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特許拒絶査定不服審判

2018-013567

過電圧防止回路、その制御方法及びバッテリーパック

審判番号
2018-013567
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-519675
請求日
2018年10月11日
審決日
2021年03月24日
公報発行日
2021年10月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エルジー・ケム・リミテッド
  • 【請求人代理人】堅田 健史
  • 【請求人代理人】松野 知紘
審判長/審判官
  • 審判長 酒井 朋広
  • 審判官 國分 直樹
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .537-WZ (H02H) / P18 .121-WZ (H02H) / P18 .56 -WZ (H02H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-519675「過電圧防止回路、その制御方法及びバッテリーパック」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月21日国際公開、WO2016/114513、平成29年12月 7日国内公表、特表2017-536794〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件出願は、2015年(平成27年)12月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 同年1月12日 大韓民国、同年10月29日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 2月15日付け:拒絶理由通知書 平成30年 5月18日  :意見書、手続補正書の提出 平成30年 6月 8日付け:拒絶査定 平成30年10月 3日付け:応対記録 平成30年10月11日  :審判請求書、手続補正書の提出 平成31年 2月13日  :上申書の提出 令和 元年12月16日付け:拒絶理由通知書(当審) 令和 2年 3月16日  :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 4月28日付け:拒絶理由通知書(当審、最後) 令和 2年 9月 4日  :意見書、手続補正書の提出 第2 令和2年9月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年9月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所を示す。) 「【請求項1】 過電圧防止回路であって、 バッテリーの電圧を測定する電圧測定部、 前記電圧測定部により測定されたバッテリー電圧値が既に設定された第1電圧値以上の場合に電源を供給する電源制御部、及び 前記電源制御部から供給される電源の供給を受け、前記バッテリー電圧値が既に設定された第2電圧値以上の場合に、前記バッテリーの充電を遮断する遮断回路部を備えてなり、 前記遮断回路部は、電圧比較器と、遮断部とを備えてなり、 前記電圧比較器は、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上であるか否かを判断するものであり、 前記遮断部は、PDD(Power Disconnect Device)で構成されてなり、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記バッテリーと充電器との間を遮断するものであり、 前記PDDは、前記バッテリーと前記充電器との間を直接接続されるように構成されてなり、 前記PDDは、前記過電圧防止回路においてスイッチであり、 前記バッテリーが充電される場合、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値未満の場合、前記電源回路部のみが動作し、前記遮断回路部は動作しないものであり、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値以上前記第2電圧値未満の場合、前記電源回路部が前記遮断回路部に電源を供給し、前記遮断回路部はバッテリーの電圧を測定し、 バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記遮断回路部はバッテリーに対する充電を遮断し、 前記第2電圧値が最高充電電圧の70%~90%に形成されてなることを特徴とする、 過電圧防止回路。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和2年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 過電圧防止回路であって、 バッテリーの電圧を測定する電圧測定部、 前記電圧測定部により測定されたバッテリー電圧値が既に設定された第1電圧値以上の場合に電源を供給する電源制御部、及び 前記電源制御部から供給される電源の供給を受け、前記バッテリー電圧値が既に設定された第2電圧値以上の場合に、前記バッテリーの充電を遮断する遮断回路部を備えてなり、 前記遮断回路部は、電圧比較器と、遮断部とを備えてなり、 前記電圧比較器は、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上であるか否かを判断するものであり、 前記遮断部は、PDD(Power Disconnect Device)で構成されてなり、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記バッテリーと充電器との間を遮断するものであり、 前記PDDは、前記バッテリーと前記充電器との間を直接接続されるように構成されてなり、 前記PDDは、前記過電圧防止回路において単一のスイッチであることを特徴とする、 過電圧防止回路。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2電圧値」について、「最高充電電圧の70%~90%に形成されてなる」という限定を付加すること(以下「補正事項1」という。)を含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)明確性(特許法第36条第6項第2号)について 本件補正後の請求項1には、 「前記バッテリーが充電される場合、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値未満の場合、前記電源回路部のみが動作し、前記遮断回路部は動作しないものであり、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値以上前記第2電圧値未満の場合、前記電源回路部が前記遮断回路部に電源を供給し、前記遮断回路部はバッテリーの電圧を測定し、 バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記遮断回路部はバッテリーに対する充電を遮断し、」(下線は当審で付与した。) のように「前記電源回路部」と言う記載(2カ所)が存在する。 しかしながら、本件補正後の請求項1には「前記電源回路部」という記載の「前記」に対応する「電源回路部」の記載はないから、「前記電源回路部」がどのような回路であるのかや、本件補正後の請求項1に記載の他の回路(特に、「電圧測定部」及び「電源制御部」)との関係が不明確である。 したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明は明確でない。 よって、本件出願の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正後の請求項1に記載される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (2)進歩性(特許法第29条第2項)について 上記(1)で説示したとおり、本件補正後の請求項1に記載される発明は明確でないが、本件の明細書の【0016】の「電源回路部100は、図2と共に参照すれば、電圧測定部110及び電源制御部120を含んで構成される。」、及び、【0017】の「このような電圧測定部110及び電源制御部120は一体に構成されることができる。例えば、図1に示すように、電圧測定部110及び電源制御部120は一体の電源回路部100として構成されることができる。」という記載、並びに、図1及び図2の記載を参酌して、電源回路部が電圧測定部及び電源制御部を一体に構成したものであると解釈して、進歩性についても検討する。 ア 本件補正発明 本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(1)に記載されたとおりのものであるが、「電源回路部」については上述のとおり電圧測定部及び電源制御部を一体に構成したものであると解釈することとする。 イ 引用文献1の記載事項及び引用発明 原査定及び当審の令和元年12月16日付け拒絶理由通知書で引用された韓国登録特許第10-1457986号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(仮訳中の下線は当審で付与した。) (ア)「 」 (当審仮訳: [0001] 本発明は、バッテリーパックの充電時、BMS(Battery Management System、バッテリー管理システム)の機能異常又は外乱による誤動作が発生したときに、バッテリーパックが過充電される現象を防止するための過充電防止回路に関するものである。) (イ)「 」 (当審仮訳: [0009] このとき、メイン-リレー(130, 131, 132)は、バッテリーパック(110)の両端子のいずれか1つ以上の端子にそれぞれ接続されている。例えば、本発明の背景となる技術によるバッテリーシステム(100)は、バッテリーパック(110)の一側とPack+端子の間に接続されている第1メイン-リレー(131)、及びバッテリーパック(110)の他側とPack-端子の間に接続されている第2メインリレー(132)を含むことができる。このとき、メイン-リレー(130)は、バッテリーパック(110)の過放電、過充電、過電流、温度過熱等の異常状態が発生した場合、負荷あるいは充電器からバッテリーパック(110)を電気的に分離する役割を果たすようになっている。このとき、上記Pack+端子及び上記Pack-端子は、バッテリーパック(110)の外部のインバータ、充電器等と接続される端子である。) (ウ)「 」 (当審仮訳: [0030] このとき、本発明の一実施例では、バッテリーパック(110)が過充電される前の時点(例えば、0~t1の間の時点)に、あらかじめ過充電が発生するリスクを感知するための予備検出電圧(V2)とバッテリーパック(110)が過充電されることを防ぐために設定された遮断電圧(V1)を事前に決定することができる。このとき、例えば、上記予備検出電圧(V2)は、抵抗(R1)と抵抗(R2)の分圧比を調整して、上記分圧比を介して分圧された電圧が第1スイッチ(31)の最小ターン-オン電圧になるように値を持つことができる。このとき、図4に示したように、上記遮断電圧(V1)は、上記予備検出電圧(V2)よりも大きい値でなければならない。) (エ)「 」 (当審仮訳: [0031] 図3及び図4を共に参照しながら説明すれば、本発明の一実施例による過充電防止回路(200)は、バッテリーパック(110)が過充電されることを防止する回路であって、予備駆動部(210)、スイッチング制御部(220)、及びスイッチ部(230)を含む。) (オ)「 」 (当審仮訳: [0032] 予備駆動部(210)は、スイッチング制御部(220)の動作の活性化を制御するための回路であって、第1スイッチ(31)及び複数個の抵抗(R1, R2)を含んで構成されている。このとき、予備駆動部(210)は、バッテリーパック(110)の両端の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以下の場合には、過充電が発生するリスクが低いと判断し、スイッチング制御部(220)を無効状態にすることにより、スイッチング制御部(220)で消費される電流を最小化する役割をするように構成された回路である。又、予備駆動部(210)は、バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合には、過充電が発生するリスクが存在すると判断し、スイッチング制御部(220)を有効状態にすることにより、スイッチング制御部(220)がバッテリーパック(110)の過充電有無に対する監視を行うことができるように構成されている。具体的には、スイッチング制御部(220)の有効及び無効は、第1スイッチ(31)によってスイッチング制御部(220)に対する電流導通可否を制御することにより、達成することができる。このとき、第1スイッチ(31)は、FETを用いて実装することができる。) (カ)「 」 (当審仮訳: [0033] スイッチング制御部(220)は、スイッチ部(230)のオン/オフ状態を制御するための回路であって、電圧検出部(32)、スイッチ部の制御信号(VO)を出力する出力端子、及び複数個の抵抗(R3, R4, R5)を含んで構成されている。このとき、スイッチ部(230)は、上記スイッチ部の制御信号(VO)を入力することができように、上記出力端子に接続されている。このとき、バッテリーパック(110)の電圧が上記所定の遮断電圧(V1)に到達した場合(例えば、t2時点)には、過充電を遮断しなければならないと判断し、電圧検出部(32)が過充電状態を検出した後、上記出力端子を介してスイッチ部の制御信号(VO)を出力するようになっている。このとき、遮断電圧(V1)を基準に電圧検出部(32)から出力されるスイッチ部の制御信号(Vo)の状態値が変更されるように、抵抗(R3)と抵抗(R4)の分圧比を調整するようになっている。) (キ)「 」 (当審仮訳: [0034] スイッチ部(230)は、上記スイッチ制御信号(VO)の状態値に基づいて、メイン-リレー(130)のオン/オフ状態を制御するための回路であって、制御-スイッチ(33)、第2スイッチ(34)、第3スイッチ(35)、及び第4スイッチ(36)を含んで構成される。このとき、制御-スイッチ(33)は、メイン-リレー(130)のオン/オフ状態を制御する電気回路のオン/オフを直接制御する機能をする。このとき、制御-スイッチ(33)のオン/オフ状態は、第3スイッチ(35)によって制御される。又、第3スイッチ(35)のオン/オフ状態は、第4スイッチ(36)によって制御され、第4スイッチ(36)のオン/オフ状態は、第2スイッチ(34)によって制御される。又、第2スイッチ(34)は、上記スイッチ部の制御信号(VO)によって制御される。結局、図3に示した実施例における制御-スイッチ(33)は、スイッチ部の制御信号(VO)によって制御され、この過程で他のスイッチ(34~36)が介入可能になる。しかし、実施例によっては、他のスイッチの介入なしで、制御-スイッチ(33)がスイッチ部の制御信号(VO)によって直接制御されるように構成することもできる。) (ク)「 」 (当審仮訳: [0043] 一方、BMS(120)に誤動作等の不具合が発生する場合は、スイッチ部(220)は、電圧検出部(32)から入力された上記スイッチ部の制御信号(VO)によって制御されることにより、動作するようになっている。このとき、スイッチ部(220)が動作すると、メイン-リレー(130)のオン/オフ状態を制御するための電気回路(99)が遮断され、メイン-リレー(130)は、オフ-状態(b接点の状態)に制御されることにより、過充電を防止することができる。このとき、スイッチ部(230)の動作状態は、上記スイッチ部の制御信号(VO)によって第2スイッチ(34)がオン-状態に制御され、第4スイッチ(36)が動作するようにする。第4スイッチ(36)が動作すると、第3スイッチ(35)がオン-状態に制御されて、制御-スイッチ(33)がオン-状態に変化するようになっている。) (ケ)「 」 (当審仮訳: [0046] 以下、本発明の他の実施例によるバッテリーパック過充電防止回路について説明する。本発明の他の実施例によるバッテリーパックの過充電防止回路は、バッテリーの外部接続-スイッチ(130)の動作を制御する電気回路(99)を含むBMS(120)を有するバッテリーパックが過充電されることを防止する回路であって、上記バッテリーの電圧を感知する電圧検出部(220, 32)、及び上記電圧が所定の第1電圧(V1)以上になると、上記電気回路(99)を遮断するようになっているスイッチ部(230, 33)を含む。このとき、上記過充電防止回路は、上記バッテリーの電圧が第2電圧(V2)よりも大きい場合にのみ、上記電圧検出部が上記バッテリーの電圧を感知するようになっている予備駆動部(210)をさらに含むことができる。このとき、上記第1電圧は、上記第2電圧よりも大きい値でなければならない。) (コ)図1「 」 (サ)図3「 」 (シ)図4「 」 上記(ア)によれば、引用文献1には、バッテリーパックの過充電防止回路について記載されている。 上記(エ)及び(サ)によれば、過充電防止回路(200)は、バッテリーパック(110)が過充電されることを防止する回路であって、予備駆動部(210)、スイッチング制御部(220)、及びスイッチ部(230)を含むものである。 上記(オ)及び(サ)によれば、予備駆動部(210)は、第1スイッチ(31)と抵抗(R1)及び抵抗(R2)とを含み、バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合には、スイッチング制御部(220)を有効状態にすることにより、スイッチング制御部(220)がバッテリーパック(110)の過充電有無に対する監視を行うことができるようにするものである。具体的には、第1スイッチ(31)によってスイッチング制御部(220)に対する電流導通可否を制御するもので、上記(ウ)の記載も勘案すると、前記バッテリーパック(110)の電圧が前記予備検出電圧(V2)以上の場合には、前記バッテリーパック(110)の電圧を前記抵抗(R1)及び抵抗(R2)によって分圧した電圧によって第1スイッチ(31)をターン-オンすることにより、スイッチング制御部(220)に対して電流を導通するものである。 上記(カ)及び(サ)によれば、スイッチング制御部(220)は、電圧検出部(32)、スイッチ部の制御信号(VO)を出力する出力端子、及び複数個の抵抗(R3, R4, R5)を含み、バッテリーパック(110)の電圧が所定の遮断電圧(V1)に到達した場合には、電圧検出部(32)が過充電状態を検出して、前記出力端子を介してスイッチ部の制御信号(VO)を出力するものである。ここで、上記(ウ)、(ケ)及び(シ)によれば、前記遮断電圧(V1)は、前記予備検出電圧(V2)よりも大きい値であり、前記バッテリーパック(110)の電圧が予備検出電圧(V2)よりも大きい場合にのみ、前記電圧検出部(32)が前記バッテリーパック(110)の電圧を感知するものである。 上記(イ)及び(コ)によれば、メイン-リレー(130)は、前記バッテリーパック(110)の1つの端子と、充電器と接続されるためのPack+端子との間に接続されており、特に上記(コ)からは、前記メイン-リレー(130)が前記バッテリーパック(110)の1つの端子と前記Pack+端子との間を直接接続していることが見て取れる。 上記(キ)によれば、スイッチ部(230)は、前記制御信号(VO)に基づいて、前記メイン-リレー(130)のオン/オフ状態を制御するためのものである。 上記(イ)及び(ク)によれば、前記メイン-リレー(130)は、前記充電器から前記バッテリーパック(110)を電気的に分離する役割を果たすようになっており、オフ-状態に制御されることにより、前記バッテリーパック(110)の過充電を防止することができるものである。 以上の記載事項と図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「予備駆動部(210)、スイッチング制御部(220)、及びスイッチ部(230)を含む過充電防止回路(200)と、メイン-リレー(130)とからなる回路であって、 前記メイン-リレー(130)は、バッテリーパック(110)の1つの端子と、充電器と接続されるためのPack+端子との間に接続され、前記充電器から前記バッテリーパック(110)を電気的に分離する役割を果たすようになっており、 前記予備駆動部(210)は、第1スイッチ(31)と抵抗(R1)及び抵抗(R2)とを含み、前記バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合には、前記バッテリーパック(110)の電圧を前記抵抗(R1)及び抵抗(R2)によって分圧した電圧によって第1スイッチ(31)をターン-オンすることにより、スイッチング制御部(220)に対して電流を導通し、 前記スイッチング制御部(220)は、電圧検出部(32)、スイッチ部の制御信号(VO)を出力する出力端子、及び複数個の抵抗(R3, R4, R5)を含み、前記バッテリーパック(110)の電圧が前記予備検出電圧(V2)よりも大きい場合にのみ、前記電圧検出部(32)が前記バッテリーパック(110)の電圧を感知し、前記バッテリーパック(110)の電圧が前記予備検出電圧(V2)よりも大きい所定の遮断電圧(V1)に到達した場合には、前記出力端子を介して前記制御信号(VO)を出力し、 前記スイッチ部(230)は、前記制御信号(VO)に基づいて、前記メイン-リレー(130)をオフ-状態に制御することにより、前記バッテリーパック(110)の過充電を防止する、 回路。」 ウ 対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると次のことがいえる。 (ア)引用発明の「バッテリーパック(110)」及び「バッテリーパック(110)の電圧」は、本件補正発明の「バッテリー」及び「バッテリー電圧値」にそれぞれ相当する。 (イ)引用発明の予備駆動部(210)の抵抗(R1)及び抵抗(R2)は、バッテリーパック(110)の電圧を分圧して第1スイッチ(31)に与えるものであり、当該分圧された電圧はバッテリーパック(110)の電圧に比例することを勘案すると、前記抵抗(R1)及び抵抗(R2)は、バッテリーパック(110)の電圧を実質的に測定して前記第1スイッチ(31)に与えているということができる。したがって、引用発明の予備駆動部(210)の「抵抗(R1)及び抵抗(R2)」は、本件補正発明の「電圧測定部」に相当する。 (ウ)引用発明の予備駆動部(210)の第1スイッチ(31)は、バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合にターン-オンすることにより、スイッチング制御部(220)に対して電流を導通するものであるから、引用発明の予備駆動部(210)の「第1スイッチ(31)」は、本件補正発明の「電源制御部」に相当するとともに、引用発明の「予備検出電圧(V2)」は、本件補正発明の「第1電圧値」に相当する。 (エ)本件補正発明における「電源回路部」は電圧測定部及び電源制御部を一体に構成したものであると解釈されるから、上記(イ)及び(ウ)で説示した事項を総合すると、引用発明の「抵抗(R1)及び抵抗(R2)」及び「第1スイッチ(31)」並びにそれらを含む「予備駆動部(210)」は、本件補正発明の「電圧測定部」及び「電源制御部」並びに「電源回路部」にそれぞれ相当する。ただし、本件補正発明においては、電圧測定部及び電源制御部が「一体」の電源回路部として構成されるものとして解釈されるのに対して、引用発明においては、予備駆動部(210)に含まれる抵抗(R1)及び抵抗(R2)並びに第1スイッチ(31)が「一体」のものとして構成されることの特定がない点で相違する。 (オ)引用発明のスイッチング制御部(220)の電圧検出部(32)は、バッテリーパック(110)の電圧を感知し、前記バッテリーパック(110)の電圧が前記予備検出電圧(V2)よりも大きい所定の遮断電圧(V1)に到達した場合には、出力端子を介して前記制御信号(VO)を出力するものであるから、バッテリーパック(110)の電圧が所定の遮断電圧(V1)以上であるか否かを判断するものであるといえる。そして、引用発明の「所定の遮断電圧(V1)」は本件補正発明の「第2電圧値」に相当するから、引用発明のスイッチング制御部(220)の「電圧検出部(32)」は、本件補正発明の「電圧比較器」に相当する。 (カ)引用発明のメイン-リレー(130)は、前記充電器から前記バッテリーパック(110)を電気的に分離する役割を果たすものであり、バッテリーパック(110)の1つの端子と、充電器と接続されるためのPack+端子との間に接続されているから、前記バッテリーパック(110)と充電器との間を直接接続されるように構成されているスイッチといえる。 また、引用発明のスイッチ部(230)は、スイッチング制御部(220)が出力する制御信号(VO)に基づいて、前記メイン-リレー(130)をオフ-状態に制御することにより、前記バッテリーパック(110)の過充電を防止するものである。そして、上記(オ)で説示したとおり、前記バッテリーパック(110)の電圧が所定の遮断電圧(V1)以上である場合に、前記制御信号(VO)は出力されることを勘案すると、引用発明のメイン-リレー(130)は、バッテリーパック(110)の電圧が所定の遮断電圧(V1)以上である場合にオフ-状態に制御され、充電器とバッテリーパック(110)との間を遮断するものであるといえる。そうすると、引用発明の「スイッチ部(230)」によって制御される「メイン-リレー(130)」は、本件補正発明の「遮断部」に相当するし、引用発明の「スイッチング制御部(220)」「スイッチ部(230)」及び「メイン-リレー(130)」からなる回路部は、本件補正発明の「遮断回路部」に相当する。ただし、本件補正発明の「遮断部」は「PDD(Power Disconnect Device)で構成されてな」るものであるのに対して、引用発明においてはその旨の特定がない点で相違する。 (キ)引用発明において、バッテリーパック(110)が充電される場合の動作について整理すると、以下のaないしdのとおりである。 a 上記(ウ)においても説示したとおり、引用発明の予備駆動部(210)は、バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合にスイッチング制御部(220)に対して電流を導通するものであるから、スイッチング制御部(220)はバッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合にのみ動作するものである。そうすると、バッテリーパック(110)の電圧が予備検出電圧(V2)未満の場合には、前記予備駆動部(210)のみが動作し、前記スイッチング制御部(220)は動作しないといえる。 そして、上記(ア)で説示したように、引用発明の「バッテリーパック(110)の電圧」が本件補正発明の「バッテリー電圧値」に相当し、上記(エ)で説示したように、引用発明の「予備駆動部(210)」が本件補正発明の「電源回路部」に相当し、また、上記(カ)で説示したように、引用発明の「スイッチング制御部(220)」、「スイッチ部(230)」及び「メイン-リレー(130)」からなる回路部が本件補正発明の「遮断回路部」に相当することを踏まえると、引用発明も本件補正発明と同様に「バッテリー電圧値が前記第1電圧値未満の場合、前記電源回路部のみが動作し、前記遮断回路部は動作しないものであ」るといえる。 b 引用発明において、スイッチング制御部(220)に含まれる電圧検出部(32)は、バッテリーパック(110)の電圧を感知しているが、電圧を「感知」することは電圧を「測定」することに相当し、また、上記(カ)で説示したように、引用発明の「スイッチング制御部(220)」「スイッチ部(230)」及び「メイン-リレー(130)」からなる回路部は、本件補正発明の「遮断回路部」に相当するから、引用発明も本件補正発明と同様に「遮断回路部はバッテリーの電圧を測定し」ているといえる。 c 引用発明において、スイッチング制御部(220)は、バッテリーパック(110)の電圧が予備検出電圧(V2)よりも大きい所定の遮断電圧(V1)に到達した場合には、出力端子を介して制御信号(VO)を出力し、スイッチ部(230)は、前記制御信号(VO)に基づいて、メイン-リレー(130)をオフ-状態に制御する。そして、上記(オ)で説示したように、引用発明の「所定の遮断電圧(V1)」は本件補正発明の「第2電圧値」に相当し、また、上記(カ)で説示したように、引用発明の「スイッチング制御部(220)」、「スイッチ部(230)」及び「メイン-リレー(130)」からなる回路部が本件補正発明の「遮断回路部」に相当することを踏まえると、引用発明も本件補正発明と同様に「バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記遮断回路部はバッテリーに対する充電を遮断し」ているといえる。 d 上記(ウ)においても説示したとおり、引用発明の予備駆動部(210)は、バッテリーパック(110)の電圧が所定の予備検出電圧(V2)以上の場合にスイッチング制御部(220)に対して電流を導通するものである。 また、引用発明において、上記cのように所定の遮断電圧(V1)に到達した場合に、メイン-リレー(130)をオフ-状態に制御すれば、バッテリーパック(110)の電圧が遮断電圧(V1)を超えないことは明らかである。 そうすると、引用発明の予備駆動部(210)は、バッテリーパック(110)の電圧が予備検出電圧(V2)以上、かつ、遮断電圧(V1)未満の場合にスイッチング制御部(220)に対して電流を導通するものであるといえる。 そして、上記(ウ)ないし(オ)で説示したように、引用発明の「予備駆動部(210)」「予備検出電圧(V2)」「遮断電圧(V1)」は本件補正発明の「電源回路部」「第1電圧値」「第2電圧値」に相当し、また、上記(カ)で説示したように、引用発明の「スイッチング制御部(220)」、「スイッチ部(230)」及び「メイン-リレー(130)」からなる回路部が本件補正発明の「遮断回路部」に相当することを踏まえると、引用発明も本件補正発明と同様に「バッテリー電圧値が前記第1電圧値以上前記第2電圧値未満の場合、前記電源回路部が前記遮断回路部に電源を供給し」ているといえる。 ただし、前記第2の電圧値が、本件補正発明においては「最高充電電圧の70%~90%に形成されてなる」のに対して、引用発明においてはその旨の特定がない点で相違する。 (ク)引用発明は、過充電防止回路(200)と、メイン-リレー(130)とからなる回路であるが、上記イ(シ)で摘示したグラフも勘案すると、バッテリーパック(110)の過充電を防止することは、バッテリーパック(110)の過電圧を防止することでもあるから、引用発明は「過電圧防止回路」の発明であるということもできる。 以上を総合すると、本件補正発明と引用発明は次の点で一致ないし相違する。 <一致点> 「過電圧防止回路であって、 バッテリーの電圧を測定する電圧測定部、 前記電圧測定部により測定されたバッテリー電圧値が既に設定された第1電圧値以上の場合に電源を供給する電源制御部、及び 前記電源制御部から供給される電源の供給を受け、前記バッテリー電圧値が既に設定された第2電圧値以上の場合に、前記バッテリーの充電を遮断する遮断回路部を備えてなり、 前記遮断回路部は、電圧比較器と、遮断部とを備えてなり、 前記電圧比較器は、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上であるか否かを判断するものであり、 前記遮断部は、前記バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記バッテリーと充電器との間を遮断するものであり、 前記遮断部は、前記バッテリーと前記充電器との間を直接接続されるように構成されてなり、 前記遮断部は、前記過電圧防止回路においてスイッチであり、 前記バッテリーが充電される場合、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値未満の場合、前記電源回路部のみが動作し、前記遮断回路部は動作しないものであり、 バッテリー電圧値が前記第1電圧値以上前記第2電圧値未満の場合、前記電源回路部が前記遮断回路部に電源を供給し、前記遮断回路部はバッテリーの電圧を測定し、 バッテリー電圧値が前記第2電圧値以上の場合、前記遮断回路部はバッテリーに対する充電を遮断する、 過電圧防止回路。」 <相違点1> 電源回路部について、本件補正発明においては電圧測定部及び前記電源制御部が「一体」に構成されているものとして解釈されるのに対して、引用発明においてはその旨の特定がない点。 <相違点2> 遮断部について、本件補正発明においては「PDD(Power Disconnect Device)」で構成されているのに対して、引用発明においてはその旨の特定がない点。 <相違点3> 第2の電圧値について、本件補正発明においては「最高充電電圧の70%~90%に形成されてなる」のに対して、引用発明においてはその旨の特定がない点で相違する。 エ 判断 上記相違点1ないし3について検討する。 (ア)相違点1について 実際の回路を設計する際に、どの部分を一体の回路とするかは当業者にとって設計的事項にすぎず、特定の機能を奏する部分を一体の回路として設計することも普通に行われていることにすぎない。そして、引用発明の第1スイッチ(31)と抵抗(R1)及び抵抗(R2)は、それらが引用文献1の図3(上記イ(サ)参照)のように接続されることにより予備駆動部(210)としての機能を奏するものであり、かつ、上記図3の接続関係からみても、一体の回路として設計する際に格別の技術的困難性を伴うものではない。したがって、引用発明において、電圧測定部に相当する抵抗(R1)及び抵抗(R2)と、電源制御部に相当する第1スイッチ(31)とを、一体のものとして構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 (イ)相違点2について 引用発明のメイン-リレー(130)は、充電器とバッテリーパック(110)との間に、すなわち、充電器からバッテリーパック(110)に充電用の電力を供給する経路内に接続されるものであるから、当該メイン-リレー(130)が「PDD(Power Disconnect Device)」で構成されることは当業者にとって自明である。したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。仮に、自明ではないとしても、電力を供給する経路に用いるスイッチを「PDD(Power Disconnect Device)」で構成することは例を挙げるまでもなく周知であるから、引用発明において、遮断部に相当するメイン-リレー(130)を「PDD(Power Disconnect Device)」で構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 (ウ)相違点3について バッテリー電圧値が第2電圧値以上の場合、遮断回路部はバッテリーに対する充電を遮断するから、第2電圧値はバッテリーに対する充電を遮断するためのしきい値となる電圧値であるといえるが、そのような電圧値を最高充電電圧よりも低い値に設定することは普通に行われていることである。(必要であれば、特開2012-248446号公報の【0014】及び【0015】等を、特に、上記【0015】の「バッテリ電圧検出回路20は、バッテリ電源16の電圧が所定の過充電保護電圧以上になると、充電回路17を停止することにより、バッテリ電源16への電力の供給を停止する。この過充電保護電圧は、バッテリ電源16の種類に応じた満充電電圧よりも低い値に設定された電圧である。」という記載を参照のこと。) また、引用文献1の図4(上記イ(シ)参照)には、時間tの経過とともに、バッテリーパック(110)の電圧Vが遮断電圧(V1)を超えて上昇していく様子が記載されているから、当該図4の記載からみて、第2電圧値に相当する遮断電圧(V1)は、最高充電電圧よりも低い値に設定されていることは明らかである。 そして、引用発明において、遮断電圧(V1)を最高充電電圧よりもどの程度低い値に設定するかは、当業者が安全マージンの大きさを考慮して適宜選択しうることであるから、本件補正発明のように最高充電電圧の70%~90%とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 また、本件補正発明の効果についても、当業者が引用発明の効果から予測しうる範囲内のものであって、格別のものであるとは認められない。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)本件補正についてのむすび 上記(1)のとおり、本件出願の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正後の請求項1に記載される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、本件補正後の請求項1における電源回路部が電圧測定部及び電源制御部を一体に構成したものであると解釈しても、上記(2)のとおり、本件補正後の請求項1に記載される発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和2年9月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないしに9に係る発明は、令和2年3月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項によって特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 当審の拒絶理由の概要 当審において令和2年4月28日付けの拒絶理由通知書で請求項1に対して通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。 請求項1には、遮断部を構成し、バッテリーと充電器との間に直接接続されるPDD(PowerDisconnect Device)について、「前記PDDは、前記過電圧防止回路において単一のスイッチである」と記載されているが、発明の詳細な説明に記載の過電圧防止回路は、遮断部220内にスイッチ(PPD)を備えているだけでなく、電源回路部110にもスイッチを備えているから、当該過電圧防止回路は、少なくとも2個のスイッチを備えている。 したがって、遮断部220のPPDは、過電圧防止回路における単一のスイッチではないから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 よって、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 3 判断 上述のとおり、令和2年3月16日付け手続補正書の請求項1には、遮断部を構成し、バッテリーと充電器との間に直接接続されるPDD(PowerDisconnect Device)について、「前記PDDは、前記過電圧防止回路において単一のスイッチである」と記載されている。 そこで、発明の詳細な説明に記載の過電圧防止回路が何個のスイッチを備えているかについて検討する。 まず、明細書及び図面には「スイッチ」と表記された回路素子は何ら記載されていない。 次に、スイッチが、一般的に、通電と遮断を切り替える機能を有する電子部品を意味することを勘案すると、明細書の【0019】に「そして、遮断部220は、バッテリー電圧値が第2電圧値以上の場合、バッテリー10と充電器20との間を遮断する。このような遮断部220はPDD(Power Disconnect Device)で構成されることができる。」と記載されているから、遮断部220の上記PDDはスイッチであると認められる。 また、明細書の【0016】の「電源回路部100は、・・・電圧測定部110及び電源制御部120を含んで構成される。・・・そして、電源制御部120は、バッテリー電圧値が第1電圧値以上の場合、後述する遮断回路部200に電源を供給する。」、【0020】の「バッテリーの充電が開始されれば、バッテリー電圧値が第1電圧値未満の第1領域Aでは、電源回路部100のみが動作し、遮断回路部200は動作しない。そして、バッテリー電圧値が第1電圧値以上第2電圧値未満の第2領域Bでは、電源回路部100が遮断回路部200に電源を供給し、遮断回路部200はバッテリー10の電圧を精密に測定する。」、【0021】の「このように、本発明の実施形態によれば、バッテリーの電圧が既に設定された電圧を超過しなければ、電源回路部が遮断回路部に電源を供給しない。」という記載からみて、電源回路部100は遮断回路部200への電源の供給の有無を制御しており、技術常識を勘案すれば、そのような電源の供給の有無を制御するためには、回路の通電を遮断する機能を有する電子部品であるスイッチが必要であることは明らかである。してみると、電源回路部100はスイッチを備えていると認められる。 以上のとおり、発明の詳細な説明に記載の過電圧防止回路は、遮断部220内にスイッチ(PPD)を備えているだけでなく、電源回路部100にもスイッチを備えているから、当該過電圧防止回路は、少なくとも2個のスイッチを備えている。 したがって、遮断部220のPPDは、過電圧防止回路における単一のスイッチではない。 また、請求人が提出した令和2年9月4日付け意見書の内容について検討すると、請求人は、 「2.補正(本願発明)について 今般、〔請求項1〕、〔請求項4〕及び〔請求項7〕において、 1)「単一のスイッチ」における「単一の」を削除し、 (中略) 3.理由1(サポート要件)について 当該理由1のご指摘に鑑みまして、〔請求項1〕、〔請求項4〕及び〔請求項7〕において、上記の通り、補正を行いました。従って、補正後の〔請求項1〕、〔請求項4〕及び〔請求項7〕の各発明は、本願明細書に開示されたものとなっております。 よって、本願は当該理由1に該当しないものとなっております。」 と述べており、遮断部220のPPDは、過電圧防止回路における単一のスイッチである旨の主張はなされていない。 4 本願発明についてのむすび 以上のことから、遮断部220のPPDは、過電圧防止回路における単一のスイッチではないから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなない。 よって、当審拒絶理由で通知したとおり、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、本件出願の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-013567

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