特許拒絶査定不服審判
2018-016033
荷電粒子ビーム試料作製におけるカーテニングを低減させる方法およびシステム
- 審判番号
- 2018-016033
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-535860外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年12月03日
- 審決日
- 2019年12月16日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エフ・イ-・アイ・カンパニー
- 【請求人代理人】雨貝 正彦
- 分類
- P18 .113-WY (H01J) / P18 .121-WY (H01J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-535860号「荷電粒子ビーム試料作製におけるカーテニングを低減させる方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年4月10日国際公開、WO2014/055974号、平成27年11月19日国内公表、特表2015-533255号、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年10月7日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2012年10月5日、2012年12月31日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年5月7日に国際出願翻訳文(特許請求の範囲、明細書及び図面)が提出され、平成29年8月16日付け(発送日 同年同月29日)で拒絶理由が通知され、平成30年2月28日に手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、同年7月30日付け(送達日 同年8月7日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月3日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、平成30年12月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であるところ、本願発明1は以下のとおりである(A~Jは、本願補正発明を分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 観察するために試料中の構造体の一部分を荷電粒子ビーム・システム内で露出させる方法であって、
B バルク試料から、繰り返し配置された複数の高アスペクト比構造体を含む試料を抜き出すこと、
C 問題があるカーテニング効果の原因となる複数の高アスペクト比構造体を識別すること、
D 前記複数の高アスペクト比構造体の形状を分析すること、
E 前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化するためにミリング角度を傾斜させること、
F 前記複数の高アスペクト比構造体を露出させるために前記試料をミリングするときに、
G ホルダが、カーテニングを低減させる向きに前記試料を向かわせるように、前記試料を前記荷電粒子ビーム・システム内の前記ホルダに装着すること、
H 前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化させることによってカーテニングを低減させる方向に前記試料をミリングすることによって前記複数の高アスペクト比構造体を露出させること、および
I 前記複数の高アスペクト比構造体を画像化すること
J を含む方法。」
なお、本願発明2ないし6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明7は方法の発明である本願発明1のカテゴリーを物の発明としたものであり、本願発明8ないし10は本願発明7を減縮した発明である。
第3 引用文献、引用発明等
引用文献について
ア 原査定の拒絶理由に引用された、本願の最先の優先日前に頒布された引用文献である「Sideways FIB TEM sample preparation for improved construction analysis in TEM」H. B. Chong他、Physical and Failure Analysis of Integrated Circuits, 2012 19th IEEE International Symposium on the , IEEE,2012年7月2日,p.1-4(以下「引用文献」という。)には、下記の事項が記載されている(仮訳は当審が作成した。下線は当審が付した。)。
(ア)「Abstract
(・・・途中省略・・・)
The procedure involves changing the orientation of the lamella by rotating the sample during in situ FIB attachment and milling it sideways to achieve lamella thickness of 100 nm, with uniform thickness at the area of interest. With this new method, full metal layers can be preserved while minimizing the curtaining effect often observed in heterogeneous TEM sample preparation.」(1頁左欄1~13行)
(当審仮訳:要約
(・・・途中省略・・・)
当該工程は、FIBアタッチメントに装着したままサンプルを回転させることによって薄片の方向を変えることと、関心領域において同一の厚さで薄片の厚さ100nmを達成すために横からミリングすることを条件とする。この新しいメソッドにより、全て金属からなる積層体は、異質な素材からなるTEMサンプルの作成時にしばしば見られたカーテニング効果を最小に保つことができる。)
(イ)「III. PROPOSED MRTHOD
We propose a new method to minimize warpage and curtaining effects and improve the final quality of the lamellae by achieving desired thickness and uniformity. A traditional in situ lift-out (INLO) procedure to extract the sample was employed. Prior to attaching the sample to the TEM grid, the sample was rotated by 90 degrees inside the chamber while attached to the manipulator. After the rotation, the sample was attached to the TEM grid. Fig. 5 shows the sample orientation with respect to the grid in the proposed method.
In the conventional TEM sample preparation method, side A of the lamella is attached to the grid. In the proposed method, we attached side B to the grid instead as a result of the rotation of the sample during attachment. The new milling direction was sideways from the top-down view, exposing a broader view of all the metal layers from the top as depicted by the arrow in Fig. 5.
The rotated milling yielded two advantages. First, the beam was milled at an angle relative to the sample (Fig. 6). Curtaining was minimized in the region of interest in the new orientation.」(2頁左欄下から7行~右欄最下行)
(当審仮訳:III.提案された方法
我々は、反りとカーテニング効果を最小にするとともに、所望の厚さと均一性を達成することによって、薄片の最終の品質を改善する新しいメソッドを提案する。サンプルを取り出す従来の内部位置採取技法(INLO)工程が使われた。サンプルをTEMグリッドに取り付ける前に、マニピュレーターに取り付けられている間にサンプルはチャンバーの中で90°回転された。回転の後に、サンプルはTEMグリッドに取り付られた。Fig.5は、提案された方法によるグリッドに関するサンプルの方向を示す。
従来のTEMサンプルの作成手法では、薄片の面Aがグリッドに取り付けられる。提案された方法で、我々は、取り付け中のサンプルの回転の結果、代わりに面Bをグリッドに取り付けた。新しいミリング方向は見下ろし方向から見て横方向であって、Fig.5に矢印で示されるような、上からすべての金属層をより広い視野で公開している。
回転してのミリングは2つの利点をもたらした。1つ目として、ビームはサンプルと比較して角度を持ってミリングした(Fig.6)。カーテニングは新しい向きの関心領域において最小となった。)
(ウ)「IV. DETAILED PROCEDURE
(・・・途中省略・・・)
Once the coatings were deposited, a traditional INLO procedure was performed. The sample was lifted using a manipulator with a rotatable shaft, and the sample was rotated by 90 degrees in the chamber prior to the sample's attachment to the TEM grid (Fig. 9).」(3頁左欄11~25行)
(当審仮訳:IV.工程の詳細
(・・・途中省略・・・)
コーティングを堆積するとすぐに、従来のINLO工程を行なった。サンプルは回転できるシャフトでマニピュレータを使って持ち上げられ、そして、サンプルのTEMグリッド(Fig.9)への取り付けに先だって、チャンバーの中でサンプルは90°回転された。)
(エ)「V. RESULTS
An eight-metal-layer stack was prepared using the proposed method. Fig, 10 shows the TEM results from the lamella. The metal stack can be measured under TEM with reasonable uniform thickness across the stack, as shown, with no visible curtaining effect observed at the metal stacks (Figs. 11 and 12).The sample prepared with traditional orientation had curtaining from metal1 down to the active region (Fig. 13).」(3頁右欄1~8行)
(当審仮訳:結果
8層の金属層からなる積層体が提案された方法を使って用意された。Fig.10は薄片におけるTEMの結果を示す。金属の積層体は積層体を通して合理的な均一の厚さでTEMにより測定でき、示すとおり、金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されなかった(Fig.11及び12)。従来の方向で作成されたサンプルでは金属1から活性領域へカーテニングが到達した(Fig.13)。)
(オ)Fig.6及びFig.7は次のとおりである。
Fig.6 サンプルはイオンビームの見下ろし方向から見てある角度でミリングされている。)
Fig.7 ミリング範囲は図Bの従来のミリングに比較して、図Aにおいてより広範囲である。
(カ)上記(ア)ないし(エ)の記載を踏まえて、上記(オ)のFig.6及びFig.7を見ると、Fig.6及びFig.7の積層体は、メタルラインとシリコンからなる積層体ではあるものの、「積層体」としては、Fig.6及びFig.7のような断面で見た場合に、細長い(高アスペクト比の)複数の層が積層されたものを想定していることが見てとれる。
イ 上記アによれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「a 高アスペクト比の(上記「ア」「(カ)」)8層の金属層からなる積層体(上記「ア」「(エ)」)において、サンプルを取り出す従来の内部位置採取技法(INLO)工程が使われ、前記積層体は、TEMグリッドに取り付ける前に、マニピュレーターに取り付けられている間にチャンバーの中で90°回転され、回転の後に前記TEMグリッドに取り付られていて(上記「ア」「(イ)」)、
b 詳細には、積層体は、回転できるシャフトでマニピュレータを使って持ち上げられ、そして、前記TEMグリッドへの取り付けに先だって、チャンバーの中で90°回転され(上記「ア」「(ウ)」)、
c 当該工程は、FIBアタッチメントに装着したまま積層体を回転させることによって方向を変えることと、関心領域において同一の厚さで積層体の厚さ100nmを達成すために横からミリングすることを条件とし(上記「ア」「(ア)」)、角度を持ってミリングし(上記「ア」「(イ)」)、
d カーテニングは新しい向きの関心領域において最小となり(上記「ア」「(イ)」)、金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されなかった(上記「ア」「(エ)」)、
e TEMサンプルの作成手法(上記「ア」「(イ)」)。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」(構成a)は、本願発明1の「バルク試料」に相当する。
また、引用発明の「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」(構成a)は、「繰り返し配置された複数の高アスペクト比構造体」であるといえる。
そして、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」を「ミリング」(構成c)した「サンプル」は、同様に、高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体の一部分を含むといえる。
そうすると、引用発明の「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」を「ミリング」した「サンプル」は、本願発明1の「繰り返し配置された複数の高アスペクト比構造体を含む試料」に相当する。
したがって、引用発明の「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体において、サンプルを取り出」(構成a)すために「ミリング」(構成c)して「サンプル」となすことは、本願発明1の「バルク試料から、繰り返し配置された複数の高アスペクト比構造体を含む試料を抜き出すこと」(構成B)に相当する。
(イ)引用発明は、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体において、サンプルを取り出」(構成a)すために「ミリング」(構成c)して「サンプル」となすとともに、「当該工程は、FIBアタッチメントに装着し」(構成c)ているから、観察するために積層体の一部分をFIB(荷電粒子ビーム)のシステム内で露出させているといえる。
また、引用発明の「TEMサンプルの作成手法」(構成e)は、本願発明1の「方法」(構成J)に相当する。
したがって、上記構成a、c及びeは、本願発明1の「観察するために試料中の構造体の一部分を荷電粒子ビーム・システム内で露出させる方法」(構成A)に相当する。
(ウ)引用発明の「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体において、サンプルを取り出す従来の内部位置採取技法(INLO)工程が使われ、前記積層体は、TEMグリッドに取り付ける前に、マニピュレーターに取り付けられている間にチャンバーの中で90°回転され、回転の後に前記TEMグリッドに取り付られ」(構成a)ることにより、「カーテニングは新しい向きの関心領域において最小となり、金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されなかった」(構成d)工程は、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体において」、「カーテニング」を「新しい向きの関心領域において最小と」し、「金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されな」い「90°回転され」る工程であるから、カーテニング効果を低減させ、あるいは、排除する(エイリアシング効果)工程であるといえる。
そして、当該状態では、「カーテニングは新しい向きの関心領域において最小となり、金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されなかった」ことから、当該積層体が、「TEMグリッドに取り付られ」ている状態は、最適化する角度に傾斜している状態であると認められる。
したがって、引用発明の上記構成a及びdは、本願発明1の「前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化するためにミリング角度を傾斜させること」(構成E)に相当する。
(エ)引用発明において、「サンプル」が「TEMグリッドに取り付られ」(構成a)るのは、上記(イ)での検討を踏まえると、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」を露出させるためにミリングするときであって、上記(ウ)での検討を踏まえると、カーテニングを低減させる向きに、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」を向かわせているから、引用発明の上記構成a、c及びdは、本願発明1の「前記複数の高アスペクト比構造体を露出させるために前記試料をミリングするときに」(構成F)に相当する。
(オ)上記(イ)での検討を踏まえると、引用発明において、「サンプル」が「TEMグリッドに取り付られ」(構成a)るのは、観察するために積層体の一部分をFIB(荷電粒子ビーム)のシステム内で露出させるときであり、また、上記(ウ)での検討を踏まえると、カーテニング効果を低減させ、あるいは、排除する(エイリアシング効果)工程であるから、FIB(荷電粒子ビーム)のシステム内で、カーテニング効果を低減させ、あるいは、排除する向きに、サンプルをTEMグリッドに取り付けているといえる。
したがって、引用発明の上記構成a、c及びdは、本願発明1の「ホルダが、カーテニングを低減させる向きに前記試料を向かわせるように、前記試料を前記荷電粒子ビーム・システム内の前記ホルダに装着すること」(構成G)に相当する
(カ)引用発明において「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」を「ミリング」することは、上記(ウ)での検討を踏まえると、カーテニング効果を低減させ、あるいは、排除する(エイリアシング効果)工程であり、上記(オ)での検討を踏まえると、FIB(荷電粒子ビーム)のシステム内で、カーテニング効果を低減させ、あるいは、排除する向きに、サンプルをTEMグリッドに取り付けることであり、さらに、上記(イ)での検討を踏まえると、観察するために積層体の一部分をFIB(荷電粒子ビーム)のシステム内で露出させることであるから、引用発明の上記構成a、c及びdは、本願発明1の「前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化させることによってカーテニングを低減させる方向に前記試料をミリングすることによって前記複数の高アスペクト比構造体を露出させること」(構成H)に相当する。
(キ)引用発明は、「サンプルはTEMグリッドに取り付られ」(構成a)、ミリングして「薄片」(構成c)となし、「金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されなかった」(構成d)ことから、サンプルは、TEMグリッドに取り付られて、TEM(透過電子顕微鏡)を用いて視認できるよう画像化して表示していることは明らかである。
したがって、引用発明の上記構成a、c及びdは、本願発明1の「前記複数の高アスペクト比構造体を画像化すること」(構成I)ことに相当する。
イ 上記アによれば、本願発明1と引用発明は、
「A 観察するために試料中の構造体の一部分を荷電粒子ビーム・システム内で露出させる方法であって、
B バルク試料から、繰り返し配置された複数の高アスペクト比構造体を含む試料を抜き出すこと、
E 前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化するためにミリング角度を傾斜させること、
F 前記複数の高アスペクト比構造体を露出させるために前記試料をミリングするときに、
G ホルダが、カーテニングを低減させる向きに前記試料を向かわせるように、前記試料を前記荷電粒子ビーム・システム内の前記ホルダに装着すること、
H 前記複数の高アスペクト比構造体にわたってカーテニングを分散させるエイリアシング効果を最適化させることによってカーテニングを低減させる方向に前記試料をミリングすることによって前記複数の高アスペクト比構造体を露出させること、および
I 前記複数の高アスペクト比構造体を画像化すること
J を含む方法。」
の点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。
<相違点>
本願発明1は「問題があるカーテニング効果の原因となる複数の高アスペクト比構造体を識別すること」(構成C)、「前記複数の高アスペクト比構造体の形状を分析すること」(構成D)と特定されるのに対し、引用発明は、このように特定されない点。
(2)判断
引用発明は、「カーテニングは新しい向きの関心領域において最小となり、金属の積層体には視認できるカーテニング効果は観測されな」(構成d)い向きとするために、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体において、サンプルを取り出す従来の内部位置採取技法(INLO)工程が使われ、前記積層体は、TEMグリッドに取り付ける前に、マニピュレーターに取り付けられている間にチャンバーの中で90°回転され、回転の後に前記TEMグリッドに取り付られ」(構成a)、「詳細には、積層体は、回転できるシャフトでマニピュレータを使って持ち上げられ、そして、前記TEMグリッドへの取り付けに先だって、チャンバーの中で90°回転され」(構成b)るものであるため、当該「新しい向き」は、単に90°回転させるにすぎない。
したがって、引用発明において、「高アスペクト比の8層の金属層からなる積層体」は、「TEMグリッドに取り付ける前に、マニピュレーターに取り付けられている間にチャンバーの中で90°回転され、回転の後に前記TEMグリッドに取り付られ」(構成a)、「詳細には、積層体は、回転できるシャフトでマニピュレータを使って持ち上げられ、そして、前記TEMグリッドへの取り付けに先だって、チャンバーの中で90°回転され」(構成b)るにとどまり、「チャンバーの中で90°回転」するために、「TEMグリッドに取り付ける前に」、「問題があるカーテニング効果の原因となる複数の高アスペクト比構造体を識別する」必要性はなく、また、「前記複数の高アスペクト比構造体の形状を分析する」必要性もなく、このような構成を付加する動機は見あたらない。
また、「TEMグリッドに取り付ける前に」構成C、Dのようなことを行うことが周知技術であったとする証拠はなく、また、例え周知技術であったとしても、上記のとおり、引用発明に構成C、Dのような構成を付加する動機は見あたらない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明7について
本願発明7は方法の発明である本願発明1のカテゴリーを物の発明としたものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明2~6、8~10について
本願発明2ないし6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8ないし10は本願発明7を減縮した発明であるから、本願発明1あるいは7と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、(平成30年2月28日付けの手続補正により補正された)請求項1ないし5に係る発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、及び、同請求項1ないし11に係る発明は、引用発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成30年12月3日付け手続補正により補正された請求項1ないし10は、それぞれ、「問題があるカーテニング効果の原因となる複数の高アスペクト比構造体を識別すること、前記複数の高アスペクト比構造体の形状を分析すること」(構成C及びD)という構成を有するものとなっており、上記第4で検討したとおり、構成C及びDを備える本願発明1ないし5は、引用発明ではなく、また、構成C及びDを備える本願発明1ないし10は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし5は引用発明ではなく、また、本願発明1ないし10は引用発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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