特許異議申立
2018-700438
疲労亀裂の進展抑制ペースト、進展抑制方法、進展検出ペースト、及び進展検出方法
- 審判番号
- 2018-700438
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-194733
- 登録番号
- 特許第6319844号(P6319844)
- 請求日
- 2018年05月28日
- 審決日
- 2019年06月26日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
- 【権利者代理人】阿部 伸一
- 【権利者代理人】太田 貴章
- 【権利者代理人】清水 善廣
- 【権利者代理人】辻田 幸史
- 【権利者代理人】金子 一郎
- 【異議申立人】松川 哲広
- 審判長/審判官
- 審判長 栗田雅弘
- 審判官 平岩正一
- 審判官 小川悟史
- 分類
- P1651.121-YAA(B23P) / P1651.537-YAA(B23P)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6319844号発明「疲労亀裂の進展抑制ペースト、進展抑制方法、進展検出ペースト、及び進展検出方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6319844号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕、〔13-27〕について訂正することを認める。
特許第6319844号の請求項1ないし8、11ないし21、24ないし27に係る特許を維持する。
特許第6319844号の請求項9、10、22及び23に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6319844号の請求項1-27に係る特許についての出願は、平成26年9月25日(優先権主張 平成25年9月26日)に出願され、平成30年4月13日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年5月28日に特許異議申立人松川哲広(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成31年1月30日付け(同年2月1日発送)で取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成31年3月29日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、令和元年5月21日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 一群の請求項〔1-12〕に係る訂正について
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)としたこと」
とあるのを、
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたこと」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3~8、11及び12も同様に訂正する。)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)としたこと」
とあるのを、
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたこと」
に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3~8、11及び12も同様に訂正する。)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6である」
とあるのを、
「前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2である」
に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~8、11及び12も同様に訂正する。)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする」
とあるのを、
「前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする」
に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~8、11及び12も同様に訂正する。)。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした」
とあるのを、
「前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした」
に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~8、11及び12も同様に訂正する。)。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に
「前記進展抑制ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて変えたことを特徴とする請求項6から請求項10のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法。」
とあるのを、
「前記進展抑制ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法。」
に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項12も同様に訂正する。)。
ケ 訂正事項9
明細書の段落【0007】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)としたこと・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたこと・・・」
に訂正する。
コ 訂正事項10
明細書の段落【0008】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)としたこと・・・また、進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)とすることで・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたこと・・・また、進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)とすることで・・・」
に訂正する。
サ 訂正事項11
明細書の段落【0009】に
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6である・・・」
とあるのを、
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2である・・」
に訂正する。
シ 訂正事項12
明細書の段落【0010】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする・・・」
に訂正する。
ス 訂正事項13
明細書の段落【0011】に
「・・・油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした・・・」
とあるのを、
「・・・油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした・・・」
に訂正する。
セ 訂正事項14
明細書の段落【0015】を削除する。
ソ 訂正事項15
明細書の段落【0016】を削除する。
タ 訂正事項16
明細書の段落【0017】に
「・・・請求項6から請求項10のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法において、進展抑制ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて変えたことを特徴とする。・・・」
とあるのを、
「・・・請求項6から請求項8のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法において、進展抑制ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする。・・・」
に訂正する。
チ 訂正事項17
明細書の段落【0035】に
「・・・進展抑制ペーストのチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.3~1.6とする場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展抑制ペーストのチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.6~1.2とする場合・・・」
に訂正する。
ツ 訂正事項18
明細書の段落【0036】に
「・・・進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
テ 訂正事項19
明細書の段落【0037】に
「・・・進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
ト 訂正事項20
明細書の段落【0038】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径とした場合・・・」
に訂正する。
ナ 訂正事項21
明細書の段落【0039】を削除する。
ニ 訂正事項22
明細書の段落【0042】に
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.3~1.6とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.6~1.2とした場合・・・」
に訂正する。
ヌ 訂正事項23
明細書の段落【0043】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする場合・・・」
に訂正する。
ネ 訂正事項24
明細書の段落【0044】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
ノ 訂正事項25
明細書の段落【0048】を削除する。
ハ 訂正事項26
明細書の段落【0017】に
「・・・請求項6から請求項10のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法において、進展抑制ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて変えたことを特徴とする。・・・」
とあるのを、
「・・・請求項6から請求項8のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法において、進展抑制ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする。・・・」
に訂正する。
本件訂正請求は、一群の請求項〔1-12〕に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1-12〕について請求されたものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1は、粒子の粒径並びに進展抑制ペーストのチクソトロピー指数TI及びみかけ粘度ηPをより具体的に特定し、更に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、「粒径の粒子」に係る説明として、段落【0076】には、「微細粒としては、粒径をメッシュサイズ10μm及び20μmの2種類のふるいを用いて平均粒径15.2μmに揃えたアルミナ粒子(見掛密度1.2g/cm3)を用いた。」との記載がなされており、図2には、アルミナの粒径が「10~20μm(平均15.2μm)」との記載がなされている。
また、「進展抑制ペーストのチクソトロピー指数TI及びみかけ粘度ηP」に係る説明として、段落【0084】には、「各回転速度におけるアルミナペーストのみかけ粘度ηPを比較すると、実施例3のみかけ粘度ηPを1とした場合、最も高粘度の実施例4で約2.4倍、最も低粘度の実施例1で約0.4倍であった。」との記載がなされている。
訂正事項1は、この実施例に合わせて、上記0.4倍から2.4倍の範囲にチクソトロピー指数TI及びみかけ粘度ηPを限定するものである。
ここで、図10は0.4倍から2.5倍で表示されているので、0.4倍から2.4倍の範囲に計算し直さないとならないが、図9、図10から認識できるチクソトロピー指数TIが0.5~1.2、進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPが、せん断速度が1(1/s)のときに32~205(Pa・s)よりも若干狭い範囲になることは明らかであり、チクソトロピー指数TIを0.6~1.2、ηPを32~197と計算したことが、例えば205×2.4/2.5が197となることからして、明細書からは導き出すことができない数値とまではいうことはできない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
イ 訂正事項2
訂正事項2は、粒子の粒径並びに進展抑制ペーストのチクソトロピー指数TI及びみかけ粘度ηPをより具体的に特定し、更に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1と同様に、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 訂正事項3
訂正事項3は、油のチクソトロピー指数TIをより具体的に特定し、更に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0089】には、「図4~図6で示すように、ペーストと油のチクソトロピー指数TIはほぼ同一であるため」との記載がなされていることから、訂正事項1と同様に、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
エ 訂正事項4
訂正事項4は、油のみかけ粘度ηGをより具体的に特定し、更に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0086】には、「油粘度の下限値は、最低粘度の実施例1でアルミナペーストのみかけ粘度ηPと油のみかけ粘度ηGの比が約1.25であったことから、ペースト粘度下限値/1.5とした。」との記載がなされていることから、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
オ 訂正事項5
訂正事項5は、油のみかけ粘度ηGをより具体的に特定し、更に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0086】には、「油粘度の下限値は、最低粘度の実施例1でアルミナペーストのみかけ粘度ηPと油のみかけ粘度ηGの比が約1.25であったことから、ペースト粘度下限値/1.5とした。また、油粘度の上限値は、最高粘度の実施例4で等しかったことから、ペースト粘度上限値とした。」との記載がなされていることから、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
カ 訂正事項6
訂正事項6は、請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
キ 訂正事項7
訂正事項7は、請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ク 訂正事項8
訂正事項8は、進展抑制ペーストの塗布する厚さをより具体的に特定し、更に限定するものであり、削除された請求項9及び10を引用しないものとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0123】には、「ペースト2の塗布する厚さを、母材1の板厚に応じて変えることによって、母材1に発生した疲労亀裂3内に進入するペースト4の量を適正なものとすることができる。具体的には、図24に示すように、母材1に塗布するペースト2の塗布する厚さは、母材1の板厚が5mm以下の場合には0.5mm以上とし、板厚が5~200mmの場合には母材1の板厚の1/10以上とし、板厚が200mm以上の場合には20mm以上とする。」との記載がなされており、図24には、母材の板厚に応じてペースト塗布厚を比例的に変えたことが記載されている。 したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ケ 訂正事項9
訂正事項9は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
コ 訂正事項10
訂正事項10は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
サ 訂正事項11
訂正事項11は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
シ 訂正事項12
訂正事項12は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ス 訂正事項13
訂正事項13は、上記訂正事項5に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
セ 訂正事項14
訂正事項14は、上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ソ 訂正事項15
訂正事項15は、上記訂正事項7に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
タ 訂正事項16
訂正事項16は、上記訂正事項8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
チ 訂正事項17
訂正事項17は、上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ツ 訂正事項18
訂正事項18は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
テ 訂正事項19
訂正事項19は、上記訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ト 訂正事項20
訂正事項20は、上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ナ 訂正事項21
訂正事項21は、上記訂正事項7に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ニ 訂正事項22
訂正事項22は、上記訂正事項3に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ヌ 訂正事項23
訂正事項23は、上記訂正事項4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ネ 訂正事項24
訂正事項24は、上記訂正事項5に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ノ 訂正事項25
訂正事項25は、上記訂正事項6に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ハ 訂正事項26
訂正事項26は、上記訂正事項8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
2 一群の請求項〔13-27〕に係る訂正について
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項13に
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)としたこと」
とあるのを、
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたこと」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項15~21及び24~27も同様に訂正する。)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項14に
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)としたこと」
とあるのを、
「メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたこと」
に訂正する(請求項14の記載を直接的又は間接的に引用する請求項15~21及び24~27も同様に訂正する。)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項16に
「前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6である」
とあるのを、
「前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2である」
に訂正する(請求項16の記載を直接的又は間接的に引用する請求項17~21及び24~27も同様に訂正する。)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項17に
「前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする」
とあるのを、
「前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする」
に訂正する(請求項17の記載を直接的又は間接的に引用する請求項18~21及び24~27も同様に訂正する。)。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項18に
「前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした」
とあるのを、
「前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした」
に訂正する(請求項18の記載を直接的又は間接的に引用する請求項19~21及び24~27も同様に訂正する。)。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項22を削除する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項23を削除する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項24に
「請求項19から請求項22のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
とあるのを、
「請求項19から請求項21のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
に訂正する(請求項24の記載を直接的又は間接的に引用する請求項25~27も同様に訂正する)。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項25に
「前記進展検出ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて変えたことを特徴とする請求項19から請求項24のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
とあるのを、
「前記進展検出ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする請求項19から請求項21又は請求項24のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
に訂正する(請求項25の記載を直接的又は間接的に引用する請求項26及び27も同様に訂正する。)。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項27に
「請求項19から請求項26のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
とあるのを、
「請求項19から請求項21又は請求項24から請求項26のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
に訂正する。
サ 訂正事項11
明細書の段落【0019】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)としたこと・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたこと・・・」
に訂正する。
シ 訂正事項12
明細書の段落【0020】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)としたこと・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたこと・・・」
に訂正する。
ス 訂正事項13
明細書の段落【0022】に
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.3~1.6である・・・」
とあるのを、
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2である・・」
に訂正する。
セ 訂正事項14
明細書の段落【0023】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする・・・」
に訂正する。
ソ 訂正事項15
明細書の段落【0024】に
「・・・油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした・・・」
とあるのを、
「・・・油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした・・・」
に訂正する。
タ 訂正事項16
明細書の段落【0028】を削除する。
チ 訂正事項17
明細書の段落【0029】を削除する。
ツ 訂正事項18
明細書の段落【0030】に
「・・・請求項19から請求項22のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法・・・」
とあるのを、
「・・・請求項19から請求項21のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法・・・」
に訂正する。
テ 訂正事項19
明細書の段落【0031】に
「・・・請求項19から請求項24のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法において、進展検出ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて変えたことを特徴とする。・・・」
とあるのを、
「・・・請求項19から請求項21又は請求項24のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法において、進展抑制ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする。・・・」
に訂正する。
ト 訂正事項20
明細書の段落【0033】に
「・・・請求項19から請求項26のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法・・・」
とあるのを、
「・・・請求項19から請求項21又は請求項24から請求項26のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法・・・」
に訂正する。
ナ 訂正事項21
明細書の段落【0052】に
「・・・進展検出ペーストのチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.3~1.6とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展検出ペーストのチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.6~1.2とした場合・・・」
に訂正する。
ニ 訂正事項22
明細書の段落【0053】に
「・・・進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに88(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに13~490(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
ヌ 訂正事項23
明細書の段落【0037】に
「・・・進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに2.1~76(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.33~12(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
ネ 訂正事項24
明細書の段落【0055】に
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る粒径とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径とした場合・・・」
に訂正する。
ノ 訂正事項25
明細書の段落【0056】を削除する。
ハ 訂正事項26
明細書の段落【0060】に
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.3~1.6とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIを、0.6~1.2とした場合・・・」
に訂正する。
ヒ 訂正事項27
明細書の段落【0061】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに58(Pa・s)以上とする場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とする場合・・・」
に訂正する。
フ 訂正事項28
明細書の段落【0062】に
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が1(1/s)のときに9.1~490(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.22~12(Pa・s)とした場合・・・」
とあるのを、
「・・・油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)とした場合・・・」
に訂正する。
ヘ 訂正事項29
明細書の段落【0066】を削除する。
ホ 訂正事項30
明細書の段落【0068】に
「・・・進展検出ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて変えた場合には・・・」
とあるのを、
「・・・進展検出ペーストの塗布する厚さを、母材の板厚に応じて比例的に変えた場合には・・・」
に訂正する。
本件訂正請求は、一群の請求項〔13-27〕に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔13-27〕について請求されたものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
一群の請求項〔1-12〕が「疲労亀裂の進展抑制ペースト」及び「疲労亀裂の進展抑制ペースト」を塗布することを特徴とする「疲労亀裂の進展抑制方法」であるのに対し、一群の請求項〔13-27〕は「疲労亀裂の進展検出ペースト」及び「疲労亀裂の進展検出ペースト」を塗布することを特徴とする「疲労亀裂の進展検出方法」であり、その内容は対応しているものである。
ア 訂正事項1-7
上記1(2)の訂正事項1-7と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
イ 訂正事項8
削除された請求項22を引用しないものとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 訂正事項9
上記1(2)の訂正事項8と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
エ 訂正事項10
削除された請求項22及び請求項23を引用しないものとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
オ 訂正事項11-30
訂正事項11-20はそれぞれ訂正事項1-10に、訂正事項21は訂正事項1及び2に、訂正事項22は訂正事項1に、訂正事項23は訂正事項2に、訂正事項24は訂正事項1及び2に、訂正事項25訂正事項7に、訂正事項26-29はそれぞれ訂正事項3-6に、訂正事項30は訂正事項9に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕、〔13-27〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-27に係る発明(以下「本件発明1-27」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-27に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
母材の疲労亀裂の進展を抑制する進展抑制ペーストであって、前記進展抑制ペーストが、粒子と油とを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記粒子が、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、超硬合金、白金属元素、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、イットリア、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、酸化チタン、銅、銅合金、ダイヤモンド、炭素、及び炭素繊維のうちの1種以上を含むメッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたことを特徴とする疲労亀裂の進展抑制ペースト。
【請求項2】
母材の疲労亀裂の進展を抑制する進展抑制ペーストであって、前記進展抑制ペーストが、粒子と油とを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記粒子が、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、超硬合金、白金属元素、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、イットリア、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、酸化チタン、銅、銅合金、ダイヤモンド、炭素、及び炭素繊維のうちの1種以上を含むメッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展抑制ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたことを特徴とする疲労亀裂の進展抑制ペースト。
【請求項3】
前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の疲労亀裂の進展抑制ペースト。
【請求項4】
前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制ペースト。
【請求項5】
前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制ペースト。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制ペーストのうち、前記母材の硬度以上の硬度を有する前記粒子が混合されている進展抑制ペーストを、前記疲労亀裂の発生が予測される前記母材の部位を特定して塗布することを特徴とする疲労亀裂の進展抑制方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制ペーストのうち、前記母材の硬度以上の硬度を有する前記粒子が混合されている進展抑制ペーストを、前記疲労亀裂が発生している前記母材の部位に塗布することを特徴とする疲労亀裂の進展抑制方法。
【請求項8】
前記疲労亀裂の開口を増大させる方向の荷重を、前記母材を含む構造物に載荷して前記進展抑制ペーストを塗布することを特徴とする請求項7に記載の疲労亀裂の進展抑制方法。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記進展抑制ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の疲労亀裂の進展抑制方法。
【請求項12】
前記進展抑制ペーストの塗布する前記厚さを、前記母材の前記板厚が5mm以下の場合には0.5mm以上とし、前記板厚が5~200mmの場合には前記母材の前記板厚の1/10以上とし、前記板厚が200mm以上の場合には20mm以上としたことを特徴とする請求項11に記載の疲労亀裂の進展抑制方法。
【請求項13】
母材の疲労亀裂の進展を検出する進展検出ペーストであって、前記進展検出ペーストが、粒子と油とを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記粒子が、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、超硬合金、白金属元素、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、イットリア、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、酸化チタン、銅、銅合金、ダイヤモンド、炭素、及び炭素繊維のうちの1種以上を含むメッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展検出ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)としたことを特徴とする疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項14】
母材の疲労亀裂の進展を検出する進展検出ペーストであって、前記進展検出ペーストが、粒子と油とを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記粒子が、アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、超硬合金、白金属元素、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、イットリア、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、酸化チタン、銅、銅合金、ダイヤモンド、炭素、及び炭素繊維のうちの1種以上を含むメッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μmの粒径の粒子であり、前記進展検出ペーストの前記チクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展検出ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が10(1/s)のときに5.1~31(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.8~4.7(Pa・s)としたことを特徴とする疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項15】
前記粒子を、淡色又は透明の前記アルミナを含むセラミックス粒子としたことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項16】
前記油のチクソトロピック性を表すチクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であることを特徴とする請求項13から請求項15のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項17】
前記油のみかけ粘度ηGを、せん断速度が0.1(1/s)のときに140(Pa・s)以上とすることを特徴とする請求項13から請求項16のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項18】
前記油の前記みかけ粘度ηGを、前記せん断速度が1(1/s)のときに21~197(Pa・s)、せん断速度が100(1/s)のときに0.5~4.7(Pa・s)としたことを特徴とする請求項13から請求項17のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出ペースト。
【請求項19】
請求項13から請求項18のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出ペーストのうち、前記母材の硬度以上の硬度を有する前記粒子が混合されている進展検出ペーストを、前記疲労亀裂の発生が予測される前記母材の部位を特定して塗布することを特徴とする疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項20】
請求項13から請求項18のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出ペーストのうち、前記母材の硬度以上の硬度を有する前記粒子が混合されている進展検出ペーストを、前記疲労亀裂の発生している前記母材の部位に塗布することを特徴とする疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項21】
前記疲労亀裂の開口を増大させる方向の荷重を、前記母材を含む構造物に載荷して前記進展検出ペーストを塗布することを特徴とする請求項20に記載の疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項22】(削除)
【請求項23】(削除)
【請求項24】
前記母材に塗布した前記進展検出ペーストの前記疲労亀裂に対応した表面部分が、前記疲労亀裂の進展に伴い変色することにより、疲労亀裂の進展を判断することを特徴とする請求項19から請求項21のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項25】
前記進展検出ペーストの塗布する厚さを、前記母材の板厚に応じて比例的に変えたことを特徴とする請求項19から請求項21又は請求項24のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項26】
前記進展検出ペーストの塗布する前記厚さを、前記母材の前記板厚が5mm以下の場合には0.5mm以上とし、前記板厚が5~200mmの場合には前記母材の前記板厚の1/10以上とし、前記板厚が200mm以上の場合には20mm以上としたことを特徴とする請求項25に記載の疲労亀裂の進展検出方法。
【請求項27】
前記進展検出ペーストを用いて、前記母材の前記疲労亀裂の進展の抑制も行うことを特徴とする請求項19から請求項21又は請求項24から請求項26のいずれかに記載の疲労亀裂の進展検出方法。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1-27に係る特許に対して、当審が平成31年1月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1-7及び13-20に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。
また、請求項9、10、22-24及び27に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。
よって、請求項1-7、9、10、13-20、22-24及び27に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)請求項1-27に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)請求項9-12及び22-27に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 甲号証の記載
甲第1号証:特開2005-28462号公報
甲第2号証:高橋一比古,外4名,“アルミナペースト塗布による疲労き裂進展の自動抑制および目視検出”,溶接学会論文集,一般社団法人溶接学会,平成16年4月,第22巻,第4号,p.531-541
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面と共に下記の(ア)ないし(タ)が記載されている。ここで、甲第1号証は平成16年7月2日提出の手続補正書により明細書全文が補正されており、下記の(ア)ないし(タ)は当該補正後のものである。
(ア)【0001】
「【発明の属する技術分野】
本発明は、金属等の表面に発生する疲労亀裂の進展を抑制する方法、及び、疲労亀裂を検出する方法に関する。さらに、本発明は、それらの方法に用いられるペーストに関する。」
(イ)【0011】
「【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、比較的初期の段階においても目視により容易に疲労亀裂を検出することが可能な疲労亀裂の検出方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、疲労亀裂の進展を抑制することができる疲労亀裂の進展抑制方法、及び、それらの方法に用いられるペーストを提供することを目的とする。」
(ウ)【0017】
「まず、金属又はセラミックス等の微細粒を、適度の粘性を有する油に混合して、ペースト状の微細粒ペーストを作成しておく。図1の(A)に示すように、金属や強化プラスチック等の母材1において、疲労亀裂の発生及び拡大が予め予想される個所の表面に、この微細粒ペースト2を塗布する。」
(エ)【0018】
「ここで、微細粒としては、母材の硬度と同等、又は、それよりも大きい硬度を有する材料を使用することが望ましい。例えば、母材が200程度のビッカース硬度を有する金属である場合には、微細粒として、ビッカース硬度が200以上の材料を使用する。微細粒の粒径は、ふるいを用いて、2μm~40μm(平均15μm)程度に揃えることが望ましい。」
(オ)【0019】
「また、微細粒を混合する油としては、5000~15000cP(センチポワズ)程度の粘度を有する油を使用する。なお、1000cP=10P=1Pa・s(パスカル秒)である。特に、例えばシリコーングリース等の様に、温度変化による粘度の変化が小さい油を使用することが望ましい。」
(カ)【0020】
「図1の(A)に示すように、繰返し応力による疲労損傷の蓄積によって、金属表面に微小亀裂が発生する。さらに、図1の(B)に示すように、引張り荷重が加えられることにより亀裂が開口し、亀裂が進展する。微細粒ペースト2は、亀裂の開閉に伴うポンプ作用や亀裂先端の毛細管現象によって、開口した亀裂の内部に入り込む。」
(キ)【0021】
「ここで、図1の(C)に示すように、引張り荷重を除去した場合においても、微細粒ペースト2は亀裂の内部にくさびとして残留し、亀裂の閉口を妨げる。したがって、図1の(D)に示すように、再び引張り荷重が加えられた場合においても、亀裂面の変位が抑制されるために、亀裂の開閉による亀裂の進展速度を低下させて疲労寿命を延ばすことができる。」
(ク)【0022】
「次に、微細粒ペーストによる亀裂進展抑制効果について、疲労試験の結果に基づいて説明する。・・・」
(ケ)【0024】
「・・・これらの微細粒を油に混合し、液垂れしない程度のペースト状にして、試験片の切欠き部及び予想される亀裂進展経路に塗布した。」
(コ)【0026】
「・・・▽印は、平均粒径15.2μmのアルミナ粒子(Al2O3)を用いたアルミナペーストを塗布した場合の試験結果である。」
(サ)【0029】
「それに対し、平均粒径15.2μmのアルミナ粒子を用いたアルミナペーストを塗布した場合の破断寿命は、何も塗布しない場合の破断寿命に比べて、40万~70万回程度延びている。この場合に、今回試験した中では最も顕著な亀裂進展抑制効果が得られた。」
(シ)【0031】
「本実施形態に係る疲労亀裂の検出方法においては、アルミナやジルコニア等のセラミックスのような淡色の微細粒を油に混合することにより、淡色のペースト状の微細粒ペーストを作成する。・・・」
(ス)【0032】
「図1を参照しながら説明したように、亀裂の内部に残留した微細粒ペースト2がくさびを形成するために、亀裂の開閉による亀裂の進展を抑制することができる。・・・」
(セ)【0033】
「さらに、図4の(B)に示すように、母材粉は、亀裂の開閉に伴うポンプ作用により、微細粒ペースト2の油及び細粒化した微細粒と混然となって、微細粒ペースト2の表面に滲み出る。一般に、金属の粉末は黒色を呈するため、母材粉が混然となった微細粒ペースト3は、黒色を呈する。ここで、母材粉が混然となっていない微細粒ペースト2は白色であるため、白色と黒色のコントラストにより色彩の変化が生じ、亀裂の位置及び長さ等が容易に視認できる。」
(ソ)【0035】
「図5の(A)に示すように、白色の微細粒ペースト上において、亀裂部分を示す黒色が発色するので、亀裂の位置及び長さ等が容易に視認できる。また、図5の(A)における黒色部に比べて、図5の(B)における黒色部が延びているように、亀裂の進展状況を容易に視認できる。」
(タ)【0039】
「本実施形態によれば、比較的初期の段階の疲労亀裂においても、目視検査で容易に確認することができ、各種機械や構造物等の安全性の向上に寄与することができる。また、微細粒ペーストがくさびを形成することにより、亀裂の進展が自動的に抑制され、各種機械や構造物等の疲労寿命が延びる。さらに、疲労亀裂の検出及び進展の抑制において、予め、疲労亀裂が発生すると予想される位置に微細粒ペーストを塗布しておくだけで良く、超音波探傷、浸透探傷、又は、磁粉探傷等の非破壊検査手法と比べて実施が遥かに容易且つ安価である。」
イ 甲第1号証の認定事項
シリコーングリース単体及び該シリコーングリースに微粒子を添加してペースト状にしたものが、いずれも、せん断速度に応じてみかけ粘度が変化するチクソトロピック性を有することは、優先日前には技術常識であったから、当該技術常識を踏まえれば、記載事項(ウ)及び(オ)から、微細粒とシリコーングリースを混合したペーストはチクソトロピック性を有する、と認められる。
ウ 甲第1号証に記載されている発明
上記ア及びイから、甲第1号証には次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。
「母材1の疲労亀裂の進展を抑制する微細粒ペースト2であって、前記微細粒ペースト2が、微細粒とシリコーングリースとを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記微細粒が、アルミナであって、ふるいを用いて平均粒径15.2μm程度に揃えられており、疲労亀裂の内部に残留した微細粒ペースト2がくさびを形成するために、疲労亀裂の開閉による疲労亀裂の進展を抑制することができる、微細粒ペースト2。」
(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、下記の(ア)及び(イ)が記載されている。
(ア)第1ページ右欄第3ないし10行
「著者らは,Al-Mg合金A5083P-Oの平板試験片を用いた疲労き裂進展試験において,アルミナ等の微細粒を油と混ぜてペースト状にし,疲労き裂の発生・伝播が予想される経路に予め塗布しておくと,き裂の開閉口に伴うポンプ作用等によって微細粒がき裂先端近傍まで自動的に輸送されて詰まり,これがくさびとなって上述のくさび効果を発現し,き裂の進展が著しく抑制される場合のある事を実験的に示した.」
(イ)第2ページ左欄第2ないし5行
「平均粒径15.2μmのアルミナ粒子を用いた.粒径はメッシュサイズ10μmおよび20μmの2種類のふるいを用いて揃えており,粒子の見掛密度は1.2g/cm3である.」
イ 甲第2号証に記載されている技術的事項
上記アから、甲第2号証には次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「甲2技術」という。)。
「アルミナ等の微細粒を油と混ぜてペースト状にし,疲労き裂の発生・伝播が予想される経路に予め塗布しておくことにより、くさび効果を発現して、き裂の進展を抑制する技術において、メッシュサイズ20μmのふるいを用いて、平均粒径15.2μmのアルミナ粒子を揃える技術。」
3 当審の判断
(1)特許法第29条第2項について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
甲1発明は「金属等の表面に発生する疲労亀裂の進展を抑制する」「ペーストに関する」ものであり、本件発明1と技術分野及び課題が共通する。
また、甲1発明の「母材1」は本件発明1の「母材」に相当する。
以下同様に、甲1発明の「微細粒ペースト2」は本件発明1の「進展抑制ペースト」に、甲1発明の「微細粒」は本件発明1の「粒子」に、甲1発明の「シリコーングリース」は本件発明1の「油」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明の「アルミナ」は、本件発明1の「アルミナ、シリカ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、超硬合金、白金属元素、鉄、鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、窒化アルミニウム、イットリア、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、酸化チタン、銅、銅合金、ダイヤモンド、炭素、及び炭素繊維のうちの1種以上」に対応する。
以上から、本件発明1と甲1発明の一致点は、本件発明1の用語を用いて整理すると、次のとおりである。
【一致点】
「母材の疲労亀裂の進展を抑制する進展抑制ペーストであって、前記進展抑制ペーストが、粒子と油とを混合したチクソトロピック性を有したペーストであり、前記粒子が、アルミナである、疲労亀裂の進展抑制ペースト。」
そして、本件発明1と甲1発明の相違点1及び2は、各々次のとおりである。
【相違点1】
粒子の粒径に関し、本件発明1は「メッシュサイズ20μmのふるいを通る10~20μm」のものであるのに対し、甲1発明は「ふるいを用いて平均粒径15.2μm程度に揃えられて」いるものの、当該ふるいのメッシュサイズは不明である点。
【相違点2】
ペーストのチクソトロピック性に関し、本件発明1は「チクソトロピー指数TIが、0.6~1.2であり、前記進展抑制ペーストのみかけ粘度ηPを、せん断速度が0.1(1/s)のときに210(Pa・s)以上、せん断速度が1(1/s)のときに32~197(Pa・s)とした」のに対し、甲1発明は、チクソトロピー指数TI、せん断速度が0.1又は1(1/s)のときのみかけ粘度(以下単に「みかけ粘度」という。)がいずれも不明である点。
イ 判断
まず、相違点2について検討する。
甲第1号証には、微細粒ペーストの粘度を液垂れしない程度のものとする事項が記載されているから、甲1発明が、疲労亀裂が無い箇所では、高粘度でタレを生じることなく母材表面において形状や均質性を保持することは明らかである。
また、甲1発明はチクソトロピック性を有するものであり、疲労亀裂口近傍でのせん断速度が上がった箇所では粘度が低下して流動性が増すことで「疲労亀裂の内部に残留した微細粒ペースト2がくさびを形成するために、疲労亀裂の開閉による疲労亀裂の進展を抑制することができる」ものである。
そうすると、当業者が甲1発明を実施しようとすれば、シリコーングリースの粘度を、液垂れしない程度に低粘度すぎず、亀裂の内部に入り込むことができる程度に高粘度すぎない範囲のものとして、実施することになる。
しかしながら、このようにして実施したものが、相違点2に係る数値範囲を満たすか否かは不明であり、相違点2に係る数値範囲を満たす「疲労亀裂の進展抑制ペースト」が、本件出願前に知られていたと認めることはできない。また、他の甲号証にも、そのような開示や示唆があったものとは認められない。
そして、相違点2に係る数値範囲を満たすことにより、明細書の段落【0006】に記載された「疲労亀裂の無いせん断速度が極小の箇所では高粘度であり、疲労亀裂の発生、伝播や疲労亀裂の開閉挙動に伴いせん断速度が上がった箇所では低粘度となる疲労亀裂の進展抑制ペースト」を提供することができるのであるから、意味のない数値範囲ということもできず、相違点2に係る構成は容易に想到し得たものとは認められない。
したがって、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明2、本件発明13、本件発明14も同様に「チクソトロピー指数TI」及び「みかけ粘度ηP」が規定されており、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、これらの請求項を引用する本件発明3-12、本件発明15-27も同様である。
(2)特許法第36条第6項第1号について
ア 請求項に記載された「みかけ粘度ηP」は、訂正により実施例に記載された範囲と整合することとなった。
よって、本件発明1-27は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明により裏付けられている範囲を超えるものとはいえない。
イ 請求項に記載された「粒子」の「粒径」は、訂正により明細書に記載された範囲と整合することとなった。
よって、本件発明1-27は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明により裏付けられている範囲を超えるものとはいえない。
ウ 請求項11、25及び27に記載された「ペーストの塗布する厚さ」は、訂正により明細書に記載された範囲と整合することとなった。
よって、本件発明11、25及び27は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明により裏付けられている範囲を超えるものとはいえない。
(3)特許法第36条第6項第2号について
請求項9、10、22及び23は削除された。よってこれらの請求項に記載された「寸法予測値」という不明瞭な記載は存在しなくなった。
(4)特許異議申立人の意見について
ア 特許異議申立人は、訂正の請求により限定された数値は新規事項の追加である旨主張している。しかしながら、上記第2の1(2)アに記載したとおり、限定された数値は、明細書からは導き出すことができない数値とまではいうことはできない。
したがって、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
イ 特許異議申立人は、訂正の請求により限定された数値は設計的事項である旨主張しているが、上記(1)イのとおり、意味のない数値範囲とまではいうことができない。
したがって、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1及び2には、みかけ粘度ηPについて、「せん断速度が大きいとき」及び「せん断速度が小さいとき」の一方しか記載されていないので不明瞭である旨主張しているが、一方しか記載されていなくても、請求項の記載から理解される技術的範囲は明確である。
したがって、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1-8、11-21、24-27に係る特許を取り消すことはできない。
そして、他に本件請求項1-8、11-21、24-27に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項9、10、22及び23に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項9、10、22及び23に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700438