致し、相違点1、2及び3で相違する。
(一致点1)
「大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、前記円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、樹脂材料でもって、一体に形成してなるコネクターと、
前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する下環状壁部と、当該下環状壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する上環状部とを、樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる環状体とを備えており、
当該環状体の前記環状壁部において、
前記環状非可変壁部は、前記円柱状頭部に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、
環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成されているコネクター型接着補助器具。」
(相違点1)
コネクター、環状体の樹脂材料に関して、本件発明1は「所定の耐光性顔料」を「含有」しているのに対し、検甲1発明は「黒色の樹脂製」である点。
(相違点2)
環状壁部に関して、本件発明1は「環状非可変壁部」、「環状可変部」からなるのに対し、検甲1発明は「下部環状壁部」、「下部環状壁部より薄肉である」「上部環状壁部」からなる点。
(相違点3)
「環状可変部」について、本件発明1が「環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から」「突起状に突出するように形成されて」いるのに対し、検甲1発明が「下部環状壁部の上部外周に沿って一体に延びる」点。
(2)各相違点に対する判断
ア 当審の判断
(ア)相違点1について
本件明細書には、耐光性顔料に関して、「【0122】本第1実施形態において、当該所定の耐光性顔料含有樹脂材料としては、例えば、合成樹脂材料の一種であるエンジニアリングプラスチックのうちのナイロンの一種、株式会社東レ製射出成形用非強化ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料を均一に含有させたものが採用されている。」と記載されている。
一方、検甲1発明の製作図面である甲第5号証の1の「注)」の欄には「1.材料はナイロン6(東レ CM1016K) UL94 V2とする」と記載され、甲第8号証の1から「スーパーループボンド」が「アミラン」を含有すること、甲第8号証の2から「アミラン」が「カーボンブラック」を含有することが読み取れるから、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」には、ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料が含有されていると解される。
したがって、相違点1は、実質的な相違点とはいえない。
仮に、相違点1が実質的な相違点であるとしても、カーボンブラックは黒色の顔料としては文献を示すまでもなく一般に広く用いられている顔料であり、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」は「黒色の樹脂製」であるから、黒色の顔料として、カーボンブラックを用いることは、当業者が適宜選択しうる程度の事項にすぎない。
(イ)相違点2について
本件発明1の「環状非可変壁部」、「環状可変部」は、それぞれ「非可変」、「可変」という表現から見て、「環状非可変壁部」は変形不可能な「壁部」、「環状可変部」は変形可能な「部」を意図していると解される。このような解釈は、本件明細書の「【0162】これにより、一方の型枠は、環状突起部126を環状薄肉部123の延出端部に向けて変形しながら、環状薄肉部123の延出端部に押圧されることとなる。その結果、変形した環状突起部126は、一方の型枠の対向面との間に隙間を形成することなく当該対向面に一様に密着し得る。これが、上述のように環状突起部126をタコ足環状体120の環状壁部120aに備えるようにした根拠である。なお、本実施形態では、環状突起部126は、環状可変部としての役割を果たす。これに対し、環状着座部121、環状厚肉部122及び環状薄肉部123は、環状突起部126とは異なり、変形不能であることから、それぞれ、環状非可変着座部、環状非可変厚肉部及び環状非可変薄肉部としての役割を果たす。なお、当該環状非可変着座部、環状非可変厚肉部及び環状非可変薄肉部は、まとめて、環状非可変壁部ともいう。」の記載とも合致する。
しかしながら、実際の部材において、力が作用する以上全く変形しないものはないことから、本件発明1の「非可変」は、厳密な意味で全く変形しないということではなく、「可変」、「非可変」という用語により、変形のしやすさの程度を表していると解することが相当である。
そして、検甲1発明の「下部環状壁部」、「上部環状壁部」については、可変、非可変についての特定はされていないが、「上部環状壁部」は、「下部環状壁部より薄肉である」ことから、「下部環状壁部」より変形しやすいことは明らかである。
したがって、検甲1発明の「下部環状壁部」、「上部環状壁部」は、本件発明1の「環状非可変壁部」、「環状可変部」と同様の構成及び機能を有しているといえる。
よって、相違点2は実質的な相違点ではない。
(ウ)相違点3について
検甲1発明において、「上部環状壁部」は「下部環状壁部の上部外周に沿って」延びていることにより、製品として完成していることから、「上部環状壁部」を「下部環状壁部の上部外周」以外の部分に形成する動機付けはない。
また、甲第1号証~甲第60号証には、相違点3に係る本件発明1の構成は何ら記載されておらず、相違点3に係る構成を示唆する記載もなく、さらに検甲1発明に対して、上記動機付けを示唆するような記載もない。
イ 請求人の主張に対して
(ア)請求人は、「検甲1、検甲3は、薄厚で変形しやすい「上部環状壁部」が、厚厚で変形しにくい「下部環状壁部」の外周に沿って一体に延びるものであって、型枠への当接にあたっては上側に位置する「上部環状壁部」が先に変形する。この場合、「上部環状壁部」が「下部環状壁部」とともに「外壁」を構成するか否かといったことは、その「変形する」という機能上の意味において、関係がない。」、「型枠の凸部が先端部分の内周側に当たれば、先端部分は外周側に倒れて潰れ易く、型枠の凸部が先端部分の外周側に当たれば、先端部分は内周側に倒れて潰れ易くなる」、「「円環樹脂部品」(ガードリング)はナイロン樹脂で形成されているから柔軟性があり、倒れた場合に破断することはない。」、「被請求人は、検甲1、検甲3について『当該外壁先端部分は、すべて外周でつながっているため、不均一に、当接した順に外面側に倒れようとする結果、外周の一部が極度に引っ張られ、破断する』旨主張する。しかし、検甲1、検甲3の「上部環状壁部」について、型枠に当接した場合に外周の一部が破断するかどうかは「上部環状壁部」の形状だけが影響するのではなく材質も影響するところ、非請求人は「形状のみ」に基づいて主張している。検甲1、検甲3はナイロン樹脂で形成されていて(甲5の2)柔軟性があり、たとえ「上部環状壁部」の全周が外周側に倒れて潰れるようなことがあっても、全周が延びることとなって外周の一部が破断するようなことはない。被請求人の主張は材質を考慮しておらず失当である。」旨主張する(上記第4の2(2)オ)。
しかしながら、検甲1発明の、「上部環状壁部」が「下部環状壁部」の「外周」に沿って延びる形状であることから、前記「下部環状壁部」は、前記「上部環状壁部」から見て断面で左右非対称形状であることになり、そうである以上は、上方から力が加わった際に、前記「上部環状壁部」が倒れやすい方向に偏りがないということはできない。また、前記「上部環状壁部」が、ある程度柔軟な材料で形成されていたとしても、上方から力が加わった際に、常に「破断」を免れるともいい切れない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(イ)請求人は、「審決の予告では、「検甲1発明において、「上部環状壁部」は「下部環状壁部の上部外周に沿って」延びていることにより、製品として完成していることから、「上部環状壁部」を「下部環状壁部の上部外周」以外の部分に形成する動機付けはない。」と判断する」が、「審決の予告における「製品として完成している。」という判断はどのような意味を有するのか不明である。」、「「製品が完成している」ことを理由に、相違点に係る検甲1発明の構成について変更する動機付けが存在しないとした審決予告の判断は誤りである。」、「さらに、相違点4は、いわば「環状可変部」の形成位置の相違である。」、「実際、相違点4に係る本件発明の構成も、相違点4に係る検甲1発明の構成も、「環状可変部」の形成位置が相違するだけで、「環状可変部」の機能(型枠に当接した際に弾性変形する)には相違がなく、また、発明であるコネクター形接着補助器具の機能にも相違はない。したがって、相違点4は、まさに「環状可変部」の形成位置の相違でしかない。審決の予告では、相違点4に係る本件発明の構成について、技術的意義等を検討することなく、単に相違点であることを理由に、動機付けがないとの判断をしている。」、「この点で、審決の予告は、相違点4に係る本件発明の構成について、進歩性の容易想到性の判断を実質的に行っておらず、その判断は誤りである。」旨主張する(上記第4の2(2)カ。なお、審決の予告における「相違点4」は、本審決における「相違点3」である。)。
しかしながら、相違点3に係る本件発明の構成についての進歩性の容易想到性の判断は、上記ア(ウ)及び上記(ア)で説示したとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明1は、検甲1発明と同一ではなく、また、検甲1発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本件発明2~11について
本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに技術的な事項を発明特定事項としている本件発明2~11は、上記2.(2)及び(3)で示した判断を踏まえると、検甲1発明と同一ではなく、また、検甲1発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明12について
(1)本件発明12と検甲1発明の対比
ア 本件発明12における「大径側端部から小径側端部にかけて末すぼまり状に形成してなる円錐台状胴部と、当該円錐台状胴部の前記大径側端部から前記小径側端部とは反対方向へ同軸的に延出する円柱状頭部と、前記円錐台状胴部及び前記円柱状頭部の境界部から環状に外方へ径方向に沿い延出する環状フランジ部と、前記円錐台状胴部及び前記環状フランジ部の少なくとも一方の一部から外方へ突出する回り止め部と、前記円柱状頭部の延出端面から分散状に突出する複数の面側係合片部とを、所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に成形してなるコネクターと、前記複数の面側係合片部をその外周側から包囲するように前記円柱状頭部に同軸的に圧入されて前記環状フランジ部に着座する環状非可変壁部と、当該環状非可変壁部の前記環状フランジ部とは反対側の環状端部から前記環状フランジ部から離れる方向に突出する環状可変部とを、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体に形成してなる環状壁部を設けてなる環状体とを備えるコネクター型接着補助器具」は、本件発明1、2の構成と同一である。
イ 検甲1発明は「コネクター型接着補助器具」であり、コンクリート体の表面に形成されるモルタル壁の前記コンクリート体との接着を補助するためのものであるから、検甲1発明は、本件発明12の「コンクリート体の表面に形成されるモルタル壁の前記コンクリート体との接着を補助するための接着補助システム」であるといえる。
ウ 検甲1発明は「コネクター型接着補助器具」であるから、本件発明12の「モルタル壁が、前記各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介し前記コンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させることで、形成されていること」と、「モルタル壁が、前記各複数のコネクター型接着補助器具を介し前記コンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させることで、形成されている」点で共通する。
エ したがって、両者は、上記2(1)の相違点1、2に加えて、以下の相違点4、5で相違する。
(相違点4)
「コネクター型接着補助器具」について、本件発明12が、「複数のコネクター型接着補助器具は、それぞれ、前記円錐台状胴部にて、互いに対向して設置してなる木材或いは合成樹脂材料からなる両型枠の一方の型枠から分散状に他方の型枠に向けて延出する複数のスペーサボルトに、前記環状体の前記環状可変部を前記他方の型枠に対向させるように、連結され、かつ、前記環状壁部の前記環状非可変壁部に向けて前記環状可変部を変形させるように前記他方の型枠を押圧してな」るのに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(相違点5)
本件発明12が、「中央孔部を形成してなる基板と、当該基板にその両面の一方の面から突出するように前記中央孔部の周囲に分散して形成される複数の面側係合片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成される複数のディスク型接着補助器具とを備えており」、「複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記コンクリート体が前記両型枠の間に前記複数のスペーサボルト及び前記複数のコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された後、前記両型枠を除去した上で、前記複数のコネクター型接着補助器具とは異なる位置にて、前記コンクリート体の表面に分散状に配設され、かつ、前記基板にて、前記中央孔部を通してネジを前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられており、前記モルタル壁が、前記各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介し前記コンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させる」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。
イ 相違点4について
検甲1発明において、相違点4に係る構成について明示的に特定されていないものの、検甲1発明の「円環樹脂部品」、「下部環状壁部」、「上部環状壁部」は、それぞれ本件発明12の「環状体」、「環状非可変壁部」、「環状可変部」と同様の構成であると共に、検甲1発明と本件発明12は共に「コネクター型接着補助器具」を用いるものであるから、検甲1発明においても相違点4に係る構成のような状態で用いられるものであると解される。
したがって、相違点4は、実質的な相違点とはいえない。
仮に、相違点4が実質的な相違点であるとしても、「コネクター型接着補助器具」として用いられるものにおいて、相違点4に係る構成のような状態で用いられることは技術常識であるから(例えば、甲第26号証)、検甲1発明において、相違点4に係るような構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。
ウ 相違点5について
(ア)検甲2発明の「ディスク部材」は、「黒色の樹脂製」であり「中央に中央孔部を有する円型基板であり、円型基板の両面の一方の面から突出するように中央孔部の周囲に分散して複数の面側係合片部が一体的に形成されている」から、本件発明12の「中央孔部を形成してなる基板と、当該基板にその両面の一方の面から突出するように前記中央孔部の周囲に分散して形成される複数の面側係合片部とを有するように」、「樹脂材料でもって、一体的に形成される」「ディスク型接着補助器具」に相当する。
(イ)本件明細書には、耐光性顔料に関して、「【0122】本第1実施形態において、当該所定の耐光性顔料含有樹脂材料としては、例えば、合成樹脂材料の一種であるエンジニアリングプラスチックのうちのナイロンの一種、株式会社東レ製射出成形用非強化ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料を均一に含有させたものが採用されている。」と記載されている。
カーボンブラックは黒色の顔料としては文献を示すまでもなく一般に広く用いられている顔料であり、検甲2発明の「ディスク部材」は、「黒色の樹脂製」であるから、黒色の顔料として、カーボンブラックを用いることは、当業者が適宜選択しうる程度の事項にすぎない。
(ウ)相違点5の「複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記コンクリート体が前記両型枠の間に前記複数のスペーサボルト及び前記複数のコネクター型接着補助器具を介し打ち込まれる生コンクリートの硬化により形成された後、前記両型枠を除去した上で、前記複数のコネクター型接着補助器具とは異なる位置にて、前記コンクリート体の表面に分散状に配設され、かつ、前記基板にて、前記中央孔部を通してネジを前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられ」る点(以下「相違点5A」という。)について、甲第11号証には、「ディスク、ワッシャ、アンカーの3点セット」及び「コンクリート躯体を35ミリほど削孔し電動ドライバーで取り付ける」ことについて、写真が記載されており(上記第6の6エ)、これらの写真を参酌すれば、検甲2発明の「ディスク部材」を、相違点5Aのようにコンクリート体の表面に組み付けて使用することは当業者にとって自明であるし、仮にそうでないとしても、そのように使用することは当業者が適宜選択しうる事項にすぎない。
(エ)相違点5の「モルタル壁が、前記各複数のコネクター型及びディスク型の接着補助器具を介し前記コンクリート体の表面に所定の厚さにて生モルタルを塗布し硬化させる」点(以下「相違点5B」という。)について、甲第11号証には、「ディスク、ワッシャ、アンカーの3点セット」、「新築向け製品のウォールキャッチャー」及び「コンクリート躯体を35ミリほど削孔し電動ドライバーで取り付ける」ことについて、写真が記載されており(上記第6の6エ)、当該記載の「新築向け製品のウォールキャッチャー」は、検甲1発明の部材と類似の部材であるから、これらの記載から、検甲1発明及び検甲2発明の各部材を、相違点5Bのようにすることは当業者にとって自明であるし、仮にそうでないとしても、そのように使用することは当業者が適宜選択しうる事項にすぎない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明12は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 本件発明13について
(1)本件発明13と検甲1発明の対比
本件発明13と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点6で相違する。
(相違点6)
樹脂材料に関して、本件発明13は「所定の耐光性顔料」として「6ナイロンに耐光性黒色顔料を均一に含有して」いるのに対し、検甲1発明は「黒色の樹脂製」である点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点6について
相違点6について、上記2(2)ア(ア)で説示したとおり、検甲1発明の「円柱樹脂部品」、「円環樹脂部品」には、ナイロン6にカーボンブラック等の黒色顔料が含有されていると解される。
そして、「ディスク型接着補助器具」に関しては、「コネクター型接着補助器具」と一緒に使用される樹脂製品であるから、同じ材料とすることは製造の効率性等を考慮し当業者が適宜採用しうる常套手段にすぎない。
したがって、検甲1発明において、相違点6に係る構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明13は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 本件発明14について
(1)本件発明14と検甲1発明の対比
検甲1発明において、「分散係合片部」に関して「円柱状頭部分の上面には、分散状に突出する複数の分散係合片部がある。分散係合片部は円柱状頭部分の上面から上方へ凸な湾曲状(半ループ形状)に突出し」ていると特定されているから、検甲1発明の「分散係合片部」、「円柱状頭部分の上面から上方へ凸な湾曲状(半ループ形状)に突出し」は、それぞれ本件発明14の「ロッド状湾曲片部」、「複数のロッド状湾曲片部からなり、当該複数のロッド状湾曲片部は、それぞれ、前記円柱状頭部の前記延出端面から外方へ凸な湾曲状に突出するように形成されている」に相当する。
本件発明14と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5で相違する。
(2)各相違点に対する判断
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明14は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
7 本件発明15について
(1)本件発明15と検甲1発明の対比
検甲1発明において、(分散係合片部は)「分散係合片部の両端部にて、円柱状頭部分の上面に並行に形成してなる複数条の凹部の各々ごとに、当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて円柱状頭部分の上面に一体に形成されている」ことから、検甲1発明の「複数条の凹部」は、本件発明15の「複数条の凹部」に相当し、同様に、検甲1発明の(分散係合片部は)「分散係合片部の両端部にて、円柱状頭部分の上面に並行に形成してなる複数条の凹部の各々ごとに、当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて円柱状頭部分の上面に一体に形成されている」は、本件発明15の「円柱状頭部にはその前記延出端面から当該円柱状頭部の延出基端部に向け凹状となるように複数条の凹部が互いに並行に形成されており、前記複数のロッド状湾曲片部は、その両端部にて、前記複数条の凹部の各々ごとに当該凹部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて前記円柱状頭部の前記延出端面に形成されている」に相当する。
本件発明15と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5で相違する。
(2)各相違点に対する判断
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明15は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 本件発明16について
(1)本件発明16と検甲1発明の対比
検甲1発明において、「環状体の上面と下部環状壁部との境界部からその周方向に亘り間隔をおくように下部環状壁部の中央に向けて、内側に向かって傾斜状に延出する16個の係合片部が概ね等間隔に一体に突出している。係合片部は内側に湾曲した湾曲部と湾曲部の先端に一体に形成された球状部からなる」ことから、検甲1発明の「係合片部」は、本件発明16の「周側係合片部」に相当する。また、検甲1発明の「環状体の上面と下部環状壁部との境界部からその周方向に亘り間隔をおくように下部環状壁部の中央に向けて、内側に向かって傾斜状に延出する16個の係合片部が概ね等間隔に一体に突出している。係合片部は内側に湾曲した湾曲部と湾曲部の先端に一体に形成された球状部からなる」は、本件発明16の「環状壁部の前記環状非可変壁部からその内方に向けて突出するように前記環状壁部と一体に」「複数の周側係合片部を備えており、当該複数の周側係合片部は、前記環状非可変壁部の内周方向に間隔をおいて位置するように形成されている」に相当する。
本件発明16と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5で相違する。
(2)各相違点に対する判断
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明16は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 本件発明17について
(1)本件発明17と検甲1発明の対比
検甲1発明は、上記2(1)ケないしサで検討したように、「環状壁部の環状非可変壁部は、円柱状頭部に圧入されて環状フランジ部に着座する環状非可変着座部と、当該環状非可変着座部から前記環状フランジ部とは反対方向へ延出するように前記円柱状頭部に圧入される環状非可変厚肉部と、当該環状非可変厚肉部の延出端部の外周部位から前記環状フランジ部とは反対方向に一体に延出する環状非可変薄肉部とを有してなり、前記環状壁部の環状可変部は、前記環状非可変薄肉部の延出端部の幅方向中間部位から前記環状フランジ部とは反対方向に突起状に突出するように形成され」る構成を備えている。
本件発明17と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2及び相違点3、上記4(1)の相違点4、5で相違する。
(2)各相違点に対する判断
相違点1、2及び相違点3に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明17は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
10 本件発明18~19について
本件発明17の発明特定事項を全て含み、さらに技術的な事項を発明特定事項としている本件発明18~19は、上記9.(2)及び(3)で示した判断を踏まえると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
11 本件発明20について
(1)本件発明20と検甲1発明の対比
本件発明20と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点7で相違する。
(相違点7)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明20は、「基板はその中央孔部の外周側にて複数条の開口部を分散状に形成してなり、前記複数の面側係合片部は、前記複数条の開口部の各々ごとに、当該開口部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて形成されている」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点7について
検甲2発明の「ディスク部材」は、「円型基板の中央孔部の外周側にて複数条の(長手状)開口部を並行して分散状に有し、複数の面側係合片部は、複数条の開口部の各々に、当該開口部を湾曲状(半ループ形状)に跨ぐように、開口部の長手方向に間隔をおいて設けられている」から、当該構成は、相違点7に係る構成である「基板はその中央孔部の外周側にて複数条の開口部を分散状に形成してなり、前記複数の面側係合片部は、前記複数条の開口部の各々ごとに、当該開口部を跨ぐようにその長手方向に間隔をおいて形成されている」に相当する。
ウ 相違点1、2、4、5、7についての判断(まとめ)
そうすると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基づいて、相違点1、2、4、5、7に係る本件発明20の構成の如くすることは、当業者であれば容易に想到しうる事項であるといえる。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明20は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
12 本件発明21について
(1)本件発明21と検甲1発明の対比
本件発明21と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点8で相違する。
(相違点8)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明21は、「基板に前記一方の面から前記複数の面側係合片部の内側にて前記中央孔部の周りに間隔をおいて形成される複数のフックを設けてなり、当該複数のフックは、それぞれ、前記基板の前記一方の面から立ち上がるように延出する立ち上がり部と、当該立ち上がり部から前記基板の中心側へ折れ曲るように延出する折れ曲がり部とでもって、構成されて、環状板を、前記各立ち上がり部により包囲した状態にて前記各折れ曲がり部により前記基板の前記一方の面との間に挟持してなる」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点8について
検甲2発明の「ディスク部材」は、本件発明21の「ディスク型接着補助器具」に相当するものであるが、相違点8に係る構成について何ら特定されておらず、検甲2発明の「ディスク部材」において、相違点8のような「フック」を設けることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
また、甲第1号証~甲第60号証には、相違点8に係る本件発明21の構成は何ら記載されておらず、相違点8に係る構成を示唆する記載もなく、さらに検甲1発明あるいは検甲2発明に対して、相違点8に係る構成を設ける動機付けを示唆するような記載もない。
ウ 請求人の主張に対して
請求人は、「本発明の「フック」は甲20により文献公知となった発明であるばかりか、甲21~24、33を参照すれば、フックの構成については、当業者が適宜選択する設計事項であるため、格別の困難性もない」旨(上記第4の2(8))主張する。
しかしながら、甲第20号証~甲第24号証、甲第33号証に記載されているフック状の構成は、コンクリート構造体に対するモルタルの接着を補助するような技術分野とは大きく異なる技術分野に関するものであり、上記各文献のフック状の構成を、検甲2発明の「ディスク部材」に適用する動機付けはないというべきである。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明21は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
13 本件発明22について
(1)本件発明22と検甲1発明の対比
本件発明22と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点9で相違する。
(相違点9)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明22は「環状板部と、当該環状板部の内周縁部から当該内周縁部に沿い間隔をおくように位置して前記環状板部の表面側へ延出する複数の内側糸状片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点9について
検甲2発明の「ディスク部材」は、本件発明21の「ディスク型接着補助器具」に相当するものであるが、相違点9に係る構成について何ら特定されておらず、検甲2発明の「ディスク部材」において、相違点9のような「環状板部」を設けることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
また、甲第1号証~甲第60号証には、相違点9に係る本件発明22の構成は何ら記載されておらず、相違点9に係る構成を示唆する記載もなく、さらに検甲1発明あるいは検甲2発明に対して、相違点9に係る構成を設ける動機付けを示唆するような記載もない。
ウ 請求人の主張に対して
請求人は、「検甲2には、22A「環状板部と」、22D「前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」環状部材を備えた基本的構成が開示されている。甲30には、軸足穴15(「中央孔部」に相当)の周囲に樹脂製の係合フレーム3(「環状部材」に相当する)を配置することで、モルタルの剥落を防止する構成が開示されている。甲31にも同様の構成が開示されている。甲25には、「環状部材」を備えないが、22B「(基板の)内周縁部から当該内周縁部に沿い間隔をおくように位置して(基板の)穴に向かって表面側へ延出する複数の内側糸状片部とを有するように、」という係止部の構成が記載されている。・・・検甲2及び甲25、甲30、甲31は、共通する出願人であり、同一技術分野・同一当業者であることは自明であり、これらを組み合わせることには何ら阻害要因がないばかりでなく、技術の転用が容易な設計事項である。・・・また、甲26~29、甲32の各引用文献には、壁面のモルタル剥落防止のための補助具において、穴を覆うように傾けられた形状の係止部をはじめ、各種形状の係止部の構成に関しては様々な態様のものが開示され、当業者の設計事項として適宜選択されていることがわかる。よって、請求項22に係る特許発明は、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25、周知文献甲26~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。」旨(上記第4の2(9))主張する。
しかしながら、甲第25号証、甲第30号証、甲第31号証に記載されている構成は、甲第25号証、甲第30号証、甲第31号証に記載されている構成のどの部分を選択的に採用し、検甲2発明の「ディスク部材」にどのように適用するのか想定できないほど、検甲2発明の「ディスク部材」とは基礎となる構造が異なっているため、検甲2発明の「ディスク部材」において、相違点9のような「環状板部」を設けることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明22は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
14 本件発明23について
(1)本件発明23と検甲1発明の対比
本件発明23と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点10で相違する。
(相違点10)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明23は「環状板部と、当該環状板部の外周縁部から当該外周縁部に沿い間隔をおいて前記環状板部の表面側へ延出する複数の外側糸状片部とを有するように、前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の前記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点10について
検甲2発明の「ディスク部材」は、本件発明23の「ディスク型接着補助器具」に相当するものであるが、相違点10に係る構成について何ら特定されておらず、検甲2発明の「ディスク部材」において、相違点10のような「環状板部」を設けることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
また、甲第1号証~甲第60号証には、相違点10に係る本件発明23の構成は何ら記載されておらず、相違点10に係る構成を示唆する記載もなく、さらに検甲1発明あるいは検甲2発明に対して、相違点10に係る構成を設ける動機付けを示唆するような記載もない。
ウ 請求人の主張に対して
請求人は、「検甲2には、22A「環状板部と」、22D「前記複数のディスク型接着補助器具は、それぞれ、前記基板の上記中央孔部にて、ネジを前記環状板部にその表面側から通して前記コンクリート体にその表面から締着することで、前記コンクリート体の表面に組み付けられている」環状部材を備えた基本的構成が開示されている。また、22C「前記所定の耐光性顔料含有樹脂材料でもって、一体的に形成してなる環状部材を、複数、備えており、」は、甲30、甲31には中央孔部の周囲に配設された樹脂製の係止部材が記載されており、「耐光性顔料含有樹脂材料」を選択することは単なる公知材料の選択であり、基板と同様な材質とすることは当業者において単なる設計事項に過ぎない。さらに、係止部が外側に延びる「外側糸状片部」の構成は甲27、甲29を参照すれば当業者が適宜採用し得る周知の構成である。検甲2及び甲27、29、30、31は、同一技術分野・同一当業者であることは自明であり、これらを組み合わせることには何ら阻害要因がないばかりでなく、技術の転用は設計事項に過ぎない。・・・よって、請求項23に係る特許発明は、検甲1及び甲1~10、検甲2及び甲11~15、甲16~19、甲25~32に基づけば、本件特許出願時に当業者であれば、容易に想到することができる。」旨(上記第4の2(10))主張する。
しかしながら、甲第27号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第31号証に記載されている構成は、甲第27号証、甲第29号証、甲第30号証、甲第31号証に記載されている構成のどの部分を選択的に採用し、検甲2発明の「ディスク部材」にどのように適用するのか想定できないほど、検甲2発明の「ディスク部材」とは基礎となる構造が異なっているため、検甲2発明の「ディスク部材」において、相違点10のような「環状板部」を設けることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明23は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
15 本件発明24について
本件発明22の発明特定事項を全て含み、さらに技術的な事項を発明特定事項としている本件発明24は、上記13.(2)及び(3)で示した判断を踏まえると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
16 本件発明25について
本件発明23の発明特定事項を全て含み、さらに技術的な事項を発明特定事項としている本件発明25は、上記14.(2)及び(3)で示した判断を踏まえると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
17 本件発明26について
(1)本件発明26と検甲1発明の対比
本件発明26と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点11で相違する。
(相違点11)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明26は、「基板は、前記中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部を分散して形成してなり、前記複数の面側係合片部は、それぞれ、前記基板の前記一方の面にて、前記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように湾曲状に形成されるとともに当該各対応長手状開口部の長手方向には間隔をおいて形成されている」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点11について
検甲2発明の「ディスク部材」は、「円型基板の中央孔部の外周側にて複数条の(長手状)開口部を並行して分散状に有し、複数の面側係合片部は、複数条の開口部の各々に、当該開口部を湾曲状(半ループ形状)に跨ぐように、開口部の長手方向に間隔をおいて設けられている」から、当該構成は、相違点11に係る構成である「基板は、前記中央孔部の外周側にて複数の長手状開口部を分散して形成してなり、前記複数の面側係合片部は、それぞれ、前記基板の前記一方の面にて、前記複数の長手状開口部のうちの各対応長手状開口部をその幅方向に跨ぐように湾曲状に形成されるとともに当該各対応長手状開口部の長手方向には間隔をおいて形成されている」に相当する。
ウ 相違点1、2、4、5、11についての判断(まとめ)
そうすると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基づいて、相違点1、2、4、5、11に係る本件発明26の構成の如くすることは、当業者であれば容易に想到しうる事項であるといえる。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明26は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
18 本件発明27について
(1)本件発明27と検甲1発明の対比
本件発明27と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5に加えて、以下の相違点12で相違する。
(相違点12)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明27は、「基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の周側係合片部を具備する」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。
イ 相違点12について
検甲2発明の「ディスク部材」は、「円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する複数の周側係合片部を有し」ているから、当該構成は、相違点12に係る構成である「基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出するように形成してなる複数の周側係合片部を具備する」に相当する。
ウ 相違点1、2、4、5、12についての判断(まとめ)
そうすると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基づいて、相違点1、2、4、5、12に係る本件発明27の構成の如くすることは、当業者であれば容易に想到しうる事項であるといえる。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明27は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
19 本件発明28について
(1)本件発明28と検甲1発明の対比
本件発明28と検甲1発明を比較すると、上記2(1)の相違点1、2、上記4(1)の相違点4、5、上記18(1)の相違点12に加えて、以下の相違点13で相違する。
(相違点13)
「ディスク型接着補助器具」について、本件発明28は、「複数の周側係合片部は、それぞれ、前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部とにより形成されている」のに対し、検甲1発明はそのような特定がなされていない点。
(2)各相違点に対する判断
ア 相違点1、2、4、5、12について
相違点1、2に対する判断は、上記2(2)ア(ア)ないし(イ)と同様である。相違点4、5に対する判断は、上記4(2)イないしウと同様である。相違点12に対する判断は、上記18(2)イと同様である。
イ 相違点13について
検甲2発明の「ディスク部材」は、「周側係合片部は、それぞれ、円型基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から面側係合片部が設けられてない側に折れ曲がるように延出する折れ曲がり部を有」しているから、当該構成は、相違点13に係る構成である「複数の周側係合片部は、それぞれ、前記基板の外周部からその周方向に亘り間隔をおいて放射状に延出する基部と、当該基部の延出端部から折れ曲がるように延出する折れ曲がり部とにより形成されている」に相当する。
ウ 相違点1、2、4、5、12、13についての判断(まとめ)
そうすると、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基づいて、相違点1、2、4、5、12、13に係る本件発明28の構成の如くすることは、当業者であれば容易に想到しうる事項であるといえる。
(3)むすび
以上のとおり、本件発明28は、検甲1発明、検甲2発明及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
20 まとめ
以上のとおり、本件発明12~16、20、26~28は、検甲1発明、検甲2発明、及び甲第11号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明1~11は検甲1発明と同一ではなく、本件発明1~11、17~19、21~25は、検甲1発明、検甲2発明、及び甲第1号証~甲第60号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第8 むすび
本件発明12~16、17~19及び20~21についての特許は、請求人が主張する無効理由により無効とすべきものである。
本件発明1~11、17~19及び21~25についての特許は、請求人が主張する無効理由によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第64条の規定により、請求人が19/28、被請求人が9/28を負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-800026