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特許拒絶査定不服審判

2018-014104

タッチパネル装置及び画像表示方法

審判番号
2018-014104
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-242138外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年10月24日
審決日
2020年01月22日
公報発行日
2020年03月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .113-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-242138「タッチパネル装置及び画像表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 2日出願公開、特開2016-103214、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成26年11月28日を出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 5月17日付け   拒絶理由通知書 平成30年 7月11日     意見書,手続補正書の提出 平成30年 7月23日付け   拒絶査定(以下,「原査定」という。 ) 平成30年10月24日     審判請求書,手続補正書の提出 平成31年 1月 4日     上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定の概要は,次のとおりである。 1 この出願の請求項1,4及び5に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 2 この出願の請求項1及び3ないし5に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1 特開2008-46957号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって,請求項1の「速度決定手段」及び請求項4の「速度決定ステップ」について,「1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」という事項を追加する補正は,速度決定について限定を追加するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また,上記「1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」ことは,「(実施の形態2)」(段落【0057】ないし【0069】)に記載されているから,「1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」という事項は,当初明細書等に記載された事項であり,新規事項を追加するものではない。 そして,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1ないし4に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。 加えて,審判請求時の補正によって,補正前の請求項2に係る記載を削除し,補正前の請求項3ないし5を補正後の請求項2ないし4とし,請求項の引用関係に関する記載を変更する補正は,請求項を削除を目的とするとともに,請求項の削除に伴い明りょうでない記載となった請求項を明りょうな記載とするものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 第4 本願発明 本願請求項1ないし4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は,平成30年10月24日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 被接触面を備え、該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置において、 接触の際前記被接触面に与えられる圧力値を検出する検出手段と、 複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定手段と、 前記検出手段の検出結果に基づいて速度を決定する速度決定手段と、 決定された方向及び速度に基づいて、画像を移動表示する表示部と を備え、 前記速度決定手段は、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させるように構成され、 前記速度決定手段は、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定することを特徴とするタッチパネル装置。 【請求項2】 前記方向決定手段は前記複数の接触のうち、何れか2つの接触に基づいて方向を決定し、 前記速度決定手段は2回目以降の何れかの接触に対する前記検出手段の検出結果に基づいて前記速度を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。 【請求項3】 複数の圧力値の範囲を定める閾値を記憶している記憶部を備え、 前記速度決定手段は前記閾値に基づいて速度を決定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル装置。 【請求項4】 被接触面と、該被接触面への接触の際該被接触面に与えられる圧力値を検出する検出部とを備え、該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置にて、画像を表示する画像表示方法において、 複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定ステップと、 前記検出部による検出結果に基づいて速度を決定する速度決定ステップと、 決定された方向及び速度に基づいて、画像を移動表示するステップと を含み、 前記速度決定ステップにおいて、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させ、かつ、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定することを特徴とする画像表示方法。」 第5 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は情報処理装置に係り、特に、表示画面をスクロールすることができるようにした情報処理装置に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 しかしながら、特許文献1乃至3に提案されている方法では、触覚センサを用いて所望のスクロール速度とスクロール方向を決定し、そのスクロール速度とスクロール方向でスクロールすることができるが、携帯電話機においては触覚センサが占有することができるスペースは少ないため、所望のスクロールを行わせるためには、繰り返し同様の操作をしなければならず、このような操作はユーザにとって煩わしいという課題があった。 【0008】 本発明は、このような状況に鑑みてなされてものであり、限られた資源においても、所望のスクロール条件を短時間に、かつ、簡単に設定することができる情報処理装置を提供することを目的とする。」 「【0029】 さらに、第1の筐体12の所定の位置には、圧力センサなどを高集積化することにより形成されるセンサである触覚センサ20が設けられる。これにより、触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出することができる。」 「【0056】 触覚センサ20は、触覚センサ20上に接触した物体(例えば、ユーザの指やタブレットなど)を逐次検出して検出信号を生成し、生成された検出信号を主制御部31にメインバス41を介して供給する。この検出信号には、物体(例えば、ユーザの指やタブレットなど)の触覚センサ20上における位置情報(X軸方向とY軸方向の座標情報)と、その位置における圧力情報が含まれる。」 「【0072】 図6のフローチャートを参照して、図5のカメラ付ディジタル携帯電話機1におけるスクロール制御処理について説明する。このスクロール制御処理は、ユーザにより、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20上のいずれかの場所に例えばユーザの指などが接触されることで開始される。 【0073】 ステップS1において、触覚センサ20は、触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出して検出信号を生成し、生成された検出信号を位置情報取得部51に供給する。この検出信号には、物体(例えば、ユーザの指やタブレットなど)の触覚センサ20上における位置情報(例えば図7に示されるようなX軸方向とY軸方向の座標情報)と、その位置における圧力情報が含まれる。 【0074】 ステップS2において、位置情報取得部51は、触覚センサ20から供給された検出信号から、触覚センサ20上に接触された図示せぬ物体の位置情報を逐次取得し、取得された位置情報を始点・終点設定部52に供給する。 【0075】 ステップS3において、始点・終点設定部52は、位置情報取得部51から供給された位置情報を取得するとともに、触覚センサ20上の図示せぬ物体の始点がすでに設定されているか否かを判定する。 【0076】 ステップS3において触覚センサ20上の図示せぬ物体の始点がまだ設定されていないと判定された場合、始点・終点設定部52はステップS4で、取得された図示せぬ物体の位置情報に基づいて、触覚センサ20上の図示せぬ物体の始点(例えば、図7における始点P1)を設定し、設定された図示せぬ物体の始点に関するデータである始点設定データをスクロール条件設定部53のスクロール方向設定部55と移動距離算出部56に供給する。この始点設定データには、始点であることを示すデータ(例えば図7の例の場合、P1が始点であることを示すデータ)と、始点に設定された位置の位置情報(X軸方向とY軸方向の座標情報;図7の例の場合、(X1,Y1))が含まれる。 【0077】 その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が繰り返される。 【0078】 次に、ユーザは、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20上のいずれかの場所に接触された指やタブレットなどを触覚センサ20上において所望の方向などに動かす。これにより、ステップS5以降の処理が実行され、ステップS6において終点設定処理が行われる。 【0079】 ステップS3において触覚センサ20上の図示せぬ物体の始点がすでに設定されていると判定された場合、始点・終点設定部52はステップS5で、取得された図示せぬ物体の位置情報に基づいて、図示せぬ物体が直前に検出された位置と異なる位置で検出されたか否かを判定する。例えば図7の例の場合、図示せぬ物体(例えば、ユーザの指やタブレットなど)の直前の位置がP4であるとき、図示せぬ物体がP5の位置で検出されると、図示せぬ物体が直前に検出された位置と異なる位置で検出されたと判定される。 【0080】 ステップS5において図示せぬ物体が直前に検出された位置と異なる位置で検出されたと判定された場合、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が繰り返される。これにより、図示せぬ物体(例えば、ユーザの指やタブレットなど)が直前に検出された位置と異なる位置で検出されなくなるまで、物体の位置情報を逐次検出することができる。 【0081】 ステップS5において図示せぬ物体が直前に検出された位置と異なる位置で検出されていないと判定された場合(すなわち、図示せぬ物体が直前に検出された位置と同じ位置で再度検出されたと判定された場合)、始点・終点設定部52はステップS6で、図示せぬ物体が最後に検出された位置情報をもつ位置(例えば、図7における終点Pn)に終点を設定し、設定された終点に関するデータである終点設定データをスクロール条件設定部53のスクロール方向設定部55と移動距離算出部56に供給する。この終点設定データには、終点であることを示すデータ(例えば図7の例の場合、P1が終点であることを示すデータ)と、終点に設定された位置の位置情報(X軸方向とY軸方向の座標情報;図7の例の場合、(Xn,Yn))が含まれる。 【0082】 ステップS7において、スクロール方向設定部55は、始点・終点設定部52から供給された始点設定データを取得するとともに、始点・終点設定部52から供給された終点設定データを取得し、取得された始点設定データおよび終点設定データに基づいて、図示せぬ物体の終点の位置が始点の位置よりも上方にあるか否かを判定する。すなわち、終点に設定された位置のY軸方向の座標が、始点に設定された位置のY軸方向の座標よりも大きいか否かを判定する。図7の例の場合、終点Pnに設定された位置のY軸方向の座標Ynは、始点P1に設定された位置のY軸方向の座標Y1よりも大きいことから、図示せぬ物体の終点Pnの位置が始点P1の位置よりも上方にあると判定される。 【0083】 ステップS7において図示せぬ物体の終点の位置が始点の位置よりも上方にあると判定された場合、スクロール方向設定部55はステップS8で、図示せぬ物体は上方に移動したと認識する。ステップS9において、スクロール方向設定部55は、表示画面のスクロールを実行する際のスクロール方向を上方に設定し、設定されたスクロール方向に関する設定であるスクロール方向設定データ(スクロール方向が上方に設定されたスクロール方向設定データ)をスクロール実行制御部54に供給する。 【0084】 一方、ステップS7において図示せぬ物体の終点の位置が始点の位置よりも下方にあると判定された場合、スクロール方向設定部55はステップS10で、図示せぬ物体は下方に移動したと認識する。ステップS11において、スクロール方向設定部55は、表示画面のスクロールを実行する際のスクロール方向を下方に設定し、設定されたスクロール方向に関する設定であるスクロール方向設定データ(スクロール方向が下方に設定されたスクロール方向設定データ)をスクロール実行制御部54に供給する。 【0085】 ステップS12において、移動距離算出部56は、始点・終点設定部52から供給された始点設定データを取得するとともに、始点・終点設定部52から供給された終点設定データを取得し、取得された始点設定データおよび終点設定データに基づいて、図示せぬ物体の移動した距離である移動距離を算出する。具体的には、図7の例の場合、始点P1(X1,Y1)と終点Pn(Xn,Yn)の間の距離を算出する。 【0086】 移動距離算出部56は、算出された移動距離算出結果をスクロール速度設定部57に供給する。 【0087】 ステップS13において、スクロール速度設定部57は、移動距離算出部56から供給 された移動距離算出結果を取得し、取得された移動距離算出結果に基づいて、図示せぬ物体の触覚センサ20上における移動距離が予め設定された所定の基準値よりも大きいか否かを判定する。 【0088】 ステップS13において図示せぬ物体の触覚センサ20上における移動距離が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合、スクロール速度設定部57はステップS14で、スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定し、設定されたスクロール速度に関するデータであるスクロール速度設定データ(スクロール速度が速めのスクロール速度Aに設定されたスクロール速度設定データ)をスクロール実行制御部54に供給する。 【0089】 一方、ステップS13において図示せぬ物体の触覚センサ20上における移動距離が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合、スクロール速度設定部57はステップS15で、スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定し、設定されたスクロール速度に関するデータであるスクロール速度設定データ(スクロール速度が遅めのスクロール速度Bに設定されたスクロール速度設定データ)をスクロール実行制御部54に供給する。 【0090】 ステップS16において、スクロール実行制御部54は、スクロール方向設定部55から供給されたスクロール方向設定データ(スクロール方向が上方または下方に設定されたスクロール方向設定データ)を取得するとともに、スクロール速度設定部57から供給されたスクロール速度設定データ(スクロール速度が速めのスクロール速度Aまたは遅めのスクロール速度Bに設定されたスクロール速度設定データ)を取得し、LCD制御部36を制御し、取得されたスクロール方向設定データおよびスクロール速度設定データに基づいて表示画面のスクロールの実行を制御し、LCD制御部36に、設定されたスクロール方向とスクロール速度で液晶ディスプレイ17に表示される表示画面のスクロールを実行させる。」 「【0160】 なお、本発明の第1実施形態においては、設定された始点と終点との距離(図示せぬ物体の移動距離)を算出し、算出された移動距離算出結果に基づいてスクロール速度を設定するようにしたが、始点と終点との間における図示せぬ物体の押圧を算出し、算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定するようにしてもよい。これにより、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20の面積が小さく、図示せぬ物体が触覚センサ20上を移動しにくい場合であっても、所望のスクロール条件を短時間に、かつ、簡単に設定することができる。以下、本発明の第4実施形態について説明する。 【0161】 [第4実施形態] 図16を参照して、本発明に係る情報処理装置に適用可能なカメラ付ディジタル携帯電話機1の第4実施形態におけるスクロール制御方法の概念について説明する。 【0162】 図16に示されるように、ユーザにより、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20上の始点P1に例えば指が接触され、触覚センサ20上の終点Pnまで移動された後に触覚センサ20から離された場合、始点P1と終点Pnとの間における押圧が大きいことから、スクロールの速度は速めのスクロール速度Aに設定され、設定されたスクロール速度Aで表示画面のスクロールが実行される。 【0163】 一方、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20上の始点Q1に例えば指が接触され、触覚センサ20上の終点Qnまで移動された後に触覚センサ20から離された場合、始点Q1と終点Qnとの間における押圧が小さいことから、スクロールの速度は遅めのスクロール速度Bに設定され、設定されたスクロール速度Bで表示画面のスクロールが実行される。これにより、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20の面積が小さく、触覚センサ20上を図示せぬ物体が移動しにくい場合であっても、所望のスクロール条件を短時間に、かつ、簡単に設定することができる。 【0164】 図17は、本発明に係る情報処理装置に適用可能なカメラ付ディジタル携帯電話機1の第4実施形態が実行することができる機能的な構成を表している。なお、図5の構成に対応するものについては同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。 【0165】 圧力情報取得部62は、例えば図3の主制御部31などにより実現され、触覚センサ20から供給された検出信号から、触覚センサ20上に接触された図示せぬ物体の圧力情報を逐次取得し、取得された圧力情報をスクロール条件設定部53の押圧算出部63に供給する。 【0166】 スクロール条件設定部53は、例えば図3の主制御部31などにより実現され、スクロール方向を設定するスクロール方向設定部55、スクロール速度を設定するスクロール速度設定部57、および、図示せぬ物体の移動の始点と終点との間における押圧を算出する押圧算出部63により構成される。 【0167】 押圧算出部63は、例えば図3の主制御部31などにより実現され、圧力情報取得部62から供給された圧力情報を取得し、取得された圧力情報に基づいて、設定された始点と終点との間における図示せぬ物体の押圧の最大値を算出し、算出された押圧算出結果をスクロール速度設定部57に供給する。 【0168】 スクロール速度設定部57は、押圧算出部63から供給された押圧算出結果を取得し、取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいか否かを判定する。取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合、スクロール速度設定部57は、スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定する。一方、取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合、スクロール速度設定部57は、スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する。 【0169】 次に、図18のフローチャートを参照して、図17のカメラ付ディジタル携帯電話機1におけるスクロール制御処理について説明する。なお、図18のステップS81乃至S82、ステップS84乃至S92、およびステップS97の処理は、図6のステップS1乃至S11、およびステップS16の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。 【0170】 ステップS83において、圧力情報取得部62は、触覚センサ20から供給された検出信号から、触覚センサ20上に接触された図示せぬ物体の圧力情報を逐次取得し、取得された圧力情報をスクロール条件設定部53の押圧算出部63に供給する。 【0171】 その後、処理はステップS84に進み、ステップS84以降の処理が繰り返される。これにより、位置情報により設定された始点から終点までの図示せぬ物体の圧力情報を逐次取得することができる。 【0172】 ステップS93において、押圧算出部63は、圧力情報取得部62から供給された圧力情報を取得し、取得された圧力情報に基づいて、設定された始点と終点との間における図示せぬ物体の押圧の最大値を算出し、算出された押圧算出結果をスクロール速度設定部57に供給する。 【0173】 ステップS94において、スクロール速度設定部57は、押圧算出部63から供給された押圧算出結果を取得し、取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいか否かを判定する。ステップS94において取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合、スクロール速度設定部57はステップS95で、スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定する。一方、ステップS94において取得された押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合、スクロール速度設定部57はステップS96で、スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する。 【0174】 本発明の第4実施形態においては、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20によって図示せぬ物体が逐次検出されることで始点と終点が設定され、設定された始点設定データと終点設定データに基づいてスクロール方向を設定するとともに、始点と終点との間における図示せぬ物体の押圧を算出し、算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定するようにしたので、カメラ付ディジタル携帯電話機1の所定の位置に設けられた触覚センサ20の面積が小さく、図示せぬ物体が触覚センサ20上を移動しにくい場合であっても、所望のスクロール条件を短時間に、かつ、簡単に設定することができる。これにより、ユーザの好みに合わせて、表示画面をより好適にスクロールすることができる。従って、カメラ付ディジタル携帯電話機の操作性を向上させることができる。」 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。 「触覚センサ20が設けられたカメラ付ディジタル携帯電話機1であって, 触覚センサ20は,圧力センサなどが高集積化することにより形成されるセンサであり,触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出して検出信号を生成し, 検出信号には,物体の触覚センサ20上における位置情報と,その位置における圧力情報が含まれ, 触覚センサ20によって物体が逐次検出されることで始点と終点が設定され,設定された始点設定データと終点設定データに基づいてスクロール方向を設定するとともに,始点と終点との間における物体の押圧を算出し,算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定し,スクロールを実行するものであって, 圧力情報に基づいて,設定された始点と終点との間における物体の押圧の最大値を算出し, 押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合,スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定し, 押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合,スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する, カメラ付ディジタル携帯電話機1。」 また,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明2」という。)も記載されている。 「触覚センサ20が設けられたカメラ付ディジタル携帯電話機1のスクロール制御方法であって, 触覚センサ20は,圧力センサなどが高集積化することにより形成されるセンサであり,触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出して検出信号を生成し, 検出信号には,物体の触覚センサ20上における位置情報と,その位置における圧力情報が含まれ, 触覚センサ20によって物体が逐次検出されることで始点と終点が設定され, 設定された始点設定データと終点設定データに基づいてスクロール方向を設定し, 始点と終点との間における物体の押圧を算出し, 算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定し, 設定された速度によりスクロールが実行される制御方法であって, 圧力情報に基づいて,設定された始点と終点との間における物体の押圧の最大値を算出し, 押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合,スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定し, 押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合,スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する, ことを特徴とするスクロール制御方法。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,「触覚センサ20」を設けており,この「触覚センサ20」は,触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出しているから,この接触のために,本願発明1の「被接触面」に相当する構成を備えていると認められる。そして,引用発明1の「触覚センサ20」は,物体の触覚センサ20上における位置情報を出力しているから,引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,本願発明1の「該被接触面との接触により位置の指定を受け付け」ていると同様の動作をしていると認められる。 そうすると,引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,本願発明1の「被接触面を備え、該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置」に相当する。 イ 引用発明1の「触覚センサ20」は,圧力センサなどが高集積化することにより形成されるセンサであるから,引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,本願発明1の「接触の際前記被接触面に与えられる圧力値を検出する検出手段」と同様の手段を備えていると認められる。 ウ 引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,触覚センサ20によって物体が逐次検出されることで始点と終点が設定され,設定された始点設定データと終点設定データに基づいてスクロール方向を設定しているから,本願発明1の「複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定手段」と同様の手段を備えていると認められる。 エ 引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,始点と終点との間における物体の押圧を算出し,算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定しているから,本願発明1の「前記検出手段の検出結果に基づいて速度を決定する速度決定手段」と同様の手段を備えていると認められる。 オ 引用発明1の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,設定されたスクロール方向及びスクロール速度でスクロールを実行するものであるから,本願発明1の「決定された方向及び速度に基づいて、画像を移動表示する表示部」と同様の表示部を備えていると認められる。 カ 「速度決定手段」について,引用発明1の「圧力情報に基づいて,設定された始点と終点との間における物体の押圧の最大値を算出し,押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合,スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定し,押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合,スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する」ことと,本願発明1の「前記速度決定手段は、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させるように構成され、前記速度決定手段は、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定すること」は,「接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定する」点で共通する。 キ したがって,本願発明1と引用発明1との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 [一致点] 「被接触面を備え,該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置において, 接触の際前記被接触面に与えられる圧力値を検出する検出手段と, 複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定手段と, 前記検出手段の検出結果に基づいて速度を決定する速度決定手段と, 決定された方向及び速度に基づいて、画像を移動表示する表示部と, を備え, 前記速度決定手段は,接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定することを特徴とするタッチパネル装置。」 [相違点1] 「接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定する」点について,本願発明1が「所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させるように構成され、前記速度決定手段は、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」のに対して,引用発明1はそのような決定を行っていない点。 (2)相違点についての判断 上記[相違点1]について検討すると,[相違点1]に係る速度の決定方式は,引用文献1に記載されておらず,又,周知の技術であるともいえないから,本願発明1は引用発明1ではなく,又,引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 なお,引用文献1には,第7実施形態(段落【0213】ないし【0228】)として,一度設定されたスクロール条件を記憶して,その後は,記憶されているスクロール条件でスクロールを実行することも開示されている。しかし,たとえ引用発明1に,さらに第7実施形態のものを組み合わせたとしても,圧力値により設定された(一定の)スクロール条件に基づいて,その後は,スクロールを実行するのみであって,[相違点1]のように,「斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させるように構成され」るものとはならない。 そして,本件発明1は,[相違点1]に係る速度の決定を行うことにより,最初の接触の際の圧力値に応じて,たとえ以降の検出圧力値の変化が同一である場合でも,画像のスクロール表示における速度が異なることによって,一層速やかにユーザが希望する画像のスクロール表示の速度に達することができる(本願明細書段落【0068】,【0069】,【図6】)という格別の効果を有するものである。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は,本願発明1に対して,それぞれ「前記方向決定手段は前記複数の接触のうち、何れか2つの接触に基づいて方向を決定し、前記速度決定手段は2回目以降の何れかの接触に対する前記検出手段の検出結果に基づいて前記速度を決定するように構成されていること」及び「複数の圧力値の範囲を定める閾値を記憶している記憶部を備え、前記速度決定手段は前記閾値に基づいて速度を決定するように構成されていること」との技術的事項を追加したものである。 そうすると,上記(1)に示した理由と同様の理由により,本件発明2及び3は,引用発明1でなく,又,引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明4について (1)対比 本願発明4と引用発明2とを対比すると,次のことがいえる。 ア 引用発明2の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,「触覚センサ20」が設けられており,この「触覚センサ20」は,触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出しているから,この接触のために,本願発明4の「被接触面」に相当する構成を備えていると認められる。 そして,引用発明2の「触覚センサ20」は,圧力センサなどが高集積化することにより形成されるセンサであるから,本願発明4の「該被接触面への接触の際該被接触面に与えられる圧力値を検出する検出部」に相当する構成を備えていると認められる。 さらに,引用発明2の「触覚センサ20」は,触覚センサ20上に接触した物体を逐次検出して検出信号を生成し,検出信号には,物体の触覚センサ20上における位置情報が含まれているから,この「触覚センサ20」が設けられた引用発明2の「カメラ付ディジタル携帯電話機1」は,本願発明4「被接触面と、該被接触面への接触の際該被接触面に与えられる圧力値を検出する検出部とを備え、該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置」に相当する。 加えて,スクロールの制御は,画像を表示する画像表示方法の一種であることに変わりなく,又,引用発明2は「カメラ付ディジタル携帯電話機1」の「スクロール制御方法」であるから,引用発明2の「スクロール制御方法」は,本願発明4の「被接触面と、該被接触面への接触の際該被接触面に与えられる圧力値を検出する検出部とを備え、該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置にて、画像を表示する画像表示方法」に相当する。 イ 引用発明2の触覚センサ20によって物体が逐次検出されることで,複数の位置を検出していると認められるから,引用発明2の「触覚センサ20によって物体が逐次検出されることで始点と終点が設定され,設定された始点設定データと終点設定データに基づいてスクロール方向を設定」することは,本願発明4の「複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定ステップ」に相当する。 ウ 引用発明2の「始点と終点との間における物体の押圧を算出し,算出された始点・終点間における押圧に応じてスクロール速度を設定」することは,本願発明4の「前記検出部による検出結果に基づいて速度を決定する速度決定ステップ」に相当する。 エ 引用発明2の「設定された速度によりスクロールが実行される」ことは,本願発明4の「決定された方向及び速度に基づいて、画像を移動表示するステップ」に相当する。 オ 引用発明2の「圧力情報に基づいて,設定された始点と終点との間における物体の押圧の最大値を算出し,押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも大きいと判定された場合,スクロール速度を速めのスクロール速度Aに設定し,押圧算出結果が予め設定された所定の基準値よりも小さいと判定された場合,スクロール速度を遅めのスクロール速度Bに設定する」ことと,本願発明4の「前記速度決定ステップにおいて、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させ、かつ、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定すること」は,「前記速度決定ステップにおいて,接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定する」点で共通する。 カ したがって,本願発明4と引用発明2との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 [一致点] 「被接触面と,該被接触面への接触の際該被接触面に与えられる圧力値を検出する検出部とを備え,該被接触面との接触により位置の指定を受け付けるタッチパネル装置にて,画像を表示する画像表示方法において, 複数の位置の指定に係る位置に基づいて方向を決定する方向決定ステップと, 前記検出部による検出結果に基づいて速度を決定する速度決定ステップと, 決定された方向及び速度に基づいて,画像を移動表示するステップと, を含み, 前記速度決定ステップにおいて,接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定することを特徴とする画像表示方法。」 [相違点2] 「前記速度決定ステップにおいて,接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を決定する」点について,本願発明4が「前記速度決定ステップにおいて、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させ、かつ、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」のに対して,引用発明2はそのような決定を行っていない点。 (2)相違点についての判断 上記[相違点2]について検討すると,[相違点2]に係る速度の決定方式は,引用文献1に記載されておらず,又,周知の技術であるともいえないから,本願発明4は引用発明2ではなく,又,引用発明2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 そして,本件発明4は,[相違点2]に係る速度の決定を行うことにより,最初の接触の際の圧力値に応じて,たとえ以降の検出圧力値の変化が同一である場合でも,画像のスクロール表示における速度が異なることによって,一層速やかにユーザが希望する画像のスクロール表示の速度に達することができる(本願明細書段落【0068】,【0069】、【図6】)という格別の効果を有するものである。 第7 原査定について 1 理由1(特許法第29条第1項第3号について) 審判請求時の補正により,本願発明1ないし4は,「前記速度決定ステップにおいて、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させ、かつ、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」という事項を備えるものとなったから,本願発明1ないし4は,拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明とはいえない。したがって,原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(特許法第29条第2項について) 審判請求時の補正により,本願発明1ないし4は,「前記速度決定ステップにおいて、所定以下の間隔にて複数の接触があった場合、斯かる接触の都度、接触の際前記被接触面に与えられる圧力の変化に応じて前記速度を変更させ、かつ、1回目の接触に係る検出圧力値に応じて、2回目以降の検出圧力値に対応する速度が増加するように、前記速度を決定する」という事項を備えるものとなったから,本願発明1ないし4は,拒絶査定において引用された引用文献1に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由2を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2018-014104

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